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乳癌薬物療法と B型肝炎再活性化のリスク

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第31回 地域がん診療連携拠点病院 医療従事者研修会
乳癌薬物療法と
B型肝炎再活性化のリスク
倉敷中央病院 外科
山口 和盛
2014年10月01日
本日の話題
・HBV再活性化問題の現状
・B型肝炎ウイルス感染について
・HBV再活性化の病態
・B型肝炎治療ガイドライン
HBV再活性化問題の現状
当院外来化学療法室での化学療法症例
2014年6月
血液腫瘍, 肺癌, 消化器癌, 乳癌, 婦人科癌, 泌尿器癌
HBsAbおよびHBcAb測定例
血液内科
50
呼吸器内科 152
消化器内科 67
外 科
86
乳腺外科
39
婦人科
17
泌尿器科
26
45 ( 90%)
113 (74.3%)
31 (46.2%)
8 (9.3%)
26 (66.6%)
0 (0%)
3 (11.5%)
合計
226 (51.7%)
437
226例のうち陽性(既感染)例は56例 (24.7%)
当院におけるHBV再活性化
当院消化器内科からの報告
HBs-Ag
(+)
HBV
既感染
HBV
再活性化
de novo
肝炎
抗癌剤
3
7
10
3
10
Multiple
Myeloma
3
3
3
3
MDS
3
3
1
3
Acute
Leukemia
2
2
2
Evans
Syn.
1
1
1
Colon
Cancer
1
1
Malignant
Lymphoma
Breast
Cancer
1
1
1
免疫
抑制剤
ステロイド
造血幹細胞
移植
8
1
2
3
3
3
1
3
1
1
1
1
Toshikuni N et al. 消化器内科. 2010; 51(4) 401-
リツキシマブによるB型肝炎再活性化の報告
B型肝炎ウイルス感染既往のある乳癌患者に対する化学療法は勧められるか
化学療法を行ったときのHBV再活性化のリスク因子
化学療法前のHBV-DNA量
オッズ比 8.4
ステロイドの使用
オッズ比 2.7
悪性リンパ腫
オッズ比 5.0
乳癌
オッズ比 4.2
B型肝炎ウイルス感染について
HBVのゲノム構造
特徴
①
④
・約3.2kbp
・環状不完全2本鎖DNA
②
・4つの蛋白読み取り枠(ORF)
① C gene
Glucocorticoid
Responsive
Element
(GRE)
② P gene
③
③ Pre-S1/S2/S gene
④ X gene
Seeger C , and Mason W S Microbiol. Mol. Biol. Rev. 2000;64:51-
B型肝炎ウイルスの生活環
Covalently
Closed
Circular DNA
Jules L, N Engl J Med 2008;359:1486-
HBV DNA量
9.0
無症候性キャリア
活動性肝炎(難治性)
高ウイルス量
8.0
HBe
抗原
7.0
6.0
活動性肝炎
中ウイルス量
5.0
HBe
抗体
4.0
非活動性キャリア
回復期
3.0
低ウイルス量
2.0
Log copies/ml
Tanaka E, HEPATOLOGY PRACTICE vol.1, 42-
HBV初感染後のウイルスマーカーの動き
Seropositive period of anti-HBc antibody
HBV
infection
HBV reactivation
Detectable period of HBV-DNA
Kusumoto S et al. Int J Hematol. 2009; 90, 13-
HBV再活性化の病態
どうしてHBsAg(-), HBcAb(+)症例に
HBVがいるとわかったか?
Yim HJ, HEPATOLOGY 2006;43:S173-S181
生体肝移植のレシピエントでB型肝炎が発症
Donor
Recipient
Pretransplant
DNA in liver
Pretransplant
HBsAg/HBsAb
Posttransplant
HBsAg/HBsAb
HBcAb titer
HBcAb-200
DNA in serum
1
92.9
-
-
-/-
+ / - (24mo)
2
99.0
-
-
-/-
+ / - (15mo)
3
96.0
-
-
-/-
+ / - (16mo)
4
97.5
-
-
-/-
+ / - (9mo)
:
:
:
:
:
:
:
19
97.1
-
-
+
-/-
-/+
Uemoto S, Transplantation. 1998 Feb 27;65(4):494-
HBsAg陰性・HBcAb陽性ドナーで術後B型肝炎が発症
血中からはHBV-DNAは消失していたが肝臓内に残っている
免疫抑制・化学療法によるHBV再活性化
抗体産生細胞
細胞傷害性T細胞
抗癌剤
ステロイド
治療中止
HBV
非活動期
免疫抑制によるHBVの増殖
免疫回復による肝炎の発症
Okeya M et al. Medical Tech. 2010; 38(4) 413-
既往感染例からのHBV再活性化
de novo B型肝炎
B型肝炎の再活性化の問題点
① B型肝炎が再活性化すると劇症肝炎となりやすい
B型急性肝炎
再活性化
劇症化率
7%
27%
劇症肝炎死亡率
44%
100%
Umemura T, Intern Med. 2006;45(12):747-
②de novo肝炎が起こってから治療を開始しても間に合わない
HBV再活性化による劇症肝炎(2004-2008年)
de novo B型肝炎以外
de novo B型肝炎
56.5 (29-80)
64.1 (48-76)
9/6
8/6
病型(急性/亜急性/LOHF)
3/4/8
0 / 14 (100%) / 0
転帰(生存/死亡/肝移植)
2 / 12 / 1
0 / 14 (100%) /0
基礎疾患
悪性リンパ腫
その他の血液腫瘍
血液以外の悪性腫瘍
膠原病
その他
7 (46.7%)
1
2
4
1
11 (78.6%)
2
1
5 (33.3%)
11 (73.3%)
11 (78.6%)
11 (78.6%)
1
15 (100%)
14 (100%)
年齢
性別 (男/女)
前治療
リツキシマブ
ステロイド
末梢血幹細胞移植
肝炎の治療
核酸アナログ
厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班」
de novo肝炎が起こってから治療を開始しても間に合わない
68歳 F 乳癌術後
補助療法 CAF
Ide Y et al. Breast Cancer. 2013 Oct;20(4):367-70
HBV再活性化におけるHBs抗原陰性例における特徴
HBs抗原陰性ハイリスク群
(HBcAb(+) and/or HBsAb(+)
頻度
再活性化の診断
再活性化の発症頻度
時期
HBV-DNA上昇
Japan (Nagoya):
Hong Kong:
USA (MDACC):
23.2%
44.2~62.0%
4.6%
HBs-Ag陽性化 and/or HBV-DNA陽性化
全身化学療法:
1.0-2.7%
リツキシマブ+ステロイド: 12.2-23.8%
造血細胞移植:
14-20%
化学療法終了と肝炎発症までの期間中央値 2ヶ月
遅発例は化学療法後1年の報告あり
造血細胞移植例では数年後の発症もある
先行するHBV-DNAの上昇は18.5週(12-28週)
Kusumoto S et al. J Gastroenterol. 2011; 46, 9-
治療をいつ開始するか
Hui CK et al. Gastroenterology. 2006; 131 59-
すぐに肝臓専門医にコンサルトし、核酸アナログ(エンテカビル)を開始しましょう
B型肝炎治療ガイドライン
(第2版)
2014年6月
日本肝臓学会
肝炎診療ガイドライン作成委員会 編
添付文書上B型肝炎ウイルス再燃の注意喚起のある薬剤
副腎皮質ホルモン剤
一般名
商品
コルチゾン酢酸エステル
コートン 25mg
デキサメタゾン
デカドロン, レナデックス, デカドロンエリキシル
デキサメタゾンパルミチン酸エステル
リメタゾン 2.5mg
デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルNa
メサドロン 2mg, 3mg
デキサメタゾンリン酸エステルNa
デカドロン, デキサート
トリアムシノロン
レダコート 4mg
フルドロコルチゾン酢酸エステル
フロニネフ
プレドニゾロン
プレドニゾロン 1mg, 5mg
プレドニゾロンコハク酸エステルNa
水溶性プレドニン 10mg, 20mg
ベタメタゾン
リンデロン, リンデロン注
ベタメタゾンd-クロルフェニラミンマレイン酸塩
セレスタミン
ヒドロコルチゾン
コートリル 10mg
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルNa
ソル•コーテフ 100mg
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルNa
ソル•メドロール 125mg, 500mg,
添付文書上B型肝炎ウイルス再燃の注意喚起のある薬剤
抗悪性腫瘍剤
一般名
商品名
エベロリムス
アフィニトール 5mg
オファツムマブ
アーゼラ 100mg, 1000mg
テガフール•ギメラシル•オテラシルカリウム
TS-1, T20, T25
テムジロリムス
トーリセル 25mg
テモゾロミド
テモダール 20mg, 100mg
フルダラビンリン酸エステル
フルダラ 10mg, 50mg
ベンダムスチン塩酸塩
トレアキシン 100mg
ボルテミソブ
ベルケイド 3mg
メトトレキサート
メソトレキセート 2.5mg, 5mg, 50mg, 200mg
モガムリズマブ
ポテリジオ 20mg
リツキシマブ
リツキサン 10mg
免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン
2.1 log copies/ml 以上
2.1 log copies/ml 未満
モニタリング
HBV DNA定量 1回/1-3ヶ月
AST/ALT 1回/1-3ヶ月
治療内容を考慮して間隔・期間を検討する
2.1 log copies/ml 以上
2.1 log copies/ml 未満
免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン
6-3-8通常の化学療法
通常の化学療法では、非活動性キャリアからの再活性化の頻度は比較的高いものの、
既往感染者からの再活性化は1~3%程度である。化学療法の内容としては、ステロイド
やアンスラサイクリン系抗腫瘍薬を含む化学療法で再活性化が比較的多くみられる。
厚生労働省研究班の前向き研究の報告では、固形癌に対する通常の化学療法による
既往感染者からの再活性化(HBV DNA 2.1 log copies/ml以上)がみられたのは、36例中
1例であった。1例のHBV DNA量は2.4 log copies/mlで、直ちにエンテカビルが投与され、
肝炎発症はみられなかった。また、リツキシマブ以外の血液悪性疾患に対する化学療法
では、3か月間のモニタリングで肝炎発症例が1例報告されている。
固形癌に対する通常の化学療法におけるHBV DNA量のモニタリングは1~3か月ごと
を目安とし、治療内容を考慮して間隔および期間を検討する。血液悪性疾患においては、
より慎重な対応が望ましい。化学療法中に再活性化がみられた場合には、免疫抑制作用
のある抗腫瘍薬は直ちに中止せず、対応を肝臓専門医と相談するのが望ましい。
Recommendation
リツキシマブ以外の血液悪性疾患に対する化学療法、および固形癌
に対する通常の化学療法においては、1~3か月ごとのHBV DNA
のモニタリングを目安とし、治療内容を考慮して間隔および期間を
検討する (レベル4, グレードB) 。
HBV再活性化のリスク
Kusumoto S et al. Int J Hematol. 2009; 90, 13-
ま と め
乳癌化学療法においてはB型肝炎再活性化対策が重要
・治療前はHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体の測定を
・HBs抗体、HBc抗体陽性例では1-3ヶ月に1度HBV-DNAを測定
・化学療法が終了してからも要注意
・先行するHBV-DNA上昇で治療開始
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