赤外線カメラのために ワイパーを使うこと

テクニカル
ノート
赤外線カメラのために
ワイパーを使うこと
高くついて非効率的なソリューション
今日、赤外線カメラがもたらす恩恵により多くの人が認識しています。赤外線カメラはセキュ
リティおよび監視用として、夜の暗闇の中での運転・操船を助けることや、消防士が炎上して
いる建物の中で人を見つけることを手伝う等さまざまな用途で役に立っており、救命用とし
ても使われています。赤外線カメラは暗闇、薄い霧、煙、またあらゆる気象条件の中でクリア
な画像を生成します。
赤外線カメラは小雨、霧、雪、煙等の極端な環境のなかで使うことができるゆえに次のよう
な質問を受けることがよくあります。
「レンズに付着した水やほこりが赤外線カメラの視界を
フリアーシステムズ のHRCのレンズは過酷な条件下
や使わないときにはレンズキャップでカバーするこ
とができます。カメラには曇りを防止するビルトイ
ンヒーターが搭載されています。
さえぎることはありませんか。水やほこりを除去するために赤外線カメラのレンズの前にワ
イパーをつける必要はありますか。」
ワイパーを使うこともあります。たとえばCCTVカ
メラ設置においてです。CCTVカメラでは光学物
質がガラス製ですから埃、塩、水をレンズから除
去するためにワイパーを使います。
レンズ用の光
学物質は(CCTVカメラではガラスですが)ワイパ
ーを動かす際にレンズにかき傷ができないよう
にしておく必要があります。砂等の小さな粒がレ
ンズとワイパーの間に入り込むとワイパーが動く
ときにかき傷ができます。
レンズにかき傷ができ
るリスクを減らすために洗浄液(水であることが
多いです)のタンクがカメラに取り付けられてい
ることが多いです。
赤外線カメラは外見上CCTVカメラととてもよく
似ているので、赤外線カメラにもワイパーを装備
COMMERCIAL VISION SYSTEMS
する必要がありますかと尋ねるお客様がたくさん
いらっしゃいます。ワイパーなどの過酷な気象条
件に対応するシステムをいろいろと備えているメ
ーカーは多いです。
ワイパーは見た目はよいです
が実際赤外線カメラにとりつけても何の効果もな
いというのがフリアーシステムズの考えです。
ワイパーをつけない複数の理由
何より、赤外線カメラのレンズでは埃、塩、水を取
り除く必要はありません。こういった粒はカメラ
のごく近くにあるため完全に焦点外です。つまり
赤外線画面上には見えないということです。ま
た、粒がとても小さいので赤外線検出器がとらえ
たレンズを透過する赤外線が明瞭な画像を生成
するのを妨害しません。
レンズに埃がたくさんついていて赤外線画像の画
質を損なうような例外的な場合には、フリアーシ
ステムズではワイパーを使わないで手でレンズを
洗浄することをおすすめします。
フリアーシステム
ズの赤外線カメラはすべてしっかりと密封されて
います。重要なコア部分は湿気、埃、水からしっか
りと守られています。密封されたレンズは中に封
入されているもののスペック
(軍事用途向である
ことが多い)を良好な状態に保ちます。
これは、必
要であれば、ほかの材質や装置と同様にレンズは
少し離れた所からホースで洗浄することができる
ということです。
それだけではありません。赤外線カメラはふつうの
ビデオカメラと外見上とてもよく似ていますが、ま
ったく別物です。CCTVカメラのレンズにはガラスが
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使われていますが、
ガラスは赤外線をよく通しませ
ん。
ですから赤外線カメラのレンズはゲルマニウム
でできています。
ゲルマニウムは赤外線をよく透過
させます。
ところがゲルマニウムは大変高価なので
かき傷ができないようにレンズをしっかりと守る
必要があります。小さな粒がワイパーとレンズの間
に入り込むなどしてレンズにかき傷ができたり穴
があいたりすると、赤外線画像の画質は確実に劣
化します。
ごく細かい部分まで検知する必要がある
状況では、
画質の劣化は許されません。
フリアーシステムズの赤外線カメラのほとんどは
カーボンコーティングされています。
このコーティ
ングはレンズの保護層となってあらゆる気象条件
のなかでかき傷や穴ができないようにレンズを
保護しています。
しかし、
ワイパーを使うと、
レンズ
に傷がついたり損傷したりすることがあります。赤
外線カメラを湿度の高い環境で使うためレンズ
が曇ることがよくあるからという理由でワイパー
をつけることがあります。そのような環境でフリア
ーシステムズの赤外線カメラを使う必要のある場
合は、カメラのほぼすべてにレンズの曇りを防止
する内蔵ヒーターを搭載しています。ですからこ
の場合もワイパーをつける必要はありません。
ワイパー:コストとダウンタイムが増大
赤外線カメラを使うときにはワイパーをつけるこ
とが最適なオプションでないことは確かです。ワ
イパーがカメラの高価なゲルマニウムレンズを損
傷させることになるというだけでなくワイパーを
つけることは初期システム設計とメンテナンスの
点からも高くつきます。
フリアーシステムズの赤外線カメラの多くは周囲
からしっかり密封するためにフロントレンズの部
分を使っていますが、
フラットな赤外線ウィンドウ
を別につけていません。
これはレンズを完全にき
れいにするためには、
レンズのカーブに沿ったワ
イパーをつけなければいけないということを意味
します。
どうしてもワイパーをつけたいと希望するお客様
が直面するのは取り付けの初期費用だけではあ
りません。セキュリティ・監視用に使う場合、赤外
線カメラはエリア全体を見渡すことができるよう
に高い位置に設置されることが多いです。固定さ
れたポールやビルに取り付ける際、
またポールの
てっぺんでワイパーを取り替えるにしてもカメラ
ごと下におろして修理するにしても人間がポール
を登る必要があります。いずれの場合でもメンテ
ナンスには時間を要します。
これは開発原価が増
えるだけでなく、もっと重要なことはカメラがしば
らく使えなくなるということです。
これは多くの場
合許されることではありません。
赤外線カメラ用のワイパーシステムにはレンズが
損傷しないように水スプレー(あるいはそれに
近いもの)を装備する必要があります。
これはスリ
ップリング型の連続回転するパンチルト回転台
(PTH)では要注意です。洗浄液は(カメラ横の)パ
ンチルト台の上にタンクをつけて定期的に補充し
なくてはなりません。
ワイパーと水スプレーを取り付けるとオペレータ
ーがそれで遊んでしまう可能性が常にあるという
ことが経験上わかっています。そうなると余計な
補充とメンテナンスが必要となって、
ここでも赤外
線カメラシステムの運転コストを引き上げること
になります。
またレンズが本当に汚れている場合、
レンズに水をかけて離れた所からワイパーで洗
浄すると埃が層になってカメラの画像生成性能が
損なわれます。
ズにキャップをかぶせることも可能です。
いずれの場合でも高価なゲルマニウムレンズはか
き傷や損傷からしっかりと守られます。ワイパーを
使うことで(ワイパーを使ってもおそらく効果はな
いでしょうが)
レンズに傷がつくリスクはまったく
ありません。
またレンズが汚れたフリアーシステムズ赤外線カ
メラは、遠隔操作でホースを使ってすばやく洗浄
という迅速で費用効果的なソリューションによっ
て、再びはっきりと細部までよく見えるくっきりと
した赤外線画像を生成するようになります。この
点でフリアーシステムズが市場で高く評価されて
いるのです。
過酷な条件で赤外線カメラのレンズを守るよりよ
いオプション
以上述べたことから赤外線カメラにワイパーをつ
けるのは得策ではない、けっして費用効果的では
ないという結論がすぐに導き出されます。
しかし、赤外線カメラでもクリアな画像を生成で
きない、赤外線カメラのゲルマニウムレンズが傷
つかないように周囲から保護される必要がある
といった極端な状況も確かに存在します。
フリアーシステムズは赤外線カメラを過酷な気象
条件のなかにたくさん設置しています。現在数多
くのフリアーシステムズカメラが砂漠、寒帯気候、
沿岸国境等で使用されています。
では砂嵐や過酷な条件からかき傷がつかないよ
うにレンズはどのようにして守られているのでし
ょうか。
このような過酷な条件のなかに設置され
たフリアーシステムズの赤外線カメラは「パーキ
ングポジション」とよばれるものを搭載していま
す。
これは、さまざまな理由から使用していないと
きには、遠隔操作で向きを変えるたり、一時停止を
させるたりしりことで周囲から守られるというこ
とです。またレンズを守るために遠隔操作でレン
HRCの保護レンズキャップはレンズを守るために遠
隔操作でレンズの前につけることが可能です。
フリアーシステム
ズの PTZ-35x140
MSとVoyagerの両
方ともパーキング
ポジションがあり
ます。このポジシ
ョンでは高価なゲ
ルマニウムレンズ
がかき傷から守ら
れます。
赤外線カメラに関する情報は弊社までお気軽
にお問い合わせください。
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フリアーシステムズジャパン株式会社
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