3月の 税情報 - 税理士法人 平川会計パートナーズ

3月の
税情報
2012・3月号 税理士法人平川会計パートナーズ月報
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今月の税情報「中小企業法人の税務申告書に添付する財務諸表の様式の変更」
『中小企業の会計に関する基本要領』が公表され、従来の「中小企業会計指針」に代わ
るものとして、広く非上場企業に摘要される新しい会計通則がスタートします。基本要領
は、
『中小企業の実態に即した新たな中小企業の会計処理のあり方を示しているものであり、
中小企業に適用される会計通則は、中小企業の特性を踏まえ、中小企業の活性化に資する
観点からとりまとめる必要があり、経営者にとって理解し易く、作成事務が最小限で対応
可能であり、簡素で安定的なものであることを指向すべきであるとし、また現行の確定決
算主義を前提としたうえで、中小企業の実態を踏まえて法人税法の取扱いに配慮しつつ、
適切な利益計算の観点から会計基準のあり方の検討を行うことが適当である。また、会社
法に定める一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に該当するよう留意する』との視
点から纏められた新時代の会計通則であります。今後、中小企業の財務諸表の基準となり
経営状況の分析や信用度の指針になり、税務申告や銀行融資などの必然的ルールとなるこ
とが予測されます。制度がスタートするこの機会に「新しい中小企業の会計要領」を根源
的に解説いたします。
この基本要領が制定された経緯については、非上場企業、特にその大部分を占める中小
企業の会計に関する検討が行われ、平成 22 年8月に非上場会社の会計基準に関する懇談会
(企業会計基準委員会等の民間団体)、同年9月に中小企業の会計に関する研究会(中小
企業庁)の報告書がとりまとめられました。
懇談会報告書においては「一定の区分に該当する会社群に適用する会計指針は、その中
小企業に実態に即し、経営者に容易に理解されるもので、国際会計基準の影響を受けず、
法人税法に従った処理に配慮するとともに、会社法第 431 条の一般に公正妥当と認められ
る企業会計の慣行に該当するよう留意する」としています。
研究会報告書においては「中小企業の成長に資するものであるべきという点を議論の出
発点とすることが重要である」として「中小企業の会計処理のあり方は、一般に公正妥当
と認められる企業会計の慣行であって、経営者が理解でき、自社の経営状況を適切の把握
できる“経営者に役立つ会計、利害関係者と繋がる会計、法務・税務に配慮した会計、実
行可能な会計”であるべき」としています。
このような、新たな会計指針・新たに中小企業の会計処理のあり方を示す「会計ルール」
を取りまとめるべき等の方向性が示されました。これを受けて、その策定主体について、
中小企業関係者等が中心となって取りまとめ、関係省庁が事務局を務めるべきである等の
提言がされました。
研究会及び懇談会の報告書を受ける策定主体として、平成23年2月に、中小企業の会計
に関する検討会が設置されさらにこの検討会の議論を支えるものとしてワーキンググル
ープが設置され、これらの委員は中小企業関係者、会計専門家、学識経験者で構成され、
加えて金融庁、中小企業庁が事務局となり、法務省がオブザーバーとして参加しています。
ワーキンググループは、平成23年2月から9回の委員会を開催して、中小企業の実態に即し
た新たな中小企業の会計処理のあり方を検討しました。その検討結果は同年10月28日の検
討会において「中小企業の会計に関する基本要領(案)」がとりまとめられ、基本要領の
原案の公表において、広く意見を募るためパブリックコメントの手続に付すこととし、意
見募集期間を11月8日から12月7日にして意見の募集がなされ、「36の法人及び個人から合
計152件の意見」というかなりの多数の提案と詳細な指摘とがある内容のオピニオンが提
出され、この検討結果を受けてワーキンググループと検討会の会合が開催され、平成24
年1月27日の第3回検討会において「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会
計要領」という。)がとりまとめられました。
「中小企業の会計に関する基本要領」が、これらの慎重な手順を踏んで制定された事由
としては、新たな「中小企業の会計に関するベーシック・ルール」として会社法・税法の
要請事項を会計上の実務対応において、同調し上乗せした実行可能なポトムアップ処理規
定であり、わが国の中堅・中小企業 260 万社が広く利用されるための持続的な新ルールで
あるからといえます。
弊社においては、この重要な会計ルールの変更に際して、単行本を出版いたします。こ
の新時代対応の基本要領の根源的な規定について、従来適用されていた中小企業に関する
会計指針との比較を徹底して分析し、更に企業決算処理に関わる確定決算基準を規定した
強行法規であるといえる法人税法との関連を徹底して解明する視点において、その対応を
中心とした記述で編纂しています。これにより全国の中堅・中小企業とその財務諸表の作
成に関わる専門職業の方々、そして財務内容の分析が必要な官公庁、金融機関、取引関係
者の方々の「新ルール対応」への多少なりとも寄与できればとの思いを込めた解説書であ
ります。ご購入をご希望の方々は、弊社担当職員にお申し付けくだされば幸いに存じます。
また、近々において関与先皆様への講習会等も企画いたしますので是非ともご参加くだ
さいますようお願いいたします。
*参考資料として公開された「基本要領」より「様式集のうち、貸借対照表と損益計算書」
の部分を掲載いたします
「様
式
集」
貸借対照表
(平成○○年○月○日現在)
項目
(資産の部)
Ⅰ 流動資産
現金及び預金
受取手形
①
売掛金
③ 有価証券
製品及び商品
④ 仕掛品
原材料及び貯蔵品
① 短期貸付金
前払費用
⑤
未収収益
その他
② 貸倒引当金
流動資産合計
金額
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
△ ○
○○○
Ⅱ 固定資産 ・・・⑥
(有形固定資産)
建物
構築物
機械及び装置
工具、器具及び備品
土地
その他
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
(無形固定資産)
ソフトウェア
借地権
その他
○○
○○
○○
○○
③
①
⑦
②
(投資その他の資産)
投資有価証券
関係会社株式
出資金
長期貸付金
長期前払費用
その他
貸倒引当金
固定資産合計
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
△ ○
○○○
項目
(単位:円(又は千円))
金額
(負債の部)
Ⅰ 流動負債
支払手形
買掛金
① 短期借入金
未払金
預り金
⑤ 未払費用
① 未払法人税等
⑤ 前受収益
⑧ 賞与引当金
その他
流動負債合計
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○
○○○
Ⅱ 固定負債
社債
①
長期借入金
⑧ 退職給付引当金
その他
固定負債合計
○○
○○
○○
○○
○○○
負債合計
(純資産の部)
Ⅰ 株主資本
資本金
資本剰余金
資本準備金
その他資本剰余金
資本剰余金合計
利益剰余金
利益準備金
その他利益剰余金
××積立金
繰越利益剰余金
利益剰余金合計
自己株式
株主資本合計
○○○
○○
(A)
○○○
○○○
○○○
(B)
○○○
○○○
○○○
○○○
○○○
△ ○○
○○○
(E)
Ⅲ 繰延資産
開発費
○○
純資産合計
繰延資産合計
○○
○○○
資産合計
○○○
負債・純資産合計
○○○
純資産の部(A)~(K)の表記は、株主資本等変動計算書上の(A)~(K)に対応。
表中①~⑧の表記は、本要領の目次における様式集対応勘定科目を示す。
(C)
(D)
(F)
(G)
(H)
(I)
(J)
⑦
(K)
損益計算書
自 平成○○年○月○日
至 平成○○年○月○日
(単位:円(又は千円))
金額
項目
売上高
○○○
売上原価
○○○
売上総利益
○○○
販売費及び一般管理費
○○○
営業利益
○○○
営業外収益
受取利息
○○
受取配当金
○○
雑収入
○○
営業外収益合計
○○
営業外費用
支払利息
○○
手形売却損
○○
雑損失
○○
営業外費用合計
○○
経常利益
○○○
特別利益
固定資産売却益
○○
投資有価証券売却益
○○
前期損益修正益
○○
特別利益合計
○○
特別損失
固定資産売却損
○○
災害による損失
○○
特別損失合計
○○
税引前当期純利益
○○○
法人税、住民税及び事業税
○○
当期純利益
○○○(L)
当期純利益(L)の表記は、株主資本等変動計算書上の(L)に対応。
【記載上の注意】
<貸借対照表>
1. 資産の部は、流動資産、固定資産、繰延資産に区分して表示する。
2. 負債の部は、流動負債、固定負債に区分して表示する。
3. 純資産の部の株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式に区分し
て表示する。
資本剰余金は資本準備金とその他資本剰余金に区分する。
利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金に区分する。
「評価・換算差額等」や「新株予約権」に該当する項目がある場合は、純資産の部に
記載する。
4. 貸倒引当金の表示方法は3通りから選択できる。
① 流動資産又は投資その他の資産から一括控除(様式の方法)
② 引当の対象となった各科目(売掛金等)毎に控除し、表示
③ 引当の対象となった各科目から直接控除し、控除額を注記
5. 有価証券について
① 以下の2つは「有価証券」として流動資産の部に計上する。
・売買目的有価証券
・事業年度の末日後 1 年以内に満期の到来する社債等
② 子会社及び関連会社の株式は「関係会社株式」として固定資産の投資その他の資
産の部に表示する。
③ それ以外の有価証券については「投資有価証券」として固定資産の投資その他の
資産の部に表示する。
6. 有形固定資産の減価償却累計額の表示方法は3通りから選択できる。
① 償却対象資産(建物等)から直接減額し、減価償却累計額の金額を注記(様式の
方法)
② 各償却対象資産を取得原価で表示し、各科目の下に減価償却累計額を控除形式で
表示
③ 各償却対象資産を取得原価で表示し、有形固定資産の最下行に一括控除形式で表
示
7. リース取引を売買取引に係る方法に準じて処理する場合には、資産の部の固定資
産に「リース資産」を計上し、負債の部に「リース債務」を計上する。
<損益計算書>
損益計算書は売上高、売上総利益(又は売上総損失)、営業利益(又は営業損失)、経
常利益(又は経常損失)、税引前当期純利益(又は税引前当期純損失)、及び当期純利
益(又は当期純損失)を表示する。
<附属明細書>
計算書類に係る附属明細書としては、有形固定資産及び無形固定資産の明細、引当金
の明細、販売費及び一般管理費の明細等を作成する。
※ 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、附属明細書の作成に際しては、企
業の実態に応じて、適宜勘定科目等を加除・集約することができる。
以上
3
月
①23 年分所得税の確定申告
の
税
務
申告期間・・・2 月 16 日から 3 月 15 日まで
納期限・・・3 月 15 日
②所得税確定損失申告書の提出期限
提出期限・・・3 月 15 日
③23 年分所得税の総収入金額報告書の提出
提出期限・・・3 月 15 日
④確定申告税額の延納の届出書の提出
申請期限・・・3 月 15 日
延納期限・・・5 月 31 日
⑤個人の青色申告の承認申請
申請期限・・・3 月 15 日(1 月 16 日以降新規業務開
始の場合は、その業務開始日から 2 か月以内)
⑥22 年分所得税の更正の請求
請求期限・・・3 月 15 日
⑦23 年贈与税の申告
申告期間・・・2 月 1 日から 3 月 15 日まで
⑧個人の道府県民税、市町村民税、事業税(事業所 申告期限・・・3 月 15 日
税)の申告
⑨2 月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
納期限・・・3 月 12 日
⑩個人事業者の 23 年分の消費税・地方消費税の確定 申告期限・・・4 月 2 日
申告
⑪1 月決算法人の確定申告〈法人税・消費税・地方消 申告期限・・・4 月 2 日
費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税〉
⑫1 月、4 月、7 月、10 月決算法人及び個人事業者(22 申告期限・・・4 月 2 日
年 12 月分)の 3 月ごとの期間短縮に係る確定申告
〈消
費税・地方消費税〉
⑬法人・個人事業者(23 年 12 月分及び 24 年 1 月分) 申告期限・・・4 月 2 日
の 1 月ごとの期間短縮に係る確定申告〈消費税・地
方消費税〉
⑭7 月決算法人の中間申告〈法人税・消費税・地方消 申告期限・・・4 月 2 日
費税・法人事業税・法人住民税〉・・・半期分
⑮消費税の年税額が 400 万円超の 4 月、7 月、10 月 申告期限・・・4 月 2 日
決算法人の 3 月ごとの中間申告〈消費税・地方消費
税〉
⑯消費税の年税額が 4,800 万円超の 12 月、1 月決算 申告期限・・・4 月 2 日
法人を除く法人の 1 月ごとの中間申告(11 月決算法
人は 2 ヶ月分)〈消費税・地方消費税〉