2 - トリアス

大和シリーズ
YAMATO
元気な日本を応援する企業リサーチプラットフォーム
4927
2012 年 6 月 1 日
株式会社ポーラ・オルビスホールディン
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
東証 1 部
世界中の人々に笑顔と感動をお届けしたい
~創業の想いをつなぎ、一人ひとりの美しさを支える高収益グローバル企業に挑戦
【要
約】
2006 年 9 月に誕生した(株)ポーラ・オルビ
スホールディングスは、化粧品事業を中心
に、「美と健康」にかかわる事業を展開して
います。中核となるビューティーケア事業で
は、スキンケア基幹ブランドの POLA(ポー
ラ)と ORBIS(オルビス)のほか、複数の特
徴ある育成ブランドを展開しています。また、
その研究開発・生産は、主に、アンチエイジ
ングやホワイトニングの基盤技術に強みを
持つポーラ化成工業(株)が担っています。
その生い立ちは、1929 年に静岡で起業した
ポーラ創業者 鈴木忍氏の、「最上のものを
一人ひとりにあったお手入れとともに直接
お手渡ししたい」との想いにさかのぼります。
この想いこそが、「個の尊重」、「最上のホスピタリティ」、「その先の高品質」という、基幹ブランド POLA が
最も大切にする価値観の原型です。
ポーラ・オルビスグループは、現在、「世界中の人々に笑顔と感動をお届けしたい」とのグループ
理念を掲げ、高収益グローバル企業を目指し、様々な取り組みを進めています。創業家 3 代目で、
ポーラ・オルビスホールディングス代表取締役社長の鈴木郷史氏は、持株会社移行以前より、
基幹ブランドの再構築に着手しました。また、2006 年の持ち株会社移行を契機に、育成ブランドの
開発を加速させるとともに、2011 年 7 月には、海洋由来成分のスキンケア化粧品に強みを持つ米
国 H2O PLUS グループを、本年 2 月には、オーガニックコスメのパイオニア的存在の豪 Jurlique
グループを傘下におさめるなど、国内外のブランドによるポートフォリオの充実を図っています。
このように、国内事業の強化、ブランドポートフォリオのグローバル展開などの施策を通じ、ポーラ・オ
ルビスグループは、2020 年目標のグループ経営指標、売上高 2,500 億円以上、海外売上高比率
20%以上、業界トップクラスの営業利益率 13~15%の達成を目指し、規模・質ともに大きく飛躍するた
めの取組みを本格化しています。
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容・意見は当該
説明会時、ならびに/あるいは取材時における判断であり、今後、事前の連絡なしに変更されることもあります。 投資に際しての最終決定は投資家の皆様ご自身
の判断と責任においてなされるようお願いいたします。
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ポーラ・オルビスグループの歩み
創業の想いを
創業の想いを具現化した基幹ブランド、
想いを具現化した基幹ブランド、POLA
具現化した基幹ブランド、
自ら化粧品を手づくりし、「最上のものを一人ひとりにあったお手入れとともに直接お手渡ししたい」とい
う想いを具現化するため、ポーラ創業者の鈴木忍氏は、お客さまを直接訪問する販売形態を採った。
そして 1940 年、現在ポーラ・オルビスグループの研究開発と生産を担うポーラ化成工業(株)(以下、
ポーラ化成)の母体を、1946 年には、基幹ブランド POLA を展開する(株)ポーラ(以下、ポーラ)の
母体をそれぞれ設立した。その後、ポーラレディによる訪問販売のための全国ネットワークを徐々に
拡大するとともに、個々のお客さまにとって最上のものづくりを行うための研究開発・生産基盤を構築し
ていく。
1980 年代に入ると、日本経済の高度成長に支えられ、国民の生活水準は大きく向上する。それに伴い、
女性の「美しさ」に対するニーズも拡がった。このような流れの中でポーラは、1981 年、化粧品事業に
加え、ファッション事業に参入し、事業ドメインを拡大するとともに、1989 年には、POLA ブランドの新た
なチャネル展開として、百貨店業態を開拓する。
第 2 の基幹ブランド、ORBIS
の立ち上げ
の基幹ブランド、
この時期、女性の働き方やライフタイルが大きく変わり、在宅率の低下が見られるようになり、従来の
訪問販売というビジネスモデルだけでは、新たなお客さまに出会い、成長することが困難になってきた。
このような市場変化に対し、ポーラは、創業家 2 代目社長の鈴木常司氏の時代であった 1984 年、オイ
ルカットをコンセプトとしたス
キンケアブランド、ORBIS を
立ち上げる。そして、中間価
格帯のミドル市場における全
国展開を実現するため、業
界他社に先駆け、カタログ通
販という販売形態を採用した。
その際、POLA ブランドと明
確に差別化するために、あえ
て POLA ブランドを使わない
展開を行った。
ORBIS の通販システムは、
通販開始当時の、「通販は
不便なもの」という世間一般
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容・意見は当該
説明会時、ならびに/あるいは取材時における判断であり、今後、事前の連絡なしに変更されることもあります。 投資に際しての最終決定は投資家の皆様ご自身
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の基本認識をもとに構築されてきた。この流れの中で ORBIS は、受注からお客さまへの商品配送、代
金回収、アフターサービスにいたるまで、通販における非常にレベルの高いトータルマネジメントのノウ
ハウを積み上げていく。それらの蓄積にもとづき、ネット販売についても、1999 年という早い時期にスタ
ートさせることができた。
育成ブランドを通じた市場開拓
育成ブランドを通じた市場開拓
1992 年、一般流通チャネル向けブランドとして、pdc がスタートする。その後、TV 通販専門のフューチ
ャーラボへの資本参加を皮切りに、ポーラ・オルビスグループでは、decencia(ディセンシア)、
ORLANE(オルラーヌ)、THREE(スリー: ACRO 社)といった育成ブランドを次々と発売する。
嗜好品である化粧品の市場
では、その成熟とともに、ユ
ーザーニーズが細分化する
との基本認識のもと、いず
れのブランドも、どのような
ユーザー層に、どのような
機能やブランド価値を持っ
た商品を、どの価格帯の市
場で、どのように販売する
か、という総合的な観点か
ら開発されている。このよう
なブランド開発を通じ、次期
成長に向けてのブランドポ
ートフォリオの構築が進めら
れている。
化粧品市場におけるポーラ・オルビスグループのポジショニング
スキンケア化粧品の市場動向
経済産業省の生産動態統計データによると、2011 年の日本の化粧品販売金額は、1 兆 4,000 億円であ
った。【グラフ 1】にあるとおり、2005 年から 2008 年にかけ、1 兆 5,000 億円前後で推移していた市場規
模は、リーマンショック後、その水準を切り下げるが、その間も、ポーラ・オルビスグループの主力市場で
あるスキンケア化粧品の販売金額は比較的安定して推移した。その結果、化粧品販売に占めるスキンケ
アセグメントのシェアは、2005 年以降の 43%台水準から、2010 年以降、45%弱の水準に切り上がってき
ている。
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容・意見は当該
説明会時、ならびに/あるいは取材時における判断であり、今後、事前の連絡なしに変更されることもあります。 投資に際しての最終決定は投資家の皆様ご自身
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【グラフ 1】
】 国内化粧品市場の販売動向
(百万円)
スキンケア
スキンケア以外
スキンケア構成比
1,500,000
100.0%
1,200,000
80.0%
60.0%
900,000
43.6%
41.0%
44.6%
43.8%
43.9%
43.1%
43.9%
43.8%
44.9%
44.6%
600,000
40.0%
300,000
20.0%
0.0%
0
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
出所: 経済産業省生産動態統計データを基に(株)トリアスにて加工
ポーラ・オルビスグループのポジショニング
このような市場環境において、【表 1】にあるとおり、ポーラ・オルビスグループは、化粧品売上高ベース
で、国内総合第 3 位となっている(2011 年度実績比較)。また、同じく、化粧品事業における営業利益
率は、(株)コーセーに次ぎ、第 2 位の水準にある。
【表 1】
】 2011 年度実績に基づく主要化粧品メーカーの事業規模比較
総合
(株)資生堂
花王(株)
(株)ポーラ・オルビス
ホールディングス
(株)コーセー
4911
4452
4927
4922
決算期
12/3月期
12/3月期
11/12月期
12/3月期
化粧品売上高
673,467
537,937
141,453
125,385
37,671
15,411
11,192
13,253
5.6%
2.9%
7.9%
10.6%
国内化粧品事業
グローバル事業
ビューティケア事業
ビューティケア事業
における化粧品事業
化粧品事業
証券コード
(単位: 百万円)
同事業利益
(単位: 百万円)
同事業利益率
(内部消去前)
備考:
対象事業
出所:各社開示データから(株)トリアスにて作成(売上高については、外部顧客への売上高)
基幹ブランド POLA、ORBIS が属する流通業態である訪問販売と通販については、【表 2】にあるとおり、
訪問販売業態においてポーラが国内トップ、通販業態では、オルビス(株)(以下、オルビス)が国内第
3 位となっている。
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容・意見は当該
説明会時、ならびに/あるいは取材時における判断であり、今後、事前の連絡なしに変更されることもあります。 投資に際しての最終決定は投資家の皆様ご自身
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【表 2】
】 訪問販売・通販業態での主要企業比較
訪問販売
(株)ポーラ
日本メナード
化粧品(株)
(株)ノエビア
ホールディングス
エイボン・
プロダクツ(株)
証券コード
4927
非上場
4928
非上場
決算期
11/12月期
11/3月期
11/9月期
10/12月期
売上高
97,353
54,360
24,581
16,967
(単位: 百万円)
1,311名
従業員数
1,100名
(2011年12月末現在)
131名(連結1,931名)
444名
(2012年3月末現在)
(2011年11月末現在)
(株)ディーエイチシー
(株)ファンケル
オルビス(株)
(株)ドクター
シーラボ
非上場
4921
4927
4924
決算期
11/7月期
12/3月期
11/12月期
11/7月期
売上高
103,176
88,165
47,918
36,233
通販
証券コード
(単位: 百万円)
2,790名
従業員数
721名
(2011年10月21日現在)
1,215名
(2011年12月末現在)
連結:695名/単体:628名
(2012年1月末現在)
出所:各社開示データから(株)トリアスにて作成
基幹ブランド、POLA
の特徴と強み
基幹ブランド、
ポーラの創業の想いを具現化した独自の価値に、「個の尊重」、「最上のホスピタリティ」、「その先の高
品質」がある。創業の想いが、ビジネスモデルや事業基盤にどのように展開されているかについて、以
下にまとめてみたい。
「個の尊重」
ポーラでは、創業者が提唱したお客さまに対する基本姿勢、「喜ばれることに喜びを」のもと、ポーラ支
店長、ポーラ所長、その傘下に属するポーラレディたちが、お客さま一人ひとりの「きれい」に対するニ
ーズに責任をもって関わる、「個を尊重」した販売姿勢を堅持している。
創業者の想いを継承・共有し、お客さま一人ひとりのきれいを支えるポーラレディによる販売体制の特
徴は、POLA ブランドや商品の価値を十分に理解し、かつロイヤルティ、モチベーション共に高いネット
ワークであること、またその体制が数十年以上にわたり維持できていることにある。
90 歳を超えるポーラ所長が今も現役で活躍するこのネットワークは、ポーラの社員による組織ではなく、
販売委託契約に基づく個人事業主のネットワークとなっている。現在、13.5 万人強のポーラレディを約
4,500 人のポーラ所長が統括し、その営業所組織を、約 160 人のポーラ支店長がとりまとめている。ポ
ーラ所長は月商 150 万円、ポーラ支店長は月商 1,000 万円の組織を束ねており、ビジネス的な視点や
力を兼ね備えた販売ネットワークとなっている。
このような個人事業主のネットワークを長期に結束できている背景には、ポーラ本体とポーラレディ・
ネットワークとの間の密なコミュニケーションがある。現在、ポーラでは、全国を 24 エリアに分割し、それ
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
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ぞれのエリアにポーラの社員がスタッフとして配置されている。この出先機関のリーダー、スタッフが、
営業動向やその課題などについて、ポーラレディを統括するポーラ支店長やポーラ所長と常日頃から
話し合い、事業を展開している。
「最上のホスピタリティ」
最上のホスピタリティ」
「美しくなることを販売し、商品を奉仕せよ。」という代々受け継がれた言葉にあるとおり、ポーラレディに
よる販売は、カウンセリングを通じてお客さまにあった最適な商品を提案すること、すなわち「最上のホ
スピタリティ」の提供で、単なる商品販売ではない。付加価値としてエステサービスを加えているのも、
「最上のホスピタリティ」を追求する考え方を具現化したものだ。
ポーラでは近年、従来型訪問販売(以下、従来型訪販)に加え、カウンセリング、化粧品、エステサービ
スを融合したポーラ ザ ビューティ(以下、PB)という店舗型チャネルによる販売が拡大している。11/12
月期末現在、PB 店舗は、前期比 33 店舗増の 533 店舗となり、【グラフ 2】にあるとおり、すでに店舗型
販売が従来型訪販を上回った。この結果、長年減少傾向にあった営業所数が 10/12 月期に底打ちした。
PB 店舗数の拡大につれ、11/12 月期から増加に転じた営業所数は、期末時点で前期比 31 拠点増の
4,553 拠点となっている。
【グラフ 2】
】 ポーラ販売チャネル別売上構成比の推移
(構成比)
PB(ポーラザ ビューティ)
エステイン
従来型訪販
100%
80%
30%
30%
50%
60%
40%
40%
40%
20%
20%
40%
50%
20%
30%
40%
0%
05/12月期
08/12月期
10/12月期
13/12月期(計画)
PB 展開の成果で、お客さま層にも変化が出始めた。高齢化の影響で、従来型訪販が減少傾向にある
一方、PB 展開を通じ、20-30 代のお客さま層が拡大し、平均年齢が若返っている。この結果、お客さま
数が安定的に推移するとともに、若手ポーラレディの登録も増加傾向にある。
ただし、こういった店舗型販売を通じた展開は、ポーラの原点である訪問販売の在り方を変えているわ
けではなく、女性のライフスタイルの変化やニーズの細分化に対応する形で、「最上のホスピタリティ」
の提供の仕方やチャネルが変化している結果にすぎない。
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
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とはいえ、外部環境の変化に応じ、ビジネスモデルをこのように柔軟に変化させるのは簡単なことでは
ない。これを可能としているのは、長期にわたり維持されてきた、ロイヤルティ、モチベーション共に高く、
「お客さま一人ひとりのきれい」を支えるポーラレディたちのネットワークがあるからで、販売チャネルが
いかに変化しようとも、「個の尊重」と「最上のホスピタリティ」の質を維持できるこの体制は、ポーラの強
みであり、同業他社との大きな差別化につながっている。
「その先の高品質」
“サイエンスに裏付けられた驚きと感動の美しさ”を追求するポーラの独自価値、「その先の高品質」
は、長年、POLA ブランドの研究開発・生産を担ってきたポーラ化成に支えられている。現在、ポーラ化
成は、POLA ブランドのみならず、ORBIS を含む国内ブランドに対し、3,000 種以上の化粧品と健康食
品を自社生産・提供し、ポーラ・オルビスグループの研究開発・生産の重要な基盤となっている。
ポーラ化成の強みは、科学的な知見に基づき、肌に有効性が高い成分を見つけ出す能力にある。約
250 名の研究員が基盤研究を含む研究開発を担い、国内外での特許出願はもちろん、グローバルな
学会報告や国際専門誌への論文投稿などを積極的に行っているが、特に、アンチエイジングやホワイ
トニング分野において、大胆でユニークな開発を行っている。
たとえば、同社を代表する開発事例に、医薬部外品のルシノール®という美白成分があるが、その高い
有効性は市場でも広く認知されている。この成分の開発に当たっては、数百種類という莫大な植物エキ
スの検証を通じ、シベリアのモミの木に含まれる成分に高い美白効果があることを発見した。そのうえ
で、その成分に改良を加え、メラニンを生成する酵素であるチロシナーゼの効果を抑制する構造を開発
した。メラニン生成のメカニズムに関する研究は他社も行っているが、ポーラ化成はさらに、それを抑制
するために必要な有効成分を探し出した。
また、ポーラ化成には、ポーラのカウンセリングを通じ、収集された 1,300 万件を超える肌データが蓄
積されている(2012 年 1 月現在)。このデータをもとに、最先端の肌分析技術を駆使し、「未来の肌」を
予測し、お客さま一人ひとりの自分だけの商品づくりにつなげている。
このように、ポーラ化成は、基盤技術開発はもちろん、化粧品を製品としてきちんと配合する、処方、製
剤化のための研究開発や安心・安全な商品開発のための品質開発、健康科学的な研究にいたるまで、
幅広い開発・生産事業基盤の構築・強化に取り組んでいる。
2020 年: 高収益グローバル企業に向けた挑戦
基幹ブランドの安定収益確保に向けて
基幹ブランドの安定収益確保に向けて
現在、ポーラ・オルビスグループの代表を務める鈴木郷史氏は、2000 年 1 月にポーラの代表取締役社
長に就任した際、「一人ひとりのニーズに応えることこそポーラの原点である」と、創業の想いを新たに
し、「カウンセリング ファースト」という言葉をコーポレートメッセージとして定めた。この頃から、ポーラ
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
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の事業展開が大きく変わり始める。まず、選択と集中に着手し、訪問販売モデルの再生に向けた取組
みを開始した。前述のとおり、従来の訪問販売モデルから、店舗でのエステを活用した、カウンセリング
や化粧品などを組み合わせた販売モデルへの移行が始まり、2005 年、その流れの中で PB(ポーラ
ザ ビューティ)がスタートした。ホリスティック(holistic)という、肌・こころ・からだのつながりを大切にし
た美と健康の考えから、ポーラでは、化粧品、健康食品、エステティックにいたる、総合的な提案を可能
としている。
一方、1980 年代にスタートした通販ブランド ORBIS は、存在感のある規模に育ったものの、時間の経
過とともに、ユーザーの年齢層が変化し、そのニーズも変化していった。こういった市場変化に対する
施策として、オルビスでは、息長く商品を愛用していただくためにオイルカットというコンセプトにエイジン
グケアの要素を加えるなど、高付加価値化を図り、ブランドの再構築を進めている。
また、流通インフラについても、本年 2 月、西日本に流通センターを開設し、全国東西をカバーする体
制を構築した。現在は、全国一律、翌日配送を可能とする仕組みづくりが進められており、今秋をめど
に稼働予定である。
グループの強みを活か
グループの強みを活かす
強みを活かす海外展開
基幹ブランドの再構築を通じ、安定収益の確保に取り組むポーラ・オルビスグループは、その成果による
キャッシュフローをもとに、グループ
事業のグローバル化を推進してい
る。
具体的には、現在のブランドポート
フォリオを基盤に、10 年後を見据え、
流通と研究開発におけるシナジー
創出を目指している。ポーラ化成が
保有する 1,300 万件以上の肌デー
タを活用したグローバルな事業展
開も視野にあり、日本人の肌質に
近い東アジアを戦略的市場と位置
付けている。グローバル化に向けて
はまず、POLA ブランドによる中国
での組織型販売と ORBIS ブランドによるネット販売に着手している。このほか、ロシア・周辺地域での
POLA ブランドのカウンセリング販売も行っている。
2011 年から 2012 年にかけて買収した海外ブランド、H2O PLUS と Jurlique についても、2 社が従前より
展開してきた欧米などの既存市場に加え、東アジアでの市場開拓を加速している。両社とも、海洋、オー
ガニックといった自然素材を活用したスキンケア商品であることが評価され、中国の富裕層を中心に販売
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容・意見は当該
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が拡がっている。東アジアでの事業展開を一層強化するとともに、今後は、研究開発領域で、日本の技
術開発を担うポーラ化成との連携を進める計画だ。
日本のものづくり、日本のホスピタリティをブローバルに展開
ポーラ・オルビスグループは、11/12 月期より、「世界中の人々に笑顔と感動をお届けしたい」との企業
理念のもと、グローバル高収益企業を目指す経営計画を推進している。前述のとおり、国内市場での
安定的成長を基盤に、基幹ブランドを中心とした東アジア展開、M&A やアライアンスを通じたグローバ
ルブランドの国内外での展開を通じ、2020 年を目途に、売上高 2,500 億円以上、海外売上比率 20%
以上、業界トップの営業利益率 13-15%の達成を目指す。
日本人の心が支える、「お客さま一人ひとりのきれい」のためのものづくり・ホスピタリティを事業基盤に
持つポーラ・オルビスグループ。1929 年のポーラ創業以来、創業者の想いを今につなぎながらも、市
場の変化とともに変わり続ける同グループが、次世代の成長に向けて、グローバルな市場開拓に挑戦
するこれからに期待したい。
以下、ご参考まで、5 月 1 日付会社発表の 12/12 月期 連結業績予想を掲載いたします。
【表 3】
】 12/12 月期 連結業績予想・セグメント別予想の概要
連結業績予想・セグメント別予想の概要
11/12月期
12/12月期 予想
(百万円)
上半期
下半期
上半期
下半期
78,937
87,720
166,657
86,400
95,600
182,000
営業利益
5,534
7,319
12,853
4,700
9,100
13,800
経常利益
5,962
7,360
13,322
4,900
9,400
14,300
当期純利益
2,989
5,050
8,039
2,000
5,000
7,000
売上高
(百万円)
ビューティーケア事業
売上高
営業利益
営業利益率
不動産事業
売上高
営業利益
営業利益率
その他
売上高
営業利益
営業利益率
調整額
営業利益
通期
11/12月期
実績
構成比
154,778
92.9%
10,787
83.9%
7.0%
n.a.
3,089
1.9%
1,283
10.0%
41.5%
n.a.
8,790
5.3%
501
3.9%
5.7%
n.a.
280
2.2%
通期
12/12月期
予想
構成比
170,200
93.5%
12,100
87.7%
7.1%
n.a.
2,900
1.6%
1,100
8.0%
37.9%
n.a.
8,900
4.9%
300
2.2%
3.4%
n.a.
300
166,657
100.0% 182,000
12,853
100.0%
13,800
営業利益率
7.7%
n.a.
7.6%
※2012年12月期予想は、2012年5月1日発表の会社予想
各セグメント別売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
合計
売上高
営業利益
対前年同期
増減額
増減率
15,422
10.0%
1,313
12.2%
-
-
△ 189
-6.1%
△ 183
-14.3%
-
-
110
1.3%
△ 201
-40.1%
-
-
2.2%
20
7.1%
100.0%
100.0%
n.a.
15,343
9.2%
947
7.4%
-
-
このメモは投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。このメモに記載されている内容は、信頼
できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性・完全性を保証するものではありません。また、ここに記載された内容・意見は当該
説明会時、ならびに/あるいは取材時における判断であり、今後、事前の連絡なしに変更されることもあります。 投資に際しての最終決定は投資家の皆様ご自身
の判断と責任においてなされるようお願いいたします。
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大和シリーズ
YAMATO
2012 年 6 月 1 日
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連結主要指標と連結業績の推移
連結主要指標と連結業績の推移
発行済株式数(株)
うち自己株式数(株)
時価総額(百万円)
1株当純資産(円)
ROE(%)
ROA(%)
2011.12月
2011.12月
2012.6.1
2011.12月
2011.12月
2011.12月
PER(倍)
PCFR(倍)
PBR(倍)
株価(円)
単元株数(株)
日々平均出来高(株)
2012.12月予
2012.6.1
2012.6.1
2012.6.1
2012.6.1
2012.6.1
(百万円)
連 結
売上高
2008年12月期
2009年12月期
2010年12月期
2011年12月期
予2012年12月期 上半期
予2012年12月期 通期
170,838
162,332
165,253
166,657
86,400
182,000
57,284,039
2,000,000
124,306
2,839.36
5.2
4.2
17.1
9.3
0.8
2,170
100
145,793
営業利益
10,868
9,706
12,270
12,853
4,700
13,800
総資産(百万円)
自己資本(百万円)
有利子負債(百万円)
自己資本比率(%)
有利子負債比率(%)
フリーキャッシュフロー(百万円)
2011.12月
2011.12月
2011.12月
2011.12月
2011.12月
2011.12月
193,027
156,971
1,500
81.3
1.0
10,957
注:ROE=当期純利益÷期末自己資本
ROA=当期純利益÷期末総資産
PCFR=時価総額/(当期純利益+減価償却費)
日々平均出来高=過去1年間の平均
有利子負債比率=有利子負債÷自己資本
フリーキャッシュフロー(FCF)=営業CF+投資CF
経常利益
9,371
10,372
12,247
13,322
4,900
14,300
純利益
6,559
4,059
7,086
8,039
2,000
7,000
1株益(円)
127.91
79.16
137.36
145.43
36.18
126.62
1株配(円)
20.00
20.00
40.00
45.00
25.00
50.00
注: 2012年12月期予想は、2012年5月1日発表の会社予想
株価チャートと RSI
(円)
3,000
300
株価終値
1ヶ月移動平均
3ヶ月移動平均
RSI 14日移動平均 (右目盛)
2,500
250
2,000
200
1,500
150
1,000
RSI
100
70
500
50
30
0
0
出所: BloombergのデータをもとにTrias作成
注: RSI(Relative Strength Index)とは株価の「買われ過ぎ度」や「売られ過ぎ度」を指数で表したもの
一般的にRSIが70を超えると高値圏、30以下では安値圏に位置していると言われている
RSI= N日間の値上がり幅平均÷(N日間の値上がり幅平均+N日間の値下がり幅平均)x100
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