人的資源管理における小集団管理

人的資源管理における小集団管理
5198018 伊庭 智之
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目次
はじめに
第1章 人的資源管理の意義
1、人的資源管理とは
2、人的資源管理と人事,労務管理との違い
3、人的資源管理の特徴
第2章 小集団管理
1、日本における小集団管理導入の背景
2、品質管理とは
3、QC サークルとは
4、QC サークル導入にあたって
5、QC サークルの進め方
6、QC サークル活動の発展
第3章 小集団管理の積極的効果と限界
おわりに
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はじめに
今日の日本の社会は、不景気やパソコンの普及により情報が飛び交う情報化社会という
ふうに大きな変革期を迎えている。このような時期、今一度企業とは何か。労働とは何か
を見つめなおし。企業は労働をどのように扱い、労働者はどのようにしていけば楽しく労
働できるかを解明するため人的資源管理、とくに小集団管理というテーマに取り組むこと
にした。
内容については、第1章では、人的資源とは何かを。第2章では、主に QC サークル(小
集団管理の管理手法の一つ)とはどういうもので、実際にはどういうふうに進めていくか
などを解明し。第3章では、小集団管理を取り入れた効果、限界とは何かを述べています。
第1章 人的資源管理の意義
1、人的資源管理とは
企業内には、物質的資源,人的資源,金銭的資源,情報資源などの資源がある。変革期
を迎えている近年、
「耐えざる技術の変化」、「人間の意識と行動の多様化の時代」、「高度組
織社会」といった現代社会の特徴が明らかになるに従って、従業員を「人的資源」として認
識する考え方の重要性が高まった。つまり、「組織にとって人間は最大の資産」あるいは「環
境に適応すべく組織の変革を担うのは人間」という考え、つまり、人的資源であるという
考え方が高まった。
従来、人的資源を対象に研究したものを人事・労務管理と呼ばれていたが、経営資源の
研究対象が拡大されることにより最適配分を目指す経営戦略の立場から人間,組織をとら
えた場合、人的な「経営資源」を対象とする意味で「人的資源管理」の名称の方がふさわ
しいと考えられる。では、人的資源管理と人事・労務管理とはどのように違うのでしょう
か。それを次で検討していきます。
2、人的資源管理と人事・労務管理との違い
人事・労務管理は、「制度面」を研究対象としてきたが、人的資源管理は、それらの諸制
度が企業経営の全体のなかでどのような役割をし、経営戦略にいかに結びついているかに
注目したものである。人的資源管理をシステムとしてとらえた場合、経営管理のサブ・シ
ステムであると同時に経営戦略のサブ・システムでもあるのです。人的資源の基本は、
「事
業の戦略とそれを実現するための組織の構造」と「組織の文化形成とその継続的な変更」
にある。この上にたって、個々人の能力が最大限に活かせるように施策を講じられる点に
おいても、従来の人事・労務管理と異なる点である。また、人的資源管理論は、労務管理
論と違い労使対立の色彩を除いて、労働者を人間的に扱っていくことよって能率を高めよ
うとしている。
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3、人的資源管理の特徴
人的資源という言葉は、経営の現場において色んなバラエティにとんで使われているが、
企業が注目している人的資源管理のテーマは「人間のもつ顕在的,潜在的能力が、その主
体性に基づいて、十二分に掘り起こされ、活用される」ということである。要するに、人
の持っている能力を見つけ、また目覚めさせ、十二分に活用しようということである。そ
のためには、個々人を悩ませたり、将来に不安を感じたりする環境などの問題が解決され
なければならない。
人的資源管理からの経営者の目は、「従業員をより激しく、より能率的に働かせる」と言
うよりも「従業員自身がそのように自らの態度と行動を変容してくるような事業戦略と組
織作り」に向けられることになる。人件費を絶対的に抑えることよりも、人的資源の開発,
活用を通して、組織がより効果的な事業の展開とより大きな利益を得ることに強い関心が
ある。ここに、人的資源の大きな特徴がある。
今日では、経営環境のみならず組織構造も流動的である。従来の職務要件と職務遂行能
力との静態的な対応ではなく。むしろこのような経営条件の変化に耐えうる勤労者を選び、
また適応できるように人的資源の潜在能力を引き出し、環境,組織へのフレキシブルな適
応能力を高めることが人的資源管理の課題である。
本論文では、人的資源管理におけ、小集団管理と言われる管理手法に注目していきたい
と思います。
第2章 小集団管理
1、日本における小集団管理導入の背景
今日、多くの労働者が資本家の経営する企業あるいは工場に集められる。しかし、一つ
の場所に集められてはいるが、それぞれの活動は、分業,協業が行われ、労働の社会的生
産力が発展するのであるが、その労働の間では、共同活動が行われていたわけではない。
このような生産活動の中で生産力が発展し、集中する労働者の数が増加していき、増加
した労働者をコンヴェアー・システムのような機会体系が支配していく形になってくる。
つまり、労働の速度や労働そのものが人間主体というより、機会体系によって強制される
ようになってきた。
人間は、自分で労働対象を変革させ、利用し生きがいを探し働く生き物である。しかし、
資本主義社会では、生産する労働者が変革目標を決定するのではなく、資本家,経営者が
決定する。しかも、生産活動の成果は労働者の所有になるのではなく、労働力を購入した
資本家,経営者の所有物になる。つまり、労働者は、生産目標も生産の成果からも疎外さ
れることになる。それゆえに、生産活動は労働者にとって賃金を得ることでしか主体的に
労働意欲が燃やせなくなった。
しかし、労働がさらに発展し、生産過程が個々の労働者ではなく、集団的に生産が完成
していくようになると、労働者個々人のインセンティブだけでなく、集団としてのインセ
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ンティブが重要になるとともに、先に述べたせ生産目標,生産の成果からの疎外も解決し
ていかなければならない。
そこで、出来たのが労働者集団を小集団に分け、課題の解決方法などの一定の権限を委
譲することによって、生産過程で必要と思わせることによって、疎外感を少しでもなくし、
疎外現象を解決しようとしたのである。また、集団として扱うことにより能率を高めよう
としたのである。現代、大企業のような巨大な組織になれば、組織への帰属感が薄れるが、
小集団に分けることによって、小集団への帰属感を増大させ、その小集団への管理を強化
すれば、多くの従業員を企業に引きつけることになる。そして、小集団間で競争ができれ
ば、相互監視が発展し、従業員が活気づくのである。これが日本における小集団管理が導
入された背景である。
今日、日本の大企業では QC(Quality Control)サークル・ZD(Zero Defects)運動・
自主管理活動などの小集団管理がある。本論文では小集団管理の主要形態である QC サー
クルを取り上げ実際どのような活動するかを論じていきたい。
2、品質管理とは
QC サークルについて述べる前にその基本となる品質管理について述べたいと思います。
・品質管理の定義とは
「買手の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系。
近代的な品質管理は、統計的な手段を採用しているので、とくに統計的品質管理(Statistical
Quality Control)ということがある」
要するに消費者が満足して買える品質の製品を開発,設計,生産,販売,アフターサー
ビスをし、満足してもらうことを、企業全体としてやるということである。また、品質とい
うことを言葉はサービスや仕事の質のことも指すのである。これを管理することが品質管
理という。
3、QC サークルとは
まず、QC サークルができたのにはどんな背景があるのだろうか。それは戦後の日本企業
にまで戻ります。
戦後に日本企業は師弟関係があり、修行期間に多くの時間を費やし,大量生産の点を見
れば欧米諸国に大きな遅れをとっていて、
「安いけど、悪い」と影口も叩かれていた。そん
な時、1950年にアメリカから SQC(統計的品質管理 Statistical Quality Control)とい
う手法がやってきた。SQC とは品質のバラツキを数量的に表したり、それを比較するなど
し不良品を出さないように対策をし製品をつくることである。このときから検査によって
不良品を取り除くという考えより不良品を作らないという考えが重要視されるようになっ
てきた。SQC はやってくると同時に日本の多くの企業に広められた。しかし、管理方法は
QC 専門家のスッタフがするので管理は完璧だとしても、現場のスタッフが不良品を無くそ
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うという意思がなければ完全には不良品がなくなることはありませんし、管理者と現場と
の溝も出来てしまいます。そんな中で現場のスタッフが自ら興味を持って品質管理を勉強
する方法はないかという考えから1962年4月に日本全国の工場で働く職長さんがわか
りやすく品質管理を勉強してもらえるようにと「現場と QC」を発行したのである。現在の
「QC サークル」誌(昭和63年に「QC サークル」と改名)がそれに値します。この雑誌
で各社の QC サークルの活動状況を紹介した『現場討論会』という企画を掲載すると、そ
れをきっかけに全国に QC サークルを作ろうという動きが出てきたのです。
このようにして日本の品質管理は一部のスタッフによる SQC に現場で働くスタッフの
QC サークルを合わせ、会社で働く全社員が品質管理を行なう TQC(Total Quality Control)
を築き上げ,戦後の「安いけど、悪い」の時代から「安くて良い品質」へと変わっていっ
たのである。
・QC サークルとは、
「同じ職場内で品質管理活動を自主的に行なう小グループのことであり。そして、この小
グループは、全社的品質管理活動の一環として自己啓発、相互啓発を行ない、QC 手法を活
用して職場の管理、改善を継続的に全員参加で行なうのである。
」
・QCサークルの基本理念は
「1,企業の体質改善、発展に寄与する。
2,人間性を尊重して、生きがいのある明るい職場を作る。
3,人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出す。
である。
」
1,は品質,生産性改善による経済効果。つまり、生産管理機能を。2,3,は、労働
者の能力及びモラールの向上、理想的な人間の関係の構築による間接的組織効果。つまり、
労務管理機能を期待している。QCサークルは、本来、生産管理機能を期待して導入され
たが、時代が進むにつれて労務管理機能が重視されるようになってきた。しかし、経営者
の立場に立つと生産管理機能、労務管理機能の両方の機能が最大限に発揮される方が望ま
しい。では、どのようにすれば両方機能させられるのでしょうか。検討していきます。
まず、しなくてはいけないことは、労働者が QC サークルに参加することです。参加しな
くては QC サークル活動は成り立ちません。基本的に QC サークルに参加することは自主
性に任せているが、日本企業における QC サークルの参加率はかなり高いのである。では、
なぜ高いのか。それは、日本の社会に関係がある。日本の社会では現場で上からそして横
からのプレッシャーがかかるのである。
上からのプッレシャ―とは、人事考課に関係がある。QC サークルとは自主的活動なので
人事考課の対象とは考えにくいが、やる気や勉強熱心といった査定しにくい要素の一つと
して QC サークルへの取り組みが査定の対象になる可能性がある。さらに仕事そのもので差
をつけにくいのため人と異なるところに査定の目がいきやすいことを考えれば、労働者に
とって QC サークルに消極的なのは査定に良くないということは明らかなのである。そし
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て、管理、監督者も部下の QC サークルの取り組み具合を査定されているので上司も QC
サークルに参加するよう進めるのである。
横からのプレッシャ―とは、日本の職場が集団的職場編成であることに関係する。QC サ
ークルとは、通常,職場集団を母体として編成している。基本的に集団が持っている性質
とは、仲間を保護し仲間意識を作り出す。一方、集団内で作られた基準や規範に同調する
ようにメンバー個々人に圧力をかけるという側面を持っている。同調しない者には厳しい
制裁が加えられる。こうした集団の性質を考えると QC サークルへの不参加は困難である。
なぜなら、不参加は職場の同僚に迷惑をかけることになり、それを許さない職場集団から
の圧力がかかってくるからである。それでも参加しない人は同僚からの社会的制裁が加え
られる。
このように上からと横からのプレッシャーにより日本の企業では QC サークルに参加す
ることは、ほぼ義務づけられるのである。しかし、参加するだけでは、生産管理機能,労務
管理機能を最大限に発揮することは出来ません。では次に最大限に発揮する仕組み,工夫
とは一体何かについて検討していきます。
QC サークルは、基本的に自習活動なので活動テーマもサークルに任せられるのだが、そ
の時々の企業の必要性に応じて選択する傾向がある。まず、職制が直接介入してくる。だ
が度重なる職制の介入は自主活動が建前のため矛盾を来たし、ひいては労働者のやる気を
なくさせること結果となる。しかし、実際はあまり介入を必要としない。なぜなら、方針
管理の徹底により日常の業務目標を明示し、QC サークルの活動を通して学習することによ
って、経営ニーズに沿ったテーマを設定するからである。しかし、そのようなテーマだけだ
と自主的に決めたといえやる気をなくしてしまう。そこで技能習得,安全性の確保や労苦
の軽減といったテーマも容認している。このように、経営者のニーズの沿ったテーマとそこ
から離れたテーマの両方を容認することによって QC サークルの活動を活性化するのであ
る。
では次に労働者のやる気を起こさせるにはどうしたらいいだろうか。それは、金銭的な
もの、非金銭的なもの、サークル活動に内在するものに分けられる。
金銭的なものとしては、活動の諸手当と提案制度による報奨制度がある。諸手当の制度
は、サークルの活動が仕事の一部と認識され、QC サークルの普及、定着を支えるのにも必
要とされている。報奨制度は、報奨金自体は少ないことが多いが提案を取り上げられ、実
施され目に見えた効果があるなど非金銭的インセンティブの要素のほうが多い。経営側も
極力提案を採用し、採用をランクづけして報奨金を変えることによって経営側がどのよう
な提案を求めているかを間接的に示すという側面をもっている。報奨制度を切り離し、提
案制度だけを見てみると、強制的な要素がある。提案件数というノルマである。ノルマを
設定することによって職場単位,サークル単位,個人単位で切磋琢磨して競争して提案を
出す効果がある。また、提案に対する取り組む態度が人事考課の対象となる。
非金銭的ものとして表彰制度、各種発表会がある。表彰制度は自分の働きが認められ、
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社会的に評価、認識されたことになる。そして、優秀なサークルは外部の発表会に参加する
のである。表彰制度や各種発表会は社会的に認めることによってやる気を出さすのである。
また、経営側がどのような活動を欲しているかを労働者に伝える役目がある。この制度は、
間接的に QC サークルの活動を指示していると理解できる。
サークル活動に内在するもの職務を拡大,充実をし、QC 技術その他の技術の習得、リー
ダーシップの向上など OJT(On the Job Training)効果がある。これは、自主性を協調し、
やる気を出させる効果がある。
以上により、日本のQCサークル活動は自主的に行なうということが前提となっている
が、間接的,直接的にコントロールをされがら活動しているのである。
4、QC サークル導入にあたって
まず、QC サークルを導入するにあたってしなければいけないことはトップ自らが進んで
QC サークルとはどういうものかを見て肌で感じ取らなければなりません。例えば,実際に
QC サークルを行っている会社,工場を見に行くとか,QC サークルの大会,講習会などに
参加するなどして勉強しなければなりません。そして、経営陣になぜ QC サークルを導入
しようとしているか、いま感じている問題点は何かということを話し、経営陣が同一認識
を持っていなければいけません。経営者トップそして経営陣の理解がなくては QC サーク
ルの成功はありません。
次に自社にあった導入計画立案をねることです。導入当初はどうしても大きな効果を狙
い難しいテーマを考えがちだが、最所は身近で簡単な短期間で結果が出るテーマを選択し、
少しずつサークルとして実力をつけ、活動の味をしめていこう。
導入当初はサークルが自立できるように全社的にバックアップをし、活動しやすい環境
を作ることです。導入当初の失敗は自分たちにはできないや無利という考えがよぎり導入
自体が失敗に終わるので導入当初の失敗は絶対に避けなければならない。
5、QC サークルの進め方
QC サークルにはこれが一番良い方法だとかこうすれば良いというものはない。職場によ
っても違うだろうし、業種によっても変わっていく。同じように見える職場でも働いてい
る年齢層,熟練層など異なる点がたくさんある。他の職場をまねて失敗する例もたくさん
ある。つまり、他のサークルを参考にしてもいいが、最後には、自分たちの職場に適した
進め方をメンバーたちが意見を出し合って進めていかなければならない。
5−1 QC サークルの基本
①リーダーシップ:QC サークル活動はリーダーを中心に進められる。だから、リーダ
ーが QC サークルとは何かという正しい理解と認識をもたなければならない。そして、
メンバーをリードするリーダーシップを持っていなければならない。しかし、一人相撲
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にはならないようにしなければならない。また、リーダーシップが強すぎて発言をしに
くくしてはならない。みんなが参加してくれるように、みんなが発言できるように、み
んながなにかを分担するように進めていかなければならない。リーダーがサークル活動
を通してリーダーシップを学ぶことが出来なければその QC サークルに致命的なダメー
ジを受けることになる。
②メンバーに必要性を感じさせる:上司から命令で嫌々するのと自分からそうする必
要性を感じて自主的にやるのでは、やっている本人の気持ちも、そして、その成果も大
きく変わってくる。この心情は QC サークルにおいても同じことでリーダーはメンバー
に活動を行う必要性を感じてもらうことが重要なのである。それには、よく話し合い QC
サークルの意義を理解してもらうことや他の QC サークルの活動を見て刺激を受けさせ
るなど色々な手段がある。
③やる気をもたせる:QC サークル活動は行動して初めて価値があるのです。知識が豊
富でも行動しなければ何の価値もありません。リーダーがメンバーに「やるゾ」という
気構えを持たさなければなりません。やる気を出さすにはいくつか方法がある。
まず、話し合うことです。話し合うことによって考えを出し合うのだ。人は話し合う
ことによって自分の考え方や意欲をかきたてるものであり、メンバーがお互いの考え方
がわかり、自信を持つことが出来るのです。
次に、他人に負けたくないという気持ちを使う。人は少なからず負けたくないという
気持ちを持っている。それを正しい方向に導くことによって相互にレベルアップをはか
ることが出来るのだ。
最後に、進歩したいという気持ちを使う。人は常に進歩したい、自分の能力を開発し
ていきたという気持ちを持っている。自分の能力を開発するのにあたって有効な手段が
QC サークルの活動である。この進歩したいという気持ちを生かすように運営することが
大事なのです。
④環境条件をつくり自主性に行う:QC サークル活動は指示や命令で行うのではなく、
自主的に全員参加で活動をする所が一番のメリットがある。だから、リーダーは全員参
加できるように職制の協力を得て障害を取り除き環境条件を整えていかなければならな
い。
⑤目標をもって活動する:漠然と活動しても効果はあがらない。活動するのにあたっ
て目標を持ち、目標に向かって前進することによって意欲が出てくる。目標を達成すれ
ば充実感を得、自信ができ、次もがんばろうという前向きな意思が出てくる。ただし、
あまり高い目標を設定しないことだ。なぜなら、途中でやる気をなくしたり、自信をな
くしたりするからだ。
⑥QC 手法を勉強すること:もし、QC サークル活動が QC 手法(パレート図,特性要
因図,管理図,ヒストグラム,チェックシート,散布図,層別の七つである)がなく精
神運動ならば盛んになることはないだろうというほど、QC 手法は重要なものなのである。
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QC サークルは QC 手法を使い職場の問題点をわかりやすくあらわし,解決,改善してい
ったのだ。だから、QC 手法を勉強し、それを取り入れ活用し、効果を表していって欲し
い。
⑦節をつけて締めくくる:竹は節があってこそ強靭さをキープすることができる。QC
サークルも QC サークル大会などに参加することによって節をつけ活動を締めくくるこ
とによって強靭なものにしていかなければならない。
⑧QC サークル活動に対して評価する:前進だけを考えているといつのまにか方向を誤
ったりする。だから、テーマが終わったりすると自分たちの活動を評価してみる必要が
ある。自己反省,自己批判を行うのだ。反省があってこそ正しい処理と前進が期待する
ことが出来るのだ。
以上のことが QC サークルを行うのに必要な基本である。次からは実際にしていくこ
とについて論じていきたいと思います。
5−2 QC サークル会合
QC サークル活動と聞いて QC サークル会合を持つことだと勘違いするくらい QC サーク
ル会合は QC サークル活動にとって非常に重要なことなのである。会合はそれを持つこと
によって管理の基本を話し合い、情報を交換し、相互啓発が出来るのである。
しかし、QC サークル会合を仕事が忙しいから出来ないや開いても参加できないという意
見をいう人がいますが、それは間違いなのです。
なぜなら、忙しいといって会合を開かず、今までと同じような仕方で仕事をしていると、
労働者の給料を上げたければ作業時間を長くするか、労働をさらに強化するしかありませ
ん。そうなると現在、限界の仕事をしているのなら給料が上がらないという結果になって
しまいます。それではいけない。どうすればいいのか。作業時間を短縮し、能率をあげる
作業のやり方に変えていくしかありません。そのために QC サークル活動(QC サークル会
合を開く)が必要なのです。忙しいからサークル活動や会合ができない、できないからいつ
までも忙しいという悪循環を繰り返さないようにするためにどこかで区切りをつけて短い
時間でも QC サークル活動,会合をしなければなりません。
また、周囲も常に変化し続けています。問題も常に発生しています。その問題を意識して
対処できない人には進歩はありません。QC サークルでは常に、品質意識,問題意識,改善
意識を持ちながら活動を続けていかなければなりません。これらの意識を持ち続けるため
に QC サークル会合をひらくのです。
5−3 テーマの選び方
QC サークル活動はテーマの良し悪しで決まるといっても過言ではない。何度も書いてい
るように最初に取り上げたテーマが大き過ぎてはいけない。テーマを選ぶポイントは次の
通りです。
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①簡単なもの,身近なもの,共通なもの:最初のうちは、簡単でサークルのメンバーが
全員、関心を持つような身近なテーマを選ぶこと。つまり、みんなが知っていて発言しや
すいテーマを選ぶことである。最初にむずかしいテーマを取り上げ、自信をなくすような
ことはあってはならない。簡単なテーマを取り上げ、全員が参加し,全員が発言できるよ
うになり、解決することによって自信を持ち、QC サークル活動が軌道に乗ってきてから、
徐々に難しいテーマや共通でないテーマを取り上げていけばよいのである。
②具体的なテーマ:QC サークルだといって品質に関するテーマばかり選ぶ必要はない。
職場におこる問題,疑問に思っていることなど幅広く取り上げていくべきである。例えば、
明るい職場にするにはどうすれば良いかや作業能率を上げるにはどうすれば良いかやコス
トに関する問題などである。
5−4 テーマの登録と終了報告
QC サークルのテーマを職制に登録することにも意味がある。まず、職制に対してどうい
う活動をしているということを伝え、理解してもらうことと、登録することによって計画
的に QC サークル活動を行うようになる。
テーマの目標を達成することができればテーマの終了となる。サークルのメンバーはテ
ーマの終了を確認し、宣言しなければならない。そして、職制にも報告しなければならな
い。
5−5 マンネリ化防止
QC サークル活動といっても同じメンバーで同じようなことをやっているとマンネリ化
し、やる気をなくしてしまう。マンネリ化防止するポイントは次の通りである。
①新しい問題に次々取り組む:職場には色んな水準の問題が山ほどある。これを次々と解
決するために貪欲に活動していこう。
②新しい QC 手法を勉強する:現在使用している QC 手法以外の手法を身につけると実
力が飛躍的に向上し、有効な結果が出てくる。QC サークル手法には、七つあるが後に説明
する。
③新しい仕事と役割につく:QC サークルのメンバーが新しい能力を習得すると企業側は
どんどん新しい仕事を持ってき、また新しい役割をまかせてくる。そうすることによって
能力が発揮でき、人材も有効的に使え,労働生産性にもつながる。その結果職場のすべての
問題を QC サークルで解決できるようになる。
④QC サークル活動の運営の工夫:QC サークル活動の運営に締めくくりをつけ、それま
での活動を反省し、次に進めるときにテーマを変えるや会合の持ち方を変えるや分担の仕
方など色々工夫しながらメンバーを引っ張る計画が必要だ。
5−6 QC 的思考と QC 手法
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・QC 的思考
QC サークルをより効果的に行うためには QC 的思考を意識しながら行うとより効果的に
QC 活動を行うことができる。では QC 的思考とは何か次の通りである。
ⅰ 現状に問題を見出すための考え
QC サークルの活動はお客様に喜んでもらえる品質の商品,サービスを提供すること
が目的に行っている。そこで、QC 的思考でまずすることは「この目的をもって現状を
疑う」ということである。そこでは、普段、当たり前にしていること、当然のことに
対して「なぜだろうか」という疑う姿勢を持つことである。しかし、なんでもかんでも
疑えばいいわけではない。QC 的思考方法では「ばらつきに注目せよ。そして、なぜば
らつくのかを疑え」である。
ⅱ 問題を解決し、現状を維持させるための考え
結果がよければいいという考え方ではいけない。結果を招く過程(プロセス)を改善
することが重要なのであり、プロセスの管理が出来れば、結果がよくなるという考え
である。この考えは、物事の因果関係を明らかにするもので、そのベースに統計的品質
管理の考え方が存在する。
ⅲ 改善した状態を維持させるための考え
現状を改善したという表現にはほとんどの場合その改善方法をしている限りはとい
うふうな言葉がついてくる。しかし、QC 的思考方法はこの点に厳格な視点を置き歯止
め策を講じない限り改善したとはいわない。そこには、良品質のものを作るだけでは
駄目。保証することが出来なければならないという品質管理の根本的な思想がある。
ⅳ ⅰ∼ⅲを繰り返し続けるという考え
何度もⅰ∼ⅲを繰り返すことによって初めてお客さんが恋焦がれる品質をつくりだ
すことができるという考えである。
要するに PDCA サイクルをしっかり回すことなのです。PDCA サイクルとは、まずしっ
かりした計画を立て(Plan)
、その計画の通りに実施し(Do)、実施した結果を確認し(Check)、
もし、計画通りにいかなければ必要な処置をとる(Action)ということである。この PDCA
サイクルを正しく回していくには、目的をはっきり決めてそれぞれを確実に行うことであ
り、目的を達成するまで何度も繰り返し行うことである。
・QC 手法
QC 手法を使用するにはまずデータが必要だ。データを取るには何のためにとるか、どの
ように使うのかなどの目的に明確にし、何を(what),いつ(when),どこで(where),
誰が(who)
,どのように(how)
,なぜ(why)という条件を明確にして取らなければなら
ない。
また、データは数字だけとは限らない。例えば、最近、事務所でよくパソコンが使われ、
印刷ミスをよくする。このとき何のデータ―を取るかというと印刷ミスで捨てられたゴミ
を見るのだ。それを見れば「誰が」「どんな原因で」「どのくらい」印刷ミスをしたのかがわ
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かる。このようにゴミのような身近なところにもデータ―はあるのだ。だから、良いアイ
デアをたくさん出すことが出来なければ、まず「不良」「不調」「不安全」「不満」などの「不」
のつくところからデータ―を集めることによって改善するネタが出てくるだろう。
そして、集めたデータを QC 手法で原因を究明し改善していくのだ。
①パレート図
項目別に層別して、出現度数の大きな順に並べるとともに、累積和を並べて書いた図の
ことである。
例えば、不良品を不良内容で分類し
て、その出現度数の順に並べたパレー
ト図を作ると、不良度数を重点付けが
できる。しかし、不良頻度とその経済
的な影響力は必ずしも一致しないの
で、不良個数と一個あたりの処理費用
を掛けた表を作成し、パレート図にす
ると不良対策へのコスト的な重点付
けが出来る。
②特性要因図
要因(原因系)とその結果としての特性との関係を系統的にまとめた図。魚の骨ともい
われ品質の特性(結果)とその原因(要因)を大骨,小骨で関連付けて整理していく。
・特性要因図の作り方
ⅰ 特性要因(問題点)を決める。顧客のクレームなどの具体的な項目を特性値にする。
ⅱ 背骨(主幹)を作る。例,モーターの回転むら
ⅲ 大骨(大枝)を入れる。
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ⅳ 中骨,小骨を入れる。
・特性要因図の作成時の注意
ⅰ まず、現場を知って事実とデータ―でものを言うこと。
ⅱ 特性要因図は、その仕事に関係している全員が参加して作る。思ったこと、気付いた
ことを出し合い中骨,小骨要因を洗い出す。
ⅲ 管理者は全員の意見が出やすい場作りをする。
・特性要因図の活用方法
要因と効果の関係を計量的に把握し、計量的な要因関係をしっかりと確認しアクション
に結びつけることである。
③管理図
工程が安全な状態にあるかどうかを調べるため、又は、工程を安全な状態に保持するた
めに用いる図。管理図には上方管理限界(UCL)と下方管理限界(LCL)という一対の管
理限界線を引いておき、これに品質や工程の状態などを表す特性値を打点していき、点が
管理限界線の外に出たり、点の並び方のくせなどから管理異常を発見していく統計的な QC
の手法である。
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④ヒストグラム
測定値の存在する範囲をいくつかの区間に分け
てその区間を、x 軸にし、その区間にある測定値の
度数をy軸にした柱状図。
この手法はデーダー数が多いときにデータ―の
出現の状態,姿を推測する方法である。従って,デ
ータ―の個数は少なくとも50個以上あることが
望ましい。
・ヒストグラムの活用方法
データを個別に見るのではなく、データの全体を眺め、全体の持つ情報を読み取るとき
に使います。一般的には中心付近が最も高く、左右に離れるほど低くなる。
⑤チェックシート
管理に必要な項目、図などがあらかじめ印刷されており、テストの記録、検査結果、作
業点検記録などが、簡単なチェックマーク付けで確認、記録できるようになっている用紙。
目的によって、ⅰ工程分布調査票 ⅱ不良項目別調査票 ⅲ欠点発生位置調査表 ⅳ不
良要因調査票 ⅴ欠点結果確認表 ⅵその他 に分類できる。
このうちⅰ∼ⅲはデータシートとも呼ばれる。またⅴはチェックシートとも呼ばれる。
・チェックシート作成上の要点
ⅰ 簡単に要点が分かり、チェックできること
ⅱ チェックする人,時間,場所が明確なこと
ⅲ 記録項目に漏れがないこと
ⅳ 後の集計,計算がやりやすいこと
ⅴ 適切なチェックシートの回覧ルートを決めておくこと
・チェックシート作成上の注意
関連する担当者,スタッフを集めて
ⅰ チェックする目的を明確にすること
ⅱ 過去の実績,経験,資料などを生かしてチェックする項目を洗い出すこと
ⅲ チェックする項目を整理し、層別する
ⅳ 後の集計,計算のやり方を決める
ⅴ チェックシートのフォーマットを決める
ⅵ 作成した(Plan)チェックシートを使ってみて(Do)、使いやすさを確認し(Check)
不具合箇所を修正(Action)する
・チェックシートの見方と活用
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ⅰ 異常データ,異常現象を見つける
ⅱ 集計したデータをグラフや表にして、内容を把握しやすいようにまとめる
ⅲ 層別項目の層間の違いを検討する
ⅳ 現状だけでなく、過去との比較をして未来を想定する
ⅴ 一部の人だけでなく、関係者全員で検討する
⑥散布図
2つの変数をついになっているデータの間の関係を調べるため,二つのデータの値を横
軸と縦軸にとり、測定値を打点して作る図
・散布図の活用方法
二つのデータ間の関係の強さの見方は
ⅰ 点にばらつきが少ないとき、x と y との関係が強い
ⅱ 点にばらつきが大きいとき、x と y との関係が弱い
⑦層別
層別とは、集団の特徴をいくつかの部分に分けことをいいます。母集団をいくつかの層
に分けること。
良い層別とは、分けられた層の中には同じ質のものをそして、層と層の間には質の差が
しっかりでたものをいう。
この層別の手法は,パレート図,特性要因図,ヒストグラムなど色々な手法と合わせて
活用される。
以上が七つある QC 手法であるが、データの受け止め方は一つではない。受け止め方一つ
でも大きく変わるのだ。例えば、聴いた事のある人もいるでしょうが熱帯のある島に二人
の靴のセールスマンが市場調査に行きました。ところが島の住民には靴を履くという風習
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がありませんでした。そこで、二人のセールスマンの報告はこうでした。一人は,この島
には裸足が生活習慣なため靴を売ることはできないと言いました。また、もう一人は、こ
の島には誰も靴を履いていないので今後の需要が大きく市場として大きく期待できるとい
うものでした。このように受け止め方一つで今後の対応が変わってしまうこともあるので
す。
6、QC サークル活動の発展
6−1 QC サークル大会
QC サークル大会とは QC サークル活動の体験事例の発表,工場見学,現場討論会,スラ
イドの上映などをみんなの前で発表し勉強しあう会である。これは QC サークル活動を行う
なかで重要かつ非常に効果的な活動である。
QC サークル大会に参加し発表したり、大会に出席することは、みんなが一生懸命取り組
んでやっていることを感じとったり、こういう風にするのだと理解を深めたり、これなら
自分にも出来るといった風な自信を持つことによって、自分の参加している QC サークル
活動を自主的に進めていく原動力となっていくのです。
QC サークル大会で自分の体験事例を発表することによっていい点は、
・まとめて話すことによって活動を見つめなおせ反省できる点。
・発表することによって自分の考え,意見を伝える方法を学び、話し上手になれるという
点。
・ 他人の参考になるという点
である。
社内あるいは社外で行う QC サークル大会では、企画,運営,司会,裏方まですべて QC
サークルのメンバーで行い、自分たちで工夫して実施するのがよい。これには自主性を持
って大会を行うという姿勢と企画することを通して話し合い相互啓発を行えるという利点
が存在するのだ。
6−2 QC サークル交流会
QC サークル交流会とは他の職場,工場、また、他社に訪問して話し合う場を持つことで
す。
交流会を行ううえで気を付けなければならないのは
①片方が訪問するのではなく、お互いが訪問しあうようにしよう。
②人数はあまり多くない方が好ましい。ただし、視聴者は多くてもかまわない。
③交流会の相手の選択は、QC サークル活動初期の段階ではよく QC サークル活動を行って
いるところで、会社の規模が似ているところや労働条件や,職場の正確が似ているとこ
ろがわかりやすくて良い。
④相互啓発の心構えをしっかり持って行うこと。
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⑤事前に訪問先のことをよく勉強しておくこと。
⑥いつも同じ人が代表となって発表するのはいけない。とくに、話すことがうまい人毎回
代表となって出て行くのはよくない。
QC サークル大会や QC サークル交流会への参加の少ない QC サークルは健全には育って
いかない。QC サークル大会,交流会を行うことで目標ができ、活発になることがおおいの
でどんどんやっていくことが望ましい。
6−3 関連会社,協力会社へ
QC サークルを発展さしていくには、自社の原材料,部品を供給してくれる下請けの会社
などの関連会社,協力会社に QC サークルを広めるという手段がある。QC サークル活動を
関連会社や協力会社に広めるには関連会社,協力会社の品質管理の向上さすというところ
が目的であるが、親会社と一緒に QC サークル活動をすることは関連会社の管理が良くな
り、関連会社の体質管理にも効果がおよぶことは少なくない。関連会社との連合サークルを
つくることによって情報交換の場をつくり、お互いの会社を向上さすのにも QC サークル
活動は役に立つ。QC サークル活動を共同に推進していく場合には、親会社の呼びかけるの
はいいことだが、関連会社の自主性を尊重して進めていくのが良い。関連会社自身が QC
サークル活動のことをよく勉強し、親会社が協力しながら進めていくという仕方が大切な
のである。
第3章 小集団管理の積極的効果と限界
・積極的効果
経営側が QC サークルに期待することは「品質,生産性改善による経済効果=生産管理
機能」と「労働者の能力,モラールの向上、理想的な人間関係の構築による間接的組織効
果=労務管理機能」である。前者の経済効果は新日鉄におけて1978年に約1万6千件
のテーマが完結し、500億円のコストダウン。マツダが1997年度に QC サークルに
よる節減効果を18億円と推定しているように効果があるといってよいだろう。
しかし、経営側にとっての大きなメリットは後者の間接的組織効果である。QC サークル
がもたらす間接的組織効果は、組織の安定性が増し、労使関係の安定化,将来的な経済効
果に役立つため、日本の企業は QC サークルを手放さないのである。
QC サークルが労働者にもたらす積極的効果はまず、ミーティングなどの限られた場であ
るが労働における対面的人間関係、すなわち社会性に寄与するといえる。次に、QC サーク
ルは提案という形で品質管理や生産管理に関わる機会が労働者にある。これは仕事に変化,
多様性を与え、高次の職務能力,思考能力を労働者に要求し広い意味で職務充実といえる。
そして、これらの活動により改善,改良し、快適な職場環境を作るというメリットがある。
・小集団管理の限界
小集団管理は労働を「人間化」するという積極的効果を労働者にもたらすことが出来た
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が,労務管理手法である以上小集団管理のもたらす「人間性」は企業にとっての効率性に
貢献または、効率性を損なわない範囲での「人間性」でなければならないという制約が伴
ってしまう。したがって、労働の非人間的要素を完全に免れてはいないのである。
おわりに
小集団管理は経営者の側のニーズ、労働者側の両方のニーズを満たすことの出来る画期
的な管理手法である。そして、熱心に勉強することによって簡単に導入することができる。
あらゆる意味で人的資源管理手法として大変重要な位置を占めてくるでしょう。しかし、
それだけに、小集団管理のもたらす限界や影響力を見落としてはいけない。われわれは、
資本主義社会の職務拡大,充実や社会性の付与が過酷な合理化や個を蹂躙することと紙一
重であるということを覚えておかなければならない。だから、そのような事態を未然に防
ぐため、経営者側に勝手をさせない拮抗力が必要である。今後それは何なのかを検討する必
要がある。
参考文献
QC サークル活動運営の基本/QC サークル本部 編
人的資源管理論/島 弘 編著
コマッタ君のなぜなぜ?QC サークル/松田 亀松 著
QC サークル成功の条件/小林 忠嗣 著
QC サークルのための問題解決方法/藤田 董 著
QC サークル活動活性化の自己診断/市川 享司 著
http://www.juse.or.jp/
http://userwww.aimnet.ne.jp/user/takahashi/
http://userwww.aimnet.ne.jp/user/takahashi/info/qcc.html
http://userwww.aimnet.ne.jp/user/takahashi/info/qaindex.html
http://www.shiojiri.ne.jp/~hnaka/hidehiko/qc-tech/qc.html
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