学校関係者評価 報告書 2015年度 学校法人 辻料理学館 辻調理師専門学校 辻製菓専門学校 目 次 I. 学校関係者評価委員会の目的と位置づけ ......................................................................................... 2 II. 2015 年度学校関係者評価委員会 開催概要 ............................................................................... 2 III. 委員からの評価と提言............................................................................................................................. 3 I. 学校関係者評価委員会の目的と位置づけ 1. 学校関係者評価委員会の目的 「委員会は、本校全般の運営(経営、教育の現状、およびそれらの短・中・長期課題や方針、社会的 責務など)について、学校関係者より意見を聴き、これを踏まえて学校運営の組織的、継続的な改善 に取り組むことを目的とする。」(学校法人辻料理学館 学校関係者評価委員会規程 第 2 条) 2. 学校関係者評価委員会の位置づけ 専修学校の学校評価については、平成 19 年の学校教育法及び同施行規則の改正により、<自己評 価>の実施・結果の公表に関する義務、及び<学校関係者評価>の実施・結果の公表に関する努 力義務が課されている。 また、平成 25 年 8 月 30 日に公布、施行された「専修学校における職業実践専門課程の認定に関す る規定(平成 25 年文部科学大臣告示第 133 号)」においては、<学校関係者評価>を行い、その結 果を公表していることが、職業実践専門課程の認定要件の一つとして規定されている。 本校は、こうした法令の要請に加え、教育の質保証・向上を図り、また社会に対する説明責任を然るべ く果たしていく観点から、<自己評価>及び<学校関係者評価>を適切に実施することとする。 <学校関係者評価委員会>においては、学校運営や教育活動に関する成果や課題を、本校と関係 の深い外部評価委員と共有し、それらについての評価や助言を求めるものとし、本校はこの対話を通 じて、自己評価の結果の客観性と透明性を高めるとともに、教育の質の向上と学校運営の改善の取り 組みをより一層推進するものとする。 II. 2015 年度学校関係者評価委員会 開催概要 1. 日 時 2015 年 11 月 7 日(土) 14:00~16:00 2. 場 所 辻調理師専門学校 本館 3. 議 事 (1) 学校関係者評価委員会規程の改定について (2) 自己点検・評価の結果について a. 概要説明 b. 基本指標 (3) 学習環境の整備・改善について (4) 学校と学校関係者間の今後の連携について (5) その他 2 4. 配付資料 資料 1 自己点検・評価結果報告書 2014 年度 資料 2 学校法人辻料理学館 学校関係者評価委員会規程 改定案 資料 3 学校関係者評価委員会の委員の謝金に関する規程 資料 4 学校関係者評価委員会規程 2015 年 11 月 7 日改定 新旧対照表 資料 5 2015 年度授業評価アンケート・2014 年度学校生活アンケート 資料 6 体調不良者の対応についてのお願い・登校許可証 2015 年度学校法人辻料理学館 学校関係者評価委員会名簿 5. 出席者(学校関係者評価委員[敬称略]) <第 1 号委員(在校生保護者)> 山下 文恵 辻調理師専門学校 在校生保護者 大西 正代 辻製菓専門学校 在校生保護者 <第 2 号委員(卒業生)> 結野 安雄 辻調理師専門学校 1988 年卒業生(株式会社和光菴 常務取締役総料理長) 伏木 和毅 辻製菓専門学校 1986 年卒業生(株式会社日総フーズサービス 代表取締役) <第 3 号委員(業界関係者)> 川越 庸義 株式会社帝国ホテル 帝国ホテル大阪 総支配人室 管理課 管理 支配人 西谷 恵伊子 ハイアットリージェンシー大阪 人事部長 <第 4 号委員(高等学校関係者)> 貴治 康夫 大阪府立箕面東高等学校 教頭 山下 善啓 大和高田市立高田商業高等学校 進路指導部長 <第 5 号委員(地域有識者)> 伊賀 千洋 久保田 医療法人紫峰会 伊賀医院 理事長 広志 株式会社りそな銀行 阿倍野橋支店長 III. 委員からの評価と提言 学校関係者評価委員会の規程改定及び学校法人辻料理学館設置校辻調理師専門学校、辻製菓 専門学校の「2014 年度自己点検・評価」報告書に見る本校の教育、経営の現況等について、学校側 から説明を行い、これに対する評価、提言を評価委員に求めた。 学校側の説明要旨と委員からの評価と提言は以下のとおりである。 3 1. 学校関係者評価委員会規程の改定 【学校側説明要旨】 学校関係者評価委員会規程おいて、これまで「校長」及び「校長が学内管理者として教職員のうちか ら指名する者」が委員に含まれていたが、委員会の趣旨に鑑み、外部ステークホルダーの方々のみを 構成委員として運営することとした。このため、委員の構成に関する条文から学内関係者を削除するこ と、また、委員長・副委員長の互選、委員会の成立要件について併せて明記することを提案する。 また、委員の謝金に関して、学校関係者評価委員会の委員の謝金に関する規程を別途定めて施行 することを報告する。 学校関係者評価委員会規程の改定案について、委員からの異議、意見はなく、提案通り改定すること とする。 2.自己点検・評価の結果(設置基準項目) 【学校側説明要旨】 <法令遵守> 専修学校及び調理師、製菓衛生師養成施設として、次の関係法令の規定基準に適合していること を報告。 *専修学校設置基準 *調理師法施行規則及び調理師養成施設指導要領 *製菓衛生師法施行規則及び製菓衛生師養成施設について <学生の受入> アドミッションポリシーの周知、留学生の受入、高等学校との接続教育等について現況を報告。 <財務状況> 過去 3 年間の収支状況等を確認し、収支均衡を継続させる方針を報告。 3.自己点検・評価の結果(基本指標) 【学校側説明要旨】 基本指標としているものは、次のとおり。 在学率、退学率、休学率、出席率、進級卒業認定率、科目履修認定率、資格取得率、進学率、進路 決定率、就職率、業界定着率。 2015 年度の基本指標に係る評価結果、課題、今後の目標は以下のとおりである。 *退学率・・例年 5%前後で推移しているが、調理技術マネジメント学科 1 年次の退学率だけが 10% を超えた。学業不振者が長欠に陥るというようなケースが比較的多く見られたことから、原 因を内部で考察、検討し、今年度の改善策の実施につなげている。 *休学率・・休学者は、ほとんどいない状況である。 *出席率・・科目による出席率の変動というのは、それほど大きくなく概ね 95%を上回っており 100%も 珍しくない。高い率を維持することが目標である。 *進級・卒業認定率・・2 年制課程では最終的に 95%を目指すが、達成には退学者を更に減らす策 が必要。 4 *資格取得率(製菓衛生師)・・在学中に受験する 2 年制課程では前年度に引き続き 95%以上の合 格率を維持。年々合格率が上がっている。一方、卒業後に受験する 1 年制課程について受験率が著しく低いのは、実際の受験者が少ない ということではなく、実態の把握が難しいことに起因している。卒業後の 受験を促す指導を徹底した上で、卒業生調査を実施するなどして、 出来る限り正確に実態を把握することが課題である。 *進学率・・学校法人との関連校、フランス校(フランス・リヨン市)進学者が主である。 *就職率・・分母を就職希望者、分子を年度末時点の就職者数とした場合の就職率については、目 標数値 95%以上を目指していたが、それを上回る状況になった。現時点での就職目標 は、数字を維持向上させることに加え、離職しない学生を輩出することに移行してきてい る。 *業界定着率・・卒業生の定着状況を知るための卒業生調査を 2015 年度より実施予定であるが、 2014 年度は試験的に実施。メールで案内し、ネットを通じてアンケートに回答してもら う形式だが、2015 年 3 月に卒業した学生のうち約 80%が学校からのメールを受信で きる状態にあり、このうちのおおむね 30~40%が回答した。 卒業時点での就職先に現在も在籍していると回答した者は、調理師学校卒業生で 約 80%(1 年制と 2 年制でほぼ同じ)、製菓専門学校では、2 年制課程卒業生で 87%、1 年制課程卒業生で 85%であった。また、最初の就職先は辞めているが、調 理職や製菓職として業界には残っているという業界定着率は、調理 2 年制課程卒業 生 93%、1 年制課程卒業生 91%そして製菓 2 年制課程卒業者で 91%、1 年制課 程卒業者で 88%という数値となった。 また、調査の最後に在校生へのアドバイスを自由に記述してもらったところ、ほぼ全 員から何かしらのメッセージが寄せられた。その多くは、在学中にしっかり勉強しておく こと、また、就職活動において企業研究を十分に行うことなどの重要性について言及 するものであった。 【委員からの評価と提言】 • 退学率について、調理技術マネジメント学科の 1 年次において 11.3%と増えている理由に、学業不 振に加えてメンタル面の問題もあるとのこと。これは高等学校での不登校に相当するものかと思う。高 校でも教育相談室でカウンセリングをするなど取り組んでいるが、貴校もメンタルカウンセラーを設置 されているとのこと。カウンセラーへの相談につながらずに退学に至る者が少しでも減るよう、取り組 みを継続することが必要だと思う。(第 4 号委員) • 業界定着率について言えることだが、企業でもメンタル的なところで退職する者が年々増えてきてい る。突然出勤しなくなって連絡がとれなくなるようなケースもあり、対応に苦慮している。そんな中で、 企業側も従来のやり方にとらわれず、一人一人面談する機会を設けて何でも言える環境を作るなど、 少しずつ社員の立場に立って対応するような取り組みを進めているところだ。(第 3 号委員) • 業界定着率のデータから、離職の理由が、人間関係、ストレス、体力の限界といったことに、ある程 度集約されることを示してもらえたので、その部分に十分配慮していくことで、企業での定着率は向上 するのではないか。また、就職後のミスマッチを防ぐためには、実際に調理場を見学したり、業務体 験してもらうことによってお互いギャップを埋めていくことが大切だと思う。(第 3 号委員) 5 4.学習環境の整備・改善 昨年度より入学直後に基礎学力テストを実施。加減乗除に不安がありそうとか留学生の日本語能力の 高低等を早めにキャッチして、フォローすることを本格的に開始している。 在学中のアンケートでは、授業評価に加え、朝食の喫食有無、睡眠時間、通学時間、勉強に費やす 時間やアルバイトの有無なども調査している。今年度は、さらに授業の細かいところに目をむけるよう改 善し、生活面ではスマートフォンをはじめとするネット環境に関する項目も追加する予定。数値化され た結果は、運営部長から担任レベルまで広く共有され、授業運営やクラス運営の改善に活かされてい る。 5.学校と保護者間の連携 保護者への定期的な連絡は、入学前に 2 回、入学後は 2 ヶ月に 1 回程度、文書で行われている。内 容は、学校ルールの説明に始まり、行事のお知らせ、学生の出席状況、試験結果等。 学生が問題なく過ごしている限り、保護者とは文書の定期連絡のみになっているのが現状で、もう少し 密なコミュニケーションが取れないかと考えている。 【委員からの評価と提言】 • 学校と保護者間の連携について、入学前に担任の先生から電話連絡をもらい、驚いた。子どもたち のことをよく見てくれていると思った。保護者として気になるのは子どもの就職のことだが、分野別や企 業別の就職状況や傾向などが保護者にも分かるようになっていたらよいのではないか。(第 1 号委 員) • 保護者がどれくらいこの学校について知ることができるかが、学校選択においてもポイントだと思う。 高等学校における進路選択では、3割以上が保護者に相談し、次に多いのがクラス担任。(第 4 号 委員) • 学校からは十分な連絡をもらっているが、学校新聞のような、今月はこのようなことがあった等の情報 発信をしてもらえれば、家庭で学校情報が共有でき、子どもとも会話をするきっかけとなってよいので はないか。(第 1 号委員) 6.学校と企業間の連携 企業の皆さんには、年に 3 回程度実施する合同企業説明会をはじめ、調理技術マネジメント学科で就 職前に現場の体験をさせるインターンシップ、数年前に創設した長期の有給研修制度など、様々な 場面で連携、協力をお願いしている。 また、通常の求人票に加え、本校独自の様式として提出をお願いしている「従業員育成プラン」も学校 と企業間のコミュニケーションツールの一つとして挙げられる。これは、入社時に求める能力や資質、 当初担う役割、3 年後そして任意のX年後に担うことが想定される役割や期待する人物像など、キャリ アプランとして示していただくもの。雇用条件だけでは分からない各企業の人材育成に対する考え方 を知ることにより、ミスマッチを減らすことができればと考えている。 【委員からの評価と提言】 私たちの世代は、就職して忙しい中で現場の技術を学び、早く料理長になりたい、オーナーシェフに なりたいと目標をもって仕事をしてきたが、今は、会社に就職し、調理師としての業務を仕事としてこ 6 なすだけというような者が増えてきているように思う。やり方は今の時代に合った形にするべきだが、実 践に近い感覚を学校で教えてもらうなり、現場での実践体験を積むなりして、ある程度は心構えのでき た状態で業界に就職することが、今の学生たちには必要なのかと思う。そういう部分を学校と連携しな がら作っていけたらと思う。(第 2 号委員) • 企業との連携については、採用を含めインターンシップの受入など十分に取れていると思う。就職の 時には企業側も具体的な会社説明をしているし、また学生一人一人の情報も十分もらっている。学 校と企業間の連携については、とくに気になるところはなく、良好な関係を築いていると思っている。 (第 3 号委員) • 例えば既卒者のキャリア採用のことなど、企業側から依頼したいこともますます増え多様化している。 今後も、より良い連携協力関係の構築を望みたい。(第 3 号委員) • 自社に会社訪問に来る学生に対しては、1 社を何度も訪問することや、いろいろな会社を訪問する ことを勧めている。まずはよく情報収集して、先生にも相談して、最終的には学生自身が一番よいと 思った事業所に決めるのがよい。(第 2 号委員) 7.学校が医療機関に求める基準 昨年度の学校関係者評価委員会において「学校が医療機関に求める基準」を周知すべきであるとの 意見があり、近隣の医療機関に説明する内容についての案を作成した。 学校保健法施行規則により法定伝染病については出席停止。また、調理師、製菓衛生師を養成する 衛生系の学校であることから、食中毒の可能性があれば感染予防のため実習を受けさせていない。 在学中から衛生意識を高めるために、月に 1 回の腸内細菌検査も実施している。何か自覚症状があ れば自分で考え対処するように指導している。 そうした方針をご理解いただいた上で、受診の際には診断をお願いしたいという内容。 【委員からの評価と提言】 • 辻調の近隣で長年学生を診察してきたが、当初は、感染症の取り扱いについて、「高熱あるいは下痢、 嘔吐がある場合は、登校せず受診して感染症でないことの診断を受けてきなさい」という指導は、結構厳 しいと感じた。食べ過ぎ、飲み過ぎでも下痢、嘔吐はあるし、発熱もインフルエンザなのか、ただの風邪な のか、感染症なのか分からないこともある。学校の考えを理解していない医療機関であればなおのこと、 感染しない証明を出すことは難しい。 そのためにもこうした書面を準備して、できればコンパクトに「こういう情報が欲しい」とか「感染しないことを 感覚的でもよいので判断してほしい」とか、簡潔に伝える形にすれば医療機関の側にとってはありがたい。 この厳しさは、プロを育てる上では必要なことと、私も理解しているので、「実際の店舗で食中毒を出すこ との怖さを学んでもらうために、学校は感染症の疑いのある学生に対して厳しい措置をとっているのです よ」と、受診しに来た学生に話したりしている。 学校の危機管理面の情報収集力も素晴らしい。感染症についても刻々と情報が新しくなっているが、医 師と同レベルの最新情報を入手して、それをしっかりと学生の教育に反映させていることに驚かされる。 (第 5 号委員) 以上、外部評価委員より示された提言等については、所管部署においてこれを踏まえ改善策を検討するも のとする。 7
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