中期経営計画 - 埼玉縣信用金庫

中期経営計画
(平成23年度~平成25年度)
BEST
BASIC
~未来につづく基盤の再構築~
1
目 次
1.中期経営計画(平成20年度~平成22年度)実績 ・・・・・・・・・ 3
2.基 本 方 針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
3.経 営 理 念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4.中期経営計画の骨子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
5.主 要 計 画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
○将来に向かって整備すべき3大基盤
○会員基盤の活用と再構築
○収益力強化戦略
6.「地域密着型金融推進計画」に関する方針について ・・・・ 15
2
1.中期経営計画(平成20年度~平成22年度)実績
計数目標
◆コア業務純益 100億円
◆自己資本比率 11%台
実績(平成22年度)
◆コア業務純益 84億円
最大 87億円(21年度)
◆自己資本比率 9.63%
最大9.63%(22年度)
◆預積金 平残増加 900億円
◆預積金 平残増加 1,700億円
達成
貸出金 平残増加 900億円
貸出金 平残増加 480億円
◆不良債権比率 3%台
◆不良債権比率 4.21%
◆格付評価 A+
◆格付評価 A-
3
中期経営計画(平成20年度~平成22年度)の実施状況
中期経営計画(平成20年度~22年度)では、経営理念の“三位一体”での繁栄を目指し、“質”の向上
を図り、お客さまとの接点である営業店における営業体制を強化することにより、お客さまの“満足”の
向上を目指すという趣旨のもとメインテーマ「信頼と質を高め“満足”を追求します。」を掲げ、信頼さ
れ価値のある信用金庫を目指してまいりました。
計数計画では、100年に1度と言われる金融危機の影響から、コア業務純益をはじめとする収益性の向上
は図れませんでしたが、信頼のバロメーターである預積金は計画を700億円以上上回る成績を残すことが
できました。また、お客さま満足度の向上のため様々なCS向上施策に取り組み、着実にお客さまの評価
も上がってまいりました。本経営計画の目指した【信頼】・【質】・【お客さま満足の向上】に終わりはな
く、今後も引き続き取組む課題でもあります。
基本戦略の実施状況
1「コーポレートガバナンスの充実・強化」・・・ガバナンス態勢の整備・確立、反社会的勢力への対応強
化、CSの向上、CSR経営(スポーツ振興、産学官連携)、住宅ローンリスク管理体制、コンプライ
アンス態勢強化、統合的リスク管理態勢の高度化、内部監査態勢強化
2「収益力の強化」・・・ 預かり資産専担者拡充、収益管理の徹底、事業先紹介活動、アパマン金利優遇
キャンペーン、ABL商品、ドクターローン、ローンセンター業務集約、推進体制強化
3「営業体制の強化」・・・ 預かり資産販売支援システムの導入、ビジネスマッチング、業務改革推進本
部の効率化施策実施、ITの戦略的活用
4「人財の育成と活用」・・・ コース別職能資格制度の改正と運用、eラーニングの実施、ESの向上、
専門的人財の育成、営業店監査トレーニーの実施
5「地域密着型金融の継続推進」・・・コラボ産学官、若手経営塾、地産地消の促進、医療福祉チーム創
設、インターンシップの充実、キッズスクール実施、経営改善支援強化
4
2.基 本 方 針
第一. 国民大衆の金融機関であることを誇とし地域内皆様の
繁栄に奉仕すると共に、真に愛される金庫として地元産
業の振興に貢献します。
第二. 金融業務の公共性を自覚し、信用の維持に努め、預金
者保護を以て、経営の第一義とします。
第三. 役職員一体となり常に創造の精神を以て業務の改善を
図り、職員の資質の向上に努め全職員にとって安定に
して幸福なる職場たらしめます。
5
3.経 営 理 念
三位一体での繁栄
お客さまの
お客さまの
繁栄
繁栄
顧客満足(CS)の向上
地域密着型金融の推進
地域の発展
地域の発展
地域貢献
地域貢献
地域の皆さまと共に
従業員の
従業員の
生活向上
生活向上
従業員満足(ES)の向上
成長するさいしんへ
金庫の
金庫の
発展
発展
ガバナンス・収益力の強化
6
4.中期経営計画の骨子
メインテーマ 「BEST BASIC(未来につづく基盤の再構築)
期
間 平成23年度
~ 平成25年度
未来に活躍する、健全で地域に支持される信用金庫を目指し、新たな基盤づくりの3年とする。
健全性を堅持しながら、新たなステップに向け、基本に立ち返り、あるべき基盤を再構築していきます。
経済環境の低迷が続く中でも、たゆまず発展を続けている企業があります。
信用金庫であること、埼玉にあること、為替・金利などの経済環境、自分の力ではどうしようもできないものは沢山あります。
条件は、どの企業でも同じです。「勝ち残る」「生き残る」ためには、攻めと守りをかね備えた競争力をつけなければなりません。
今までの延長線でいいのでしょうか?
当金庫は守りの堅いところであると自他共に認められてきました。
しかし残念ながら、前年度には経営職による不祥事件が発生してしまいました。長い間培ってきた信用も失うのは一瞬です。
正確な事務処理、堅確化をすすめるため、事務全般の見直し、相互牽制態勢の整備、ITの利用、研修など様々な防止策で健全の
基盤を構築していきます。
ここ数年総顧客数の減少、来店客数の減少、ATM利用件数の減少が目立ってきています。
住宅ローンも借換が中心です。低金利から運用収入も減少しています。店舗の老朽化、IT投資も必要です。
反面、他行庫の競争が激しいということは、冷え切っている地方経済の中で、埼玉という恵まれた地盤にあることを自覚しなければな
りません。
厳しい環境の中で勝ち残る、生き残るために生物は自らの体を適応(変化)させてきました。
さいしんは「未来に活躍する、健全で地域に支持される信用金庫」でなくてはいけません。
この厳しい環境の中で、自らが変化するために、さまざまな基盤づくりをしなければなりません。
営業基盤強化により収益の安定と、財務基盤の安定、リスク管理及びコンプライアンス体制の強化により、健全かつ信頼される経営
体制を確立していきます。
収益の安定には、経常経費やIT投資にかかる費用のローコスト体質への変換とともに、店舗戦略、効率的な業務体制構築など経営
資産の最適配分の実施が欠かせません。また、人事制度を見直し、公平で“やれば報われる”人事制度を確立します。
健全性を堅持しながら、新たなステップに向け、基本に立ち返り、あるべき基盤を再構築していきます。
7
中期経営計画(平成23年度~平成25年度)の基本戦略
1.健全性基盤の構築
抜本的な事務処理(事務フロー)の「見える化」により正確な事務処理態勢を構築、システムによる牽制機能の増強、
検印者の能力向上、基本の徹底などで、さらなる堅確化をめざします。
資産の健全化、経営の健全化のため不良債権比率の低下、貸倒引当金カバー率、自己資本比率の向上、金融環境の変
化への真摯な対応、地域経済・金融の安定化への貢献により、健全性・信頼感に裏付けられたブランド力の向上に取
り組んでまいります。
2.新たな収益基盤の構築
①新店頭営業体制、後方事務の集中化、新営業店システム等の投資済インフラの早期定着により、生産性を高めたビ
ジネスモデルの確立を目指してまいります。
②融資基盤の構築
組織的な融資営業態勢、囲い込み戦略、提案型営業、組み合わせ商品、魅力あるプロパー商品・地域のお客さまを
支え、地域金融の円滑化、お取引先とのリレーション強化に積極的に取り組むことにより、地域におけるプレゼン
スを向上させ、地域シェアの拡大を目指してまいります。
③ローコストオペレーション(低コスト基盤の構築)
営業店業務の見直し、定型業務の集中、人事制度、関連会社、システム投資の見直し等によりローコスト基盤の構
築を目指します。
3.人的基盤の構築
お客さま組織の再構築、納得性のある評価制度の導入
モチベーションの向上と職員が安心して働ける環境整備に努めます。
女性やシニアパートナーの能力の活用を促進します。意欲と能力の向上と、キャリアアップのための資格取得支援等
の施策の推進を図ります。
経営方針の実現に向けて適切な人員を確保するとともに、労働の質に見合った待遇等、労働条件の改善をめざします。
4.お客さまに感動を与える「さいしんブランド」の確立
前中計の重要なテーマであったCS、ESの向上は着実に定着してまいりました。挨拶、応対に対するお客さまの
評価も確実に上がってきました。しかし、CSに終わりはありません。お客さまに感動を与えることを目標に 「さいしん
ブランド」 と言われるものを構築していきます。
8
基本戦略
収益は、
信用=健全性
(事務の堅確化
正確性)の上に
あります。
それを支えるのは、
職員(自分)です。
収益性基盤
健全性基盤
ES・CS・人財
9
中期経営計画の概要
メインテーマ 「BEST BASIC(未来につづく基盤の再構築)」
中期経営計画(平成23年度~平成25年度)の基本的な考え方
【第9次中計ではありません】
この計画は、従来の中期経営計画の呼び方では「第9次」となるものです。
しかしながら、今後も経済環境低迷の長期化が続くと予測されるなかで、当金庫でも収益性の悪化、金利反転(上昇)時のインパ
クト、少子高齢化から総顧客数、来店客数の減少がみられるなど不安要因が山積されているなかで、将来の「さいしん」を展望す
る中期経営計画が計数や戦略を3年間固定するのは、かえって不確実性を増加させることとなります。
【毎年更新していきます】
中期経営計画とは、常に正しい方向性を明確に指し示すことで、「役職員それぞれが、なにをなすべきか」を共有するものです。
今回から呼び方は「中期経営計画(平成23年度~平成25年度)」となり、事業運営方針と一体となって毎年更新していきます。
当金庫の置かれた環境と、実施してきた施策で現在位置を確認し、毎期着実に将来のあるべき姿に向かっていくため、毎年計数や
戦略を確認し、常に3年先を見据えた実態に即した計画を目指しております。
【中期の方針が毎年変わることではありません】
中期経営計画は、金庫の役職員が共有する将来の目標です。
「自ら理想とする姿」、「地域・規模・信金としてのあるべき姿」、「お客さまから期待される姿」をイメージするためにあります。
これは、決して夢物語ではありません。将来は現在の延長線上にあります。
一歩一歩階段を上がるように、今、中期的に実行すべきことをメインテーマとしています。常に3年先を見ていても、あるべき
姿に重大な変化が起こった場合、目標達成となった場合を除き、基本的な方針が変わることはありません。
【中期経営計画の構成】
この「中期経営計画」では、基盤強化をテーマに「さいしん」の強みを活かした3年間の具体的な戦略を数字とともに説明して
おります。
10
5.主要計画
●基本戦略
中期経営計画(平成23年度~平成25年度)
では、基本戦略として、以下の3点を掲げました。
基本戦略 1
基本戦略 2
収益性基盤
健全性基盤
・ 「収益性基盤」 営業基盤、低コスト基盤
・ 「健全性基盤」 自己資本増強基盤
リスク・コンプライアンス
・ 「人財の育成」 営業力強化
この3つの基盤の構築は、見方を変えると、
それぞれが重りあった戦略によって、成り立って
います。
基本戦略 3
人財の育成
これらの戦略から「さいしん」が地域になくては
ならない金融機関として、さらに感動を与える「さ
いしんブランド」を確立していく必要があります。
感動を与えるCS
さいしんブランドの確立
11
●将来に向かって整備すべき3大基盤
基本戦略 1
収益性基盤
①店舗基盤戦略
基本戦略 2
健全性基盤
①総合的なリスク管理態勢の高度化
②信用リスクに見合った貸出金利の設定
・貸出金ガイドライン金利遵守の徹底
③融資事務の効率化
・事業性債権書類の集中保管
①営業力、経営支援業務の強化
・担い手別能力アップ研修の継続実施
・規程、要領、マニュアルの改定、整備
・職位別ミーティングの実施検討
・反社会的勢力の排除、苦情等への対応能力の向上
・職位、階層別研修の定期的実施
②営業店の生産性向上
・商品・契約書等のコンプライアンスチェック励行
・営業3部等、関係各部と連携した施策検討
⑤経費節減(ローコストオペレーション)
・顧客説明態勢の強化 ・相互牽制機能の発揮
・迅速、正確な事務態勢の確立
③顧客満足度(CS)の向上
・金融円滑化法の対応徹底・指導
・業者交渉による物件費、委託費等の削減
③顧客保護の徹底、顧客利便の向上
・契約更新に合わせた賃料の見直し
⑥手数料収入の増加と支出削減
・減免、免除先、特約金利の見直し
・交渉力強化
④法令遵守の徹底
⑦用度品在庫の適正管理
⑤資産管理体制の構築
・CSフォロー巡回の実施
④従業員満足度(ES)の向上
・優越的地位の濫用防止
・コミュニケーションとチームワークの確立
⑤収益力強化に寄与できる「現場力」のある人材
・クレジットポリシー等の規程遵守
・設備、躯体部分の実態調査→計画的な営繕態勢の構築
・月次在庫管理を徹底し、適正在庫を維持
人財の育成
・金利リスク・信用リスクを勘案した推進・管理態勢の強化
②コンプライアンス態勢の強化
④住宅ローン・消費者ローン推進
基本戦略 3
の育成と活用
⑥女性職員の活性化
⑦高齢層職員の活性化
⑥自己査定・内部監査
⑧発揮能力を重視した処遇の検討
・MA、FAのスキルアップ
⑦延滞債権管理
⑨転籍制度の運用
・預かり資産販売支援システムの機能拡充と活用
⑧保険業務の態勢整備
⑧預かり資産戦略の実施
⑨広義の調達戦略の実施
⑨自己資本の充実
・キャンペーンの実施 ・新商品の検討
⑩会員基盤の活用と再構築
・セグメント別戦略の検討
⑪普通出資の安定的な拡充、優先出資発行態勢の整備
さ い し ん ブ ラ ン ド の 確 立
12
●会員基盤の活用と再構築
1.会員との連帯感
会員となるのは、融資を受けるための条件だからだけではなく、信用金庫の理念や銀行との違いを理解していただくことが
大切です。
信用金庫とは何かをご説明することにより、職員と会員との連帯感が生まれてきます。
ただし、抽象的な理念だけでは進んで会員とはなっていただけません。会員となることのメリットも必要です。
検討中の施策 : 会員向けの付加価値 商品、サービスの提供としてATM時間外手数料の無料化、
金利の優遇、情報提供等
2.コア優良顧客としてのマーケティングの場としての会員組織
一般のお客さまと比べ、会員はコア優良顧客となっています。会員をキーとしたデータの分析に当金庫の方向性が埋もれて
いるかもしれません。マーケティングの場として会員を見直します。また、事業者の家族や従業員、若手会員の組織化を通
じて会員組織の基盤を築いていきます。
3.会員の組織化
金庫を中心として会員と会員をつなぐ組織、会員どおしの連帯感の強化。信用金庫のネットワークを利用した活動
例 : 若手経営塾、コラボ産学官
13
●収益力強化戦略
【個人取引】
(1)ローンセンターの活用強化と活性化
ローンセンターの生産性を高め、住宅ローンの推進・事務処理の柱する態勢を確立する。
(2)住宅ローン新規案件の増加
安定した収益基盤としている住宅ローンの新規案件の増加を図るべく業者からの持込推進と持込業者の管理を確立する。
(3)住宅ローン既利用先に対する複合取引推進と管理態勢の構築
個別採算性向上のため管理態勢の構築ならびに複合取引の推進を図り、住宅ローンの被肩代りを防止する。
(4)営業力強化に向けた人材の育成
住宅ローン及び消費者ローン推進の担い手は、主に営業店の地区担当者とローンセンターであり、地区担当者のレベルアップにより効率の
よい業務遂行ができ、人員の見直しも可能となる。
【法人取引】
(1)適正金利の確保(ガイドライン金利を意識した推進活動の徹底)
(2)信用リスクに応じた新商品の検討
(3)地域密着型金融の継続推進
①ライフサイクルに応じた中小企業支援の一層の強化
②目利き能力の向上による最適な資金供給手法の徹底
③地域の情報集積を活用した地域経済への貢献
④産学官連携支援の強化
【事業性・消費性融資】
(1)事業性融資 ①営業基盤の強化(新規事業先・復活取引先の獲得、既取引先の維持管理・シェアアップ)
②優良貸出金の強化(マル保融資の強化)
③資産家層への資産活用提案(アパマン融資の強化)
④上記につき、本部ならびにブロック対応FSTによる開拓能力の向上
⑤特定業態(福祉など政府成長分野)への融資拡大
⑥適正金利の確保(貸出金ガイドライン金利の遵守) (2)消費性融資 ①住宅ロ-ンの増強(業者提携、業者渉外、休日ロ-ン相談会の開催、職域住宅ロ-ン推進態勢の強化、キャンペ-ン金利の継続実施)
②消費者ロ-ンの増強(休日ロ-ン相談会の開催、職域の消費者ローン推進態勢の強化、カードローン推進強化) ③住宅ローン推進は、主にブロック対応FSTによる開拓能力を向上
④非対面チャネル(HP、モバイル)による販売検討
14
6.「地域密着型金融推進計画」
に関する方針について
1.中期経営計画と地域密着型金融推進計画の関係
「中期経営計画(平成23年度~平成25年度)」では、地域密着型金融の推進を含めた計画
となっており、「地域密着型金融推進」に向けての基本方針のもと、アクションプランや
事業運営方針を作成しております。「地域密着型金融推進計画(平成23年度~平成25年度)」
は「中期経営計画(平成23年度~平成25年度)」と連動、補完する行動計画となっています。
2.「地域密着型金融推進」に向けての基本方針
3つの基本方針に基づき、質的にも高い個別施策の実現を積極的に目指し、お客様の期待
に応えていきます。
(1) お客さま・地域のニーズを十分に把握し、応える取組みとします。
(2) お客さま・地域の成長とともにさいしんも成長できる、持続可能な取組みとします。
(3) 専門性の高い金融機関として、お客さまを支える取組みとします。
15