新緑の房総半島、懐石列車の旅

新緑の房総半島、懐石列車の旅
林 弥太郎(東京都港区)
期 間:2012 年 5 月 28 日(月) 日帰り
参加者: 8 名
リーダー:林 弥太郎
費用:4,000 円(懐石列車食事券および乗車料金)
いでいます。首都圏では珍しい非電化路線、つまり、
電車ではなくディーゼルカーにより運行されるローカ
ルムードたっぷりの路線です。
途中に大きな街はなく、
特別な観光路線ではないため、東京に近い割には乗車
した人が少ないのではないでしょうか。
汽車旅クラブは、1 月の鉄道博物館見学会に続き、
第 2 回の集まり「新緑の房総半島、懐石列車の旅」日
帰り国内旅行を行いました。第 1 回目は「旅」というよ
りも汽車旅クラブ復活の初顔合わせと鉄道博物館見学
でしたから、今回が汽車旅クラブの初旅となったわけ
です。東京から日帰りできる行き先を探したところ、
千葉の小湊鉄道で「懐石列車」なる列車が運転されて
いるようです。乗るだけでなく味の旅も楽しむべく、
小湊鉄道出発駅の五井へ
朝 9 時 20 分、東京駅地下の京葉線ホームに集合、
ほぼ旧都庁の下にあるため地上ホームから、かなりの
距離があり、少々わかりにくいこともあって、集合に
もちょっと手間取りましたが、何とか集合時間には全
員集合し、予定通り出発。この京葉線は通勤電車なが
らも埋立地を快調に飛ばす路線なので、東京近郊にし
ては珍しく雄大な景色を楽しみながら房総の入り口駅、
この懐石列車に乗る日帰りの旅を企画しました。
蘇我に到着、内房線に乗り換えて小湊鉄道の出発駅、
五井に到着。
小湊鉄道とは
ところでこの小湊鉄道、東京の近郊にありながら鉄
道ファン以外には意外と知名度が少なく、乗ったこと
のある人も多くはなさそうです。京葉工業地帯の中心
地、五井を基点とし、房総半島中央部を東に伸びてい
ますが、そのまま外房へ到達することはなく、途中の
上総中野というところで止まる全長 39.1km の行き止
まり線で、外房へは第 3 セクターのいすみ鉄道がつな
レトロな改札
JRから乗り換えると、着いてびっくり、小湊鉄道
のプラットホームそのものが昭和レトロ、それも昭和
30 年代の雰囲気たっぷりです。Suica、Pasmo はおろ
か、切符自動販売機も見当たりません。ホームでは女
性係員が机を出して切符を売るかたわら、懐石列車の
受付をしています。
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電車ではないよ!架線がないよ
そこに入ってきたのが 2 両編成のディーゼルカー。
それが証拠にエンジン音が聞こえてきて屋根からはう
っすら煙が出ています。2 両のうち、後ろが一般客用、
前が懐石列車専用で、中に入ると通勤電車タイプのシ
ートの前にテーブルが、そしてその上に懐石弁当がし
つらえられ、40 席程の車内は満席です。小湊鉄道の社
員がバスガイドよろしく、鉄道の歴史、車窓の説明を
始めました。
懐石弁当に舌鼓
味もよくボリュームある懐石弁当に舌鼓を打ちな
がら車窓に見入り、クイズも入った楽しい説明に聞き
入っているうちに、この列車の終着駅、養老渓谷に到
着。あっという間の1時間でした。この懐石弁当も普
通の駅弁だったら、味、ボリュームともベスト 3 に入
っているでしょう。
腹ごなしのハイキング
さっそく腹ごなしをかねて、ハイキングに出発。少
し歩くと養老温泉街に出ますが、沿線随一の観光地に
してはひっそり。道沿いに点在する旅館は廃業したと
ころも多く、行き交う車や人もほとんどおらず、まる
で時が止まったようです。歩くこと 40 分弱。顕現あ
らたかそうな出世観音に到着します。アップダウンは
あまりなく、どちらかというとウオーキングに近いコ
ースで、途中トンネルなどもあっておもしろいコース
です。境内からは、もし晴れていれば東京湾が遠くに
望めるのでしょうが、今日は残念ながら霞んでいて見
ることができません。再びなだらかな道をたどり、養
老渓谷駅に戻ります。
懐石列車の先頭車前で記念撮影
雰囲気最高の沿線風景
そしてエンジン音も高らかに発車すると、スピード
は上がらないのに揺れること、揺れること。
「この懐石
列車の“売り”は懐石弁当だけではなく、レトロな雰
囲気と、平凡な風景、そしてこの音と揺れです」と普
通ならマイナスとなるところを、逆手に取って“売り”
にしてしまっています。止まる駅もレトロな駅ばかり
です。
止まるたびに、
どこかで見た風景かと思ったら、
よくテレビのコマーシャルに使われるとのこと。確か
にこれだけのレトロな駅の連続はローカル線といえど
駅には足湯
駅の無料足湯に浸かり、疲れがとれたころには、五
井へ戻る列車の発車時刻です。何しろ 1 日9本しかな
い列車なので、乗り遅れるわけにはゆきません。帰り
の列車は一般の列車ですが、なんと1両。それでもわ
れわれ以外の乗客は 10 人にも満たず、しかもワンマ
ンカーではなく若い女性車掌が乗車し、駅名を告げた
り、切符を売ったりと忙しく車内を歩き回る姿は、ま
るで昔の田舎のバスです。ディーゼルカーに揺られな
がら出発地の五井へ戻ります。しかしここで東京へ戻
もなかなかありません。
るのではなく、さらにぐるっと1回り、内房線を南下
し鋸山の麓、浜金谷へ。
帰りはフェリーで東京湾横断
ここから三浦半島の久里浜までの、お手軽クルーズ
ともいえる 50 分ほどの東京湾フェリーに乗船。港近
くのお店で新鮮な海産物をお土産にしたあとは、夕暮
れの東京湾を横断して久里浜へ到着。ちょっとユニー
クな汽車旅&船旅を楽しんだ参加者は元気に帰途に着
きました。
車中での懐石弁当に舌鼓
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