史上3カ国目の「有人宇宙飛行」

石岡総一郎
地球資源学科/7503007/石岡総一郎
現代論評を読む B
〜史上 3 カ国目の「有人宇宙飛行」に挑む中国の狙いは何か〜
(ニュースの科学方程式 23/中野不二男/中央公論 11 月号 p256〜)
・ 起
中国が科学技術の粋とも言える有人宇宙飛行を急ピッチで計画している。
この有人宇宙飛行技術といえば、ロシア(旧ソ連)、アメリカ合衆国の二カ国のみが成功している技術
であり、我が日本は計画こそあるものの、基礎的な実験のつまずき、例えば、H‑Ⅱロケットの失敗など
のせいで、事実上白紙の状態にある。
・ 承
本文を読んで判るとおり、中国のGDPは日本の 1/38。一見、社会主義国特有のプロパガンダにも思
えるが、科学技術の高さを訴え、電化製品の信頼性をアピールするのには確かにうってつけの行為かも
しれない。
ここで、著者は中国が用いた技術を安定性は高いが、古臭い 枯れた技術 と称して、現在のアメリ
カ合衆国や、日本の求めている先端技術とは発想を異にするものといった感覚で書いているが、それは
この事例の一つの側面しか捉えていない。
帰還形宇宙船、即ちスペースシャトルは危険性が非常に高いのだ。技術が最も進んで、気軽に打ち上
げを行っているようにも見えるアメリカですら事故率は約 2%。この数字を高いと見るか低いと見るかだ
が、初めて有人飛行を行うのであれば、技術力云々の前に、安全性の高いソユーズ型の技術を使用する
のが普通な考え方とも言える。
また、枯れた技術とは言うものの、開発が東欧系か西欧系かの違いだけであり、ロシアの方は予算的
に頓挫しているものの、その技術の発想が旧世代的なものとは言い切れない。
・ 転
ここで少し、宇宙開発の歴史に目を向けてみよう。
宇宙開発は本来、軍事利用としての側面が強く、東西冷戦の折に軍事偵察を目的に開発されたのが現
在の米ロの持っている技術の基礎となっている。
また、その派手さからも、両国のプロパガンダとしても利用され、現在の知的探求という側面はかな
り後になって実現されたものである。日本の宇宙開発にしろ、最近の一番の成果といえば、観測衛星と
いう名の軍事偵察衛星の打ち上げに成功したというものなのだから、実際はその知的探求などというも
のは幻想なのかもしれないが。
さて、この様な見方をすると、中国はその歴史をたどっているように思えるし、本来の目的である軍
事利用という見地からは、信頼性を重視する中国の考え方は非常に合理的で、逆に日本の開発路線は出
来もしない事を無駄に行っているとも考えられなくはないのだ。
事実、現在の宇宙ステーションへの物資の輸送はロシアがソユーズをもって事に当たっている。これ
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は信頼性ならばロシア系の技術の方が高いことを西欧側が認めていることも意味するのだ。
・ 結
ガガーリンが宇宙から帰ってきて未だ半世紀たっていない。仮に中国が打ち上げに成功したならば、
21 世紀の中ごろには今のアメリカ合衆国のような世界の先端の技術を持つという可能性も示唆される
こととなろう。
現在の西欧的技術ではなく、東欧の、今まではあまり一般的ではない技術から生み出される発想は、
現在、我々の科学技術がいくら進んでいるといっても予測は出来ない技術を生み出す可能性もある。
アメリカ合衆国、日本、西欧州の科学技術は、現在確かに世界をリードしている。しかし、それがい
つ斜陽になるかという事は誰にも予測はつかない。過去に異端とされた東欧や社会主義の国家での研究
を、 枯れた技術
と切り捨てるのではなく、そこに新しいものが無いか探し出す貪欲さが今後の技術
者に求められていくのかもしれない。
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