270 MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY Vol.24 No.4 September 2006 * 研究論文 * 眼底画像における高血圧症診断支援のための 血管交叉部の自動解析 高橋 亮 *1 畑中 裕 司 *2 中川 水草 豊 *4 藤田 明 宏 *4 加古川 正 勝 *3 原 要 俊 明 *1 林 佳 典 *1,3 青 山 武 史 *1 藤田 陽 *1 広 志 *1 旨 本研究では,高血圧性網膜症に伴う細動脈硬化性変化の診断所見である血管の交叉現象を眼科医が診断 することを支援するために自動解析する手法を提案する.本手法では,最初にカラー眼底画像の緑成分画 像から二重リングフィルタを使って血管を抽出した.次に,交叉点から離れた血管領域の中心点を求め,中 心点の G 成分の値がもっとも低い血管を静脈とした.そして,交叉点と血管の中心点を結んだ直線の垂線 上の画素値プロファイルに対してゼロ交差法を用いて血管壁を決定し口径を求めた.最後に,交叉点付近 の口径と交叉点から離れた位置の口径の比を算出し,その値によって良悪性を判定した.眼底画像の血管 交叉部の画像 42 枚に対して本手法を適用した結果,感度が 70.0% のときに特異度が 75% と良好な結果を 得た.この結果より,本手法が医師の高血圧性網膜症の診断を支援できる可能性があることが示唆された. キーワード:コンピュータ支援診断システム(CAD),眼底画像,高血圧性網膜症,動静脈交叉部の解析, 血管口径の測定 Med Imag Tech 24(4): 270-276, 2006 1.はじめに 近年,人間ドックや集団検診などの受診者数 および受診頻度は増加傾向にあり〔1〕,高血圧症 などの生活習慣病を早期に発見する手段として 眼底検査が普及しつつある. 眼底検査の実施件数が増加すれば,診断する 医師の負担が大きくなることが予想されるた め,コンピュータを用いて画像解析を行い,そ の結果を医師に提示することによって診断を支 援するコンピュータ支援診断(Computer aided diagnosis: CAD)システムの開発が求められてい る.眼底写真に関する画像解析はこれまでも多 く行われており,血管の抽出法〔2, 3〕や血管口径 の測定〔4〕,交叉現象の自動認識〔5〕,動静脈認 識法〔6〕,視神経乳頭の認識〔4, 7 ~ 10〕などが提 案されている. *1 岐阜大学大学院医学系研究科〔〒 501-1194 岐阜市柳 戸 1-1〕 e-mail: [email protected] *2 岐阜工業高等専門学校 *3 タック㈱ *4 興和㈱ 投稿受付:2006 年 5 月 19 日 最終稿受付:2006 年 8 月 25 日 採用決定日:2006 年 9 月 7 日 これまでに,われわれも眼底画像の診断の補 助を目的とした眼底 CAD システムの開発を行っ てきた〔11~18〕.そこでは,二重リングフィルタ を用いた血管の自動検出〔11〕や血管交叉部の 検出〔12, 13〕,口径不同の判定〔13~17〕,血管の 狭窄部の検出〔16, 17〕,出血部の検出〔15〕,視神 経乳頭の認識〔18〕などがある. 本研究では,これまでに研究報告例の少ない 血管交叉部の自動解析処理の開発を目的とし た.ここで,血管交叉部とは視神経乳頭から伸 びる主幹となる動脈と静脈が交叉する箇所のこ とをいう.血管交叉部では動脈硬化が進むにつ れ正常な状態から交叉現象と呼ばれる状態に変 化する.交叉現象では,動脈と静脈が重なる部 分(以下,交叉の中心)で静脈が細くなり,医師 はこの状態によって細動脈硬化の程度を推測し ている.ここで交叉現象の症例を Fig. 1(a) と Fig. 1(b) に示す.Fig. 1(a) では視神経乳頭部から伸び ている動脈と静脈が交わった交叉部を矩形領域 で示しており,Fig. 1(b) はその矩形領域を拡大し たものである.Fig. 1(b) では,右上から左下の方 向に走行する静脈が交叉の中心に近づくにつれ 細くなってゆく様子が確認できる.このような 静 脈 の 形 状 変化を自動的に認識することが本研 Med Imag Tech Vol.24 No.4 September 2006 究の目的である. 本論文では,交叉の中心付近の静脈口径と周 囲側付近の静脈口径との比を静脈口径比と定義 し,静脈口径比による交叉部の異常と正常(硬 化性変化ありと変化なし)の分類を試みた. 2.方 法 1)対象画像と前処理 使用した画像は,解像度 600 万画素の眼底カメ ラを用いて撮影されたディジタル眼底画像から 交叉の中心が画像の中心となるように手動で切 り出した画像(以下,交叉部画像)44 枚であり, 異常画像 10 枚,正常画像 34 枚である.切り出 した画像 1 枚あたりの大きさは 300 × 300 画素, RGB 各 256 階調のカラー画像である. 次に,カラーの交叉部画像においては緑の画 素値(G)成分のみで濃淡画像を作成すると血管 領域とそれ以外の領域とのコントラストが高く なること〔19~21〕から,カラー眼底画像を G 成 分のみで構成した濃淡画像に変換し,以下の処 理ではこの画像を用いた.Fig. 2 に全体の処理の 流れを示す.まず原画像に対して前処理として G 成分画像を作成し,G 成分画像に対して血管 抽出処理を行った.次に抽出した血管から静脈 を認識し,静脈の血管の口径を測定した.最後 に,測定した血管の口径の変化により,交叉の 異常・正常を判定した.これらの流れを以下に 詳細に述べる. 2)血管抽出 G 成分画像に対して二重リングフィルタ〔12〕 を用いて血管抽出処理を行った.二重リング フィルタの構造を Fig. 3(a) に示す.計算する領 域は注目画素(x, y)の周辺の小さい方から領域 A 271 と領域 B として,それぞれの直径は 3 画素と 41 画素である.このフィルタは内円と外周の領域 の平滑化差分を特徴量としており,領域 A の平 均濃度値から領域 B の平均濃度値を減算する.そ して,その値が 3 未満であったときはその注目 画素が血管であるとして 1 を出力する.また 3 以 上のときは 0 を出力する.対象となる血管の口 径は最大 20 画素程度であるため,計算領域に血 管領域と背景領域が含まれるようにフィルタの 直径を 40 画素に設定した.眼底画像の G 成分画 像では血管の濃度値は背景の濃度値と比較して 低いことから,フィルタが血管領域にある場合 は外周領域の値が内領域の値に比べて高くな り,血管が抽出されることになる.血管直近の 背景上で内領域は背景のみの値をとるが外周領 Pre-processing Vessel extraction Venous recognition Vessel diameter measurement Determination of abnormal image Fig. 2 A flowchart of our proposed method. (x,y) 41 pixels B B ・ ・ ・ ・ ・ B B ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ B B B B B ・ ・ ・ B A A A B ・ B B ・ ・ A B ・ ・ ・ ・ B A ・ ・ B A A A B ・ ・ ・ ・ B B B B B ・ ・ B ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ B B B ・ ・ ・ ・ ・ B B (a) (a) (b) Fig. 1 An example of retinal image with a decreased venula visibility at arteriovenous intersection point. (a) An original retinal image. (b) The enlarged image of a rectangular region shown in (a). (b) (c) Fig. 3 Extraction of blood vessels. (a) A double ring filter model. (b) Green-bit image. (c) Result of vessels extraction. Med Imag Tech Vol.24 No.4 September 2006 域は血管の値を含むため,外周領域の値が内領 域の値に比べて低くなり,血管直近の背景領域 は出力されない.入力画像とする Fig. 3(b) を対 象にこの処理を行い,血管抽出処理を行った画 像を Fig. 3(c) に示す.二重リングフィルタの利点 は,ラプラシアンなどのエッジ検出法に比べて ノイズの影響を受けにくいことである.一方, フィルタの直径を大きくしたりしきい値を大き くすると,コントラストの低い血管の抽出に失 敗する傾向にあり,直径を小さくしたりしきい 値を小さくするとノイズの影響を受けやすくな る問題点がある.これらの問題は,交叉部の中心 の直近で血管抽出に失敗することがあったが, 血管の抽出結果は次の処理である血管の静脈認 識処理で利用するが,この処理は画像の端に近 い領域のおおよその血管領域を用いて口径を測 定するというものである.ここで,利用される領 域は処理の基点となる画像の端に近い領域のお およその血管領域であり,口径の測定も G 成分 画像を用いたゼロ交差法を利用するため,交叉 部の中心点の直近において血管抽出に失敗して も本手法の最終的な分類精度には影響しない. 3)静脈の決定 静脈口径比を求めるための前処理として,抽 出した血管領域から静脈を認識した. 最初に,Fig. 4(a) のような 2.2)で述べた方 法で抽出した血管において,交叉の中心からの 距離が 50 画素未満の領域では血管の抽出不足が あったが,50 画素以上離れた領域では抽出不足 は見られなかったことから,交叉の中心点を円 の中心とした直径 100 画素の円を設定し,その 円周上を走査する.円周上の画素を一次元の列 として捉えると,抽出領域は連続した画素列で あり,複数存在している.走査した円周上のお のおのの連続した画素列の中央の画素を各血管 候補領域の中心点に決定し,Fig. 4(b) のように交 叉の中心点と結ぶ. 血管の抽出結果では血管以外の領域が抽出さ れる場合があるため,血管候補領域から血管以 外の領域を除外する処理が必要となる.そこで, 血管抽出の結果と前述の処理で作成した直線を 重ねあわせ,その直線上で血管の候補領域と重 なっている画素が直線の全長の 50% 未満であれ ば,その直線上に存在する候補領域は血管では ないと判断して,以後の処理から除外した.Fig. Intersection Circle of interest Center point (a) (b) Fig. 4 Determination of four center points on blood vessels. Black area indicates blood vessel extracted. (a) Determination of an interesting circle. (b) Determination of blood vessel’s center points and center lines. 250 200 Pixel value 272 Vein Artery 150 R 100 G 50 0 B Color components Fig. 5 Distribution of RGB bit value. 4(b) では,交叉中心点から右上に向いている直線 がそれに該当する.これは,予備実験の結果か ら,抽出された血管の候補が動脈や静脈であっ たときには直線が全長の 50% 以上抽出領域と重 なる傾向にあるが,それ以外の場合には,直線 が全長の 50% 未満程度しか抽出領域と重ならな い傾向にあることが求められたからである. 次に,円周上の各中心点の G 成分の値を取得 する.眼底画像には,血管の中心が白く見える 血中反射と呼ばれる状態があり,円周上の中心 点が血中反射の位置にあるときは血管の値を正 確に取得できない.本研究で用いた眼底画像に おける血中反射の直径は 4 画素以下であったた め,血中反射の大きさを超える領域を考え,円 周上の中心点の周囲 5 × 5 画素における G 成分 の平均値を求めることにより血中反射の影響を 軽減した.各血管中心点の平均値を比較し,値 がもっとも低い中心点を静脈上の点として決定 し,交叉の中心点と円周上の中心点を結んだ直 線を静脈(以下,静脈中心線)とする.もっと も小さい G 成分の値を持つ直線を静脈中心線と した理由を以下に述べる. Med Imag Tech Vol.24 No.4 September 2006 円周上の中心点から交叉の中心点方向に 15 画素 向かった位置である.これは,予備実験の口径 比判定の結果から,判定精度がもっとも高い各 中心点からの位置として経験的に 15 画素と設定 した.Fig. 8(a) に医師が口径比の計測に用いた血 管を示すが,現在医師の診断ロジックに基づい て位置を自動的に決定する手法が開発できてい ないため,ここでは静脈口径を測定する位置を 前述のように経験的に決定した. 最後に式 (1) を用いて口径比の算出を行った. 静脈口径比 = 交叉中心点側の静脈幅 注目点側の静脈幅 (1) 本手法により求めた口径比の算出結果を Fig. 8(a) に示し,医師が計測した結果の例を Fig. 8(b) に示す. 3.結果と考察 2.1)で述べた交叉部画像 44 枚を用いて,動 脈と静脈を自動的に識別させた結果を Table 1 に 100 Green bit value 2.1)節で背景と血管のコントラストが G 値 においてもっとも大きいこと〔19 ~ 21〕は述べた が,ここで動脈と静脈の特徴量の差についてカ ラー画像における円周上の静脈と動脈の中心点 の RGB 成分値に対する分布を Fig. 5 に示す.同 図の横軸に濃度値,縦軸にそれぞれの RGB 成分 を示している.この図の動脈と静脈の値を比較 すると,青(B)成分はとくに差がないのに対し て,赤(R)成分と G 成分では値の差が大きい. 血管の動・静脈判別には,血管の色情報をよく 反映している R 成分あるいは G 成分の利用が効 果的であるが,予備実験の結果から,比較的高 い安定性が確認できた G 成分を利用した. 4)静脈口径比の解析 静脈中心線上を交叉の中心点から円周上の中 心点まで 1 画素ずつ走査し,各注目画素の前後 の点を結んでできる直線を用いて各画素におけ る垂線を求めた.Fig. 7 のように垂線上の画素値 プロファイルからゼロ交差法を用いて静脈壁を 定義し,静脈の口径を求めた. Fig. 7 の丸数字の位置は Fig. 8(a) の丸数字の位 置に対応する. 次に口径比の算出方法について述べる.口径 比の算出に用いる静脈口径の位置は,静脈中心 線上で交叉の中心点から 15 画素離れた位置と, 273 Position of determined line 80 60 40 20 0 ① Venous width ② ③ ④ Position Fig. 7 Profile of a perpendicular line of vein. ④ ③ ② ① Ratio = 0.83 Ratio = 0.81 (a) (b) Fig. 8 These images show results of measuring a venous diameter ratio. Black lines indicate positions measuring a venous diameter. (a) Result of measuring venous diameter ratio by ophthalmologist and (b) by this scheme. 示す.さらに,Table 1 で正しく認識できた静脈 42 本に限定して口径比の算出を行った結果を Fig. 9 のグラフに示す.最後に Fig. 9 に示した口 径比の分布から決定したしきい値を用いて,交 叉部を異常と正常に自動分類した結果を Table 2 に示す.これらの結果について以下に詳細に述 べる. Table 1 では,本手法が静脈を認識できるのか を目視で評価したものである.評価方法は,本 手法で決定した静脈中心線が実際の静脈上にあ れば正しく識別できたとした.このときの認識 率は 96%(42/44) となった.認識に失敗した 2 例 は,いずれも円周上の中心点が血中反射の中心 に設定された症例であった.これは,血中反射 上では血管の正確な値を取得できないことが原 因と考えられる.今回用いた 5 × 5 の移動平均 フィルタでは血中反射が強い場合,低減するこ とは困難であったため,新たな前処理手法を検 討する必要がある. 次にFig. 9の横軸は左から医師の算出した異常 画像の静脈口径比,同正常画像の口径比,本手法 に よ り 算 出 し た 異 常 画 像の静脈口径比,同正常 274 Med Imag Tech Vol.24 No.4 September 2006 Table 1 Accuracy of venous determination. Table 2 Accuracy of classification between abnormal and normal cases. Sensitivity Specificity Accuracy of classification 70 % (7 / 10) 74 % (31 / 42) 75 % (24 / 32) 画像の口径比を示している.医師の算出した血 管口径比の分布から,本手法で用いるしきい値 を 0.8 と決定した.画像を観察すると,正常な交 叉部でも静脈が若干細くなっているように見え る部分が存在していた.これは,動脈に並走す るように静脈が走行し交叉する症例(以下,X 型 交叉という)に多く,口径を測定するときは両 側の静脈壁の対応する点の距離を見るが,X 型 交叉では片側の静脈壁が動脈の下に隠れてしま い,上にくる動脈壁を片側の血管壁だと考える ためであると考えられる.このような症例に対 しては口径比のみによる処理だけでは,分類は 困難であった.本研究では口径比を利用した判 別手法を開発したが,医師は静脈が動脈の下に 入り込むときの静脈壁の曲がり具合も考慮して 診断を行うことから,交叉部における静脈の屈 曲度を特徴量として用いることは精度向上に有 用であると推測される. Table 2 では Fig. 9 の結果で決定したしきい値 0.8 以上の口径比の交叉部を正常とし,0.8 未満 のものを異常として分類した.その結果,感度 は 70%(7/10),特異度は 75%(24/32) となった. 失敗した症例は,X 型交叉である場合と,静脈 が動脈の上を走行する場合である.静脈が動脈 の上を走行する症例においては,静脈が細くな らないために異常の場合であっても口径比が 0.8 以上となる場合があるため,口径比での判別は 困難である.このような症例に対しては前述し た屈曲度を考慮した判別により,正しく判別が 行える可能性があると考えられる.また,X 型 交叉においては,前述の問題に加え,動脈壁と 静脈壁のコントラストが小さいため,ゼロ交叉 法では動脈壁と静脈壁の境界を正確に識別する ことができないことから正確に口径を測定する ことができないことが 原 因 と 考 えられる.その 1.2 Ratio of venous diameter Abnormal Normal Accuracy of venous determination 100 % (10 / 10) 96 % (42 / 44) 94 % (32 / 34) 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 Abnormal Abnormal Normal Normal 【Doctor】 【Computer】 Fig. 9 Distribution of ratio of a venous width. ため,コントラストを強調する前処理の追加や 動静脈壁の識別手法を改善する必要がある. Table 2 の結果を,交叉の角度により分類した ところ,角度がほぼ直交となる交叉部では 90% の感度が得られたが,X 型交叉では 60 ~ 70% 程 度という結果を得た.このことから,本手法は 典型的な形状の交叉部では高い精度が得られる ことがわかった.今後は X 型交叉のような口径 比のみでの判定が困難な症例に対応するため に,静脈の屈曲度を利用した手法の開発を行う 予定である. 4.まとめ 静脈口径比による血管交叉部の解析手法を開 発し,静脈選択に成功した 42 枚に対して評価を 行った結果,70%(7 / 10) の感度および 75%(24 / 32) の特異度が得られ,初期検討としては良好な 結果が得られた.今後は多症例に対して実験を 行う予定である.また,本報告では 1 種類の高 解像度デジタルカメラで撮影した眼底画像を使 用したが,今後は国内で広く普及しているアナ ログの眼底カメラで撮影した眼底写真に対して も本手法を適用して評価を行う予定である. 謝 辞 本研究は,文部科学省の知的クラスター創成事業(岐 阜・大垣地域「ロボティック先端医療クラスター」 )の 援助で行われました. 文 献 〔 1 〕 田村政紀,小川哲平,日野原重明,他:検診・人間 ドックハンドブック.中外医学社,東京,2004,pp2-4 〔 2 〕 松井瑞夫,田代忠正,松本 和,他:眼底写真の自 動定量診断に関する研究その1血管像の抽出方法.日 本眼科学会誌 77: 209-220, 1973 Med Imag Tech Vol.24 No.4 September 2006 〔 3 〕 大森裕明,山村結真,武田 朴,他:眼底画像のパ ノラマ合成-モルフォロジカルフィルタを用いた血 管抽出-.医用電子と生体工学 39: 479, 2001 〔 4 〕 Tamura S, Okamoto Y, Yanashima K : Zero-crossing interval correction in tracing eye-fundus blood vessels. Pattern Recognition 12: 227-233, 1988 〔 5 〕 横内久猛,山本真司,鈴木孝治,他:眼底写真の自 動認識(その1)血管境界線抽出による眼底写真中の 交叉現象の自動認識.医用電子と生体工学 12: 123-130, 1974 〔 6 〕 秋田興一郎,久家秀樹:眼底画像における血管パ ターンの認識方法.信学論 J64-D: 729-736, 1981 〔 7 〕 秋田興一郎,久家秀樹:眼底画像における特徴箇所 の検出と解析の方法.信学論 J64-D: 995-962, 1981 〔 8 〕 Yannis Y, Stavros PM : A fuzzy vessel tracking algorithm for retinal images based on fuzzy clustering. IEEE Trans Med Imag 17: 263-273, 1998 〔 9 〕 Li H, Chutatape O: Boundary detection of optic disk by a modified ASM method. Pattern Recognition 36: 20932104, 2003 〔10〕 Hoover A, Goldbaum M: Locating the optic nerve in a retinal image using the fuzzy convergence of the blood vessels. IEEE Trans Med Imag 22: 951-958, 2003 〔11〕 杉尾一晃,国枝孝光,藤田広志,他:眼底写真にお ける血管解析に関する研究-血管とその交叉部の抽 出-.医用画像情報学会雑誌 16: 173-178, 1999 〔12〕 杉尾一晃,国枝孝光,藤田広志,他:眼底写真にお ける血管交叉部の解析.日本放射線技術学会雑誌 56: 507-509, 2000 275 Proc of the 7th International Conference on Virtual Systems and MultiMedia(VSMM) : 429-438, 2001 〔14〕 陸 苗,畑中裕司,月山圭太,他:Automatic distribution and shape analysis of blood vessels on retinal images. 信学技報 MI2002-126: 83-86, 2003 〔15〕 畑中裕司,原 武史,周 向栄,他:眼底写真にお ける血管の追跡処理による動脈の口径不同の自動検 出.生体医工学 42: 236-240, 2004 〔16〕 Hatanaka Y, Zhou X, Hara T et al: Automated detection algorithm for abnormal vessels on retinal fundus images. Proc of the 10th International Conference on Virtual Systems and MultiMedia(VSMM) : 303-306, 2004 〔17〕 Hatanaka Y, Zhou X, Hara T et al: Automated detection algorithm for arteriolar narrowing on fundus images. Proc of the 27th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society(EMBS): 291, 2005 〔18〕 中川俊明,畑中裕司,林 佳典,他:眼底画像にお けるモルフォロジーフィルタを用いた血管抽出およ び視神経乳頭部の認識.電信技報 105: 67-71, 2005 〔19〕 Chaudri S, Chatterjee S, Katz N et al: Detection of blood vessels in retinal images using two-dimentional matched filter. IEEE Trans Med Imag 8: 263-369, 1989 〔20〕 Nelson M, Katz N, Goldbaum MH et al: An image processing system for automatic retina diagnosis. Proc SPIE Conf Elec Imag 902: 10-14, 1988 〔21〕 Goldbaum MH, Kouznetsova V, Cot’e BL et al: Automated registration of digital ocular fundus images for comparison of lesions. Proc SPIE Conf 1877: 94-99, 1993 〔13〕 Hayashi J, Kunieda T, Cole J et al: A development of computer-aided diagnosis system using fundus images. Automated Analysis of Blood Vessel Intersections in Retinal Images for Diagnosis of Hypertension Ryou TAKAHASHI*1, Yuji HATANAKA*2, Toshiaki NAKAGAWA*1, Yoshinori HAYASHI*1, 3, Akira AOYAMA*1, Yutaka MIZUKUSA*4, Akihiro FUJITA*4, Masakatsu KAKOGAWA*3, Takeshi HARA*1, Hiroshi FUJITA*1 *1 Graduate School of Medicine, Gifu University Gifu National College of Technology *3 TAK Co., Ltd. *4 Kowa Company, Ltd. *2 Intersections of venous and arterial vessels are seen in retinal images. In this report, we propose a technique involving retinal images in which the changes in diameter of venous vessels where they intersect arterial vessels are analyzed in order to diagnose the arteriolosclerosis associated with systemic hypertension. The retinal images are represented using RGB values, but we found that the venous and arterial vessels can be distinguished using the G values alone. Therefore, the retinal images used in this study consisted of the G values only. A double-ring filter is first employed for blood vessel extraction, and the intersections of pairs of vessels are identified manually. The veins in the venous-arterial vessel pairs can easily be identified because the G value is lower. The centerlines of the blood vessels are then determined by locating the midpoints of the cross-sections of the blood vessels at a distance 50 pixels away from the point of intersection and joining these mid-points to the point of intersection with straight lines. The diameters of the vein at distances 15 pixels (point B) and 85 pixels (point A) away are measured, and the ratio of the two diameters is 276 Med Imag Tech Vol.24 No.4 September 2006 used to diagnose systemic hypertension. For 42 digital retinal images analyzed, the sensitivity and specificity were found to be 70% and 75%, respectively. These results indicate that this technique may be helpful to ophthalmologists in the diagnosis of the arteriolosclerosis associated with systemic hypertension. Key words: Computer-aided diagnosis (CAD), Measurement of vessel diameter, Retinal image, Analysis of arteriovenous intersection point Med Imag Tech 24(4): 270-276, 2006 高橋 亮(たかはし りょう) 2005 年岐阜大学工学部応用情報学科卒 業.同年岐阜大学大学院医学系研究科博士 前期課程入学,現在に至る.医用画像処理 システムの研究に従事. 豊(みずくさ ゆたか) 1986 年興和㈱入社.工業用・医用機器 製品の電気回路設計開発経て現在,工業 用・医用画像処理に関する開発研究に従 事. 畑中裕司(はたなか ゆうじ) 藤田明宏(ふじた あきひろ) 1994 年岐阜高専・電子制御卒.同年イ ビデン㈱入社.1997 年富山高専・専攻科・ 機械・電気システム工学専攻了.1999 年 岐阜大大学院・工・博士前期課程電子情報 工学専攻了.2002 年同大大学院・工・博 士後期課程電子情報システム工学専攻了. 現在,岐阜高専・電子制御・助手.博士 (工学) .パターン認識,およびその医用画 像 へ の 応 用 に 関 す る 研 究 に 従 事.日 本生体医工学会,医用画像情報学会,日本 医用画像工学会,日本放射線技術学会,コ ンピュータ支援画像診断学会,画像電子学 会の各会員. 水草 1977年信州大学工学部精密工学科卒業. 同年興和㈱入社. 加古川 正勝(かこがわ まさかつ) 1974 年揖斐川電気工業㈱(現,イビデ ン㈱)に入社.1976 年タック㈱に転籍.現 在,技術部に所属. 中川俊明(なかがわ としあき) 1997 年藤田保健衛生大学衛生学部診療 放射線技術学科卒業.1999 年鈴鹿医療科 学大学大学院医療画像情報学研究科修士 課程修了.2002 年岐阜大学大学院工学研 究科博士後期課程電子情報システム工学 専攻修了.同バーチャルシステムラボラト リー中核的研究機関研究員.2005 年同大 学院医学系研究科産官学連携研究員.博士 (工学) .主にコンピュータ支援診断システ ムに関する研究に従事.日本生体医工学 会,医用画像情報学会,日本医用画像工学 会,日本放射線技術学会の各会員. 林 佳典(はやし よしのり) 2001 年静岡大学情報学部情報社会学科 卒業.同年,タック㈱入社後,健診システ ムの開発などに従事.現在,岐阜大学大学 院医学系研究科知的クラスター創成事業 共同研究員.主に医用画像処理に関する研 究に従事.日本医用画像工学会会員. 青山 陽(あおやま あきら) 2000 年岐阜大学医学部医学科卒業.現 在岐阜大学医学部附属病院眼科医員.緑内 障の治療・研究に従事.日本眼科学会,日 本眼科手術学会,日本緑内障学会の会員. 原 武史(はら たけし) 1968 年生まれ,1995 年 12 月岐阜大学大 学院工学研究科退学,同大学工学部応用情 報学科技官.1997 年同助手.2001 年同助 教授.2002 年同大学大学院医学系研究科 再生医科学専攻助教授.工学博士.医用画 像のための画像処理および画像認識,コン ピュータ支援診断(CAD) システムの開発 に関する研究に従事.電子情報通信学会, 日本生体医工学会,医用画像情報学会,日 本医用画像工学会などの会員. 藤田広志(ふじた ひろし) 1976年岐阜大学工学部電気工学科卒業. 1978年同大学院工学研究科修士課程修了. 同年岐阜高専・助手,1986 年同・助教授. この間,1983~1986 年シカゴ大学ロスマン 放射線像研究所・客員研究員.1991 年岐 阜大学工学部・助教授,1995 年同・教授, 2002年同大学院医学系研究科(知能イメー ジ情報分野)・教授.工学博士.医用画像 情報学会(会長),コンピュータ支援画像 診断学会(副会長),電子情報通信学会・ 医用画像研究会(副委員長),日本医用画 像工学会(幹事),日本放射線技術学会 (評議員)などの会員.
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