「発達障害って知っていますか」 青陵中学校2年 奥村由輝 みなさんは「発達障害」と言うものを知っていますか?身体的障害はなく,生まれた時 からの脳の障害と言われています。虐待などで同じような症状が出ることもあるようです。 発達障害のある人は,コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。種類として は,自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害・学習障害・注意欠陥多動性障害など があります。発達障害は,複数の障害が重なって現れることもあるし,障害の程度や年齢 (発達段階)生活環境などによっても症状は違ってくると言います。 僕は,知られているようでまだまだ知られていない「発達障害」を,もっとたくさんの 人に知ってもらいたいと思ってこの作文を書きました。 僕は「アスペルガー症候群」と「注意欠陥多動性障害」と言う障害があります。小学校 に入学するまでは全然分からず「ただ元気いっぱいでやんちゃな子」だと思っていたそう です。それでも保育園では友達をたたいたり,ケンカしたりとトラブルは数多くあったみ たいです。 小学校に入学して,とてもたくさんの人の中に入り,席に座って授業を受けるようにな りとつぜん時間の自由がなくなり,おしゃべりもできなくなり,何が起こったのか分かり ませんでした。すぐに運動会の練習も始まり,並んで待つことが多くなり,よく理解ので きない僕は列からはなれてしまうことが多くありました。すると先生に怒られて,うでに 先生の手のあとがつくほど強くにぎられ列に戻されました。怖くなった僕は何度も学校か ら飛び出して家に逃げて帰りました。学校を飛び出したのが先生にバレると,先生はすご い勢いで走っておいかけて来るんです。そんなことをくり返していたから,お母さんは何 度も何度も学校に呼び出されました。お母さんはいつも泣いていました。 「もう学校に行かなくていいから,二人でずっと家に居ようか」 と,何度も言われました。でも,僕は学校が大好きでした。登校中に問題を起こすと,毎 日お父さんが学校に送って行ってくれました。ある日お父さんとお母さんが校長先生に呼 ばれて学校へ行きました。 「半年様子を見てきたが,いいかげん落ち着いてきてもいい頃だけど,どういう事だ。何 があったんだ」 と言われたそうです。そして… 「一度検査をしてみたらどうですか?」 と言われました。すぐに市の教育委員会の相談所に予約を取りました。そこで検査をした 後にメンタルクリニックを紹介してもらいました。診断名「アスペルガー症候群」。後に, 注意欠陥多動性障害もあると知りました。 小学校一年の夏休み明けに,僕は支援級に編入しました。支援級はとても楽しかったで す。バスに乗って買い物に行ったり,農園の世話をしたりと,生活の授業がたくさんあり ました。交流で通常級に行っても,友達は変わらず遊んでくれました。これで何もかも安 心か?と思いました。でも…違いました。下校中に上級生にカサでなぐられたり,同級生 5~6人によってたかって文句を言われたり。廊下ですれ違った見た事もない上級生の女 子に 「5,6組の奥村じゃん?バーカ」 と言われたり。支援級に居るだけでいじめの対象になるんです。支援級に居た間ずっと, 言われ続けました。 でも,そんな人ばかりではありません。僕が何度問題を起こしても,助けてくれて遊ん でくれる友達はいました。お父さんもお母さんもいつも話を聞いてくれて,助けてくれま した。先生も,いつも助けてくれました。市の教育委員会の「にじのこ相談所」の先生た ちも,いつも僕を助けてくれました。みんなのサポートがあって,小学校五年生から通常 級に戻りました。その後もトラブルはありましたがなんとか中学二年の今の僕が居ます。 成績は決して良くはありません。でも,中学一年の冬に僕は「柔道」に出会いました。初 めて人に認められて,期待されることを覚えました。柔道の世界には僕の居場所がありま す。アスペルガーと知っていても必死に理解して教えてくれる道場の先生方がいます。夏 休みには県大会にも出れました。発達障害のあるみんな,辛い事もあるけどそれだけじゃ ないよ。いい事は必ず来るからがんばって!!お父さん,お母さんもあきらめないで。僕 のお母さんは「僕を生んで良かった」といつも言っています。発達障害を知らない人は, 少し調べてみて下さい。少し理解してみて下さい。みんな同じ人間なんですから。
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