(57)【要約】 【課題】 室内装飾品として利用出来る繭糸による立体 形状

(57)【要約】
【課題】
室内装飾品として利用出来る繭糸による立体
形状構造物を簡単に製造できる方法並びに装置を提供す
ること。
【解決手段】
煮熟繭aから解離された繭糸bを濡れた
状態のまま、立体形状の繰枠3に巻き取る。繭糸bが保
持している粘着性のセリシンにより繭糸相互を膠着さ
せ、その後該繭糸を繰枠3に巻かれた状態で乾燥して、
室内装飾品として利用出来る立体形状構造物を製造する
こと。
(2)
特開平10−144120
【特許請求の範囲】
せる絡交機とを備えた繰糸手段と、該繭糸を繰枠に巻か
【請求項1】
煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態
れた状態で乾燥させる乾燥手段とから成ることを特徴と
のまま、立体形状の繰枠に巻き取って、繭糸が保持して
し、かかる構成を備えることで、簡単に照明器具等の室
いる粘着性のセリシンにより繭糸相互を膠着させ、その
内装飾品として利用できる立体形状構造物を製造出来
後該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥して形態を固定さ
る。
せることを特徴とする繭糸による立体形状構造物の製造
【0006】請求項3に記載の立体形状構造物の製造装
方法。
置は、請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置にお
【請求項2】
煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態
いて、絡交手段の絡交速度を変化させるようにしたこと
のまま巻取る立体形状の繰枠と該繰枠に巻取られる繭糸
を特徴とし、かかる構成を備えることで、絡交変化に伴
を絡交させる絡交手段とを備えた繰製手段と、該繭糸を
う種々の異なった模様パターンを備える立体形状構造物
繰枠に巻かれた状態で乾燥させる乾燥手段とから成る繭
を得ることができる。
糸による立体形状構造物の製造装置。
【0007】請求項4に記載の立体形状構造物の製造装
【請求項3】請求項2において、絡交手段の絡交速度を
置は、請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置にお
変化させるようにしたことを特徴とする立体形状構造物
いて、繰枠の繭糸の巻付面を球状またはこれに近い形状
の製造装置。
とし、該繰枠の繭糸の巻付面の形状を変化させることを
【請求項4】請求項2において、繰枠の繭糸の巻付面を
可能としたことを特徴とし、かかる構成を備えること
球状またはこれに近い形状とし、該繰枠の繭糸の巻付面
で、一つの繰枠で外形形状の異なった立体形状構造物を
の形状を変化させることを可能としたことを特徴とする
得ることができる。
立体形状構造物の製造装置。
【0008】請求項5に記載の立体形状構造物の製造装
【請求項5】請求項2において、繰枠に繭糸を巻取る際
置は、請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置にお
に他の繊維を混繊することを特徴とする立体形状構造物
いて、繰枠に繭糸を巻取る際に他の繊維を混繊すること
の製造装置。
を特徴とし、かかる構成を備えることで、繭糸と他の糸
【発明の詳細な説明】
との質感の違うものの組み合わせにより、更に装飾価値
【0001】
の高い立体形状構造物を得ることができる。
【発明の属する技術分野】本発明は、繭から繭糸を引き
【0009】
出す過程で、照明器具などの室内装飾品を製造する方法
【発明の実施の形態】本発明実施の形態を図に付き説明
並びに装置に関する。
する。図1は本装置の工程図を示し、1は繰糸手段、3
【0002】
は繰枠、8は乾燥器を示す。図2は繰解手段を示し、該
【従来の技術】従来、繭加工技術として煮熟繭を数粒合
繰解手段1は、給繭器(図示しない)から供給される煮
わせて1本の生糸として繊維用素材とすることや、繭糸
熟繭aを受入れる繰解槽2と、該煮熟繭aから解離され
によって絹糸を作ることが行われている。しかし、これ
た繭糸bを巻き取る繰枠3と、該繰枠3に巻取られる繭
では、繭糸の利用分野が限られる。
糸bを絡交させる絡交手段4並びに繰解槽2に補給され
【0003】
る煮熟繭aの繭糸を繰解中の繭糸bに接緒させる接緒器
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、繭糸
5を備え、前記繭糸bは接緒器5に設けた糸道5aを通
を室内装飾品として利用することを目論み、室内装飾品
り、絡交手段4によって絡交しつつ繰枠3に巻きとられ
として利用出来る繭糸による立体形状構造物を簡単に製
る。この際繭糸bは、図2に示すごとく、複数の煮熟繭
造できる方法並びに装置を提供することを課題とする。
aから繰解される繭糸bを合わせた状態で繰枠3に巻取
【0004】
られる。なお、糸道5aのパイプ径を太くするとによ
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の立体形
り、繭糸bをある程度分繊させながら繰枠3に巻取るこ
状構造物の製造方法は、煮熟繭から解離された繭糸を濡
とも可能である。繰枠3は電動機その他の原動機6に連
れた状態のまま、立体形状の繰枠に巻き、繭糸が保持し
動して駆動回転し、その速度は制御器7によって調節す
ている粘着性のセリシンにより繭糸相互を膠着させ、該
ることができる。
繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥して形態を固定させる
【0010】また、絡交手段4は、図2に示すごとく、
ことを特徴とし、かかる方法を用いることで、繭糸特有
ガイド棒4aに摺動自在に支持させた台4bと、該台4
の光沢を備えた装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品
bをガイド棒4aに沿って往復動させる駆動機構4cを
として利用できる立体形状構造物を簡単に得ることがで
備え、該駆動機構4cは、正逆転する電動機4fによっ
きる。
て駆動される源動のプーリ4dと被動側のプーリ4dと
【0005】請求項2に記載の立体形状構造物の製造装
の間に掛渡した無端状のワイヤー4eで構成し、該ワイ
置は、煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態のまま巻
ヤー4eに前記台4bを連結し、台4bに首振自在に設
取る立体形状の繰枠と該繰枠に巻取られる繭糸を絡交さ
けた糸ガイド4hに繭糸bを挿通させることで絡交動作
(3)
特開平10−144120
を行わせる。
【0015】更に、図9に示すごとく、繰枠3に繭糸b
【0011】なお図2で、4gはガイド棒4aの両側部
を巻取る際に、他の繊維、例えば化学繊維や、麻、木綿
に設けた電動機4fの回転方向を切替えるための指令信
等の繭糸以外の天然繊維を混繊することもでき、かくす
号を出すためのリミットスイッチを示し、該リミットス
ることで、繭糸と他の糸との組み合わせにより、風合の
イッチ4gはガイド棒4aに対し、調節自在に取付ける
変わった装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として
ことで、絡交幅を調節することができるようにした。な
利用できる立体形状構造物を得ることができる。なお、
お図1に示す乾燥器8は、該繰解手段1で繰枠3に巻と
図9において、9は他の繊維のパーン、10は該パーン
られた繭糸bを繰枠3に巻付けられた状態の繭繭糸bを
から引出される糸の張力調節装置、11は該パーンから
温風で乾燥する温風乾燥器とした。なお乾燥は乾燥器8
引出される糸を通すパイプを示す。
を用いることなく自然乾燥であっても良い。
【0016】また、予め染色した繭や黄繭などの天然色
【0012】次に本装置の作動を説明する。繰解手段1
素を有する繭を用いて繰製することや天蚕等野蚕繭と混
を用いて繭糸bを、繰枠3に巻取るときは、繭糸bは絡
繰しても、更に風合の変わった装飾価値の高い照明器具
交手段4によって繭糸bが交差する状態で繰枠3に巻か
等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物Aを得
れる。そして繭糸bは濡れた状態にあるため、繭糸表面
ることができる。
のセリシンによって交差部分で膠着し、これを繰枠3に
【0017】
巻かれた状態で乾燥器8で乾燥させ、繭糸bを繰枠3か
【発明の効果】請求項1に記載の立体形状構造物の製造
ら取外せば、繭糸bは繰枠3に巻取られたられた立体形
方法によるときは、立体形状の繰枠に巻かれた繭糸は、
状を保った状態に固定され、所定の形状を備えた立体形
繭糸が保持している粘着性のセリシンにより膠着し、そ
状構造物A(図5乃至図8)が得られる。この装置によ
の後該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥することで、天
って得られた立体形状構造物Aは絹糸特有の光沢があ
然繊維としての自然さがあり、しかも繭糸特有の光沢を
り、しかも天然繊維としての自然さもあって、置物とし
備えた繭糸が組み合わされて、装飾価値の高い照明器具
ても価値もあり、特に照明器具としてしようすると、照
等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を得る
明の光によって益々輝きを増す。なお、図2に示す実施
ことができる。
の形態では、繰枠3を円錐台としたが、これは円筒型,
【0018】請求項2に記載の立体形状構造物の製造装
断面正方形その他の角筒型,球型とする等、求める立体
置によるときは、繭糸がその交差する部分で、繭糸が保
形状構造物Aの形状に応じた形状とすることが必要であ
持している粘着性のセリシンにより膠着するため、乾燥
る。
させると所定の形態を備えた立体形状に固定でき、しか
【0013】また、絡交手段4の設けた前記電動機4f
も天然繊維としての自然さがあり、しかも繭糸特有の光
を、始動・停止と速度が簡単にできる例えばステッピン
沢を備えた繭糸が交差することにより織成す美的効果に
グモータを用い、該ステッピングモータの加速・減速、
よって、装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として
停止の組合わせにより、絡交角度を調節することで立体
利用できる立体形状構造物を簡単に製造出来る。
形状構造物Aに絡交により形成される模様パターンを変
【0019】請求項3に記載の立体形状構造物の製造装
えることができる。これを説明すると例えば、図5では
置は、絡交変化に伴い繭糸が交差する角度の変化で、種
円筒型の繰枠3に巻いた立体形状構造物Aの一部を切開
々の異なった模様パターンを備えた立体形状構造物が得
いたパターンを示すが、同じ円筒型の繰枠3を用いた場
られ、更に装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品とな
合でも、煮熟繭aの数を増やし、且つ絡交速度を増せば
る。
図6に示すようになる。
【0020】請求項4に記載の立体形状構造物の製造装
【0014】また、同じ円筒型の繰枠3を用い、繰枠3
置は、一つの繰枠で、外形の異なった照明器具等の室内
の両端と中間位置で絡交を一時停止させれば、図7に示
装飾品として利用できる立体形状構造物を得ることがで
す部分的に横縞模様の入ったパターンを備えた立体形状
きる。
構造物Aが得られる。図4に示すものは、球状またはこ
【0021】請求項5に記載の立体形状構造物の製造装
れに近い立体形状構造物Aを得るための繰枠3を示し、
置は、繭糸に質感の異なる他の糸との組み合わせによ
この繰枠3は、その回転軸3aの一端部に定位置で回転
り、繭糸単独のものとは異なる飾価値の高い照明器具等
できるように取付けた鍔板3bと、回転軸3aの他端部
の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を得るこ
に刻成したねじ部3cに螺合する鍔板3dとの間に、ピ
とができる。
アノ線その他からなる多数の線材3eを、その各端で支
【図面の簡単な説明】
持させて構成した。このものでは、該鍔板3dをこれに
【図1】
本装置の工程図
設けた把手3fで回転させることで、鍔板3dをねじ部
【図2】
繰解手段を示す側面図
3cに対し螺進させ鍔板3bと鍔板3dとの間隔を変え
【図3】
繰枠の他の実施の形態を示す側面図
ることで、該繰枠3の形状を変化させることが出来る。
【図4】
図3の繰枠の形状を変化させた状態の側面図
(4)
特開平10−144120
【図5】
立体形状構造物の一部の展開図
【図9】
【図6】
絡交速度を変化させたときの立体形状構造物
側面図
【図7】
他のパターンの立体形状構造物の一部の展開
【符号の説明】
図
【図8】
1
立体形状構造物の一例を示す側面図
【図1】
他の繊維を複合させる場合の繰解手段を示す
繰解手段
3
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図5】
繰枠
4 絡
交手段
【図6】
【図7】
(5)
【図9】
特開平10−144120