感染管理マニュアル F.侵襲処置・医療器具関連感染防止対策 Ⅱ.尿道留置カテーテル関連尿路感染防止対策 Ⅱ.尿道留置カテーテル関連尿路感染防止対策 1.尿路カテーテルの適応 尿路感染の最も大きなリスクは尿路カテーテルの挿入であり、留置期間が長いほどリスク は高くなる。尿路カテーテルの適応を見直し、留置期間を最小限にすることが必要である。 尿道留置カテーテルの適応基準 ① 尿路の閉鎖がある場合 ② 神経因性の尿閉がある場合 ③ 泌尿器・生殖器疾患の術後に治癒を促進する場合 ④ 重症患者の尿量を正確に把握したい場合 2.尿道留置カテーテルによる尿路感染の感染経路 尿道留置カテーテルにより微生物が膀胱内に侵入する経路はカテーテルの外側を通るル ートと内側を通るルートに大きく分けられる。 z カテーテルの外側を通るルート(図1) ①挿入時に膀胱内に微生物が押し込まれて侵入 ②会陰や直腸に定着している微生物が侵入 膀胱 ① 挿入時に膀胱内に微生物が押し込まれる ② 会陰や直腸に定着している微生物が侵入 尿道留置カテーテル 図1.カテーテルの外側を通るルート 阪大病院感染制御部 2005/10/01 作成 感染管理マニュアル F.侵襲処置・医療器具関連感染防止対策 Ⅱ.尿道留置カテーテル関連尿路感染防止対策 z カテーテルの内側を通るルート(図 2) ③接続部の閉鎖が破られ、微生物が侵入 ④排液口から微生物が侵入して尿を汚染 ⑤バイオフィルムの形成による微生物の放出 ⑤ バイオフィルムの 形成による微生 ④ 排液口から微生物が 物の放出 侵入して尿を汚染 ③ 接続部の閉鎖が破られ、微生物が侵入 図 2.カテーテルの内側を通るルート 3.尿道留置カテーテル挿入時 挿入時は尿道、膀胱内へ微生物を侵入させないように行う。 ① 尿道口の清浄 尿道口が分泌物で汚染している場合は、微温湯で洗浄する。 ② 手指衛生 挿入前後には必ず手指衛生を確実に行う。 ③ 清潔操作 挿入中に清潔操作が確実に実施できるように患者の体位や照明を整え、手 指衛生の後滅菌手袋を着用し、無菌操作にてカテーテルを挿入する。 阪大病院感染制御部 2005/10/01 作成 感染管理マニュアル F.侵襲処置・医療器具関連感染防止対策 Ⅱ.尿道留置カテーテル関連尿路感染防止対策 4.尿道留置カテーテル挿入中の管理 ①閉鎖状態の保持 採尿 尿道留置カテーテルの管理としてカテーテル、排尿 チューブ、尿バックの一連の回路の閉鎖を保つ。採 尿時はカテーテルと排尿チューブの接続部は外さず、 採尿ポートから行う。膀胱洗浄が必要な場合は3ウ ェイの膀胱洗浄用カテーテルを使用し、開放式では 行わない。 ② 逆流防止 逆行性感染の防止のために、尿バックとカテーテル は患者の膀胱より低い位置に保ち、尿が常に流れてい る状態になるように管理する。 移動時に安易に採尿バックをベッドの上に上げたり、 膀胱より高くしたりしない。採尿バックを高くする場合は、 逆流しないように排液チューブをクランプして行い短時 間にとどめる。しかし、カテーテル閉塞は逆行感染の原 排尿チューブが体により 因になるので、クランプはできるだけ行わない。 患者の体による排尿チューブの閉塞がないか等の観察を 閉塞がないか確認 行う。 ③ 交差感染の防止 カテーテル挿入部や尿に触れる可能性がある場合は手袋を着用し、前後の手指衛生を 確実に行う。尿バックから尿を回収する場合は、排液口を汚染させないように行う。 また、排液口は床や回収容器に接触しないようにする。 床に尿バックの排液口が接触 排液口が回収瓶に接触し しないように注意する ないようにする 阪大病院感染制御部 2005/10/01 作成
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