狭心症・心筋梗塞で起こりやすい症状と検査について(PDF)

狭心症・心筋梗塞で起こりやすい症状と検査について
健康開発学科 講師 田嶋
おそらく多くの方が恐怖に感じている心臓の病
気、特に狭心症・心筋梗塞についてお話ししたい
と思います。
1 狭心症・心筋梗塞で起こりやすい症状 1)
・胸の痛みや圧迫感
・胸が締めつけられる
・のどが詰まる
・奥歯や左肩の痛み
・上腕の痛み などがあります。
胸痛は、狭心症、心筋梗塞の最も代表的な症状
です。胸が圧迫されたように、あるいは締め付け
られたように痛みますが、痛みの範囲や感じ方は
人によって異なります。多くの場合は前胸部のや
や下あたり、胸の中央に痛みを感じます。心臓は
左寄りにあるので、痛みを感じるのは左側と考え
がちですが、そうとはいえません。放散痛と言っ
て痛みが他の場所へ走ったり散るように感じるの
も、狭心症、心筋梗塞の痛みの特徴です。みぞお
ちのほうに走る痛みを感じたり、左肩から左腕に
圧迫感やしびれを感じることもあります。奥歯に
放散する場合もあります。
a)狭心症の痛み
狭心症ではこうした痛みが 1~2 分、長くて数分
くらい続きます。階段や坂道を上がったり急ぎ足
で歩くなどの労作で起こる労作性狭心症、安静に
していても起こる安静狭心症があります。はじめ
て発作が起こったり、発作の回数や強さが増した
り、労作時に起こっていた発作が安静時に起こる
ようになった場合、不安定狭心症と呼ばれ危険で
す。すぐに救急車を呼んで病院に行ってください。
b)心筋梗塞の痛み
安静にしていても起こり、痛みがさらに強烈で
長く続きます。胸をえぐられるような痛みに襲わ
れ、死の恐怖を感じる人が少なくありません。前
ぶれとして短い胸痛発作を経験する人もいますが、
何の前ぶれもなく突然強烈な痛みに襲われること
もあります。心臓の機能が急激に損なわれ、各臓
器に血液が十分に供給されないため、チアノーゼ
といって顔色が紫色になったり、冷や汗、動悸、
めまいなどを起こすこともありますが、吐いたり
意識を失うこともあります。大変危険な状態です
ので必ず救急車を呼んでください。間違っても自
分で車を運転して病院に行かないでください。交
通事故など二次的災害を起こす危険性もあります。
明彦
2 狭心症・心筋梗塞を診断する検査 2)
a)血液検査
血液検査では、全身の健康状態と、心臓の危険因
子を持っているかどうかを調べます。
b)安静時心電図検査
心電図検査は心臓の異常を調べるときに行う重
要な検査です。ベッドに横になって安静にし、両
手首と両足に 1 個ずつ、前胸部に 6 個の電極をつ
け 12 誘導の心電図を記録します。
c)運動負荷心電図検査
運動をすると、心臓はたくさんの酸素を必要と
し、酸素の消費量が増加します。心筋に酸素を供
給する冠状動脈の血流量が少ないと、心筋は酸素
不足になります(心筋虚血)。また、心臓の機能が低
下すると、安静時には症状がなくても運動すると
胸痛が起こったり、息切れなどの症状が出ること
があります。このときの心電図を計測する検査で
す。
d)心臓カテーテル検査
柔らかい細い管(カテーテル)を腕または足の血
管から心臓まで挿入し、心臓内の圧力を測定した
り、造影剤を入れて心臓の血管(冠状動脈)や心臓
の内部の写真を撮影したりするなど、様々な検査
の総称です。この検査は通常 2~3 日の入院をして
行われます(日帰りで行う病院もあります)。
【参考文献】
1)伊東春樹:心臓病の予防・治療と生活のしかた,
主婦と生活社,2002
2)斉藤宗靖:心臓病と運動負荷試験、中外医学社,
1990