疾患別説明書:頭痛(H/A-80) 船橋市立医療センター脳神経外科 (2002年11月6 日作成) 参考文献:頭痛の診かた:診断と治療:90(6),2002 頭痛はこわい:間中信也:河出書房,1998 1、頭痛もちの割合(作田らの調査1988:15歳以上) 群発頭痛 1% その他の片頭痛13% 前兆をともなう片頭痛 6% 緊張型頭痛 78% 頭痛もち (35.7%) 19 % 2、緊張型頭痛 (精神的緊張と筋肉の緊張により生じる頭痛) 精神的緊張(ストレス) 頭頸部の筋肉の緊張 □ 職業、仕事、趣味、姿勢 □ 長時間同じ姿勢の仕事 前かがみ、うつむき姿勢 □ 画像ディスプレー装置の仕事 □ 細かな仕事(設計など) □ 極度の緊張を強いられる仕事 (危険物取扱い、高所作業など) □ 家族関係:嫁しゅうと(舅、姑)、夫婦、 子ども、病人、介護老人など □ 70%は女性 □ 外的環境:職場、学校、地域、サークル など □ 生活サイクル:夜間の仕事、慢性的睡眠 不足、過労 □ 性格:几帳面、神経質、完全主義など □ 心配事:いくつかの心配事が重なった □ 環境:気圧の変化、大気汚染、騒音など □ 変化:離婚、配偶者の死亡、知人の病 気・事故、転勤、引越し 緊張型頭痛の治療 ◎ 生活環境の改善:休養と適度の睡眠、ストレス の解消、入浴、少量の飲酒 ◎ 適度の運動 ◎ 薬物:抗不安薬(デパス)、筋弛緩薬、鎮痛剤 <1> ●重い鈍痛 ●圧迫感(圧迫される、押される) ●被帽感(頭に被さっている) ●牽引感(引っぱられる) ●絞扼感(締めつけられる) 随伴症状 ●肩こり、項部のはり ●ふわふわしためまい(浮動感) ●軽い嘔気 ●軽度の光過敏、音過敏(あってもひと つ) ●誘因:運動、体位変換、飲酒、入浴 下記の筋群に圧痛を認めるタイプと認 めないタイプがある 3、片頭痛 三叉神経を刺激 ストレス セロトニン放出 セロトニン減少 血管の拡張 血小板の 活性化 脳血管の収縮 炎症 脳血流の減少により前兆 ●ズキズキ、ガンガン ●閃輝暗点、●片麻痺 ●嘔気・嘔吐 誘発因子:●チーズ、チョコレート、ナッツ、アルコール(赤ワイン)、アイスクリーム、 柑橘類、●睡眠不足・過剰、●空腹、●ストレス(寛解時リラックス)、人ごみ、●光・騒 音・温度差、●血管拡張剤・経口避妊薬・ホルモン剤、●月経直前、月経時、●入浴 予兆(prodrome):片頭痛発作の5∼40%にみられる。前兆の有無に関わらず、次のよ うな症状を24∼48時間前に自覚する。●倦怠感、あくび・眠気、空腹感、イライラ、甘味 の欲求、うつ、興奮、活動性亢進、排尿困難、むくみ 前兆の有無により、前兆をともなう片頭痛(migraine with aura)と前兆を伴わない片 頭痛(migraine without aura)に分類される。 前兆(aura):次のような前兆が5∼20分の経過で進行 し、60分以内に頭痛、悪心・嘔吐が始まる。 ●視覚性前兆:「きらきらする星のような模様(閃輝)」、 「ギザギザした稲妻のような模様(要塞残像)」が同名性に出 現し、これらを縁とする暗点(閃輝性暗点)または霧視が出現 する。また、フラッシュライトがみえることもある。 ●感覚性前兆:ピンでさされるような感覚やジンジンする感覚 が半身のある部分出現し半身に拡大する。 ●片麻痺性片頭痛 ●脳底型片頭痛:視覚障害、構音障害、耳鳴り、めまい、複視、 失調など ●錯覚発作:指が電柱のように長くみえるような錯覚 片頭痛発作 ●女性に多い、●10∼20歳に発症し、更年期を過 ぎると軽くなる、●家族歴(46∼95%)、●発生頻 度は数回/月、●持続は4∼72時間 ●拍動性頭痛:ズキンズキン、ズキズキ、ガンガン。 頭痛は片側性(60%)または両側性(40%)。日常生活が 妨げられる、階段昇降など日常的動作で増悪 ●随伴症状がある:自律神経症状(悪心、嘔吐、腹 痛、下痢)、光過敏、音過敏、においに過敏 発作終了後の回復期 ●2∼3日は、食欲低下、集中力低下、疲労感 <2> ズキン ズキン 片頭痛の治療 ●エルゴタミン製剤(カフェルゴット、クリアミン):頭痛発作約1時間前に頓服 ●頭痛発作時にコーヒー(カフェインが含まれている)を飲む ●解熱鎮痛剤、非ステロイド系消炎鎮痛剤:アスピリン、ボルタレン、インダシン):頭 痛の初期に服用すると頭痛が軽くすむ ●頭痛が起きているところを冷却する ●トリプタン系薬剤(イミグラン、ゾーミッグ):頭痛が出現したら服用 ●その他:デパケン、インデラル、フルナール、ビタミンB2:頭痛の頻度減少、効果発現 までに1∼2ヶ月 4、群発頭痛(cluster headache) 原因不明(内頸動脈・眼動脈の炎症、三 叉神経血管系の炎症、ヒスタミンの関 与) ●青年から中年の男性に多い ●1側の眼窩周辺に起こる高度頭痛(眼 球がえぐられるよう) ●夜間に多い、頭痛は15分∼3時間と短い ●群発する(年1回、1ヶ月間、1日に 1回、1時間、1側の眼窩部) ●結膜充血、流涙、鼻閉、鼻汁、Horner 症候群、顔面紅潮、発汗 ●誘因:飲酒、ニトログリセリン 群発頭痛の治療 スマトリプタン(イミグラン):頭 痛が出現したら服用 100%酸素投与:7∼10L, 15分 エルゴタミン製剤(カフェルゴッ ト):就寝前か発作予想時刻の2時 間前 ●ヘビースモーカー、消化性潰瘍の者に 多い 5、頭部・顔面の神経痛 ●後頭神経痛(occipital neuralgia):大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経 ●三叉神経痛(trigeminal neuralgia) ●帯状疱疹後神経痛(post-herpenic neuralgia) 6、眼・耳・鼻・顎・頸部などが原因となる頭痛・顔面痛 ●眼精疲労、ドライアイ、屈折異常、緑内障、眼瞼下垂、●副鼻腔炎、●顎関 節症、●頸部捻挫、頸性頭痛 <3> 7、低髄液圧性頭痛 ●髄液圧低下、●腰椎穿刺後頭痛、●髄液瘻性頭痛 8、危険な頭痛 ●脳血管障害(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞) ●脳腫瘍(早朝頭痛)、●慢性硬膜下血腫、●髄膜炎、脳炎 ●側頭動脈炎(50歳以上の白人、女性に多い、失明することあり) 9、その他の頭痛 ●週末頭痛、月曜日頭痛、夏休み頭痛、リラックス頭痛:リラックスにより血管拡張 ●良性咳頭痛、●良性労作性頭痛(水泳、重量上げ、ジョッギング) ●性行為に伴う頭痛:成人の0.3∼1.3%。血管拡張、高血圧 ●アイスクリーム頭痛(冷たいものを食べたとき)、●低温刺激性頭痛(冷水に飛び込む) ●ホットドッグ頭痛:ホットドッグ、サラミ、ハムなど(亜硝酸塩) ●中華料理店症候群:中華料理のグルタミン酸ナトリウム ●二日酔い頭痛:アルコールによる血管拡張、アセトアルデヒドによる頭痛 ●酸欠による頭痛:一酸化炭素中毒、二酸化炭素中毒、睡眠時無呼吸、人ごみ、空気が悪い 場所、貧血、高山病 ●飛行機頭痛:上昇・下降時に副鼻腔内の圧力が変化、真空頭痛 ●目覚し時計頭痛:体内時計のため ●ヒスタミン頭痛:ヒスタミン静注により顔面発赤、拍動性頭痛 ●感冒、発熱、高血圧、低血圧、低血糖、けいれんの後、うつ状態、入浴後の頭痛、薬剤誘 発性の慢性連日性頭痛、寒冷刺激による頭痛、血液透析中の頭痛 10、ストレス(STRESS)解消方法(山本による方法を一部修正) Sports:毎日15分間スポーツを楽しもう Travel:自然の中へ旅しよう Recreation & Rest:遊びと休養はこころの栄養です Eating:みんなでいっしょに食事をしよう Singing & Speaking:カラオケとおしゃべりでストレス発散 Sake/Smile/Sleep:お酒を飲んでほんのりと、笑ったあとでぐっすりと <4>
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