特別記事 アメリカの医療制度に対する処方せん1 A Prescription for America’s Health Care System Cecil B. Wilson2 本年6月12日から16日まで, 米国シカゴでアメリカ医師会(AMA)の年次総会が開催された. 本記事は, 15日の AMA会長就任式で, ウィルソン新会長が行った就任演説を翻訳したものである. 全米各州や専門学会からの代表, AMAの歴代会長, 海外来賓らが列席するなか, ウィルソン氏は, さまざまな意見の相違を乗り越えて, 医師が 一 致団結して改革の舵取りを行うことの重要性を訴えた. オバマ大統領の医療保険改革が注目されるアメリカへの 処方せんは, 我が国にも当てはまるものがあるのではないだろうか. (横倉義武3) ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私は ジョージア州南部で、メソジスト派の牧師の息子 私たちが選んだ天職である医師という職業ほど、 機会と責任に満ちた職業は他にありません。医師 として育ちました。そして巡回牧師の伝統に従い、 として、私たちには治療する機会と、害を及ぼさ 数年ごとに引越しを繰り返しました――州内全 ない責任があります。病人を世話する機会と、で 域の町から町へ、教会から教会へと、移動したの きる限りのケアを提供する責任があります。そし です。子どものころ、私たち兄弟が学校に行くた てこの歴史的状況のなかで、私たちにはわが国の めに家を出ようとすると、父のウィルソン牧師が 医療制度を医師の承認に耐えうるものにすると 必ず次のような一言をかけてくれたのを、今でも いう機会と、明確で断固とした建設的意見を制度 思い出します。「おまえたちが家族全員の代表で に生かすという責任があります。 あることを忘れないように、きちんと行動しなさ い。」 今日ここで何を話そうかと考えていた時、大好 きなセーリングのことが頭に浮かびました―― 行動の指針となるこの簡潔な言葉が、大学とメ 海軍の兵役時代には、海と船の魅力を封印してい ディカルスクールで過ごした学生時代、航空医官 ました。フロリダで暮らす楽しさのひとつに、海 になった米国海軍の兵役時代、さらにフロリダで が近くてヨットに乗るのに便利なことがありま の医師として、個人としての生活を通して、私を す――なるべくなら、誰か他の人のヨットがいい これまで導いてくれました。今日でもこれが私の ですね。私はこれまでに何度も沖に出て、海には 行動の指針であり、今後もアメリカ医師会(AMA) 浅瀬があること、風は変化しやすいことを学びま の代表として全国をまわるにあたり、常にこの言 した。浅瀬に乗り上げたことも、強風に翻弄され 葉に従っていきたいと思います。私は今―これま たことも、凪でまったく進めなくなったこともあ でと同様―医療に携わる者全員の代表であるこ ります。 とを決して忘れないと、皆さんにお約束します。 セントピーターズバーグからフロリダ湾を横 そしてしかるべく、きちんと行動することをお約 断してキーウェストに向かったセーリングの経 束します。 験についてお話したいと思います。夕方、私たち 人生には、機会と責任がつきものです。そして 1 2 3 の船は航路を外れ、湾の真ん中で浅瀬に乗り上げ この記事は, アメリカ医師会の許可を得て翻訳・転載しています. セシル・B・ウィルソン:アメリカ医師会会長(フロリダ州出身, 内科). よこくら・よしたけ:日本医師会副会長(国際担当, 外科). てしまいました――850平方マイルの大海原の真 を高めます。この法律により、保険会社の責任が っ只中です。何とか浅瀬から逃れようと、帆を上 より大きくなります。健康維持と予防医療が強化 げたり下げたり、補助エンジンをかけたり、錨を されます。 下ろしてウインチを使って船を引っ張ったりし これらは小さなことではないのに、議論のなか ようとしました。しかし、全く動きませんでした。 では、責任の追及や党利優先の考えや単純な怒り ヨットを揺り動かそうとして、クルー全員が片側 ばかりが目立ち、何が正しいのかが見失われがち から反対側まで走ったりもしました――左舷か です。よく言われることですが、「真摯な批判ほ ら右舷へ走り、また戻る、次は船首から船尾へ走 ど受け入れることは難しい」のです。特に、親戚、 り、また戻る、という具合です。ところで、クル 友人、同僚、知り合い、あるいは見知らぬ他人か ー全員が医者だったことはまだ話していません ら指摘されるとそうなりますね。これで抜けてい ね?幸いなことに、これは「You Tube」が登場す る人はいないでしょうか? る前のことでした。そうでなければ、私たちの噂 私は、補修すべき垣根、請け合うべき約束、癒 は一気に広まっていたかもしれません。この無駄 すべき傷があることを十分承知しているつもり な苦労の間に、救命ボートも下ろしたのですが、 です。また、過去にとらわれていては、浅瀬に乗 それは漂いながら流れて行きました。クルーのひ り上げるリスクがあることも自覚しています。私 とりが飛び込んでボートまで泳ぎ、乗り込んでみ たちのエネルギーは、医師と患者にとって最善の ると、オールがありません。救命ボートは彼を乗 医療制度改革を行うために費やされるべきなの せたまま、風に吹かれて海の彼方に流されそうに です。私たちはこれまでになく、私たちの職業に なりました。別のクルーがオールを持って飛び込 とって最善のことに注目し、しかるべく、きちん み、流されていく救命ボートに泳ぎ着きました。 と行動する必要があります。 このふたりが疲れ果ててヨットに戻ってきたの もちろん、「言うは易く行うは難し」です。こ は、2時間後のことです。6時間後、上げ潮に助け れは複雑な制度で、多くの利害関係者が関与して られてヨットは浅瀬から自由になり、旅を続ける います。そして私たちの日常の仕事も、また複雑 ことができました。 です。しかし、その複雑さを忘れることがありま この出来事は、医療制度改革に向けた私たちの す。考えてみて下さい。医師は、60,000以上の診 道のりを思い起こさせます。行動計画を手に船出 断、11,000種類以上の手術方法、4,000種類以上の したもの、時々コースから外れたり、前に進めな 薬剤から選択しなければならないのです。医師に くなったりしました。しかし最終的に、この国は かかるプレッシャーは相当なものです。そしてそ 目的地にたどり着いたのです。 の責任を私たちは進んで受け入れています。 全米のAMA会員と話すうちに、私はほとんど しかし、もっと良い医療を行えることに気づか の医師が医療制度改革の中心的原則には反対し なければなりません。国家公務員から保険業者、 ていないことに気付きました。むしろ、医師たち 患者に至るまで、私たちは皆もっとうまくやれる はこれらの原則の解釈に、そして改革推進に使わ のです。 れている戦略や方策に反対しているのです。私た さて――今夜は、医師がいます。私のことです。 ちの針路のとり方、帆の広げ方、進む速度に納得 そこでわが国の病める医療制度に対して、私はい していない医師もいました。異なった目的地を模 くつかの処方せんを書きたいと思います。 索する医師もいました。しかし、全員が真剣に考 まず、医療制度改革を成功させるために私たち えていました。 が直面している、最大の課題4つから始めること 私にとって、これらの改革はとっくに期日を過 にしましょう。 ぎた第一歩です――わが国のよりよい医療制度 • 医療過誤責任 に向けた、第一歩にすぎないのです。この法律は • 高騰する医療費 完全なものではありませんが、数百万人の人々に • 医療提供における非効率 とって、医療を受けやすくし、補償範囲の信頼性 • メディケアの支払い不十分 2 1つ目は、医療過誤責任です。今日、米国の医 ています。過剰に利用されているサービスがある 師の75%が防衛的医療を強いられているという調 一方で、十分に活用されていないサービスもあり 査結果があります――患者ケアを改善するより ます。 も、起こされるかもしれない訴訟から自身を守る 私の処方せんは次のようなものです。患者が適 必要にかられて、より多くの検査や治療を実施し 切な時に、適切な場所で、適切な治療を確実に受 ているのです。このために、医療制度から年間 けられるようにすることに、重点を置きます。す 1,260億ドルが費やされています。医療制度改革法 なわち、次のことが必要になります。 は、この問題を認めていますが、まだ解決には至 • ケアの調整を改善する っていません。 • 費用抑制と予防推進に対応するサービス の利用を増やす 最終的には、非経済的な損害に対する賠償額の • 上限を設けることが、医療過誤責任の改革を成功 医師が最善の決定を下すのに役立つ研究 させる最上の策なのです。カリフォルニア州では、 データを、より多く利用できるようにす この上限が30年以上も効果を発揮していますし、 る もうひとつの課題は、非常に身近な問題で―― 今日ではテキサス州、ルイジアナ州など他の州で メディケアの償還の危機です。非常識な支払いの も効果を発揮しています。 方程式であるSGR(持続可能成長率)のために、 そこで私の処方せんは、賠償額の上限です。賠 償額の上限を設けることはAMAの方針であり、効 年々、医師は償還額のカットに脅かされています。 果が実証済みの唯一の処方せんです。加えて、医 そして年々、医療提供および経営コストは上昇し 療裁判、行政による補償制度、初期の提案モデル、 続けています。実際の経費とメディケアからの支 最善の治療に従う医師のための「セーフハーバ 払い額との格差は、フロリダでよく使われている ー」のような、別の改革も検討する必要がありま 表現を用いると、まるでワニが口を大きく開けて す。 いるようなものです。そして高齢者が利用しよう とすると、ワニは口をピシャッと閉じる準備がで 次に医療費の問題です。何も変わらなかったと きています。 すると、米国は2020年まで年間4兆4000億ドルを 医療に費やすことになります。これをわかりやす 私の処方せんは、SGRを廃止することです。船 くしてみましょう。年収80,000ドルの4人家族の場 外へ投げ捨てて、かわりにワニの餌にしようでは 合、その収入の4分の1を医療に費やす計算になり ありませんか。21世紀にはSGRの代わりに、医療 ます。これでは持ちこたえることは出来ません。 提供に要した実際の経費を反映する支払い制度 に置き換えるべきです。私たちはまた、医療ケア 私の処方せんは次のようなものです。経費を抑 え、医療費から最大限の効果を引き出すための、 提供方法の現実に即した医師への報酬に対して 包括的な計画が必要です。そのような計画がなけ も、新たなアプローチを必要としています。たと れば、改革は失敗します。AMAは、経費を抑制す えば、メディケアでは疾患管理の改善を推進する るために4つの大まかな戦略を明らかにしました。 べきです。特に、慢性的治療が必要な高齢者にと • 予防可能な疾患負担の軽減 • より効率的なケアの提供 • 患者のケアに寄与しない臨床以外の経費 題に取り組むことだけを意味しているのではあ 削減 りません。利害関係者として、私たちが責任を果 あらゆる段階での価値観に基づく意思決 たしていくことも意味しているのです。ソクラテ 定の推進 スは、誰にでも助言してまわる教育者であったと • っては、これが重要です。 さて、制度を改善するということは、重要な問 言われています――そのために、毒を盛られまし 次に、医療費高騰の原因のひとつにもなってい る、非効率的な治療の提供に注目してみましょう。 た。このような大きな身の危険があり、また「君 断片的な医療から、比較有効性の研究データの欠 子危うきに近寄らず」という警句も承知していま 如まで、現行制度にはさまざまな非効率が蔓延し すが、私は今、わが国の医療制度の主な利害関係 3 者それぞれに、処方せんを出したいと思います。 はなりません。積極的に参加してください。意見 まず民間部門からはじめます。米国のヘルスプ の相違をはっきりさせましょう。 ラン、保険会社、製薬会社、医療機器メーカーに この職業に必要なことを勉強中の医学生と研 対しては、次のように言います。皆さんには、医 修医に対しては、次のように言います。皆さんは 療制度に対して特別な責任があります。私たちと 歴史に残るこの時代に、この職業に向けて船出し 同様、皆さんの製品とサービスは、患者の生命と ようとしているのです。私たちが直面している問 健康に直接影響を及ぼします。歯磨き粉や携帯電 題は、難題というだけでなく、またとない機会で 話を選べるようにするというような、簡単な問題 もあることを忘れないでください。さらに、制度 ではありません。 自体は修正する必要があるかもしれませんが、わ 私の処方せんは次のようなものです。常に、単 が国の卓越した伝統は、これまで同様に非常に力 なるビジネスではないと認識すること。業務の透 強いということも忘れないでください。米国の医 明性を保ち、製品や保険約款を開発する際には、 師は、医療の知識、技術、そして最新のケアの点 顧客すなわち患者のニーズを第一に考えること。 で、世界の最先端にいます。そして最も重要なこ 政府のリーダー、特に国会議員など選挙で選ばれ とですが、皆さんが選んだ職業は、極めてやりが た公職者に対しては、次のように言います。言い いのあるものだということを忘れないでくださ 争いばかりしている党利に傾く人々が、一致協力 い。癒し、安らぎを与え、痛みを和らげる――す しようという努力に水を差して、状況を悪化させ なわち患者の暮らしにとって最も繊細な部分に ています。すべての政策決定を、さらに提案まで ついて信頼されることは、素晴らしい栄誉なので も、30秒の中傷キャンペーン広告に変えてしまう す。私はこの仕事を始めてから30年以上たちます やり方が、わが国の民主主義を痛めつけているの が、今でも患者を助けたときには、ずっと前に仕 です。 事を始めたころに得られたものとまったく同じ、 私の処方せんは次のようなものです。私たちの 強い満足感を得ている、と断言できます。 役に立つ法律を作ること。党派間の争いを超えて 皆さんへの処方せんは、次のようなものです。 進むこと。政治的な意見の対立を超えて、和解、 患者の話を聞くこと。きっと彼らは抱えている問 少なくとも相互の理解を探ること。意見の相違に 題を話してくれるでしょう。そして場合によって 寛容になること。選挙で選出された目的を果たす は、その話から診断が見えてくることもあります。 ような仕事をすること!何よりも、国の利益を代 そして、AMAに参加してください。組織的な医療 表していることを忘れないこと。しかるべく、き に参加してください。皆さんの受ける教育と学費 ちんと行動することです。 の支払い方法を左右する政策に、影響を及ぼして 私の仲間の医師たちに対しては、次のように言 ください。皆さんの将来のキャリアを左右する政 います。今年は困難な年で、医療制度改革のよう 策に、影響を及ぼしてください。声を上げてくだ に複雑な問題では、意見の相違が生じることは避 さい。 けられません。私たちに共通の土台は大きく、私 事業者に対しては、次のように言います。今、 たちを隔てている溝は小さいことを、どうか忘れ 従業員の健康に投資することは、長い目で見ると ないで下さい。かつて、トマス・ジェファーソン 大きな節約になることを忘れないでください。そ は、意見の相違すべてが原則の相違ということに れは健康保険の提供に限ったことではありませ はならないと言いました。 ん。より健康的なライフスタイルの奨励も大切で 私の処方せんは次のようなものです。AMAを す。 支持し、すべての医師会を支持してください。私 私の処方せんは、次のようなものです。従業員 たちの職務の目標、直面している課題、そして患 の健康に関心を持つこと。喫煙者に対しては、禁 者へのサービス向上に向けた努力にしっかり焦 煙を助けること。ジムの会員権を、できればジム 点を合わせるには、それが唯一の手段です。周囲 を提供すること。自動販売機のキャンディーバー の圧力で私たちが分裂するようなことがあって やスナックの一部を、もっと健康によい選択肢に 4 変更すること。そうすれば、健康だけではなく、 めの決断であり、私たちの利益のためのものでは 財政的にも報われます。従業員が健康であるほど、 ありません。 肥満、糖尿病、癌の発生率が低く、それに伴う高 私たちは事の成り行きを支配してきませんで 額な長期療養の必要も減るのです。 したが、事の成り行きによって支配されたわけで 次に、目を患者に転じましょう。患者、つまり、 はありません。私たちが自ら針路を決め、帆をあ 皆さんのことでもあります。私の処方せんは、次 げ、嵐に翻弄されながらも舵輪を握って旅を続け のようなものです。自分が受けているケアに、責 ました。私たちは自身の運命の決定に力を尽くし 任をもつこと。患者として、発言力をもち、学習 てきました。さもなければ、誰かに代わって私た すること。家族を保険に加入させる、主治医を選 ちの運命を決めてもらうことになったでしょう。 択する、終末期ケアに関する自分の意思を文書に 私は先ほど、海で学んだこと、海から学んだこ するなど、今、健康に関する重要な決断をしてく とを話しました。少し時間をいただいて、デイト ださい。一般的な病気のほとんどは予防可能です。 ナビーチからバミューダまでのレースについて より健康的な行動を取り入れるという意欲をも も話したいと思います。レースの3日目は、雲ひ ってください。自身の健康こそが最大の財産です。 とつなく晴れわたり、気温も穏やか、雄風が吹き、 健康を粗末にしてはなりません。愛する人たちが 海は青く、セーリングには最高の日でした。すべ あなたに感謝するでしょう。 ての帆をあげて追い風に乗り、16ノットで進んで 今、私は医療の基本原則を破り、最後の処 いました。波が船首で砕けるたびに、大きな波の 方せんを出そうとしています――私自身に対す 波頭に乗ったかと思うと波間に落ちていきます。 る処方せんです。アメリカ医師会会長として、私 パーフェクトな条件に私たちは大喜びしていま は私たちの間にある相違を修復するために力を したが、キャプテンは風が強くなったことに気づ 尽くすことを約束します。アイザック・ニュート き、帆のいくつかをたたむべきだと言いました。 ンは、「私たちはたくさんの壁を作りすぎ、十分 クルーは批判的でした。私たちは結局のところ な橋を作らない」と言いました。私はこの言葉を 「経験豊かな」船乗りだと自負していたのです。 心に留めて、しかるべく、きちんと行動していく 沿岸警備隊のコースも受講し、天測航法も身につ つもりです。 けている。本格的なレジャーとして、フロリダ周 このために私が計画している方法のひとつは、 辺を帆走してきた。私たちのほうがよく知ってい 定期的な会議の開催などを通じて、AMA会員の ると。ところで、クルー全員が医者だったことは 方々と話をすることです。その目的は、一部には まだ話していませんね?この「議論」は、船首か 最新の展開を皆さんに伝えることですが、主に皆 ら響いてきた大きなバーンという音で中断され さんの話を聞くこと、すなわち皆さんの考え、提 ました。見上げると、強風のために帆が吹き飛ば 案、質問、懸念に耳を傾けることです。これは双 され、ずたずたになっていました。 方向の対話になります。率直で正直なコミュニケ ここで学んだ教訓は次のようなものです。バミ ーションをするためには、双方向性の会話が必要 ューダへのクルーズは、帆走が順調で、太陽が光 です。私は話すだけでなく、耳を傾けるつもりで り輝いている時でさえ、慎重さを欠かさずに風を す。詳細については、まもなくお知らせします。 チェックし、海をチェックし、帆をチェックし、 このようなコミュニケーションが、即決を要する 変化を予測し、そうした変化に備えなければなら 問題への取り組みに役立つでしょう。 ないことを教えてくれました。そしておそらく、 結局のところ、この歴史的な混乱の時代に下さ すべての答えを知っている人は誰もいないこと れた決断が正しかったかどうかは、時が判断して を教えています。計画を怠れば、もし外からの力 くれるでしょう。しかし私は、これらの決断が信 で私たちの針路と速度を定められるようなこと 念に基づいており、便宜的なものではないと断言 があれば、方向も目的もないまま、最後には力な できます。よりよい医療制度のための決断であり、 く漂うことになります。だからこそ、AMAは改革 単なる現状打破ではありません。患者の利益のた 論争の嵐の中でも、舵輪を握り続けてきました。 5 現在、私たちは組織的な医療とAMAにとって、 決定的な瞬間に直面しています。これは難題とい うだけではなく、またとない機会でもあるのです。 全員で協力し、私たちの間に存在する論理の相違 に橋をかけましょう。そして、全員で同じ船に乗 っていることを、心に留めておきましょう。 One ship sails east and another sails west With the self-same winds that blow. Tis the set of the sails And not the gales that tell us the way to go. Like the winds of the sea are the ways of fate, As we voyage along through life: Tis the set of a soul That decides its goal, And not the calm or the strife. エラ・ウィルコックスの詩を紹介します。 吹く風は同じでも ある船は東へ進み別の船は西へ進む 行くべき針路を決めるのは 風ではなく Tis the set of the soul. ひとそろいの帆 私たちは医療に携わる家族なのです。私たちの 海風のごとく、運命の風は吹く 患者を代表しています。私たちは、気持ちをひと 人生の航海の中 つにして、針路を決めなければなりません。なぜ 行く先を決めるのは なら、私たちは力を合わせることで強くなれる 凪でも嵐でもなく (together we are stronger)からです。 魂のありよう 6
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