ヨーロッパのカフェとバールを訪れて-トリノ① (4)トリノ トリノはイタリアのカフェを語る上で欠くことの出来ない至宝の銘店が居並ぶ街です。その多くが創業 した19世紀は、イタリア統一を果したサルデーニャ王国がイタリア王国となり、トリノはその首都で もありました。 ⑯ Caffe Confetteria al Bicerin(現地時間 10/22、14:45)英仏間の7年戦争を終結させたパリ条約の締結 と同じ 1763 年の創業であり、トリノでは最も長い歴史を誇る有名なバールです。日本では江戸時代の 中期にあたります。大変美しい建物の1階にあって、バールとショコラティエが並びます。8卓程の店 内はいつも混雑しています。いくつか開いていたテーブルは我々で満席になりましたが、恵まれた運に 感謝です。中では何組みかの先客が熱心に会話しています。ほとんどが常連客と思われますが、カウン ター越しに客とスタッフとの会話も弾んでいます。今は昼下がりですが、各テーブルに灯るキャンドル が、テーブルトップの白い大理石をほのかに染めています。この辺も伝統なのでしょう。何世紀にも亘 って、人はこの柔らかな光に瞑想し、エスプレッソの刺激に激論を交わしたはずです。ここに座してい ることで、何百年の歴史を一気に辿ることも可能な Caffe Confetteria al Bicerin です。かくも永くコーヒーは 人類の歴史の検証役であり得たのか、イタリアのカフェの魅力の一つがここにあります。 この時代 17~18 世紀はヨーロッパ各地にコーヒーショップが開店しています。さまざまな歴史のう ねりがここから台頭し、それは様々に形を変えながら現在のカフェやバールに至ります。イタリアのバ ール巡りは歴史というオーロラの中に分け入る旅でもあります。 現実に戻ればエスプレッソは濃厚で Bicerin のチョコレート付き。グラスに入った名物 Bicerin は、エス プレッソとホットチョコレートを混ぜて生クリームをのせた伝統のドリンクです。トリノ名物としてど こでも見かける Bicerin ですが、ここが発祥の地になります。冷たいクリームの下は温かいカフェーとチ ョコレートドリンク。メニューの発想が実に豊かです。 Piazza della Consolata, 5, 10122 Torino http://www.bicerin.it/ (次回は TORINO のカフェ巡りです) (文と画像の転載はお断りいたします : Copyright(c) Cafegoods Co.,Ltd,All Rights Reserved.)
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