第10章 近世ヨーロッパ・アメリカ世界の成立 1. 産業革命 (1)世界最初の産業革命 ① [農業革命] 産業革命に少し先行し、市場向けの農業が発達。急増する都市人口を支える。 [ノーフォーク農法]より、畑の養分を維持。ポスト散歩制。 [第2次囲い込み] 大地主が中小農民の土地や村の共同地を合わせて作った 大規模農地を[農業資本家]に貸し出す。 土地を失った農民は農業労働者や都市の工業労働者へ。 ② [産業革命] 18世紀後半イギリスで発生。工業中心の社会を生み出す。 商工業の発達による多量の資本、[重商主義政策]による広大な[海外市場]、 農業革命による労働者、豊かな石炭や鉄、発展した自然科学技術の存在により発生。 (2)機械の発明と交通機関の改良 ① 綿工業の発達 a.背景 毛織物が中心の17世紀末、[インド]から輸入された綿布(キャラコ)の需要が高まり、 政府は輸入禁止令を発布(1700)。 綿布や綿花が[大西洋三角貿易]の重要品となり、大量生産を可能とする 技術革新が起き、[マンチェスター]中心に[綿工業]が発達。 b.技術革新 ひ [ジョン=ケイ]が[飛び杼]を発明。綿織物生産向上(1733、産業革命前)。 [ハーグリーヴズ]が[多軸紡績機](ジェニー紡績機)を発明。1764)。 [アークライト]が[水力紡績機]を発明(1769)。 [クロンプトン]が[ミュール紡績機]を発明。多軸紡績機に水力を利用(1779)。 りきしょっき [カートライト]が[力織機]を発明。蒸気エンジンを利用。手織りの300倍(1785)。 [ホイットニー](米)が[綿繰り機]を発明(1793)。背景に米産業の活性化、奴隷の増加あり。 ② 動力革命と諸工業 a.[動力革命] [石炭]の利用と[蒸気機関]の実用化。 18世紀初めに[ニューコメン]が蒸気力利用のポンプ(ニューコメン機関)を発明。 [ワット]が蒸気機関を改良、紡績機や力織機の原動力に(1769)。 b.諸工業の発達 諸工業の繁栄により機械工業、鉄工業、石炭業などが発展。 工場制手工業が発展し、[産業資本家]が社会の中心となる。 [ダービー父子]が[コークス製鉄法](石炭を蒸し焼き)を開発(1709)。 ③ [交通革命] 大量の原料、製品、石炭を早く輸送するために改良がなされた。 a.蒸気機関車 [トレヴィシック]が[蒸気機関車]を開発(1804)。 [スティーヴンソン]が改良した蒸気機関車を実用化(1825)。 ストックトン=ダーリントン鉄道開通(1825)。ロコモーション号が運行。 マンチェスター=リヴァプール鉄道開通(1830)。ロケット号が運行。 b.蒸気船 [フルトン](米)が[蒸気船]を試作(1807)。世界各地を結ぶ交流に貢献。 世界史Aプリント No.1 第10章 近世ヨーロッパ・アメリカ世界の成立 1. 産業革命(続き) (2)機械の発明と交通機関の改良 ④ 産業革命の結果と波及 a.イギリス 良質で安価な工業製品を大量生産。「世界の工場」としての地位を獲得。 b.その他諸国への影響 英、機械輸出(1825~) cf.18 世紀、英仏が戦争していたので、輸出が 19 世紀になった? [ベルギー]、[フランス](中心地リヨン)が産業革命を迎える。(1830 年代) ↑不確定情報 [ドイツ]が産業革命を迎える。(1840 年代) [ロシア]、[日本]が産業革命を迎える。(1890 年代) ※米は 30 年とも 40 年とも 60 年とも (3)資本主義体制の確立と社会問題の発生 ①資本主義体制の確立 農業中心の社会から工業中心の社会へ(産業社会)へ。 [機械製工業]の出現で、家内工業や手工業が急速に没落。 [産業資本家]が地位を高め、資本主義社会の中心となり、[資本主義体制]が確立した。 ②労働問題と社会問題 伝統より進歩を望ましいという社会感情や価値観への変化。 a.都市への人口集中 [マンチェスター](=コットンポリス)(綿工業)、[バーミンガム](鉄工業) [リヴァプール](貿易、かつては奴隷貿易)などの大都市へ人口が大移動 b.労働問題や社会問題と社会主義思想の誕生 失業した手工業者たちは[機械打ち壊し運動]を行う。(1810 年代のラダイト運動など) 大規模工場の労働者は階級意識に目覚め、団結して労働組合を結成。 産業革命による分業が進み、女性や子供が工場や鉱山で働くようになる。 資本家が利益追求のために、労働者に不衛生、低賃金、長時間労働を強制。関係悪化。 社会主義思想が芽生え、労働問題、社会問題の解決を目指す。 →[マルクス]、[エンゲルス]らが中心に。 世界史Aプリント No.2 第10章 近世ヨーロッパ・アメリカ世界の成立 2. アメリカ独立革命 (1)北アメリカ植民地の形成 ① イギリスの北米13植民地 ヴァージニア(1607)から[ジョージア](1732)までで成立した[13植民地]。 信仰の自由、[ヴァージニア]を皮切りに作られた議会、大学や新聞などがあった。 北部は自営の農民や商工業者が中心。ニューイングランド地域には多くの[ピューリタン]。 南部は黒人奴隷を用いてタバコ、藍、綿花、米を生産する[プランテーション]農業。 先住民との戦闘により、[七年戦争]後、居住地が[アパラチア山脈]以東に制限される。 cf.本来の居住地は[ミシシッピ川]以東(パリ条約)。 ② 植民地抑圧策への転換 英の[重商主義]政策により、本国の物を買わせる為に植民地の商工業発展を緩やかに抑制。 度重なる戦争により発生した赤字を軽減する為、課税と重商主義政策を強化した。 [印紙法]発布(1765)に対し、「代表なくして課税なし」と反論。翌年撤回となる。 [ボストン茶会事件](1773) 東インド会社が米への茶の独占販売を認めた[茶法]が原因で発生。 “自由の息子たち”という集団が茶箱を投棄。後に英軍がボストン港を封鎖。 (2)アメリカ合衆国の独立 ① 独立戦争の開始と独立宣言 a.戦争勃発 植民地側が[大陸会議]を開催(1774)し、自治の尊重を要求。 パトリック=ヘンリ「自由か死か」と発言。 [レキシントン]と[コンコード]で武力衝突(レキシントン=コンコードの戦い)(1775)。 →独立戦争開始。[ワシントン]が植民地側の総司令官に。 b.開戦時の状況 [忠誠]派(ジョージ 3 世への忠誠)、[中立]派、[独立]派が併存。 [トマス=ペイン]が「コモン=センス」(「常識」)を発表(1776)。独立の気運を高める。 c.[独立宣言] 1776 年 7 月、[トマス=ジェファソン]らがフィラデルフィアで発表。 [グロティウス]の自然法、[ロック]の社会契約説や抵抗権の思想的影響を受ける。 →人間の基本的権利としての自由・平等を宣言。 圧政に対する人民の独立を正当化し、近代民主政治の基本原理を示す。 ② 独立の達成 a.戦争の経過 独立軍は当初苦戦したが、[サラトガ]の戦い(1777)で勝利すると、78 年には[フランス]、 79 年には[スペイン]が参戦し、次第にアメリカ優勢になっていく。 [エカチェリーナ 2 世]の提唱で北欧中心の 5 か国で[武装中立同盟]が結成される(1780)。 →英の海上封鎖に対して同盟国が武力で対抗するというもの。米の独立を支援することに。 [ヨークタウン]の戦い(1781)にて、米・仏が英に勝利。 →[コシューシコ](ポーランド)、[ラ=ファイエット](仏)、[サン=シモン](仏)が米側に協力。 b.[パリ条約](1783) 英がアメリカ合衆国の独立を承認。ミシシッピ川以東のルイジアナを米に譲渡。 cf.1763 年にもパリ条約があるので間違えないように!つか今後もいっぱいあるわ。 世界史Aプリント No.3 第10章 近世ヨーロッパ・アメリカ世界の成立 2. アメリカ独立革命(続き) (3)合衆国憲法の制定 ① 合衆国憲法の制定 独立戦争中、連合規約により、中央政府の権力が弱い 13 植民地の連合国家を作る。(1777) →政治・経済的混乱が続き、強力な政府を作ろうとする動きが強まる。 フィラデルフィアで[憲法制定会議]を開催。[合衆国憲法]を制定。(1787) ② 合衆国憲法の特色 a.[人民主権] これに基づいた共和制。 b.[連邦主義] 中央政府の権限を強化。ただし、各州に大幅な自治も認める。 c.[三権分立] [行政権]([大統領]の率いる政府)、[立法権](上院と下院からなる連邦議会), [司法権](最高裁判所が行使)の三つの権利がある。 d.その他の特色 政治と宗教の分離(政教分離)、軍隊の文民統制(シビリアンコントロール)、人民の権利保護。 ③ 連邦政府の発足 a.憲法をめぐる対決 [連邦]派(支持派)と[反連邦]派(批判派)とが対立。これが後の政党となる。 b.連邦政府 [ワシントン]が初代大統領に就任(1789)。同年に起こった仏革命やその後の戦争には中立。 首都[ワシントン(D.C.)]の建設(1800)。議会が直轄管理。 連邦派と反連邦派の対立 連邦派…財務長官に就任した[ハミルトン]が中心人物。 反連邦派…外交を担当する国務長官に就任した[ジェファソン]が中心人物。 ④ 合衆国独立の意義と問題点。 a.意義 広大な領域国家での共和制実現が、絶対王政のヨーロッパ諸国に衝撃を与えた。 b.問題点 黒人奴隷制は継続され、黒人の権利が無視され続けた。 [アパラチア山脈以西]の入植が解禁され、先住民の権利が無視された。 (4) 〇〇革命 ① [二重革命](18c 末~19c) 産業革命(英)、独立革命(米、仏)。産業と政治の二重革命。 ② [大西洋革命] (18c 末~19c) 独立革命(米、仏)。ラテン・アメリカ諸国の独立。 世界史Aプリント No.4
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