シェア居住における新しい中年単身者の住まい方に関する研究

シェア居住における新しい中年単身者の住まい方に関する研究
201014035 吉村 理美
指導教員 黒木 宏一
1.シェア居住
1−1 シェア居住とは
シェア居住とは、一つの住まいを複数の非血縁者と共
3.目的
本研究は、シェア居住が増加しつつある中年単身者に
着目し、シェア居住の実態を明らかにし、居住者同士の
有して暮らすことを指す。個室以外の LDK、シャワー、
関係性を見出すとともに、新しい中年単身者の住まい方
トイレ等を居住者全員で共有する住まい方である。シェ
やライフスタイルを提示することを目的とする。
ア居住でも以下のような住まいの型
1)
があり、集合住宅
の一室であればルームシェア、一軒家となるとシェアー
4.方法と今後の予定
シェア居住の情報が掲載されているオシャレオモシロ
ドハウスに型の名称が変わるなどの種類がある ( 表1)。
フドウサンメディアひつじ不動産 5) に問い合わせをした
1−2 最近のシェア居住
シェア居住の件数は今や関東だけで 2000 件以上にの
後、中年単身者のシェア居住の事例を見つけ、居住者に
ぼり、ただ個室以外を共有して暮らすだけでなく、趣味
表1 シェア居住の住まいの型と特徴 1)
アンケート調査とヒアリング調査を行う。
類型
を共有するものから専門性を有するものまで、その単身
者に合った付加価値を求めるシェア居住が存在してい
特徴
マンションやアパートの集合住宅の一室を借りて、一つの住戸に血
縁関係のない人々が同居をする住まい。個室があり、1室に複数名
ルームシェア
で居住している場合も稀にみられる。LDK や風呂、トイレ等を共同
る。多様なシェア居住の在り方を提案し続けている内野
匡裕氏は、「住むだけではなく、心あたたまる人とのつ
利用する。
ルームシェアと同様な空間構成や利用等をしているが、一軒家にな
シェアードハウス
るとハウスシェア、シェアードハウス、シェアハウスと呼ばれる。
ながりがある暮らし、人生を変えるような気づきのきっ
かけがある暮らし、一人ではやろうと思わないが居住者
主に業者が専門的に経営または管理をしており、家具、家電、日常
供給されており、個室は鍵がかかり、台所や風呂等は共同利用する。
ミングル
のに家族ができてしまう暮らし 2)」が求められていると
光熱費や共同利用する備品等は居住者で折半することになる。
1%
4%
述べている。
俣らによる、都心部における単身者向けシェア居住の近
主管理ではない場合が多い。
友人2人(同 性) で半共同生活する住まい。大阪等の関西を中心に
全員でやると楽しいがそばにある暮らし、家族ではない
1−3 シェア居住に関する既往研究
既往研究では、若者を中心としたシェア居住から、木
生活における備品が付属している。また、共同空間の清掃などは自
ゲストハウス
0%
2%
30−39歳
28%
20−29歳
65%
年の動向に関する研究 1)、大森らによる、居住者の交流
持ち、シェアすることに何を求めているのだろうか。
44
居住を選択し、そこにはどのような狙いや目的や意識を
−
て中年単身者は実家暮らしや1人暮らしでもなくシェア
39
率の増加等が関係していると考えられる。では、どうし
40
ある ( 図1)。これは、女性の社会進出や男女生涯未婚
−
構成を見ると、若者だけでなく中年の割合も増加傾向に
34
居住が増加している。しかし、最近のシェア居住の年齢
35
の出会いがある等の理由により、特に若者同士のシェア
2008年
−
費用や1人あたりの賃料の安さ、同じ趣味を持つ他者と
29
用するシェア居住が選択肢の1つになりつつある。初期
[歳]
30
2.背景
近年、単身者の住まいとして、複数人と空間を共同利
30−39
60−
−
のシェア居住に関する研究が主である。
20−29
50−59
年齢構成 (2008年)
24
等が多くなされており、その殆どは若者
−19
40−49
25
に関する研究
4)
−
田らによる、地域と交流を持つシェアハウスの成立条件
20
からみる共同空間の使われ方と影響に関する研究 3)、藤
2012年
2008年との年齢構成増減比 (2012年)
図1 年齢構成と増減比 5)
〈参考文献〉
1) 木俣賜美 , 丁志映 , 小林秀樹「若年単身者向けのシェア住居の関
する近年の動向 - 都心部における単身者向けシェア居住に関する研
究 ( その1)-」日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 九州 ) 講演番号
5630,pp91 〜 pp92 (2007)
2) 内 野 匡 裕「【UR 都 市 機 構 様 講 演 資 料 】 シ ェ ア ハ ウ ス 市 場 動 向 」
<http.//www.slideshare.net/masahirouchino/ur-15719932> (2012)
3) 大森一樹 , 丁志映 , 小林秀樹「規模別における共用空間の使わ
れ方とその影響 - 都心部における単身者向けシェア居住に関する研
究 ( その2)-」 日本建築学会大会学術講演梗概集 ( 九州 ) 講演番号
5631,pp93 〜 pp94 (2007)
4) 藤田航平 , 菊地吉信 「事例調査に基づく近隣交流型シェアハウス
の成立条件に関する考察」日本建築学会北陸支部研究報告集 第 54
号 ,pp383 〜 pp386 (2011)
5)「オシャレオモシロフドウサンメディアひつじ不動産」 <http.//
www.hituji.jp/>