医療の基本スキル ー医療トラブル対応能力ー 医療安全推進室室長・教育研修推進室長 西村和修 医療紛争の原因 1.医療ミス 誤薬、投与量ミス、患者取り違え 2.医療の質(Quality)に係わるもの 診断の遅れ、誤診、手術による合併症、カテーテルト ラブル 3.コンフリクト(利益相反) 患者と医療者との認知の齟齬ー圧倒的に医療者の知識 が多い 医療者から見れば自然経過だが、結果は悪い 患者側(医療ミス)ー医療者側(合併症) コンフリクトマネージメントの重要性 Takamatsu redcross Hospital 医療者と患者の立場、知識の違い 医療者 患者 相手のニーズの把握 心情問題と事実問題がある 心情問題については共感謝罪、表明 事実問題については正確に把握すること に努める Takamatsu redcross Hospital トラブルとなった時の心得 心情問題と事実問題に分けて考える 医師はとかく事実のみに目を向けやすい 相手の心情を理解する あいづち、共感の重要性 事実はしっかりと分かりやすく説明 実はーーーで始めるとうまくいくことが多い 共感の重要性 患者・家族の感情への共感 「つらい」「腹が立った」「嫌だった」など 不安の強い人にはとくに重要 機械的なあいづちだけでは不安を高める 「理解してもらえていない」⇒不信感に 共感できないことを言われたときの共感 もごもご・・・⇒不信感が芽生えギクシャク 共感が得られないといつまでも訴えが続く あいづちの重要性 “あいづちの表情”:非言語的共感 硬い、柔らかい、暗い、偉そう、機械的、 気持がこもっている、上の空・・・ タイミング ずれると「聴いてくれているの?」と不安に パソコン検索や本で調べながら⇒意識がそれる 途絶えるのは問題 不安や不信感の原因にも 共感謝罪とは 共感は患者の心中や痛みを理解し、分かち 合うが、自分自身を失わない。 医療者は単なる同情でなく、患者に共感し ながら、自分の専門的知識、経験から患者 に対して何ができるかを冷静に考える必要 がある。 まず共感し、謝罪し、次の対応を述べる。 Takamatsu redcross Hospital 役立つフレーズ 謝罪 ご迷惑をおかけしました ご負担をおかけしました お役に立てず恐縮です ご期待に添えない結果となり、心苦 しい限りです Takamatsu redcross Hospital 役立つフレーズ 共感 ご指摘はごもっともです ご事情をお察しします ご意見を真摯に受け止めます 確かにそうですね Takamatsu redcross Hospital 対応時に重要なポイント 謝罪のポイント 迅速に、焦点をあてて謝罪 「○○の点でご迷惑をおかけして申し訳ありま せんでした。」 「私どもの説明不足で大変お手数をおかけしま した」 外来患者であれば「大変お待たせしました。」 Takamatsu redcross Hospital 傾聴力の強化 聞く(hearing)と聴く(listening)の違い 聴くとは きく意志を持っている じっと耳を傾ける=傾聴(active listening) 傾聴とは相手の話から心を感じ取る Takamatsu redcross Hospital 医療者に求められること “ことば”の大切さ 適切なことば遣い・ひとことの必要性・ 心理的上下関係を生み出す表現 感性を働かせる “慣れて”しまわない 患者の心に寄り添う 患者・家族の気持ちのスピードに合わせる 「答える」のではなく「聴く」姿勢 患者・家族とトラブルにならないため に 早く話を終えようとしない 気持ちは相手に通じている 気持を受け止めてじっくり耳を傾ける 頭ごなしに否定しない 先回りして「できない」言い訳をしない 理由や根拠を必ず伝える 積極的傾聴の勧め 「苦情対応」と力まず「相手と話す」スタンス 医療者に望むコミュニケーションの基本 笑顔 • 話しかけやすい豊かな表情 • どんな表情で患者と向き合っているか まなざし • 上からの「診て(看て)やっている」 になっていないか? • 視線を合わせてほしい ことば • 相手の人間性を尊重する基本 • 「ひとこと」の大切さ 聴く姿勢ともう一歩踏み込むコミュニケーションを!! 本日のポイント まずはあいずち、共感、必要があれば謝罪 事実関係は「実はーー」で説明 患者側と医療側にはコンフリクトがある 傾聴(Active Listening)の重要性 その後にきちんと対応策を協議、提示 対話が医療を救う Takamatsu redcross Hospital
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