第1学年 生活科学習指導案

第1学年
生活科学習指導案
指導者
1.単元名
教諭
佐藤
恵美子
「はっぱのいろがかわったよ」
2.目標
(1) 秋の遊び場や公園での遊びや人、草木、虫などとのかかわりを通して、季節の変化を体感
することができる。
(2) 木の実や落ち葉などで遊んだり、遊ぶものを作って友だちと一緒に楽しく遊んだりするこ
とができる。
(3) 遊びを通して気づいたことや感じたことを友だちに紹介する事ができる。
3.指導にあたって
(1) 単元について
本単元は,学習指導要領生活科の内容(5)
「身近な自然を観察したり、季節や地域の行事にか
かわる活動を行ったりして、四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き、自分
たちの生活を工夫したり楽しくしたりできるようにする。
」(6)「身の回りの自然を利用したり、
身近にある物を使ったりなどして遊びを工夫し、みんなで遊びを楽しむことができるようにす
る。」に基づいて設定したものである。
秋は一年の中で最も季節の移り変わりの様子が顕著に表れる時期であり、紅葉・落ち葉・木の
実また作物の収穫などなど、子どもたちが体感できる素材がいっぱいの季節である。秋の自然に
親しみながら楽しい遊びを工夫することにより、季節の変化を視覚のみならず、かいだり触れた
りなど体全体で感じ取ることができるのではないかと考える。
また、自然にたっぷりと浸らせる活動を通して自然への主体的な関わりを促し、「ふしぎだな」
「どうしてだろう」というような知的な気付きを育てることができると思われる。同時に遊びの
中での友だちや家族、地域の方との交流の楽しさを味わわせることができるものと思われる。常
に身近にありながらあまり意識することのない季節の変化を意識・体感させることにより生活科
の大きな目標に迫ることができるものと考え、本単元を設定した。
(2) 児童の実態(男7名
女3名
計10名)
人数は少ないが明るく活動的な児童が多く、生活科の学習は全員がとても楽しみにしている。
《意識調査から》10 月 15 日実施
1.生活科の勉強はすきですか。
すき
10 人
ふつう
0人
きらい
0人
2.「秋」はどんな季節ですか。
・ くり、どんぐり、落ち葉、いちょう、さつまいも
・ 紅葉、どんぐり、落ち葉、あけび、みかん、柿、暖かい日や寒い日がある。
・ くり、柿、どんぐり、落ち葉、葉っぱがきれいになる。暖かい日もある。
・ 柿、さつまいも、落ち葉、栗、どんぐり
・ くり、なし、あけび、みかん、柿
・ くり、きつね、どんぐり、りんご、なし、みかん、柿、あけび、さつまいも、
落ち葉、いちょう、虫がいっぱい出てくる。
・ くり、落ち葉、木の色がかわる。おこめがいっぱいできる。
・ 食べ物がいっぱい。虫がないて合奏する。
・ くり、りんご、柿が食べられる。山がきれいになる。果物狩りができる。
・ くり、どんぐり、あけび、虫がいっぱい。
2.秋の草花や木の実で遊んだことがありますか。
はい
3人
どんぐりで馬を作る
どんぐりで首飾りを作る
いいえ
7人
3.秋の公園でどんな遊びをしたいですか。
・ はっぱをとってきて「押し葉」にする。
・ はっぱをならべてもよう作りをする。
・ 木の実を集める。
・ どんぐりひろい
意識調査の結果から、
「秋」という季節に対するイメージや四季の移り変わりということに関
しては、それなりの捉え方ができているようである。草花、食べ物、虫など目に見えるもの
だけでなく、
「暖かい日もある。」など五感を通して季節を感じ取っている児童も見られる。
しかし、これだけ自然豊かな地域に住んでいるにもかかわらず、実際に草花や木の実で遊ん
だ経験を持つ児童は少ない。草花や虫の名前などに関する知識もあまり持っておらず、コオ
ロギなどの虫に触ることのできない児童もいる。
4 月に入学してから生活科の学習の中で、春には「押し花」や「押し葉」、夏には「アサガ
オのたたきぞめ」や「染め出し」、つゆ草を集めての「色水作り」などに取り組んできた。ま
た、最近になって、保護者の方から近くの山で拾ったというどんぐりをたくさんいただき、
どんぐりごま作りにも挑戦した。どんぐりごまを作るのは初めてという児童がほとんどだっ
た。
(3) 支援の方向
秋になって季節がすっかり変わったことを、実際に外にでかけ、五感を通して感じ取らせたい。
本単元においては、安全面に配慮しながら、できるだけ外にでかける機会を多く作っていきたい。
日常的に活動の場となっている校舎周辺ではあるが「あきをさがそう」という明確な視点を与え
ることにより、普段気付くことなく過ごしている自然にまで目を向けさせていきたいと考える。
視覚だけでなく、実際に触れたり、聞いたり、嗅いだりといった体全体を使った活動になるよう
に支援していく。また、春に同じ場所を探検したり、夏に草花集めをした時の様子を思い起こさ
せ比べさせることにより、季節の変化の様子をしっかりと捉えさせたい。
自然の豊かな地域ではあるが、あいにく学校周辺には、1年生がおもいっきり活動できるよう
な大きな公園などはない。そのため、特に製作の段階においては、家庭に協力を呼びかけ、
「秋」
を感じられるようなものを集めてもらったり、
「草花を使った遊び」を教えてもらったりしていく。
児童の気付きや限られた場所だけでは活動の幅が限定されてしまいがちである。その部分を家族、
特に祖父母の方に助けていただければと考える。(10名全員が祖父母と一緒に生活している。)
そのことによって家族(人)との温かい交流にも期待したい。なお、家庭に協力を呼びかけるに
あたっては、単に物を集めるのでなくできるだけその自然の場に子どもを主体的に関わらせてほ
しいという主旨をお願いする。製作にあたっては、特に安全面への配慮を十分にしていく。また、
製作の方法や遊び方を友だち同士で教え会うという活動を取り入れることにより、人との関わり
の幅を広げていきたい。
実際に製作したもので遊ぶ段階においては、まずは学級の中の友だちとの交流、その後、学級
の友だち以外との交流へと活動の幅を広げていければと考える。交流の相手としては、日常的に
交流の機会の多い2年生や、昨年度自分たちが遊ばせてもらったという経験から、幼稚園児など
が考えられるが、児童の発想に任せたい。
(4) 研究主題との関連
研究主題
生き生きと豊かな心を持って活動する児童の育成
―
子どもを生かす評価の方法と工夫
―
低学年部テーマ
身近な人や自然とのかかわりを大切にし、生き生きと活動する子どもをめざして
研究テーマに迫るための手立てとして
1)身近な「人」から学ぶ
家族、特に祖父母に教えてもらう、一緒に材料集めをしてもらうという活動を取り入れること
により、家族との交流の機会を持つ。また、自分の知った遊びを友だちに紹介する、異年齢の友
だちにも教えて一緒に遊ぶという活動に広げることにより、交流(かかわりあい)の幅を広げる。
2)体験的活動の重視
活動の中心となるのは、学校周辺で日常的に活動している場所とすることにより、学習時間の
みならず、様々な機会に体験的活動を行うことができるようにする。
3)記録を工夫する
一年を通して、見つけたこと、発見したことの記録をファイル、保存することで、自然の変化
に気付くことができるようにすると共に、学習の振り返りに活用する。
評価の工夫について
自己評価について
具体的な活動や体験を通して対象と関わることにより、子どもたちは主体的、能動的な学習態
度を身につけていくことができる。自然の中でおもいっきり楽しく遊び、そこから次の活動への
意欲をふくらませることができたかを中心に評価していく。秋と遊ぶ段階、発表の段階、製作の
段階、実際に遊ぶ段階ごとに「感想」という形で評価させる。
相互評価について
友だちの発表を聞いて、分からないところを質問したり、お互いに教え合ったりという活動そ
のものが相互評価となる。友だちの発表や活動を「自分もやってみたい。」
「じょうずだな。
」など
プラスの思考を持って評価できるようにしていきたい。
発表、友だちとの交流、製作の場面を中心に評価していく。
4.単元の学習計画(16時間扱い
段階
学習のねらい
時数
○ あきのこうえんで 6
第
あそぼう
次
二
活動への配慮
○ 校庭や校舎裏の草木 ●事前に校庭や校舎裏の様子
る。
動できるようにする。
の草・木・虫の様
草木探し
●教師も落ち葉を集めたりし
子を見て季節の変
虫さがし
て、児童と一緒に秋の楽しさを
化に気づくととも
遊ぶ
味わう。
に、秋の自然の中
○ 春や夏のころと変わ
で楽しい遊びをす
ってきたことを発表
ることができる。
しあう。
○ つくってあそぼう
第
主な学習計画
や虫の様子を観察す を調べておき、児童が十分に活
秋の校庭や周辺
一
本時13/16)
5
落ち葉や木の実
○ 秋の遊びを友だちに ●自分の知った秋の遊びを自
紹介する。
信を持って発表できるように
などを使って遊ぶ
実際に遊ぶ物や写真などを用
ものを作ったり、
意する。
それを使って遊ん
次
○ 木の葉や木の実でい ●おもちゃ作りに必要と思わ
だりすることがで
ろいろなものを作っ れる材料や用具をそれぞれの
きる。
て遊ぶ。
コーナーに用意する。
どんぐりごま
●参考作品を提示し、児童の意
こすりだし
欲を高める。
くびかざり・洋服作
り
その他
○できあがった遊ぶもの もの作りを通じて自分の感じ
や飾り物を紹介しあう。
たものを大切にさせることは
もちろん、友だちの見つけた秋
のよさや楽しさも認めさせる。
○ みんなであそぼう
第
5
できあがった遊 本時
ぶもので、みんな 2/5
三
と遊び方やルール
を決めて、いっし
次
ょにたのしく遊ぶ
ことができる。
○ 遊び方やルールを決 ●友だちどうしの交流をスタ
め、みんなでなかよく ートとし、そこからさらに活動
遊ぶ。
が広がるように支援する。
5.本時の活動Ⅰ
(1) 活動名
あきのあそびをしょうかいしよう
(2) ねらい
秋の遊びを友だちに紹介することができる。
友だちの発表を聞いて、自分もやってみようという意欲を持つことができる。
(3) 本時の支援
① 環境構成の工夫
・ 秋を感じられるような教室掲示を工夫する。特に家庭から寄せられた物や写
真などは、一つのコーナーを設けて展示しておく。日数のもたない木の実や
草花などは、写真に撮って掲示しておく。
・ 休み時間などに「秋」をみつけたらすぐに掲示しておけるような場を教室に
作っておく。
② 支援の工夫について
・ 本時は家族の人に教えてもらったり本で調べたりした「秋の遊び」を友だち
に紹介する活動である。遊びの内容が具体的に分かるように、実際に作った
ものを準備したり、写真などを活用させ、自信を持って発表させるようにし
たい。
・ 友だちの発表を聞いて、自分も作ってみたい、やってみたいという意欲を引
き出せるような支援をしていく。友だちに作り方を聞いたり、遊び方を教え
てもらったりする活動を取り入れ、児童相互の交流を深めるようにしたい。
・ 発表の内容の種類が少ないことも予想されるので、指導者側でも、何種類か
の遊びを紹介できるように準備しておきたい。
③ 評価の工夫
・ 自分のしっている遊びを友だちに伝えたいという意欲を持って学習に参加し
ているかを中心に評価をしていく。特に、友だちどうしで聞き会う、教え会
うといった活動への取り組みがなされているかどうかに焦点を当てていきた
い。
(4) 準備物
<教師>
・ 秋の掲示物
・ 製作物の参考作品
<児童>
・ それぞれの発表に必要な製作物
(5) 学習の展開
段階
学習活動
導
1前時までの学習を想起す ・本時の学習への期待を高めら ・前時までの活動の様子を
る。
教師の支援
れるように、前時までの活動を 思 い 起 こ す こ と が で き た
○ 校庭周辺を探検した時 振り返らせる。
入
評価の観点と方法
か。(観察)
の様子や気付いたこと
について話し合う。
2本時のめあてを知る。
・本時の活動内容を知らせ、見 ・本時の学習に意欲を持つ
(観察・表
通しをもって活動できるよう ことができたか。
展
あきのあそびをとも
にさせる。
情)
だちにしょうかいしよ
う
開
3それぞれの「あきのあそ ・実物や写真などを用いて、遊 ・自分の知った遊びを自信
び」をはっぴょうする。
ぶものが具体的に分かるよう を持って発表することがで
おしば
な発表を工夫させる。
きたか。(発表)
色水作り
・
・友だちの発表を興味を持
どんぐりごま
って聞くことができたか。
こすりだし
(観察・表情)
リース作り
4感想を発表し、自分のや ・友だちの発表を聞いて、自分 ・自分もやってみたいとい
ってみたいものについて話 もやってみたいものについて う意欲を持つことができた
し合う。
話し合う。
か。(観察・発表)
5自分のやってみたい遊び ・何グループかに分かれ、製作 ・友だちどうしかかわりな
について発表した児童に教 の方法や遊び方について教え が ら 楽 し く 活 動 し て い る
えてもらったり、一緒に遊 てもらうようにさせる。1つの か。(観察・表情)
んだりする。
遊びにこだわらず、教える人、
教えられる人を交代しながら
活動させる。
ま
6 次 時 の 活 動 に つ い て 知 ・本時に紹介された遊びの中か ・次時の活動への期待と意
る。
と
ら、自分もやってみたい遊び物 欲を持つことができたか。
の製作をすることを知らせる。 (観察)
その材料集めも呼びかける。
め
(6) 評価
<教師>
・ 一人一人が自信を持って発表できるような支援ができたか。
・ 児童の活動状況に応じた支援ができたか。
<児童>
・ 友だちに伝えたいという意欲を持って発表することができたか。
・ 友だちどうしかかわりあいながら、楽しく活動できたか。
(7) 板書計画
はっぱのいろがかわったよ
あきのあそびをともだちにしょうかいしよう
あちば
きのみ
かぜがつめたい
5.本時の活動Ⅱ
(1) 活動名
あきのおみせやさんのじゅんびをしよう
(2) ねらい
「あきのおみせやさん」の準備に楽しんで取り組むことができる。
友だちと相談しながら「あきのおみせやさん」に様々な工夫を加えることができる。
(3) 本時の支援
① 環境構成の工夫
・ 秋を感じられるような教室掲示を工夫する。特に家庭から寄せられた物や写
真などは、一つのコーナーを設けて展示しておく。日数のもたない木の実や
草花などは、写真を撮って掲示しておく。
・ お店を開くということで、互いに楽しく活動できるような場の設定をする。
② 支援の工夫
・ 本時は自分たちの作った「秋のおもちゃ」を使ってお店やさんを開くために、
おもちゃ以外でも工夫をしていこうという活動である。児童会行事として学
校全体で取り組んだ「遊ぼう集会」の様子を思い起こさせるなどして、楽し
く遊ぶためにどんな工夫があるかを考えさせながら活動させたい。
・ 少ない人数ではあるが、友だちどうし関わり合いながら準備に取り組めるよ
うに、2,3人のグループを作って活動させたい。
・ 本時は、学級の中でお店やさんを開くための活動であるが、今後、活動が広
がるような支援をしていきたい。活動の中でこどもたちに「他の誰かにも遊
んでもらえたらいいな。
」という思いがふくらむような声がけをしていきたい。
③ 評価の工夫
・ 「あきのおみせやさん」を開くことに意欲を持って、考えたり活動したりで
きているかを中心に評価をしていく。また、友だちと相談し関わり合いなが
ら活動が進められているかという点も大切にしたい。
(4) 準備物
<教師>
・ これまでの活動を振り替えるための写真など
・ 製作(お店の準備)に必要と思われる材料
<児童>
・ 前時までに製作したもの
・ はさみ
・ のり
(5) 学習の展開
段階
学習活動
教師の支援
評価の観点と方法
1前時までの学習を想起す ・本時の学習への期待を高め ・前時までの活動の様子を思
導
る。
られるように、前時までの活 い起こすことができたか。
(観
○ お店やさんを開くため 動を振り返らせる。
入
察)
にがんばっておもちゃ
を製作したことについ
て話し合う。
2本時のめあてを知る。
・本時の活動内容を知らせ、 ・本時の学習に意欲を持つこ
見通しをもって活動できる とができたか。(観察)
展
あきのおみせやさん
ようにさせる。
のじゅんびをしよう
開
3楽しく遊んでもらうため ・「遊ぼう集会」の様子を思 ・自分たちにできそうな工夫
にどんな工夫が考えられる い起こさせ、自分たちにでき を考えることができたか。
(発
か話し合う。
そうな工夫を考えさせる。
表・観察)
かんばんを作ろう
遊び方の説明を書こう
お店を飾ろう
賞品も作ろう
4同じお店を開く友だちと ・必要と思われる材料や用具 ・友だちと相談しながら工夫
相談しながらお店の準備を をコーナーを設けて準備し を加えて活動しているか。
(観
する。
ておく。
察)
(観
・友だちどうし協力しあって ・楽しく活動しているか。
工夫を加えているグループ 察、表情)
を認め励ます。
5本時の活動を振り返り、 ・簡単な感想を数人に発表さ ・自分たちの工夫や活動を通
ま
感想を発表しあう。
せる。
して感じたことを発表するこ
とができたか。(観察)
と
6 次 時 の 活 動 に つ い て 知 ・いよいよお店やさんを開い ・次時の活動への期待と意欲
め
る。
て遊ぶことを知らせ、次時へ を持つことができたか。(観
の期待を持たせる。
察)
(6) 評価
<教師>
・ 「あきのおみせやさん」という具体的なイメージを持たせて意欲的に活動で
きるような支援をすることができたか。
・ 児童の活動の状況に応じた支援ができたか。
<児童>
・ こんな工夫をしたいという意欲を持って活動することができたか。
・ 友だちどうし関わり合いながら、楽しく活動できたか。
(7) 板書計画
はっぱのいろがかわったよ
あきのおみせやさん
のじゅんびをしよう
○○ やさん
○○ やさん
○○ やさん
○○ やさん
1 単元構成について
自然の豊かな地域にも関わらず、学校周辺には自然を体感できるような「公園」などの施設が
ないという実態から本単元の構成を考えてみた。
1年生生活科の活動の場としては、授業時間に限らず日常的に触れることのできる場所が必要不
可欠である。ちょっと足を伸ばせば活動にふさわしい公園などもあるが、かえって校庭周辺を活
動の中心とした方が効果的であると考えた。校庭の隅の桜の木や田んぼのあぜ道の草花などに春、
夏と通して意識的に触れあわせ、本単元の活動へとつなげた。春の満開の桜やあぜ道いっぱいの
草花、夏のアサガオやつゆ草を集めての染め出しなどの体験を通して、少しずつ季節の移り変わ
りを感じ取っていたように思われる。それらの活動を思い起こしながらの本単元の活動である。
毎日のように目にしている学校周辺の自然の移り変わりであるだけに、児童は目、耳、肌などの
五感を通して様々なことに気付くことができたものと思われる。
また、自然に恵まれた地域であるという条件を有効に活用するために、家庭への協力を呼びか
けた。子どもたちの気付きや発見だけでは限りがある。そこを家庭の協力をいただくことでで補
おうと考えた。特に祖父母の協力を多くいただくことができ、活動の幅が大きく広がった。教室
全体がそれぞれの家庭から持ち寄った「秋」の素材でうめつくされた様子を見ながら、子どもた
ちも意欲的に活動に取り組むことができた。
単元の発展となる「みんなであそぼう」の活動においては、自分たちだけでなくもっと活動の
幅が広がるように願っていた。子どもたちの間から「幼稚園のお友だちを招待したい。」という発
想が生まれていったことはうれしいことであった。
2 主体的な学びについて
自分たちで集めた「秋」、家庭から持ち寄った「秋」の素材を用いて、こすりだし、どんぐりご
ま、リース、はっぱのお面などなど、様々な遊びを体験させた。興味を持って意欲的に活動する
中から自然に「みんなで遊ぼう。」
「お店やさんを開こう。
」などの提案がなされ、さらには「幼稚
園のお友だちを招待したい。」という思いにまで膨らんできた。ただ見たり聞いたりするだけでな
く、実際に秋の素材で作ったり遊んだりという活動をたっぷりと体験したからこそ、こういう発
想が生まれたものと考える。幼稚園のお友だちに喜んでもらうためには、どういうお店を作るか、
どういう工夫をしていけばいいのか…などなど、思考錯誤しながら自分たちで一生懸命に考え取
り組む姿が見られた。
3 人との関わりについて
学校周辺に適当な活動場所がないということから考えた「家庭の協力」の呼びかけだったが、
期待していた以上の効果があった。
「おじいちゃんに教えてもらったよ。
」
「おばあちゃんとススキ
を取りにいってきたよ。
」「おとうさんがドングリのある所に連れていってくれたよ。」などなど、
毎日のように家族(特に祖父母)との暖かい触れあいの報告があった。秋の素材がいっぱい集ま
ったと同時に、その素材を使っての遊びなどもたくさん教えていただき、活動の幅が大きく広が
った。教室に持ち寄った秋の素材を展示したり、家族の方が書いてくださった「秋の遊び」の紹
介などを常に掲示しておくことにより、子どもたちも「家庭の協力」を感じ取っていたのではな
いかと思われる。
また、家族に教えてもらった秋の遊びを友だちに教えるという活動を通して、教えたり教わっ
たりという友だちどうしの関わりも見られた。休み時間まで友だちに教えてもらいながら活動す
る姿が見られた。
幼稚園のお友だちを招待しようという活動においては、いかにして相手に喜んでもらうかを考
えながら活動する姿が見られた。1年生という常に学校の中で上学年にお世話してもらう立場に
ある子どもたちにとっては新たな経験となったのではないかと思われる。
4 評価について
活動のたびに感想を絵と文で表し「生活科ファイル」に綴じ込んでいった。同時に活動の様子
の写真などもそれぞれにファイルしていくことで単元の終わりにはかなりの量のファイリングが
できた。活動を振り返りながら次の活動へとつなげることで「自己評価」の芽が育ったのではな
いかと考える。
また、活動ごとに友だちどうしの「相互評価」の場面を意識的に取り入れてきた。友だちどう
し「良かった点」に目を向けさせることにより、認めあい、励まし合うといった「相互評価力」
が育ってきたように思われる。
5 今後の課題
(1) 単元の活動のどの場面において何に視点をおいて評価していくのか。おおまかな「評価規
準表」は作成してみたものの、それを指導の場面においてどのように有効活用していった
らいいのか、今後実際に使いながら考えていかなければならないだろう。特に評価のため
の評価とならないように十分に視点をしぼった「評価規準表」に作り上げていかなければ
ならないと考える。
(2) 期待以上の効果が見られたとはいえ、家庭の協力に頼りすぎた部分も大きかったように思
われる。地域のどこに行けばどのような季節の素材が手に入るのか、周辺にもっと活動に
適した場所はないのかなど、指導者自身がもう少し「地域」について詳しく知る必要があ
る。自然の豊かな地域であるという条件を生かすためにも、日常的な活動とは別に、もっ
と地域に出かけていくことも考えられるのではないだろうか。
(3) 活動の広がりの中で見られた幼稚園との交流は、今後も継続していきたいものである。そ
のためには、もっと日常的に幼稚園との交流活動ができるような場面を設定していけたら
と考える。幼稚園とも話し合いをした上で、年間指導計画にきちんと位置づけて交流活動
ができるようにしていきたいものである。
単元目標
(1) 秋の遊び場や公園での遊びや人、草木、虫などとのかかわりを通して、季節の変化を体感することができる。
(2) 木の実や落ち葉などで遊んだり、遊ぶものを作って友だちと一緒に楽しく遊んだりすることができる。
(3) 遊びを通して気づいたことや感じたことを友だちに紹介することができる。
関心・意欲・態度
思考・表現
気づき
1.あきのこうえんであそぼう ・町や公園を歩きながら、秋の様子 ・自分なりに秋の楽しみ方を考えて ・町を見たり、公園で遊んだりし
をさがそうとしている。
遊んでいる。
ながら1学期のころと様子が変
わったことに気づく。
2.つくってあそぼう
・木の実や落ち葉を使って意欲的に ・木の実や落ち葉の形、大きさや色 ・木の実や落ち葉を使って、遊ぶ
遊んだり飾り物を作ったりしてい などそれらの特徴を生かしながら ものや飾り物ができることに気
る。
3.みんなであそぼう
作っている。
づく。
・遊ぶものを持ちよって、みんなと ・遊び方やルールなどを自分たちで ・遊び方やルールなどを工夫すれ
楽しく遊ぼうとしている。
工夫しながら遊んでいる。
ば、みんなで楽しく遊べることに
気づく。
あいにく近くには児童が日常的に活動できる公園がないので,校庭の一角や校舎周辺での活
動を中心とした。春のさくらから始まって一年を通して触れることのできる身近な自然・・・。
視覚のみならず体全体を使った活動を通して,季節の変化に気づくことができた。
また,家庭に呼びかけ子どもたちと一緒に「秋」を探してもらった。どんぐり,木の実,リ
スなど,様々な「秋」で教室中がいっぱいになった。
ススキがこんなに大きくのびているよ!!
ースを作ってくれたよ!!
どんぐりをいっぱい拾ってきたよ!
スミレもつゆくさも
なくなったね!
おばあちゃんが木の実のリ
はしると﹁カサコソ﹂音がす
る ね!
木やくさのはっぱのいろもかわってきたよ。
春にはさくらがいっぱいさいていたのにね・・・!
家庭に協力を呼びかけて探してもらった「秋」
教えてもらった「秋」の遊びを書いて,教室に掲示しておきました。
「おねえちゃんと一緒にしゃしんにとってきたよ。
」という子もいました。
秋の遊びをしょうかいしよう
<発表,活動の様子>
それぞれの家族の人から教えてもらった﹁秋のあそび﹂をみんなに紹
介して一緒に遊んだ︒どんぐりごま・こすりだし・ススキで作るふくろ
う︐はっぱのおめんなど︐思った以上にたくさんの種類の遊びを教えて
もらっていた︒また︐材料を集めるにあたっても家族の方の協力︵特に
祖父母の協力︶が大きくありがたかった︒
発表した遊びで実際に遊んでみる場面においては︐友だちに教えたり教
っちゃうよー!
手にささないようにね!
わったりという友だちどうしの関わりあいが見られた︒
ススキがぼろぼろにな
あきのおみせをひらこうよ!
友だちどうしで教えあって遊んだり,作品を仕上げる中から「あきのおみせをひらこうよ!」
という声があがってきた。
「どんぐりごま」や「まつぼっくりの動物」など,休み時間まで夢中に
なって作ったものが増えていくのにつれてその思いはどんどん膨らんできたようである。
実際に「あきのおみせ」を開くことになり計画を立てていったが,子どもたちは「幼稚園のお
友だちを招待したいな。
」という思いを持っていた。そこで,幼稚園の先生とも連絡をとり,幼稚
園のお友だちを招待しようという目的を持ってお店作りの計画を立てさせた。
最初「あれもこれもやりたい。」という児童が多かったが,子どもたちどうしで話すうちに4つの
お店にしぼられ決まったようである。
まとあてやけんだまなどを作って
あそんでもらうよ!
はっぱのこすりだしやしお
りの作り方をおしえてあげ
るよ!
あきのようふくやバッグを作ってよ
うちえんさんにきせてあげるよ!
まつぼっくりやどんぐりで動
物をいっぱい作って売るよ!
さ あ っ , お み せ の じ ゅ ん び だ よ !
お店が決まっても最初のうちは,ただ製作することに夢中でどんどん作品をつくっていくだけ
であった。しかし,作品がある程度仕上がったあたりから,「これでどうやってあそんでもらお
う・・・」「これをようちえんさんにあげるだけじゃあつまらないね。
」などの聞かれるようにな
ってきた。「先生,どうするの?」と聞いてくる場合も多かったが,「自分たちで考えてお店やさ
んをひらくんだよ。」という声がけをして自分たちで工夫させることにした。遊びのルールを考え
たりくじびきを作ったりとそれぞれに工夫しながら準備を進めていた。
子どもたちの製作活動のようす
はじめは「まつぼっくりのけんだま」
「はっぱのこすりだし」を教えて
つくりだけに取り組んでいたが,もっ
あげて一緒にしおりを作ろうという
といろんなゲームがないとつまらない
計画で始めた。じょうずにできない
ということに気づき,
「わなげ」や「ま
子のためにあらかじめ多くのしおり
とあて」などどんどん種類を増やして
を自分たちで作っておくなどの配慮
いった。
をしていた。
カラーびにーる袋に秋の素材をくっ
最初はただ製作することが楽しく
つけていって素敵な洋服を作ってい
夢中になって何十個という動物を作
た。途中から洋服だけではなくバッグ
り上げた。しかし,途中からこの動
やアクセサリーなども作ることにした
物でどうやって楽しんでもらうかを
ようだ。記念に写真を撮ってあげよう
考え始めたようである。くじを作る
ということも相談していた。
ことになった。
「どうぶつやさん」が夢中になって作っ
けんだまをもっと秋らし
「つくってあそぼうや
た「まつぼっくりの動物」です。
く飾ろうとしています。
さん」では,途中から
これは「いのしし」のようです。
じょうずにできた子に
ごほうびの景品を出す
ことに決めました。
まずは自分たちができないとおしえ
いっしょにお店を出す友だ
てあげられないので「こすりだし」の
ちと話し合いながら準備を
練習をしています。
進めました。
ようちえんさんを招待したよ!
いよいよ「幼稚園のお友だち」を招待する日・・・
「わたしたちの店にきてくれるかなあ?」
「景品がたりなく
なったらどうしよう・・・」などなど,不安そうな様子の
子どもたちであったが,始まってみるとどんどんお客さん
が集まり喜んでくれるので、張り切って活動することがで
きた。
おみせにきたようちえんさんに,おねえさんらしく,やさしくせつめいしてあげていました。
「あそびかたもきちんとおしえてあげられたよ!」
「とってもたのしかったよ!」
子どもたちの感想から
3学期に入り,現在「1年生の思い出文集」を作っているところである。
1年生の一年間を思い出してみようという話し合いの場では,1番楽しかったこと,
心に残ったこととして「あきのおみせやさん」という子が多かった。
長期にわたって取り組んだということ,体全体を使っての活動だったこと・・・そし
て何よりも自分たちが幼稚園のお世話を一生懸命がんばったんだという満足感。
どの子にとってもすばらしい経験となったように思われる。
また,子どもたちから「こんどは冬をたんけんしようよ。」という声が毎日のよう
に聞かれる。「秋」と同様,季節の変化を十分に感じ取らせる活動を工夫していきた
いと考えている。