ライフサイクルに伴う概日リズム変化 成熟期:性周期の影響

ライフサイクルに伴う概日リズム変化
成熟期:性周期の影響
中村孝博
帝京平成大学薬学部薬学科
晴乳類の睡眠-覚醒リズムはライフサイクルの各ステー ジにおいて刻々と変化している 。
一般にヒトでは、生後聞もない乳幼児の睡眠・覚醒リズムは未発達で、徐々に母性行動や光
などの外的因子に同調し概日リズムが出現する 。成人では睡眠-覚醒リズム 、ホルモン分
治などの生理リスムはともに強固であるが 、加齢に伴い徐 々にこれらのリズムが不安定に
雌性)では、更年期や成熟期の月経周期によるホルモンバランス
なって くる。特に女性 (
の急激な変化によ って、睡眠ー覚醒リズムの不調(変化)をきたす場合がある 。晴乳類にお
いては、時計遺伝子が次々に発見され分子時計モデルが明らかになりつつあるが 、生物時
計中枢である視床下部・視交文上核から出力される行動リズムの神経回路、また末梢時計
がどのように生理機能に関わ っているかなど未だ不明な点が多く、その調節機構もほとん
e)の向上が真剣に議論さ
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Q
ど解明されていない 。社会の高齢化に伴 ってQOL (
れている現在 、ライフサイクルが生体リスムに与える 影響 を個体から分子レベルまで理解
することは急務である 。本稿では 、ライフサイクル、特に雌性の成熟期に焦点を絞り、月
つ歯類のデー
性周期)が概日リズムに与える 影響 を筆者らの最近の知見を含め 、け‘
経周期 (
タを中心に活動リズムから時計遺伝子発現リズムについて述べ 、今後の研究の方向性につ
いて展望する 。
. はじめに
1
継続リズム周期が短縮したり延 長 したりすることが
「ライフサイクル」とは、大義では様々な意味を含
雌性)では
報告 されている [3-7]。一方、女性 (
思春期)→成熟期
誕生→成長期 (
むが、本稿では 「
概日リ ズムに影響 を与 える卵巣ステロイドホルモ ン
→更年期→老年期→死Jを示す不可逆的周期として
のエ ス トロゲンと プロゲステロンはライフサイクル
定義したい。 ヒトでは、生後間もない乳幼児の睡眠ー
性周期)に伴 っ
のステ ージごと、さ らには月経周期 (
覚醒リズムは不明瞭な形で出現し、徐々に母性行動
て分泌量が変化する 。エストロゲンの分泌量 は思春
や光などの外的因子に同調したリ ズムが形成される
期に上昇し、更年期には成熟知jの半分以下になる 。
] そして、生後約 3ヶ月でよりは っ きりとし
[1。
いわゆる更年期障害 (のぼせ、発汗、倦怠感など)
] 成人では、
た夜間睡眠のリズムが構築される [2。
はエストロゲンの激減のため引き起こされる 。更年
1リズム
睡眠“覚醒、ホルモン分泌などは顕著 な概1:
期、妊娠則、そして月経周期に伴 って精神 ・身体症
を示すが、男性と女性で分けて考えなければならな
状の出現する月経前緊張症、月経前不快気分障害の
雄性)の場合、概日リズムに影響を与え
い。男性 (
睡眠障害が報告 され
症状の中に、不眠や過眠などの l
テストステロン )の分?必は、老化
る男性ホルモン (
ているが、この原因も卵巣 ホルモンの分泌量の変化
によ って徐々に減少するが、個体問に大きなばらつ
]
によるものと考えられている [8。
きがなく、生涯を通してあまり変動しない。一般に、
m乳類における 生物時計中枢は視床下剖1・視交叉
1
1
早寝早起き Jと言われるが、げっ
老年期の人々は 、「
.SCN) である 事 が
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Suprachiasmati
上核 (
歯類の研究では、老化に伴い行動量が低下し、行動
示されてから数卜年の時が流れているにもかかわら
音条件下での自由
リズムの断片化みられ、また、恒 H
¥力経路、 末
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ず、行動 リズムを駆動する SCNからの/:1
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2010
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.No
l6
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羽生物学 VoI
侍│
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梢組織における時刻依存的なホ ルモン分泌などの生
充 進 し 活 動 期 の 位 相 が 前 進 す る 。 この現象はスカ
o明されていないこ
1
!
9
rリズムの発現機梢など、未だ f
r
理
Nがどの ように末梢
寺計である SC
とが多く ある 。 主 H
育期にのみ行動
ラ ップ運動と呼ばれ、発情前期 ・発 │
量の充進、位相の 前進がみられ、他のステージ では
時計を調節し、また、どのよう な因子によ って末梢
。 このような現象は健常女性では 見
0J
1
見られない [
時計の針が動かされるかなど、 不明な点が多く残さ
障害に
られないが、月経前緊張症、月 経前不快気分│
の性周期が概日リズム
れている 。本稿では 、成熟知l
伴う不 11民や過 IIK 、そしてその症状とは別の IIllill[~ 障 害
寺計が性周期に
1
に与える影響について 、 SCNと末梢1
J暗サ
Y
。 行動 リズムと I
J
2
, 1
,1
8
も報告されている [
伴う卵巣ステロイドホルモンの 変動によ って影響を
イ ク ル の 位 相 角 差 は リズム周期に依存するので、
寺計;遺伝子発現リズムを指標とした
受けるか否か、 H
お
けづ 歯類で見られるスカラップ運動 は、発情前期j
心 に紹 介し 、今後の研究の発展
I
こ
│
こ
筆 者 ら の デー タを l
変
1
よび発│育期にリズム周期が短縮していることを示1
性を 議 論する 。
する 。 この現象を実験的に証明する為 に卵巣を摘出
. 性周期に伴う活動リズムの変化
2
性周期)は排 卵 と排卵の間隔であり、
月経周期 (
田
5
.
1
包
理害
2日間の周期を持つ。排卵に先行
4日から 3
ヒトでは 2
ち1脚
玉
*c
伺
するのが卵胞期であ り、エストロ ゲンの分泌が高ま
どのげっ歯類は 4から 5日を 一周期とする性周期を
、発
)
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E
、発情期 (
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u
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r
P
もち 、発情前期 (
↑生周期中の卵 巣ステロイドホ
される 。 図 1にラッ ト
H岳呂
LH)の血中濃度変化を
ルモ ンと卵胞刺激ホルモン (
05050
) と区別
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Di
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V
)、 非 発 情 J
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M
情後期 (
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(
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一
一
、 マウス、ハムスタ ー な
泌が高まる 。 一方、ラ ッ ト
E42752
回購入EdmHトロhn廿 眉 入 、 ロ キ 丙
る 。 :t~ 1 卵 後は黄体期と呼ばれ、プロゲステロンの分
500
夜
理
問岬
正売目
非同山
午情 相
。一方、行動リ
ロゲステ ロンの濃度も上昇する [9J
ズムは発情前 期 か ら発情期 にかけ て夜 間の行動量は
一
回
一
一
一
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圃
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一
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20
正午
発情期
)
s
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Es
(
OVX+E2
OVX
10
現在
正午
発情前期
)
us
r
Proest
(
図 1 ラッ ト性周期 中の卵巣ス テロ イ ドホルモ ンと卵胞
LH) 分泌の変動
刺激ホ ルモン (
成熟雌性 ラッ トの工ストロゲン 、プロゲステロン 、LHの
血中濃度を 示した 。上部の黒いバーと灰色の網掛けは日音
文 献 [9]より改変)
期を示 し、破線は 正午 を示す 。 (
サ ー ジ状 分泌)、また明則の 遅い時間帯からプ
I
I
L
(
Sham
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lu
g
LH)の 大 量 分 泌 が 見 ら れ
する 卵 胞 刺 激 ホ ル モ ン (
夜
軍
発附
から 急 激 に上昇し、その後、下垂体より 排卵を誘発
正情旬
エス トロゲンの 血 中濃度は発情前期の明期の始め 頃
午働即
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示したが、マウスやハムスタ ー も同様の変動を示す。
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副'-'叫且lI..L...U.
16
24
Time(h)
口 ゲン力、輪回 しリスム に与える 影響
図 2 工ス 卜
雌性 PER2:LUCノック インマウスの輪回し活動リズムの代表例をダブルプ ロッ トアクトクラムで示した 。左から 、偽
OVX+E2)。上部の黒いパ ーと灰色の網掛けは暗期
OVX)、卵巣摘除及 びエストロゲ ン投与 (
Sham)、卵巣摘除 (
手術 (
2) で飼育した後、恒暗条件下へ移した 。卵巣摘除群では、偽手術群に比べ行動量が
1
を示す 。 2週間、 明暗条件下 (12:
ム周期カf延長している 。エスト ロゲンの投与 は、行動量を 充進させ 、自由継続リ スム周期 を短くす
減少し 、自由継続 リス、
筆者ら 、未発表データ )
る効果があることが伺える 。 また、この実験では顕著な スカ ラ yプ運動は観察 されなか った。 (
日生 物 学
1
時1
l
2010)
.No.l (
6
.1
VoI
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ウ
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tmy,OVX) したラ ッ トやハムスタ ー を用
た。その効果は遺伝子、組織の種類で 一 定ではな
l
J
l
い皮下にエストロゲンを埋め込み、行動リズムを i
かったが、子宮 と卵巣の Per2mRNA発現に 着 目す
定する実験が多く試みられた。 その結果、ラッ ト、
ると、 他のステ ー ジに比べ発情前期でリズムの振幅
ハムスタ ー において、エス トロ ゲンは行動量 を充進
は大きく位相が前進していた 。 Amirらのグル ー プ
させ、自由継続リズム周期を短縮させる効果がある
も同様に SCNのPER2発現 リズムは性周期の影響を
1
316
J
。 また、プロゲステロンはエ
ことが示された [
2
7J
、主時計であ
受けないとの報告 をしているため [
ストロゲンの効果を軽減するという報告もされてい
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,
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ロ山 由
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さ~'lた 。
Per2
叩
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可↓日間 円
自由継続 リズム周期を短縮する効果があることが示
、五 門
ウスにおいても、エストロゲンは活動を充進させ、
了削 1
。 これらの結果から、マ
ム周期を短縮させた(図 2)
x
ンの投与は動物の行動量 を増大させ、自由継続リズ
又一位向 闘
件下での自由継続リズム周期は延長し、エストロゲ
SCN
6431
OVXすなわち卵巣ホルモンがない状態では、恒 H
音条
Perl
を
-uεEZEZOE宮崎町岩
官、
唱 E
:
:
L
U
Cノ ック インマウス [
17J
) を用い行ったところ、
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υ
M
1
3J
。筆 者らも、同様の実験をマウス CPER2
る [
‘
'
ー
l
。
3
. 性周期に伴う時計遺伝子発現リズムの変化
一連の時計遺伝子群が細胞内でポジテイブ-ネガ
ティブフィ ードパックループとして分子時計を形成
4時間を作り出す分子機構は解明されつつあ
し、約 2
1
8J
。 この分子時計は SCNだけでなく、 主要な末
る[
梢組織においても存在が確認されており、卵巣や子
時計がどのように時刻依存的な
しかしながら、分子 l
生殖生理機能に関わっているかなど、不明な点が多
ck-muい。例 え ば 、 時 計 遺 伝 子 変 異 マ ウ ス の αo
t
a
n
tmiceは不規則な性周期を 示 し、発情前期に起こ
る排卵性の LHサ ー ジ状分泌が見られなくなり、子
2
3,2
4J
。
宮における時計遺伝子のリズムも消失する [
また、決ま って発情前期の明期の終わり頃に起こ
必は、 高 濃 度 の エ ス ト ロ ゲ ン と
るLHサ ー ジ 状 分 j
SCN におけるノ t ゾプレッシン ニ ューロンの時刻情手I~
が必要とされている [
2
5,2
6J
。 いずれの現象も分子
時計が生殖生理機能の恒常性維持に必要不可欠であ
ることを示しているが、分子時計がどのような情報
を出力し、どのような調節を受けているのか、その
分子機構はほとんど解明されていない。筆者らは、
最初に分子時計の調節機構に着目し、 SCNまたは生
殖器官の末梢時計が性周期の影響を受けるか否かを
,
l Per
,
2
検討した。 ラットを用い、時計遺伝子 CPer
BmaJ1)発現 リズムを j
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j
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n法と定
量 的r
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ePCR法で解析した結果 (
図 3、
) SCNで
は性周期の影響をほとんど受けず、末梢組織である
肝臓、子宮 、卵巣では、性周期の影響が顕著に現れ
。
。
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寺I
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U生物学
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子の発現やその リズムは確認されている [
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日一
回一
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小川一
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庁
川
一
山
日一
回
日一
山
一
⋮
川
団一
一
一団一
宮などの雌性の生殖器官も 例外ではなく、時計遺伝
図 3 性周期が時計遺伝子発現リス、ムに与える影響
A
:ラッ トSCNにおける Per7 とPer2mRNAの発現リス
ムを i
ns
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n法で‘
測定した 。光の影響を除く
ため、 3日間の恒陪条件下の後、腔スメア像を参考に、
発情前期 (
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u
s
) と発情後期 (
M
e
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s
t
r
u
s)に分け 、
2
4時間、 4時間おきのサンプリンクを行った。
SCNのPer7
とPer2mRNA
発現リス‘
ム
は性周期の影響をほとんと、受けな
いことが観察された。(
筆者ら 、未発表データ )B,C
:ラット
U
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u
s
)と卵巣 (
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)における Per7,P
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2
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子宮 (
7mRNAの発現リズム を定量的 r
e
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ePCR法で測定
P
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s)
、発
した 。腔スメア像を参考に、発情前期 (
情期 (
E
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s)
、発情後期 (
M
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u
s)
、非 発 情 期
(
D
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e
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r
u
s)に分 け、明暗条件下にて 、2
4
時間 、 4時間
おきのサンプリンクを行 った。子宮::&ひ卵巣において 、
それぞれ遺伝子が'性周期の各ステージで発現リズムの形
2
8
Jより改変)
が変化していることが観察された 。(文献 [
'・晶、,晶、
4
・
uぜω刀 ω﹄芯白}ωucωωωωc
(ug¥ECコo
一
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∞
2
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弓
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SCNで は 受 け な い こ と が 明 らかと なっ た
・
・‘ZM211
受けるが、
o
おり、 子 宮 の時計遺伝子発現リズムは性周期 の 影 響 を
r
b
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oで の結 果 と一致 して
の結果は、図 3で 示 し た i
U
内
A
U
I
J
j
iも大 きか った (
図 4)。 こ
期 に 前 進 し 、 リ ズ ム の 振I
︽
PER2ヰ UCリ ズ ム の 位 相 は 発 情 後 期 に 比べ 発 情前
U
よって 違 い が 認 め ら れ な か った が 、 子宮 にお いて、
。
﹃,‘ 箱 崎
PER2:
:
LUCの 生 物 発 光 リ ズ ム を 観 察 し た 。培
のリ ズ ム は 性 周 期 の ス テ ー ジに
養系においても SCN
より
、,ι
発 情 前 期 と 発 情 後 期 の グ ル ー プ に 分 け そ れぞ れ S
CN、
肝臓 、卵 巣 、子 宮 の 組 織培 養 を 行 い 光電 子 増 倍 管 に
凋縄
け る性 周 期 の 影 響 を 観察 した 。 睦 ス メ ア 像 を参考 に
、
一
コ∞
一
:
:
L
U
Cノックインマウス [17Jを用い、 培 養組織 にお
ZU
た
、 筆 者 らは P
er2遺 伝子 に ル シ フ エ ラ ー ゼ 遺伝 子
nUAUnununU
nuAununU
コ
Nは性周JiJ
j
の影響を 受 けないと 考えられる 。 ま
るSC
ER2
を連結し、 生 物 発 光 リ ズ ム が 測 定 で きる P
‘
守 山 之 D E ou 宮山uF﹄副﹄制山口}mwucE凶由E-FE
図 4 性周期のス テー ジの違いによる PER2:LUCリズ
ムの変化
発情前期 (
Proest
r
us) と発情後期 (
Met
est
r
us) にサン
プ リングを行った雌性PER2:
:
LUCノックインマウスの
SCN、 肝 臓 (L
iver
)、卵巣 (
Ovar
y)、子宮 (
Uterus) に
おける PER2:LUC発光 リスムの代表例を示した 。腔ス
メア像を参考に、発情前期と発情後期に分けサンプリン
グを行い、 SCN、肝臓、卵巣、 子宮の組織培養を行 った。
4日間にわた って発光 リスムを計測している 。子宮にお
いて、発情前期の PER2:LUCリスム位相は前進し 、振
幅も大きか った。(文献 [
2
8
J より改変)
。
1
2
3
Time(
D
a
y
s
)
4
図 5 卵 巣 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン が 培 養 子 宮 の PER2
LUCリスムに与える影響
発情後期にサンプリンクを行った雌性 PER2:LUCノッ
クインマウスの子宮に卵巣ス テロ イドホルモンを投与し
PER2:LUC発光リスムを計測した代表例を 示 した 。発
情後期のマウスを選びサンプリンクを行い、子宮の組織
培養を 行 った。 その 2 日後に 、工ストロゲン (
E2) を
明期の早い時間にあたる時間帯に、プロゲステ口ン (
p
4) を明期の遅い時間にあたる時間帯に、それぞれ培養
液中に添加し 、擬似的な発情前期を構築した 。その後、
2日間にわた って発光リスムを計測している 。ヱス 卜口
ゲンと比較的高濃度のプ ロゲス テロ ンの投与は、子宮に
おける PER2:LUCリズムの振幅を増大させ 、次の 日の
リズム位相を後退させた 。(文献 [
2
8
J より改変)
ー
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6,No,1 (2010)
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一。
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2 3 4
5
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s
)
Time(
D
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y
s
)
図 6 エスト口ゲンが子宮の PER2:
:
L
U
Cリズム周期に与える影響
雌 性 PER2・
・LUCノックインマウスの子宮における PER2:
:
L
U
C発光リズムに対するエストロゲン (
E2)
の効果の代表例を 示し た。卵巣摘除したマウスの子宮をサンプリンクし組織矯養を行った 。左のパネル
では、 培養液中に 10nM工ス卜口ゲンを添加した場合と溶媒 (
V
e
h
i
c
l
e) を比較 している 。右のパネルでは 、
子宮において工ス 卜口 ゲンに桔抗作用を示すラロキシフェン (
RLX) の効果を示している 。工ストロゲン
は子宮における PER2:LUCリズム周期を短縮させる効果を示し、ラ ロキ シフェンはその効果を減弱させ
た。 (
文献 [
3
0
J より改変)
図 7 工ス 卜ロ ゲンとプロゲステ ロンがヒ卜乳癌細胞株
(
MCF-7) における時計遺伝子発現レベルに与える影響
ヒ卜乳癌細胞株 (
MCF-7) を用い、工ストロゲン (E2)
とプロゲステ ロン (
p4)が Per7,Per2
,8mal7mRNAの
発現レベルに 与 える影響を定量的 realtimePCR法で測
定した 。プロゲステ口ンは 4時間以内に時計遺伝子の発
現レベ、ルを上昇させる効果を示した。
(文献 [
2
8
J より改変)
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ズムに及ぼす影響
性周期が子宮および末梢組織のH
寺計遺伝子発現リ
ズムに影響を及ぼす事 は明らかにな った が 、 そ の 影
Per2
4
卵巣ステロイドホルモンが時計遺伝子発現リ
響が性周期に伴うネI
jl
経 的 な 支 配 に よ る も の か、内 分
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泌的なホルモンの血1
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1
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濃 度 の 変化によ るものかどう
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か は 明 ら か な っ て い な か っ た 。 Hattoriらのグルー
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ゲステロンが子宮の │
時計遺伝子発現を上昇させたり、
.
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き1
、
、
発現リズムに影響を与えたりすることを報告してい
1
、
るが [
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ン を 構 築 し た 場 合 、 擬 似 的 発 情 前 期 で は PER2
E
C
2
呈 z
.
.
c
c
.
z
:
:LUCリズムの振 11日が大きくなった(図 5)。 その後
に 続 く 綴 似 的 な 発 情 期 で は PER2・
:LUCリ ズ ム の 高
1
い振 11li¥は維持され、また、リ ズム位相が後退した 。
。
このことは、
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寺
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I
J生物学
築 し 、 子 宮 に お け る PER2:
:
L
U
Cリ ズ ム を 調 べ た 。
その結果、発情前期のエスト ロゲン、プロゲステロ
3
E
~
、
経支配のない状態でホルモンを投与し、時計遺伝子
発 現 リ ズ ム の 変化 を 検討 し て い な か っ た。 筆 者 ら は
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プや 筆 者 ら は j
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oに お い て エ ス ト ロ ゲ ン と プ ロ
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ズム(図 2) と類 似 し て お り 、 性 周 期 に 伴 う エ ス ト
4h
ロゲンとプロゲステロンの濃度変化が時計遺伝子発
nノ山
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u
現リズムを調節している可能性が示唆された [
2
8J
。
ERaが分子 H
寺
言│の1
I
i
1
J
御 に重要な受容体であると推
さらに 、それぞれのホルモンがどのような作用を与
測 されるが、核 内受容体が転写調節因子として 制
)
]
包
えるかを調べたところ 、エ ス トロゲンは子宮におけ
内で機能を発揮するには共役因子群の存在が不可欠
・
LUCリズム周期を短縮させる効果がある
るPER2:
であり、 ERが細胞 内でどのように分子時 言「と関わ
6) [
3
0J
。 また、子宮におい
るのか、共役因子群を含めたさらなる 検討が必要 で
て、エス トロ ゲンの措抗剤(アンタゴニスト ) とし
ある 。 また、卵巣ステロイドホルモンが子宮の分子
て作用するラロキシフェンはエストロゲンの効果を
時計の針を動かす効果があることが示されたが、そ
こ とを見いだした ( I~I
減弱させた 。 同様の実験を SCNにおいても行ったが、
の 「
針のずれ Jは何を意味しているのであろうか、
:
L
U
Cリズムに 影響を及ぼさ
エストロゲンは PER2:
分子時計が子宮の生殖生理機能にどのように関 与し
なかった 。一 方、プロゲステロンは子宮における
ているか今後の大きな課題である 。
PER2:
:
LUCリスム周期に影響を与えなかったが、
最後に 、ヒ卜における月経前緊張症、月 経前不快
ヒト乳痛細胞株である MCF-7を用いた 実験では 、
気分障害の症状に含まれる不 Il[~や過IlK などの|睡眠障
r
l,Per2
.
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プ ロゲステロンは Pe
害の原因は分子 時計の 「針のず れJが大きく関わっ
)[
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1
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巣ステロイドホルモ ンは生物
ているかもしない o O
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nらのグ ルー プも また、ラ ッ ト子宮日
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質細胞を用
1
1
寺計中枢の SCNの H
寺計の主 │を大きく動かさないが、
いた研究で、プロゲステロンが有意に Perl発現を
末梢時計の針を動かす。 この内的脱同調状態が女性
2
9J
。 これ らの こと
上昇させる ことを報告している [
に起こる睡眠障害を含む精神・ 身体的不調和を引き
から、エス トロ ゲンは、分子時計の周期短縮効果を
起こしている可能性が考えられ、今後の研究がこれ
もち、プロゲステロンは急性 的に 時計遺伝子の発現
らの症状を緩和する治療法や治療薬の開発につなが
を促進させる効果を持つ ことが示唆される 。
ることを期待している 。
5
. おわりに
<引 用 文 献 >
本稿ではライフサイクルの ー ステージである雌性の
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成熟期における性周期が概日リズムに与える影響に
ついて筆者らのデー タを中 心に概説した 。他のライ
フサイクルのステージ 、成 長期や老年期では行動・
生理リズムは成熟期以上に変化に 富んでいる ことか
寺
言│
ーのダイナミックな変化が推測される 。
ら、分子 H
筆者らの研究結果と 他 のグル ープの結果と合わせる
とこれまでに示唆されることは 、1.性周期とそれ
に伴 う卵巣ステロイ ドホルモン の変動は SCNの分子
時計 リズムに顕著な影響を及ぼさないが、末梢組織
.エス トロゲンは直
の分子時言十
に 影響を与える 。 2
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接的に子宮の分子時計リズム周期を短縮させる効果
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6)TurekFW.Pene
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を持つ 。 3プロゲステロンは急性的に時計遺伝子の
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9
6
4
ドホルモ ンの効果が違う点で、ある 。 このことは、そ
れぞれのステロイドホルモン 受容体の分布で説明で
きるかもしれない 。例 えば、エス トロゲンの主要な
受容体である核内 受容体の ERロと ERsの発現分布
はそれぞれの組織においてま ったく異なる 。 SCNで
3
1J
、肝臓では ER
はERsの発現が確認されており [
3
2J
。子宮では両方の ERが
αが多く発現している [
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。 これらの分布情報と 筆者らの結果から、
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