905

Ⅰ
水稲
実況
7月18日北陸地方の梅雨明けが発表された(梅雨明けの平年7月24日、前年は7月9日)。本年は梅
雨入りが6月9日と平年よりも3日早く、梅雨明けも平年より6日早かった。また、梅雨期全般に気温
は平年並、降水量は平年よりやや多かった。7月第3半旬から気温が上昇し、7月18日には太平洋高
気圧の張り出しで小浜では37.8℃を記録、この日全国で最も暑くなった。福井も36.6℃で全国8位
となった。このような気象条件によりコシヒカリの草丈がかなり伸びた。
第1表
6月上旬~7月中旬の気温と日射量の平年比(福井)
平均気温
(℃)
平年差
(℃)
日射量
(MJ/㎡/日)
平年比
(%)
0.6
0.7
18.3
17.2
99
102
降水量 43.0 ㎜(平年比 149%)
6月中旬
21.2
22.5
6月下旬
21.8
-0.8
21.0
154
降水量 22.0 ㎜(平年比 24%)
7月上旬
23.6
-0.6
12.2
82
降水量 161.5 ㎜(平年比 187%)
7月中旬
25.6
-1.5
14.0
75
降水量 91.5 ㎜(平年比 233%)梅雨入り 7/18
6月上旬
32
備
考
降水量 25.0 ㎜(平年比 55%)梅雨入り 6/9
35
30
30
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20
18
16
0
1
/
6
8
/
6
第1図
5
1
/
6
2
2
/
6
9
2
/
6
6
/
7
3
1
/
7
0
2
/
7
平均気温(福井、6月~7月)
1
/
6
8
/
6
第2図
5
1
/
6
2
2
/
6
9
2
/
6
6
/
7
3
1
/
7
0
2
/
7
日射量(福井、6月~7月)
(図中の本年の値はいずれも7月20日までのデータ)
1
移植栽培
1)農試気象対策試験
農試気象対策試験における5月21日移植コシヒカリでは、7月14日に幼穂形成期となり、平年よ
りも2日遅い。5月21日移植コシヒカリの出穂期は8月第1半旬となる見込みである。また、コシヒ
カリの草丈は平年より小さく、茎数は平年よりやや多い。
5月2日移植ハナエチゼンでは、幼穂形成期は6月28日と平年並で、出穂期は7月19日と平年より
1日遅い。
5月2日移植イクヒカリの幼穂形成期は7月5日、5月2日移植あきさかりの幼穂形成期は7月12日
といずれも平年よりも2日遅い。
第2表
農試 気象対策試験の生育(7月19日の生育状況と生育ステージ)
項目
品種名
移植日
(月/日)
24 年
草丈(cm)
平年
比
24 年
茎数(本/株)
平年
比
24 年
葉齢(枚)
平年
比
24 年
葉色
平年
比
ハナエチゼン
コシヒカリ
コシヒカリ
イクヒカリ
あきさかり
日本晴
5/2
5/2
5/20
5/2
5/2
5/2
81.8
84.8
70.7
81.5
72.0
75.7
85.5
86.0
80.3
85.4
77.8
76.3
96
99
88
95
93
99
25.4
23.8
20.5
21.9
26.8
25.7
24.1
23.0
18.7
21.5
26.1
26.8
105
103
109
102
103
96
12.6
12.8
11.4
12.6
12.5
12.8
12.8
12.7
12.2
13.0
13.0
13.0
-0.2
0.1
-0.7
-0.4
-0.5
-0.2
4.6
4.6
3.9
4.2
4.4
4.0
4.8
4.3
3.9
4.3
4.6
4.0
-0.2
0.3
0.0
-0.1
-0.2
0.0
2)県内の生育状況
適期コシヒカリの生育は、5月中旬から7月上旬にかけて気温が平年よりやや低く経過したこ
とにより、草丈は平年を下回り、葉齢の進みも平年より遅い。茎数は順調に増加し平年並かやや
多く、最高分げつ期は平年より遅れ気味である。
県内のハナエチゼンでは、7月16日頃から出穂期を迎えたという報告もあるが、大部分の地域
では7月19日前後に出穂期となったものと思われる。平年値と比べ、草丈は小さく茎数は平年並、
葉齢はやや進み葉色はやや濃い。
(県内生育基準圃の調査結果)
2
湛水直播栽培の県内の生育状況
移植栽培と同様、初期から順調に生育し、茎数は昨年を上回り、最高分げつ期はやや遅れ気味
である。
幼穂形成期は7月15日頃から迎えており、出穂期は8月上旬~中旬初め頃となると予想される。
第5図
直播コシヒカリの葉齢と草丈
第6図
直播コシヒカリの葉齢と茎数
(県内生育基準圃の調査結果)
3
病害虫発生状況
葉いもちの発生は、現在のところ平年より少なく、前年並と予想されている。局所的な発病は
みられるが広がっていない。気象情報からいもち病の感染好適条件かを判定するBLASTAM(ブラ
スタム)においても、好適条件出現日は少ない。
紋枯病は、平年より少なく前年並と予想されている。
斑点米カメムシ類は、7月上旬の水田周辺雑草地における生息数は平年並みであるが、平年よ
り早く水田内への侵入も確認されている。今後もカメムシ類の発育に好適な気象が続くと予想さ
れる。農業試験場では7月12日付で斑点米カメムシ類の発生予察注意報を発表している。
対策
向こう気象条件は、気温は高く、降水量は少なめ、日照時間は多いと見込まれている。今後は斑
点米カメムシ類などの発生や登熟期間の水管理や適期収穫に留意する。
1
収穫直前までの間断通水
間断通水を収穫直前(5日前)まで徹底する。
これから暑い日が続き圃場の土が乾きやすいので、圃場
をこまめに確認し、収穫直前までの間断通水励行により稲
体の活力低下を防ぐ。出穂期前後は水稲の蒸散量が多くな
り、それだけ吸水量も多く必要である。また、湿田系の水
田では水の張りっぱなしは根腐れを助長するので絶対に行
わない。
中干しが不十分で地耐力が低い場合は、収穫作業のコン
バイン走行を気にして早期落水で圃場の地耐力を高めよう
と考えないで、通水間隔をやや長めとし、徐々に土を硬くするように努める。
1)夏期の圃場からの蒸発散量は、1日あたり7mm程度であるが、フェーン現象など高温、乾燥、
強風が著しい場合には20mmにも達する。灌水にあたっては、3日に1回程度灌水し、排水路側
まで見回りを行い、土が白く乾くことのないように、均一に水が行きわたるようにする。フェー
ン時には一時的に圃場を湛水する。フェーンの危険が去ったら、すぐに落水し、間断通水に戻す。
高温下での水の張りっぱなしは根腐れを助長することになるので行わない。
2)水不足地域や干ばつが予想される地域では、地域内で話し合い、水系別の計画的な配水や節水、
取水制限、排水の再利用等を検討する。また、水田の畦畔や水尻部からの漏水がないよう、止水
対策を十分にする。
3)干ばつ時に海水遡上による塩類濃度障害が発生する地域では、ECで3mS/㎝以下、塩素濃度
では800ppm以下を取水の目安とする。しかし、緊急の場合には上記の約2倍の値を目処に、稲
の生育状況やその後の天候を考慮して潅漑の判断を行う。
2
病害虫対策
1)穂いもち
発生量は平年より少なく前年並と見込まれている。葉いもち防除が行われていても、穂いもち
の通常の防除は必要である。
穂いもちは、出穂直前と穂揃期の2回、粉剤で必ず防除する。発病が多いと予測されるときは
2回目防除の7日後頃に3回目の薬剤散布を行う。
2)紋枯病
発生量は平年より少なく前年並と見込まれている。高温の気象条件が続くと病斑の垂直進展が
懸念される。前年発生が多かった圃場では特に注意が必要である。穂ばらみ期の発病株率が中生
で20%以上ならば直ちに(穂ばらみ期に)必ず防除する。薬剤が株元に付着するように散布する。
また、落水時期が早いと進展が促進されることがあるので、早期落水はしない。
3)カメムシ類
防除時期は、第1回目は穂揃期、第2回目は糊熟期初期である。発生数が多い場合には収穫7
~14日前にもう一度防除が必要となる。カメムシ類は、発生に地域性がみられ、数や種類が地域
によりかなり異なる。また大麦作付圃場でその後放置されている圃場(そば作付予定圃場を含む)
で、カメムシの生息数が多いものもみられるので、注意が必要である。また、発生しているカメ
ムシの種類に応じて、効果が高い薬剤が異なるので注意する。
カメムシ類の生息数は、地域により偏りが大きいので、注意が必要である。特に、雑草地の近
くの圃場や中生品種に囲まれた早生圃場では、集中的な加害を受けることがあるので、生息数に
注意し、防除に努める。中生のコシヒカリを優先して防除日程を組んでいる地域が多いと思われ
るが、どうしても生育ステージが合わない場合は、個別の追加防除が必要となる。
例年、早生で被害が多い。今後もカメムシ類の発育に好適な気象が続くと予想されるので、斑
点米発生に特に注意が必要である。例年発生が多いところや雑草地付近の水田は特に抜かりなく
防除を行う。大粒品種のイクヒカリでは開穎籾の発生が多くなると、開穎部でのシミ状斑点米発
生を助長する点にも注意する。
イネクロカメムシの第1世代成虫の発生最盛期は8月初め、発生量は平年、前年より多いと見
込まれている。常発地等発生量の多い所は8月初めに防除を行う。
4)イネアオムシ
8月の気温は高いと予測されており、そのため本年の発生は平年より多く前年並と予想されて
いる。第3世代幼虫の加害最盛期は8月下旬と予想される。直播や遅植えなど熟期の遅いものや葉
色が濃く稲体が軟弱なものでは、注意が必要である。カメムシ類との同時防除で併殺が可能であ
る。そのため、カメムシ防除と兼ねて、殺虫剤散布を行う。
5)ニカメイチュウ
発生量は平年より多く前年並、発生時期は、第1世代成虫発生最盛期は平年並の8月初め、第
2世代幼虫加害初期は平年並の8月2半旬と予想されている。第1世代成虫発生最盛期である8
月初めに防除を行う。前年まで、発生の多かった地域で、直播や稲体の軟弱なもの、モチ品種を
中心に発生が多くなりやすいので注意する。発生地域の偏りが大きいようなので、変色茎の発生
に注意し、粉剤や水和剤で適期防除に努める。
6)コブノメイガ
移植時期の遅いものや多肥のもの等で発生が多いので、葉が巻き始める8月上旬頃を目安に薬
剤による防除を行う。この時期は、粒剤による防除の時期ではないので、注意する。
7)ウンカ類
ウンカ類については、中国から飛来する害虫である。今後の気象情報や西南日本での発生に注
意し、発生が多くなるときには、防除する。
8)農薬の使用基準を遵守
農薬使用にあたっては、使用時期・使用回数・使用量といった使用基準を遵守する。
薬剤の散布時期は、薬剤の使用時期(収穫前日数)を必ず守ること。早生品種で、中生品種に
あわせて防除日を設定しているような場合、収穫前日数が不足しないか、特に注意が必要である。
9)最新の情報に注意
今後も農業試験場病害虫防除室の調査があり、それに基づく病害虫発生予察情報が出される。
最新の情報に注意し、かつ各地域の病害虫発生状況を把握して、適期防除に心がける。
3
各地域で籾水分を測定し、収穫開始時期の把握を
各地域で、出穂期を把握する。そして、籾水分を測定し、収穫時期が適期から遅れないように
する。農試で、籾水分等の調査は行っているが、地域による差が大きいと思われるので、各地域
でも、必ず籾水分調査を実施して、それぞれの地域の収穫開始時期を把握する。
また、出穂期~穂揃期の止葉の葉色(SPAD値)や根量、出穂後の気象状況で、登熟期間中の
稲体の活力低下が著しいと想定される場合は、胴割注意報が出される場合があるので注意する。
胴割米発生注意報発令の要件
以下の3要件のうち2つ以上を満たす場合、注意報を発令する。
① 出穂期の根量が平年の80%以下(農試気象対策)のとき
4
②
出穂期の止葉の葉色(SPAD値)が淡いとき
(コシヒカリで33以下、ハナエチゼンで36以下)
③
出穂後20日間の日平均気温の平均値が28℃以上のとき
適期収穫
各地域での出穂期を把握する。そして、出穂後の積算気温によりおおよその収穫時期の目安を
つけ、籾水分や籾の黄化程度により適期刈取(籾水分25%)に努める。ハナエチゼンの刈取開始
期までの積算気温は、近年の実勢にあわせて暫定的に860℃としている。これは、近年の気象条
件で出穂後32日で刈取開始期に達する気温である。登熟期間中が高温だと稲体の消耗が大きくな
り、想定よりも成熟が早まる場合も出てくる。稲体の窒素吸収量が少なく、籾数が少なかったり
穂長が短い場合も成熟が早まることが想定される。そのため、積算温度だけに頼らず、必ず籾水
分や登熟の進度を確認する必要がある。コシヒカリの積算気温は990℃とする。イクヒカリは99
0℃、あきさかりは1,080℃とする。
また、出穂の早い圃場や砂質土壌等で例年枯れ上がりが早い圃場等は、どうしても成熟時期が
早くなる傾向にあるので注意が必要である。下葉の枯れ上がり状況によっては、収穫時期を繰り
上げる必要が出てくるものもあると思われる。
高温条件での登熟の進行は、籾や枝梗の黄化が進み籾水分の減少程度が極めて早くなるのに、
穂軸の黄化は緩慢であるため、刈取時期を逸しやすい。籾水分が20%以下になると立毛中の胴割
が多発し、品質が低下するので注意する。また、根の張りが悪いイネでは下葉の枯れ上がりが早
く、少ない積算気温でも刈取開始期に達するので、中干しが十分行えなかった圃場では注意が必
要である。穂肥の肥効が十分に現れなかった圃場でも同様である。なお、コシヒカリとイクヒカ
リでは、穂揃期の止葉SPAD値の目安は35以上である。
フェーンなどで籾が褐変すると茶米が多発しやすいので、品質低下が著しい場合は別仕分けす
る必要がある。そのため収穫の前に試し摺りして確認のうえ、品質が劣るものがあれば、別収穫
とする。
収穫前に事前に品質をチェックし、品質が悪い場合には別仕分けとする。
積算温度を踏まえ、籾水分や籾の黄化程度、穂の先端の玄米が割れていないか、等を確認
して、刈り遅れを防ぎましょう。
5 乾燥調製
1)急激な乾燥は避ける。1時間当たりの水分減少(毎時乾減率)は0.8%以下とする。それ以上
温度を上げない。最近の乾燥機では、張り込み量に応じた設定とすれば、あとは確認するだけで
良くなっている。
2)玄米の仕上げ水分は15.0%を目標とし、過乾燥にならないよう注意する。高温期に乾燥調製を
行う早生では、乾燥終了後の貯留中でもさらに乾燥が進むことが多いので、あらかじめやや高め
の水分で仕上げておく必要が生じる。しかし、青米が多いと貯留中に水分の”戻り”が生じるの
で、8%以上もの青籾があれば乾燥終了時の水分は0.5%程度低めに設定する。
3)できるだけ2段乾燥を行う。(2段乾燥:水分18%程度で6時間程度乾燥を止め、調湿を行った
後、仕上げ乾燥を行う乾燥法。)
4)籾摺り作業は早くても乾燥終了から2~3日後とし、籾が完全に常温に戻り、水分ムラがなく
なってから行う。
参考
2012年の稲作期間の気象状況(福井、半旬別、4月第1半旬~7月第4半旬まで)
Ⅱ
麦、大豆等
実
1
況
大豆・・・培土もなされ、生育は順調
大豆の生育は、一部の地下水の高いところではやや劣るものの、おおむね順調である。
培土作業は、降雨により 2 回目培土が中断したところもあったが、開花前に 2 回目培土を
終了させるため急ぎ、ほぼ順調に培土された。麦跡大豆の開花は平年並み~やや遅い 7 月
下旬となった。
本 年 か ら 本 格 的 に 作 付 け が 始 ま っ た「 里 の ほ ほ え み 」は 、福 井 、坂 井 地 区 を 中 心 に 約 266ha
作 付 け さ れ( 大 豆 作 付 け 約 961ha、農 林 総 合 事 務 所 等 調 べ )、生 育 は 順 調 で 、エ ン レ イ よ り
葉色が濃く生育が旺盛で、大豆生産者の注目を集めているようである。
< 補 足 > 平 成 24 年 産 大 麦 の 作 柄 ( 中 間 )
こ れ ま で も 生 育 状 況 等 を 記 載 し て い た が 、収 穫 後 乾 燥 、調 製 が 進 む に つ れ 、細 麦 が 多 く 、
作 柄 が あ ま り 優 れ な い こ と が 分 か っ た 。こ の 要 因 と し て は 、穂 数 が 多 か っ た こ と に 加 え 、5
月上旬の日照不足による粒の充実不足が影響したと考えられる。
2
気象・・・5 月下旬から 6 月半ばまでは概ね晴れ。
6 月 9 日 に 北 陸 地 方 梅 雨 入 り 。 19 日 、 台 風 第 4 号 の 影 響 で 降 雨
6 月下旬は、はじめ前線や低気圧の影響で雨だったが、概ね高気圧に覆われる晴れる日
が多くなった。平均気温は全ての地点で平年より低くなった。降水量は三国で平年よりか
なり少なくなったほかは平年より少なく、日照時間は全ての地点で平年よりかなり多くな
った。
7 月上旬は、梅雨前線や低気圧の影響で曇りや雨となり、期間の終わりには高気圧に覆
われて晴れた。平均気温は勝山、今庄で平年より低かったほかは平年並みとなった。降水
量は嶺北では平年より多く、嶺南ではかなり多くなった。日照時間は三国で平年より少な
かったほかは平年並みとなった。
7 月中旬前半は梅雨前線の影響で曇りや雨となったが、後半は太平洋高気圧に覆われ晴
れ た 。20 日 に は 暖 か く 湿 っ た 空 気 が 流 れ 込 ん だ た め 、局 地 的 に 大 雨 と な っ た 。7 月 18 日 に
「 北 陸 地 方 が 梅 雨 明 け し た と み ら れ る 」と 発 表 さ れ た 。平 年 7 月 24 日 よ り 6 日 早 く 、昨 年
7 月 9 日より 9 日遅い。平均気温は平年に比べかなり高く、降水量は三国で平年並のほか
は平年より少なくなった。日照時間は勝山、今庄で平年よりかなり多く、そのほかは平年
より多くなった。
対
1
策
大豆・・・
(1)生育量、着莢確保、さらに青立ち回避のために、かん水(適正な土壌水分の確保)
大 豆 茎 葉 で 地 面 を 十 分 覆 っ て い な い 時 、夏 期 の 高 温 少 雨 条 件 下 で は 土 壌 が 乾 燥 し や す く 、
水分ストレスを受けての着莢不良、落莢や登熟不良が起こる。
<うね間かん水の仕方>
・無降雨期間が 7 日以上続き、溝面が白くなり始めたら、実施。
・短 時 間 で 水 を 圃 場 に 流 し 込 み 、圃 場 全 体 に 水 が 行 き 渡 っ た ら 、湿 害 回 避 の た め に 速
やかに排水。
・可 能 で あ れ ば 、地 温 の 低 い 夕 方 ま た は 早 朝 に 行 う 。排 水 溝 や 暗 渠 排 水 の 栓 を 閉 じ る 。
・枕 地 を 用 水 路 と 平 行 し て 培 土 し て い る 場 合 は 、そ こ で 水 が 停 滞 す る の で 適 当 に 畝 を
切って水の通路を確保する。水量が少ない場合は小面積ずつ区切ってかん水する。
・排水の悪い圃場では、うね間かん水を実施すると、湿害となるので実施しない。
(2)雑草対策
播 種 覆 土 後 の 除 草 剤 散 布 と 中 耕・ 培 土 に よ る 除 草 が 基 本 で あ る が 、生 育 期 に 雑 草 が 発 生
した場合は、草種に応じた除草剤を適期に散布する。
使用時期
茎 葉 処 理 イ ネ 科 3~ 5 葉 期
収 穫 60 日 前 ま で
茎 葉 処 理 イ ネ 科 3~ 10 葉 期
茎葉処理(イネ科を除く)
(雑 草 生 育 初 期 ~ 6 葉 期 )
雑草茎葉および土壌処理
( 雑 草 草 丈 15cm 以 下 )
除草剤名
ナブ乳剤
ワンサイド P 乳剤
ポルトフロアブル
収 穫 30 日 前 ま で
収 穫 45 日 前 ま で
大豆バサグラン液剤
※大豆 2 葉期~開花前まで
収 穫 30 日 目 ま で
ロロックス水和剤
※大豆 3 葉期以降
収 穫 28 日 前 ま で
バスタ液剤
畔間処理(雑草茎葉処理)
収穫 3 日前まで
プリグロックス L
※除草剤の使用に当たっては、農作物病害虫防除指針を遵守すること。
・ 大 豆 バ サ グ ラ ン 液 剤 は 、播 種 時 に ダ イ シ ス ト ン 粒 剤 を 使 用 し た 場 合 や 、あ や こ が ね を
作付した圃場では、薬害回避に向け使用しない。
・ 株 間 処 理 剤 (雑 草 茎 葉 お よ び 土 壌 散 布 )と し て 、 ロ ロ ッ ク ス 水 和 剤 が 使 用 可 能 。
・狭畦密植無培土栽培では、雑草多発による減収が毎年認められる。本栽培法では、大
豆 が 条 間 を 覆 う の が 早 い が 、排 水 対 策 が 不 十 分 な 場 合 等 に 大 豆 の 初 期 生 育 が 不 十 分 と な
る。この場合は、雑草が多発するので、除草剤を適切に使用すること。
(3)効率的な病虫害対策、それは適期に適切な病害虫防除
<ウコンノメイガ>
ウコンノメイガは山間、山沿いの圃場
や生育旺盛で葉色の濃い圃場で発生しや
す い 。圃 場 で「 葉 巻 き 」を 確 認 し た ら( 若
齢 幼 虫 期 (8 月 初 め ))、 早 急 に 防 除 す る 。
<紫斑病>
防 除 は 、 開 花 後 20 日 後 と そ の 10 日 後
( 開 花 30 日 後 ) の 2 回 行 う 。 チ オ フ ァ ネ
ートメチル剤耐性菌が発生しているので、
系統の異なる薬剤で防除する。
巻いた葉の中にいるウコンノメイガ若令幼虫
※ 大 豆 の 開 花 期 : 全 株 数 の 40~ 50% が 開
花始に達した日。開花始とは初めて開花を認めた日をいう。
<シロイチモジマダラメイガ・カメムシ類・フタスジヒメハムシ>
紫斑病と組み合わせて適期防除に努める。朝夕風のない時間帯に、薬剤が莢に
充分付着するよう散布する。
・シロイチモジマダラメイガ:幼虫が莢に食入する前、大豆若莢期から莢新長期
の 8 月中旬以降。
・フタスジヒメハムシ:第 2 世代成虫の発生初期である 8 月中旬頃と発生盛期で
あ る 8 月 下 旬 頃 の 2 回 防 除 が 基 幹 。種 子 塗 沫 処 理 や 播 種 時 播 種 溝 処 理
を行っている場合には、8 月下旬の 1 回防除。
※
要防除水準:8 月下旬(第 2 世代成虫発生盛期)に払い落しを行い、
1.5m 、 2 条 当 た り 約 70 頭 以 上 の 場 合 に は 直 ち に 防 除 す る 。
・カメムシ類:圃場への侵入が多くなる子実肥大期(8 月下旬)以降。8 月下旬と
9 月 10 日 頃 の 2 回 防 除 す る と 効 果 が 高 い 。
※
要 防 除 水 準 : 8 月 下 旬 ( 圃 場 侵 入 期 ) は 100 個 体 当 た り 0.3 頭 、 9 月
中 旬 ( 発 生 盛 期 ) は 100 個 体 当 た り 4.0 頭 以 上 の 場 合 に は 防 除 す る 。
2
ソバ・・・排水対策と播種期に注意!
(1)圃場準備、排水対策
※
ソバは湿害に非常に弱く、排水性の確保が非常に重要。
・できるだけ早めに排水溝を整備し、梅雨明け後の好天下で徹底した乾燥を図る。排
水口は排水溝の底面より低くする。
・麦跡は溝の掘り直しだけ実施し、播種まで耕うんしない。耕うんすると降雨の水が
保たれ、排水性が劣る。
・雑草が多い場合は事前に耕うんすき込むが、耕うん時期が遅いと播種までに圃場が
乾かない。ソバ用の除草剤はないので注意する。
(2)施肥量
・窒 素 成 分 で 2kg/10a が 基 準 、大 豆 専 用 肥 料 等 を 用 い て リ ン 酸 、加 里 を 多 く 施 用 す る 。
※
麦跡等では、無肥料が基本。
(3)播種時期、播種量
※
播種が早すぎると、草丈が伸びて倒伏、結実率も低下。播種が遅いと減収。
・美 山 南 宮 地 在 来 は 8 月 5~ 15 日 、大 野 在 来 は 8 月 15~ 20 日 と 、在 来 種 に 合 わ せ て 播
種する。山間地ではやや早く播種する。
・ 播 種 量 は 、 条 播 で 4~ 5kg/10a、 散 播 で 5~ 6kg/10a( 苗 立 ち の 目 安 は 、 100~ 150 本 /
㎡)。
・ 播 種 深 度 : 2~ 3cm、 条 間 : 30cm 前 後 。
※
「出芽が揃い、倒伏に強くなるロータリシーダによる条播」が基本。耕うん
作 業 と 播 種 作 業 は 同 一 日 に 行 う 。 耕 う ん の 目 標 は 直 径 2cm 以 下 の 土 塊 が 重 量 割
合 で 60% 以 上 で あ る 。
※
散 播 の 場 合 に は 、覆 土 代 わ り に 播 種 後 軽 く (深 さ 5cm ま で )ロ ー タ リ を か け る 。
これをしないと播種後乾燥が続いた場合、苗立ち不良となる。
(4)病害虫防除
・圃場周辺の除草を徹底し、ヨトウムシ類の侵入を予防する。
※
ハスモンヨトウは成虫発生初期から終期までフェロモントラップ(フェロデ
ィ ン SL)を 2 ~ 4 個 /ha 設 置 し 雄 成 虫 を 誘 殺 す る 。ま た 、圃 場 を よ く 観 察 し て 、
発 生 盛 期 に ロ ム ダ ン 粉 剤 DL、 ロ ム ダ ン フ ロ ア ブ ル 、 ゼ ン タ ー リ 顆 粒 水 和 剤 で 防
除する。
※
通 常 年 で あ れ ば 、 ハ ス モ ン ヨ ト ウ の 発 生 盛 期 は 9 月 10~ 20 日 頃 。
Ⅲ
野菜
実
況
1
施設野菜
果菜類
(1) トマト
南越地区の半促成栽培は、7~9段果房で7月20日に収穫終了した。福井地区では、6~
7段果房を収穫中で8月初旬まで収穫の予定である。2月中旬に定植された若狭地区では、5
~6段果房が収穫中である。うどんこ病、灰色かび病、コナジラミ類、アザミウマ類が少発で
ある。
抑制栽培は、福井、坂井地区で7月中旬から定植が始まっている。
(2) ミディトマト
半促成栽培(3 月下旬~4 月上旬定植、福井・坂井・南越・二州・若狭地区)は、3~7 段果
房を収穫中である。4月中下旬定植の二州地区、奥越地区では3~5段果房を収穫中である。5
月末定植の池田町では4~5段花房開花中である。灰色かび病、葉かび病が少発、アザミウマ類
が小~中発、一部でタバココナジラミ微発である。
抑制栽培は、福井、坂井、若狭地区で 6 月中旬頃から順次定植され、3~4段花房開花期と
なっている。一部で灰色かび病が中発、葉かび病が少発である。
(3) キュウリ
半促成栽培の収穫は、7月上~中旬にかけて順次終了している。
抑制栽培は、南越地区では7月9日から順次播種されている。
(4) ハウススイカ
坂井北部丘陵地、三里浜砂丘地とも7月上旬には収穫を終了した。糖度、果肉は良好で市場評
価は高かった。
(5) メロン
半促成栽培のアールスメロンの収穫は、坂井北部丘陵地で6月28日から、三里浜砂丘地で 7
月2日から開始された。品質良く3L中心の玉揃いとなっている。奥越地区は7月中旬から収穫
開始されている。アブラムシ類、一部でえそ斑点病が少発である。
坂井地区の抑制栽培は 7 月初旬から順次定植が行われている。病虫害なく生育は概ね良好であ
る。坂井地区のアンデスメロンは6月22日から収穫され 7 月10日頃が収穫盛期となった。今
月末で終了の見込みである。えそ斑点病が中発、アブラムシ類が少発である。マルセイユメロン
(坂井、南越地区)は 7 月上旬で収穫がほぼ終了した。
(6) イチゴ
現在育苗中で、順次ランナーを配置している。一部でうどんこ病、ハダニ類、アブラムシ類が
少発である。
葉根菜類
(1) ネギ
坂井北部丘陵地ではスイカ跡作として6月下旬~7月中に定植、活着は良好である。
(2) 軟弱野菜
ホウレンソウは、高温の影響で徒長気味である。一部で立枯性病害が少発である。コマツナは
生育良好である。
2
露地野菜
果菜類
(1) ピーマン
丹生地区では夜温が低かったため昨年より遅い収穫開始となった。現在 3~5 番果が収穫中であ
る。アザミウマ類、アブラムシ類が局少発である。
(2) スイカ
圃場毎に生育にバラつきはあるものの、三里浜砂丘地では7月9日から、坂井北部丘陵地では
7月18日から収穫開始となった。猛暑の影響で成熟がやや早まる傾向がある。越前市では、着
果のピークは 6 月下旬となり、平年並みの7月29日からの出荷開始を予定している。丹生地区
(水田転換畑利用)では、着果も良好で肥大中となっている。つる枯病、アブラムシ類が少発、
一部でハダニ類、炭疽病が局多発である。
(3) カボチャ
坂井北部丘陵地では7月8日から収穫開始された。風乾後7月16日から出荷している。1.
5kg玉が中心の秀品が多く品質は良好である。丹生地区でも7月中旬から出荷が始まった。う
どんこ病が少発、アブラムシが微発である。
(4) 夏秋ナス
奥越地区では主茎長130㎝(昨年145㎝)となっおり、高温と降雨不足の影響で一部樹勢
が弱い圃場も見られる。若狭地区では、主茎長120㎝で樹勢はやや弱い。南越地区では主茎長
120~130㎝前後で樹勢はやや弱い。アブラムシ類、カメムシ類、アザミウマ類、一部でヨ
トウムシ類が少発である。
(5) エダマメ
二州地区では、4月下旬播種が草丈50㎝で収穫始めとなっている。
(6) キュウリ
丹生地区、若狭地区の加工キュウリは7月上旬から収穫開始された。一部でうどんこ病が少発、
べと病が局中~多発である。
(7) スィートコーン
永平寺町のピクニックコーンは7月1日から収穫が始まり8月上旬まで収穫される見込みであ
る。アワノメイガが少発、一部でアブラムシ類が微発である。
葉根菜類
(1) ブロッコリー
夏まきは福井地区で7月下旬から播種が予定されている。
(2) ネギ
秋冬穫りは、奥越地区では4月上旬定植で75~85cm、葉鞘径が23㎜前後となっており生
育は良好である。4月中旬定植の坂井北部丘陵地、福井、若狭地区では、草丈60~76㎝、葉
鞘径が15~20㎜となっている。4月下旬~5月上旬定植の二州地区では、草丈55㎝、葉鞘
径が18~20㎜となっている。春江町の麦跡(6月中旬)定植では、草丈28~35㎝、葉鞘
径が5~9㎜となっている。アザミウマ類が中~一部で多発、ハモグリバエが少~中発、さび病
が微~局多発、黒班病が少~中発、一部でべと病が少~局中発、軟腐病少~多発で平年より病害
の発生が多くなっている。
奥越地区の越冬穫りは、自家育苗が7月18日から定植が開始された。購入苗は8月10日頃
から定植が開始される予定である。
(3) キャベツ
夏まきは(坂井、福井、二州地区)は7月上旬頃から順次行われている。7月下旬頃から順次
定植が行われる見込みである。
(4) シソ
福井市のシソは7月10日で出荷終了した。
根菜類他
(1) カンショ
坂井地区では6月末で定植がすべて終了した。5月下旬~6月上旬に定植した丹生地区の生育
も良好である。
(2) ニンジン
春まきは三里浜砂丘地で6月18日から収穫され7月20日頃にほほ終了した。ヤサイゾウム
シが局多発である。夏まきは坂井北部丘陵地では7月23日から播種開始予定である。
(3) サトイモ
奥越地区では主茎長 90~100 ㎝と平年並みに生育している。かん水不足などでやや生育遅れの
圃場も一部見られる。ハダニ類、ヨトウムシ類、アブラムシ類が少発である。
(4) ラッキョウ
三年堀は6月11日から始まり収穫中である。品質は平年並みである。
対
策
8月は晴れの日が多いことが予想されるため、引き続き高温時の肥培管理を徹底する。
敷きわらを厚くするなど地温の低下に努めるとともに、猛暑による高温障害防止対策、干ばつ害防
止対策を徹底する。また、害虫の発生も多くなることから適正な農薬防除に努める。なお、秋冬野
菜については、圃場準備を計画的に進めるとともに、適期播種・適期定植に努める。
日中のハウス内作業は 40℃を超えることがあるので、管理作業は涼しい時間帯に行う。また、無
理な作業は絶対に避け、水分補給や十分な休養を取って熱中症を回避すること。農薬散布を行う場
合は、人への危害および農薬による農作物被害防止の観点から、日中の高温時を避けて、早朝また
は夕方の涼しい時間帯に行う。
1
施設野菜
果菜類
(1) トマト
高温による生育停滞や着果率の低下を防ぐため、ハウスのサイド、肩上部、妻部、連棟の谷部
等を大きく開放して換気を十分に行う。また、日中特に高温になる時間帯には遮光を行う。なお、
過度な遮光はトマトを徒長させ、花質を悪くするので行わない。
若苗を定植する抑制栽培では、過繁茂の防止と根群発達を促進させるため、潅水は定植後から
3段開花頃まで控えめにするが、萎れさせないよう適宜な潅水を行う。果実肥大が始まる3段開
花頃になると、着果負担が増し草勢が急激に低下しやすくなるので、追肥、潅水は積極的におこ
なうとともに、遅れないようにする。ホルモン処理は空洞果の発生を防ぐため、1花房3~4花
咲いた時に、夕方トマトトーン 150 倍にジベレリン 10ppm を混用して噴霧する。さらに、高温で
害虫発生が多くなるので、防除を徹底する。
(2) ミディトマト
高温で果実の成熟日数が短いため、3段花房開花頃から節水管理に努める。ただし、高温下で
は、草勢確保がしにくく、また、土壌の乾燥による尻腐果の発生も出やすくなることから極端な
節水は避ける。さらに、高温による軟化果の発生を防ぐため、ハウス換気や遮光により果実温度
を下げる。白ぶくれ症果、金粉症果の発生を防ぐため、関与するスリップス類やハダニ類の防除
を徹底することで果実品質の低下を防ぐ。
(3) 抑制ネットメロン
開花期まではやや控えめな潅水として根群の発達を促し、収穫前の極端な草勢低下を防ぐ。着
果後は潅水を増やし果実肥大を促す。ネット発生がみられたら潅水を控え、ヒルネットの発生を
防ぐ。さらに、ネット発生盛期には再び潅水量を多くして果実肥大を促すとともにネット発現を
良くする。なお、高温のためネット発現が弱くなりやすいので、ネット発生前にはハウス換気を
十分に行って果実の硬化を図っておく。また、うどんこ病、アブラムシ類等の病害虫防除を徹底
する。
(4) イチゴ
健苗を育成するため、追肥、かん水、葉かき、余分なランナー除去等を行うとともに、ハダ
ニやうどんこ病等の病害虫防除は徹底する。
軟弱野菜
(1) ホウレンソウ
高温期は立枯病等の発生が多くなるので、播種時に十分に潅水し、遮光を行って地温を下げる。
また、土壌の乾燥による発芽不良や生育遅延を防ぐための遮光は、ホウレンソウの生育を軟弱に
するので、播種密度を下げて徒長を防ぐ。なお、高温期間は収穫適期幅が短いので、収穫労力を
考慮して段播きを徹底する。一方、作付けをしないハウスでは高温を利用して太陽熱土壌消毒を
行う。
(2) コマツナ
ハウス出入り口やサイドに寒冷紗等を張り、コナガ、アオムシ、キスジノミハムシ等の侵入
を防ぎ被害を軽減する。また、徒長防止のため、播種密度を下げる。
県園芸試験場の成績では、0.8mm 目合いネットでキスジノミハムシの侵入防止に有効であると
の結果がある。
2
露地野菜
果菜類
(1) ナス、ピーマン
敷きわらを厚くすることで高温による根の衰弱を防ぐとともに、適宜にかん水や追肥を行うこ
とで草勢の健全維持を図り、つやなし果、日焼け果、尻腐果等の発生を防ぐ。高温期は、常に畝
間が湿っている程度の土壌水分が必要であるが、かん水は夜間地温が下がってから畝間に入水す
る。畝の 3 分の 2 程度の高さまで湛水したら直ちに落水する。だたし、湛水時間はできるだけ短
くする。また、接木苗を使用しなかった場合は、青枯病の蔓延が懸念されるので畝間かん水は避
け、かん水チューブ利用等によるかん水を行う。また、ハダニ類、チャノホコリダニ、ミナミキ
イロアザミウマ等の害虫の発生も多くなるので、誘引、整枝、摘葉を徹底するなどして薬剤散布
の防除効果を高めるとともに、健全な樹体を維持し、果実品質の低下を防ぐ。
(2) キュウリ
根が浅く分布することから特に、敷きわらを厚くして高温による根の衰弱を防ぐ。また、追肥、
かん水を適宜に行って着果負担による草勢低下を防ぐ。なお、かん水は夜間地温が下がってから
畝間に湛水し、直ちに落水する。(畝間が長時間湛水状態にならないようにする。)また、古葉や
込み合った葉は適宜に摘葉し、べと病、褐斑病、斑点細菌病、うどんこ病等の防除を徹底する。
葉菜類
(1) 夏まきキャベツ、ブロッコリー、ハクサイ等
水田転換畑では、圃場内の排水対策を十分に行い、排水不良による生育不良、品質低下が起ら
ないようにする。苗植付け後の活着促進や除草剤効果が十分に発揮できるように、圃場の砕土率
が高まるように耕運する。植え付は、午後気温が下がってからおこない、根鉢が隠れる程度にや
や深めに植え付ける。植え付がすみしだい直ちに潅水を行って根鉢の乾燥を防ぐ。特に徒長苗や
老化苗を植え付した場合は、活着するまでは圃場が乾燥しないように注意する。また、キャベツ、
ハクサイの除草剤は耕運直後の土壌が湿っている時に、乳剤を散布するのが効果的である。育苗
期からコナガ、キスジノミハムシ等の害虫防除を徹底するとともに、定植後の初期加害に注意す
る。
(2) 白ネギ
適期に土寄せを行い、軟白長が 30cm 以上になったことを確認してから収穫する。また、スリ
ップス類等の防除を行う。
根菜類
(1) ダイコン
高温によって生育不良や根部の生理障害が発生しやすいので、8月下旬に温度が下がってから
播種する。早まきを行う場合は、ウイルス病の発生防止のため寒冷紗等による被覆を行う。また、
圃場は深耕し、砕土率を高めて排水や通気性を良くしておく。なお、施肥直後の播種では曲がり
根や岐根が多くなるので、早めに圃場準備を済ませておく。なお、播種時には殺虫剤を施用して
害虫の初期防除に努める。
(2)ニンジン
圃場の準備は、プラソイラー等で排水対策をしっかり行っておくこと、特に収穫機を利用する
場合は必ず施工しておく。センチュウ類対策として播種前に殺虫剤を土壌混和しておく。耕運は
できるだけ細かく砕土し、均平にする。播種後のかん水は土壌水分が十分確保できるように十分
散水するとともに、灌水ムラは発芽不良の原因になるので、灌水チューブのねじれや詰まりに注
意する。
(3) サトイモ
圃場の乾燥が著しくイモの肥大や品質を悪くするので、早朝か夜間に畝間潅水を行い、通路が
白く乾かないように留意する。また、ハダニ、アブラムシ、セスジスズメ等の害虫防除を徹底す
る。
Ⅳ
花き
実況
1
キ
ク
奥 越 の 7 月 咲 き は 、小 ギ ク で「 白 舟 」「 と び 丸 」「 や よ い 」等 、輪 ギ ク で「 砂 浜 」「 ス
ー パ ー イ エ ロ ー 」「 夏 絵 巻 」 等 が 出 荷 中 で あ る ( 7 月 16 日 調 査 )。
8 月 咲 き ギ ク の 生 育 は 7 月 18 日 調 査 ( 昨 年 7 月 22 日 調 査 ) で 、 春 植 え の 「 小 鈴 」
が 116cm、 蕾 径 9mm( 112cm、 9mm)、「 小 紫 」 101.5cm、 蕾 径 6mm( 108cm、 7mm) と な っ
ており、昨年と同程度である。
病害虫では、梅雨期間中に黒斑・褐斑病が中発生、白さび病が小発生であった。ア
ザミウマ類による葉の食害が小~中発生、チョウ目害虫やカスミカメムシ類による被
害は小発生である。
坂 井 の 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク は 7 月 19 日 調 査 で 、「 小 鈴 」草 丈 85cm(88cm 昨 年 7 月 20
日 調 査 )、 蕾 径 2mm で あ る 。
病害虫では、黒斑・褐斑病、アザミウマ類による葉への食害、カスミカメムシ類に
よる首曲がり等が見られた。
福 井 の 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク の 草 丈 は 、 福 井 北 部 の 「 花 絵 」 が 草 丈 100cm(105cm 昨 年
7 月 20 日 調 査 )、「 小 鈴 」95cm(98cm)、「 み の る 」90cm(94cm)、福 井 東 郷 地 区 で「 恋 心 」
94cm(98cm)、「 小 鈴 」 88cm(92cm)、「 山 手 白 」 87cm(84cm)、 生 育 は 昨 年 並 み (7 月 17 日
調 査 )。
福 井 市 南 部 「 岩 の 白 扇 」 草 丈 98cm(94cm)で 出 荷 始 め 、「 は じ め 」 草 丈 100cm、 蕾 径
7mm で あ る (7 月 17 日 調 査 )。
病 害 虫 で は 、 全 般 的 に ハ ダ ニ や ス リ ッ プ ス が 小 発 生 、「 花 絵 」「 は じ め 」 で 白 さ び 病
が少発生である。
丹 生 の 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク は 、7 月 20 日 調 査 で「 小 鈴 」草 丈 98cm(94cm 昨 年 7 月 20
日 調 査 )、蕾 径 5-7mm、「 秀 水 」草 丈 95cm 蕾 径 7mm、
「 シ フ ォ ン 」草 丈 97cm 蕾 径 5mm、「 は
じ め 」草 丈 101cm 蕾 径 7mm、中 輪「 清 風 」草 丈 90cm 蕾 径 20mm、「 精 安 ら ぎ 」草 丈 75cm
蕾 径 10mm、「 花 絵 」草 丈 100cm(110cm)蕾 径 5mm、「 う た げ 」草 丈 100cm(100cm)蕾 径 13mm
で 出 荷 期 で あ る 。病 害 虫 は ダ ニ 、ア ザ ミ ウ マ 、白 さ び 病 が 発 生 し て い る (7 月 19 日 調
査 )。
南 越 の 春 植 え 無 加 温 ハ ウ ス 栽 培 の 「 岩 の 白 扇 」 は 、 草 丈 88cm、 蕾 径 20mm(昨 年 7 月
20 日 調 査 草 丈 95cm、蕾 径 24mm)で「 サ ン ラ イ ム 」草 丈 92cm(88cm)蕾 径 20mm(25mm)、 8
月 上 旬 出 荷 見 込 み 。 露 地 の 「 め ぐ み 」 草 丈 110cm 蕾 径 10mm 破 蕾 期 、「 小 鈴 」 草 丈
86cm(88cm)蕾 径 8mm(10mm)、「 は じ め 」 草 丈 90cm(93cm)蕾 径 12mm(〃 )破 蕾 期 。 病 害 虫
は ダ ニ 、 ア ザ ミ ウ マ 、 白 さ び 病 が 微 発 生 し て い る (7 月 19 日 調 査 )。
二 州 の 8 月 咲 き 小 ギ ク の 草 丈 は 、7 月 17 日 調 査 で( 昨 年 7 月 8 日 調 査 )「 秀 光 」87cm
( 76cm)、「 小 鈴 」 97cm( 81cm)、「 広 島 紅 」 98cm( 79cm) で あ る 。 蕾 径 は 5~ 8cm( 3~
5mm)で あ る 。「 花 絵 」、「 花 エ ク ボ 」、「 と も こ 」は 92~ 98cm( 70~ 88cm)で あ る 。カ メ
ム シ 類 、ア ザ ミ ウ マ 類 が 中 発 で あ る 。9 月 咲 き 小 ギ ク の 草 丈 は 、
「 し ら さ ぎ 」49cm( 40cm)
「 映 紅 」 70cm( 43cm)、「 わ か さ 」 69cm( 50cm) で あ る 。
若 狭 の 春 植 え 8 月 咲 き ギ ク の 草 丈 は 7 月 13 日 調 査 で( 昨 年 7 月 14 日 調 査 )、「 翁 丸 」
75cm( 80cm)「 さ き か ぜ 」82cm( 86cm)、「 く れ な い 」65cm( 68cm)で あ る 。蕾 径 は 3~
7mm( 4~ 8mm)で あ る 。病 害 虫 で は カ メ ム シ 類 が 、少 発 生 で あ る 。9 月 咲 き キ ク( 施 設 )
の 草 丈 は 7 月 13 日 調 査 で( 昨 年 7 月 13 日 調 査 )「 み ゆ き 」62cm( 49cm)、「 わ か さ 」60cm
( 47cm)、「 楽 園 」 65cm( 46cm) で あ る 。
2 ユ
リ
奥 越 の シ ン テ ッ ポ ウ ユ リ は 7 月 19 日 調 査( 昨 年 7 月 23 日 調 査 )で 草 丈 57cm、発 蕾
開 始 ( 昨 年 60cm、 発 蕾 始 め ) で 昨 年 と 同 程 度 で あ る 。
鯖 江 市 で「 リ リ ブ ラ イ ト レ ッ ド 」の 球 根 を 養 成 中 。12 月 出 荷 作 型 は 6 月 末 か ら 掘 起
し冷蔵中。5 月開花作型は 8 月に掘り起こす予定である。
3 スイセン
6 月 ~ 7 月 に か け て 球 根 掘 り 上 げ が 開 始 。養 成 し て い た 球 根 の 生 長 が 特 に 積 雪 の 多 い
地域で緩慢であった。7 月に促成球根処理が行われた。8月に抑制球根処理を行う予
定 。 (7 月 20 日 調 査 )。
4 トルコギキョウ
坂 井 の 二 度 き り 栽 培 は 7 月 下 旬 ま で に 出 荷 さ れ た 。4 月 下 旬 に 定 植 さ れ た「 エ
ク ス カ リ バ ー ブ ル ー ピ コ テ ィ ー 」 の 草 丈 が 60cm で 、 7 月 下 旬 か ら 出 荷 さ れ る 見
込 み で あ る ( 7 月 19 日 調 査 )。
奥 越 の 2 月 14 日 に 播 種 さ れ 、4 月 下 旬 に 定 植 さ れ た「 ロ ジ ー ナ グ リ ー ン 」70cm、「 ロ
ジ ー ナ ブ ル ー 」65cm、「 ロ ジ ー ナ ス ノ ー 」65cm、「 ロ ジ ー ナ Ⅲ 型 ピ ン ク 」56cm で そ れ ぞ
れ 発 蕾 し て お り 7 月 下 旬 か ら の 出 荷 が 見 込 ま れ る ( 7 月 19 日 調 査 )。
南 越 の 「 バ ル カ ン マ リ ン 」、「 プ テ ィ フ ル ブ ル ー ピ コ テ ィ 」、「 マ シ ュ マ ロ ホ ワ イ ト 」
「 ノ ー ブ ル レ ッ ド 」は 、二 度 切 り 栽 培 で 草 丈 110~ 118cm (昨 年 7 月 20 日 調 査 80~ 85cm)、
6 月 末 ~ 7 月 19 日 が 収 穫 期 で あ り 、 3 月 播 種 、 4 月 下 旬 定 植 の 「エ ク ロ ー サ ピ ン ク フ
ラ ッ シ ュ 」で 草 丈 85cm 出 荷 始 め で あ る ( 7 月 19 日 調 査 )。
二 州 の 4 月 定 植 ト ル コ ギ キ ョ ウ は 7 月 1 7 日 調 査 で「 カ ッ プ ル ピ ン ク 」65cm、「 プ ラ
チ ナ バ イ オ レ ッ ト 」 62cm、「 サ マ ー ス モ ー ル キ ン グ 」 69cm で あ る 。
美 浜 町 の 5 月 下 旬 定 植 の 「 ニ ュ ー リ ネ ー シ ョ ン シ リ ー ズ 」、「 ロ ジ ー ナ シ リ ー ズ 」 な
ど の 草 丈 は 20~ 34cm で あ る 。
若 狭 の 2 度 切 り 栽 培「 キ ュ ー ト 」シ リ ー ズ は 、草 丈 85~ 93cm で 、7 月 上 旬 よ り 収 穫
が始まった。アザミウマが少発生である。8 月咲き作型の「ロジーナ」シリーズは草
丈 25~ 30cm で あ る ( 7 月 10 日 調 査 )。
5 その他
越 前 市 の ス ト ッ ク で は 「 カ ル テ ッ ト 」「 ウ ェ ー ブ 」 シ リ ー ズ が 7 月 下 旬 に 播 種 予 定 。
対策
1
夏期の灌水・高温管理
1 )本 年 は 、6 月 以 降 に 好 天 と な り 高 温 が 続 き 、
キクではマルチの中が乾燥して、水分不足で
肥効が悪い株も見られる。さらに晴天時には
萎ちょうする株が見られる。特に地温が高い
日中に灌水すると、根が傷む危険性が高いの
で、夜間か日の出前の地温が低いときに灌水
する。
キク高温対策:送風機の利用
2)キクでは生育後半に、上部の葉が小さくなるウラゴケ症状が出る株も見られる
ので、マルチの一部を切って、穴をあけ、水を灌注する。灌水後の日中は排水溝
に水が溜らないように、通路を再整備や溝を掘る等の排水対策を行い、根を健全
に維持し、新根の発生を促すようにする。
3)施設は日中、高温になるので、天窓、妻窓、裾窓を開放し、通風を良くする。
また、換気扇、送風機等を設置して、ハウス内の空気を循環させるようにする。
2
秋植え夏ギクの苗づくり
1)親株として用いる株は病害虫に侵されていない株とする。とくに、キクスタン
ト ウ イ ロ イ ド 、キ ク モ ン サ ビ ダ ニ( 紋 々 病 )、白 さ び 病 、葉 枯 細 菌 病 に 侵 さ れ た 株
は用いない。被害が大きかった品種は更新する。
黒 さ び 病 の 発 生 が み ら れ た 地 域 で は 、兼 商 ス テ ン レ ス 剤 の 予 防 散 布 を 励 行 す る 。
し か し 、 高 温 時 ( 30℃ 以 上 ) の 散 布 は 薬 害 の お そ れ が あ る の で さ け る 。
2)親株として用いる株は、採花前後も灌水、施肥、除草、防除管理を適宜行う。
3 ) 台 刈 り 前 に は 十 分 灌 水 を 行 い 、 1 ㎡ 当 た り そ さ い 5 号 で 30g 程 度 を 施 す 。
4)8月中下旬を目安に、親株を地上5㎝程度の高さで刈り込む。
3
中輪キクのやなぎ芽の発生と処理
1)9月咲ギクや秋ギクでは、7月下旬から8月上中旬に曇天、降雨などが続いた
場合に発生する。定植時期が早い作型では発生しやすい。
2 )電 照 栽 培 で は 、停 電 な ど で 3 日 間 以 上 電 照 が ス ト ッ プ し た 時 や 、電 照 期 間 が 60
日以上と長すぎた場合に発生が多くなる。
3)やなぎ芽の発生初期に1番上のわき芽だけを残し、不完全な蕾と他のわき芽を
取り除く。なるべく早めに処置を行うことで、草姿がよくなる。
4
夏期の病害虫防除
夏期の農薬散布は、早朝か夕方の涼しくなってから実施する。又、植物体がしおれ
た状態では薬害がでやすいので注意する。
1)ハダニ類
薬剤は、抵抗性の発達を避けるため、系統の異なるハダニ剤を使用する。圃場
の周辺の除草を行うことで隠れ場所をなくすことも重要である。葉裏に薬液がか
かるよう、墳口をななめ上向きとして防除を行う。キクのハダニ類薬剤は、スタ
ー マ イ ト フ ロ ア ブ ル 、オ サ ダ ン 水 和 剤 25、ダ ニ ト ロ ン フ ロ ア ブ ル 、コ テ ツ フ ロ ア
ブル、ダニサラバフロアブル、マイトコーネフロアブルなどを散布する。
2)アザミウマ類
破蕾期前より薬剤散布する。蕾の中に入ったものには、浸透性の殺虫剤を使用
する。
薄暮時の散布効果が高い。付近の雑草や切り残し花が第一次発生源となるので除
去する。
キクを加害するアザミウマ類はミカンキイロ、ミナミキイロ、ヒラズハナ、ク
ロゲハナなど各種があるので、種を確認した上で、薬剤を選定する。ミカンキイ
ロアザミウマはキクえそ病を媒介するので特に注意する。
ミカンキイロアザミウマには、アファーム乳剤、カスケード乳剤などを散布す
る。それ以外の種にはハチハチ乳剤、プリンスフロアブル等を散布する。
3)アブラムシ類
夏は一時的に数が減少するが、秋には再び繁殖する。同一薬剤を連用すると抵
抗性がつき、効かなくなるので、系統の違う薬剤を計画的に使用する。とくにワ
タアブラムシは一生のサイクルが短く抵抗性がつきやすい。圃場の周辺から侵入
するので、よく観察し、初期に駆除する。種類によっては、生長点付近のみ発生
す る 。キ ク の ア ブ ラ ム シ 類 薬 剤 は 、オ リ オ ン 水 和 剤 40、ス カ ウ ト フ ロ ア ブ ル 、ア
ーデント水和剤などを散布する。
5
スイセンの管理
1)促成スイセンでは定植前から遮光ネット等を設置し、地温の低下を図り、発根
と発芽を促すためスプリンクラーや灌水チューブなどによる散水を行い、地温・
気 温 を 極 力 低 下 さ せ る 。地 温 は 25℃ 以 下 を 目 標 に す る 。畝 間 灌 水 の 場 合 は 発 根 部
位(球根の根盤部)まで水が回るようにする。
2)季咲スイセンは、7 月が高温で推移し、8 月も平年同様高温となる予測なので、
9 月以降、乾燥した場合は、葉の長さを確保するため、用水が確保できる圃場で
は灌水を積極的に実施する。
6 ストックの育苗と初期管理
1)播種後の管理は雨よけ下で行う。ハウスで管理する場合は、高温対策のために
ハウスの屋根の外側に遮熱ネット等を張り、ハウス内の気温を下げる。育苗箱は
ベンチ等の上で風通しを良くし、灌水は地温の低い早朝に行う。
2)八重鑑別後、葉色が薄い場合は、OKF-1などの液肥を施用する。育苗日数
20日程度の若苗定植を心がける。
3)本圃は、クロールピクリンやガスタード微粒剤で土壌消毒する。
4)本圃は、定植5日前からハウスの屋根の外側に遮熱ネット等を張り、ハウス内
の気温を下げておく。2~3回に分けて十分に灌水して畝全体の水の通りをよく
しておく。
5)マルチを張る場合は土壌水分が十分にあるときに、土面と隙間がないよう密着
するように張る。隙間があると風であおられるばかりでなく、地温が高くなる。
6)定植後は直ちに灌水し、液肥を施用し、活着を促す。
7)直播栽培では、立枯れ性の病害を予防するために有機質肥料の施肥は早めに行
い 、栽 培 床 に 十 分 灌 水 し て お く 。ま た 、播 種 時 の 地 表 面 の 温 度 を 極 力 下 げ る た め 、
播 種 の 5 日 程 度 前 か ら 70~ 80% の 遮 光 資 材 を ハ ウ ス の 屋 根 に か け て 、風 通 し を 良
くして地温の低下に努める。播種後は土を乾かさないように灌水し、発芽後は苗
の 徒 長 防 止 の た め 、直 ち に 遮 光 資 材 を 取 り 除 き 、灌 水 は 土 の 表 面 が 乾 い た ら 行 う 。
7
ハボタンの定植と初期管理
1)切り花ハボタンは細く作り上げる必要がある。施設栽培の場合は、前作の肥料
が残っている場合があるので、土壌分析を行ってから栽培する。露地栽培の場合
は 、基 肥 と し て 石 灰 質 肥 料 10~ 20kg/a、窒 素 、リ ン 酸 、カ リ を 成 分 で 各 1kg/a 施
用する。
2 )本 葉 が 2 枚 の 若 苗 の 時 期 に 、12cm 角 ネ ッ ト を 使 用 し 、1 マ ス に 1 株 植 え つ け る 。
必ず、苗が老化する前に定植する。
3)定植後、活着するまではしっかりと灌水をする。活着後は、土の表面が乾いた
ら灌水をし、草丈確保のため、乾燥しすぎないように注意する。
Ⅴ
果樹
実
況
1
ウメ
(1)生育状況(園芸試験場)
「紅サシ」の完熟落果は6月27日頃から始まり、落果盛期(落果率50%)は当初の予想より2日早い7月3
日であった。落果盛期の果重は35.2g(昨年28.1g)と大きかった(図1)。
6月4日以降、種子維管束部の空洞・褐
変などの果肉障害が見られた。内ヤニの
%
30
落果率(%)
25 果
重
20
g
15
落果果重(g)
10
(
の程度は、梅干し等に加工した場合、品
35
(
6月7日であった(図2)。ただし、果肉障害
落
果
率
40
)
)
5
7/11
7/9
7/10
7/8
7/7
7/6
7/5
7/4
7/3
7/2
7/1
6/30
0
6/27
られる。
6/29
質に影響を及ぼすようなものでないとみ
6/28
初見は、水田転換畑で6月11日、普通畑で
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
図1 紅サシの完熟落果の態様
12 ・
i ・j
内
部 10 障
害 8 発
生
果 6 数
普通畑 内ヤニ
水田転換園 内ヤニ
普通畑 内部障害
水田転換園 内部障害
普通畑 軸隙
水田転換園 軸隙
4 個
2 0 5/25
5/30
6/04
6/09
6/14
6/19
6/24
図2 果肉内部の生理障害果発生の推移
6/29
7/04
月/日
( ※供試12個中の障害発生個数を示す)
(2)地域状況
広域選果場の集荷は7月8日に終了し(集荷日数26日間)、出荷量は1,305t(前年対比126%)であった。
4月に一部地域で発生した降雹によるキズ果などがみられたため、秀品率は60.6%にとどまり平年よ
り低かった。
一次加工漬け込み量は、250t程度を見込んでいる。7月23日頃から土用干し作業が始まっている。
2
ナシ
(1) 生育状況(農業試験場)
7月20日現在の果実肥大は、果実横径で「幸水」が59.7㎜(平年62.1mm、前年56.1mm)であり、平年より
小さく、前年より大きい。「豊水」は53.5㎜(平年57.5mm、前年53.1mm)で、平年より小さく、前年より
大きい(果実肥大平年値:1987~2010年の平均)。
「幸水」では、裂果の発生が見られる。赤星病の病斑が葉に残っているが、他に目立って発生してい
る病害虫はない。
100
80
90
70
60
50
2011
2012
40
30
6/21
平年
7/1
7/11
7/21
7/31
8/10
果実横径(mm)
果実横径(mm)
90
80
70
60
2011
50
2012
平年
40
30
8/20
6/21
図3幸水の果実肥大(福井農試)
「幸水」の果実肥大(福井農試)
図4
7/1
7/11
7/21
7/31
8/10
8/20
8/30
図4図5
「豊水」の果実肥大(福井農試)
豊水の果実肥大(福井農試)
(2)地域状況
坂井管内の果実肥大(7月23日現在)は、「幸水」の果実横径が60.0㎜(前年54.6㎜)で平年より5日分
大きく、「豊水」が55.4㎜(前年49.2㎜)で平年より6日分大きい。「幸水」の裂果は少ない。
病害虫ではカメムシ類の発生が増えている。
3
ハウスナシ
(1) 生育状況
坂井管内の「幸水」は7月25日から収穫が始まり、8月上旬までの出荷を予定している。
4
カキ
(1) 生育状況(農業試験場)
7月20日の調査では、「刀根早生」の果実横径は49.7㎜(平年52.5㎜、前年49.4㎜)であり、平年より
小さく、前年より大きい。「平核無」の果実横径は53.6㎜(平年50.4㎜、前年52.5㎜)であり、平年・前
年より大きい(果実肥大平年値:「刀根早生」1997~2010年、「平核無」1987~2010年の平均)。
100
100
80
80
60
2011
2012
平年
40
果実横径(mm)
果実横径(mm)
生理落果は「刀根早生」でわずかに見られた。
20
6/21 7/1 7/11 7/21 7/31 8/10 8/20 8/30 9/9 9/19 9/29 10/9
図5図6
「刀根早生」の果実肥大(福井農試)
刀根早生の果実肥大(福井農試)
60
40
2011
2012
平年
20
6/21 7/1 7/11 7/21 7/31 8/10 8/20 8/30 9/9 9/19 9/29 10/9 10/19
平核無の果実肥大(福井農試)
図6図7「平核無」の果実肥大(福井農試)
(2)地域状況
坂井管内での着果量は、平年並みかやや良好。果実肥大は7月23日現在、「刀根早生」が50.1㎜で昨
年並み、「平核無」が48.7㎜で昨年より1mm大きいが、両品種とも平年との比較では3~4mm程度小さく
なっている。
5
イチジク
(1)生育状況(農業試験場)
7月20日現在、結果枝基部の果実径は38.7㎜。最高段数で23段(未展葉含まず)に達している。樹体
ごとの結果枝長や着果節位のバラつきが大きく、摘心作業はやや遅れる見込み(昨年は7月24日に摘心
を行った)。
(2)地域状況
若狭管内での新梢伸長は、圃場間でばらつきがみられるものの順調に生育しており、7月中旬から
摘心作業が行われている。各節に着果があり、結実良好である。収穫時期は平年並みの8月初旬から
の見込みである。
対
策
1
各樹種共通
(1) 干ばつ防止
土壌乾燥は葉の萎れ・ロール・黄化、落葉など樹体生育に悪影響を及ぼす。また、肥大不良や陽光
面の日焼けなど果実品質にも影響を及ぼすのでしっかり対策する。
ア
かん水
梅雨明け後は早めのかん水を心がける。無降雨日が7~10日程度続くと干ばつ症状が出てくる。
1週間から10日間隔で、1回当り15~20mm程度のかん水を実施する。特に、根張りの不十分な幼
木や浅根性の樹種、砂質浅耕土の圃場では被害を受けやすいので早めの対策を実施する。
イ
草刈り、有機物マルチ
雑草との土壌水分の競合を回避するために、草刈りを実施する。地温の上昇を防ぎ、土壌表面
からの水分蒸散を抑えるため、刈草や稲わらなどを積極的に樹冠下に敷く。
ウ
病害虫防除
乾燥が続くとハダニ類、スリップス類、カメムシ類などが発生しやすい。圃場をこまめに巡回
して、発生がみられたら農薬使用基準に従って早期に薬剤散布する。
(2) 台風対策
台風情報に十分注意して、接近が予想される場合には、落果・倒木防止対策を行う。特にナシでは、
棚面の動揺を防ぐために、あおり止めの点検を行う。また、防鳥、防蛾ネットは固定紐のゆるみをな
くし、ネットの外側からビニールバンドで固定するなどして風であおられるのを防ぐ。固定は必ずア
ンカー部に接続する。ネットや棚の強度以上の強風が予想される場合はネットを外す。
2
ウメ
(1) 一次加工(天日干し)
天日干し(乾燥)は、貯蔵中の変質やカビの発生を防ぎ、果肉を軟らかくして風味を増すことが目的
である。
漬け込み後、約1か月経過したら、漬け桶(おけ)からウメを引き上げる。ウメをせいろなどに入れ
て、掛け流しの水の中で数回ゆすって水洗いし、乾燥場へ移す。乾燥日数は夏の晴天条件下で、Lサイ
ズ3日間、2Lサイズ3.5日間、3Lサイズ4日間程度とし、ブリックス糖度計測定値で33~35を目安に調整
する。
高温と強い日射条件で天日干しを行うと、乾燥が急激に進むため、表面に比べて内部の色づきが遅
れる。高温強日射条件下では、使用していないせいろや寒冷紗等でせいろ全体を覆い、果実に当たる
日射を和らげるなどして、日数をかけて干すことが重要である。天日干し中は、塩が吹いてきても、
水をかけたり、夜露にあてたりしないようにする。
天日干しが終わったら、室内に取り込んだ後で、果実の温度が常温に下がってから、果肉内のしこ
り(ヤニ)果やキズ果などを選別しながらタル詰め作業を行う。
(2)病害虫防除
連年安定生産するには、収穫後から秋まで健全な葉を保ち、貯蔵養分を十分に蓄積させることが重
要である。毎年、環紋葉枯病や葉炭そ病などの落葉病害により早期落葉する園地では、病害発生の有
無を観察し、発生がみられた場合は、発生初期に農薬使用基準に基づき薬剤防除を行う。
害虫ではモンクロシャチホコの発生時期である。早期発見に努め、分散前の若齢幼虫時に捕殺する。
若齢期を見逃し分散してしまったら薬剤散布を行う。
花枝出荷予定者は、8月下旬から9月上旬のウメシロカイガラムシ第3世代幼虫発生時期を把握した
上で、適期に防除を実施する。
(3)夏季せん定
夏季せん定によって樹冠内部の葉にも光を当てるように受光体制を改善することで、花芽や枝梢が
充実する。特に「新平太夫」では花芽の着生が良好になり、安定多収につながる。一方、「紅サシ」や樹
勢が低下した樹では、枯れ枝、着葉の少ない側枝、立ち枝先端から発生した新梢などを中心とした軽
めの処理とする。
(4) 芽接ぎ
8月は苗木養成や品種更新(=高接ぎ)のための芽接ぎ時期である。
春の切接ぎには専用の接ぎ木ナイフを要するが、夏季の芽接ぎはカッターナイフ(大型)が利用でき、
技術的にも比較的簡単で、穂木も少量で済む。
ただし、芽接ぎによる高接ぎでは、接ぎ木を行った後から落葉期に枝(新梢)が肥大することにより、
活着後に穂木が土台からはがれてしまう現象が確認されている。芽接ぎの穂木脱落を防ぐために、新
梢は接ぎ木部から20~30㎝程度の長さでカットし、枝(新梢)肥大を防ぐこととする。
3
ナシ
(1) 仕上げ摘果
「豊水」の仕上げ摘果を行う。「豊水」は摘果時に肥大の良好な果実を残したつもりでもばらつきが目
立ってくる。この時期に小さい果実は肥大の回復を期待できないので、小玉果を優先して摘果し、成
木で最終着果量の11,000果/10aに調節する。
(2) 収穫
農業試験場における今年の開花盛期は平年より6日遅い4月25日となり、開花後33日間の平均気温は
17.2℃であった。このため、平均収穫日(カラーチャート値で4.0到達日)は、平年より6日遅い8月28
日と予測され、収穫開始はこれより4~5日前と考えられる。なお、ジベレリン処理した果実は、無処
理より7日程度早くなる。
カラーチャートによる熟期の判定では、チャート値4.0で果実品質がもっとも良くなるが、日持ち
性を考慮した場合3.0以上が収穫の目安になる。「幸水」の収穫期は真夏にあたるため、果実温が高く日
持ちが悪くなりがちである。日持ちをよくするためには、果実温が上昇する前の早朝に収穫するとと
もに、直射日光によって収穫後の果実温度が上がらないように注意を払う。また、選果場までの運搬
中に果実に傷がつきやすいので、コンテナと果実、果実と果実がぶつからないように緩衝材を入れる。
(3) 病害虫防除
カメムシ類、シンクイムシ類は、8月にも成虫発生のピークが予想される。発生最盛期に防除を行
うよう心がける。ハダニ類については常に発生密度を観察して、密度が高くならないうちに防除する。
カメムシ類はスギ・ヒノキ等の寄主植物が近くにある園では飛来数が多くなるので注意する。また、
主に夜間に果実を加害するので、薬剤防除は夕方に行うとより効果的である。
4
カキ
(1) 仕上げ摘果
仕上げ摘果が遅れている園では早急に行う。仕上げ摘果を怠ると小玉果になる。病害虫被害果、キ
....
ズ果、奇形果などを優先して摘果し、最終的には20~30cmの結果母枝につき3果程度を目安にする。
ただし、葉数5枚以下の結果枝には着果させない。また、高温多照条件では日焼け果が多発するので、
上向き果など直射日光を強く受ける果実は仕上げ摘果で落とす。
(2) 新梢管理
樹冠内部の通風・採光を妨げている枝や充実不良枝、骨格枝の背面から発生している徒長枝などは、
炭疽病・すす点病などの発生を助長するので適当に間引く。なお、梅雨明け後の強い直射日光は幹の
日焼けをおこすので、適度にふところ枝を残す。葉数が少ない老木や樹勢の弱った樹では、徒長しそ
うな新梢を捻枝(ねんし)で残し、葉数確保をはかる。また、8月以降は果実重が増加し、枝が下垂して
くるので、枝吊りや支柱による補強を行う。
(3) 品質向上・汚損果防止対策
果実成熟期の園地環境の改善対策によって着色向上や汚損果防止が期待できる。樹冠下に有孔シル
バーマルチを敷設すると、着色向上や湿度低下による汚損果の軽減効果があるが、8月中の敷設は時期
尚早である。8月下旬に資材の準備や草刈りを行い、9月上旬になってからシルバーマルチの敷設を行
う。
(4) 病害虫防除
病気ではうどんこ病、炭疽病、落葉病、害虫ではカキミガ、スリップス類、カメムシ類の防除を行
う。
5
イチジク
(1) 収穫
イチジクの完熟果は風味があっておいしいが、未熟果は甘味や風味が乏しく
なる。成熟期の目安は着果後約75~80日で、着色始めから完熟までの期間は4
~6日と短い。また、完熟1日後には過熟になってしまうので収穫遅れに注意
する。
収穫の判定は下表を参考に果実の下垂程度、着色度、果肉の硬さから判断す
る。福井農試で作成した果実カラーチャートを利用すると便利である。
表
時期別のイチジク収穫基準
時 期
8月
果皮色
果実の軟らかさ
注意点
果皮色の濃淡ではなく,果実全
面に着色(R1以上)している.
軟らかいもの
(果実硬度0.3㎏以下)
・1日で急激に軟化するので、取
り遅れに注意すること。
・色が極端に薄いあるいは着色
する前に柔らかくなる場合は、
枝密度など日照条件が悪いの
で、適正管理を行う。
・天候によって着色程度などが
変化することを考慮する
着色不良で緑色部分が多い果実
は,G2以上での収穫を目標とす
る.
9月
基本的には8月に準じる.
(R1~R2以上で収穫)
やや軟らかいもの
(果実硬度0.5㎏以下)
10月
果実全面に着色し、果皮色も十
分に濃いもの(R3程度)
。
やや硬くても収穫可能
(果実硬度0.7㎏以下)
カラーチャートによる収穫適期の把握(福井農試,平成19年度普及に移す技術)
6
ブドウ
(1)収穫
着色が進むとともに、糖度が上昇し酸が減少する。品種によって異なるが、糖度18度以上、酸度0.4
~0.7を目安に収穫し、早どりに十分注意する。新鮮さを保ち、収穫後の日持ちを良好にするため、
収穫は涼しい早朝に行う。また、果粉(ブルーム)がきれいに付いていると商品価値が高まるため、収
穫の際は、果軸をつまみ房に直接触れないように注意する。
Ⅵ.畜産
実
1
況
平 成 24 年 度 第 6 回 石 川 ・ 福 井 合 同 肉 牛 枝 肉 販 売 会 ( 平 成 24 年 6 月 18 日 )
頭数
去勢
雌
福井
全体
福井
全体
9
21
11
19
単価
(円)
1,742
1,928
1,570
1,631
販売価格 BMS 枝肉重量 ロース芯 上物率
(円)
(No)
(㎏)
面積(cm2) (%)
888,488
6.3
509.7
60.4
67
925,987
6.2
482.6
59.2
71
710,312
5.5
451.9
61.1
55
707,103
5.1
431.7
59.1
47
最高価格は、1,129,800 円、去勢牛(百合茂×茂勝×安福 165 の 9)、28.7 カ月齢、A-5(BMSNo8)、
枝肉重量 538.0 ㎏、ロース芯面積 76 ㎠であり、福島県産であった。枝肉単価は、前回より、去勢で
95 円、雌で 2 円安かった。
2
平 成 24 年 度 第 7 回 石 川 ・ 福 井 合 同 肉 牛 枝 肉 販 売 会 ( 平 成 24 年 7 月 2 日 )
頭数
去勢
雌
福井
全体
福井
全体
14
27
10
22
単価
(円)
1,763
1,896
1,758
1,853
販売価格 BMS 枝肉重量 ロース芯 上物率
(円)
(No)
(㎏)
面積(cm2) (%)
839,025
5.2
478.5
57.8
57
918,121
5.2
485.0
58.9
59
785,536
5.6
450.2
56.6
70
815,235
5.2
441.5
57.4
50
最高価格は、1,245,207 円、去勢牛(福華 1×北国 7 の 8×紋次郎)、30.0 カ月齢、A-5(BMSNo8)、枝
肉重量 491.4 ㎏、ロース芯面積 63 ㎠であり、福島県産であった。枝肉単価は、前回より、去勢で 20
円、雌で 188 円高かった。
3
平 成 24 年 度 第 8 回 石 川 ・ 福 井 合 同 肉 牛 枝 肉 販 売 会 ( 平 成 24 年 7 月 16 日 )
頭数
去勢
雌
福井
全体
福井
全体
18
37
14
24
単価
(円)
1,810
1,928
1,772
1,902
販売価格 BMS 枝肉重量 ロース芯 上物率
(円)
(No)
(㎏)
面積(cm2) (%)
898,616
5.6
497.1
58.8
67
928,874
5.6
481.7
58.1
68
826,755
5.6
466.8
56.4
71
836,165
5.4
439.8
56.4
63
最高価格は、1,458,741 円、去勢牛(百合茂×糸福(鹿児島)×平茂勝)、29.6 カ月齢、A-5(BMSNo8)、
枝肉重量 597.6 ㎏、ロース芯面積 72 ㎠であり、福島県産であった。枝肉単価は、前回より、去勢で
47 円、雌で 14 円高かった。
4
飼料作物
奥越高原牧場では牧草収穫開始当初は天候がぐずついたが、その後は天候に恵まれ、5 月 22 日か
ら始まった一番草の収穫は 6 月 27 日に終了した。6 月 9 日の梅雨入り後も降雨日が少なく、昨年に
比べて約 10 日早く終了した。また、二番草は引き続き、7 月 10 日から刈り取り調製が始まっている。
畜産試験場の試験ほ場では単年生牧草(イタランライグラス)および永年性牧草(オーチャードグ
ラス)二番草収穫が終わり、平年並みの収量だった。
対 策
1 乳牛の乳房炎対策
バルク乳の体細胞数の増加は、臨床型または潜在性乳房炎に罹患している乳牛の割合
に大きく影響され、乳房炎は、乾乳前と分娩前後に新規感染が多いと言われている。
乳房炎は酪農家にとって経済的損失の大きい病気で、その治療に対しても労力的負担
が大きくなっている。そのため、次の基本的な乳房炎予防対策に留意し、搾乳作業を行
うことが必要である。
(1)ストリップカップで前搾り
・乳頭清拭前に、各乳頭を5回ずつ前搾りする。
・ブツや異常乳があれば、CMT検査を行う。
(2)乳頭の清浄化
・乳頭の皮膚には多数の病原菌が付着しており、消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム等)
に浸した1頭1枚のタオルで乳頭のみを約30秒かけて清拭する。
・特に、乳頭口部分を念入りに清拭することが大切である。
・最後に、もう1枚別のタオルで乳頭の湿り気を拭き取る。
★タオルは1頭に2枚必要
(3)過搾乳の防止
・過搾乳は乳頭への搾乳刺激の不備で起こるものと、泌乳終了後のかけすぎで起こる
ものがある。
・乳頭刺激後1分以内にティートカップを装着
・オキシトシンが多く分泌されている5分以内で搾乳を終了させる。
(4)搾乳直後にディッピング
・搾乳直後の開いた乳頭口をディッピングにより殺菌する。
・確実に乳頭全体を消毒する。
(5)乾乳時には全頭に乾乳軟膏を使用
・乾乳時の新規感染症の予防と潜在性乳房炎の治療にも効果的
(6)定期的なCMT検査(PLテスト)の実施
・乳牛の産歴が多くなるほど、乳質は一般的に下がる傾向にある。
乳房炎による体細胞数の増加は、手間のかかる日常の搾乳作業のちょっとした気のゆ
るみからすぐに値が上昇することを、搾乳に携わる全員が認識し、基本に忠実な搾乳方
法と飼養管理に努めることが重要である。
2 雌豚の種付について
(1)種付適期には精子がどのくらいで卵管膨大部まで到着するのか、卵子は排卵後どの
くらい精子を待てるのかなどいろいろなことが作用する。そこで以下のことが種付け
適期の要因となる。
ア 雌 豚 の 排 卵 時 間 は 発 情 後 26~ 36 時 間 後
イ 排卵所要時間は 2 時間
ウ 卵 子 の 受 精 能 力 保 有 時 間 は 5~ 6 時 間 ( 最 大 20 時 間 )
エ 精 子 の 受 精 能 力 保 有 時 間 は 25~ 30 時 間
オ 精 子 の 卵 管 到 達 所 要 時 間 は 交 尾 後 約 15 時 間 ( 早 い も の で 30 分 )
以 上 の こ と か ら 一 般 的 に は 発 情 開 始 後 10~ 25 時 間 の 間 が 種 付 適 期 と い わ れ て い る 。
ただし、個体差も関係し、実際には発情の上がり方や陰部の変化などを見ながら種付
をする必要がある。
直接交配から人工授精に切り替えを図れば確実に作業効率が上がる。その分の余っ
た時間で発情鑑定を複合的に行うことで、より精度の高い発情を見つけ出すことがで
き、より種付け時間を絞り込むことが出来る。とにかく管理者の観察眼を養うよう努
力が必要である。
(2)人工授精について
ア 人工授精のカテーテルの選択
人工受精用のカテーテルはさまざまなものが市販されている。これがベストという
ものはないが、使い捨てにするか半永久的なカテーテルを使用するのかを選択しなけ
ればならない。使い捨てのものはコストが掛かるが、種類も豊富で、保管さえしっか
りしていれば衛生的である。一方、半永久的なカテーテルはコストは掛からないが、
使用するたびに煮沸消毒をしなければならない。また、種類が少なく、先端形状や太
さ を 選 ぶ こ と は で き な い 。少 な く と も 未 経 産 用 と 経 産 用 の 2 種 類 は あ る と 便 利 で あ る 。
イ 人工授精時の陰部の洗浄
豚へのカテーテル挿入の前に陰部の洗浄を行う。直接交配に比べ雄豚雌豚の接触が
ないため衛生的であるが、子宮内膜炎の予防からも陰部の消毒を行うことが必要であ
る。消毒といってもアルコールなどを使用する必要はなく流水による洗浄で十分であ
る。水道水が確保できない場合はペットボトル等に新しい水を入れて、陰部のふんな
どをきれいに洗い流し、洗い流した後はきれいな布でふき取るようにする。