IFPN 2007 Draft Guideline 排煙に関する IFPN ガイドライン試案 序文 医療従事者は、外科的介入時に電気外科手術、超音波、レーザー装置を利用する 際、排煙にさらされる。空気中に放出される排煙には、可能性のあるものをいくつ か挙げただけでも、炭化した組織、血液感染性の病原菌、ウイルス粒子、バクテリ ア、中毒性あるいは発がん性化学物質、有害ガスなど、たくさんの有毒な物質が含 まれる。多くの場合、排煙は実際に肉眼で見ることができ、通常は不快な煙の臭い として感知される。その排煙を周術期のスタッフが吸い込み、粘膜、眼球、呼吸器、 皮膚への刺激となることが知られている。また、排煙は手術野を視覚的に確認する 外科医の能力を低下させ、その結果、手術が危険な状態になる可能性がある。 雇用者と被雇用者は排煙の問題を認識すること、排煙による危険を減らすための 対策が確実に実施されること、そうした対策は職場の健康と安全に関する法律、そ の他の法的指導、国際電気標準会議(IEC)の特に医療設定に関連する基準を確実に 順守していることが重要である。 定義 排煙 排煙とは蒸気性の副産物で、周術期の介入においては、電気焼灼器、電気ジアテ ルミー、レーザー機器が使用されるときに発生する(NATN 2004)。排煙はこうした 機器の急速加熱作用によって作り出される。この急速加熱作用が細胞膜の破壊を引 き起こし、バイオエアロゾルという形で有害な毒性のある排煙を放出する。 排煙のリスクを削減するためのガイドライン フェイスマスク 排煙が発生するかもしれない環境にあるすべての医療従事者に、0.1 ミクロンをろ 過するレベルのフェイスマスクの着用を推奨する。しかしながら、フェイスマスク は外科手術の煙に対する最前線の防御にはならないと認識していることが重要であ る。(IEC 60825‑TR8) • • • • 外科手術で発生する煙の吸引量を最小にするために 0.1 ミクロンのフェイス マスクを使用する。 マスクは適切にきちんと着用しなければならず、周辺からの漏入をなくすた めに、ゆるみや浮いた箇所がないようにする。 そうしたマスクはできる限り一度限りの利用で使い捨てにし、確実に汚染し ていないものにする。 マスクは、血液感染性の病原菌に汚染された器具に関する感染防止ガイドラ インに従って廃棄されなければならない。 排煙システム 周術期の環境にあるすべての個人に対する排煙のリスクを最小限にするために、 特別な排煙システムの利用を推奨する。 • 排煙システムは、電気手術とレーザーによる排煙用に特別に設計されたもの で、0.12 ミクロンの大きさの微粒子をろ過する ULPA フィルター(超低浸透 エアフィルター)を装着しているものとする。これによりウイルス粒子をろ Original: April, 2007 1 IFPN 2007 • • • • Draft Guideline 過することができる。HEPA (高性能微粒子エアフィルター)では 0.3 ミクロ ンのろ過作用なので、バクテリアはろ過されるがウイルス粒子は捕集されな い。 フィルターとその他の付属品は製造業者のガイダンスに従って交換・保守す る。定期的な交換が必要なエアフィルターなどの消耗品は、排煙ユニットが 確実に最高効率で作動するように、製造業者が特定する製品・推奨品に替え る。 排煙に使用するフィルター、チューブ、消耗品の付属品はすべて、血液感染 性の病原菌の汚染に対処するための感染防止手順に従って、廃棄する。 排煙機器の集塵装置は、手術部位の可視性を確保しながら最大限の排煙を行 うために、手術部位の近く、通常 2cm 以内に設置する。 周術期の環境において既に使用されている吸引器は、0.1 ミクロンのインラ インフィルターが壁の排気口とフロアキャニスターの間に設置されていない 場合は、そうした吸引器は排煙の目的で設計されていないため、排煙には使 用しない。 参 照 AORN [米国周術期看護師協会(Association of peri‑Operative Registered Nurses)], 2006 年 基準、推奨業務、ガイドライン (2006 Standards, Recommended Practices and Guidelines) 米国コロラド州デンバー. 2006 年 1 月. ビギンズ(Biggins)、J.とレンフリー(Renfree)、S. 「外科手術時の煙の危険(The hazards of surgical smoke ) 」 英 国 周 術 期 看 護 ジ ャ ー ナ ル ( British Journal of Perioperative Nursing) 2002 年, 12 (4), 136‑143. ヘンズマン、バティ(Hensman, Baty) ウィリス、クシェリ(Willis, Cusheri). 「閉 鎖ガス環境における高周波電気手術で発生する煙の化学組成(Chemical Composition of Smoke Produced in High Frequency Electrosurgery in a Closed Gaseous Environment)」外科内視鏡検査(Surgical Endoscopy), 1998 年,12, 1017‑1019 ‐ ヒ ューズ(Hughes), A. と ヒューズ(Hughes), J. 「電気手術排煙(Electrosurgical smoke plume ) 」 英 国 周 術 期 看 護 ジ ャ ー ナ ル ( British Journal of Perioperative Nursing) 2001 年,11 (6), 252‑255.に引用 英国手術室看護師協会(National Association of Theatre Nurses)2004 年 安全な周 術 期 看 護 の た め の 基 準 と 推 奨 ( 2004 Standards and Recommendations for safe perioperative practice) 英国ハロゲート, NATN, 2004 年 国際電気標準会議 (IEC)基準 : 60825, 60825‑TR8, 2005 年 オーストラリア・ニュージーランド基準: AS/NZ 4173:2004 年, 5.5 および 9.4 節 参考文献 オーストラリア手術室看護師学会(Australian College of Operating Room Nurses,) 2006 ACORN 周術期看護基準(Standards for Perioperative Nursing). オーストラリ ア、アデレード ACORN, 2006 年. ヒ ュ ー ズ ( Hughes ) , A. と ヒ ュ ー ズ ( Hughes ) , J. 「 電 気 手 術 排 煙 (Electrosurgical smoke plume)」英国周術期看護ジャーナル(British Journal of Perioperative Practice) 2006 年, 11 (6), 252‑255. カナダ手術室看護師協会(Operating Room Nurses Association of Canada.)2005 年 周術 期看護の推 奨基準、ガ イドライン 、立場声明 (2005 Recommended Standards, Original: April, 2007 2 IFPN 2007 Guidelines and Position Statements Practice).ORNAC, 2005 年. Draft Guideline for Perioperative Registered Nursing アメリカ国家規格(American National Standards): ANSI Z136.3, 7 節: ビーム以外 の危険(Non‑Beam Hazards) Original: April, 2007 3
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