【2016年4月6日公開】 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ~丸わかり! ロンドン発★欧州経済事情~ 「松崎美子」が注目テーマを一刀両断! 『年初から約 7%ダウン! ここからの「英ポンド」戦略』 執筆者: (ロンドン在住/元為替ディーラー) ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 今年も第 1 四半期が終わった。私は英国在住ということもあり、今年の 1 月から 2 月にかけて のマーケットでは、6 月の国民投票の材料で随分振り回された印象が強い。3 月に入ってからは、 この問題も小康状態となったように見受けられるが、3 月最終週に「英ポンド」は急落している。果 たして、ここから 6 月の投票日まで、どのようにして乗り切るのがよいのか、今回はそれについて 考えてみたいと思う。 ●年初から約 7%のポンド安 「英ポンド」の強弱を調べるに英ポンド実効レートを見てみると、2016 年 1 月 4 日から 4 月 1 日 までの間に、「英ポンド」は約 7%の通貨安となっていた。 データ: 英中銀ホームページ http://www.bankofengland.co.uk/boeapps/iadb/index.asp?Travel=NIxIRx&levels=2&XNotes=Y&A3951XNo de3951.x=9&A3951XNode3951.y=6&Nodes=&SectionRequired=I&HideNums=-1&ExtraInfo=true#BM 過去に「xxxx危機」が起きた時の「英ポンド」の変動率を見ると、1992 年のポンド危機では約 18%、 2008 年秋のリーマン・ショックでは約 27%、それぞれ英ポンド安となっている。今年の国民投票シ ョックは、実際の投票日である 6 月 23 日の 3 カ月前の時点で既に 7%の通貨安となっており、万が 一投票結果が離脱となれば、そこから更に 10 から 20%の急落を予想する声が聞こえてくる。もし本 当に 20%下落が実現すると、「リーマン・ショック級の重大事態」となる訳だ。 データ: 英中銀ホームページ http://www.bankofengland.co.uk/boeapps/iadb/index.asp?Travel=NIxIRx&levels=2&XNotes=Y&A3951XNo de3951.x=9&A3951XNode3951.y=6&Nodes=&SectionRequired=I&HideNums=-1&ExtraInfo=true#BM ●国民投票絡みの「不透明感」の織り込み度 第 1 四半期に起きた「英ポンド」下落の背景には、世論調査結果で EU 離脱の可能性が高まっ てきたことや、著名人の離脱支持による不安があったと私は考えている。ただし、少なくとも英国 に住むトレイダー達の間では、この部分の不安要素に関しては、既にマーケットに織り込まれたと 考えている人が多い。 そうなると、年初からの動きに匹敵するほどの「英ポンド」かく乱要因が投票日までに起きるかとい うと、その辺は非常に難しい。さしあたり頭に浮かんできたのは、保守党政権が投票日前に崩壊 するとか、世論調査結果で離脱支持が継続的に 50%以上になってくるとか、5 月 5 日に予定される スコットランド自治州選挙で、単なる地域政党の枠を超え英国議会で影響力を持ち始めてきた SNP(スコットランド国民党)が大躍進し、(スコットランドの)英国からの離脱について騒ぎ出すなど である。しかし、これはあくまでも想像の世界である。 ●投票日に向けたタイムライン それでは、投票日までのタイムラインを紹介しよう。 現在英国では、一部のビジネス団体や草の根レベルでの残留/離脱キャンペーンがスタートして いるが、4 月 14 日までに残留/離脱キャンペーンの公式代表者を設定することが義務付けられて いる。そして、その代表者がそれぞれのグループの「顔」となり、4 月 15 日から投票日に向け 10 週 間に渡るキャンペーン合戦が繰り広げられる。 そして、国政選挙の時と同じく、代表者による「TV 討論会」を BBC が予定している。5 月 19 日に 若者向けの討論会を皮切りに、6 月に 2 回続く。BBC 以外のテレビ局でも同様の討論会が放映さ れるかについては、まだ発表がない。 つまり、今後「英ポンド」が大きく動く可能性が出てくるのは、4 月 15 日の公式キャンペーン開始後、 そして 5 月 19 日からスタートする TV 討論会での各支持グループのパフォーマンスにかかってく る。 ●ここからの「英ポンド」 文頭でお見せした英ポンド実効レートのチャートをもう一度見てみよう。 データ: 英中銀ホームページ http://www.bankofengland.co.uk/boeapps/iadb/index.asp?Travel=NIxIRx&levels=2&XNotes=Y&A3951X Node3951.x=9&A3951XNode3951.y=6&Nodes=&SectionRequired=I&HideNums=-1&ExtraInfo=true#BM まず左側の日足チャートを見ると、第 1 四半期の安値であった 84.60 台(ピンク線)を下抜けし、4 月 1 日は 84.2085 でクローズしている。そうなると、ここからのサポートレベルとしては、右側チャー トの紫の星をつけた月末値チャートの 82 から 83 レベルが視野に入ってくる。 右側のチャートを見ていて気がついたのが、2008 年から 2013 年の 5 年間に渡り、実効レートはだ いたい 77 くらいから 85 の間を何度も行ったり来たりしていることだ(ピンクの枠)。ただし、今年は 「国民投票」という特殊要因があるので、上がるにせよ下がるにせよ、6 月 23 日に投票結果が出 た瞬間に一直線で動くだろう。 それでは具体的に通貨の動きを見てみよう。 まずは、2 月 24 日公開のレポートで紹介した「ユーロ/英ポンド」であるが、予想通り 0.8060/70 ポ ンドに向けてユーロ高/英ポンド安が進んできた。 (2 月 24 日公開のレポート http://www.yjfx.jp/report/ma/20160224_Lreport.pdf) 上記は「ユーロ/英ポンド」週足チャートであるが、★印をつけた 0.8060/80 ポンドレベル、そして黄 色いハイライトの下限である 0.7730 ポンド近辺の間は、過去の値動きを見ても何度も同じレンジを 行ったり来たりしている。その意味からも、投票結果が出て一方方向に動くまでは、レンジ内での 動きになると考えている。 最後に、「英ポンド/米ドル」の日足チャートを見ると、少なくとも目先は 1.40 ドル台前半と 1.4430/40 ドルのレンジとなる公算が高い。 -------------------------------------------------------------------------------【執筆者: 松崎美子氏(ロンドン在住/元為替ディーラー)プロフィール】 東京でスイス系銀行 Dealing Room で見習いトレイダーとしてスタート。18 ヶ月後に渡英決 定。1989 年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店 Dealing Room に就職。1991 年に出産。1997 年シティーにある米系投資銀行に転職。 その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、 証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。 -------------------------------------------------------------------------------【本レポートの趣旨】 本レポートは松崎美子氏より発行されているレポートであり、情報提供のみを目的として おります。 本レポート中のコメントは独自の見解に基づいたものであり、松崎美子氏、およびワイジ ェイFX株式会社共にレポート中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明 示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。 また、本レポート内のコンテンツ、データに関する著作権はワイジェイFX株式会社に帰属 しております。 コンテンツ、データ等は私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめく ださい。 さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、松崎美子 氏、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。 最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。
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