一圧痛点治療の有用性に関する比較試験-

明治械灸医学第 37号:
1
1
1
1-17 (
2
0
0
5
)
遅発性筋痛に対する誠治療の予防効果
一圧痛点治療の有用性に関する比較試験す伊藤和憲，河本
真，藤原仁美，中野雄介，山口路雄，
南波利宗，西田麗代，越智秀樹，北小路博司
明治械灸大学
臨床誠灸医学 E 教室
要旨:
[目的]遅発性筋痛に関する誠治療の効果は数多く検討されているが，一定の見解は得られていない.そ
こで上腕屈筋群に遅発性筋痛を作成し，遅発性筋痛に対する誠治療の予防効果を検討した.
[方法]実験にはインフォームドコンセントの得られた健常人 26 名 (18-23才)を用いた.被験者は封筒法
により無作為に圧痛点治療群，非圧痛点治療群(圧痛点の外方 1cm の部位) ，コントロール群の 3群に群分け
し，上腕屈筋群に対して伸張性収縮運動を運動が出来なくなるまで3セット行った.その後，圧痛点治療群
と非圧痛点治療群のみ運動負荷終了後 20分後に上腕屈筋群に対してそれぞ、れ治療を行った筋肉痛の評価
は運動負荷前，運動負荷直後，治療直後，運動負荷 1~3 日後と 7 日後に肘関節の屈曲・伸展時の庭痛出現角
度 (ROM)
と完全屈曲・伸展時の Visual A
nalogue Scal 巴 (VAS) をそれぞれ測定した
[結果]コントロール群では全例で運動負荷直後から VAS に増加が見られ，それに伴い屈曲や伸展の ROM に
運動制限が見られたまた VAS は運動負荷 1 日後に最も大きくなり，
7 日後には消失した.一方，圧痛点治療
群・非圧痛点治療群では，両群とも治療前に比べて誠治療後に VAS の減少や ROM の改善傾向が見られたが，
圧痛点治療群のみコントロール群と比べて治療直後と運動負荷3 日後に屈曲時の VAS に有意な改善が見られ
た.
[考察]今回遅発性筋痛に対して誠治療の効果を検討したが，圧痛点への誠治療はコントロール群に比べ
て屈曲時の痛みを有意に改善した.
このことから遅発性筋痛に対して圧痛点誠治療は予防効果を持つと考
えられた.
である.そのため様々な角度から DOMS の予防
1.はじめに
運動後 2-3 日してから出現する筋の痛み，いわ
や治療に関する研究が行われてきた 3-5)
その中
ゆる遅発性筋痛 (delayed onsetmusclesoreness
でも誠治療はスポーツの現場でも容易に行え，副
DOMS) は多くの人が経験する痛みである.
この
作用も少ないことから多くのスポーツ選手が利用
筋痛は坂道を下るなどの伸張性収縮を伴う運動や
しておりへ良好な結果も得ている.しかしなが
不慣れな運動後に出現し
ら，
筋を動かしたり圧迫し
たりすることで痛みを生じる1.
2)
DOMS は日常
DOMS に関する誠治療の臨床試験は必ずし
もよい結果ばかりではない 7 -9)
その理由のーっ
生活において犬きな問題になることはほとんどな
として，
いが，競技やトレーニングを長期間行うスポーツ
が少なく，治療時期や治療方法に関する検討が不
選手にとって，
十分であると考えられる.
DOMS は運動パフォーマンスを
低下させるだけでなく
運動意欲低下などの心理
DOMS に対する誠治療の基礎的な研究
そこで，伸張性収縮負荷によって上腕屈筋群に
的ストレスにもつながることから，これらを予防・
DOMS を作成し，圧痛点誠治療の予防効果を検
治療することはスポーツ選手にとって重要な課題
討した.
平成 17 年 7 月 29 日受付，平成 18年 1 月 31 日受理
Key Words
遅発性筋痛 delayed o
nset muscle soreness (DOMS) ，誠 acupuncture、圧痛点 tender point、
伸張性収縮運動 eccentric exercise ，予防 prev巴 ntion
す連絡先:干 629-0392 京都府南丹市日吉町保里子田ヒノ谷 6
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7
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. Fax: 0
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3
9
4
明治錨灸大学
臨床誠灸医学 E 教室
e-mai:
[email protected]
1
2
II.
遅発性筋痛に対する誠治療の予防効果
方法
VAS は左端
1.遅発性筋痛の作成方法
実験には実験の趣旨を十分に説明し，インフォー
ムドコンセントの得られた健常人 (n=26，年齢:
(lOOmm)
(Omm)
には「痛みなし J ，右端
には「これまで経験した最大の筋肉痛」
と記載した.
(2) 痔痛誘発角度 CROM) の測定
18'""'23歳，性別;男 14名女 12 名)を用いた.遅
自動的に肘関節を屈曲，または伸展した時に痛
発性筋痛の作成は非利き手の上腕屈筋群とし，被
みを生じる肘関節の角度を 1 度刻みで計測した.
験者ごとの負荷量の設定は座位にて肘を 60度に屈
なお，痛みを生じない場合は，肘関節の完全屈曲
曲した状態で鉄アレイ
または完全伸展時の角度とした.
(3'""'5 kg) を 10秒程度保
持できる重さとした.
3.
治療方法ならびに実験デザイン
全ての被験者は封筒法を用いて①圧痛点治療群，
②非圧痛点治療群，③コントロール群の 3 つの群
に無作為に群分けした.
①圧痛点治療群
上腕二頭筋，上腕筋を触診して検索し，索状硬
結上に存在する圧痛点に誠治療を行った.治療に
はステンレス製 40
ル械を使用し，
mm ,
16 号・ディスポーザブ
1
0 mm 刺入した後 10 分間の置械
を行った.なお，治療に用いる圧痛点は最大 5 カ
図運動負荷方法
図は運動負荷の風景を示す.被験者は肘関節屈曲
145 度の位置から，そのおもりの重さに耐えながら
10 秒間かけて肘関節を O 度の位置まで仲展する運動
を繰り返す.
所までとした.
②非圧痛点治療群
上記で決定した圧痛点の外方 1cm で，同一筋
上の非圧痛点に誠治療を行った.治療にはステン
レス製 40
運動負荷方法は，実験者が肘関節屈曲 145 度の
用し，
mm ,
16 号・ディスポーザブル織を使
1
0mm刺入した後 10分間の置臓を行った.
位置まで鉄アレイを持ち上げたところで手を離し，
なお，治療に用いる非圧痛点は最大 5 カ所までと
そのおもりの重さに耐えながら被験者は 10秒間か
した.また，非圧痛点の定義は索状硬結がなく，
けて肘関節を O度の位置まで伸展する伸張性収縮
著明な圧痛のない部位とした.
運動を運動が出来なくなるまで行うことを 1 セッ
トとし，
5 分間の休憩をはさみ計 3 セット行った
(図1).なお，運動負荷中は手関節による代償運
③コントロール群
運動負荷のみを行い，触診や治療などは行わな
いまま経過を観察した.
動を防止する目的で自作の装具を着用して運動負
荷を行い，手関節の代償運動をし始めた場合は
4.
実験デザイン
a
l
l out とした.また，鉄アレイの重さは，疲労
各群ともそれぞれ運動負荷前，運動負荷直後，
による筋力低下を考慮に入れて，セットごとに負
誠治療直後，運動負荷 1-3 日後と 7 日後の各時点で
荷量を設定し直した
筋肉痛の評価 (VAS)
なお，本研究は明治鋪灸大学研究倫理委員会の
承認を受けて行った.
と痔痛誘発角度 CROM) の
測定をそれぞれ行った(図 2).
なお，誠治療は運
動負荷 20分後に上腕二頭筋と上腕筋のいずれかの
筋から治療ポイントを検出し，その部位に誠治療
2.
(1)
測定項目
を行った.
筋肉痛の評価
筋肉痛の自己評価として他動的に肘関節を完全
屈曲，または完全伸展した時の痛みをそれぞれ
V
i
s
u
a
lA
n
a
l
o
g
u
eS
c
a
l
e(VAS)で評価した.
5.
統計学的処理
測定値はすべて平均±標準偏差 (mean 士 S.DJ
で表記した.また統計処理には StatView
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er
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明治誠灸医学第 37 号:
1
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p
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~
VAS
ROM
VAS
ROM
+圧痛点治療群 (n=9)
・非圧痛点治療群 (n=9)
企コントロル群 (n=8)
VAS
ROM
E
,5 5
0
ω
図 2 :実験プロトコール
図は実験のプロトコールを示す.各群とも運動負荷
前，運動負荷直後，誠治療直後，運動負荷 1-3 日後と
7 日後の各時点で筋肉痛の評価 (VAS) と痔痛誘発角度
(ROM) の測定をそれぞ、れ行ったなお，圧痛点治療群と
。0
9ι
ー
た.
翁M
群間比較を行ったなお有意水準は p<0.05 とし
φL
n検定を行った後に Tukey-kramer test を用いて
n
v
Friedma
図 3
o
を使用し，
。
e
r
t
t
s
NC)
<
>
e
r
p
非圧痛点治療群は運動負荷後 20 分間の安静を保ち，そ
の後誠治療を 10 分間行った.また，コントロール群で
は 30 分間の安静を保った
m.
1
0
0
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VAS VAS VAS VAS
RO ROM ROM ROM
M
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(
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n:
tS
.
D
.
)
7
3
4
5
6 7
肘関節屈曲時の寒痛変化
図は肘関節を他動的に屈曲した時に生じる痛みの変
化を示す.圧痛点治療群は鍛治療により，誠治療直後
と運動負荷3 日後にコントロール群と比較して統計学的
に有意な改善が認められたが (p(O. 05 , T
u
k
e
y
k
r
a
r
n
e
r
t
e
s
t
) .非圧痛点治療ではコントロール群と比較して
統計学的に有意な差は認められなかった.
p
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O
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)
女:
tS
.
D
.
)
(
m
e
a
n:
結果
1
0
0
(1)遅発性筋痛の作成ならびにその経時的変化
-圧痛点治療群 (n=9)
圃非圧痛点治療群 (n=9)
企コントロール群 (n=8)
の観察
上腕屈筋群に伸張性収縮運動を行ったところ，
運動負荷回数はコントロール群 (n=8) で 65.8 士 17.
8 回，圧痛点治療群 (n=9) で 69.0 ::1:: 24.7 回，非圧痛
(
E
,5 5
0
ω
<
>
点治療群 (n=9) で 66.1 ::1:: 38 .4回であり，運動回数
に各群有意な差は認められなかった.
一方，運動負荷のみを行ったコントロール群で
。
p
r
は運動負荷を行った 8 名すべてにおいて負荷直後
から筋肉痛が出現し，運動負荷 1 日後には肘関節
屈曲時痛が 54.0 ::1:: 24.1
が 53.6 ::1:: 2
0
.
0m
m m (図 3: 企) ，伸展時痛
m (図 4: 企)とそれぞれ最大と
pos
甘eat
234567
図 4 :肘関節伸展時の寒痛変化
図は肘関節を他動的に伸展した時に生じる痛みの変
化を示す.圧痛点治療群，非圧痛点治療群ともに誠治
療により改善傾向はみられるものの，各群ともコント
なったが，運動負荷 7 日後には運動負荷前に戻っ
ロール群と比較して統計学的に有意な改善が認められ
た.また，痔痛誘発角度に関して屈曲時が運動負
なかった.
m m (図 4: ・)であり，各
荷直後に 11 1. 4 ::1:: 19.9 0
(図 5: 企)に，伸展時が
伸展時で 12.8 士 16.6
運動負荷 1 日後に 9.3 ::1::
9.8 0
群有意な差は認められなかった.しかしながら，
(図 6: 企)と痔痛の
ため可動域制限が最もみられたが，運動負荷7 日
誠治療を行ったところ
後には運動負荷前の値に戻った.
VAS に変化が認められなかったのに対し，圧痛
コントロール群では
点治療群で屈曲時痛は 6.0 士 9.1 mm ，伸展時痛は
(2) 遅発性筋痛に対する誠治療の予防効果
4
.
7:
1
:5
.
8 mm ，非圧痛点群では屈曲時痛が 17.0 ::1::
運動負荷直後，コントロール群の痛みは屈曲時
2
5
.
8 mm ，伸展時痛が 6.6 士 18.2 mm と両群とも
で 43.1 :
1
:2
8
.
6 mm ，伸展時で 2 1. 6 ::1:: 2 1. 3 mm ，圧
に痛みの軽減が見られたものの，圧痛点治療群の
痛点治療群では屈曲時で 37.7 ::1:: 17.0
+)，伸展時で 13.7 士 10.4
m m (図 3:
m m (図 4: +)，非圧
痛点群では屈曲時で 35.9 ::1:: 26.1mm
(図 3 :・) ,
屈曲時痛のみコントロール群と比べて有意な差を
認めた
(Tukey-kramer
t
e
s
t:pく 0.05) .
一方，運動負荷直後，痔痛誘発角度はコントロー
1
4
遅発性筋痛に対する誠治療の予防効果
N.
(mean:
tS.
D
.
)
1
6
0
考察
今回用いた伸張性収縮運動は，運動してから数
日してから起こる筋の痛み，いわゆる遅発性筋痛
CDOMS)
を誘発することが知られている.
この
運動は等尺性収縮や短縮性収縮など他の運動より
8
0
~
0
も筋線維あたりに発生する張力は大きく，また筋
Z
'圧痛点治療群(円三9)
圃非圧痛点治療群 (n=9)
..コントロール群 (n=8)
損傷も強く起こることが知られている 1 0)今回の
運動負荷においても，運動負荷直後から筋痛が出
現し，運動負荷 1 日後には最大となったことから，
。
2
p
r
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o
s
tt
r
e
a
t
3
4
5
今回用いた伸張性収縮運動は簡便に DOMS を作
6 7
成する負荷方法として有用であると考えられる
図 5 :肘関節屈曲時の嬉痛誘発角度
図は肘関節を屈曲したときに終痛が生じる角度(底
痛誘発角度)
の変化を示している.圧痛点治療群，非
圧痛点治療群ともに誠治療による変化はなく，各群と
もコントロール群と比べて統計学的に有意な改善が見
られなかった.
誠治療は DOMS に対し予防や治療効果のある
方法であり，多くのスポーツ選手が誠治療を利用
している 6)
そのため誠治療の有用性に関する臨
床試験もいくつか行われてきたが，今のところ一
定の見解を得ていなし円その理由のーっとして
(mean:
tS.
D
.
)
2
5
誠治療の治療時期や治療方法などが論文により様々
であり，どのような条件下で誠治療を行うのが最
も効果的であるのかという基本的な研究が行われ
ていないことが挙げられる.
このことから誠治療
n
u
)20区
・
がより多くのスポーツ選手に利用されるためには，
DOMS に対する誠刺激の特性を理解し，より効
率的な治療方法を確立することが必要となる.そ
-圧痛点治療群 (n 二9)
圃非圧痛点治療群 (n=9)
企コントロール群 (n 司)
2
5
2
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3
4
5
6
7
こで今回は DOMS に対する械治療の予防効果に
焦点をあて，運動負荷直後に誠治療を行う意義に
ついて検討を行った.
DOMS の予防効果に対する誠治療の報告は，
図 6
マラソン競技後に誠治療を行うことで遅発性筋痛
肘関節伸展時の落痛誘発角度
図は肘関節を伸展したときに痔痛が生じる角度(痕
痛誘発角度)
の変化を示している.圧痛点治療群，非
圧痛点治療群ともに誠治療による変化はなく，各群と
もコントロール群と比べて統計学的に有意な改善が見
られなかった.
が軽減するとの報告があるものの 11 ， 12)
がないとする報告も多く 7， 13)
治療効果
その詳細に関して
は不明であった.今回の研究では，圧痛点誠治療
の効果を詳細に検討した結果，誠治療を行わない
0
ル群で屈曲時は 11 1. 4 ::t 19.9 ，伸展時で 2.1
:
t
コントロール群に比べて
圧痛点治療群のみ治療
11.1 ，圧痛点治療群では屈曲時は 106 .4士 33S
直後と運動負荷3 日後の屈曲時痛に統計学的に有
(図 5: +)，伸展時は -3.7 ::t 1
8
.
9 (図 6: +)，非
意な差が認められた.
圧痛点群では屈曲時が 106.9 ::t 2
7
.
3 (図 5: ・) ,
OMS の予防に関して効果的な治療法のひとつで
伸展時が 2.7 土 7 .4
あると言える.
0
0
0
0
(図 6: ・)であり，各群と
このことから，誠治療は D
も有意な差を認めなかった.また，誠治療後に測
今回用いた圧痛点は単なる圧痛点ではなく，索
定したところ，コントロール群では痔痛誘発可動
状硬結上に限局して存在する圧痛部位であり，筋
域に変化はなかったが
筋膜痔痛症候群に特徴的なトリガ一ポイントの特
圧痛点治療群で屈曲時痛
は 103.1 士 35. 7" ，伸展時痛は 0 .4士 14 .4 ，非圧痛
徴を兼ね備えた特徴的な圧痛部位である 14)
点群では屈曲時痛が 122.0 ::t 9.1 0 ，伸展時痛が 2.8
ガ一ポイントや圧痛点はポリモーダル受容器の感
士 8.T と若干改善は見られた.
作部位であると考えられており，他の部位に比べ
0
しかしながら，各
群統計学的に有意な差ではなかった.
トリ
て闇値が低いことから，少ない刺激で高い鎮痛効
明治誠灸医学第 37号:
果が得られることが報告されている日6)
また，
11-17 (
2
0
0
5
)
1
5
参考文献
ポリモーダル受容器の感作部位である圧痛点は，
1
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点に誠治療を行うことは局所の血流改善にも効果
的であると考えられる.
DOMS の成因には様々
な報告があるが，伸張性収縮運動後に生じた筋肉
痛が抗炎症薬であるインドメタシンの投与により
消失することや 17) プロスタグランジン E2 (PGE2)
の変化が DOMS の発現と一致するなどの報告が
ある 18 油
このことから DOMS の出現には PGE2
が重要な役割を果たしていると考えられており，
損傷局所の血流改善は筋痛の早期消失に有効であ
ると言える.一方，誠治療の効果が屈曲時痛の軽
減のみで，伸展時痛や痔痛誘発角度に殆ど変化が
見られなかった.その詳細な理由については不明
であるが，屈曲時と仲展時では同じ筋痛でも痔痛
の誘発機序が異なり，屈曲時痛では筋肉の短縮に
より筋内圧が上昇することにより筋肉内に存在す
るポリモーダル受容器が刺激されて痛みを生じた
のに対して，伸展時痛は筋線維が伸張されたこと
によるけん引痛が主体であると予想される.
この
ことから，誠治療の効果はけん引痛のような痛み
ではなく，屈曲時痛のような侵害受容器の興室に
伴うような痛みに有用であると考えられる.
しかしながら，本研究は誠灸の学生を対象とし
た実験であり，誠治療に関する期待度も大きいと
思われる.そのため，今回の結果を一般化するた
めには sham 治療を用いたプラセボ効果に関する
検討，さらには誠灸の学生以外での検討が必要で
あると考えられる.
謝辞
稿を終えるにあたり，多大なる御助言を頂きま
した明治誠灸大学大学院鹿田里子氏に深く感謝し
ます.また，今回被験者に協力して頂いた明治誠
灸大学の学生諸君に心より感謝の意を表します.
6) 森山朝正:リコンディショニングとコンディショ
ニングに応用する械の役割.臨床スポーツ医学，
1
7
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9) 寺田和史，向井直樹，宮本俊和，宮永豊:エキセ
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.
刺激の効果体力医学，
11) 宮本俊和賓田淳，和田恒彦，寺田和史ら:マラ
ソン後の筋痛と筋硬度に対する円皮織の効果
重盲検ランダム化比較試験による検討.
医学雑誌
54
二
日本東洋
(
5
) :939-944 , 2
0
0
3
.
12) 池内隆治，片山憲史，越智秀樹ら:マラソン後に
発生する下肢の筋痛に対する誠治療の効果.関西
臨床スポーツ医・科学研究会誌，
7:13-15, 1
9
9
8
.
なお，本研究は平成 16年度明治誠灸大学卒業ゼミ
13) 高橋秀典，藤井松子，杉山知子，菊池望ら:伸張
「筋肉の痛みとトリガ一ポイント」の一環として
性収縮運動後に起こる筋肉痛に対する誠治療の効
行われたものである.
果.東洋療法学校協会学会誌，
26:73-81 , 2
0
0
2
.
14) 伊藤和憲，岡田薫，川喜田健司:伸張性収縮運動
負荷によるトリガ一ポイントモデル作成の試み.
全日本錨灸学会誌， 5
1:81-90 , 2
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遅発性筋痛に対する誠治療の予防効果
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明治鏑灸医学第 37号:
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Effects of acupuncture on Delayed Onset Muscle Soreness
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ITOH Kazunori , K A W A M O T O Shin , FUJIWARA Hitomi ,
NAKANO Yusuke , YAMAGUCHI Michio , NANBA Toshimune ,
NISIDA Akiyo , OCHI Hideki , KITAKOJI Hiroshi
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