地域再生計画 1 地域再生計画の名称 働きたい・暮らしたい・子育てしたい離島創生プロジェクト 2 地域再生計画の作成主体の名称 奄美市 3 地域再生計画の区域 奄美市の全域 4 地域再生計画の目標 本市は、沖縄と鹿児島の間に位置する奄美大島(佐渡島に次ぐ国内で2番目に大 きな離島)に所在しており、本場奄美大島紬や農業を基幹作業としてきた。 大島紬が盛んな時期には、多くの家庭に機織り機械があり、そこで母親が大島紬 を織ることで世帯の大きな収入となっていた。女性が家庭内で子育てしながら働く ことができ、まさに現代社会に求められている「女性が活躍できる社会」が成立し ていた。また、これはいわゆるフリーランスであり、奄美の産業と経済を支えてい た。 しかしながら、昭和55年をピークに本場奄美大島紬の生産反数は減少傾向が続 いており、最盛期には約286億円であった生産額が、現在では約4億円まで減少 するなど、地域経済と雇用に大きな影響を与えている。 本市の人口は、平成22年国勢調査で46,121人であり、人口における若年 者比率11.7%、高齢者比率25.8%(全国平均23.0%)である。人口の 推移は、昭和60年(60,455人)をピークに徐々に減少しており、都市部へ の流出が続いている。 本市は、平成18年3月に3市町村が合併し、名瀬地区、住用地区、笠利地区3 地区の特色を活かしたまちづくりを推進しているところであるが、本市の中でも農 村地域である住用地区、笠利地区の人口減少は特に著しい。一方で、都市部からの 移住希望者にとっては、自然や地域住民との関わりなど、生活環境としては大変人 気がある地域である。 それにも関わらず、人口減少が続く要因の一つとして、雇用が不足していること がある。さらに、奄美市の市民1人当り所得は、2,252千円と国民1人当り所 得2,754千円の約8割の所得となっており、雇用の創出と所得の向上が課題と なっている。 そのようなことから、本市においては、人口減少克服のため、農業、観光/交流、 情報分野を重点分野として雇用創出に取り組んでいるところである。特に観光につ いては、DMO組織構築をはじめとした各種施策に取り組んでいるところであるが、 -1- 一方で観光産業は国内外の経済情勢の影響を受けやすい面もあることから、多様な 仕事づくりをすることが、地域経済の「稼ぐ力」の強化に必要である。 これらの課題を解決するため、本事業では、ITを活用することで、外海離島の 不利性を克服しつつ、都会にはない離島の自然豊かな生活環境という有利性を生か すことのできるフリーランスによる新たな働き方を推進し、雇用の創出と所得の向 上を目指すことにあわせて、移住のため支援策、子育てしやすい支援策を講じるこ とで、人口減少に歯止めをかけることを目的とする。 【数値目標】 事業 フリーランス 支援事業 光ブロードバンド 整備事業 事業 年月 フリーランス 支援事業 光ブロードバンド 整備事業 年月 KPI 22歳~60歳の転入出者差数 (転入者数 - 転出者数) H28.3 申請時 82人 H28.3 50人 H29.3 初年度 100人 H29.3 2年目 70人 H30.3 2年目 110人 H30.3 3年目 100人 H31.3 3年目 120人 H31.3 KPI 登録フリーランス数 申請時 33人 初年度 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 働きたい・暮らしたい・子育てしたい離島にするため、仕事を創出するための事 業、移住支援のための事業、子育て支援事業に総合的に取り組み、人口減少に歯止 めをかけることを目的とする。 仕事を創出する方策として、平成30年までに1,820億円の市場規模になる といわれているクラウドソーシング(不特定多数のインターネットユーザーに業務 委託を行うという働き方)による新たな働き方を提案するため、「フリーランスが 最も働きやすい島化計画プロジェクト」を実施する。具体的には、これまで仕事依 頼件数100万件以上の実績を有する大手クラウドソーシング企業(「仕事を依頼 したい企業」と「仕事を受けたい個人」をオンライン上でマッチングするサービス を提供)と連携することで、当該企業が蓄積している「仕事を受注するために必要 なスキル」や「仕事発注企業から業務委託されやすいプレゼン手法」等の人材育成 をするとともに、そのスキルを持続的に島内人材育成に活用できるよう、地元IT 企業(ブログ運営会社)にフリーランサーのエリアパートナーを育成し、地域の中 で人材の育成が行われる仕組みを構築するなど、フリーランスで稼ぐことができる ための人材育成を行う。 また、仕事づくり、移住・定住促進に欠かすことの出来ない基礎インフラ※1で ある光ブロードバンドサービスについて、市の一部(市街地)にしか整備されてい ないことから、民間事業者と共同で※2光ブロードバンドサービスを市内全域に広 げるための事業を行うことで、基礎インフラにおいて都市部との格差を解消し、生 -2- 活環境改善、インターネットを活用した仕事支援に繋げ、移住を促すための基礎条 件を整備する。光ブロードバンドサービスを提供する環境を整えることで、島外か らの移住希望者はもとより、島内への定住を促すため、フリーランスという働き方 を提案することが可能となり、社会動態における人口減少対策に繋がる。 本市では、現在「ICTプラザかさり」というインキュベート施設を運営してお り、これまで複数の会社が本施設から独立しているが、本施設が立地している地域 には住民向けの光ブロードバンドサービスが提供されていないこと等により、その ほとんどが島内市街地等に事務所を構えている現状があるが、市内農村部に光ブロ ードバンドサービスが提供されることで、これらの企業を農村部に立地することが 可能となり、地域の雇用創出に繋がる。 また、フリーランスによって稼ぐことができる人材が増えることにより、その中 から一部の人材が企業を立ち上げることが期待され、雇用の創出にも繋がるほか、 「時間と場所にとらわれない新しい働き方をつくる」という考え方のもと、子育て 世代の母親等の所得向上にも繋がり、子育てしやすい環境の整備にも繋がる。 さらには、Uターン・Iターン希望者が移住する際に必要な住宅の情報が、不動 産事業者が参入しない農村部では乏しいことから、市が空き家バンクを運用すると ともに、鹿児島県宅地建物取引業協会と提携することで、空き家の所有者と利用者 が適切に契約等を行えるよう支援する。併せて、移住希望者が住宅を購入・リフォ ームする際の支援を行うことで、移住に必要不可欠な住宅の確保を総合的に支援す る。 子育て支援については、医療費負担の軽減や、赤ちゃんと一緒になって働くこと のできる赤ちゃん先生クラス開催事業など、働きながら子育てしやすい環境整備を 推進する。 【補足説明】 ※1 移住希望者が新たに住む地域を検討する際に、光ブロードバンドサービス が提供されていることを条件とすることが多いが、インターネットが過疎地 や離島の不利性を克服するという一方で、人口の少ない地方ほど超高速ブロ ードバンド(固定系)が整備されておらず、情報インフラ格差(超高速ブロ ードバンドが整備されていないため利用できない格差、LTEなどによる超 高速ブロードバンドが整備されているが固定系に比べ利用料などの費用が多 くかかってしまう格差)が広がっている。 ○奄美市内光ブロードバンドサービス提供状況(平成27年度) ・名瀬地区 88%(一部不採算地域のため、未整備) ・住用地区 0%(全域不採算地域のため、未整備) ・笠利地区 0%(全域不採算地域のため、未整備) -3- ※2 民間事業者が不採算地域として光ブロードバンドサービスを整備してい ない地域に光ブロードバンドを整備するため、整備費用の一部を負担金とし て民間事業者に拠出し、民設民営方式をとることにより、イニシャルコスト を軽減するとともに、ランニングコストが発生しないことから、より少ない 費用で整備することが可能である。 5-2 第5章の特別の措置を適用して行う事業 まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附を行った法人に対する 特例(内閣府):【A2007】 (1) 事業名:フリーランスが最も働きやすい島化計画プロジェクト (フリーランス支援事業、光ブロードバンド整備事業) (2) 事業区分:働き方改革 (3) 事業の目的・内容 (目的) 働きたい・暮らしたい・子育てしたい離島にするため、仕事を創出し、人口減 少に歯止めをかけることを目的とする。 具体的には、「フリーランスが最も働きやすい島化計画プロジェクト」を実施 し、大手クラウドソーシング企業や地元IT企業と協働して、フリーランスで稼 ぐための人材育成や、フリーランサーを支援するエリアパートナーを育成するな ど、フリーランスとして稼ぐための人材育成を行う。 また、仕事づくり、移住・定住促進に欠かすことの出来ない基礎インフラであ る光ブロードバンドサービスについて、市の一部にしか整備されていないことか ら、民間事業者と共同でこれを市内全域に広げるための事業を行う。 (事業内容) ・フリーランス支援事業 大手クラウドソーシング企業や地元IT企業と協働して、新たな働き方の支 援としてフリーランスを育成するため、ライティングやICTの利活用などに ついて研修実施などの支援を行うとともに、情報交換やスキルアップを図るこ とで、市民の所得増加を図る。 ・光ブロードバンド整備事業 光ブロードバンドサービスの市内未整備地区への光ブロードバンド整備につ いて、その費用の一定額を市が負担することで、民設民営方式による基盤整備 を図り、フリーランサーが市内のどこでも働くことの出来る環境を整備する。 -4- ⇒各年度の事業の内容 フリーランス支援事業 初年度) ・フリーランスを育成・進捗管理して、継続的な仕事機会の提供・拡大ができる体 制を構築するため、平成27年度に提携したクラウドソーシング企業の指導の下、 「エリアパートナー」を育成する。 ・平成27年度に提携したクラウドソーシング企業と共同で、仕事の受注や実施に 関するノウハウについての研修等を行い、フリーランスの「仕事獲得」を支援す る。 ・各種クラウドソーシング企業との提携先拡大 ⇒新たに、ホームページ作成関連のサービス、ネット販売支援サービス、ハンド メイド商品をネット上で販売するマーケットを運営するクラウドソーシング企 業と連携し、ネット上の日本最大級のハンドメイドマーケットを活用したハンド メイド作品の販売、販売のノウハウ取得を支援。また、奄美の情報発信も行う。 ⇒新たに、デジタル素材(写真・動画)のインターネット上のマーケットを運営 するクラウドソーシング企業と連携し、ネット上で商業写真を販売するノウハウ 取得を支援。 2年目) ・引き続き、エリアパートナーを育成するとともに、各種研修事業を実施し、稼げ るフリーランス育成を図る。 ・島内需要のクラウドソーシングの掘り起こし(島内の仕事の島外流出防止) ・各種クラウドソーシング企業との提携先との連携強化及び提携先拡大 3年目) ・前年度の研修参加者の声を踏まえ、研修内容等を改良・拡大する。 ・エリアパートナーを中心として、島内の登録フリーランスが共同して仕事を受注 しやすい環境を整えるため、エリアパートナーがクラウドソーシング企業から仕 事を受注し、島内フリーランスへ仕事を割り振り、進捗管理・品質管理等(ディ レクション業務)を行い、フリーランスからできあがってきたものをエリアパー トナーがまとめて納品する仕組みを構築する。 光ブロードバンド整備事業 初年度)笠利地区への光ブロードバンド整備 2年目)名瀬下方・住用地区への光ブロードバンド整備 3年目)笠利・住用・名瀬古見方地区への光ブロードバンド整備 -5- (4) 地方版総合戦略における位置付け 本市のまち・ひと・しごと・しごと創生総合戦略(奄美市『攻め』の総合戦略) においては、「奄美の豊かな自然の中で暮らすフリーランス支援事業」や「空き 家バンク事業」、それらを支えるインフラ整備である「光ブロードバンド整備事 業」等による仕事づくりと定住促進に関する取組を定めており、「フリーランス が最も働きやすい島化計画プロジェクト」は、これらを総合的に実施する事業で ある。 また、「奄美市『攻め』の総合戦略」の「『攻め』のポイント(重点項目)」と して位置付けているものであり、総合戦略を実現するための根幹となる事業であ る。 (5) 事業の実施状況に関する客観的な指標(重要業績評価指標(KPI)) 事業 フリーランス 支援事業 光ブロードバンド 整備事業 フリーランス 支援事業 事業 年月 光ブロードバンド 整備事業 年月 KPI 22歳~60歳の転入出者差数 (転入者数 - 転出者数) H28.3 申請時 82人 H28.3 50人 H29.3 初年度 100人 H29.3 2年目 70人 H30.3 2年目 110人 H30.3 3年目 100人 H31.3 3年目 120人 H31.3 KPI 登録フリーランス数 申請時 33人 初年度 (6) 事業費 (単位:千円) 年度 H28 H29 H30 フリーランス支援事業 事業費計 5,000 5,000 5,000 旅費 320 320 320 需用費 169 169 169 委託料 3,526 4,511 4,511 区分 備品 光ブロードバンド整備 事業 区分 985 年度 事業費計 負担金 -6- H28 H29 H30 155,000 200,000 245,000 155,000 200,000 245,000 (7) 寄附の見込額 (単位:千円) 年度 フリーランス支援事業 H28 H29 H30 事業費計 5,000 5,000 5,000 寄附額計 0 100 100 技術サービス業 0 100 0 技術サービス業 0 0 100 寄附法人 年度 光ブロードバンド整備 事業 H28 H29 H30 事業費計 155,000 200,000 245,000 寄附額計 1,000 1,000 1,000 サービス業 500 500 500 製造業 500 500 500 寄附法人 (8) 事業の評価の方法(PDCAサイクル) (評価の手法) 事業の KPI である「登録フリーランス数」、「22歳~60歳の転入出者差数」 について、実績値を公表する。また、奄美市総合戦略会議により、事業の結果を 検証し、改善点を踏まえて次年度の事業手法を改善することとする。 (評価の時期・内容) 毎年度の事業終了の翌年度早期に外部有識者(奄美市総合戦略会議)による効 果検証を行い、翌年度以降の取組方針及び事業執行等に反映させる予定。 (公表の方法) 目標の達成状況については、検証後速やかに奄美市公式Webサイト上で公表 する。 (9) 事業期間 平成28年9月~平成31年3月 -7- 5-3 その他の事業 5-3-1 該当なし 地域再生基本方針に基づく支援措置 5-3-2 支援措置によらない独自の取組 (1)ICTインキュベーションセンター事業 事業概要:情報通信産業の企業・仕事誘致の推進及び地元企業の育成を行う。 実施主体:奄美市 事業期間:平成28年度~平成30年度 (2)移住対策支援(空き家バンク事業、移住希望者向けの住宅購入・リフォー ム助成事業、本気で人口を増やしたい集落応援事業) 事業概要:空き家バンクを運用し、空き家の所有者と利用者が適切に契約を 行えるよう支援する(空き家バンク事業) 移住希望者が住宅を購入・リフォームする際の支援を行う(移住 希望者向けの住宅購入・リフォーム助成事業) 集落が主体となって取り組む、人口減少対策活動のサポートを行 う(本気で人口を増やしたい集落応援事業) 実施主体:奄美市 事業期間:平成28年度~平成30年度 (3)子育て対策支援(子ども医療費助成事業、赤ちゃん先生クラス開催事業、 子育て・保健・高齢者福祉施設基本構想策定事業) 事業概要:小学生以下の児童に対する医療費負担の軽減を行う(子ども医療 費助成事業) 赤ちゃんと一緒になって働くことのできる赤ちゃん先生クラスを 開催する(赤ちゃん先生クラス開催事業) 子育て・健康増進・高齢者福祉が一体となった拠点施設の基本構 想策定を行う(子育て・保健・高齢者福祉施設基本構想策定事業) 実施主体:奄美市 事業期間:平成28年度~平成30年度 6 計画期間 地域再生計画認定の日から平成31年3月31日まで 7 目標の達成状況に係る評価に関する事項 7-1 目標の達成状況に係る評価の手法 事業の KPI である「登録フリーランス数」、 「22歳~60歳の転入出者差数」に -8- ついて、実績値を公表する。また、奄美市総合戦略会議委員により、事業の結果を 検証し、改善点を踏まえて事業手法を改善することとする。 7-2 目標の達成状況に係る評価の時期及び評価を行う内容 毎年度の事業終了の翌年度早期に外部有識者(奄美市総合戦略会議)による効果 検証を行い、翌年度以降の取組方針及び事業執行等に反映させる予定。 7-3 目標の達成状況に係る評価の公表の手法 目標の達成状況については、検証後速やかに奄美市公式Webサイト上で公表す る。 -9-
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