Vol-17 バイオコントロール バインド

バイオコントロール 第17巻1号
目 次
微生物農薬の基本と効果を上げるための方策 ······································1
静岡大学
農学部
西東
力
カキノヘタムシガの生態と合成性フェロモンによる交信攪乱について ················· 5
岐阜県農業技術センター 岐阜県営農経営課
杖田
浩二/鈴木
俊郎
青森県津軽地方におけるリンゴコカクモンハマキの多発要因と防除対策 ············11-1
地方独立行政法人 青森県産業技術センター りんご研究所
石栗
陽一
大葉、食用ぎくにおける天敵利用を柱とした害虫防除対策 ·························· 12
愛知県東三河農林水産事務所
農業改良普及課
金子
良成
ガーベラ栽培における天敵利用 ··················································18
静岡県病害虫防除所
片山
晴喜/土井
誠/松野
和夫
カンキツにおける天敵利用を柱とした害虫防除 ····································26
愛知県東三河農林水産事務所
農業改良普及課
坂野
満
いちご新規就農者研修所におけるIPMの取り組みについて ························31
全農岐阜県本部
営農対策課
加藤
正
土着天敵ヘヤカブリダニの保護利用技術 ··········································40
高知県農業振興部
環境農業推進課
古味
一洋
アジアでのIPM資材市場開拓における課題 ······································44
信越化学工業株式会社
ファインケミカル部
本郷
智明
カブリダニの普及試験と普及方法 ···············································50
協友アグリ株式会社
技術顧問
厚井
隆志
進化する病害虫防除とIPM ····················································55
東京農大総合研究所
生物防除部会
和田
哲夫
ヨーロッパにおける捕食性カスミカメムシ類の利用の現状と問題·····················58
近畿大学 農学部
昆虫生態制御学研究室
矢野
栄二
ペンチオピラドの生物農薬への影響 ··············································63
三井化学アグロ株式会社
農業化学研究所
日本バイオロジカルコントロール協議会 研修会/講演会履歴 ···························· 66
バイオコントロール誌バックナンバー目次 ············································ 67
資料
天敵に関する農薬の影響表(第22版)·············································· 83
協 議 会 規 約 ·································································· 86
お 知 ら せ ·································································· 87
表
紙:白
左
白山一華(ハクサイチゲ)、黄 深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)、
御蓼(オンタデ 御岳に多い)の群落
裏 表 紙:表4写真(厚井 原図)
乗鞍岳お花畑にて
(和田哲夫撮影)
微生物農薬の基本と効果を上げるための方策
静岡大学
農学部
西東 力
はじめに
昆虫寄生菌( 糸状菌)を害虫 の防除 に利用する 研究は 100 年以上 の歴史をもち 、今
日 、微生物農薬 として 結実している 。近年は 害虫の化学合成農薬 に対する 抵抗性 の顕
在化 、化学合成農薬に 対する不安 な ど か ら、微生物農薬 に対する 期待はますます 高ま
っ て い る。開 発 競 争も 激化し て お り、膨大な 数の生物種 や生理活性物質 などが商品化
されている 。しかし 、一般に 微生物農薬 は「効果が 安定しない 」、
「 効果の 発現が遅 い」、
「 使い勝手 が悪い」と いった課題 を抱え て お り、生 産 現 場に根付 いている とは言 い難
い 。こ こ で は昆虫寄生菌による 生物的防除法について 概観 したい。
1 .微生物 農薬の中 では糸状菌 が最多
世界 の 生 物 農 薬を 網羅した マ ニ ュ ア ルに よ る と 、微 生 物を 成分と す る 商品が 最
も多 く、その 中では糸状菌 が最多 である (表 1)。
表1
The Manual of Biocontrol Agents (4版) (Copping, 2009)
区分
掲載数
149
33
抗生物質等
89
20
昆虫等
140
31
フェロモン 等
74
16
合計
452
100
微生物
糸状菌
77
細菌
42
ウイルス
17
微胞子虫
2
ファージ
2
センチュウ
9
同左率 (%)
掲載数: 1 版(1998 年): 175 、2 版(2001 年 ): 273、3 版(2004 年): 373
2 .いろいろな昆虫寄生菌がいる
糸状菌 は子 嚢 菌 類、担 子 菌 類、接 合 菌 類、不完全菌類などに 分類される 。このう
ち、海外 を含めて 商品化されている菌種 の多くは 不 完 全 菌類に属 す。
( Beauveria 、 Isaria 、 Lecanicillium、Metarhizium など )(表 2)。
接合菌 類に 属す疫病菌(Entomophthorales 目)は流行病 を引き起 こ す こ とで有
名で 、古くから 注目 されてきたが、分生子の 寿命が極端 に短いうえ 、一部 を除いて
1
培養 が困難である 。
表2
国内 で生 物 農 薬として 登録されている 昆虫寄生菌
属
種
商品名
主な寄 主 範 囲と発 見 場 所
Beauveria
bassiana
ボタニガード、 広い、地上 ・土中
バイオリサマ
ダラ
brongniartii
Isaria
Lecanicillium
バイオリサカ
主にコウチュウ目 、地上・
ミキリ
土中
fumosorosea
プ リ フ ァード
広い、地上 ・土中
tenuipes
ゴッツ A
主にチョウ 目、地上・土中
longisporum
バータレック
主にカ メ ム シ目、 地上
muscarium
マイコタール
主にカ メ ム シ目、 地上
海外では Metarhizium anisopliae や M. flavoviride なども 商品化 されている。
3 .皮膚から 感染する
ウ イ ル スと細菌 は口から取 り込まれ て感染する のに対 し、昆虫寄生菌は皮膚 から
感染 する。分生子 は昆虫 の体に 付着すると 発芽し 、酵素の働 きと機械的圧力によっ
て 皮膚を貫通 する。体 腔 内では 短菌糸が 形成され 、これが血流 に乗って 体 全 体に運
ばれ 、そこで 増殖する 。死体が 硬くなるのは、菌糸 が充満するためである 。やがて
死体 の表面 に菌糸が 出現し、そこに 多数 の分生子 が形成される 。この 分 生 子が 風雨
や 接触に よ っ て健全 な昆虫に 付着し、 新たな感染 を引き起 こす。
4 .感染を 左右する 環 境 要 因
(1) 温度
一般 に発育最適温度は 25℃付近、上 限 温 度は 35℃付近にある( 図 2)。冬期 や
夏期は感染 しにくくなるとされている。
図2
B. bassiana 分 生 子の発芽率 と温度の 関係(James et al., 1998)
2
(2) 湿度
分生子 の発芽・感染には 高湿度 条件が一定時間続 く必要がある(た と え ば、98%
以上で 10 時 間 程 度 )(図 3)。こ の た め 、感染 は夜 間に 起こ る と考 え ら れ て い る。
寄生菌 の感染 の場となっている 植 物 体上の 温度と 湿度は部位 に よ っ て異なり 、
し か も風や太 陽 光の 当たり 具合な ど に よ っ て 瞬時に 変化する 。と く に、 ア ザ ミ ウ
マ類や コナジラミ類 など微 小 昆 虫 の生 息 場 所 に お け る微 気 象は一 般 的な 温 湿 度 計
による数値 とかけ離 れ て い ることに注意 しなくてはならない。
図3
B. bassiana の感 染 率と湿度 の関係( Luz & Fargues, 1999)
(3) 紫外線
太陽光 に含まれる 紫外線 は昆虫寄生菌に有害 である 。4時間 ほどの UVB 照射 に
よ っ て分 生 子の発 芽 率は半減 する と い う。各種 オ イ ルには 分 生 子を紫 外 線から 保
護する作用 がある( 表 3)。日陰 や葉裏など 紫外線 が当たりにくいところの分生子
ほど寿命は 長いことも 知られている。
UVB に対 するオ イ ルの保護 効果( B. bassiana 、4 時間照射後の 発芽率%)
表3
菌株
無処理
灯油
ヒ マ ワ リ油
トウモロコシ油
ダイズ 油
Bb26
36.6 a
87.5 b
93.9 c
91.2 c
93.3 c
Bb98
37.6 a
85 b
96.4 c
86 b
98.4 c
Bb132
29.6 a
94.1 b
95.4 b
95.7 b
98,2 b
(Posadas Julieta et al., 2012)
5 .IPM に お け る昆虫寄生菌
(1) 化 学 合 成農薬 の影響を考慮 する
生 物 農 薬に対する 化学合成農薬の影響 は本誌 の末尾に掲載 されているが、その
根拠 となっているデータ の多 くは室 内 試 験で得 られたものであり、圃場に お け る
3
影響 と異なる ことも 考え ら れ る。また 、化学合成農薬 によっては、微生物農薬と
の 処 理 間 隔を 1 週 間 以 上あ け れ ば、悪影響を 回避できる とも報告 されている。必
要 に応じて 化学合成農薬の影響 を圃場 レベルで 確かめる必要 がある 。
(2) 天敵 にも感染 する
昆虫寄生菌によっては天 敵 昆 虫にも 感染する 。天 敵 昆 虫に対する 影響に つ い て
は 室 内 試 験と圃 場 試 験の両面 から注意深 く検討 する場合があ る。
(3) 感染 のメカニズムを処理法 の開発 に生かす
一般に昆虫寄生菌 の病原力 は分生子 の半数致死量(LD 50 )、半数致死濃度(LC 50 )
あ る い は半数致死時間 (LT 50 )として 表示される が、この LD 50 値や LC 50 値は 自然
条件 ではありえないほどの高 い値を示 すことが 多い。野外の場合 、昆虫は少量 の
分生子 の被爆 を常に 受けており 、感染に 必要な条件 がそろったときにいっきに感
染 すると考 え ら れ る。少量の分生子 であっても劇的 な感染 が起こる メカニズムの
解明 は新たな 処理法 の開発につながるだろう。
6 .今後の 課題
(1) キー は簡便で 斬新な処理法 の開発
いかに 能力 の高い菌株 でも、標 的 害 虫に感染させることができなければ
宝の
持ち 腐れ で あ る。この 意味からも 、簡便 で斬新な 処理法の 開発が何 より重要 であ
ろう 。
昆虫寄生菌の 中には土壌 中の昆虫 に感染 す る も のも多い。こ う し た菌種は 土壌
中の 有機物を 栄養源として 繁殖できる 。一方、土壌 中の昆虫 に感染 しにくい 菌種
であっても、土壌が昆虫寄生菌 の温床とな っ て い る可能性があり 、土壌の役割 は
想 像 以 上に大 きいかもしれない。新たな 処理法の 開発に当 た っ て は土壌の機能 や
役割 にも注目 したい。
(2) 育種 に よ っ て弱点を克服 する
昆虫寄生菌は 菌種ごとに 本来的な 弱点を抱 え て い る。そ れ ら の弱点 を育種 によ
って克服 する研究 は古くから 行われている。た と え ば、病原力 が高 められた 変異
体や紫外線耐性 の変異体が 育種されている。演者 らは、量子ビーム(イオンビー
ム、ガンマ 線)の照射に よ っ て、化 学 合 成殺菌剤耐性や 高 温 耐 性の 変異体を 創出
することに成功 し て い る。ただし 、変異体 に お け る副次的 な負の変異 も避けられ
ないことから、 選抜された 変異体に つ い て十分 な特 性 調 査が欠 か せ な い。
(3) 疫病菌 の制 御 技 術の開発 に期待
特異 な生態 を 有する 疫 病 菌は 微 生 物農薬 開発の 面か ら も 魅力に 溢れ た素材 で
ある 。疫病菌 の分生子 や休 眠 胞 子の発芽 を制御でき るようになれば、夢の微生物
農薬 が誕生するかもしれない。
4
カキノヘタムシガの生態と合成性フェロモンによる交信攪乱について
岐阜県農業技術センター
岐阜県農業経営課
杖田浩二・鈴木俊郎
はじめに
カ キ ノ ヘ タ ム シガ (別称 ;カ キ ミ ガ、 ヘ タ ム シ)は 、幼虫 がカキ の果実 に食入 し、
落果 させる 重 要 害 虫である。その脅威 は古くから 知られており、石原(1948)は、「 柿
害 蟲 中 最も 恐る べ き も の と謂う べ き で あ る。」 と指摘 し て い る。本稿 では 、カ キ ノ ヘ
タ ム シ ガの 生態や被害 と と も に、近年明 らかになった 本虫の性 フェロモンを利用 した
交 信 攪 乱による 防除 に つ い て紹介 する。
1
生態 および被害
カ キ ノ ヘ タ ム シ ガは ニ セ マ イ コ ガ 科に 属 す る。成 虫 は全 体 的 に 黒 褐 色 ~ 紫 黒 色 で、
胸 部 背 面 に黄 色 斑 点 、前 翅に 黄 色 斑 紋 が あ る 。後 脚 脛 節に 特 徴 的 な 房 状の 長 毛が あ
り 、静 止 時 は胸 部 側 面 か ら生 え て い る よ う に見 え る。開 翅 長 は 約15mm で あ る 。成 虫
は 5月 中 下 旬 ~6 月 上 旬( 越 冬 世 代 )と 7月 中 下 旬 ~8 月 上 旬( 第1 世 代)の年 2回 発 生
す る 。成 虫は 薄 明 時 に交 尾 し、夜 間に 産 卵す る。日 中は 葉 裏で 静 止し てお り、多 発
ほ 場 で は静 止し た成 虫 が容 易 に確 認 で き る 。
成 虫は 主 に結 果 枝 先 端 付 近 の芽 に 産 卵す る。ふ化 し た幼 虫 は、付 近の 芽に 食 入し 、
数 個 の芽 を加 害 し た後 、果 実に 食 入す る。被 害を 受 け た果 実は 、果 梗 付 近な ど か ら
虫 糞 が噴 出し て い る の で、容 易 に識 別 で き る。そ の後、被 害 果 は ヘ タを 残 し て落果
す る が 、幼 虫 は そ の 前に 別 の 果 実へ 移 動す る。 1 頭の 幼 虫が 数 個の 果 実 を加 害 す る
の で、発 生 量が 少 な く て も被 害 は多 く な る 傾 向に あ る 。無 防 除 で 栽 培し た場 合、本
虫 の 被 害に よ り 収 穫 皆 無 に な る こ と も あ る 。落 果 前 の被 害 果 は 、 第1 世 代 幼 虫 で は
暗 緑 色 に変 色 ・軟 果 し、 第 2世 代 幼 虫 で は 早く 赤 熟す る 。幼 虫 は数 個 の 果 実を 食 害
し た 後 、繭 を 作り 蛹 に な る 。 繭は 落 果せ ず に 乾 固 し た果 実 や粗 皮 の下 に 作 ら れる 。
繭 の 中で 老 齢 幼 虫が 越 冬す る 。本 虫の 被 害は、甘ガ キ で多 く、渋 柿 で は少 な い傾 向
にある 。
葉裏で静止している成虫
被害果内の幼虫
被害果
(果梗部から虫糞が噴出している)
5
2
岐阜県 における問題点
カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ は 発 生 予 察 事 業 の指 定 害 虫 で あ り 、当 県 の病 害 虫 防 除 所 で は 成
虫 の 見 取り調 査 を毎 年 行 っ て い る 。そ の得 ら れ た デ ー タ を 他 県と比 較 す る と 、当 県
の 発 生 量 は他 県 よ り多 い こ と が特 徴 で あ る 。な お、平 成24 年 は発 生 予 察 注 意 報 が発
表 さ れ る ほ ど多 発 年 で あ っ た 。
ま たこ れ ま で 本 虫の 発 生は 、比 較 的 短 い 期 間に集 中 し て認 め ら れ る傾 向 に あ っ た。
し か し 、近 年 そ の発 生 期 間 が 長 期 化 す る傾 向に あ り 、1 ヶ月 近 く ダ ラダ ラと 発 生す
る よ う に な っ た ( 図 1) 。こ の 発 生 期 間 の長 期 化 は、 本 虫の 防 除に 大 き な問 題 を も
た ら し た 。本 虫の 防 除は 、殺 虫 剤 散 布に 強く 依 存し て い る。本 虫を殺 虫 剤 散 布 で防
除 す る場 合、若 齢 幼 虫が 芽を 転 食す る 時 期が 防 除 適 期と さ れ 、散 布 時 期 が 極め て重
要 で あ る こ と は よ く知 ら れ て い る。し か し な が ら、本 虫は 芽や 果 実に 潜 伏す る た め 、
散 布 し た薬 液が 直 接虫 体に 直 接か か る こ と は あ ま り 期 待で き な い。そ の た め 、①芽
を 転 食す る移 動 時 に 接 触す る 、②食 入 時 に 体 内に 取 り込 む 、③植 物 体 内 に 浸 透 移 行
し た 成 分が作 用 す る こ と で、殺 虫 効 果 を期 待 す る こ と に な る。そ の た め、接 触も し
く は 体 内に取 り 込む 成 分 量 が 少な く な る こ と が 多 い と予 想さ れ る 。一 方、果 実を加
害 す る幼 虫は 齢 期が 進 ん で お り、薬 剤に 対す る 感 受 性 が低 下 す る た め高 い 防 除 効 果
が 期 待で き な い 。つ ま り 発 生 期 間の 長 期 化 は 、薬 剤の 残 効 期 間を 過 ぎ て か ら発 生す
る 個 体や 、薬 剤の効 果 が期 待 で き な い齢 期ま で 成 長し た個 体 の生 存 に つ な が る と考
え ら れ る 。事 実、当 県で は 被 害が 目 立つ ほ場 が 増 加し、1 世 代に 対し て 1回 の殺 虫 剤
散 布 で は被 害を 抑 制で き て い な い 可 能 性 が 示さ れ た 。そ の た め 当 県で は、多 発ほ場
で は1 世 代に 対し 2回 の 薬 剤 散 布、も し く は長 期 残効 が 期 待で き る 薬 剤の 使 用を 指 導
している。
一 方、生 産 者 の 高 齢 化 に と も ない 、労 働 負 荷 の低 減 は重 要 な課 題 で あ る 。さ ら に 、
農 薬 の目 的 外 飛 散( ド リ フ ト)が、近 年大 き な問 題と な っ て い る。果 樹 園 で はス ピ
ー ド ス プ レ イ ヤ ー(以 下 SS)に よ る 防 除 が一 般 的 で あ る が、SS に よ る 散 布は 地 上 防
除 の 中 でド リ フ ト が 最 も 多い 手 法 と さ れ て い る( 日 本 植 物 防 疫 協 会 , 2005 ) 。そ
の た め 、 薬 剤 散 布 回 数 を増 加 さ せ る こ と は 、困 難 な状 況と な っ て い る 。
第 1 世代成虫
寄生頭数(頭/樹)
越冬世代成虫
図 1 カキノヘタムシガ成虫発生期間の変化 (岐阜県病害虫防除所調査)
岐阜市の現地圃場にて固定した 5 樹につき、ほぼ毎日見取り調査で確認。
各年次の調査日に確認した頭数を平均化した。
6
3
性フェロモン と、実用化に向けた取り組み
カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ の性 フ ェ ロ モ ンは 、Naka et al.(2003) に よ り 同 定さ れ た 。
本 柱 の フ ェ ロ モ ンは 、 (4E,6Z)- 4,6- hexadecadienyl acetate ( 図 2、 以 下OAc)
を 主 成 分 と し、 (4E,6Z)-4,6- hexadecadienal (以 下ALd) お よ び (4E,6Z)- 4,6- h
exadecadienylol( 以 下OH )を 微 量 成 分 と す る 3成 分か ら構 成 さ れ る こ と が 明ら
か と な っ た。
フ ェ ロ モ ンの発 見 に伴 い 、当 県
は 岐 阜 大 学、 東 京 農 工 大 学 、信 越
化 学 工 業株 式 会 社と 協 力し 、性 フ
ェ ロ モ ン を 利 用し た 発 生 予 察 用
誘引剤 および 交信攪 乱 剤の 開 発
図2
を 目 標に 研 究に 取り 組 ん だ。
(4E,6Z)-4,6-hexadecadienyl acetate
フェロモン主成分
3 種の 成 分 の う ち 、 OAc とALd を 1
0:1で 組 み合 わ せ る と、処 女 雌 に 匹
敵 す る誘 引 効 果 が得 ら れ る こ と が 明 ら か と な っ た 。基 礎 的 に 交 信 攪 乱 効 果 を確
認 し た と こ ろ、 OAc単 体で も 高い 交 尾 阻 害 効 果 お よ び 防 除 効 果が 認 め ら れ る が、
OAcと ALdを10:1 で組 み 合わ せ た 場 合 さ ら に 効 果が 高ま る こ と が確 認 で き た 。こ
れ ら の 結 果を 基 に、 誘 引 剤 お よ び 交 信 攪 乱 剤に お け る フ ェ ロ モ ン成 分の 混 合 比
率 が 決 定し、 実 用 性 の 確 認へ と研 究 を発 展 さ せ た 。
4
合成 性フェロモン剤による交信攪乱効果
(1) 交 信 攪 乱 に よ る 被 害 抑 制 効 果
実 用 化 に 向け た 研 究に は、 農 林 水 産 省 高 度 化 研 究 事 業 (後 の実 用 化 事 業 )を
活 用 し、(独 )果 樹 研 究 所 、島 根 県 、福 岡 県 と 協 力し て 取り 組ん だ 。OAcとALdを 1
0:1 で 配 合し た 合 成 性 フ ェ ロ モ ン 60 m gを ア ク リ ル チ ュ ー ブ に封 入 し た 交 信 攪 乱
剤 ( デ ィ ス ペ ン サ ー) を作 成 し、 試 験に 用 い た。 供 試ほ場 は 10aず つ2分 割 し、
デ ィ ス ペ ン サ ー を枝 に 設 置し たフ ェ ロ モ ン 区と 慣 行 防 除 区を 設 置し た。 理 区と
デ ィ ス ペ ン サ ー の設 置 本 数 は 、90 本 /10aと し た 。 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガは目 通 り の
高 さ よ り も低 い 位 置で 多く 認 め ら れ る と さ れ て い る こ とか ら 、デ ィ ス ペ ン サ ー
は 目 通り の高 さ に設 置 し た。 そ の結 果、 交 信 攪 乱 剤を 設 置し たフ ェ ロ モ ン 区の
被 害 果 率 は、慣 行 防 除 区 よ り低 い~ 同 等と な っ た( 図3 )。同 様 の試 験 ほ場 を県
内 各 地 に 設 置し て効 果 を確 認 し た と こ ろ、 地 域 間 に お け るカ キ ノ ヘ タ ム シ ガの
発 生 状 況 や年 次 間 で 差 は あ る も の の 、こ の 傾 向に 変 化は な か っ た。 ま た他 機 関
に お け る 試 験で も、 同 様の 効 果が 示 さ れ た 。
交 信 攪 乱 剤の 被 害 抑 制 効 果 が認 め ら れ た こ と か ら、 各 県と 協 力し て本 剤 の新
規 農 薬 実 用 化 試 験に 取 り組 み 、農 薬 登 録 に 向け た 取り 組み を 開 始し た。 新 規 農
薬 試 験 に は、 和 歌 山 県 の協 力 も得 る こ と が で き 、 試 験 例 数を 確 保す る こ と が で
き た 。な お、こ の カ キ ノ ヘ タ ム シ ガの 新 規 交 信 攪 乱 剤は 、「 ヘ タ ム シ コ ン (仮) 」
と い う 名 称が つ け ら れ た 。
7
図3
試験用カキノヘタムシガ交信攪乱剤
第 2 世代幼虫
第 1 世代幼虫
図 4 交信攪乱剤による防除効果(本巣市,H2 0)
慣行防除区におけるカキノヘタムシガ防除は、第 1 世代がアセフェート水和剤を、
第 2 世代が MEP 水和剤を散布した。
フェロモン区ではカキノヘタムシガに対する薬剤散布は行わなかった。
各区 5 樹の全果における被害果数を調査した。
(2) 交信攪乱剤の併用
カ キ で は ハ マ キ ム シ 類 を 対 象に
し た ハ マ キ コ ン N と ス カ シ バ 類を
ハマキコンN
対 象 に し たス カ シ バ コ ン が 登 録さ
れ て お り、 当 県 で は 多 く の カ キ園
で使用されていた。カキノヘタム
シ ガの 交 信 攪 乱 剤は 、こ れ ら 2 種の
先 行 剤 と同 時 に 設 置 す る こ と に な
スカシバコン
ヘタムシコン
る(図 5)。そ の た め、そ れ ぞ れ の
効果に影響しないことを確認する
図5
3 種の交信攪乱剤を同時設置した状況
必 要 が あ っ た。
実 際 に 3種 の 性 フ ェ ロ モ ン を 設
置 し て 試 験 を 行っ た と こ ろ 、 カ キ
ノ ヘ タ ム シ ガ お よ びハ マ キ ム シ 類
の 被 害 果 率は 、3種の 性 フ ェ ロ モ ン
8
を 併 用し た区 が 最も 低 くなっ
た 。 ハ マ キ コ ン Nの み を 設 置 し
た 区で は、ハ マ キ ム シ類 の 被 害
果 率は 低 い も の の、カ キ ノ ヘ タ
ムシガ の 被 害 果 率は 慣 行 防 除
区と同等であったことから 、3
種の交信攪乱剤を併用 しても、
互 い に干 渉す る こ と な く 果 実
に 被 害 を 及 ぼ す 2種 の 害 虫 に 対
す る交 信 攪 乱 効 果 が 得 られる
と 考え ら れ た (図 6) 。
図 6 3 種の交信攪乱剤を設置した場合のカキヘタムシガ およびハマキムシ類による被害果
の比較(岐阜市,H2 2)
3 種併用区には、ヘタムシコン 90 本/10a、ハマキコン N150 本/10a、スカシバコン 100 本
/10a を設置した。ハマキコン設置区にはハマキコン N のみを同数設置した。各区 5 樹の全
果につき両種の被害果数を調査した。
(3) 設 置 高に よ る 被 害 へ の影 響
こ れ ま で 、交 信 攪 乱 剤は 目 通り の高 さ( 約1. 5m )に 設 置し て 試 験を 行っ て き
た が 、平 成22 年 に交 信 攪 乱 剤 を設 置 し た目 通り の 高さ よ り も 高い 位 置の 被 害 果
率 が 、低 い位 置 の被 害 果 率 よ り も 高く な る と い う 興 味 深 い 現 象が 確 認さ れ た( 表
1 )。こ れ は 、性 フ ェ ロ モ ンの 成 分が 空 気よ り重 い た め 、デ ィ ス ペ ン サ ーの 設 置
高 ま では 高 濃 度 でフ ェ ロ モ ン が充 満 し た も の の、 そ れ よ り上 で は交 信 攪 乱 に十
分 な 濃 度が充 満 し な か っ た可 能 性が 考え ら れ た 。
表1
高 さ別 被 害 果 率の 比 較 (H22, 岐 阜 市 )
区制
果実
反復
位置
フェロモン区
慣行防除区
調査果実数
被 害 果 率 (%)
(min. - max.)
上部
8
40- 71
5.2
±
1.8
下部
8
43- 68
1.4
±
0.5
上部
8
47- 89
14.7
±
5.2
*
n
s
下部
8
46- 76
10.2
±
3.6
被 害 果 率は平均 ±標 準 誤 差を示 す。
1 区 1 樹とし 、地 上 高 1.5m 以上を 上部、それ 以下を 下部 とし、そ れ ぞ れ の 全 着 果 数に
お け る被 害 果 数を調査 した 。
* は 上部と 下部の 被 害 果 率の間に 有意な 差が あ る こ と を示す(P<0.05, χ 2 検定 )。
9
こ の対 策 と し て、設 置す るデ ィ ス ペ ン サ ー の2/3 本(60 本 )を 地 上 高3m の 高さ
に 、 そ れ以 外を 目 通り の高 さ に設 置 す る方 法を 検 討し た。 し か し 、 こ の よ う に
設 置 し たフ ェ ロ モ ン区 で は慣 行 防 除 区よ り も 被 害 果 率 が高 く な っ た(デ ー タ 略 )。
こ れ は 、 現 状の 設 置 本 数で は 地 上 高 3mの 高 さ ま で 性フ ェ ロ モ ンを 充 満さ せ る こ
と が 困 難で、 交 信 攪 乱 効 果 を 得る こ と が で き な か っ た と考 え ら れ た 。
た だ、こ の現 象が 認め ら れ た の は こ の1 回 限り で あ っ た。そ の た め、現 時 点で
は デ ィ ス ペ ン サ ーは 目 通り の 高さ よ り も や や 高 め に設 置す る の が 最 適と 考 え て
いる。
5
今後 の展望
ヘ タ ム シ コ ン の 農 薬 登 録 申 請 は 平 成 2 5 年 5月 に 受 理 さ れ 、 間 も な く 登 録 が 取 得
で き る 見 込 み で あ る 。現 在 岐 阜 県 で は 、農 薬 飛 散 を 抑 え た カ キ 病 害 虫 防 除 体 系 の
確 立 に 向 け 、研 究 に 取 り 組 ん で い る 。交 信 攪 乱 技 術 は そ の 根 幹 を な す 技 術 で あ り 、
ヘ タ ム シ コ ン の 製 品・市 販 化 は 、S Sに よ る 防 除 回 数 の 大 幅 な 削 減 が 期 待 で き る こ
と か ら 、上 記 防 除 体 系 の 確 立 に 大 き く 寄 与 す る と 考 え て い る 。さ ら に 、デ ィ ス ペ
ン サ ー の 設 置 に か か る 労 力 は 軽 微 で あ る こ と か ら 、大 幅 な 作 業 負 荷 の 軽 減 が 見 込
め 、生 産 者 が 高 齢 化 し た 産 地 で も 利 用 が 可 能 な だ け で な く 、規 模 拡 大 に も つ な が
る と 考 え て い る 。さ ら に カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ は 、カ キ の 単 食 性 害 虫 で あ る こ と か ら 、
そ の 発 生 は カ キ 園 に 大 き く 依 存 し て い る と 考 え ら れ る 。そ の た め 、広 域 の カ キ 園
で 本 虫 の 交 信 攪 乱 に 取 り 組 め ば 、当 県 の 発 生 密 度 を 大 き く 低 下 さ せ る 可 能 性 を 秘
めている とも考えている。
ヘ タ ム シ コ ン の 普 及 に よ り 、醜 く 変 色 し 落 下 す る 果 実 が 過 去 の も の と な り 、豊
か な 実 り に つ な が る こ と を 期 待 し て い る 。末 筆 な が ら 、カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ の 性 フ
ェ ロ モ ン に 関 わ る 研 究 開 発 や 、試 験 実 施 に 協 力 を い た だ い た 関 係 者 の 皆 様 に 、心
から感謝申 し上げる。
1)
石 井 三 一 (1948) カキ の栽 培 技 術 205pp -
2)
日本植物防疫協会 (2005) 地 上 防 除ド リ フ ト対策 マニュアル 31pp.
10
青森県津軽地方におけるリンゴコカクモンハマキの多発要因と防除対策
地方独立行政法人 青森県産業技術センター りんご研究所
石栗 陽一
1 .は じ め に
リンゴコカクモンハマキ Adoxophyes orana fasciata Walsingham は リンゴにおけ
る 主 要 害 虫の一種で ある。幼虫は新梢先端葉 などの展開 してまもない柔 らかい葉 を好
んで 巻いて 食害する 。新 梢 伸 長が 停止して 柔らかい 葉が得ら れ な い場合 は、成葉 を重
ねるようにつづり合 わせて内部 に潜み食害 する。また 、果実と 葉が接していると 隙間
に 潜り込み 、果 実 表 面にかじったような食害痕 を残 す。通常は 葉の被害 が中心である
が 、発 生 密 度が高まると 果実に 深刻な被害 を与え 、実害を 生じる。
近年、青森県津軽地方 のリンゴ 園では本種 による 被害が問題 となっ て お り、生産者
を 悩ませている。図 1 は リンゴコカクモンハマキ発生程度別園 地 割 合の 年 次 推 移を示
しているが 、2002 年頃から 発生の 目立つ園地 が増加し 、2003 年をピーク と し て 2004
年 にはい っ た ん発生 が少なくなっている 。その後 、2007 年頃か ら発 生 園 地の割合 が
再 び増加し 、広 い地域で 本種による 被害の目立 つ状況 が続い て い る。本稿では 、2 つ
の 時期に お け る発生増加 の要因 に つ い て解説し、そ れ ら を踏まえた 防 除 対 策に つ い て
記 す。
図1
青森県 におけ るリンゴコカクモンハマキ の発生程度別園地割合の年 次 推 移
(JA 全農あ お も り・青森県 りんご 共同防除連絡協議会調べ )
11 - 1
2 .多 発 要 因
① 化性の変化 による 防 除 適 期のずれ
2003 年 をピーク とした 多発の主 な要因は、 本種の化性 が変化 したことによる防除
適期 のずれであると 考え ら れ る。青森県 に お け るリ ン ゴ コ カ ク モ ン ハ マ キの 化性は 、
従来 、津 軽 地 方( 県の西側 )が 年 3 化、南 部 地 方( 県の東側 )が年 2 化とされてきた 。
ヤマセ と呼 ばれる冷涼 な北東風 が吹く南 部 地 方では 、津 軽 地 方に比べて 初夏から 夏季
にかけての 気温が低 く、青森県 の東西 で 3 化型と 2 化 型の分布 の境界を 形成し て い た
と 考え ら れ る。と こ ろ が、1990 年代 を境に津 軽 地 方に お け る本種 の化性 が年 3 化か
ら 年 2 化へと変化 した( 図 2)。
150
1980
1981
1982
1980~1982年
100
50
0
150
5月
6月
7月
8月
9月
10月
1983
1984
1985
1986
1987
1983~1987年
100
50
0
80
誘
U
引
数
^
/
シ
半
{
旬
5月
6月
7月
8月
9月
1988
1989
1990
1991
1992
1988~1992年
60
40
20
0
80
5月
6月
7月
8月
10月
9月
10月
1993
1994
1995
1996
1997
1993~1997年
60
40
20
0
5月
6月
60
7月
8月
9月
10月
1998
1999
2000
2001
2002
1998~2002年
40
20
0
5月
図2
6月
7月
8月
9月
10月
青 森 県 津 軽 地 方( 青森市 )のリ ン ゴ園に お け るフェロモントラップ へ
の リンゴコカクモンハマキ雄成虫 の誘 引 消 長( 石栗、2004 )
11 - 2
この 化性の 変化は単純 に年間の 発 生 回 数が減少しただけではなく、発 生 時 期の変化 を
伴 って起こった 。す な わ ち、従来の 3 化型に お け る成虫発生盛期は 、越 冬 世 代が 6月
上旬頃 、第 1 世代 が7月 下 旬 頃、第 2 世代が9 月 中 旬 頃であったのに 対し、2化型 に
おける 成虫発生盛期 は、越 冬 世 代が 6 月 下 旬 頃、第 1 世代 が 8 月 下 旬 頃と な っ た。本
種 の夏季に お け る防除 では、若 齢 幼 虫の 発 生 時 期に合 わ せ て殺 虫 剤を散布 す る た め 、
従来 の 3 化型個体群 に お け る第 1 世 代 幼 虫を対象 とした散 布 適 期は 6 月 下 旬 頃、第 2
世 代 幼 虫を 対象とした 散 布 適 期は 8 月 上 旬 頃で あ っ た(図 3)。 しかし、 こ れ ら の散
布適期 は 2 化型個体群に お け る若 齢 幼 虫の発 生 時 期には全 く合わず 、本種 の多発 の一
因 となったと考え ら れ る。
【3化型】
1~3月
4月
5月
6月
展葉1週間後頃
休眠幼虫
7月
6月下旬
幼虫
8月
10月
11~12月
8月上旬
幼虫
蛹
9月
幼虫
幼虫
蛹
休眠幼虫
蛹
成虫
成虫
成虫
卵
卵
卵
化性の変化
【2化型】
1~3月
4月
5月
6月
落花直後
休眠幼虫
7月
8月
7月中旬
幼虫
10月
幼虫
蛹
成虫
成虫
卵
卵
化性の異 なるリンゴコカクモンハマキ の生活史 と防 除 適 期
注 1)矢印 は殺虫剤 の散 布 適 期を示す。
11 - 3
11~12月
9月中旬
幼虫
蛹
図3
9月
休眠幼虫
一方 、越冬世代幼虫 を対象 とした春季 の防 除 適 期は、樹上 で越冬し て い る幼虫 が越
冬巣 を脱出 して、芽や葉 などへ移動 する時期 である 。近年 の調査 に よ っ て、2 化型 と
3 化型 のリンゴコカクモンハマキで は、越 冬 幼 虫の 活動開始時期にも違 いがあること
が 明らかになった( 石栗、未発表 )。従 来 発 生し て い た 3 化型 リンゴコカクモンハマ
キ の越 冬 幼 虫は、展 葉 期 頃を盛期 として 活動を始 め る の で、「展葉 1 週 間 後 頃」 と呼
ばれる 4 月下旬 頃の 散布時期が 本種の防 除 適 期と さ れ ていた 。と こ ろ が、2 化型 リン
ゴコカクモンハマキ の越 冬 幼 虫は 3 化型 の も の に比べて 2~3 週間も遅 い開花期 頃を
盛期 として 活動を開始 す る た め、防 除 適 期は 5 月中旬 頃の「落 花 直 後」と呼ばれる 時
期 で あ る と推定された 。春季の防除 も、従来 の 3 化型 個体群に 合わせて 殺虫剤を 散布
した 場合、2 化型 個体群 の越冬幼虫 の活動開始時期には 全く合 わないものと考えられ
た。
② 殺虫剤に 対する感受性 の低下
化性の変化 による 防 除 適 期の ず れ が明 らかになった後、青森県 の「りんご 病 害 虫 防
除暦 」に お け るリンゴコカクモンハマキ対策も 2 化型 の発 生 時 期に対応 した防除体系
に 変更され 、い っ た ん発 生 密 度が低下した(図 1)。しかし 、前述の通 り 2007 年頃 か
ら 再び本種 の発生が 問題になる 園地が増加 した。多発 園から採集 した個体 を用いて 各
種 殺虫剤に 対する薬剤感受性を 調べたところ 、当時基幹防除剤 として使用 されていた
有機 リ ン剤 のク ロ ル ピ リ ホ ス や 合 成ピ レ ス ロ イ ド剤の シ ハ ロ ト リ ンな ど の効果 が 低
下 していることが明 らかになった(結果 の一例を 表 1 に示す)。 なお、同 じ有機 リン
剤 でもプロチオホス(現在 は り ん ごに対する 農 薬 登 録は削除されている )は 、幼虫 を
採集 したいずれの多発園 においても感受性 の低下 は認められなかった 。
リ ン ゴ コ カ ク モ ン ハ マ キは リ ン ゴの 害虫 の中 でも 薬 剤 抵 抗 性 の発 達し や す い種 で
あり 、過去 にもたびたび 殺虫剤 の効 力 低 下に よ る多発 事例が 報告されている (白崎 、
1986;舟山・ 高橋、1995、村上 ・ 刀、 2005)。青 森 県に お け る 2007 年以降の 多発
生 も、本種 に対する 基幹防除剤の効 力 低 下に起因 しているものと考 え ら れ た。
表 1 多発園から採集したリンゴコカクモンハマキ の薬剤感受性
農薬の種類(有効成分%)
希釈倍数
供試
生存
死亡
寄生
生存率
幼虫数
幼虫数
幼虫数
幼虫数
%
シハロトリン水和剤(5%)
2,000
30
21
8
1
72.4
クロルピリホス水和剤(75%)
3,000
30
22
8
0
73.3
プロチオホス水和剤(32%)
800
30
0
30
0
0
展着剤のみ
-
30
24
3
3
88.9
注1)展着剤(ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(27.0%)10,000 倍)を加用し
た薬液に浸漬し、風乾したリンゴ葉をプラスチック容器に 5 枚ずつ入れ、現地リンゴ
園から採集した幼虫(3 齢幼虫主体)を 10 個体ずつ接種。接種 6 日後に幼虫の生死を
判定。寄生されていた個体は生存率の計算から除外。各区 3 反復。
注2)現在、プロチオホス水和剤のりんごに対する農薬登録は削除されている。
11 - 4
3 .防 除 対 策
① 春季の防 除 対 策
化性の変化 に伴って 越 冬 幼 虫の活動開始時期が 変化したことで、春季 の防 除 時 期を
従来 の「展葉 1 週 間 後 頃」から「落 花 直 後 」に移行 した。青森県 のリンゴ 園では 個々
の 生産者が マメコバチ Osmia cornifrons (Radoszkowski)を 管理し授粉 に利用 してい
るが 、3 化型個体群 に対する 防 除 適 期である「展葉 1 週 間 後 頃」はマメコバチの 活動
期 より前で あ る ため、この 時期 の防 除 剤と し て有機リン 剤を 使用することができた 。
しかし 、2 化型 個体群の 防 除 適 期である「落 花 直 後」はマメコバチの活動期間中 に当
た る た め、 ハチに影響 のある殺虫剤 は散布 することができない。
そこで、ハチ に影響 が少ない殺虫剤 で、リンゴコカクモンハマキ に対 して効果 の高
い 剤の検索 を行った 結果、IGR 剤の フルフェノクスロンとクロルフルアズロンの 効果
が 高い こ と が明らかになり (図 4)、リンゴ コ カ ク モ ン ハ マ キ越 冬 世 代 幼 虫を対象 と
した「落 花 直 後」の防除剤 として 採用した 。IGR 剤 の中でも テブフェノジドに関 して
は 効果が劣 ったが、室 内 試 験でテブフェノジド を処理 した葉を 幼虫に与 えた場合 には
高 い効果が 認められることから、感受性の 低下による ものではないと 考え ら れ る(石
栗 、未 発 表)。また 、圃場条件下 でも 、新梢 伸長が停止 した 後の夏季 にテブフェノジ
ド を散布した 場合には 、春季に比 べて高い 効果が認 め ら れ るこ と か ら( 石栗、未発表 )、
春季 の よ う に新梢が 旺盛に伸長 し、薬剤の付着 していない 新葉 が次々に 展開し て く る
条件下 では 効果が劣 るのではないかと思 われる。この 点については、こ れ ら の殺虫剤
の 作 用 機 構や幼虫の 行動と関連 して、さらに 詳細 な検討が 必要であろう 。
100
散布前日(5月17日)
散布14日後(6月1日)
巻
葉
数
/
5
0
0
新
梢
80
散布25日後(6月12日)
60
40
20
0
フルフェノクスロン クロルフルアズロン
10%乳剤4,000倍
10%水和剤4,000倍
図4
テブフェノジド
20%水和剤3,000倍
無散布
「落 花 直 後」 の IGR 剤散布 による リンゴコカクモンハマキに 対する効果
注1)1 区当 たり、20 ~21 年生のマルバカイドウ 台‘ ふじ’3 樹と‘ メロー’
2 樹 を供試し 、展着剤 (ポリアルキレングリコールアルキルエーテル
(27.0%) 10,000 倍を 加用した 薬液を 1 樹当たり 18ℓ 散布した。
11 - 5
② 夏季の防 除 対 策
夏季の防 除 対 策と し て は交信撹乱剤(トートリルア 剤または オリフルア・ト ー ト リ
ルア・ピーチフルア剤)を基幹 とした 防除を行 うこととした。交信撹乱剤を利用 して
リンゴコカクモンハマキ に対する 殺虫剤 の散布をできるだけ 減らす ことにより、今後
の 薬剤抵抗性発達を 回避または 遅延させることが 目的である 。また、殺虫剤 の散布 に
よる 防除では 、防 除 適 期を逃すと 効果が劣 るのに対 し、交信撹乱剤は連続的 に成虫 の
配 偶 行 動を 撹乱する 特性を有することから 、発生時期 の変化した リンゴコカクモンハ
マキ に対して も防 除 適 期の判断 を誤ることなく対応 できるものと考 え ら れ た。
まとまった面積が 確保で き な い場合など 、条件的に 交信撹乱剤の利用 が難しい 園地
では 、殺虫剤による 防除 を行う必要 がある。そのような園地 では、従来 のピレスロイ
ド 剤や有機 リン剤に 代わって、ジ ア ミ ド剤( フルベンジアミドまたはクロラントラニ
リプロール )を防除剤 として散布 することとした。殺虫剤 の散 布 適 期は フェロモント
ラップ による 雄成虫 の誘 引 消 長を用いて 推定できる が(石栗 、2010)、 2 化型個体群
では 第 1 世 代 幼 虫を対象 とした 散布が 7 月 中 旬 頃、第 2 世 代 幼 虫を対象 と し た散布 が
9 月 中 旬 頃となることが多 い(図 3)。通常 、リ ン ゴに お け る薬 剤 散 布は 8 月末で 終了
す る た め、 第 2 世 代 幼 虫の防除 は発生が多 い場合の 特 別 散 布となる。
4 .お わ り に
青森県に お け る近年 のリンゴコカクモンハマキ の多 発 要 因として 、化性 が変化 した
こと による 防 除 適 期の ず れ と殺虫剤 に対 する感受性 の低下 に つ い て示した。気候 の温
暖化 が 進 行す る中で 化 性が発 生 回 数 の減 少す る方 向に 変 化した 理 由は明 ら か に な っ
ていないが 、可能性の 一つとしては殺虫剤 による防除圧 の影響 が考え ら れ る。すなわ
ち 、従来 は 3 化 個 体 群の発 生 時 期に合 わせた防除 を行っていたために 、発 生 時 期の異
なる 2 化 個 体 群に対し て の防除圧 が相対的 に低く、2 化型個体群が優占 したという仮
説 である。もしこの 仮説が 正しいとすると、現在 は 2 化 個 体 群の発 生 時 期に合わせて
防 除 体 系を 再編し た た め、今後 、再び 3 化の 個 体 群が優占する 可能性 も考え ら れ る。
本種 の発育 に要する 有効積算温度を考えると 、青 森 県 津 軽 地 方では現在 も 3 化の 生活
史 を完了するだけの 十分な温量 があるため、今後 の動向を 注視する 必要がある 。
また、薬剤抵抗性の 問題についても、リンゴコカクモンハマキ と同属 のチャノコカ
クモンハマキ Adoxophyes honmai Yasuda で IGR 剤や ジ ア ミ ド剤に対する 抵抗性 の
発達 が報告 されており( 内山・小澤、2012;、内山 ら、2013)、リンゴコカクモンハ
マキ においても新たな 薬剤抵抗性 の発達 に十 分 注 意する必要 がある 。今回 のリ ン ゴ コ
カクモンハマキ の多発 をきっかけに、これまであまり 積極的に 利用されて こなかった
交信撹乱剤 が、被害を受 けた地域を 中心に比 較 的 広い 面積で使用 されるようになった
ことは 幸いだが 、薬剤抵抗性の問題 を回避 するためにも、今後 も交信撹乱剤による 防
除 を基幹に 防除体系 を組み立てることが 重要である 。
11 - 6
引用文献
舟山
健・ 高 橋 佑 治(1995) 応動昆 39: 81-83.
石 栗 陽 一( 2004)北 日 本 病 虫 研 報 55:247-251.
石 栗 陽 一( 2010)植 物 防 疫 64: 266-268.
村 上 芳 照・ 刀幸博( 2005)関東病虫研報 52:111-114.
白 崎 将 瑛( 1986)東北農業研究 38:53-60.
内山徹 ・小 澤 朗 人( 2012)第 17 回農林害虫防除研究会報告: 27.
内山徹 ・小 澤 朗 人・ 劉主(2013)応動昆 57:85-93.
11 - 7
大葉、食用ぎくにおける 天敵利用を柱とした害虫防除対策
愛知県東三河農林水産事務所 農業改良普及課
金子 良成
1
はじめに
愛知県東三河地域は、全 国 有 数のつまもの野 菜 産 地(つ ま も の野菜とは 料理の 彩や
添 え物などとして使 われる野菜 の総称)で、多 種 多 様な品目 が生産 されている。その
中 で最も販売額 が多 い大葉は 92 億円(5生 産 組 織)で全国 シェア の 50 %強を占 めて
おり 、また 、大葉に 次いで販売額 の多 い食用ぎく(つま 菊)は 15 億円( 3生 産 組 織)
で 全国シェア の 90%以上 を占め て い る。
つ ま も の野菜は、す べ て の品目が 生産量の 少ないマ イ ナ ー作物 であり 登 録 農 薬は少
ない 。そ の た め、既登録 の化学合成農薬 だ け で はハダニ類 、アザミウマ類などの 微小
害虫 の被害 を抑えることができず、その防除 が栽培上 の大きな 課題となっている 。そ
こで 、大葉 と食用ぎく 栽培に お い て農家 、農協と JA あいち 経済連、愛知県 (農業改
良 普 及 課、 農 業 総 合 試 験 場)、メ ー カ ー が協力 して化学合成農薬 だ け に頼 らない 害虫
防除 と し て 天 敵 及び 粘 着 板の 利 用を 進め る た め の 実証 ほ を設置 し て実 用 性の 確 認 及
び 効果的な 利 用 方 法の検討を重 ね て き た。今回は、これまでの 取り組みを 中心に 報告
する 。
2
取り組 みの概要
食用ぎくは 平成 20 年から、大葉 は平成 22 年から 、毎 年 複 数か所の農家 ほ場を 実証
ほ と し て害 虫 防 除の 実証を重ねた 。当初の実 証 内 容は 天 敵 利 用によるハダニ 類の 防除
に 重点を置 き、途中からは 天敵及び 粘着板利用による アザミウマ類の防除 にも取 り組
ん で き た。毎年 、それまでの 実 証 結 果を踏まえ 、少 しずつ取 り組み内容 を変え な が ら
その 時点での 最良な 利 用 方 法を 模索し て き た。
3
食用ぎくの 取り 組み
( 1) ハダニ 類の 防除
取り組みを 始めた 平成 20 年頃は 、食用ぎくに 登録 のある化学合成農薬 の中で 、ハ
ダニ 類に十分 な 効果が期待 で き る殺ダニ 剤は 1剤のみで 、防除 は、 ハ ダ ニ類の成虫 、
幼虫 に直接 かからないと効果がない 気門封鎖型農薬 の散布 が中心で あ っ た。そ の た め、
ハダニ 類が 発生し や す い5~9 月にかけては、ハダニ 類の被害 に困り 、激発した 場合
に 抑えることができず栽培を途中 であきらめる施設 も見られ 、新たな対策 が求められ
ていた 。
そこで、 平成 20 年から ハダニ類 の天敵である ミヤコカブリダニのボトル 製剤 につ
いて 検討を 開始した 。平成 20 年 、21 年 の実証ほでは 、ミヤコカブリダニを放飼 する
ことで 生 育 後 半の開花期(収穫期 )ま で に は何とかハダニ 類を 抑えることできたもの
12
の 、それまでに ハダニ類 が許容範囲以上に増 えすぎミヤコカブリダニ及 びチリカブリ
ダニ の追 加 放 飼や気門封鎖型農薬 を従来 と同じ頻度 で散布 する必要 が あ っ た。しかし 、
取 り組 み を進め て い く う ち に 天 敵 放 飼か らハ ダ ニ 類の 密 度が低 下す る ま で に 最 低2
週 間 程 度か か る こ と や 天 敵 放 飼 のタ イ ミ ン グ や天 敵 放 飼 前 の害 虫の い な い環境 づ く
りなどが重要であることなどが分
かった 。
その後 、少 し ず つ改善 が図 られ 、
スワルスキーカブリダニ(パック製剤)
ミヤコカブリダニの1回のみの放
飼でもハダニ類の増加を効果的に
抑制してその後も長期間にわたり
抑 えた成 功 事 例も見 ら れ た が、ハダ
ニ類の増加の抑制に苦労した事例
もあり 、天敵 に影響の 少ない殺 ダニ
ミヤコカブリダニ(パック製剤)
剤がほとんどない中で安定した効
果 を上げることができなかった 。
しかし、 愛知県を 中心に JA あい
図1
食用ぎく天敵(パック製剤)の設置状況
ち経済連など関係機関が連携して
マ イ ナ ー作物 の農薬適用拡大に 取り組み 、その 中で食用 ぎく生 産 組 織は 作物残留試験
の 試験ほ場 の提供などで 協力した 結果、食用 ぎくで ニッソラン水和剤 、カネマイトフ
ロ ア ブ ル、スターマイトフロアブル 、ダニサラバフロアブルと い っ た天敵 に影響 の少
ない 殺ダニ 剤が平成 2 2~25 年に か け て相次 いで登録 となり 、ハダニ防除 に お い て天
敵 を利用し や す い環境 が整った 。
平成 24 年からは 、新 たに上市された ミヤコカブリダニのパック 製剤 の検討を 始め
た。
2.5
25.0
カブリダニ頭数
ハダニ類頭数
2.0
図2
20.0
15.0
1.0
10.0
0.5
5.0
0.0
0.0
5/
9
5/
14
5/
21
5/
28
6/
4
6/
11
6/
20
6/
25
7/
2
7/
11
7/
25
8/
7
1.5
4/
16
4/
22
5/
1
カ
ブ
リ
ダ
ニ
頭
数
(
頭
z
/
1
0
葉
)
実証ほでのカブリダニ及びハダニ類の発生消長(平成
25 年)
図2 実証ほでのカブリダニ及びハダニ類の発生消長(平成
25 年)
(天敵放飼:4/16
収穫期間:7/1~7/31)
13
:殺ダニ剤の散布
ハ
ダ
ニ
頭
数
(
頭
/
1
0
葉
)
パック 製剤 は徐放性 でボトル製剤 より天敵 が定着 しやすいと言われているが 、使用基
準 の 100 ハ ゚ック/10a でパック の設 置 間 隔は6 mとなるため、その 設 置 間 隔でボトル 製
剤 と同じ効果 が得ら れ る か確認 した。その 結果、パック 製剤の 防 除 効 果はボトル 製剤
と 同等であることが 確認でき、パック 製剤の 利用を進 めることとなった。また 、パッ
ク 製剤の設置 は定植後 できるだけ早い方 が効果的 で あ る が、株 が小さいと 葉の重 なり
が 少なく天敵 が移動 しにくいため、図1の よ う に倒 伏 防 止の た め のフラワーネット を
早 めに設置 し、フラワーネット にパック 製剤を設置 することにした 。
実証では 、天敵放飼前にハダニ 類の防除 を徹底し 、定植後2 ~4週間 を目安に ミヤ
コカブリダニ のパック 製剤を 100 パック /10a 設置し、 その後は 追 加 放 飼を行わず 、状
況 に応じて 天敵に影響 の少ない 殺ダニ剤 を散布することで 、平成 25 年 に設置した 実
証 ほ4か所 とも図2 のように生 育 前 半に ハダニ類 の増加を 抑制でき 、その 後も収穫期
まで ハダニ 類の発生 を抑制できた 。ハダニ類 の防除については 天敵に影響 の少ない 殺
ダニ 剤 が増 え た こ と で天 敵と 化 学 合 成 農 薬の 組み 合わ せ に よ り 安 定 的に 防 除で き る
ようになった 。
( 2) アザミウマ 類の防除
アザミウマ類は5 ~9月に発生 が多く 、食用 ぎ く で は葉より 花への寄生 が問題 とな
る 。花 にアザミウマ類が 寄生すると 花の中で 増殖し、激発 すると花弁 の変色 、出荷物
への アザミウマ類の 混入などで 収穫を打 ち切る場合 もある 。発生 するアザミウマ の種
類 と し て は花を好む ミカンキイロアザミウマ、ヒラ ズハナアザミウマが主である 。
当地域では 、平成 22 年頃から使 用 時 期が 収穫3日前 までで 防 除 効 果も高かった ス
ピノエース 顆粒水和剤の薬効が 年々低下 し て き た。
そ の た め、アザミウマ 類侵入防止の た め の施設開口部の防虫 ネット(1㎜ 目合)と
既登録 の化学合成農薬 だ け で は防除が難 し く な り、新たな 対策が求 められていた。
そこで、 平成 22 年から スワルスキーカブリダニの ボトル製剤 の検討 を開始し 、平
成 24 年からは 、それに 代えて新たに 上市された スワルスキーカブリダニ のパック 製
剤 と粘着板 の併用を 検討した。スワルスキーカ ブ リ ダ ニの パック製剤 は、200 パック /10a
をミヤコカブリダニのパック製剤と
同じタイミングで設置するようにし
た 。粘着板 については、施設 の谷の 部
分 な ど に設 置する 農家 も 見ら れ た が 、
そ れ で は設 置 枚 数が 少なく、株からの
距離も遠いため誘殺効果が低いと考
え 、図 3の よ う に畝の直上 に3mおき
( 200~300 枚/10a )に設置し、ハモグ
リバエ類の防除も兼ねて青色粘着板
と 黄色粘着板の設 置 割 合を2:1とし
た。
図3
14
実施施設での粘着板設置状況
さらに、誘 殺 効 果を 高める
ため粘着板の設置高さを生
育 に応じて 調節し、開花期 ま
ではアザミウマ類に効果の
ある化学合成農薬の散布も
定期的 に行 った。天敵 と粘着
板 を利用した 実証ほ( 実証施
捕
殺
頭
数
(
片
面
あ
た
り
)
設 )と、慣行 の隣 接 施 設(慣
600
400
300
200
100
行施設 )との 比較では 図4の
0
ように収穫期のアザミウマ
類の青色粘着板への誘殺数
実証施設
慣行施設
500
6/5~6/19
図4
は実証施設の方が明らかに
6/19~7/4
7/4~7/16
7/16~7/22
粘着板のアザミウマ類捕殺頭数(平成 25 年)
(天敵放飼:4/5
収穫期間:6/26~7/29)
少 なく、他 の実証ほでも アザミウマ類の 多発を抑 え収穫への 影響も 少な か っ た。
天 敵 及び 粘 着 板の 利 用と化 学 合 成 農 薬の 散 布を組 み 合わ せ て もア ザ ミ ウ マ 類の 発
生 をゼロとすることは 難しいが 、アザミウマ 類の多発 を抑えることが確認 できたので、
今後 は、安定 して開花期 までにできる限り アザミウマ類の発生 を抑え 、そ の ま ま開花
期 (収穫期 )も多発 を抑えた状態 で収穫 を終了できるように 検討し て い く。
4
大葉での 取り組 み
( 1) ハダニ 類の 防除
大葉は、定植後 から 概ね1か月 で収穫を 開始し、その 後は概 ね3日間隔 で4~ 5か
月 間 収 穫が 続く。既登録 の殺ダニ剤 は7剤あるものの 通常の収穫 サ イ ク ルの中で 収穫
期間中 に使 える使 用 条 件が収穫 3日前までのものは 3剤し か な い。そ の た め、ハダニ
類防除 の実情 は、食用 ぎくと同様 にハダニ 類の被害 に困り、激発 した場合 に抑えるこ
とができず 栽培を途中 であきらめる施設 も見られ 、新たな対策 が求められていた 。し
かし 、大葉の天敵利 用は 食用ぎくに 比べて難 しい、その理由 と し て は、ハダニ類 が寄
生する葉が収穫物であるため食害に
対 する許 容 範 囲が非常 に狭く(葉に 1
頭でもハダニが寄生すると食害痕に
より 出 荷で き な く な る )、さ ら に せ っ
かく増えた天敵が収穫葉と一緒に持
ち出される心配があることなどがあ
げ ら れ る。
平成 22 年に ハダニに対 する捕食能
力が高いということで連続放飼を前
提としたチリカブリダニの検討を始
めたが 、チリカブリダニの 捕食がハダ
図5
ニ 類のみのため、ハダニ類 がいなくな
15
大葉のパック製剤設置状況
ると チリカブリダニ もいなくなり、その後の ハダニ類 の発生に 対して追 加 放 飼を 繰り
返 すものの 十分にハダニ 類を抑 えることができなかった。そこで 、広食性 のミ ヤ コ カ
ブ リ ダ ニを 検討することにし、平成 23 年に ミヤコカブリダニのボトル 製剤、平成 24
年 か ら は、 新に 上市 さ れ たミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニ のパ ッ ク 製 剤に代 え て検 討し た。平 成
25 年の実証 では 、パ ッ ク製剤の 設 置 前に化学合成農薬 で防除 し て お き、隣 の株と 葉
が 重なり始 める少し 前を目安に パック製剤 を 100 パック/10a を 図5の よ う に枝に 吊り
下 げ、その後 、天敵の頭数 を維持す る た め 1 か月半後 を目安に 同じ量をもう 一 度 設 置
した 。
定植後は 、ハダニ類 の発生があり 、防除が 必要と判断 した場合 は天敵 に影響の 少な
い 殺ダニ剤 を散布して ハダニ類 の密度を 抑えるようにした 。
実証では 、面積あ た り の葉数が 非常に多 い た め か天敵を見 つけることが難しく 、よ
ほど 増え な い と調査葉 でもほとんど確認 できず、ハダニ 類の増加 を抑制 する効果 は食
用 ぎ く よ り低いと 思わ れ た。
14
しかし 、ミヤコカブリダニの
パック 製剤 を設置した 棟(実
証区)と設置していない棟
( 対照区)との 比較が で き た
平成 25 年の 実証では 、図6
のように調査葉でのハダニ
類の寄生頭数は実証区の方
が対照区に比べて少なかっ
た 。さらに両区 ともハダニ 類
のスポット発生が見られた
中 で、対照区 ではハダニ 類の
ハ
ダ
ニ
類
の
頭
数
(
頭
/
6
0
葉
)
12
10
8
6
4
2
0
4/16
4/30
図6
被害が広がり激発したのに
対 して、実証区 ではス ポ ッ ト
実証区
対照区
:殺ダニ剤散布
5/14
5/28
6/11
6/25
7/9
ハダニ類の発生消長(平成 25 年)
(天敵放飼:4/16、5/31
収穫期間:4/2~7/12)
発生 か所に 天敵 が確認され 、
その 後は化学合成農薬 の散布なしに ハダニ 類が減少 し被害 が拡大しなかった 。実証 か
ら 、天敵 と天敵 に影響の 少ない化学合成農薬 を組み合 わせることでハダニ 類の増加 を
抑制 できることが確認 できた、今後 より早く 効果的に ハダニ類 を抑えられるように 検
討 し て い く。
( 2) アザミウマ 類対策
アザミウマ類の発生 は5~9 月に多く 、アザミウマ の種類と し て はミナミキイロア
ザ ミ ウ マと モトジロアザミウマが主で、アザミウマ類 が寄生して 食害痕 の で き た収穫
葉 は出荷できなくなる 。食用ぎくと 同様に使 用 時 期が 収穫3日前 までで 防 除 効 果も高
かった スピノエース 顆粒水和剤の薬効が 年々低下 し、施設開口部の防虫 ネット( 1㎜
目合 い)と既登録 の化学合成農薬防除だ け で は防除 が難し く な り、新たな 対策が 求め
16
られるようになった 。
平成 22 年 にスワルスキーカブリ
ダニのボトル製剤について検討し
たが 、防 除 効 果が分からなかったの
と当時はハダニ類防除の方が重要
度は高いとの判断で検討は1年で
終了 した。
その後、アザミウマ 類の発生 が問
題 となる中 で平成 24 年から新 たに
上市されたスワルスキーカブリダ
ニのパック製剤と粘着板の利用に
図7
ついて 検討 を始めた 。パック製剤 は
実施施設での粘着板設置状況
200 パ ック/10a を 図5の ミ ヤ コ カ ブ
リダニ のパック 製剤 と同様に枝 に吊り下 げ、天敵の頭数 を維持 す る た め1か月半後 を
目安 に同じ 量をもう 一 度 設 置した 。粘着板 は、図7の よ う に畝の 直上に3 mおき( 250
~ 350 枚/10a)に 設置し、コナジラミ類の防除 も兼ねて 青色粘着板と黄色粘着板を 2:
1 の割合とした 。また、捕 殺 効 果を 高め る た め設置する 高さを 生育に応 じて調節した 。
実証 では、化学合成農薬 の散 布 回 数が少ないにもかかわらず 、調査葉への アザミウマ
類 の寄 生 頭 数、粘着板への 誘 殺 頭 数も少なく 推移し た た め防 除 効 果は あ る と思われた 。
今後 、天敵及び 粘着板利用と天敵に 影響の少 ない化学合成農薬 を組み合 わせることで
アザミウマ 類の発生 をより安定的 に抑えることができるように 検討 し て い く。
5
おわりに
ハダニ類 、ア ザミウマ 類が抵抗性発現などにより既登録 の化学合成農薬 だ け で は防
除 が難しい 状況の中 で、防 除 効 果がある 新たな 防 除 技 術として 天敵及び 粘着板の 利用
に つ い て実証 ほを設置 して検討 し て き た。天敵及び 粘着板の 利用は と も に、そ れ な り
の 防 除 効 果は あ る が一 長 一 短がある 、それ を補うため 化学合成農薬の 散布も含 め、防
除技術 を効果的 に組 み合わせていくことが重要で あ る と感 じた。
実 証を行 う こ と で農 家の天 敵へ の理 解も 深ま り天 敵 及 び粘 着 板 を 利 用する 農 家も
徐 々に増え て き た。今後 も実証を 重ね、より 多くの農家 が失敗 なく導 入 効 果を実感 で
きるように 、天 敵 利 用を 柱に化学合成農薬による 防除 や粘着板利用などを 組み合 わせ
た 総合防除指針を作成 して生 産 安 定を進 めていきたい。
17
ガーベラ栽培における天敵利用
静岡県病害虫防除所
片山 晴喜・土井
現:静岡県農林技術研究所 果 樹 研 究セ ン タ ー
誠・松野 和夫
静岡県農林技術研究所
静 岡 県 内では 、西部地区 および 志太榛原地区を中心 にガ ー ベ ラが約 26ha 栽培 さ れ、
生 産 額 は全 国 一 位を 占め 、本 県 に お け る主要 な花 き類 の一 つ で あ る。
ガ ー ベ ラ栽 培で はコ ナ ジ ラ ミ 類、 ア ザ ミ ウ マ類 、ハ ダ ニ 類、 チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ、
マ メ ハ モ グ リ バ エ 、 ハ ス モ ン ヨ ト ウお よ び オ オ タ バ コ ガと 多 種 類 の 害 虫 が 発 生 す
る 。こ れ ら の害虫 は 薬 剤 感 受 性が 低 下し て い る種 類が 多いが 、 更に 最 近で は、 薬 剤
抵 抗 性 が発 達し たタ バ コ コ ナ ジ ラ ミ バ イ オ タ イ プ Q が 加わ り、 生 産 者は 頻 繁な 薬 剤
防除 を 強い ら れ て い る。
一 方で、 イ チ ゴ栽 培で は、 チ リ カ ブ リ ダ ニや ミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニの利 用 が普及 し つ
つ あ る (藤 波, 2012)。 また 、ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ の登 場 に よ りピ ー マ ン等 の
コ ナ ジ ラ ミ 類や ア ザ ミ ウ マ類 の 防除 へ の利用 が始 ま っ た( 山 中, 2010) 。こ の よ う
に 市 販さ れ て い る天 敵 類 の充 実 、果 菜 類に お け る I P M技術 の 確 立とノ ウ ハ ウの 蓄
積 に よ り、 花き 栽 培でも 天 敵 利 用の可 能 性 が高 ま っ て い る。 特 に、 ガ ー ベ ラは 花 茎
を 出 荷する た め、葉 の被 害を あ る程 度 許 容し や す く、 天敵を 導入 し や す いと考 え ら
れ る。 そ こ で、 現 地のガ ー ベ ラ栽 培 施 設に お い て 、天 敵カ ブ リ ダ ニ 類を 基 幹と し た
I P M 体系 の実 証 試 験を 実施 し た。
試験 の実施 に 当 た っ て は、生 産 者 お よ び生 産 者 組 合 、JA ハ イ ナ ンお よ び JA と ぴ
あ 浜 松、静 岡 県 志 太 榛 原 お よ び西 部 農 林 事 務 所 、ア リ ス タ ラ イ フ サ イ エ ン ス株 式 会
社 の関 係 各 位の 多大 な ご協力 を 頂戴 し た。こ の場 を借 り て深謝 申し 上げ る。
1.ガーベラにおける IPM体 系
第1 表
ガ ー ベ ラに お け る総 合 的 防 除 (I P M )の 体 系
対象害虫
ハダニ 類
生物的防除法
物理 的 防 除 法
ミヤコカブリダニ
-
化学的防除法
選択性殺 ダニ剤 *
チリカブリダニ
コ ナ ジ ラ ミ類
スワルスキーカブリダニ
( ア ザ ミ ウ マ類 )
防虫ネット
選択性殺虫剤
粘着板
チョウ 目害虫
BT 剤
防虫ネット
選択性殺虫剤
マメハモグリバエ
(土 着 寄 生 蜂)
防虫ネット
選択性殺虫剤
粘着板
* 選 択 性 殺ダ ニ剤 、選 択 性 殺 虫 剤 : カ ブ リ ダ ニ 類に影 響の 小 さ い殺ダ ニ、 殺 虫 剤
18
I P M防 除 体 系 の概 略は 第 1 表の 通り。 コ ナ ジ ラ ミ 類、ハ ダ ニ 類 お よ びア ザ ミ ウ
マ 類に 対し て 3 種類 のカ ブ リ ダ ニ 製 剤( ア リ ス タ ラ イ フ サ イ エン ス社 製)を 用い 、
天 敵 類 に影 響の 小さ い薬 剤、 微 小 害 虫の成 虫 を捕 殺す る粘着 ト ラ ッ プ、 害 虫の 侵 入
を 抑 制する 防 虫ネ ッ トを 組み 合 わ せ た。 牧 之 原 市の JA ハ イ ナ ン管 内お よ び 浜 松 市
の JA と ぴ あ浜 松管内 の 各2 園 主の施 設に お い て I P M体系 ( 以 下、 I P M区と す
る )を 実践 し、 同 一 園 主の慣 行 薬 剤 防 除 施 設( 以 下、慣 行 防 除 区 と す る) を対 照と
して 、 害虫 の発 生 状 況お よ び 薬 剤 防 除 回 数を比 較 した 。なお 、慣 行 防 防 虫 区に お い
ても 防 虫ネ ッ ト 、粘 着板 を使 用 した 。
ガ ー ベ ラ栽 培では 5~6 月に 株を 定 植し、 2~3 年 間 栽 培を 継 続する 。 そ こ でI P
M 体 系では 、定 植時 に はネ オ ニ コ チ ノ イ ド系 粒 剤 の植 穴 処 理を 、定植 後 1~ 2 週間
は 天 敵 へ の 影 響 期 間 の 短 い薬 剤 を 散 布 し 、 天 敵 放 飼 前の 害 虫 初 期 密 度 を 極 力 抑 え
た 。カ ブ リ ダ ニ 製剤 は、 定植 4 ~6 週 間 後に 放 飼した 。平 成 21~ 22 年 の 試験 で は 3
種類 の カ ブ リ ダ ニを 10 a 当り ボ ト ル 製 剤 各 3 本を 放飼 し、 秋お よ び 2 年 目の 春と 秋
に 同 量を追 加 放 飼し た( 第 2 表) 。平 成 23 ~ 24 年の 試 験で は 放 飼 量を 減らし 、 ス
ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ製 剤 2 本 とミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニ製 剤 1 本の 放 飼と し、チ リ カ ブ
リ ダ ニ はハ ダ ニ 増 加 時に ボ ト ル 製 剤 2 本の放 飼と し た 。 なお、 2 年 目の 6 月 放 飼 を
追 加し 、放 飼 回 数は 2 年 間に 5 回 と し た。 ま た、ス ワ ル ス キ ー お よ び ミ ヤ コ カ ブ リ
ダニ の 製剤 は、 21~ 22 年の 試 験で はボ ト ル製 剤を 用い た が 、23 ~24 年 の試 験では
主 にパ ッ ク 製 剤を用 い た。
天 敵 放 飼 後の 薬 剤 防 除に つ い て は 、カ ブ リ ダ ニ 類に 影 響の小 さ い薬剤 を生 産 者 が
選定 し 、生 産 者 の判 断で 実施 さ れ た 。
第 2表
ガ ー ベ ラI P M 現 地 実 証 試 験 に お け る天 敵カ ブ リ ダ ニ 類の 放 飼 量
試験場所
栽培
試験期間
放飼
方式
牧之原市 A 氏
牧之原市 B 氏
高設
高設
1 回当り放飼量(頭/10a)*
回数
スワルスキー
ミヤコ
チリ
21 年 12 月~22 年 10 月
3
7 万 5 千(B)
1 万 5 千(B)
6 千(B)
23 年 6 月~24 年 10 月
5
5 万(P)
5 千(P)
4 千(B) * *
21 年 6 月~22 年 10 月
4
7 万 5 千(B)
1 万 5 千(B)
6 千(B)
23 年 3 月~24 年 10 月
5
5 万(P)
5 千(P)
4 千(B)
**
浜松市
C氏
土耕
23 年 6 月~24 年 10 月
5
5 万(B)
5 千(B)
4 千(B)
**
浜松市
D氏
土耕
23 年 6 月~24 年 10 月
5
5 万(P)
5 千(P)
4 千(B)
**
*
アリスタライフサイ エ ン ス社製剤 。(
)内 の B はボトル 製剤、P は パック製剤を 使用
し た こ と を意味 する。
**
平成 23~24 年の試験 ではチリカブリダニはハダニ 増加時に 放飼。
2. 天敵および 害虫 の発 生 状 況
カ ブ リ ダ ニ類 お よ び害 虫 の発 生 状 況を 把 握す る た め、放 飼 直 前か ら月 に 2 回、 各
施設 当 り 40~ 60 株の 葉を 見 取り調 査し た。 4 園 主の調 査結 果の う ち 、平 成 21~ 22
19
年 の B 氏の 結 果を第 1 、2 図 に示 した 。
B 氏 の試 験で は、 天 敵放 飼1週 間 後 に葉 上の カ ブ リ ダ ニ 類密 度は 増加 し たが、 そ
の 後は 減少 し、 放飼 54 日後 に は確 認で きな くな か っ た(第 1 図) 。そ の後 の追 加
放飼 で は株 の生 育に よ り 葉数 が 増し た た め か 、放 飼1 ~2 週 間 後に 葉 上 密 度がわ ず
かに 増 加す る程 度で 、そ れ以 降は 肉 眼で は確 認で き な か っ た 。 しか し、 ハ ダ ニ類 の
発生 は 試 験 期 間 中に 長 期 間 抑 制 さ れ た。ま た、 コ ナ ジ ラ ミ類 は 1 年目 の 夏 季に増 加
し た が 、選 択 性 殺 虫 剤に よ る 防 除の 後は 長 期 間に 渡り 低 密 度に 維 持で き、2 年目 の
初夏 に 若干 の発 生が 見ら れ た 程 度で あ っ た。
慣 行 防 除 区で は 夏か ら冬 まで ハ モ グ リ バ エ類の 被 害が増 減を 繰 返した 。し か し 、
I P M 区で は天 敵を 放 飼し た わ け で は な い が 、被 害の 増 加は 認 め ら れ ず、調 査 期 間
中 、被 害は わ ず か に発 生した 程 度で あ っ た( 第 2 図) 。
天敵放
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0.8
0.6
0.4
0.2
0
生
息
数
(
頭
/
葉
)
カブリダニ成虫
ハダニ 類雌成虫
1.5
コナジラミ類成虫
1
0.5
0
6/1
第1図
7/31
9/29
11/28
1/27
3/28
5/27
7/26
9/24
11/23
天敵カブリダニ類を活用した高設栽培ガーベラ(試験 B)におけ
るカブリダニ類、ハダニおよびコナジラミ類の発生消長(平成 21 年
6 月~22 年 10 月).
IPM区
潜
孔
数
(
本
/
慣行防除区
4
3
2
1
0
第2図
ハモグリバエ潜孔数
6/1
7/31
9/29 11/28 1/27
3/28
5/27
7/26
9/24
11/23
高設栽培ガーベラ(牧之原市 B 氏)のIPM区と慣行防除
区におけるハモグリバエ類による被害の消長(平成 21 年 6
月~22 年 10 月).
IPM区
慣行防除区
20
各 種 害 虫の密 度 ま た は被 害に つ い て、各 試 験 の 区 別に試 験 期 間 中 の推 移 範 囲を 箱
ひげ 図 に示 し た(第 3 図 )。
ハ ダ ニ類 雌 成 虫 の密 度 推 移は ほ場 ま た は年次 に よ っ て区 間の 傾 向が異 な り、21 -
22 年 の B 氏、 23- 24 年の C 氏 で はI P M区 が慣 行 防 除 区 よ り低い 傾 向、逆 に A 氏
お よ び D 氏 で はI P M区 が慣 行 防 除 区 よ り高 い傾 向で あ っ た。
コ ナ ジ ラ ミ類 成 虫の密 度 推 移 は、 A お よ び B 氏 は両区 で 同等 で あ っ た。な お、 両
ほ 場と も 21-22 年 よ り 23 -24 年の I P M区 の方 が密 度は 低く 推 移し た。 また 、C 氏
では I P M 区が 低く 、D 氏で はI P M 区が 慣 行 防 除 区よ りや や高 い傾 向で 推移 し た。
本 試 験 を開 始す る元 々の き っ か け は 、A お よ び B 氏の 地 区で は タ バ コ コ ナ ジ ラ ミ バ
イ オ タ イ プ Q に 対す る薬 剤防 除 が困 難で あ っ た た め、 ス ワ ル ル キ ー カ ブ リ ダ ニの 効
果 検 証 が一 つ の目的 で あ っ た。 今回 の試 験で は薬 剤 防 除が 必 要で は あ る が、 2 ほ 場
とも I P M 区に お け る本 種の 発 生は 比 較 的 低 密 度に安 定し て い た。
チャノホコリダニ被害株率は
C 氏 で は I P M区 と 慣 行 防 除 区
が 同 等 で あ っ た が、 他 の 試 験 で
は I P M 区 の 最 大 値が 慣 行 防 除
区よ り高 か っ た 。
ハモグリバエ類幼虫による葉
の 潜 孔 数 は 、 全て の 試 験 で I P
M 区 が 慣 行 防 除 区よ り 少 な い 傾
向 で 推 移 し た 。本 試 験 で は ハ モ
グ リ バ エ 類 の 天 敵を 放 飼 し て い
な い 。 し か し 、ハ モ グ リ バ エ 類
に は 多 数 の 土 着 寄 生 蜂の 存 在 が
知 ら れ る ( 小 西 , 1999) 。 福 岡
県 の ガ ー ベ ラ 施 設で は 、 マ メ ハ
モ グ リ バ エ に 対す る 土 着 寄 生 蜂
の 寄 生 や 寄 主 体 液 摂 取が 報 告 さ
れている
( 大 野ら, 1999)。
浜 松 市 の I P Mほ 場 で も ハ モ グ
リ バ エ 潜 孔 の あ る葉 か ら ヒ メ コ
バ チ 類 が 羽 化 し た こ と か ら、 土
着 寄 生 蜂 の 活 動 に よ り 、マ メ ハ
第3図
各 試 験ほ場 に お け るハ ダ ニ類 雌 成 虫およ
びコナジラミ類成虫密度、ホコリダニ被害株
率、ハモグリバエ潜孔数の箱ひげ図.横軸の
「1-IPM」および「1-慣行区 」は平成 21
-22 年、「2-IPM」および「2 -慣行区」は
モ グ リ バ エ の 発 生が 抑 制さ れ た
と 推 測 さ れ る 。 I P M 区で は 放
飼 し た カ ブ リ ダ ニ類 に 影 響の 強
い薬剤 の使用を控 えてもらっ
た 。 慣 行 防 除 区 で も 使 用 薬 剤の
平成 23 -24 年の実施を意味する.
21
大 部 分 はI P M 区と 類 似す る が 、カ ブ リ ダ ニ類 に 影響 の強い 剤 が薬 剤 防 除 回 数 の う
ち 41 ~71 % の比 率で 使用 さ れ た。影 響の強 い剤 の一部 が ハ モ グ リ バ エ 類 寄 生 蜂に 強
く 影 響した 可 能 性が 推 測さ れ る 。
3. 薬剤 防 除 実 績 及び防 除 コスト
生 産 者から 各 区 の防 除 実 績を 聞き 取り 、薬 剤 散 布 状 況 を 比較 し た結果 を第 3表 に
示 し た。い ず れ の試 験で もI P M 区は 慣 行 防 除 区 より 薬 剤 散 布 回 数が減 少し 、その
程度 は 11~ 39 %に 達し た。 殺 虫 剤の 延べ 使 用 剤 数は各 試 験 と も 25 ~46 %と 大きく
減少 し た が 、殺 ダ ニ剤は 21~ 57%減 少 す る場 合と 31~ 90% 増 加す る場 合が あ っ た。
全 て の試験 でI P M 区の ハ モ グ リ バ エ 被 害が 慣 行 防 除 区より 減 少し た こ と が 、殺 虫
剤 の減 少に 最も 寄与 し たと考 え ら れ る。一 方、 春 先の ハ ダ ニ増 加 時 やホ コ リ ダ ニ の
対応 が 後手 に回 った 時、 殺ダ ニ剤 の散 布 回 数が 増 加し た。な お、 殺 菌 剤 は散 布 回 数
の 減 少に伴 い っ て延 べ使 用 剤 数 が減 少す る場 合が 多か っ た 。
使用 さ れ た農 薬 、天 敵 資 材に つ い て 10 a 当 り の資 材 費を 求め 、第 4 図 に示 した 。
なお 、 試 験に よ って 集 計 期 間 が異 なる た め 、慣 行 防 除 区 の資 材 費 は試 験 に よ っ て異
な っ て い る 。試験 A お よ び B で は、23 -24 年の 試 験で は 21 -22 年 に比 べ て天敵 放 飼
量 を減 ら し た た め、 天 敵 資 材 費は 21 -22 年 の 2/ 3 以下 に減っ た 。こ の た め、I P M
区 に お け る天 敵お よ び農 薬の 費 用は 、21 -22 年 の試験 で は慣 行 防 除 区 の 1. 7~2. 1 倍
で あ っ た が 、23 -24 年 の試験 で は同 1. 3~ 1. 6 倍 に減 少し て い る。資 材 費 に防 除 作 業
時 間 分 の人 件 費 を加 味す る と 、 I P M区 のコ ス ト は慣 行 防 除 区 の 1. 1~ 1. 3 倍とな
る 。病 害 虫 防 除 が増 加す る時 期には 、 園 主は防 除 作 業 一 辺 倒 に な る こと も あ る こ と
から 、 防 除 作 業 時 間の削 減は 作 業 時 間を栽 培 管 理 に割 け るメ リ ッ ト が あ るとの 生 産
者 の声 も あ る。 特に 、生 産規 模の 拡 大を考 え る と き、 防 除 作 業 時 間 の不足 がネ ッ ク
と な る こ と が あ る。 天 敵 利 用 のI P M は生産 コ ス ト が 増 加す る 傾 向に あ る が、省力
化 のメ リ ッ トも 大き い と 思わ れ る 。
第 3表
慣 行 防 除 区 に対 する I P M 区の 薬 剤 防 除の増 減
試験
場所
増減率(%)
集計期間
散布回数
殺虫剤
殺ダニ
(備考 )
殺菌剤
剤
A氏
慣行区
散布回数
21 年 12 月~22 年 10 月
-22
-40
+33
+14
27
*
-11
-45
+33
+57
-
21 年 6 月~22 年 10 月
-38
-45
-21
-28
37
23 年 6 月~24 年 10 月 *
-19
-25
+90
-33
‐
C氏
23 年 6 月~24 年 3 月
-23
-35
-57
-31
22
D氏
23 年 6 月~24 年 10 月
-39
-46
+31
-16
41
23 年 12 月~24 年 10 月
B氏
* A お よ び B 氏の 23 -24 年 の試 験では 慣 行 防 除 区 を設 け な か っ た た め、 21‐ 22 年
の 慣 行 防 除 区と 比較 し た。
22
第4図
IPM 区および慣 行 防 除 区に お け る防 除 資 材 費.集 計 期 間は A では 1 年目
12 月~2 年目 10 月、C は 1 年目 6 月~2 年目 3 月、B および D は 1 年目 6 月~
2 年目 10 月。「1-」および 「2-」の 意味は第 3 図と同様.() 内の数値 は慣
行区に対 する比率を 示す。
4. 生産ほ場 のガーベラにおけるカブリダニ類 の発生 消 長
ピ ー マ ン、ナス や メ ロ ンに お け るス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ の 放 飼 試 験では 、放 飼
後 長 期 間、 カ ブ リ ダ ニが 作 物 上 に定 着す る こ と が 報告 さ れ て い る( 鹿 島, 2010; 大
薗 ら, 2010; 柴 尾 ・森 田, 2010; 増 井, 2011) 。 し か し、本 試 験では 、 カ ブ リ ダ ニ
類 は放 飼 直 後に 密度 を増 加さ せ る が 、1~ 2ヶ 月 後に は見取 り 調 査で確 認さ れ な く
な っ た (第 1図 )。 ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ は花 粉に よ っ て も 増 殖が可 能で あ り 、
ピ ー マ ン や ナ ス で は ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ は 害 虫 以 外に も 花 粉 も 利 用 し て い る
と 考え ら れ て いる。 一方 、ガ ー ベ ラは 開花 初 期 に収穫 さ れ る た め 、株 上に 花粉 は ほ
と ん ど 存在 し な い と思わ れ、 害 虫 密 度も比 較 的 低 く管 理され て いる こ と か ら 、餌 の
量 が少 ない と推 測さ れ、 ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ に と っ て増 殖 し に く い環 境か も し
れない 。
23- 24 年 の試 験で は、 花の ア ル コ ー ル洗 浄を 試 み た。そ の結 果、 収穫 し た花か ら
カ ブ リ ダ ニ 類が 分離 さ れ、多 い 時に は花当 た り1 頭 以 上に達 し た( 第4 図)。 ガー
ベラ 栽 培で は 1 週間 に株 当り 1 本 の花 が 収穫 さ れ るの で、 1 週間 に 最大 で 10a 当 り
4,000 ~5,000 頭の カ ブ リ ダ ニ がほ場 か ら持 ち出 さ れる計 算と な る。こ れ は放 飼 量 の
1 /1 0 に 相 当し、ガ ー ベ ラ上 でカ ブ リ ダ ニ の生 息 密度 が上昇 し に く い要 因の 一つ の
可 能 性 が あ る。
現在 、カ ブ リ ダ ニ の放飼 は 、春 から 秋に 3 ヶ 月間 隔で 実 施し て い る。 し か し、前
述 の よ う にカ ブ リ ダ ニの 密度 が 高く 維 持さ れ に く い た め、 今後 は放 飼 間 隔の 短 縮や
23
パ ッ ク 製剤 の利 用、 さ ら に防 除 資 材の コ ス トを 検 討し 、最 適なガ ー ベ ラ 栽 培に 適 し
た 放 飼 方 法を検 討す る必 要が あ る 。
葉
当
た
り
カ
ブ
リ
ダ
ニ
数
第5図
花
当
た
り
カ
ブ
リ
ダ
ニ
数
IPM区のガーベラの 葉および花におけるカブリダニ 生息密度の推移
(平成 24 年 3 月~7 月).花の調査は平成 24 年 4 月より実施した.矢印
はカブリダニ放飼を示す.
5 .今 後の 課 題
本 試 験で 実 践し たI P M 区で は、 4 試 験と も に ハ モ グ リ バ エ の被 害が 慣 行 防 除 区
よ り も 減少 し た。この 結 果を 受けて 生 産 者 はカ ブ リ ダ ニ 類に 影 響の 少な い薬剤 に よ
る 防 除 体 系に注 目し て い る。 他 方、 放飼カ ブ リ ダ ニ 類 の防 除 効 果に つ い て は 、現 地
栽培 ほ 場の 試 験のた めに 薬 剤 防 除を 極 力 減ら し た 区の 設 置は困 難で あ り 、検証 し に
くい 状 況に あ っ た。そ こ で、25 年度 は、カ ブ リ ダ ニ 類 に影響 の 小さ い薬 剤を 共 通で
使用 し 、カ ブ リ ダ ニ 類の 放飼 の有無 を 同 一 園 主の 異な る施設 で 比 較す る試 験を実 施
検証 し て い る。
I P Mを 実 施する 場 合、選 択 性 薬 剤 の存 在 が重 要で あ る。 し か し 、花 き類ま た は
ガ ー ベ ラに 対す る適 用が ある 選 択 性 薬 剤 は少 な い の が現 状で あ る。 残 念な が ら、 花
き 類 生 産ほ 場で は 、殺ダ ニ剤 に対 す る感 受 性が 低 下し たナ ミ ハ ダ ニ 個 体 群が 認め ら
れる 。 薬 剤 抵 抗 性 発 達 後に天 敵 利 用を 検 討し て も 、害 虫 密 度のコ ン ト ロ ー ルが 難 し
い 。抵 抗 性 発 達 回 避 の一 手 段 と し て もI P Mが 必 要で あ り、 そ の た め に は 防 除 体 系
に 組み 込め る選 択 制 薬 剤 を増 や す必 要が あ る 。今 後の 適 用 拡 大を期待 し た い 。
ガ ー ベ ラ 栽 培で は 灰 色 か び 病 や う ど ん こ 病に 対 す る 殺 菌 剤 散 布 も 定 期 的 に実 施
さ れ て い る 。こ れ ら の病 害に 対し て は バ チ ル ス・ズ ブ チ ル ス 剤の ダ ク ト 内 投 入が 実
用化 さ れ て お り 、自 動 投 入 装 置 も 市 販さ れ て い る 。こ の技術 を 併用 す れ ば、ガ ー ベ
ラ 栽 培に お い て、よ り省 力 的 な 防除 が可 能に な る と期 待さ れ る 。
24
引用文献
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ール 16 (1) :53- 59.
鹿 島 哲 郎( 2010)茨 城 県 の半 促 成 栽 培 ピ ー マ ンに お け るス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ の
利用 . 植 物 防 疫 64 :605-609 .
小 西 和 彦( 1998)マ メ ハ モ グ リ バ エ 寄 生 蜂の 図 解 検 索. 農 環 研 資 料 22 :pp .72.
増 井 伸 一 ( 2011) ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ を 活 用し た メ ロ ン の I P M . 植 物 防 疫
65: 612-615 .
大 野 和 朗・ 大森
隆 ・嶽 本 弘 之(1999) 施 設ガ ー ベ ラの マ メ ハ モ グ リ バ エに対 す る土
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大 薗 正 史・ 中 尾 知 子・小 山 只 勝・ 田 代 啓 一 朗・ 前 田 佳 美(2010) 鹿 児 島 県の促 成ピ
ー マ ンでの ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ の利 用. 植 物 防 疫 64 :610 -616.
柴尾
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栽培 ナ スの害 虫 防 除. 植 物 防 疫 64: 459 -462.
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毅( 1998)マ メ ハ モ グ リ バ エ の 土 着 寄 生 蜂 類に関 する 最 近の知 見. 植 物 防 疫
52: 358-362 .
山中
聡 (2009) ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニの 特 徴と使 い 方. 植 物 防 疫 63: 381 -384 .
25
カンキツにおける天敵利用を柱とした害虫防除
愛知県東三河農林水産事務所 農業改良普及課
坂野
満
1
はじめに
愛知県 の蒲 郡 地 区においては、ハウスミカンで 最も問題 となっている害虫 は、ア
ザ ミ ウ マ類とミカンハダニで 、両者とも 薬 剤 散 布による防除 が中心 である。アザミ
ウマ類については 、1990 年代 に外 来 種で あ るミ カ ン キ イ ロ ア ザ ミ ウ マ に よ る果実
の食害に 大いに悩 まされ、薬 剤 散 布だけで 抑え る の が困難 であったため、ハウス 内
への侵 入 軽 減を目的 に、光反射資材の利用 を検討し て き た。今では 、ハウスの サイ
ドに光反 射 資 材 織り込み防虫 ネット( 商品名:スリムホワイト )を設置 したり 、ハ
ウス外周部 の地面 に光反射シート(商品名:タイベック )を 設置することが一般的
になっており、特にアザミウマ類 の発生が 多い園地 では欠か せ な い技術 になってい
る。ミカンハダニについては、ハウス 環境下 では世 代 交 代が速く 、農薬 に対する 抵
抗性が発達 しやすいため、有効 な農薬が 少なく防除 に大 変 苦 慮し て き た。天 敵 利 用
も検討されてきたが 、定着が悪 か っ た り、取 り扱いにくかったため、試験的に 導入
さ れ る の み で あ っ た。 2011 年 にミカンハダニ の天敵 で あ るス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ
ニ(以下 :スワルスキー )の パ ッ ク製材で あ るス ワ ル ス キ ー プ ラ スが登録 された 。
その効果 と扱いやすさに着目 し、現 地 試 験を行ったところ 、良好な結果 が得られた
ので紹介 したい。
図1
2
スリムホワイト設 置 状 況
図2
スワルスキープラス設 置 状 況
試験方法
蒲 郡 地 区に お け るハウスミカン のハダニ 防除は 、まず加 温 開 始 30~40 日後 の満
開 期 前 後にマシン 油乳剤 を散布 し、ハダニ の密度 をしっかり下げる 。その 後、発生
26
に応 じて殺ダニ 剤の散布 を行う 体系が一般的 である 。スワルスキープラスの試験 を
開始 するにあたり、有効な設 置 時 期は 、マシン 油乳剤散布後、本来ならば 次の殺 ダ
ニ剤 を散布 する前と 考えた 。また 、夜温 が 16℃ 以上に な る5月 中 下 旬には 加温 を
停止 しサ イ ドを開放 する 。それと 同時に アザミウマ類が 侵入し 防除が必要 となる 。
ア ザ ミ ウ マ 類の 防 除に用 いる 農 薬はス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ への 影 響が大 き い も
のが 多いため 、サイド 開放 までが試験 が で き る限界と考 え、設置から サイド開放 ま
でを 試 験 期 間とした。
図3
設置 から試 験 終 了までの イ メ ー ジ図
( 1)試 験 場 所
愛知県蒲郡市内 4園地(A、B、C、D園)
( 2)試 験 期 間
2012 年 2 月 ~5 月
( 3)栽培概要等
表 1 4園の栽 培 概 要
ハウス
植栽
スワルスキー
プラス
加温
殺ダニ剤
サイド
散布日
開放日
満開日
面積
本数
設置パック 数
開始日
A園
600 ㎡
49
114
12/5
1/9
1 /11
5 /28
B園
320 ㎡
31
70
12/4
1/14
1/9
5 /28
C園
700 ㎡
57
108
11/21
12/26
12/24
5 /12
D園
500 ㎡
44
100
12/9
1/14
1 /10
5 /26
注) 殺ダニ剤は、マシン 油乳剤+ダニカット乳剤
27
( 4)実 証 資 材
スワルスキープラス(アリスタライフサイエンス社製 、スワルスキーカブリダ
ニ パ ッ ク製剤:1 パックあたり 約 250 頭入り)
( 5)設 置 方 法
各園地 とも 2 月 17 日に、パック 製剤 を樹の大 きさに合 わせて、 1樹あたり 1
~3パック 設置
( 6)調 査 方 法
設 置 直 前の2月 17 日から 、サイド 開 放 前 後の5月 24 日( 設置 97 日後 )まで 、
約7日間隔 で1園地 につき 200 葉(20 葉/樹×10 樹)に 生息する スワルスキー
カブリダニとミカンハダニ 雌成虫を 計数した。
( 7)薬剤 の使 用 状 況、コスト 試算
各園 の農薬の 使用状況等を園主 から聞き 取りした 。
3
試験結果
( 1)スワルスキー とミカンハダニの生息密度推移
図4
スワルスキーカブリダニ とミカンハダニ の雌成虫の 推移
A園:スワルスキー は設置 21 日後 (3月 9日)の 調査まで 葉上で確認 できなかっ
たが 、設 置 日 後(3月 16 日)200 葉あたり 3頭確認 できた 。その 後、設置 66 日後(4
月 23 日)の調査までは 同0 ~5頭と 低い密度 で推移したが 、設置 74 日後(5月1 日)
には 同 27 頭 と生息数 が急激に増加 し、設置 80 日後 (5月7 日)には 同 53 頭と 生息
数 はピーク と な っ た。その後は 漸減し、最終調査日 の設置 97 日後(5 月 24 日)では
同 14 頭となった 。ミカンハダニについては 調査全期間をとおして調査樹 では生息 が
確認 されなかった。
28
B園:スワルスキー の生 息 推 移はA園とほぼ 同様 であったが、スワルスキーの 初確
認 は設置 13 日後 (3月 1日)で、A 園よりも 早かった 。ミカンハダニ についてはA
園 と同様に 調査全期間をとおして調査樹 では生息 が確認されなかった 。
C園:スワルスキー は設置 13 日後に初確認 できた 。設置 21 日後と 28 日後には 調
査樹 の葉上 ではスワルスキーの 生息が確認 で き な かったが 、調査樹 の果実上 では 散見
された 。その後 、A、B園と 同様に設置 66 日後 の調査 までは0~ 4頭/200 葉と 低い
密度 で推移 し、設置 74 日後に生低 い密度 で推移し 、設置 74 日後に生 息 密 度が増加 し
始 め設置 80 日後 に生息数 はピーク となり、 その後漸減 した。 ミカンハダニに つ い て
は 調査樹では 設置 35 日後(3月 23 日)に 200 葉あたり 1頭と 設置 90 日後(5月 17
日 )に2頭確認 されただけであった
D園:本園は 、スワルスキー の生 息 推 移が他園 とやや異 なった。スワルスキー の初
確認 は設置 13 日後で 、その後設置 35 日まで 低密度 で推移し た後、設置 42 日後 (3
月 30 日 )に急増 した。その 後は一 旦 密 度が低 くなったが、設置 66 日後 から増加 し、
設置 80 日後 に発生ピーク と な っ た。設置 90 日 後 以 降は 急激に密度 が低下した 。
( 2)ミカンハダニ による被害果調査
各園とも ミカンハダニの 発生が極端 に少なく 、被害果も 認められなかったこと
から実施 しなかった。
( 3)薬剤使用状況
各園とも ミカンハダニの 発生はなく 、スワルスキープラス設 置 以 降はサイド 開
放まで殺 ダニ剤を 一度も散布 しなかった。
( 4)コスト 試算
表2 マシン油乳剤散布後~サイド開放 までの一般的 な薬 剤 散 布
散布時期
使用薬剤
果径 20~30mm
同上
サンマイトフロアブル
スターマイトフロアブル
サイド解放後
ダニエモンフロアブル
表3
10a 当たりコストの比較
農
(単位:円)
薬
労
賃
合
計
スワルスキープラス
39,880
2,000
41,880
慣
19,068
12,000
31,068
行
※ 労 賃 は 、10a の 労 働 時 間 を ス ワ ル ス キ ー プ ラ ス設 置 1 時 間 、慣 行 防 除 6 時 間 (2 時 間 × 3
回 )と し 、 1 時 間 当 た り 2,000 円 で 算 出 し た 。
29
経済性の 評価では 、スワルスキープラスのコスト が約4万円 で、通 常 散 布される 殺
ダニ 剤3回 のコスト が約2万円 で あ っ た。労 働 時 間については、農 薬 散 布が3回 で約
6 時間、スワルスキープラスの設置が 約1時間 であったため、5時間の 削減と な っ た。
1 時間当たりの 労賃 を仮に 2,000 円と見積 もり、労 働 時 間を含 めたコスト を計算 する
と スワルスキープラスを利用した 方が1 万 円 程 度コストは 高かった
4
考察
当地域の ハウスミカンでは、通常 で あ れ ば満 開 直 前にマシン 油乳剤を 散布し て か ら
2 か月程度経過した 時点でミカンハダニ が増加し 始め る た め、殺ダニ剤 の散布が 必要
となる 。今回 の設 置 試 験を実施 した4園 では、2 月 17 日の設 置 以 降、 ミカンハダニ
の 発生はほとんどみられず、5月 中 下 旬の ハウスサイド開放 まで、殺ダニ 剤の散布 が
必要 な か っ た。このような結果から スワルスキーはミカンハダニ の発生及 び増加 を十
分 に抑制し 効果が非常 に高いと 思われた 。
経済性については 、現 在 本 県の 蒲 郡 地 区の慣 行 防 除と比較 した場合 、スワルスキー
プラス を利用 した方 がやや高くなる 結果 となったが、ハウスミカンの防除 は動噴 を用
いた 手散布 が主流であり 、高温の ハウス内 での作業 の負担は 大変大きい 。今回の 試験
ほ 場の農家 からも、扱い や す く楽なので スワルスキープラスを 大いに利用 したいとい
う 声が あ っ た。コスト の上昇も1 万 円 程 度であるので、天敵で 確実に防除 できるので
あれば 需要 は大きいと 思われた 。
また、現在 は 非常に効果 の高 い殺ダニ 剤が あ り、少 ない防 除 回 数 で済んでいるが 、
過去 の例からも 抵抗性発達の懸念 があり 、防 除 回 数の増加を 余儀なくされた場合 、ス
ワルスキープラスの 重要性が さ ら に増すと 思われる 。
30
いちご新規就農者研修所 におけるIPMの取り組みについて
全農岐阜県本部 営農対策課
技術主管
加藤 正
1 .岐阜県 の い ち ご生 産 事 情
岐阜県 の い ち ご生産 は か つ て昭和 の終わり 頃は販売額 48 億円の実績 が あ っ た。
参
平成 22 年度産
考
平成 12 年度産
比( %)
生 産 者 数(戸)
351
613
57 .2
栽 培 面 積(ha)
45
91
49 .4
出荷量 (t)
1,764
3,110
56 .7
販売額(百万円 )
1,554
2,786
55 .7
主要品種
濃姫 、美濃娘
女峰 ,濃姫 、と ち お とめ
―
2 .いちご 新規就農者研修所の 設立
( 1)目的 : 岐阜県 の い ち ご生
産の担い 手 育 成 及び生産者 振
興
( 2)研修開始年: 平成 20 年 4 月
( 3)研修生定員:4 名
( 4)研 修 期 間:4 月~翌年 5 月の
14 ヶ月(2 ヶ月 は先輩・ 後輩
研修生 の研修重複期間)
( 5)研 修 内 容 : 卒 業 後 直ちに就
農するための学習 ・準備 ・会
議は す べ て研修 と見なす 。
写真-1:研修所スタッフと 5 期生 6 期生の研修生
①
イチゴ の栽培 ・出荷に必要 な技術 ・知識・ 経 営 管 理に関する 知識の習得
②
就農支援会議(行政 、JA 、普及 、市役所 、研修所の 連携による 支 援 方 法、準備
状況 の確認)
③
農地 の取得
④
栽 培 施 設の検討 (規模、 仕様、等 )
⑤
就 農 計 画(就 農 認 定の申請 )
⑥
補助事業等申請
31
⑦
栽培施設建設
( 6) 研修 に力を入 れていること
①
問題 の発 見 能 力を高める:日頃の栽 培 管 理 、出 荷 管 理の 中で日常 、通常と異 な
る現象 を発見し 、判断 する。そのために、い ち ご の生 育 観 察を怠らない 。小 さ
な変化 にも気づく 、その 訓練
②
自らの 判断( 決断)能力を高 める:経営者 は独立者 であり 、自ら 判断せ ね ば な
らない 。
判断ス ピ ー ドを 早くすること、 自 己 判 断の 公正さ 、正確 さを 身に つ け る こ と 。
③
就農時と同規模 を栽
培し、自ら 責任を負 うことに
よる、IPM 、作 業 管 理、労
務管理、施 設 管 理の 訓練を行
うと同時 に、その能力 を養う 。
写真-2:研修生の作業風景
写真-3:平成 24 年 11 月 28 日の生育状況
3 .研修所 のIPM シ ス テ ム導入 に つ い て
( 1)き っ か け
岐阜県に お け るIPM の最初 は、冬春 トマトの マルハナバチ利 用 開 始がきっかけ
今でも忘 れられない言葉「トマト の葉がこんなに緑色 で艶々 していたこととは知 ら
な か っ た」
→ 植 物 自 体のトマト の生きる力 が栽培する 側に伝 わってきた。→ オンシツツヤコバチ、
マメハモグリバエ等
32
( 2)関係 する者の意識 の変化
①生産者意識の変化 と健康面 での話「 主人の肝 臓 数 字が 良く な っ た」
※ ・まず、 自分の健康 を考える 。
・人と植物 との関係 を考える 。
(植物 の生きる 能力を引 き出す。 →植物への 詳細な観察 へ)
・消費者 への、より 安全な 食べ物の 提供。
②普及指導員等技術者の意識 の変化
・農業試験場研究員、専門技術員、 普及指導員の連携 による栽 培 体 系の 確立。
・研究課題及び普及指導課題 のシフト
③以上 の内容 を整理すると 下記の 体系図になる 。
変化前:生育・栽培を完全コントロール(制御)するが基本
い
いちご
ち
変化後 :いちごの生きようとする力を最大限に引き出す
※いちごの能力発揮最高 の環境条件の設定
ご
生
変化前:徹底した封じ込め・全滅作戦(生息を許さない)
産
者
及
病害虫
変化後 :経済的な障害発生密度でなければ共存も可
び
※IPMの導入
指
導
者
変化前:見た目重視、工業製品的感覚、消費者念頭無 し
技
術
関
消費者
変化後 :消費者目線。いちごは生き物である事の啓蒙
係
※ぎふクリーン農業・製造責任(散布履歴)の明確化
4 .研修に お け るIPM の取り 組み実際
IPM( 総合的病害虫管理) の目的
「人の健康 に対する リスクと 環境への 負荷を軽減或 いは 最小限にし 、環 境 安 全を重
視 したものに転換することにより 、消費者 に支持 される食 糧 供 給を 実現す る こ と」
この考え 方は総 合 的な 病害虫対策と し て利 用 可 能な 全ての 環 境 制 御、予防的措置 、
防 除 技 術、 具 体 的にはハ ウ ス内 の温 湿 度や炭酸 ガス濃度 、光 量 等はもちろんのこと 、
33
栽 培 様 式、破 覆 資 材、防風・害虫侵入防止資材等を総 合 的 に駆使 し、薬 剤 散 布 回 数・
量 を段階的 に少なくすることであり、この 目的・考えを 研 修 開 始と同時 に研修生 に刷
り 込みを徹底 。
岐阜県は 農 薬 散 布の独 自 規 制として「ぎふ ク リ ー ン農業」の登 録 制 度がある 。イチ
ゴ 養 液 栽 培は切り 離し後から 定植収穫期間に 19 回 の化学合成農薬( 成 分 回 数)が
規定 されている。(そ れ よ り少 ないのはこの限りではない )
( 1)育 時での徹 底 防 除
表1
:
(6月 5日子 確 保 開 始~9月2 日定植)
25 年度育ほ防除履歴
防除実施日
6月14日
21日
7月 1日
5日
10日
薬
剤
名
対 象 病 害 虫
キノンドーフロアブロ
炭疽 病
ウララ DF
アブラムシ類
スト ロビーフロアブル
うどん 粉病
ニッソラン水和剤
ハダニ類
デランフロアブル
炭疽病
テデオン乳剤
ハダニ類
ベルクート 水和剤
炭疽病 うどん 粉病
ダニトロンフロアブル
ハダニ類
ランナーの切り離し開始 (子の独立)
12日
22日
29日
8月 2日
9日
21日
30日
ジマンダイセン 水和剤
炭疽病
サンクリスタル乳剤
ハダニ類、アブラムシ類、うどん 粉病
オーソサイド水和剤
炭疽病 、灰色 かび病
ダニサラバフロアブル
ハダニ類
アントラコール顆粒水和剤
炭疽病
コロマイト水和剤
ハダニ類、ホコリダニ
リド ミルMZ水和剤
疫病
セイビアフロアブル 20
炭疽病
サンクリスタル乳剤
ハ ダニ類、アブラムシ類、うどん 粉病
キノンドーフロアブル
炭疽病
フェニックス 顆粒水和剤
ハスモンヨトウ オオタバコガ
ジマンダイセン 水和剤
炭疽病
サンクリスタル乳剤
ハダニ類、アブラムシ類、うどん 粉病
コテツフロアブル
ハダニ類、ハスモンヨトウ
ベルクート 水和剤
炭疽病 うどん 粉病
34
( 2)研修所 に お け るIPMの 実践例
① 総合環境制御に向 けて(病害虫 の発生 し に く いハウス内環境 の創出 )
各ハウス 内環境ファクター (ハウス 内気温、 ハ ウ ス内湿度、地温 、炭酸 ガス
濃度、照度 )の数値 を可 視 化、データ 化し蓄 積 分 析 することを目的として 計
測装置を 導入。
データの 可視化により 、より 細かい ハウス環 境 管 理が可能 に な っ た。
< 例― 1> ハ ウ ス谷 換 気 の開 閉を よ り 細か く す る こ と に よ り ハ ウ ス気 温 変 化が 緩
やかになった 。
<例 ―2>夜中 の前半( 11 時頃 )と明け 方(3 時頃 )の 2 回 、温度を 3℃上げるこ
と に よ りハウス 内 湿 度を 15 %下げ病 原 菌の 胞子の 活 性 化を 弱める 環境
を作 った。これにより灰色 かび病 の発生が 少ない傾向 に な っ た。
下記グラフ は平成 24 年 1 月 25 日~ 26 日のハウス 内気温 、湿度、CO 2 濃度
相対温度
ハウス内気温
CO2 濃度
<例 ―3>測定 セ ン サ ー、特にハウス 内気温 セ ン サ ーを送 風 機 付き風洞内設置 によ
り、葉面付近気温に近 い温度を データ化 することができ従来 の気 温 変 化
(風洞内 セ ン サ ーが昼間 2~3 ℃低く夜間 2~3 ℃高い)と 異なることが
わ か っ た。
<例 ―4>炭酸 ガス発生 に つ い て、実際の 温 度 変 化を可視化 させることにより効率
的な 発 生 時 間と発 生 濃 度にコントロールすることが 可能に な っ た。
<例 ―5>データ の可視化 により 、共有データ となり病害虫管理 、高 収 量 化のため
の環 境 条 件とはの 議論が 大きく前進 した。
②
ハスモンヨトウ 類対策
発 生 消 長にはフェロモントラップ にて 調査、病害虫防除所・ 普及指導員に
35
よる情 報 入 手
ハウスサイド被 覆 資 材やマ イ カ ー線の 裏が わ で の卵塊捜査
※ ハウスサイド の資 材 卵 塊捜 査は育 棟、本ぽ 、特に 7月中旬 より11 月中
旬に か け て、ポ イ ン ト的な日 に徹底した 捜査を行 い、発 見 次 第つ ぶ し て歩
く。( 例年 、効果 を確 認 し て い る の で、 卒 業 生は就農 ハ ウ ス で こ の捜査 を
おこなっている。)
③
ハダニ類対策
下 記 天 敵の カブリダニ類は研修所 が栽培開始以来放飼し て い る。
ミヤコカブリダニ
チリカブリダニ
※
11 月上旬から 1 回
2 月上旬より 2 回~ 3 回
カブリダニ類の放飼 により、3 月 以 降 殺ダニ 剤の使用 は 2 ヶ 月~収穫 了ま
で散布無 しの 状況が現在 までである。
④
灰色 かび病対策
灰色 か び病 対 策 は研 修 所 開 設 当 時か ら暖 房 機 利 用 に よ るダ ク ト 散 布を行 っ
ていた。 しかし、 ダクトに 孔を開けて 、その中 に原体を 10 g/1 回入 れる
作業は容易 で は な く、研修生 に と っ て決して楽 な作業ではなかった 。
4 年前、東 海 物 産の近 藤 所 長(当時 )から情 報 提 供を 受け、商品名 「き
つつきくん」を早 速 設 置して 、ダクト 散布 による ハウス内の ボトリチスズ
ブ リ チ スの飛 散 状 況を調査 し、ハウス 全体 に満遍なく 飛散し て い る状況 を
確認した 。
写真-4 : きつつきくんの設置状況
写真 -5 : ボトキラー 飛散 の調 査 配 置 地 点
36
卒業生は 2 期 生 以 降 4 期生まで「きつ
つ き く ん」を標 準 装 備し導入 をしている。
ただ、きつつきくんを 設置 した卒業生
に 1 月に灰色 かび病 の発生が 多く見られ 、
効果 に対する 疑問ではないが、飛 散 装 置
「 きつつきくん」が 意外と高額感 があっ
て 効果と金額 を比較し 5 期生 は導入を 断
念 し て い る。
飛 散 装 置「きつつきくん 」と薬 剤 原 体
の 価格を合 わせてなお、灰色 かび病の 発
生 を見ると 、導入に 躊躇せ ざ る を得ない
のが 現実で ある。
写真-6 : 飛散調査結果 (寒天培地)
⑤
ヒラズハナアザミウマ
ヒラズハナアザミウマによる 果 実 被 害は 4 月以降 特に被害 が目立 つようになって
きた 。高設 ベンチ栽培 の場合、 被害がなければ果 実 温 度 が上昇 し に く い 事も あ っ て 、
6 月末頃 まで収 穫 出 荷で き る が、大方の 場合、果 実 被 害により 商品に な ら ず出荷 を諦
め て い る状況 である 。
以上の こ と を踏まえて 、4 年前から 3 月下旬 にスワルスキーカブリダニ を放飼 して
いるが 、定着 が悪く、被害は収まらないので 結局、スピノエース顆粒水和剤や、ディ
アナ SC に 頼ら ざ る を得ないでいる。
現在はスピノ 及び デ ィ ア ナ両薬剤 で被害 は抑えられているが 、この 2 剤だけに 今後
も 頼るのは 限界が あ る と考え て い て、天 敵 利 用の恒久的 なコントロールシステム の確
立 が急務で あ る と考 え て い る。
場合によっては、ハダニ 類以上 の需要と い う か、生産者 のニーズ がますます高 くな
ってくるのではないだろうか。
今般、タイリクヒメハナカメムシが使えないだろうかと、ベンケイソウ を使った 飼
育 の試みや 、シロツメクサ に繁殖し て い るヒラズ を大量 に捕獲 しイチゴ の株に放飼 し、
葉柄等 に産卵 するまでは確認しているが 、タ イ リ クを 含めアザミウマに 有効な天敵 の
模索 を続けていきたいと 考えて いる。
( 3)本ぽ ハウスでの 天 敵 利 用と化学合成農薬の 散布回数減
下記の散布例 は研修所 の昨年 、本ぽ定 植 以 降~ 収 穫 終 了までの散布例 である 。
化学合成農薬の散 布 回 数・量を 他の生産者 や産地 と比較したことはないが、特 に少
な い と は思 わ な い が多い方だとも 思っていない。
37
2表
24 年度本ぽ(定植以降)防除履歴
防除実施日
9月13日
薬
剤
名
対
象
病
害
虫
モスピラン粒剤
アブラムシ類
スターマイトフロアブル
ハダニ類
フェニックス 顆粒水和剤
ハスモンヨトウ
サンクリスタル乳剤
ハダニ類、アブラムシ類、うどんこ病
ジーファイン 水和剤
うどん粉病
コロマイト水和剤
ハダニ類
トリフミン水和剤
うどん粉病
ジーファイン 水和剤
うどん粉病
サンクリスタル乳剤
ハダニ類、アブラムシ類、うどんこ病
スパイカルEX
ハダニ類
アフェットフロアブル
うどん粉病
ウララDF
アブラムシ類
ファンタジスタ顆粒水和剤
灰色かび病
コロマイト水和剤
ハダニ類
5日
スパイデックス
ハダニ類
8日
スパイデックス
ハダニ類
15日
スパイデックス
ハダニ類
スピノエース 顆粒水和剤
スリップス類
ディアナSC
スリップス類
マイトコーネフロアブル
ハダニ類
15日
10月
9日
22日
11月
2日
11月
6日
12月12日
1月10日
2月
3月
9日
4月22日
5 .研 修 効 果
研修生は 就農時と 同じ よ う な規模の 10a を主体的 に担当 し、栽 培 計 画や病害虫対策
を 考える。
上記 24 年度の散 布 履 歴は 5 期生が自 ら計 画 実 施した実績 である 。底流には IPM
シ ス テ ムの 考え方があり 、イチゴ 栽 培 以 上にも環 境 関 係の 関心は高 い。
平成 25 年 度 現 在、 卒業生が 20 名になり 、全 員 就 農し て い る。
24 年度産 の収量出荷実績 は、岐阜県 の共進会 (出荷量 、栽 培 規 模、品 質 評 価、 地
域 貢 献 等での 評会)の 上位 20 人 に卒業生 16 名の内 14 人が 入った。
(卒業 し就農 した
のは 20 名 で あ る が、 5 期生 4 名は 25 年度からの 栽 培 開 始である )
今 後 地 域リ ー ダ ーとして、岐阜県 のイチゴ 栽培を担 う集団と し て の考 え方はIPM
と い う か、共存共栄的 な考え方 で一致し て い る。日本 の 或いは 岐 阜 県の環境 ・農業 ・
園 芸 方 向の あり方に つ い て私も 話し、研修生同士徹底 して 話しているからである
38
6 .今後の 課題
①
ヒラズハナアザミウマ 対策の確立 :
イチゴ の潜在 需要は 1 年中あり 、スーパ
ー等 小 売 店の 販 売 戦 略に乗って 4 月末で終 わろうとする生産者 で は な く、ひいて
は 11 月~7 月まで 収 穫 期 間を延長し 10t/10a を 目指す卒業生 もあり 、高温時 のア
ザ ミ ウ マ対策 は緊急である 。
それが 解決すると 一気 に流れが変 わると考 え ら れ る。
②
灰色 かび病 の総 合 対 策:
ボトキラーの 毎 日 散 布もハウス 内環境が 多 湿 低 音
で あ れ ば灰色 かび病の 多発を許すことになる 。
複合環境制御 による ハウス内を イチゴの 生育に最良 の条件下 に置くことにより
菌密度 を減らし 、その 上でボトキラーの毎 日 散 布を 行う。
③
IPM 総合
IPM の目的 の中に 消費者に支持 される 食 料 供 給を実現することとあるが、 現
在、 消費者がどれだけ IPM商品 、農産物 を知っているだろうか。果 たして消費
者の 市民権を 獲得しているだろうかと思うと 、残念 ながらまだまだ遠 い と い う感
じがしている 。
人 の健康に 対するリスク と環境 への負 荷 軽 減と合 わせて植物 と し て のイチゴ の
生命力 を最大限 に引き 出そうとしているIPM は従来通 りの 考え方の 通 常 管 理よ
り資金 、労力 、判断に お い て多く 必要になっている 。しかし 、 I P Mで生産され
た農 産 物が 販 売 価 格の面 で そ れ に見合う 価格で 販売さ れ て い る か は疑 問 符が 付く。
IPM が言 われて 15 年以上がすぎようとしているが 、今後、IPM 農産物 と販
売先 が流通と 共にチ ェ ー ン化し、 消費者へのたゆまぬ 啓 蒙 醸 成が必要 と考える 。
現在 、岐阜県 のイチゴ 生産者の 中には研修所 の卒業生以上 に天 敵 利 用の生産者
が大勢 いる。 岐阜県全体のイチゴ 栽培での 総合管理拡大の端緒 、きっかけは十分
あると 判断し て い る。
IPM に つ い て業 者 同 士の交流 か発展的 に解消し 、生産者 から消費者 まで巻 き
込み 、
「人 と環境と 栽培する 植物に 対するリスク と負 荷 軽 減」の流れを 作る こ と こ
そ、 今、重要 ではないだろうか。」
39
土着天敵ヘヤカブリダニの保護利用技術
高知県農業振興部環境農業推進課
古味 一洋
1 .は じ め に
ヘヤカブリダニ( 写真 1)は世界中 に分布し 、ハダニ類 、チャノホコリダニ、サビ
ダニ 類などを 捕食することが知 られている。また、本種 はカブリダニのなかでは 早く
から アザミウマ類に 対する捕食性 も確認 さ れ た が、その 能力は ククメリスカブリダニ
と 比較して 高くないことから製剤化 され た も の の、広 く利用されることにならなかっ
た 。しかし 、本種を多 発 生させることができれば 、この捕 食 能 力の低さを カバー する
ことができると 考え ら れ る。実際 に、本種 を多 発 生させている施設米 ナス圃場( 写真
2)があることから 本種 の新たな 利 用 技 術に つ い て検討 を行なった 。
写真 1
写真 2
ヘヤカブリダニ 雌成虫
ヘヤカブリダニ の多発生
がみられた 施設米ナス 圃場
2 .ヘヤカブリダニ の発 生 方 法
ヘ ヤ カ ブ リ ダ ニ はク ク メ リ ス カ ブ リ ダ ニ と同 様に ケ ナ ガ コ ナ ダ ニ を餌 と し て 累 代
飼育 が可能 である。ケナガコナダニ はカビ や酵母などで 増殖 することから、餌となる
ケナガコナダニ を発生 させるために、定植後(9 月中旬 )の 圃場内通路 などにふすま
( 小麦の糠 )90kg/10a やソバ 殻 430kg/ 10a などの有機質資材 を施用し 、カビを 発生
させる (写 真 2)。 さ ら に、 この圃場 ではケ ナ ガ コ ナ ダ ニ を確実 、早期に 発生させる
ため 、ククメリスカブリダニ製剤 を放飼 し て い る。
このように土着 のヘヤカブリダニ の発生を 促す処理を 行なったところ、餌となる ケ
ナガコナダニ と と も に本種が圃場内 の通路 に発生(表 1)し、米ナス葉上 でも確認 さ
れるようになった 。圃 場 内に施用 し た ふ す ま の大 部 分は消失 す る こ とな ど も考慮 し、
その 1/10 量である 9kg/10a に 3.2 頭/0.1g のヘ ヤ カ ブ リ ダ ニが発生 すると しても、圃
40
場全体 では 29 万頭 /10a に 達すると推定 される 。なお 、圃場内 では他に 土着のサイタ
マカブリダニ の発生 も認められたが、放飼した ククメリスカブリダニは 確認さ れ な か
った 。
表1
通 路 上の ヘ ヤ カ ブ リ ダ ニお よ びケ ナ ガ コ ナ ダ ニの 発 生 量
調査日
ヘヤカブリダニ
ケナガコナダニ
10月29 日
3.2
12.4
2月13 日
0.9
24.1
注)数値はふすま0.1g当たりの頭数
3 .ヘヤカブリダニ の継続的な 発 生 方 法
この米 ナス圃場 ではこのような手法 により ヘヤカブリダニを発生 させ、アザミウマ
防除 に利用 してきたが、過去の 事例では 4 月以降 ヘヤカブリダニ が低密度 と な っ てい
た 。そこで 圃場の一部 に ふ す ま追加区を 作り、3 回( 3/30、5/9、5/31)ふ す ま の追加
を 行い、通 路 上 のカブリダニ類 、ケ ナ ガ コ ナ ダ ニおよび 米ナス 葉上 のカブリダニ 類、
害虫類 の密度 を調査 した。慣行区では 4 月下旬以降、通路上 に施用したふすまに 生息
する ヘヤカブリダニ が確認されなくなったのに対 し、ふすま追加区 では 継続的な ヘヤ
カブリダニ の発生 が確認 された( 表 2)。また 、 米ナス葉上 でも アザミウマ類に 対す
る 密度抑制効果については判然 としなかったものの、慣行区と 比較して ヘヤカブリダ
ニ の発生量 は多く推移 した(図 1)。
表2
通路上に施用したふすま、ソバ殻に生息するヘヤカブリダニ、ケナガコナダニの数
慣行区
ふすま追加区
採集年月日
ヘヤカブリダニ
ケナガコナダニ
ヘヤカブリダニ
ケナガコナダニ
11月22日
0
5
12月6日
1月19日
2月10日
10
0
0
34
1
0
3月10日
3月23日
6
9
264
133
4 月6日
4月13日
2
2
268
40
0
3
144
246
4月20日
4月27日
0
0
22
0
4
2
102
84
5月18日
5月25日
0
0
0
0
24
8
198
18
5月31日
6 月7日
0
0
0
0
12
8
80
86
注1)数値はふすま0.1当たりの生息数。
2)ふすま追加区には3月30日、5月9日、5月31日にそれぞれ100kg/10aのふすまを通路上に施用した。
41
12
3
アザミウマ 類
慣行区
10
コナジラミ 類
ヘヤカブリダニ
8
2
6
葉
当
た
り
ア
ザ
ミ
ウ
マ
・
コ
ナ
ジ
ラ
ミ
密
度
4
1
2
0
0
3/30
4/6
4/13
4/20
4/27
5/4
5/11
5/18
5/25
6/1
6/8
12
3
アザミウマ類
10
葉
当
た
り
ヘ
ヤ
カ
ブ
リ
ダ
ニ
密
度
コナジラミ類
ふすま追加区
ヘヤカブリダニ
8
2
6
4
1
2
0
0
3/30
図1
4/6
4/13
4/20
4/27
5/4
5/11
5/18
5/25
6/1
6/8
米ナス 葉上に お け るアザミウマ類 、コナジラミ 類、ヘヤカブリダニの
密度推移
注)図中▼はアザミウマ類に効果のある薬剤散布、
写真 3
はふすまの追加施用を示す。
通路 へのふすま追加の 様子
42
4 .今後の ヘヤカブリダニの利用 に つ い て
植物体以外の場所 、圃場内 に施用 した有機質資材で ヘヤカブリダニを 発生させる 手
法 は、バ ン カ ー法同様、薬剤 と併用し や す い天敵 利 用 技 術と考え ら れ る。この利点 を
生 かし、キ ュ ウ リ での黄化 えそ病 対 策に 応用できないか 農 林 水 産 研 究 高 度 化 事 業「2
種生物資材 の有 効 活 用によるキ ュ ウ リ黄化 えそ病防除技術 の開発」( 2007~2009 年)
の な か で検討 を行っ て お り、成果 が得られている。また、本事業 ではヘ ヤ カ ブ リ ダ ニ
の 農薬登録 をめざした検討も進 められ、 近く申請 予定となっている 。
今 回 紹 介し た米 ナ ス圃 場の よ う にヘ ヤ カ ブ リ ダ ニ の 発 生を 促 す処 理を 行な っ て も
確実 に本種 が発生す るとは限らない 。今後、ヘヤカブリダニ が登録 、販売 される よう
に な れ ば有機質資材 で多発生させる 手法 は新たな 天 敵 利 用技術として 、様々な作物 で
の アザミウマ類やハダニ 類防除 に利用されるものと 期待される 。
43
アジアでのIPM資材市場開拓における課題
信越化学工業株式会社
ファインケミカル部
本郷 智明
はじ めに
先 進 各 国の経済が 停滞し て い る今世紀 、新興国、特 に中国をはじめとする アジア 各
国 の経済は 著しく発展 し て い る。国民 の生 活 水 準の向上 に伴い 食に対する 安全性 を求
める 市場の ニーズも 増加してきている。その 一方 で著者が 2011 年 2 月 に台湾滞在中、
ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト で一 般に 販 売さ れ て い る 殆ど の野 菜や 果物 か ら残 留 基 準 値を 超
える 農薬や 無登録農薬が検出された 記事 を新聞で 見かけた 。た ま た ま当日我々 は、農
薬 の登録、 残留等を 管理し て い る行政院農業委員會農業薬物毒物試験所 (TACTRI)
にて ミーティングを 予定し て お り、組織を統轄 する当時 の副所長 がその 対応に追 われ
ていたことを 記憶し て い る。また生 産 現 場では 大陸から 不 法 輸 入された 農薬の空 ボト
ル を比較的容易に目 にすることが出来る 。このように、全ての 農家ではないと思 うが
一部 で は農薬 の 登 録 内 容 特に 使 用 基 準や 登 録 作 物 等 基 本 的な情 報の 共 有と教育 が 徹
底 されていなため上記 の よ う な残 留 問 題がしばしば発生しているようだ 。一方特産作
物 の国 際 取 引の 増加 に伴 い輸 出 相 手 国 の 残 留 値 基 準に 則し た農 作 物 の生 産も 増 加 傾
向 にある。このような背景 のもと 我々信越 化学は 2009 年に韓国 のリンゴ 市場で ビジ
ネス を開始 し、2013 年 にはインドネシアの シャロットマーケットでも 拡大を図 って
き て い る。しかし 中国 、タイ、台湾 では未 だ農 薬 登 録の取得に 至っていない。本稿 で
は アジアに お け る IPM 資材、特に 交信撹乱剤の農 薬 登 録と普及 の課題 に つ い て紹介
したい 。
IPM 資材 の農 薬 登 録
農薬の登 録 基 準は OECD の基準 を基に各国 の事情 を考慮して 独自に 制定さ れ て い
る 。OECD 加盟国 である 日本では IPM 資材 の農 薬 登 録は一般 の殺虫剤 や殺菌剤 に比
べて 簡素化 されており、比較的安価で短期に 登 録 取 得で き る ことは皆さんご 存じの 通
り で あ る。一方 同様に OECD 加盟国 である 韓国でも IPM 資材の 登 録 基 準は制定 され
て い る が、安全性 データ の要 求 項 目や、輸入相手国の 原 体 登 録の有無等 ま だ ま だハー
ドル が高い 部分が残 っ て い る。と こ ろ が親日 で知られている台湾 で は そ の事情が 少し
異 なる。も ち ろ ん IPM 資材の登 録 基 準は制定 され申請 も受け 付けているが未だかつ
て 登録された 剤は 1 剤も な い。問題点 はどこにあるのか。「農 薬 管 理 法 規 彙編」 によ
ると「生 化 製 剤」に分類 されるフェロモン剤 は原体な ら び に製剤 の安全性 データ 提出
を 免除されている。但 し次の記載 により「 交信撹乱剤」は生 化 製 剤に該当 せず、有機
化 合 物 並 の安 全 性デ ー タ を要求 さ れ る。す な わ ち 「但 費 洛 蒙 (Pheromone)於 使 用 時 、
44
如置於特殊装置内(Trap)、未直接接触作物 、旦對環境無不良影響者 、得免提供毒理試
験資料 」。 中 国 語が堪能 でない 筆者で も何と な く理 解 出 来るが 、要 す る に「フ ェ ロ モ
ン を使うときにはト ラ ッ プの中 に入れ る こ と・・・」という条件 を満たせば 安全性 デ
ータ の提出 を求め な い と書いてあるらしい 。我々日本人 に と っ て理解し 難いルール が
記載 さ れ て い る こ と に な る。 し か し そ の 背景 は次 の理 由に 由来 す る。台 湾では 先 の
TACTRI が主導 して大量誘殺法 を国家プロジェクト 規模で実施 しているため、田園地
帯 に足 を運 べ ば至る 所で お び た だ し い 数 のペ ッ ト ボ ト ル ト ラ ッ プを 目に す る こ と が
できる 。対象害虫種は シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ 、オオタバコガ、コナガ
を 始め 15 種に の ぼ る。 その為フェロモン剤 の登録ルール が大量誘殺用 のフェロモン
ルアー に特化 した内容 になっている。今般我 々がシロイチモジヨトウを 対 象 害 虫とし
た 「ISOMATE-BAW」の 登 録 作 業 を開始 す る に当たり 、 残念な が ら 生 化 製 剤の 規定
は 適用されず 膨大な 時間と費用 を要求されることとなるため 、入り口で ビ ジ ネ スを諦
め な け れ ば な ら な い 。こ の よ う な 事態を 打開 す べ く現 地 農 薬 会 社と 協力 し TACTRI
と 協議を重 ねた結果 、2013 年 9 月に規 定 変 更 のド ラ フ トが提供 された。
直鎖 の 構 造を持 つ鱗 翅 目 昆 虫 の 性フ ェ ロ モ ン であ り作 物へ 直 接 接 触し な い こ と を条
件 に、
① 1原体 5バッチ 分析(0.1% 以上の不純物要標記 )要求
② 製剤物価性、安定性要求
③ 生 物 試 験:免除 あ る い は海 外 文 献でも OKとの 情報が あ る が現時点 で議論中
④ 安全性 データ免除
⑤ 残留性 (土壌残留 、作 物 残 留等)免除
今後 3ヶ月間 のパブリックコメントを経 て制定となる 。3年間 の交 渉 期 間を経てやっ
と ドアが開 かれ作業 を前へ進めることができるようになった 。ここに挙 げた事例 は台
湾 の一例に す ぎ ず同様 の課題が 中国、タイ でも存在 し て い る。このように新興国 にお
ける IPM 資材の 登録には ルール変更等 の課題 があるため先進国 と比べると 膨大 な時
間 を要することになるだろう。
普及上 の課題
ここに、 インドネシア Gadjah Mada 大学 Andi 教授 による シャロット農家におけ
る IPM の理解度 と農薬の 散 布 回 数に関する 統 計 資 料を示す。IPM の理解度 と指数 の
関係 は明 かではないが 、IPM 理論 に対 する農家 の理 解 度は 必ず し も低く な い こ と が
分 かる。しかし 農薬 の散 布 回 数は IPM 理論 の理 解 度に関連せず 、どの レベルでも 週
当 たり2~ 4回の散布 を実施し て い る。 農家自身 が IPM 理論を 理解し、 それに 即し
た 防 除 体 系を積極的 に組む こ と は難しく 、目 の前の被害 に対して 対処療法的に殺虫剤
の 散布に頼 っていることが伺える 。それではどの 様にして IPM 資材の普及 を計 って
い く の か。一 つには国 の補助金を 活用する 方法が考 えられるが、イ ン フ ラ整備等優先
45
させている新興国で予算化を求
めることは登録制度を交渉する
ことよりも 困難が予想 される。ま
ずは被害の実態と農家の収支を
参考 に し、IPM 資 材( この場合
は 交信撹乱剤 ISOMATE-BAW が
該当 する)を活用す る こ と に よ る
減農薬と被害減少に伴う増収の
絵 を描き示 す必要がある 。例 えば
2003 年の 独)農畜産業振興機構統
計資料によるとインドネシアで
の シャロットの平 均 農 家価格は 概ね 630,000 円/ha 、農薬代 が概ね 4,200 円/ha 。その
他資材 と労賃諸 々を 除いた農 家 純 益は 126,000 円/ha 。この 純益を減農薬 と収量増 で
ど こ ま で改善 できるかが鍵となるだろう 。い ず れ の国でも IPM 理論の普及 は既 に始
まっているか 広まっており農家 の理解度 も決して 低くはないが、それを 実践す る た め
の 環境と農家 の教育 、指導者の 育成等課題は山積 し て い る。まずは IPM 資材の 認知
度 を高めるための現場 での地道 な展 示 試 験と指導者 の育成 が急務だろう 。
最後 に
新 興 国 特にアジア 各国の経済 は確実に 発展していくと思 われる。当 然 生 活の安定 に
伴 い人々 の食の 安全への 関心 は高まっていくと 考 え ら れ る。IPM 理論 な ら び に 資材
の 登録、普及 はそれでも発 展 途 上で あ る が、そ れ ゆ え風をおこしそれに 乗っ て い く努
力 を続けることが 大切 だ ろ う。TPP も日 本 側からみれば 悲 観 的か も し れ な い が、 新
興国側 からみれば追 い風となり 得るかもしれない 。
46
台湾 TACTRI
韓 国 農 協 IPM 推 進 協 会
47
韓国 IPM 農会での ミーティング、リンゴ
台湾 ネギでの 大 量 誘 殺
台湾大量誘殺用 トラップ
48
台湾違法輸入農薬キ ャ ベ ツにて
台湾ネギ での大 量 誘 殺
49
カブリダニの普及試験と普及方法
協友アグリ株式会社
1
技術顧問
厚井 隆志
はじめに
い ち ご のハ ダ ニ防除 の た め にカブリダニ の現 地 試 験を実施 し な か らカブリダニ の
普 及 指 導を行った 際の工夫 と進め方 に つ い て述べ た い と思います 。
公的 な試験研究機関 で行 う登録を 取る た め の委 託 試 験や 生態 や使い方 の基 礎 的な
試験とは 違う 現 地 試 験は一般的 に生 産 者の 圃場( ハウス) を使用 す る の が慣例と 言え
ます。
生産者 のハ ウ スでは 当然 のことながら収穫 さ れ た生産物 で生 産 者は生計 を立 てて
いますので、 生 産 者がハ ダ ニの防除 にどんなに苦慮 していても 使 用 基 準を超えて 農
薬の使用 をすることはできません。 抵抗性 の発現 した剤 やカブリダニに 影響のある
剤も う ま く組み 合わせて 使用することを考えなくてはなりません 。
カブリダニ が普及 し始めた 十 数 年 前には 殺ダニ 剤はカブリダニ にも影響 が あ る剤
が多々 あり、カブリダニ を定着させることは 容易ではありませんでした 。
近年 はマイトコーネ ・ダニサラバ ・スターマイト などカブリダニ に影響 の な いダ
ニ剤が 開発され 現地 でカブリダニの 普 及 試 験を安心 して 実施で き る よ う に な り ま し
た。
そこで 私が 約10 年 間 現 地 生 産 者のハウス を借 用して実施 し て き たカブリダニ に
よるいちごの ハ ダ ニ防 除 試 験の方法 と工夫 についての具 体 的な 事例をご 紹 介 致しま
す。
2
試験の 準備
1 .試験ハウス の選定
地域 の試 験 場・普及 セ ン タ ー・全農県本部 ・農協 などの 担 当 者の協力 を得て 選定
する。
2 .試 験 規 模
実 生 産 者のハウス で 1a~20a 規模 からハウス 1棟単位 で1~ 数 棟 使 用する。
3 .薬剤による 病害虫 の防除の 聴取
生産者 の慣 行 防 除 の中で カブリダニに影響 の あ る剤の有無 を チ ェ ッ クし影響 のあ
る剤の 使用を止 めてもらい別な剤を 提案する 。
4 .試 験 設 計
50
1 作期中 での主要防除対象病害虫の洗 い出し( ハダニ・ アザミウマ・アブラムシ・
う ど ん こ病が 主体)ハ ダ ニ防除 を主体 と し た防 除 計 画を提案 し実施 してもらう。 (試
験圃場 )
5 .事前の 準備
カブリダニ放飼 までに ハダニの発 生 状 況の チ ェ ッ クを2~3 回実施する 。
定植 から約1 ケ月間に 主要病害虫の防除や 摘葉などの 作業を 徹底してもらう。
ハダニ の発生 を極力「 0」に近くする 。
6 .カブリダニ放飼後 の対応
放飼後 1ケ 月~1 ケ月半 は7~10 日毎 にハ ダ ニとカブリダニ の調査 を実施 し特
に、1 ケ月以内 の病害虫防除は避けるか カブリダニに 配慮するようにお 願いする 。
7 .調査株 の選定
実施 するハ ウ スを 下見して 、1ハ ウ ス60 ケ所程度事前 に調 査 株を選定 し野帳 を
作成する 。(表 -1参照)
調査株 はハウス の畝と 支柱やパイプ の交点 としマーク し毎回同 じ株を 調査する 。
8 .調査票 の作成
調査票 は各試験圃場毎 に 作成し、 ハ ウ スの見取 り図・ハ ウ ス 内の調 査 畝を記載 す
ると共 に調 査 基 準や カブリダニの写真 な ど を添付 することで、 調査する 人が替 って
も誰でも 一定の 基準に従 って簡単・正確 に調査 ができることに成ります 。(1表 を参
照)
9 .調 査 方 法
日植防 の い ち ごハ ダ ニの 調 査 基 準に準じ 、4段階 の発生密度指数 で野帳 に記入 す
る。
ハダニ・ カブリダニの調査時 には他 の病害虫 の発 生 状 況もチ ェ ッ クする。
以上 、一般 に実施 さ れ て い る こ と で す が、調 査 結 果のフ ィ ー ド バ ッ ク をどのよう
にするかが生産者 や 普 及 指 導に当たっている 方との 信 頼 関 係を 構築で き る か否 かに
かかっています 。
3
調 査 結 果のフィードバック
1 .野帳の 可視化
ハダニ の調査 は指数 で記帳 、カブリダニ は実数 で記帳したものを 調 査 畝と株数 を
図にし 、指数 は色付け を す る(表 -1参照) カブリダニは実数 を記入し 色付け を す る。
これによつて ハ ダ ニやカブリダニが ハウス 内の ど こ に発生 し分布 しているか一目 で
判り又 、生 産 者に実物 を観察 してもらえるので効果 に対 して安心感 を与 へることに
な り ま す。
51
【調査ハウス:11m×45m】 2連棟
ナミハダニ
52
ミヤコカブリダ
チリカブリダニ
2 .野帳の グラフ化( 表-2参照 )
調 査 回 数を 重ねる 毎に結果 が集積 されるのでグ ラ フ化することが 出来 ま す の で、
色付け し た野帳 と合 わ せ て防 除 結 果(カブリダニ の活 動 実 態)を 確認す る こ と が で き
ます。
調査結果
表-2
11/2
11/8 11/16 11/23 11/30 12/12 12/26 1/9
1/23
2/6
2/20
3/6
3/19
4/4
4/18
ハダニ
24
70
80
94
38
14
69
50
53
51
37
18
1
0
0
ミヤコ
0
9
0
9
0
0
5
20
42
96
159
86
11
0
5
チリ
0
1
6
3
2
8
40
35
37
88
61
31
26
0
0
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
ミ
ヤ
コ
+
チ
リ
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
チ
リ
追
加
ハダニ
ミヤコ
ハダニの発生密度指数
ハダニとカブリダニの推移
ハダニとカブリダニの推移(Aさん)
チリ
成虫
ミヤコの卵
成虫
チリの卵
チリの卵
成虫
写 真-1
写 真 -2
ミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニの 定 着 状 況
チリカブリダニの定着状況
チリの成虫・幼虫・卵が観察される
ミヤコの成虫と卵が観察される
53
3 .次の調査 までの防 除 指 導
上記 の 1.2. で生産者 や指導に当 たる方々 と次回の 調査までの 病害虫防除に つ い て
のアドバイス を検討 し指示 できるので、カブリダニ を よ り定着 させることができま
す。
4 .ハダニ 防除のアドバイス
生産者 はカブリダニ が居 ると言っ て も簡単 に見 つけることが 出来な い の で ど う し
ても不安 に な り薬 剤 散 布するような 行動をとるのが 一 般 的な の で、その 際は気門封
鎖剤等 のス ポ ツ ト散布で ハダニの密 度 抑 制を 実施してもらうよう 指導を し ま す。
5 .カブリダニが定着 した葉の 観察
カブリダニが 定着し て い る葉を 1 枚もらい 持ち帰 り2~3 日後に観察 し写 真 撮 影
を す る と、現場 では 観察し に く い卵 や幼虫 を観察 で き る ので、 現 場 指 導の中で ハダ
ニが居 てもカブリダニ も観察 されるので薬 剤 散 布 を せ ず に次 回 調 査まで 待っ て い て
下さ い と お願いしたことに 対して間違 いなかったと確認 できるのです。(写真1 ,2)
上記 の作業 は言うが 易し 、行うは 難しと 思い ま す が、天 敵 類 がなかなか普及 しな
い要因 の一つ と し て 生 産 者と指導する 側との 信 頼 関 係が う ま く 構築さ れ て な い こ と
にあるように感 じています。
4
終わりに
農薬 の普 及 指 導に 携わ っ て お ら れ る方々 は前記 の こ と は誰もが 判っ て い る こ と で
すが実態 としてはどうなんでしょうか?
又、 生 物 農 薬(天敵)あ る い は IPM がな か な か普及 しない要因 は指導者 が異動 で短
年で替 わり一定 の指導 が出来 ないことにあると同時 に指 導 者も メ ー カ ーの担当 も利
害関係 を離れた 総合的な 指 導 体 制が 上手くとれないことにあると 思います 。
この 試 験 結 果の 活 用 方 法は埼 玉 県 東 松 山 農 林 振 興セ ン タ ーの 畠 山 修 一 先 生( 現 在
春 日 部 農 林 振 興セ ン タ ー) 等と 数 年に亘 って 現 地 試 験を実施 し 普 及 指 導を行 っ た際
に実践 した手法 です。
天敵 を生 産 者に上手 に使 って頂く に は天敵 を放飼 したら ペ ツ トを飼う の と同 じよ
うな気持 ちで天敵 を扱って 欲しいものだと常 々言っています。
54
進化する病害虫防除とIPM
東京農大総合研究所生物防除部会
和田 哲夫
IPM の基本的 な考え 方は、その 字義どおり イ ン テ グ レ イ ト“integrate” された
病害虫防除 ということである。PM はペスト ・マネイジメント である 。
インテグレイト とは、数学で い え ば積分 、つまり 集め て き て、足すこと 意味するが 、
一般的 には 、ラテン 語語源の「 統合した 」、「完全 なものにした」「融合 さ せ た」とい
う よ う な意味 で使われている。つまり、生物的防除、化学的防除 、物理的防除、耕種
的(栽培法 と種 による手法 )防除のどれかに重点 が置かれるわけではなく、そ れ ら の
技術 を統合 、融合させた マネージメント 、方法のことである 。
IPM は生 物 防 除の利用 から始 まった言葉 であるので、専門書などを 読むと 、まず
は 生 物 防 除を優先させてその後 、他の手法 もとりいれるなどと書かれているが 、手法
による 優劣 は基本的 にはないはずである。
それが 、いつの 間にか 、
生 物 防 除が優先 ということになってきたのは、オ ラ ン ダ
の 影響ともいえるが 、基本的には 、生物防除法が、化学防除法に く ら べ、脆弱感 があ
る 、別 の言い方 で い え ば、化 学 防 除を 優先した 場合、生 物 防 除の必然性 が低下するた
めと 考え ら れ る。
上記 の4種 の防除法の な か で、意識 しなくても実施していることは 、耕種的防除で
ある 。栽 培 作 物を決め、種子 を選択したところで 、すでに耕種的防除は ス タ ー トして
いるのである 。イモ 類などは葉菜類 、果樹 に比べ 、病害虫 プレッシャーは低 い。
果樹 も古い 品種、病害虫に 強い品種 を使えば 、防除圧 は低く し て も収穫 は可能 であ
る。
近年 の病害虫抵抗性品種の野菜 を使えば 、化 学 農 薬、生 物 農 薬とも必要 はなくなり、
遺 伝 子 組み 換え植物 も広い意味 ではIPM といえるのである。
無農薬栽培 が可能な 作物は、耕種的防除 により可能性 が高 まるわけである。
物理的防除 については、多くの 手法が あ る が、ガラスハウス、ネット、障 壁 作 物な
ども 部分的 には、物理的防除と い え る。一時 カリフォルニアでは ヴァキュームクリー
ナー の よ う な害虫吸 い取り機が 出現したが 、まさに 物理的手法である 。
近年 、日本、ア メ リ カでは 、生 物 農 薬と化 学 農 薬 をミ ッ ク スしてハイブリッド 農薬
と 称したり 、また生 物 農 薬と化 学 農 薬のローテイション により 、高い防 除 効 果を 実現
55
し て い る例 もでてきている。
こ れ ら は、まさに IPM そのものといえるのだが 、ハイブリッドとしたほうが 、よ
り 現代的、 先進的に 聞こえるところがあるようだ。
グッドアイデア といえるのはないだろうか。マーケティング の力である 。
初期 の生 物 防 除においては、化 学 農 薬の使用 を控える、あ る い は忌避 しているよう
な 指導も見 ら れ た が、当時 は、生 物 農 薬、生 物 資 材と一緒に 使えるような化 学 農 薬の
種類 が少なかったことも 遠因で あ ろ う。
現代 では、天敵に影響 のすくない剤で 、ダニ や、スリップス、アブラムシなどの 密
度 を か な り下げ て か ら(ゼロ放飼 と呼ばれている )、天 敵 昆 虫を放飼 することが一般
的 になってきている。
これは 天敵 に影響の少 ない化 学 農 薬が開発 されてきたことにより、可能 に な っ た手
法 である。
このような 影響のすくない剤がない 場合 、毎週 、天敵 を追 加 放 飼することでも オラ
ンダ で見られるように 、かなり 安定した 防 除 効 果を上げることは可能 で は あ る。
ツヤコバチ やアブラバチなどはそのいい 例である 。ただし配送 のコスト と手間 がか
かるためある 程度の 規模の栽 培 面 積が必要 となる 。
2 0 0 0年代 に入っ て か ら、天敵を 利用した 生 物 防 除が 野菜、花の施 設 栽 培では 普
遍化 、通常化 してきているが(少な く と も、西ヨーロッパ(EU 諸国+ 東欧の一部 )、
カナダ 、日本 においては)、野外 の作物での 実 用 化はまだ 実現してはいない。
しかし 、欧州 のIOBC(国際生物防除機構)の 野 外 作 物での生物防除研究会 など
ではすでに 20年以上 、オ リ ー ブ、柑橘 な ど で の試験を重 ねてきている。
ブ ラ ジ ルでも 、大規模 な農 業 法 人により 、トウモロコシな ど で の生 物 防 除が実現 し
て い る とサンパウロ 大学からの 報告はあるものの 、日本 が参考 に し や す い先 進 性は 、
EU, 北米 での実現例 にある。 ただし、 野外での 作物 での生 物 防 除 が進 ま な い の は、
決 して効果 だけの問題 ではないのである。
野外 での生 物 防 除が進 みにくいのは、防除 コストがかけられないという 理由があり 、
より 低コスト での天 敵 生 産、微生物醗酵生産 の 実現に よ り 、実現 する 可 能 性は高 い。
病害虫防除法 は進化し て い る。
以下 にナス やピ ー マ ン、イチゴ での 防除の変遷 を示す。これも 進化の 例といえなく
もない 。
害虫 の化 学 農 薬への抵抗性 が高 まり、それを 克服するために、新規の 剤が開発 され
る こ と が繰 り返されている。生 物 防 除に お い て抵 抗性が認 められたことはない。(除
く タ ン パ ク質農薬)
56
もし
抵抗性 が認められれば、ダーウィン の進化論 に適合する 初めての 例証となる
の で あ る。ただし 、害虫 サイドからの 忌 避 運 動、随伴 アリなどによる妨害 は、進化 で
はなく 、人類出現以前 に獲得された 形質 である。
日本 での例
ハウスナス、ピ ー マ ン、イチゴ な ど で のアザミウマ 、コナジラミ、ハ
ダニ 防除の 変遷の概略
年代
主要防除法 と薬剤、天敵 の種類
1 9 7 0年代
カーバメート 剤、有機 リン剤
1 9 8 0年代
有機 リン剤 、カーバメイト剤、 ピレスロイド剤
1 9 9 0年代
B P M C剤 、ネオニコチノイド、昆虫生育調節剤、チ リ カ ブ
リダニ
2 0 0 0年代
ネ オ ニ コ、タイリクヒメハナカメムシ、ツヤコバチ 、ミヤコ
カブリダニ 、ボーベリア剤,
天敵に影響 の少ない ダニ剤 、
殺虫剤 、殺菌剤
2 0 1 0年 代 以 降
スワルスキーカブリダニ 、タバコカスミカメ、ボーベリア剤 、
天敵影響少薬剤
オ ラ ン ダ、ス ペ イ ンでの 施設での 病害虫防除の変遷 の概略
1 9 7 0年代
有機 リン剤 、カーバメイト 剤、オンシツツヤコバチ 、アブラ
バチ 、チリカブリダニ
1 9 8 0年代
サバクツヤコバチ、昆虫生育調節剤
1 9 9 0年代
ミヤコカブ リダニ、欧州種ヒメハナカメムシ、タバコカスミ
カメ 、ネオニコチノイド
2 0 0 0年代
違法化学農薬残留の問題 による 生 物 防 除への移行 (スペイ
ン )、花での 生 物 防 除
2 0 1 0年代
スワルスキーカブリダニ (パ プ リ カ)の 安定的利用
以上
57
ヨーロッパにおける捕食性カスミカメムシ類の利用の現状と問題
近畿大学 農学部 昆虫生態制御学研究室
矢野 栄二
1 .は じ め に
カスミカメムシ類 は雑食性で 、害虫となっている 種も多いが 、吸汁性捕食性天敵と
しての 有効性 から、最近 、世界的に 施 設 園 芸害虫の生物的防除 に お い て利用が拡大 し
ている 。今回 は利用が 普及し て お り、研究の 蓄積が多 いヨーロッパでの カスミカメム
シ 類の利用 とそれに 関連する研究 の現状 に つ い て述べる。地中海地方 では、土着 のカ
ス ミ カ メ ム シ 類 が 数 種 知ら れ て い る が 、 特 にタ バ コ カ ス ミ カ メ Nesidiocoris tenuis
(Reuter)および Macrolophus pygmaeus (Rambur)が、 広く利用 されている。タバコカス
ミカメ はわが 国でも 西 南 暖 地で 土着しているが、野外 での生 息 密 度はそれほど高 くな
い 。M. pygmaeus はわが 国には 分布していない 。世界で 生 物 農 薬として販売 、
利用 されている捕食性 カスミ カ メ ム シはタバコカスミカメ、Macrolophus pygmaeus 、
Dicyphus hesperus の 3 種で あ る が(Bueno and van Lenteren 私信 )、タバコカスミカメ
は 2004 年 からヨーロッパとア フ リ カ、 M. pygmaeus は 1994 年 からヨー ロッパで 施
設栽培 トマト のコナ ジラミや トマトキバガの防除 に広く 利用されている。 筆者は
2012 年 9 月 にシ シ リ ー島のカターニア で開催された IOBC/WPRS の施 設 園 芸総 合 防 除
地中海 グ ル ー プの研 究 集 会に参加 し た の で、その 際の発 表 内 容も一 部 紹 介する 。
カターニアの中心部
研究集会の会場
懇親会での筆者
58
2 .タバコカスミカメ
2 -1.
生活史
タバコカスミカメに、スジコナマダラメイガ卵を 餌、トマト 葉を産 卵 基 質として 与
えると 、卵、幼虫 の有 効 積 算温度 はそれぞれ 148.6 、182.3 日度、発 育 零 点はそれぞれ
10.3、11.7 ℃で あ っ た。25℃では 卵期間 は 9 日、幼 虫 期 間は 13 日である 。生涯総産卵
数 は 20 ~35℃で 60~ 80 卵 で あ っ た(Sánchez et al., 2009) 。トマト 、ナス 、ピ ー マ ン葉
のみで 飼育 すると、成虫 まで発育 を完了できないが 、スジコナマダラメイガ卵を 与え
ると 発育を 完了する (Urbaneja et al., 2005)。 タバコカスミカメは非 休 眠 性で、発育零
点 は 12.9 ℃である (Hughes et al., 2009) 。 5℃で は 9 日間 で半数 、4 週 間 以 内ですべ
て 死亡し、 4.0℃の低温 と 43.5℃ の高温で 動きが 停止する (Hughes et al., 2010)。 した
がって 、タバコカスミカメは北欧 では野外 では定着 で き な い、高温に適応 した種 と思
われる (Hughes et al., 2009) 。
2 -2. 捕 食 習 性
タバコカスミカメは、地中海地域では 、コナジラミ類、ハモグリバエ 類、ア ザ ミ ウ
マ 類、ハダニ 類の野外 の制 御 要 因として重要 である (Urbaneja et al., 2005) 。チョウ 目昆
虫 の卵や幼虫 も捕食 する。タバコカスミカメは餌 の い な い条件で M. pygmaeus と 同居
さ せ る と M. pygmaeus を捕食した (Perdikis et al., 2009) 。トマト 温室で採集 したタバコ
カ ス ミ カ メ は コ ナ ジ ラ ミ 類 だ け で な く 、 チ チ ュ ウ カ イ ツ ヤ コ バ チ や Encarsia
pergandiella に寄生 された コナジラミ類も捕食 し て い る こ と がDNAマ ー カ ーにより
確認 された (Moreno-Ripoll et al., 2012) 。
2 -3. トマト への 加害
タバコカスミカメは、トマトに 茎や葉に リング状 の壊死をもたらし 、花や果実 の発
育不良 を引 き起こす が(Calvo et al., 2009; Perdikis et al., 2009) 、トマト はある 程 度 補 償
作用 を示す (Sánchez and Lacasa, 2008 )。被害は タバコカスミカメの密度と と も に増大
し 、コナジラミ密度 が高まると 減少する 。温度 が高く な る と被害も 増大する (Sánchez,
2008, 2009) 。被害 はタバコカスミカメの累積存在個体数 CNN やコナジラミ 密度に対
する タバコカスミカメ密度の比 で予測できる (Sánchez and Lacasa, 2008; Sánchez, 2009)。
利用 の際は 、トマト への被害を あ ま り出 さずにコ ナ ジ ラ ミを 効 率 的に防除 す る た め 、
カスミカメムシ 類の 放 飼 密 度を 調整したり 、カスミカメムシ類 の密度が 高く な っ て被
害 が出始めると 殺虫剤 で殺す な ど の対策 が講じられている 。
2 -4. 室 内 増 殖
タバコカスミカメの大 量 増 殖は、ヨーロッパでは 、スジコナマダラメイガ卵を 餌と
して 、タバコ を産 卵 基 質として 行われている。タバコ は吸汁源 および産卵 に利用され 、
スジコナマダラメイガ 卵は幼虫 の発育と 成虫の産卵 には好適 な餌である 。湿らせた 綿
を パラフィルムでくるんだ人工産卵基質 が開発さ れ て い る(De Puysseleyr et al., 2012)。
59
人 工 飼 料と 人工産卵基質を利用 した植物 なしの飼育 も成功 したが、卵の 孵化率が 低下
し 成虫が小型化 した 。スジコナマダラメイガ 卵にショ 糖を加えると スジコナマダラメ
イガ 卵の量 を減ら し て も同様に 飼育できる (Urbaneja-Bernat et al., 2012) 。 なお
Macrolophus caliginosus では 肉を ベースにした 人 工 飼 料による 飼育が成功 し て い る
(Castañé and Zapata, 2005) 。
2 -5. トマト のコナジラミ 類を防除 するための利用法
定植後 m2 当たり 1 -2 頭の 密度で 3、4 週 間 放 飼する利用法 が確立 されている(Calvo et
al., 2009)。欠点 は定着 に 5 -8 週を 要することである 。そ の た め定植前の 育苗期放飼が
試 みられている(Calvo et al., 2012) 。また定着 を良くするため、スジコナマダラメイガ
卵 、Artemia(ホウネンエビ )のシスト (Oveja et al., 2012)、 ショ糖 水 溶 液の散布
(Urbaneja-Bernat et al., 2012)なども 提案されている 。ス ペ イ ンで土着 のキク科雑 草
Dittrichia viscosa は、タバコカスミカメの リ フ ー ジ植物と考 え ら れ る(Cano et al., 2009)。
なお 外部から 温室に 自然に侵入 する土着 の個体群 を利用する 方法もある 。
3 . Macrolophus pygmaeus
3 -1. Macrolophus pygmaeus と M. caliginosus に つ い て
M. pygmaeus は、 近縁種 M. caliginosus Wagner と極 めて形態 が類似しているため 、
トマト で使用 されてきた M. caliginosus と呼ばれてきた 種は、実際 は M. pygmaeus で
あったことが 最 近 判 明した。地中海地域 では M. caliginosus(シ ノ ニ ム M. melanotoma )
は 、キク 科雑草 Dittrichia viscosa で見られる 。M. pygmaeus と M. caliginosus を識別 す
る DNA マ ー カ ーも開発 されている (Castañé, et al., 2012) 。
3 -2. 生物学的特性
本種は、 トマトの果実 を吸 汁 加 害する 。トマト やナスのみで 成虫 まで発育を 完了で
き 、特にナス で は あ る程 度 産 卵する(Perdikis and Lykouressis, 2004)。しかし コ ナ ジ ラ
ミ やモモアカアブラムシなどを 同時に与 えた方が 発育が速 くなる(Perdikis and
Lykouressis, 2000) 。ミ ツ バ チの花粉 も接触し 、発育を 完了できる (Perdikis and
Lykouressis, 2000)。コナジラミ類、ハダニ 類、アブラムシ類 、ハモグリバエ類に 対し
て 防 除 効 果がある。
4 .お わ り に
カターニアでの研 究 集 会では 、トマトキバガ の生態 と防除に 関する報告 が非常 に多
かった 。本種 は南 米 原 産で最近ヨーロッパ に侵入し 問題となっている 。幼虫は穿孔性
で 難防除害虫と思われる 。わが国 では未発生 で あ る が、警戒 を要する 。多食性の 捕食
者 である、カスミカメムシ 類、ヒメハナカメムシ類、スワルスキーカブリダニに 関す
る 報告はその 次に多 かった。多食性天敵は種 々の害虫 の防除に 対応できるので使 いや
すいが 、他種 の天敵 と併用する 場合、IGP などの 問題を検討 する必要 がある。
60
引用文献
Calvo, J., Bolckmans, K., Stansly, P.A. and Urbaneja, A. (2009) Predation by Nesidiocoris
tenuis on Bemisia tabaci and inju ry to tomato. BioControl 54: 237-246.
Calvo, F.J., Bolckmans, K. and Belda, J.E. (2012) Release rate for a pre-plant application of
Nesidiocoris tenuis for Bemisia tabaci control in tomato. BioControl 57: 809-817.
Cano, M., Villa, E., Janssen, D., Bretones, G., Salvador, E., Lara, L. and Tellez, M.M.
(2009) Selection of refuges for Nesidiocoris tenuis (Het.: Miridae) and Orius
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Bulletin 49: 281 -286.
Castañé, C. and Zapata, R. (2005 ) Rearing the predatory bug Macrolophus caliginosus on a
meat -based diet. BioControl 34: 66-72.
Castañé, C., Agustí, N., Arnó, J., Gabarra, R., Ruidavets, J., Comas, J. and Alomar, O.
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De Puysseleyr, V., De Man, S., Hofte, M. and De Clercq, P. (2012) Plantless rearing of the
zoophytophagous bug Nesidiocoris tenuis. BioControl 58: 205-213.
Hughes, G.E., Bale, J.S. and Sterk, G. (2009) Thermal biology and establishment potential in
temperate climates of the predatory mirid Nesidiocoris tenuis. BioControl 54:
785-795.
Hughes, G.E., Alford, L., Sterk, G. and Bale, J.S. (2010) Thermal activity t hresholds of the
predatory miri d Nesidiocoris tenuis: implications for its efficiency as a biological
control agent. BioControl 55: 493-501.
Moreno-Ripoll, R., Gabarra, R., Symondson, W.O.C., King, R.A. and Agustí , N. (2012)
Trophic relationships between predators, whiteflies and their parasitoids in tomato
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Oveja, M.F., Arnó , J. and Gabarra, R. (2012) Effect of supplemental food on the fitness of
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Perdikis, D., Fantinou, A., Garantonakis, N., Kitsis, P., Maselou, D. and Panagakis, S.
(2009) Studies on the damage potential of the predator Nesidiocoris tenuis on tomato
plants. Bulletin of Insectology 62: 41 -46.
Perdikis, D. and Lykouressis, D. (2000) Effects of various items, host plants, and
temperatures on the development and survival of Macrolophus pygmaeus Rambur
(Hemiptera: Miridae). Biological Control 17: 55-60.
Perdikis, D. and Lykouressis, D.P. (2004) Macrolophus pygmaeus (Hemiptera: Miridae)
population parameters and biological characteristics when feeding on eggplant and
tomato without prey. Journal of Economic Entomology 97: 1291 -1298.
Sánchez, J.A . (2009) Density thresholds for Nesidiocoris tenuis (Heteroptera: Miridae) in
61
tomato crops. Biological Co ntrol 51: 493-498.
Sánchez, J.A . and Lacasa, A. (2008) Impact of the zoophytophagous plant bug Nesidiocoris
tenuis (Heteroptera: Miridae) on tomato yield. Journal of Economic Entomology 101:
1864-1870.
Sánchez, J.A ., Lacasa, A., Arno, J., Castañé, C. and Alomar, O. ( 2009) Life history
parameters for Nesidiocoris tenuis (Reuter) (Het., Miridae) under differ ent
temperature regimes. Journal of Appl ied Entomology 133: 125-132.
Urbaneja, A., Tapia, G. and Stansly, P. ( 2005 ) Influence of host plant and prey availability
on developmental time and survivorship of Nesidiocoris tenuis (Het.: Miridae).
Biocontrol Science and Technology 15: 513 -518.
Urbaneja-Bernat, P., Alonso, M., Tena, A., Bolckmans, K. and Urbaneja, A. (2012) Sugar as
nutritional supplement for the zoophytophagous predator Nesidiocoris tenuis.
BioControl 58: 57 -64.
62
ペンチオピラドの生物農薬への影響
三井化学アグロ(株)
農業化学研究所
1
ペンチオピラドの生物農薬(糸状菌原体)への影響
1.試験期間:2009年3月9日~3月25日
2.試験薬剤:ペンチオピラド原体 ( Lot.21001111 三井化学製)
生物農薬1.ボタニガードES<ボーベリア・バシアーナ乳剤>有効期限:2009年9月
(1.6×10 10 /ml 含有)
アリスタライフサイエンス(株)
生物農薬2.マイコタール<バーティシリウム・レカニ水和剤> 有効期限:2009年3月
(3.0×10 9胞子 /g 含有) アリスタライフサイエンス(株)
生物農薬3.タフパール<タラロマイセス・フラバス水和剤> 有効期限:2010年2月
(5×10 8CFU /ml含有)
出光興産(株)
3. 試験濃度: 各濃度区3反復
ペンチオピラド原体;100, 25, 12.5, 6.3, 0ppm(実用濃度は100ppm)
(実用濃度);生農1;500倍希釈、生農2;1000倍希釈、生農3;3000倍希釈
4.試験方法:予めアセトンに溶解したペンチオピラドを用い、前述濃度を含むPDA寒
天平板を各々調製し、平板上に実用濃度の各生物農薬(糸状菌原体)希釈液を
滴下接種し24℃で培養した。希釈液が寒天平板上で広がった範囲を、平板シャー
レ裏に黒マジックでマーキングして、この範囲内で生物農薬の発芽を観察し(接種4日
後)、菌糸生育(伸長)は遅いので接種16日後に接種範囲外で観察評価した。
2
63
ペンチオピラドの生物農薬(糸状菌原体)への影響
5.結果及び考察
試験結果は営業支援用に分かりやすいように、図1~3に写真で示した。
ペンチオピラドはボタニガードES<ボーベリア・バシアーナ菌>とマイコタール<バーティシリウム・レ
カニ菌> の発芽、菌糸生育に対して影響を及ぼさなかった。
一方、タフパール<タラロマイセス・フラバス菌> に対しては、観察では7日程度の発芽遅
延を生じさせた。しかしながら、 接種16日後には各試験濃度区で(濃度に依存
せず)無処理区の半分ぐらいは菌糸生育していた。この事から、一端発芽した後
の菌糸生育阻害力に関してはそれほど強くは無く、ペンチオピラドが散布された後
のタフパール散布では7日程度の発芽遅延が起こるが、タフパール散布1週間後の菌
糸伸長が完全に始まった後にペンチオピラドが散布された場合は、タフパール原体タラ
ロマイセス・フラバス菌の生育を殆ど阻害しないものと考えられた。
3
(図1)ペンチオピラドの生物農薬への影響
ボーベリア・バシアーナ乳剤(ボタニガードES )
(参考:対象害虫)
・トマト&ミニトマト&キュウリのコナジラミ類
・ナス&ピーマンのアザミウマ類
・野菜類のコナガ
(参考:同原体の別商品)
・バイオリサ・マダラ、ボーベリアン
接種4日後の胞子発芽への影響
ボタニガードESの実用濃度500倍の
希釈液を滴下接種
ペンチオピラド濃度(ppm)
100
50
25
12.5 6.3 0
接種16日後の菌糸生育への影響
4
64
(図2)ペンチオピラドの生物農薬への影響
バーティシリウム・レカニ水和剤(商品名:マイコタール)
(参考:対象害虫)
・野菜類のコナジラミ
・キクのミカンキイロアザミウマ
(参考:同原体の別商品)
・バータレック
接種4日後の胞子発芽への影響
マイコタールの実用濃度1000倍の
希釈液を滴下接種
ペンチオピラド濃度(ppm)
100、 50、 25
12.5、 6.3、 0
接種16日後の菌糸生育への影響
5
ペンチオピラドの生物農薬への影響(3)
タラロマイセス・フラバス水和剤(商品名:タフパール)
(参考:同原体の対象病害)
・イチゴ(うどんこ病、炭そ病)
・トマト&ミニトマト(葉かび病)
(参考:同原体の別商品)
・バイオトラスト水和剤、タフブロック
接種4日後の胞子発芽への影響
タフパールの実用濃度2000倍の
希釈液を滴下接種
ペンチオピラド濃度(ppm)
100、 50、 25
12.5、 6.3、 0
接種16日後の菌糸生育への影響
6
65
66
年
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
回
0
1
2
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8
9
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14
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10
10
10
10
10
9
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10
9
10
10
8
5
10
4
10
月
宮城
静岡
佐賀
神奈川
静岡
沖縄
茨城
愛知
鹿児島
新潟
長野
千葉
福島
神奈川
東京
兵庫
熊本
仙台
熱海
嬉野
平塚
伊豆
那覇
つくば
豊橋
鹿児島
豊浦
戸倉上山田
千葉
福島
平塚
東京
神戸
熊本
戦災復興記念館
ホテル池田
和多屋別荘
全農 営農・技術センター
三楽荘
沖縄県研究センター
つくば国際会議場
ホテルアソシア豊橋
鹿児島東急ホテル
月岡温泉 ホテル泉慶
温泉旅館
―
飯坂温泉 ホテルじゅ楽
神中ホテル
北とぴあ日植防と共同開催
神戸市立フルーツ、フラワーパーク
県民ホール
開催地
日本バイオロジカルコントロール協議会 研修会/講演会履歴
圃場見学なし
神奈川農試見学
佐賀農家見学
グランドホテル神奈中
現地研修なし
パシフィックホテル沖縄
宿泊なし
現地トマト研修
鹿児島茶業試験場分場など
現地イチジク
フェロモン、微生物など
宿泊なし
フェロモンなど
現地研修イチゴ、トマト
ハダニの生物防除
近畿における生物防除
九州での生物防除
微生物防除剤協議会シンポジウムとの共同開催
IPM(総合的病害虫防除)に関する講演会
先進的病害虫防除・農業技術についての講演会
現地研修なし
イチゴの生物防除中心
現地 グリーニング、天敵生産見学
土着天敵の実用化
シルバーリーフ対策など
お茶の害虫防除 フェロモンとウイルス
天敵昆虫、天敵線虫製剤
微生物農薬に焦点
外来生物導入など
バイオコントロール研修会
農家サイドからの天敵利用
世界の生物防除について
第2回天敵利用研修会
第1回天敵利用研修会
注記 (副題)
バイオコントロール誌バックナンバー 目次
1997年
Vol.1 No.1
1.
はじめに (会長:浅利文昭)
2.
発刊によせて(農林水産省 植物防疫課長 古茶 武男)
3.
発刊によせて(日本植物防疫協会 常務理事 岩本 毅)
4.
導入天敵の安全性と品質管理(ワーゲンニンゲン農科大学昆虫学部教授 Dr.J.C.フ
ァン・レンテレン)
5.
最近のIOBCの動きについて(九州大学 農学部教授 農学博士 広瀬 義躬)
6.
オランダの天敵研究と利用(岡山大学資源生物化学研究所助教授 農学博士 村
井 保)
7.
天敵利用に関する農家の意識について-アンケート結果をもとに-(宮城県農業技
術課 技術主任 増田 俊雄)
8.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 脇田 鎮夫、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
9.
正会員各社の開発品紹介
10. 海外天敵メーカーの紹介 ベルギー バイオベスト社
Vol.1 No.2
1.
天敵病原性線虫の利用(佐賀大学農学部教授 農学博士 石橋 信義)
2.
学会誌登載論文から垣間見る我が国の天敵事情(千葉大学 園芸学部 応用動物
昆虫学研究室教授 農学博士 天野 洋)
3.
先進国での天敵利用と我が国の導入天敵利用上の問題点(埼玉県園芸試験場 農
学博士 根本 久)
4.
微生物除草剤について(日本たばこ産業株式会社 アグリ事業部顧問 農学博士
山田 昌雄)
5.
ククメリスカブリダニの利用(兵庫県立中央農業技術センター 主任研究員 足立
年一)
6.
世界におけるバイオコントロール業界団体について(株式会社トーメン 生物産業部
和田 哲夫)
7.
天敵利用に関する農家の意識について(宮城県農業技術課 技術主任 増田 俊
雄)
67
8.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 脇田 鎮夫、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
9.
正会員各社の商品紹介-日本たばこ産業株式会社
10. 海外天敵メーカーの紹介 イギリス-ノバルティスBCM社
1998年
Vol.2 No.1
1.
微生物農薬の安全性評価ガイドラインについて (生物系特定産業技術研究推進機
構 農学博士 岡田 斉男)
2.
菌食性線虫 Aphelenchus avenae による土壌糸状菌病害の防除(佐賀大学 農学
博士 石橋 信義)
3.
イネウンカ類の天敵カタグロミドリメクラガメ(九州農業試験場 害虫管理システム研
究室 農学博士 鈴木 芳人)
4.
カリフォルニア大学における生物的防除研究の現状(九州大学 農学部生物的防除
研究施設 農学博士 高木 正見)
5.
海外における 微生物除草剤の研究開発の現状(日本たばこ産業株式会社 植物
保護開発センター 農学博士 郷原 雅敏)
6.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 脇田 鎮夫、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
7.
正会員各社の商品紹介 アグロスター有限会社、 サンケイ化学株式会社
8.
海外天敵メーカーの紹介 オランダ コパート社
Vol.2 No.2
1.
カリフォルニアの天敵産業(九州大学 農学部生物的防除研究施設 農学博士 高
木 正見)
2.
昆虫糸状菌を用いた施設野菜害虫の防除(宮崎県総合農業試験場 主任技師 黒
木 修一)
3.
施設トマトにおける天敵(オンシツツヤコバチ剤)利用による防除作業の省力化(神
奈川県農業総合研究所 技師 深山 陽子)
4.
農家側からみた天敵利用の現状と課題(神奈川県天敵利用研究会 会長 石川
榮一)
5.
フェロモンによる害虫防除(信越化学工業株式会社 小川 欽也)
68
6.
捕食・寄生性昆虫文献データベースの紹介(筑波大学 農林学系 農学博士 戒能
洋一)
7.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 脇田 鎮夫、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
8.
正会員各社の商品紹介-信越化学工業株式会社
1999年
Vol.3 No.1
1.
オオタバコガの性フェロモンによる発生の把握と卵寄生蜂による防除(鹿児島県農
業試験場 大隅支場 畑作病虫研究室 上和田 秀美)
2.
現場からのIPM便り-ある地域集団での取り組みの記録-(広島県立農業技術セ
ンター 林 英明)
3.
我が国の天敵農薬利用に向けた取り組みと国際情勢(農林水産省 農薬検査所
松本 信弘)
4.
害虫管理における天敵と化学農薬の調和-薬剤の検定及びその利用方法(埼玉県
園芸試験場 農学博士 根本 久)
5.
第7回無脊椎動物病理学会ならびに微生物的防除国際会議に参加して(東京農工
大学 農学部 農学博士 国見 裕久)
6.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 吉田 俊彦、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
7.
正会員各社の商品紹介 株式会社 クボタ
Vol.3 No.2
1.
チリカブリダニによるいちごのハダニ類防除事例-普及は可能か?(宮城県園芸試
験場 環境部 増田 俊雄)
2.
第4回 植物ダニ類に個体群動態に関する国際シンポジュウム(トモノアグリカ研究
顧問 森 樊須)
3.
IOBC/WPRSの施設IPMの集会に参加して(九州大学 農学部 生物防除的防
除研究施設 広瀬 義躬)
4.
IOBCの国際会議講演摘要(株式会社 トーメン 緒方 陽子)
5.
施設におけるフェロモン剤の利用(高知県農業技術センター 高井 幹夫)
6.
地域基幹農業技術体系実用化研究について、及び静岡県の温室メロンつる割病の
生物的防除(静岡県農業試験場 病害虫部 市川 健)
69
7.
静岡県のトマトにおける害虫の生物的防除(静岡県農業試験場 病害虫部 小澤
朗人)
8.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 吉田 俊彦、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
9.
正会員各社の商品紹介-株式会社 エス・ディー・エス バイオテック
2000年
Vol.4 No.1
1.
微生物農薬開発の現状と問題点(元島根大学 農学部教授 農学博士 駒田 旦)
2.
私と天敵との関わり-その難しさ-(静岡県柑橘試験場 古橋 嘉一)
3.
半促成ナス栽培における主要害虫(アザミウマ、アブラムシ類)の生物的防除(兵庫
県立中央農業技術センター 環境部 足立 年一)
4.
いちごのハダニ類に対するチリカブリダニの効果について(広島県油木地域農業改
良普及センター福山支所 伊藤 栄治)
5.
選択性殺虫剤を利用した天敵の上手な利用方法(ノバルティスアグロ株式会社 マ
ーケッティング本部殺虫剤推進部 橋野 洋二)
6.
「芝市ネマ」(株式会社 クボタ 技術開発本部 BB-PT 植地 俊仁)
7.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 吉田 俊彦、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
8.
正会員各社の商品紹介 株式会社 キャッツアグリシステムズ
Vol.4 No.2
1.
IPMに基づく果樹病害虫防除の方向性と対策(農林水産省果樹試験場 足立 礎)
2.
複合交信撹乱剤の広域処理と殺虫剤削減-モモにおける一事例-(福島県果樹試
験場 荒川 昭弘)
3.
土着天敵を利用したりんご園のハダニ類個体群管理(福島県果樹試験場 岡崎 一
博)
4.
外来生物の定着の現状と問題点を考える(静岡県農業試験場 池田 二三高)
5.
宮崎県の施設栽培のキュウリにおける害虫の生物防除(宮崎県農業総合試験場
黒木 修一)
6.
天敵を利用したIPM普及のための総合支援システム-天敵カルテ-(株式会社トモ
ノアグリカ 石井 俊彦)
70
7.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 吉田 俊彦、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
2001年
Vol.5 No.1
1.
露地ナス栽培でに総合的害虫管理 -実証試験の展開- (宮崎大学 農学部 大
野 和郎)
2.
外来生物導入をめぐる議論の生物学的背景(1) (九州大学 大学院 農学研究院
高木 正見)
3.
天敵アラカルト (日本植物防疫協会研究所 高木 一夫)
4.
静岡県中部のいちご・天敵試験、中間検討会の様子 (株式会社トモノアグリカ 石
井 俊彦)
5.
研修会天敵分科会での話題 (株式会社トーメン 鎌田 潤)
6.
随想-自然、神への祈り (信越化学工業株式会社 エグゼクティブチーフリサーチ
ャー 小川 欽也)
7.
随想-日本のメクラカメムシ、霞(カスミ)となって雲散霧消 (プラント・プロテクショ
ン・コンサルタント 下松 明雄)
8.
天敵に対する農薬の影響について(トーメン 吉田 俊彦、トモノアグリカ 石井 俊
彦)
9.
正会員各社の商品紹介 セントラル硝子株式会社
10. 天敵カルテ記入用紙
Vol.5 No.2
1.
微生物防除剤について (埼玉県農林総合研究センター 根本 久)
2.
微生物殺菌剤による作物害虫防除 (長野県野菜花き試験場 小木曽 秀紀)
3.
昆虫病原糸状菌製剤の特性と使い方 (荷や技研農業・園芸総合研究所 増田 俊
雄)
4.
協議会正会員各社の取り扱い微生物防除剤紹介
5.
外来生物導入をめぐる議論の生物学的背景(2) (九州大学 大学院 農学研究院
高木 正見)
6.
カブリダニの野外における利用 (京都大学大学院農学研究院 高藤 晃雄)
7.
天敵アラカルト 続編 (日本植物防疫協会研究所 高木 一夫)
71
8.
随想-生物農薬の使用は孫子の兵法で (プラント・プロテクション・コンサルタント
下松 明雄)
9.
随想-明日があるさ (トモノアグリカ 石井 俊彦)
10. 随想-花ざかりの森前夜 (アリスタライフサイエンス ティエム 和田 哲夫)
11. 天敵に対する農薬の影響について
12. 正会員各社の商品紹介 片倉工業株式会社
13. 天敵カルテ記入用紙
2002年
Vol.6 No.1
1.
ネコブセンチュウに対する生物農薬パストリア水和剤の防除効果と効率的利用(茨
城県農業総合センター 上田 康郎)
2.
チリカブリダニを利用した加温促成オウトウのナミハダニ防除(宮城県農業・園芸総
合研究所 宮田 将秀)
3.
静岡県のチャ害虫における生物防除-その効果と問題点-(静岡県茶業試験場
小杉 由紀夫)
4.
オランダと長野県における天敵利用(長野県野菜花き試験場 小林 荘一)
5.
数種の重要なコナジラミに寄生する Encarsia 属の寄生蜂とその任意高次寄生(前山
口大学教授 梶田 泰司)
6.
天敵アラカルト 続々編(日本植物防疫協会研究所 高木 一夫)
7.
随想-杉の花粉症と沖縄(アリスタライフサイエンス 顧問 下松 明雄)
8.
正会員会社の商品紹介(アリスタライフサイエンス(株))
9.
天敵に対する農薬の影響について
10. 天敵カルテ記入用紙
Vol.6 No.2
1.
デジェネランスカブリダニを利用した施設ピーマン栽培におけるアザミウマ類防除の
可能性((社)日本植物防疫協会研究所 高木 豊)
2.
いちごにおける複数天敵等の導入の試み(宮城県農業・園芸総合研究所 宮田 将
秀)
3.
IOBC/WPRS NRS合同会議「施設園芸総合防除」に参加して(中央農業総合研
究センター 矢野 栄ニ)
4.
オランダにおける天敵産業と天敵の利用(沖縄県農業試験場 安田 慶次)
72
5.
随想-カラスと天敵(アリスタライフサイエンス 顧問 下松 明雄)
6.
随想-無登録農薬と無登録資材に思う(アリスタライフサイエンス 和田 哲夫)
7.
正会員会社の商品紹介(シンジェンタジャパン(株))
8.
天敵に対する農薬の影響について
9.
天敵カルテ記入用紙
2003年
Vol.7 No.1 No.2 合併号
1.
天敵線虫 Steinernema carpocapsae によるイチジクのキボシカミキリ防除(兵庫県
立農林水産技術総合センター 山下 賢一)
2.
果樹園における昆虫病原性線虫 Steinernema carpocapsae の(福島県果樹試験場
岡崎 一博)
3.
わが国における昆虫病原ウイルス利用の過去・現在・未来(東京農工大学農学部
国見 裕久)
4.
異種の性フェロモンを混合して利用する際の問題点(東京大学農学生命科学研究
科 田付 貞洋)
5.
天敵を利用した苺栽培(静岡県三島市 藤澤 鎭生)
6.
天敵導入による農薬削減を消費者に伝えるために(株式会社ジーピーエス 那須
豊)
7.
新規微生物殺菌剤 インプレッション水和剤(株式会社エス・ディ・エスバイオテック・
つくば研究所 藤井 賢一)
8.
農薬における天敵ウイルスの利用について(アリスタライフサイエンス株式会社 和
田 哲夫)
9.
随想 ブライトンからグラスゴーへ(アリスタライフサイエンス株式会社 技術顧問
下松 明雄)
10. 随想 異国情緒の意味(株式会社エス・ディ・エスバイオテック 山中 聡)
11. 随想 新刊紹介(アリスタライフサイエンス株式会社 和田 哲夫)
12. 随想 減農薬野菜をおいしく食べるコツ(アリスタライフサイエンス株式会社 鎌田
潤)
13. 書評 「天敵利用で農薬半減(作物別防除の実際)」 根本 久編著 (シンジェンタ
ジャパン株式会社 石井 俊彦)
14. 正会員各社の生物農薬の登録情報
15. 天敵に対する農薬の影響の目安-綴じ込み
16. 天敵カルテ記入用紙
73
2004年
Vol.8 No.1 NO.2 合併号
1.
はじめに(編集長 和田哲夫)
2.
茶害虫の IPM 防除(独立行政法人農業・生物系特定産業研究機構 野菜茶業研究
所 武田光能・佐藤安志)
3.
畑作用複合交信撹乱剤による野菜害虫の防除効果と土着天敵に対する影響(鹿児
島県農業試験場 福田健)
4.
施設野菜での天敵を利用した総合的害虫管理~地域農家との取り組み(宮崎大学
農学部 大野和朗)
5.
ハマキ天敵による防除とその意義(鹿児島県茶業試験場 中村孝久)
6.
天敵に対する化学農薬の非致死的影響評価(九州大学大学院農学研究院 高木
正見)
7.
マストラッピングに対する私見(小川 欽也)
8.
技術情報・バイオセーフ(スタイナーネマ・カーポカプサエ)によるモモシンクイガ幼虫
防除(株式会社 エス・ディー・エス バイオテック 山中聡)
9.
随想 ブライトンからグラスゴーへ(アリスタライフサイエンス株式会社 技術顧問
下松 明雄)
10. 随想 エコ・エコノミーの話(東京農業大学客員教授 平岡行夫)
11. 随想 私の好きな眺めの良いドライブコース(シンジェンタジャパン株式会社 石井
俊彦)
12. 随想 温泉スキャンダルをこえて(アリスタライフサイエンス株式会社 和田哲夫)
13. 随想 温泉と自然(株式会社 エス・ディー・エス バイオテック 山中聡)
14. 書評 「天敵利用で農薬半減(作物別防除の実際)」 根本 久編著 (シンジェンタ
ジャパン株式会社 石井 俊彦)
15. 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報-綴じ込み
16. 天敵に対する農薬の影響の目安-綴じ込み
17. 天敵カルテ記入用紙
2005年
Vol.9 No.1
1.
はじめに (編集長 和田 哲夫)
74
2.
スタイナーネマ・グラセライ剤のハスカップナガチャコガネへの可能性について (北
海道空知中央地区 農業改良普及センター
3.
平田 修一)
なぜ、今IPMか -IPM実践指標の作成について-(日本化薬株式会社
桝井
昭夫)
4.
集合フェロモン剤を利用したチャバネアオカメムシの防除(福岡県農業総合試験場
病害虫部
堤 隆文)
5.
天敵微生物センチュウ防除剤パストリア水和剤(サンケイ化学株式会社 三富 誠)
6.
施設トマト栽培の総合防除技術(田口 義広)
7.
フェロモンを用いた交信攪乱法による防除―海外の状況(信越化学工業株式会社
ファインケミカル部 小林 利美)
8.
合成性フェロモンを利用したアカヒゲホソミドリカスミカメの発生予察技術の開発(中
央農業総合研究センター 北陸研究センター 樋口博也)
9.
IOBC/WPRSワーキンググループでの講演内容などについて(アリスタライフサイ
エンス株式会社 バイオソリューション部 斎木陽子)
10. 随想 生物農薬(天敵)普及雑感(アリスタライフサイエンス株式会社 技術顧問 厚
井隆志)
11. 随想 ウグイスと泥棒のこと(株式会社エス・ディー・エス バイオテック 中山 聡)
12. 随想 天敵を導入して成功させる秘訣(アリスタライフサイエンス株式会社 技術顧
問 厚井 隆志)
13. 随想 天敵の歌(アリスタライフサイエンス株式会社 和田 哲夫)
14. 随想 チリカブリダニは害虫?(シンジャンタジャパン株式会社 石井 俊彦)
15. 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
16. 天敵に対する農薬の影響の目安
Vol.9 No.2
1.
はじめに (編集長 和田哲夫)
2.
シルバーリーフコナジラミとトマト黄化葉巻病について(野菜茶業研究所 果菜研究
部 北村 登史雄)
3.
黄色粘着テープを用いたコナジラミ類のトマト施設内への侵入抑制効果(岐阜県病
害虫防除所/岐阜県農業技術研究所 杖田 浩二 / 勝山 直樹)
4.
愛知県における総合的な黄化葉巻病対策―トマトIPMの可能性(愛知県農業総合
試験場 企画普及部 飯田 史生)
5.
生物農薬、とくに糸状菌製剤の現状と課題(静岡大学 農学部 生物生産科学科
西東 力)
75
6.
オオメカメムシの生物農薬としての登録に向けて(千葉県農業総合研究センター 応
用昆虫研究室 大井田 寛)
7.
イチゴIPM ―総合的病害虫管理― (東海物産株式会社 技術顧問 浜村 徹三)
8.
天敵カブリダニ類に悪影響のない薬剤の選択(東海物産株式会社 技術顧問 浜村
徹三)
9.
天敵昆虫、微生物殺虫剤の各種農薬との混用試験・影響試験データ集
(文
責:アリスタライフサイエンス株式会社/東海物産株式会社)
10. 随想 外来生物法とマルハナバチとネット(東海物産株式会社 近藤 正弘)
11. 随想 シロアリとニューオリンズ(アリスタライフサイエンス株式会社 山中 聡)
12. 随想 LOHAS(ロハス)な生物防除(アリスタライフサイエンス株式会社 和田 哲
夫)
13. バイオコントロール誌バックナンバー目次
14. 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
15. 天敵に対する農薬の影響の目安
16. 天敵写真集(アリスタライフサイエンス株式会社 厚井 隆志)
17. 黄色粘着テープの張り方(田口 義広)
2006年
Vol.10 No.1
1.
はじめに (編集長 和田哲夫)
2.
昆虫病原性糸状菌によるコガネムシの防除(静岡大学 農学部
廣森 創/柳沢
大)
3.
交信かく乱剤(ハマキコンN)のハマキムシ類に対する被害軽減効果と土着天敵に
対する影響(鹿児島県茶業試験場 内村 浩一郎)
4.
バイオセーフ(スタイナーネマ カープカプサエ剤)によるヤシオオオサゾウムシの防
除(株式会社エス・ディー・エス バイオテック 戸島 靖英)
5.
生物防除に関わって(アリスタライフサイエンス株式会社 田口 義広)
6.
平成 17 年度研修会レポート(東海物産株式会社 近藤 正弘)
7.
スペインにおける総合防除の現状について(コパートスペイン 技術担当 アントニ
オ・ヒメネス・マルツォ/翻訳:田村 展/監訳:和田 哲夫)
8.
天敵影響試験
9.
随想 築地界隈のこと(アリスタライフサイエンス株式会社 山中 聡)
10. 随想 雑感(サンケイ化学株式会社 北川 和彦)
76
11. 随想 生物防除と生物学的防除-アカデミズムと公正さについて-(アリスタライフ
サイエンス株式会社 和田 哲夫)
12. バイオコントロール誌バックナンバー目次
13. 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
14. 天敵に対する農薬の影響の目安
Vol.10 No.2
1.
ごあいさつ (バイオロジカルコントロール協議会 会長 北川 和彦)
2.
千葉県におけるタバココナジラミ バイオタイプQ及びトマト黄化葉巻病の発生と対策
(千葉県農業総合研究センター 大井田 寛/久保 周子/津金 胤昭/草川 知
行)
3.
土着カブリダニを利用した害虫防除
川
4.
(高知県農業技術センター 古味 一洋/荒
良)
黄色粘着トラップを用いたコナジラミ類の防除について(栃木県下都賀農業振興事
務所 水沼 正好)
5.
新規天敵昆虫(寄生蜂)Eretmocerus mundus Mercet について(アリスタライフサイエ
ンス株式会社 開発・登録部 山中
6.
聡)
LAMP 法を利用したトマト黄化葉巻病の診断技術の開発(愛知県農業総合研究所
環境基盤研究部 福田 至郎)
7.
急傾斜の林地における性フェロモンによる交信かく乱 (森林総合研究所 中牟田
潔/松本 和馬/中島 忠一)
8.
千葉県におけるコンフューザーVの現地試験の概要と普及状況(千葉県農業総合研
究センター 生産環境部 片瀬 雅彦)
9.
抵抗性品種を用いたトマト黄化葉巻病対策 (有限会社 ベストクロップ 橋本 文
博)
10. アリスタ黄化葉巻病ウィルス(TYLCV)耐性品種説(アリスタライフサイエンス株式会
社 和田 哲夫)
11. シルバーリーフコナジラミに効果のある微生物剤(ボタニガードES/マイコタール/
プリファード水和剤)
12. 随想 TYLCVと日本の貢献(アリスタライフサイエンス株式会社 和田 哲夫)
13. 随想 ・・蝉・セミ(サンケイ化学株式会社 永田 健二)
14. バイオコントロール誌バックナンバー目次
15. 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
16. 天敵に対する農薬の影響の目安
77
2007年
Vol.11 No.1
1
沖縄久米島におけるアリモドキゾウムシ根絶防除の現状(沖縄県農業研究センター
/沖縄県病害虫防除技術センター 小濱 継雄/原口 大)
2
性フェロモンを利用したカンシャクシコメツキの新防除技術(沖縄県農業研究センタ
ー 病虫管理技術開発班 新垣 則雄)
3
カンキツグリーニング病防除対策と問題点
(沖縄県農業試験場 安田 慶次)
4
沖縄県で開発された天敵農薬(琉球産経株式会社 清水
5
天敵による生物防除での成功例および失敗例から学ぶ(アリスタライフサイエンス株
徹)
式会社 和田 哲夫)
6
生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
7
天敵に対する農薬の影響の目安
2008年
Vol.12 No.1
1
海外における施設園芸害虫生物的防除、IPM 最新情報
-オランダにおける IOBC 専門家会合に出席して(近畿大学農学部
2
茶における生物的防除の実践 微生物製剤、フェロモンなどの試験結果より(静岡
県農林技術研究所茶業研究センター
3
矢野 栄二)
小澤 朗人)
生物防除の成功と失敗の分かれ目、どうすれば生物防除を安定的に利用できるの
か? IPM-10年以上にわたる現場からの報告(有限会社サギサカ
鷺坂 祐志)
4
微生物農薬が抱える課題と解決策(静岡大学農学部
西東 力)
5
苺における天敵利用について(JA三島函南
6
新規天敵スワルスキーカブリダニについて(アリスタライフサイエンス株式会社 山
日吉 誠)
中 聡)
7
アカヒゲホソミドリカスミカメの水田内侵入メカニズム(信越化学工業株式会社・合成
技術研究所
藤井 達也/東北大学大学院・農学研究科・生物制御機能学分野
堀 雅敏/松田 一寛)
78
8
イチゴにおけるカブリダニ利用の簡易評価(東海物産株式会社 技術顧問
浜村
徹三)
9
日本におけるBT剤登録の頃を振り返って(北海道大学名誉教授
飯塚 敏彦)
10
随想 虫と音楽(元武田薬品株式会社 柏田雄三)
11
随想 飢餓と病害虫防除(ジャパンアイピーエムシステム 和田 哲夫)
12
バイオコントロール誌バックナンバー目次
13
生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
14
天敵に対する農薬の影響の目安
15
生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
2009年
Vol.13 No.1
1
微生物殺菌剤の現状と今後の展望 (東京農工大学大学院共生科学技術研究院
有
江 力)
2
昆虫病原性線虫製剤による枝幹害虫防除 (福島県農業総合センター 生産環境部
荒川昭弘)
3
イチゴのカブリダニによる防除 (埼玉県農林総合研究センター 病害虫防除技術担
当 畠山 修一)
4
コナジラミ類に対する気門封鎖剤と微生物殺虫剤の混用による防除の可能性
(岐阜県農政部 技術支援担当
5
神奈川県におけるIPM研究の歩み (神奈川県農業技術センター 果樹花卉研究部
兼農業環境研究部
6
杖田 浩二 )
小林 正伸)
落葉果樹害虫防除におけるIPMの推進に向けて (総合防除コンサル株式会社
佐藤 力郎)
7
微生物防除剤「ボタニガードES」「マイコタール」におけるの化学農薬との相乗効果
(アリスタライフサイエンス株式会社
8
山中 聡 )
天敵を利用したとうがらしの害虫防除 (京都府中丹東農業改良普及センター
渋
谷 貞之 )
9
ナシ のヒメボクトウに対する生物的防除について (福島県立農林水産総合技術セ
ンター 果樹研究所
中西 友章 )
10 総説 欧州における生物農薬登録の現状について(ジャパンIPM代表 アリスタライ
フサイエンス顧問
和田 哲夫)
11 随想 蜻蛉の盃 (福岡県農業総合試験場 堤 隆文 )
12 バイオコントロール誌バックナンバー目次
79
13 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
14 天敵に対する農薬の影響の目安
15 生物農薬、フェロモン剤、BT 剤の登録情報
2010年
Vol.14 No.1
1
半促成長期どりアスパラガスにおける主要害虫の総合防除体系
業試験研究センター 有機・環境農業部
2
手柴 真弓)
促成イチゴの本ぽにおける化学農薬を半減するIPMシステム
総合試験場 病害虫部 主任技師
4
柳田 裕昭)
山口 説夫)
ハウスミカンにおけるスワルスキーカブリダニの利用について (アリスタライフ
サイエンス㈱ フィールドアドバイザー(四国担当)
業指導士
6
(福岡県農業
高知県安芸地域における土着天敵を用いたナスのIPM技術とその取り組み
(高知県安芸農業振興センター
5
衞藤 友紀)
性フェロモンを利用したフジコナカイガラムシの交信撹乱効果 (福岡県農業総
合試験場 病害虫部
3
(佐賀県農
中村 幸生 / 愛媛県農
山崎 章吉)
ここまでわかったスワルスキー (鹿児島県大隈地域振興局
柿元 一樹/中
尾 知子/小山 只勝/田城 啓一郎/小濱 美弘/宮崎大学農学部
山本
希枝/大野 和朗)
7
ブラジルにおける昆虫ウイルスを用いた生物的防除 (国立大学法人 東京農
工大学
8
仲井 まどか)
随想 ハナカメムシ類の産卵状況 (協友アグリ株式会社 技術顧問
厚井 隆
志)
9
随想 家庭菜園のこだわり (東海物産株式会社
浜村 徹三)
10 随想 鳴かない虫と音楽(前編) (柏田 雄三)
11 随想 農薬業界で働く ということ (アリスタライフサイエンス株式会社 国際営
業本部 欧州・米州・肥料チーム
萩原 彰子)
12 随想 世界の農薬市場と生物農薬市場について (和田 哲夫)
13 天敵に関する農薬の影響表(第19 版)
80
2011年
1.
IPMにおける寄生菌と寄生蜂-最近の研究から-
(静岡大学農学部応用昆
虫学教室 西東 力)
2.
神奈川県におけるIPM(総合的病害虫管理)の現状について
(神奈川県農業
技術センター 藤代 岳雄)
3.
スモモヒメシンクイの生態と防除
4.
ホウレンソウケナガコナダニの簡易モニタリング装置(コナダニ見張番)の開発と
被害予測による防除体系
(山梨県果樹試験場環境部 村上 芳照)
(山口県農林総合技術センター農業技術部 本田
善之)
5.
スワルスキーカブリダニに対する農薬の影響
(宮城県農業・園芸研究所園芸
環境部 宮田 將秀)
6.
ナシ黒星病の減農薬防除の取り組み
虫研究室
7.
金子 洋平)
茶栽培におけるニーム散布剤の利用~ベトナムでの実践~
濱周吾
8.
(東京農工大学
仲井 まどか)
熊本県におけるトマト黄化葉巻病の防除対策
環境研究所
9.
(千葉県農林総合研究センター病理昆
(熊本県農業研究センター生産
樋口 聡志)
ブラジルの生物的害虫防除について (サンパウロ州立大学植物保護学部昆虫
学科教授
オダイル・フェルナンデス)
10. 在来種天敵の農薬としての登録は不必要
(ジャパンIPMシステム代表
和
田 哲夫)
11. 潮流は生物農薬の利用の方向に向かっているのか?
スベルグPh.D.
(ヴィレム・ラーフェン
Koppert Biological Systems)
12. 高知県の施設果菜類における天敵を利用したアザミウマ類防除の現状
知県農業振興部 環境農業推進課
(高
古味 一洋)
13. 天敵誘引物質と天敵の関係について
(京都大学生態学研究センター 上船
雅義)
14. バラのカブリダニを用いた省力防除法の普及
大船植物園植栽課
(神奈川県立フラワーセンター
関塚 知己)
15. 第13 回国際生物防除機構 (IOBC:International Organisation for Biological and
Integrated Control of Noxious Animals and Plants)の「昆虫病原体および昆虫寄
生性線虫」ヨーロッパ会議に参加して
(帯広畜産大学
正徳)
16. 随想
「鳴かない虫と音楽」(後編)
17. 天敵に関する農薬の影響表(第20 版)
18. 最新版生物農薬登録状況
81
(柏田 雄三)
相内 大悟/小池
2012年
Ⅰ. 東北地域IPM事業報告
1.
震災後の宮城県における園芸作物IPMの取組
所
2.
(宮城県農業・園芸総合研究
増田 俊雄)
トマト栽培におけるIPMの取組み
(福島県農業総合センター
小林 智之)
Ⅱ. IPM総論
3.
日本における天敵利用 ~これまで と これから~ (宮崎大学 農学部
大
野 和朗)
4.
水稲の環境保全型種子消毒法の普及による諸問題とその対策
学 生産資源科学部
(秋田県立大
藤 晋一)
5.
露地野菜におけるIPMの取組み
(長野県野菜花き試験場
6.
鹿児島県におけるIPMの推進について
小木曽 秀紀)
(鹿児島県農政部
柿元 一樹)
Ⅲ. 先進事例報告
7.
土着天敵タバコカスミカメを利用した促成なすのアザミウマ対策
農業普及指導センター
8.
聡)
天敵カブリダニのパック製剤の有効性について
式会社
9.
石倉
(岡山県岡山
(アリスタライフサイエンス株
市川 大輔)
リンゴ園のヒメボクトウに対する性フェロモン剤の交信かく乱効果
業総合研究センター
(山形県農
伊藤 慎一)
10. イチゴにおける天敵導入を核とした病害虫防除(静岡県農林大学校
藤浪 裕
幸)
― 小論文 ―
11. 夏場も使えるカブリダニ
(東海物産株式会社
12. 害虫の天敵を誘引する植物とガーデニング
13. 生物防除産業の方向性と知的財産権
浜村 徹三)
(IPPコンサルタント 下松 明雄)
(ジャパン IPMシステム株式会社
和田 哲夫)
14. 第45回国際無脊椎動物病理学会(SIP2012)参加レポート
(帯広畜産大学
相内 大吾/小池 正徳)
15. 第24回国際昆虫学会に参加して
16. 鳴く虫と音楽
(九州大学農学研究院
(柏田 雄三)
17. 天敵に関する農薬の影響表(第21版)
18. 最新版生物農薬登録状況
82
高木 正見)
83
アカリタッチ
アクタラ(粒 )
アクタラ(顆粒水溶 )
アクテリック
ア -デント
アグロスリン
アタブロン
アニキ
アディオン
アドバンテ -ジ (粒)
アドマイヤアドマイヤ-(粒)
アファ -ム
アプロ -ド
ウララDF
エビセクト
エンセダン
オサダン
オマイト
オリオン
オルトラン (水)
オルトラン (粒)
オレ -ト
ガ-ドサイド
ガードホープ (液剤 )
カ -ラ
カスケ-ド
ガスタ -ド( 粒)
カネマイト
カルホス
キルバ -ル
クロ -ルピクリン
ケルセン
コテツ
コロマイト
コロマイト(EC)
コロマイト(WP)
サイハロン
サニ -フィ-ルド
サブリナフロアブル
サンクリスタル 乳剤
サンマイト
ジェットロン
ジメトエ -ト
除虫菊乳剤
シラトップ
スカウト
スタ-クル
スピノエ -ス
スプラサイド
スミサイジン 混剤
スミチオン
ゼンタ-リ
ダ-ズバン
ダイアジノン (乳 ・水 )
ダイアジノン (粒 )
ダイシストン (粒)
ダニカット
ダニサラバ
ダニトロン
ダントツ
チェス
D-D
D-D 92
DDVP (乳 )
DDVP(煙)
種類名
成
-
-
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×
-
×
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◎
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×
◎
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△
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×
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◎
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×
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幼
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×
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◎
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◎
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28
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0
ショクガ
タマバエ
<<殺虫・殺ダニ剤>>
-
-
◎
○
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◎
×
×
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×
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成
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マ
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残
0
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-
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-
84
0
コレマン
アフ ゙ラバチ
卵
◎
-
◎
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◎
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◎
◎
×
◎
◎
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△
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◎
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△
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成
○
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◎
×
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-
○
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△
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◎
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×
◎
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△
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×
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◎
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◎
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◎
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△
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×
-
○
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△
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-
○
△
-
×
-
-
-
-
◎
×
-
-
-
△
○
-
-
×
◎
◎
◎
◎
-
-
◎
-
-
-
0
-
-
21
-
0
-
0
0
-
-
0
-
-
-
-
7
-
1
1
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
14
14
-
-
21
-
-
0
0
-
-
0
-
残
-
-
0
-
-
-
9
3
-
-
0
0
-
0
ミヤコ
カブリダニ
-
-
-
○
-
-
×
◎
-
-
-
○
×
×
-
-
◎
◎
-
-
×
-
-
◎
◎
-
-
◎
-
×
○
◎
◎
×
◎
◎
-
-
◎
×
-
-
-
◎
◎
◎
◎
◎
-
◎
-
-
-
△
-
-
卵
◎
-
◎
×
-
×
◎
-
-
-
○
-
×
×
×
-
-
-
◎
×
×
×
-
△
◎
-
-
×
-
-
○
◎
-
-
×
-
×
○
◎
◎
×
○
◎
○
-
◎
△
-
×
-
◎
○
◎
◎
◎
-
◎
-
×
-
△
-
△
成
◎
-
△
×
-
×
○
-
-
-
-
-
*
56
7
-
-
-
-
21
84
-
-
7
7
-
-
21
-
-
-
0
-
-
7
-
84
7
0
0
-
0
7
-
0
0
-
28
-
0
0
0
0
0
-
0
-
-
-
14
-
-
残
0
-
-
28
-
84
1
チリ
カブリダニ
卵
◎
-
-
×
×
×
◎
-
×
-
◎
◎
◎
◎
◎
-
-
◎
-
×
×
-
-
×
◎
◎
◎
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
×
◎
-
-
-
-
×
×
×
-
×
◎
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
◎
-
成
-
-
-
×
×
×
×
×
×
-
◎
◎
○
◎
◎
○
-
◎
×
-
×
-
-
×
◎
◎
◎
-
-
-
-
-
×
×
-
×
×
-
-
-
○
×
-
×
×
-
-
-
-
×
×
×
-
×
×
-
-
×
◎
-
-
◎
-
-
×
-
残
-
-
-
56
21↑
84
9
3
84
-
0
0
6
0
-
-
0
-
-
28
-
-
56
0
0
0
-
-
-
-
-
28
6
-
7
-
-
-
-
0
-
-
84
7
-
-
-
-
56
84
56
-
56
21
-
-
28
-
-
-
0
-
-
7
-
ククメリス
カブリダニ
卵
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
△
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
○
-
-
-
-
-
-
×
-
-
-
-
-
-
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
成
-
-
◎
-
×
-
-
×
-
-
○
-
×
○
-
-
-
◎
-
-
×
×
-
-
-
-
◎
-
◎
-
-
-
-
-
×
×
×
-
-
-
○
△
-
-
-
-
-
○
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
残
-
-
-
-
-
-
-
3
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
42
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
1
1
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
◎
×
×
◎
-
-
-
-
×
×
-
-
○
×
-
-
○
◎
◎
-
○
-
-
△
-
幼
◎
-
-
-
-
×
×
-
×
-
×
-
-
◎
◎
-
×
○
-
×
×
-
-
×
◎
-
△
-
-
-
×
-
◎
◎
-
-
-
-
-
-
14
-
-
0
-
-
-
-
14
84
-
-
-
-
-
-
21
-
0
-
-
-
-
7
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
◎
-
◎
-
-
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
△
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
◎
-
◎
-
-
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
△
○
×
◎
-
-
-
-
×
×
△
-
△
○
-
-
×
◎
-
-
◎
-
-
×
×
-
-
◎
-
×
◎
×
×
-
-
×
×
×
×
×
-
×
×
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
×
×
成
◎
-
-
×
-
×
◎
×
×
-
△
×
×
◎
◎
○
-
○
△
-
×
×
◎
×
◎
◎
◎
-
-
-
×
-
×
-
-
-
-
-
-
-
21
0
84
3
-
-
-
42
56
84
56
-
84
42
-
-
21
-
-
-
0
-
-
10
10
残
0
-
-
56
-
84
0
28
84
-
35
30
21
7
0
7
-
0
7
-
28
30
0
84
0
0
0
-
-
-
-
-
14
-
-
1
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
×
-
-
-
-
-
-
○
-
-
-
◎
-
-
-
-
蛹
-
-
-
-
-
×
-
◎
×
-
-
◎
-
◎
-
-
◎
-
-
×
-
-
-
-
◎
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
○
-
-
-
-
-
-
×
-
-
×
-
-
-
-
-
-
○
-
-
-
◎
-
-
×
-
成
-
-
-
-
-
×
-
-
×
-
-
◎
-
◎
-
△
◎
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
-
-
-
14
-
-
-
0
-
-
7
-
残
-
-
-
-
-
84
-
0
84
-
-
0
-
0
-
-
0
-
-
28
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
サバク
ツヤコバチ
-
-
◎
-
○
-
-
-
-
-
-
-
-
×
-
-
×
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
幼
◎
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
◎
-
-
◎
◎
○
-
◎
-
-
-
-
◎
-
-
◎
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
○
△
-
×
-
-
-
-
×
×
-
-
×
×
-
-
-
-
×
-
◎
-
-
×
-
成
◎
-
-
×
-
×
◎
○
×
×
×
◎
×
◎
◎
×
-
○
△
-
×
×
◎
×
○
◎
◎
-
-
×
-
-
△
×
-
-
-
-
-
-
21
-
-
7
-
-
-
-
-
84
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
7
-
残
0
-
-
-
-
84
0
3
84
-
14
21
-
0
0
-
-
0
-
-
28
49
-
-
22
0
0
-
-
49
-
-
-
-
-
3
イサエアヒメコハ ゙チ
ハモグリコマユバ チ
-
-
◎
◎
-
×
○
-
-
-
-
×
×
△
-
×
×
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
×
-
×
-
×
◎
-
△
○
×
◎
◎
-
×
-
-
-
-
◎
△
-
◎
-
△
-
○
-
-
幼
-
-
-
×
-
×
-
-
-
◎
-
◎
×
○
-
-
-
-
×
×
×
-
×
×
-
-
◎
-
-
-
◎
-
-
×
-
×
-
×
◎
-
△
-
-
-
◎
-
×
-
-
-
-
◎
×
-
-
-
△
-
○
-
-
成
-
-
-
×
-
×
-
-
-
-
-
-
-
84
7
-
-
-
-
56
84
-
-
84
28
-
-
-
-
-
-
0
-
-
7
-
84
-
-
0
-
7
-
-
-
-
-
28
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
7
-
-
残
-
-
-
56
-
84
-
クサカゲロウ
類
日本 バイオロジカルコントロール協議会・2013年9月作成・第22版
-
-
◎
◎
×
-
×
◎
-
-
-
-
×
×
×
-
×
×
-
-
△
-
◎
-
○
-
-
×
-
蛹
◎
-
-
×
-
×
◎
○
×
-
◎
◎
-
○
◎
○
◎
◎
△
-
×
○
◎
×
◎
◎
◎
-
-
×
-
-
◎
-
-
-
オンシツ
ツヤコバチ
天敵等への殺虫 ・殺ダニ剤の影響 の目安
アリガタシマ
アザミウマ
成 残 幼 成 残
◎ 0 ◎ ◎ 0
- - - - -
- - - - -
- - - - -
- - - - -
× 84 - - -
× 14↑ - - -
◎ 0
× 84 - - -
- - - - -
× 14↑ △ △ -
- - - - -
× 7 × × -
◎ 0 ◎ ◎ -
◎ 0 - - -
- - - - -
× 56 - - -
○ 0 ◎ ◎ -
△ - - - -
- - - - -
× - ◎ △ -
- - - - -
- - - - -
× - - - -
◎ 0 - - -
◎ 0 - - -
◎ 28 × ◎ -
- - - - -
- - ◎ ◎ -
- - - -
× - - - -
- - - - -
◎ 0 - - -
◎ 0 △ △ -
- - ◎ × -
◎ 0
スワルスキ-カ タイリクヒメハナカ
ブリダニ
メムシ
-
-
-
○
-
-
×
-
-
-
-
-
×
×
×
-
×
×
-
-
○
-
-
-
◎
-
-
-
-
×
-
-
◎
-
◎
△
-
◎
◎
-
○
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
-
△
-
-
蛹
-
-
-
×
-
×
-
-
-
-
-
-
-
×
×
-
-
-
-
×
×
×
-
×
×
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
×
-
×
-
-
◎
-
◎
△
-
◎
◎
-
×
-
-
-
-
◎
◎
-
-
-
×
-
△
-
-
成
-
-
-
×
-
×
-
-
-
-
-
-
-
42
-
-
-
-
-
28
84
70
-
28
14
-
-
28
-
-
-
0
-
-
7
-
84
-
-
0
-
0
14
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
28
-
21
-
-
残
-
-
-
28
-
84
-
-
0
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
1
-
14
14
-
-
0
-
-
-
0
-
-
0
-
-
-
-
-
30
-
-
0
-
-
-
-
-
-
○
-
-
◎
-
-
-
◎
-
-
-
○
-
◎
-
-
-
◎
◎
○
-
○
○
-
-
◎
-
-
-
◎
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
0
-
0
-
-
-
残
-
-
-
-
-
0
-
◎
○
-
-
-
◎
-
○
-
◎
-
◎
-
-
-
幼
-
-
-
-
-
◎
-
-
◎
◎
◎
◎
◎
×
◎
◎
◎
◎
-
◎
◎
◎
◎
◎
◎
-
分生子
◎
-
ヨトウタマゴバチ 類 ネマト-ダ類 ボ-ベリア
バシア-ナ
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
×
◎
×
-
△
×
-
-
△
-
-
-
-
-
-
◎
-
◎
◎
-
-
-
◎
-
◎
-
◎
◎
◎
-
-
-
◎
◎
-
◎
×
-
△
-
-
-
胞子
-
-
-
◎
-
◎
-
バ-ティシリウム
レカニ
◎
-
-
-
◎
-
◎
◎
-
◎
◎
◎
◎
-
◎
◎
-
◎
-
-
-
-
◎
◎
◎
-
-
◎
-
-
◎
-
◎
-
-
-
◎
◎
◎
◎
-
◎
-
◎
◎
-
-
-
◎
-
-
◎
-
◎
-
芽胞
◎
-
◎
◎
◎
◎
◎
バチルス
ズブチリス
水 ◎乳×
-
-
◎
-
-
×
-
◎
◎
◎
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
◎
◎
-
-
×
-
-
-
-
-
◎
×
-
◎
◎
水 ◎乳×
◎
◎
◎
-
-
◎
-
-
-
◎
◎
◎
-
-
菌
-
-
-
-
◎
◎
×
エルビニア
カロトボ-ラ
×
-
-
×
◎
×
△
-
△
-
×
×
×
×
-
×
×
×
○
◎
◎
○
-
◎
×
×
×
×
○
△
×
-
×
×
×
○
×
-
×
×
×
×
△
○
×
×
○
◎
-
×
×
○
×
28
28
7↑
7
-
1
-
4
-
-
0
1~4
0
20↑
2
-
2
-
3~7
30
30↑
20↑
-
30↑
15~30
30
1
1
2
21
-
14
-
28
1
9
-
-
10~20
14~30
1
14
20↑
21
30↑
35↑
2
1
3
-
1
残
-
21
42
14
3
20↑
4
マルハナバチ
巣
-
×
×
×
×
×
×
84
成
-
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◎
◎
×
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-
◎
○
-
-
-
-
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×
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-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
◎
-
-
-
-
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◎
△
◎
-
-
△
×
×
-
-
-
-
-
×
-
×
-
-
×
×
-
-
幼
-
-
-
◎
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
×
-
-
-
-
◎
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-
-
-
◎
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-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
△
△
△
-
-
-
-
-
×
-
×
-
○
-
×
-
-
84
-
-
-
-
0
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
14
-
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
84
-
-
残
-
-
-
0
84
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-
-
0
7
-
-
-
-
0
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
×
△
-
-
-
-
-
-
×
-
×
-
-
×
×
-
-
マ
-
-
-
◎
×
-
-
-
◎
-
-
◎
-
◎
×
-
-
×
◎
-
-
-
◎
-
-
-
◎
◎
×
-
-
-
-
-
-
-
-
○
-
×
-
×
-
○
◎
-
-
×
-
×
-
-
×
×
-
-
成
-
×
○
◎
×
-
-
-
◎
-
-
◎
-
◎
◎
-
84
-
-
-
-
0
-
-
-
0
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
84
-
-
残
-
-
-
0
84
-
-
-
-
-
-
0
-
0
*
-
-
コレマン
アフ ゙ラバチ
-
-
-
◎
×
◎
×
-
◎
-
-
-
△
-
-
-
◎
-
◎
◎
×
-
-
-
-
-
○
○
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
◎
卵
-
-
-
◎
-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
◎
◎
-
-
-
-
○
◎
◎
×
-
◎
-
-
-
○
-
-
◎
◎
○
◎
◎
×
-
-
-
-
-
○
◎
-
-
×
-
-
-
×
◎
-
-
◎
成
-
-
-
◎
-
-
◎
-
◎
-
-
◎
-
○
◎
-
-
-
-
-
-
0
14
-
0
-
-
-
-
-
-
-
0
28
0
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
0
残
-
-
-
0
-
-
-
0
-
-
0
-
21
*
0
14
ミヤコ
カブリダニ
×
◎
-
△
×
◎
×
-
◎
◎
-
×
×
-
-
◎
◎
-
◎
◎
×
-
×
-
-
-
×
○
-
-
×
◎
△
-
-
◎
×
-
◎
卵
-
×
◎
◎
×
-
-
◎
-
-
◎
◎
◎
◎
◎
-
成
-
×
◎
◎
×
○
◎
-
◎
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○
◎
◎
◎
◎
-
○
×
◎
-
○
◎
◎
×
-
◎
◎
-
×
×
-
△
◎
◎
△
◎
◎
×
-
×
×
×
-
△
◎
-
○
×
◎
×
-
△
△
×
-
◎
残
-
14
0
0
84
7
-
0
7
-
0
0
0
*
0
-
0
84
0
-
-
-
0
-
-
0
0
-
42
5
-
14
0
0
-
0
0
42
-
14
14
14
-
-
-
-
7
-
0
28
-
-
-
84
-
0
チリ
カブリダニ
×
◎
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
◎
◎
×
-
×
×
-
-
-
-
-
-
×
-
×
-
-
-
×
-
-
卵
-
×
-
◎
×
-
-
×
◎
-
-
◎
-
◎
◎
◎
-
×
◎
-
-
-
◎
×
-
-
◎
-
×
-
-
△
◎
-
-
◎
◎
×
-
×
×
×
-
△
◎
-
-
×
◎
×
-
×
-
×
-
-
成
-
×
◎
◎
×
-
-
-
◎
◎
-
◎
-
◎
◎
-
84
0
-
-
-
0
-
-
-
0
-
-
-
-
28
0
-
-
0
0
-
-
84
56
56
-
-
0
-
-
-
-
56
-
-
-
84
-
-
残
-
14
-
0
84
-
-
-
0
7
-
0
-
0
*
0
14
ククメリス
カブリダニ
-
-
-
◎
-
-
-
◎
-
◎
-
-
-
-
-
◎
◎
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
卵
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
-
◎
-
◎
-
◎
◎
-
-
-
-
◎
◎
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
×
△
-
-
-
○
-
-
-
-
-
-
-
成
-
-
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
◎
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
7
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
残
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
36
×
◎
×
-
×
×
×
-
◎
Aed
×
-
-
-
-
◎
×
-
-
◎
-
-
-
-
-
◎
-
-
△
-
×
-
×
△
×
×
◎
×
-
幼
-
×
-
○
×
-
-
×
-
-
×
◎
-
◎
◎
×
-
×
○
-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
×
△
○
-
◎
-
◎
◎
◎
○
-
×
◎
△
-
-
△
△
-
×
-
×
-
×
△
×
-
-
蛹
-
-
◎
◎
◎
-
-
-
○
◎
-
◎
-
◎
◎
◎
-
×
◎
-
×
-
◎
-
-
-
◎
◎
×
×
×
-
◎
-
◎
◎
◎
×
-
×
×
×
-
-
×
×
-
×
◎
×
-
×
×
×
-
-
成
-
-
○
◎
×
-
-
-
○
◎
×
◎
-
-
△
◎
×
84
0
-
3
-
0
-
-
-
0
0
-
30
28
-
0
-
0
-
0
7
-
84
84
28
-
-
24
24
-
-
1
70
-
84
84
84
-
-
残
-
-
7
0
36
-
-
-
0
14
35
0
-
-
0
0
-
オンシツ
ツヤコバチ
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
×
-
×
-
-
-
-
-
-
-
×
-
×
-
-
×
×
-
-
蛹
-
-
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
◎
-
-
◎
◎
-
成
-
-
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
◎
-
-
△
◎
×
○
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
×
-
×
-
-
-
-
-
-
-
×
-
×
-
-
×
×
-
-
残
-
-
-
-
84
-
-
-
0
-
-
0
-
-
0
0
-
0
84
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
84
-
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
84
-
-
サバク
ツヤコバチ
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
×
○
×
-
-
-
×
-
-
幼
-
-
-
-
×
-
-
-
◎
-
△
◎
-
-
◎
◎
-
成
-
×
◎
◎
×
-
-
×
◎
-
×
◎
×
○
○
◎
-
○
×
◎
×
-
-
◎
○
-
-
◎
◎
-
×
-
-
◎
-
△
-
◎
×
-
×
×
×
-
×
△
-
-
×
◎
×
-
-
×
×
-
-
残
-
-
0
0
84
-
-
-
0
-
21
0
42
19
0
0
-
0
84
0
21
-
-
0
-
-
-
0
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
-
-
84
-
-
イサエアヒメコハ ゙チ
ハモグリコマユバ チ
天敵等への殺虫 ・殺ダニ剤の影響 の目安
アリガタシマ
アザミウマ
成 残 幼 成 残
- - - - -
× - - - -
- - - - -
◎ 0 - - -
× 84 - - -
- - - - -
- - - - -
- - - - -
◎ - - - -
◎ 7 - - -
× 14↑ × △ -
◎ 0 ◎ ◎ -
- - - - -
◎ 0 - - -
△ 0 △ × -
◎ 14 × ◎ -
- - - - -
◎ 0
× 84 - - -
× - - - -
- - - - -
- - - - -
- - △ ◎ -
◎ 0 - - -
× 7 △ ◎ -
- - - - -
- - - - -
◎ 0 - - -
◎ - - - -
- - - - -
- - × × -
- - - - -
- - - - -
○ - - - -
- - - - -
◎ - - - -
△ 14 × ◎ -
◎ - - - -
× - - - -
- - - - -
× - - - -
× - - - -
× 14↑ - - -
- - - - -
◎ 0 - - -
- - × △ -
- - - - -
- - - - -
× - - - -
◎ 0 - - -
× 84 - - -
- - - - -
× 14 - - -
× - - - -
× 84 - - -
- - - - -
- 0 - - -
スワルスキ-カ タイリクヒメハナカ
ブリダニ
メムシ
幼
-
-
◎
×
×
-
-
-
×
-
-
◎
-
-
×
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
◎
◎
-
-
-
-
-
-
◎
×
◎
×
-
×
◎
△
-
-
-
-
-
×
◎
×
-
○
-
×
-
-
成
-
-
◎
△
×
-
-
-
×
-
-
◎
-
-
△
-
-
×
○
-
-
-
◎
○
-
-
-
-
○
-
-
-
-
-
◎
◎
-
×
-
×
×
×
-
-
-
-
-
×
◎
×
-
○
-
×
-
-
残
-
-
-
-
84
-
-
-
-
-
-
0
-
-
0
-
-
-
84
0
-
-
-
0
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
28
-
-
-
-
-
-
0
84
-
-
-
84
-
-
クサカゲロウ
類
蛹
-
○
◎
-
×
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
◎
◎
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
×
-
×
×
×
-
-
-
-
-
×
-
×
-
△
-
×
-
-
成
-
×
△
◎
×
-
-
-
◎
-
-
◎
-
-
◎
-
-
×
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
-
×
-
×
×
×
-
-
-
-
-
×
○
×
-
×
-
×
-
-
残
-
-
14
-
84
-
-
-
-
-
-
0
-
-
0
-
-
-
84
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
42
-
84
56
-
-
-
-
-
-
-
-
84
-
42
-
84
-
-
幼
-
◎
-
○
◎
-
-
-
◎
-
-
○
-
-
◎
-
-
-
×
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
◎
-
◎
◎
◎
-
-
-
-
-
×
-
×
◎
-
-
△
-
-
残
-
0
-
0
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
0
0
-
-
-
7
-
-
-
0
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
-
-
-
-
-
0
7
-
-
-
-
-
-
-
7
0
-
-
-
-
-
分生子
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
×
×
◎
◎
-
ヨトウタマゴバチ 類 ネマト-ダ類 ボ-ベリア
バシア-ナ
胞子
-
◎
△
◎
-
-
-
-
◎
-
-
○
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
◎
-
-
-
◎
◎
◎
-
◎
-
-
△
◎
×
-
-
-
-
-
-
-
◎
-
◎
-
◎
-
-
バ-ティシリウム
レカニ
日本 バイオロジカルコントロール協議会・2013年9月作成・第22版
注 )卵:卵に、幼:幼虫 に、成 :成虫 に、マ:マミ-に、蛹:蛹に、胞子 :胞子 に、巣:巣箱 の蜂の コロニ-に対 する影響
残 :その 農薬が 天敵に対 して影響 のなくなるまでの期間で単位 は日数 です。数字の 横に↑があるものはその 日数以上の 影響がある 農薬 です。
* は薬液乾燥後 に天敵を 導入する 場合 には影響 がないが、天敵 が存在 する場合 には影響 がでる恐 れがあります。
記号 :天敵等に対する 影響は ◎:死亡率0~25%、 ○:25~ 50%、△ :50~75%、 ×:75~100% (野外 ・半野外試験 )、◎:死亡率0~30%、○:30~ 80%、△ :80~99%、×:99~ 100%(室内試験 )
マルハナバチに対する影響 は◎ :影響 なし、○ :影響 1日 、△ :影響2日 、×:影響3日以上
マルハナバチに対して影響 がある 農薬については、その期間以上巣箱を 施設の 外に出す必要 があります。影響 がない農薬 でも、散布 にあたっては蜂 を巣箱 に回収し、薬液 が乾いてから活動 させて下さい。
・本評価表 は会員 の負担 により維持 、訂正 が行 われています。転載 にあたっては 所定の 転載料を事務局までお支払 くださるようお願いもうしあげます。
・表中 のエルビニア カロトボ-ラ は乳剤 との混用はできませんが 、3日以上の散布期間であれば 近接散布が 可能です。ま たバチルス ズブチリスは 混用 できない剤とでも 、翌日以降の近接散布 は可能 です。
・表中 の影響 の程度及び残効期間 はあくまでも目安であり、気象条件 (温度 、降雨 、紫外線の程度及び換気条件等 )により 変化します 。
上記 の 理由により 、この表 が原因 で事故 が発生 しても、当協議会 としては一切責任 を負いかねますのでご 了承 の上、ご 使用下さい。
この 表はエクセル ver7で作成 していますので、パソコン で参照 する 場合にはver7以上 で使用 して下 さい。セルにカ-ソルを近 づけると出典が 表示 されます。表示 のない場合は IOBCの資料 です。
ディトラペックス
ディプテレックス
テデオン
デミリン
テルスタ-(水)
テルスタ-(煙)
デルフィン 水和剤
トクチオン
トリガ-ド
トルネードエースDF
トレボン
ニッソラン
ネマトリン
ネマトリンエース(粒 )
粘着 くん
ノ -モルト
ハチハチ
ハッパ 乳剤
バイスロイド
バイデ -ト(粒)
パダン
バリア -ド
バロック
BT剤
ピラニカ
ファルコン
プレオ
プレバソン
フェニックス
ペイオフ
ベストガ -ド (水)
ベストガ -ド (粒)
ペンタック
マイコタ-ル
マイトコ-ネ
マシン 油
マッチ
マトリック
マブリック (水)
マブリック (煙)
マラソン
マリックス
ミクロデナポン
Mr.ジ ョ-カミルベノック
モスピラン(水 )
モスピラン(煙 )
モスピラン(粒 )
ラ-ビン
ラノ ランネ -ト
リラ -ク
ルビトックス
レルダン
ロディ -(乳)
ロディ -(煙)
ロムダン
種類名
ショクガ
タマバエ
<<殺虫・殺ダニ剤>>
芽胞
-
◎
◎
-
◎
-
-
◎
◎
-
◎
◎
-
-
◎
◎
◎
-
-
-
◎
◎
◎
◎
-
◎
-
-
-
◎
-
-
-
◎
-
◎
◎
◎
-
◎
-
-
-
-
◎
-
-
-
-
◎
-
-
-
◎
-
◎
バチルス
ズブチリス
菌
-
-
-
-
◎
-
-
-
◎
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
◎
◎
-
-
-
-
-
-
◎
◎
-
-
-
◎
-
-
◎
-
-
-
×
-
-
◎
-
◎
-
◎
-
-
-
×
-
-
エルビニア
カロトボ-ラ
-
2~3
2~3
30
7
3
-
-
1
1
1
4
0
14
-
2
28
14
14
-
1
1
-
-
1
1
28
10↑
30↑
-
1
5
-
14
3
-
-
残
28
-
1
-
30
-
-
-
1
6
20↑
1
-
-
マルハナバチ
巣
×
×
○
×
×
-
-
-
○
×
×
○
◎
◎
◎
○
-
×
×
×
-
-
◎
○
-
-
○
-
×
×
×
-
◎
-
○
◎
-
×
×
×
×
×
-
-
○
○
ー
×
◎
×
-
△
×
×
×
◎
85
コレマン
アブラ バチ
ミヤコ
カ ブリタ ゙ニ
チリ
カ ブリダニ
ククメリス
カ ブリダニ
スワルスキ-カ ハナカメムシ類
フ ゙リダニ
アリカ ゙タシマ
アザミウマ
オンシツ
ツヤコハ ゙チ
サハ ゙ク
ツヤコバチ
イサエアヒメコバ チ
ハモグ リコマユバチ
クサカゲロ ウ類
ヨトウタマゴバチ類
天敵等への殺菌剤・除草剤の影響の目安
ネマト- ダ類 ボ-ベリア バ-ティシリウム
バシア-ナ
レカニ
バチルス
ズフ ゙チリス
日本バイオロジカルコントロール協議会・2013年9月作成・第22版
・表中のエルビニア カロトボ-ラは乳剤との混用はできませんが、3日以上の散布期間であれば近接散布が可能です。またバチルス ズブチリスは混用できない剤とでも、翌日以降の近接散布は可能です。
・表中の影響の程度及び残効期間はあくまでも目安であり、気象条件(温度、降雨、紫外線の程度及び換気条件等)により 変化します。
上記の理由により、この表が原因で事故が発生しても、当協議会としては一切責任を負いかねますのでご了承の上、ご使用下さい。
この表はエクセルver7で作成していますので、パソコンで参照する場合にはver7以上で使用して下さい。セルにカ-ソルを近づけると出典が表示されます。表示のない場合はIOBC の資料です。
<<除草剤>>
(バイオセ-フと混用可能な除草剤は下記のとおり)
クサブロック、スタッカ-、バナフィン、カ-ブ、クサレス、タ-ザイン、ウエイアップ、ディクトラン
成 残 卵 成 残 卵 成 残 卵 成 残 幼 成 残 幼 成 残 蛹 成 残 蛹 成 残 幼 成 残 幼 成 残 蛹 成 残 幼 残 分生子
胞子
芽胞
アミスタ- - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ - - - - ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 -
- - - - - -
×
-
◎
アフェット
◎ -
- ◎ 0 - ◎ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
○
○
7
アリエッティ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - - - - ◎ - - ◎ ◎ - - ◎ - - - - - ◎ 0 - - - - - - ◎ 0
◎
×
×
アントラコ-ル
- - × × 7 - △ - - × - - ◎ - - - - ◎ × 28 ◎ ◎ 0 - × - ◎ ◎ - - ○ - - -
×
○
×
アンビル
◎ - ◎ ◎ 0 - ◎ - - - - - ◎ - - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 - ◎ - ◎ 0
×
イデクリーン
◎
◎
◎
イオウフロアブル
○ ○ - ○ ○ - - - - ◎ ◎ 0 - ○ - - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ○ 3 ◎ △ 7 - △ 7 ◎ ◎ - ◎ × - △ 0
◎
×
◎
園芸ボルドー
◎
◎
◎
オ-シャイン
- - - - - - - - - - ◎ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
オ-ソサイド
◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ △ - ◎ ◎ 0 - - - - -
△
×
×
カスミン
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
カスミンボルド- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
カ-ゼ-トPZ
- - - - - - - - - - △ - - - - - - - - - - - - - - ○ - - - - - - - - - - - - - - -
-
カリグリ-ン
- - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ○ - - ◎ - ◎ ◎ 0 - - - - - - - -
-
◎
カンタス
ー ◎ ー
◎ 0
◎ 0 - - - - - - - ◎ 0 - - - - - - - ◎ 0
◎ 0
- - - - - - -
キノンド- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
グラステン
- - - - - - ー - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ 0
-
グランサ- - - - - - - - -
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ 0
-
ゲッタ- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - - -
△
-
◎
クリ-ンヒッタ- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
サプロ-ル
◎ ○ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ○ 0 ◎ ○ 7 - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - ◎ 0
×
△
◎
サルバト-レME
- - - - - - - - - ◎ - ◎ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
×
◎
サンヨ-ル
- - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ - 0 - - - - - - ○ ◎ - - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
シグナム
◎ 0
◎ 0
## - - - - - - - - - - - - -
-
ジマンダイセン
- - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ○ ○ 0 - ◎ 0 - × - ○ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ○ ○ - - × - ◎ 0
×
×
×
ジャストミ-ト
- - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 - - - - ◎ 0 - - - - - - - -
×
-
◎
スコア
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ - - - - - - - - -
-
◎
ストロビ- ◎ - - ◎ 0 - - - - ◎ 0 - - - - ◎ - ◎ - 0 - - - - ◎ - - - - - ◎ 0 - - - - - - - -
△
-
◎
スミレックス
○ ○ - ◎ 0 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - - - ◎ △ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - ◎ 0
○
◎
◎
スミブレンド
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ - - - - - - - - -
-
◎
セイビア- - - - - - - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - ◎ ◎ - - ◎ 0 - - - - - - - - - - - - - -
×
-
◎
ダイセン
- ◎ - - ◎ - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - ◎ - 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ○ - ◎ ◎ 0 - ◎ - - -
×
ダコグリ-ン
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ 0
-
ダコニ-ル
◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ○ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - ◎ - - - - ◎ 0
×
×
×
チウラム
○ ◎ - ◎ ○ - - ◎ - ○ ○ 0 △ ◎ - - - - ◎ ○ - - - - ◎ △ 7 ◎ ○ 7 - ◎ 0 ○ ◎ - - - - ◎ 0
×
チルト
◎ × - ◎ ◎ - - - - - ◎ - - - - - - - ○ ◎ - - - - ◎ ◎ - - - - - ◎ 0 - ◎ - - - - ◎ 0
×
デラン
- - - - ◎ - - ◎ - - ◎ - - - - - - - - ◎ - - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - ◎ ◎ - - ◎ - ◎ 0
◎
△
銅剤
- ◎ - - ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - ◎ ○ - ◎ ◎ 0
◎ 0
◎
×
◎
トップジンM
- - - ◎ ◎ - - - - ○ △ 21 ○ △ 21 - △ 7 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ - ○ ○ 14 ○ -
△
◎
◎
トリアジン
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ - - - - - - - - -
-
◎
トリフミン
◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - ◎ ◎ 0 ○ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - - - - - - - ○ 0
△
-
◎
ナリア
◎
◎ 0
◎ 0
◎ 0
◎ 0
バイコラ-ル
◎ - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - ○ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0
◎ 0
○
×
バイレトン
- - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ - - - - ○ 0
△
△
バシタック
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
パスポ-ト
◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ○ - - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - ◎ - - - - ◎ 0
×
パンソイル灌注
- - - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - -
◎
ビスダイセン
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
フェスティバル
- - - - ◎ 0 - - - - ◎ 0 - - - - - - ◎ - 0 - - - - ◎ 0 -
- - - - - - - - - - - -
-
フルピカ
- - - - ◎ - - - - - - - - - - - - - -
- ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - -
-
◎
◎
◎
ベフラン
- - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
ベルク-ト
- - - - ◎ - - - - - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - ◎ ◎ - ◎ - - - - - - - - - - - - - - - -
×
-
◎
ベンレ-ト
◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - ◎ △ 21 ◎ △ 21 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ○ - - - - ◎ 0
×
△
◎
ポリオキシンAL
- - - - - - - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - - - - - - - - ◎ - - - - - - - - -
◎
-
◎
マンネブダイセンM ◎ △ - ◎ × - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - × 28 - × - - - - ◎ △ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ × - ◎ 0
×
ミルカ-ブ灌注
- - - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - -
◎
モレスタン
△ △ - ◎ ◎ - - △ - × × 28 - ◎ 0 - × - ◎ - 0 △ ◎ - ◎ △ 5 - - - ◎ ○ 0 △ △ - - ◎ - - -
×
◎
ユ-パレン
◎ ◎ - ○ ○ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 -
- ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ○ × 7 ◎ ◎ 0 - ○ - ○ ○ - ◎ × 28 - -
×
×
ヨネポン
- - - - - - - - - - - - - ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
ラリ- - - - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - - - - - - - - - - - - ○ -
×
×
◎
ランマンフロアブル
- - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 - - - - - - - -
◎
リゾレックス
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
-
リドミルMZ
- - - - - - ◎ ◎ 0 ○ ○ 0 - ◎ - - × - - - - - - - ◎ ◎ - - - - - - - - - - - - - - -
-
◎
ルビゲン
- - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - ◎ ◎ 0 - - - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 - ○ - ◎ ◎ 0
◎ 0
○
◎
◎
ロブラ-ル
◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ - ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0 - ◎ 0 ◎ ◎ 0 ◎ ◎ 0
◎ 0
×
○
◎
注)卵:卵に、幼:幼虫に、成:成虫に、マ:マミ-に、蛹:蛹に、胞子:胞子に、巣:巣箱の蜂のコロニ-に対する影響
残:その農薬が天敵に対して影響のなくなるまでの期間で単位は日数です。数字の横に↑があるものはその日数以上の影響がある農薬です。
*は薬液乾燥後に天敵を導入する場合には 影響がないが、天敵が存在する場合には影響がでる恐れがあります。
記号:天敵等に対する影響は◎:死亡率0~25%、○:25~50%、△:50~75%、×:75~100%(野外・半野外試験)、◎:死亡率 0~30%、○:30~80%、△:80~99%、×:99~100%(室内試験)
マルハナバチに対する影響は◎:影響なし、○:影響1日、△:影響2日、×:影響3日以上
マルハナバチに対して影響がある農薬については、その期間以上巣箱を施設の外に出す必要がありまあす。影響がない農薬でも、散布にあたっては蜂を巣箱に回収し、薬液が乾いてから活動させて下さい。
ショクカ ゙
タマハ ゙エ
幼 成 残 マ 成 残 卵
- - - - - - -
-
- - - - - - ◎
- - - - ◎ - -
◎ ◎ 0 - ◎ - -
<<殺菌剤>>
種類名
△
○
◎
◎
-
◎
◎
◎
-
◎
-
-
-
◎
-
◎
◎
◎
◎
◎
-
-
◎
-
◎
◎
-
◎
◎
◎
◎
◎
◎
-
○
◎
◎
○
◎
◎
◎
◎
◎
-
◎
◎
◎
◎
-
×
◎
-
◎
◎
◎
◎
◎
×
◎
-
×
×
×
×
×
◎
◎
◎
×
◎
◎
◎
◎
◎
×
◎
×
×
×
◎
×
◎
◎
×
◎
◎
×
◎
◎
×
×
◎
×
×
◎
水◎
1
0
0
0
-
0
0
0
0
3~5
-
0
0
0
0
0
-
-
0
-
-
0
0
0
-
1
-
-
-
0
-
0
0
-
0
0
-
0
0
2
1
-
残
1
マルハナバチ
巣
◎
菌
◎
エルヒ ゙ニア
カロトボ-ラ
日本バイオロジカルコントロール協議会規約
第1条(名 称)
本会は「日本バイオロジカルコントロール協議会」(以下「本会」という)と称し、事務局をアリス
タ ライフサイエンス株式会社内に置く。
第2条(会 員)
1.正 会 員:生物的防除剤の研究・開発もしくは普及・販売を業とし、農薬登録を取得してい
るもしくは取得を予定している法人。
2.賛助会員:第3条の目的に賛同し、入会した法人又は個人。
賛助会員は機関誌の発行を受け、研修会等本会の行事に優先的に参加できるものとする。
3.本会に入会を求める法人又は個人は、会員の推薦により、総会の承認を経て会員資格を得る
ものとする。
第3条(目 的)
1.日本国内における生物的防除に関する技術開発及び技術普及の推進。
2.国の内外における生物防除に関する情報の収集分析及び紹介。
3.会員相互の意見交換を通じての関連知識の向上。
4.その他生物的防除技術の開発及び普及に必要な事項。
第4条(事 業)
1.本会は、第3条の目的を達成するため、次の事業を行う。ただし営利行為は行わない。
1)生物的病害虫防除技術普及のための研修会の実施及び機関誌の発行。
2)関連する官公庁及び諸団体との連絡・折衝。
3)その他本会の目的達成に必要な事項。
2.本会の事業年度及び会計年度は、10月1日から翌年9月30日までとする。
第5条(運 営)
1.本会は、毎年事業年度の始めに総会を開催する。また、必要に応じ臨時総会を開催すること
ができる。
2.下記の事項については、総会の議決を経るものとする。
1)各事業年度の事業報告及び会計報告の承認。
2)各事業年度の事業計画及び予算の承認。
3)会員の入会及び退会並びに規約改正の承認。
4)その他本会の運営に関する重要事項。
3.総会は正会員の3分の2以上の出席により成立し、その議決には出席正会員の3分の2以上
の賛成を必要とする。但し、本会に対して委任状を提出することにより、議決権の行使を行
うことを妨げない。
第6条(成 果)
1.本会の事業によって得られた成果は、本会に帰属する。
2.本会に帰属する成果は、原則として公開するものとする。
第7条(会 費)
1.本会運営に必要な費用は、会費として会員から徴収する。
2.会費の金額は各年度毎に総会で定める。
3.必要に応じ、会員の賛同を経て、臨時会費を徴収することができる。
第8条(会 計)
会計は事務局が担当し、会計監査は、事務局以外の会員が年度毎に交代で当る。
第9条(退 会)
会員が退会を通告した場合は、納入した会費は返却しない。
第10条(協 議)
本規約の記載事項の解釈、記載のない事項または本会の運営に当って疑義を生じたときは、会員
が誠意をもって協議し、解決する。
86
✤お知らせ
1)入会案内
日本バイオロジカルコントロール協議会では天敵を中心とする生物農薬を活用した総合
防除技術の開発、普及を目的に努力してまいりました。正会員4社、法人会員30社、個
人会員200人以上の参加のもとで殺虫剤、ダニ剤、殺菌剤の天敵類への影響データをま
とめ、協議会誌(バイオコントロール、BIOCONTROL)への掲載を行うことや、会員以外の
参加を期待した毎年一度のテーマを決めた研修会の開催、機関紙の発行等を会員に限らず
ご協力を頂き活動を続けてまいりました。
しかし最近の輸入食品の残留農薬問題、農薬の登録に関する消費者の関心の高まりなどを
考えると生物農薬に限らず、各種技術を併用した総合防除の開発を早急に行うため、より
広範囲な研究者との接触や広い視野での努力が不可欠であると判断し、正会員による臨時
総会により、従来生物農薬の関係者に限定していた会則を改め、総合防除に関心を有する
企業、団体にも正会員として参加していただき従来以上の広い視野から努力することにい
たしました。
BT剤、IGR剤メーカーを初め一般農薬の会社にもぜひこの機会に参加していただきた
いと思います。また、従来の賛助会員から正会員への変更も期待しております。新規参加
会社のご意見を聞かせていただき分科会として
1)増殖天敵
2)在来天敵
3)総合防除
4)食品の安全性と機能
等を設けて活動していきたいと思います。ぜひとも本協議会の意図をご理解いただき皆様
方の参加をおまちいたしております。
2)賛助会員の募集について
当協議会を支援して下さる賛助会員を随時募集しております。賛助会員の皆様には年1回
以上発行の協議会誌をお送りし、年1回開催の研修会にご参加いただけます。
年会費は、正会員 200,000 円、法人会員 20,000 円、個人会員 2,000 円です。ご希望の方
は事務局までご連絡ください。
3)会費について
会計年度は前年 10 月から当年 9 月で、毎年 9 月に翌年度の会費を請求させていただいて
います。個人会員の方には郵便振替用紙を同封していますが、お手元に無い場合は下記口
座に直接お振替え下さい。
87
郵便振替:口座番号
加入者名
00110-7-368431
日本バイオロジカルコントロール協議会
4)協議会誌の発送について
上記のように会費の納入をお願いしておりますが、一部に会費の未納が何年も続く方や、
送付先不明の方がいらっしゃいます。宜しくご納入のほどお願い申し上げます。
5)バックナンバーについて
バックナンバーは1部 2,000 円にてお分けしております。
(事務局)
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バイオコントロール Vol.17 - No.1
発
編
年 会
行
集
費
平成 25 年 9 月 30 日
アリスタライフサイエンス株式会社
賛助会員 個人 2,000 円
法人 20,000 円
事 務
局
アリスタライフサイエンス株式会社
企画・編集
住
所
T E L
F A X
E - m a il
内
日本バイオロジカルコントロール協議会
和 田 哲 夫
〒104-6591 東京都中央区明石町 1-8 聖路加タワー
03-3547-4572
03-3547-4693
[email protected]
88
ミヤコカブリダニの定着状況 成虫と卵 (厚井原図)
チリカブリダニの定着状況 成虫と卵 (厚井原図)