顧客の購買行動に適応するには 現代の顧客には購買において様々な選択肢が用意されていま す。情報量が増え、チャネルは多様化しているため、顧客の購入 手段が変化しているためです。 その結果、顧客が購入プロセスを 主導する存在になりました。 これからのビジネスで企業が勝ち残 るためには、顧客行動の変化に俊敏に適応し、 あらゆるチャネル にわたって、個々の顧客に合わせた、きめ細やかなショッピング 経験を提供する必要があります。 この資料では以下の内容を提 供します。 →→ コマースの基盤に新たなチャネルを追加する →→ 複数のチャネルを連携させることにより、顧客に対して一貫 性のあるショッピング経験を提供する →→ 顧 客との オンライン / オフライン に 関 わらな い インタ ラクション により、ショッピ ング 行 動 に 影 響 を 与 える インターネットの普及が進み生活のあらゆる場面で利用される ようになりましたが、インターネット対応の車載コンピューター やテレビ、様々な携帯デバイスなど、新たなチャネルは次々と登 場しています。企業は、 このような新技術に乗り遅れないように、 既存のチャネルだけでなく、新しいチャネルを通じて顧客と継続 的な関係を築きながら、 コミュニケーションできるようにする必 要が出てきています。 しかし、オムニチャネル戦略の採用については、多くの企業がコ ストや人材に関して懸念を抱いています。 また、同時にオムニチ ャネル環境の開発でも困難に直面しています。たとえば、販売チ ャネル毎に基盤やシステムが分断されサイロ化していることや、 業務プロセス変更に組織の責任者が抱く抵抗、顧客の購買行動 への理解の無さなどです。 このホワイトペーパーは、オムニチャネル・コマースとは何か、オ ムニチャネル戦略のメリット、企業におけるオムニチャネル環境 の構築手順などについて説明します。 顧客の購買行動に適応するには 1 オムニチャネル・コマースとは何か オムニチャネル・コマースとは、顧客との関係性を維持しながら、 複数のデバイスやチャネル間で横断的にショッピングを可能に することです。 たとえば、 「クリック&コレクト (オンラインで予約、お店でお受け 取り) 」方式に見られるように、今までは利用可能なチャネルの豊 富さや、 リンクが張られているだけで重宝されていました。今後 は、すべてのチャネルで顧客との関係性が維持されているサービ スの提供ができる企業だけが勝者となるでしょう。顧客がショッ ピングで利用するチャネルは、 シングルチャネルからオムニチャ ネルへと変化しています。 どのようなチャネルを利用されても、企 業は次の事項を確認する必要があります。 →→ 情報提供や取引機能は、 どのチャネルでも、 どんな状況であ るとしても、顧客ニーズに対応できる。 →→ コンタクトチャネルはアクセスが簡単であり、使いやすい。 →→ 提供される情報は正確であり、チャネル間で一貫性があり、 関連性が維持されている。 →→ 他社ではなく、貴社のチャネルを使用したいと顧客が感じる だけの十分な説明がなされている。 近い将来、私たちの周辺にあるすべての環境、すべての電子機 器がインターネットに接続されるようになり、 インターネットは家 電機器と同じように、 どこにでもある生活必需品となるでしょう。 また、インターネットは顧客とのチャネルを急増させた要因でも あります。 このように短期間で、多様なチャネルを生み出したチャ ネルは他に類を見ません。たとえば、次のようなものがあります。 →→ 電子メール →→ Web サイト →→ モバイルアプリおよびモバイル Web →→ コールセンター →→ キオスク端末 →→ Google、Bing、Yahoo などのサーチエンジン →→ Facebook、Twitter、Google+ などのソーシャルネットワーク →→ ゲーム機 インターネットが自動車やキッチン家電、テレビやその他のアク セスポイントにまで拡張されれば、チャネル数はさらに増加しま す。それでも、新しいチャネルがそのまま新しいチャネルになる わけではありません。それらは、既存のインターネットチャネル の機能を利用しているに過ぎません。 事実、それらを新しいチャネルと見なすと企業にとって致命的な 誤りを冒す可能性があります。例えば、新しいチャネルというだ けでeコマースに展開されると、多くの企業に問題が発生します。 チャネルが違うと、データに異なる表現形式が与えられますが、 データ自体は従来の Web サイトで提供されているものと何ら変 わらないので、新しい業務プロセスを追加する必要性はありませ ん。事実、複数のチャネルがコマースで効力を発揮するのは、既 にWeb で確立済の手法を再利用する場合です。 しかし、チャネル 毎に新しい業務プロセスを構築してしまう企業が多いため、チャ ネルのシステムもプロセスも一貫性のないものが出来てしまい サイロ化してしまうのです。 オムニチャネル・コマースを確立するには、時間をかけて企業が 構築してきたサイロを取り壊す必要があります。現代のコンタク トチャネルは統合されている事が少なく、顧客獲得や維持の効 果も限定的で、顧客満足にも貢献できていません。 チャネル間でも部門間でも情報は自由に連携できなければなり ません。顧客にとって、チャネル間で商品注文ができないのは問 題ではなく、 その商品が「特定のチャネル」 、 「特定の部門」 でしか 販売されていない事が問題なのです。 顧客はどのチャネルから購入するかではなく、 どのブランドにす るかで商品を購入しているのです。 各チャネルは、オムニチャネルのショッピングルートとして、顧客 ニーズを満たす役割を持つため、企業は個々のチャネルの展開 時に、 どの役割を持たせるかを明確にしておく必要があります。 チャネルが存在する事よりも、 それぞれのチャネルで企業が何を 提供するかが重要なわけです。 日常生活へのインターネットの浸透は事実ですが、その認識が 本当の意味で企業に浸透しない限り、オムニチャネル・コマース 戦略が真に効果を発揮することはできません。 オムニチャネル・コマースの経験を提供すること、サポートする こと、 さらに管理する必要性は高まりを続けております。それは、 小売業だけでなく製造業の IT 環境にも大きな変化をもたらしま す。特に、それは顧客との接点で顕著に表れます。複数のチャネ ルから収集した情報は一貫性を担保して提供すること。別チャネ ルへの再配布や、顧客経験の集中管理、パーソナライズを行い ながら、収集したデータを活用するシステムが、近い将来の新標 準となります。 顧客の購買行動に適応するには 2 顧客行動の変化 今までは、顧客が複数のチャネル間を行き来しながら商品を購 入することは多くありませんでした。 しかし、そうした行動が変化 しています。 要因としては、モバイルの普及や機能の高度化により、顧客が インターネットを頻繁に使用するようになったからです。PCやモ バイルを利用して、いつでも、 どこからでも、商品情報を検索した り、購入したり、評価が投稿されるようになりました。 また、顧客は PC、 スマートフォン、 タブレットなど、購入に使用す るデバイスにはこだわっていません。PC を使用して Web サイト に接続することもありますが、別の日にはスマートフォンやタブ レットを使用しています。 タブレットやノートブックといったデバ イスだけではなく、TV や車載機器、家電製品と接続したインター ネットのストリーム利用も進んでおり、使用可能なデバイスの幅 はさらに広がると予測されています。 顧客は利用するチャネルにこだわりがありません。 「リアル店舗に 行く前のオンライン商品検索や、店舗にいながらスマートフォン で評価を読む場合もあります。商品を実際に確認するために店 舗に行き、購入は帰宅後にオンラインで行う場合もあります。 また は、 オプション品の注文を店舗で行い、 自宅に配送してもらう場合 もあります。 さらに、競合企業の店舗にいる状況では、 オンライン で購入する場合もあるのです。 」 と Deloitte Consulting の社長で あるケーシー・ローバウ(Kasey Lobaugh)氏 は述べています。1 たとえば、次のような行動が見られます。 →→ Google、Bing、Yahoo などの検索エンジンを使用して商品を 調べる。 →→ 顧客が商品の使い方や、YouTube や Hulu などのサイトに 投稿されたビデオを閲覧する。 →→ 小売業者のWebサイトを訪問して、第3者が投稿した商品レ ビューを読んだり、価格を比較したりする。 技術革新のペースが速くなるにつれて、迅速かつシームレスな顧 客経験に対する期待も高まりつつあります。それは店舗へ訪問、 コールセンターへ電話、 あるいは企業の Web サイトであっても 同じです。 さらに、 あるチャネルから別のチャネルに切り替えた際 にも、同様のブランド経験を求めます。例えば、企業の Web サイ トにセールスプロモーションが告知されていれば、店舗でも同じ セールスプロモーションを利用できるものと考えてしまいます。 →→ ソーシャルネットワークを利用し、商品情報の収集や、購入 者の評価をチェックする。 →→ 実店舗で商品を見た後、自宅でゆっくりと PC またはモバイ ルから商品を注文する。 印刷物 POS Web サイト ソーシャルメディア 顧客 モバイル コールセンター テレビ 顧客の購買行動に適応するには 3 オムニチャネル・コマース戦略の メリット 真のオムニチャネル戦略を導入する目的は、利益と顧客ロイヤ ルティを増大化させることであり、企業が適正に遂行した時に は、短期間で投資を回収できるようになります。 オムニチャネル・コマース基盤は、売上や収益性だけでなく、 コス ト低減にも効果をもたらします。 売上および利益の拡大 顧客満足度を改善すると、顧客維持率が高くなり結果として売上 も拡大させることが期待できます。複数チャネルを提供すること により、顧客が特定のブランドと再び取引を行う可能性が高くな ります。利益に関していえば、Forrester Research による最近の研 究で、オムニチャネルの顧客が、 シングルチャネルの顧客と比較 小売業では、店舗でカスタマイズした顧客経験を提案することが できます。例えば、POSや顧客のモバイル端末で、商品レビューや 情報照会が可能になり、 さらに、顧客向けサービスとして顧客経 験を高めるショッピング提案も可能になります。 統合コマース基盤によって、新たな営業機会を獲得できるように なります。複数チャネルで顧客購買行動を把握することで、施策 とのギャップや改善が必要な部分や、新たなビジネスで期待で きる部分が明確になるため、 クロスセルやアップセルの機会が 創出し易くなります。 コストの削減 在庫管理はオムニチャネルでメリットが出せる領域の1つです。 チャネル間で横断的に在庫確認ができれば、在庫回転率の改善 やオペレーションの効率化ができ、結果としてサプライチェーン 全体を強化させることができます。 また、チャネル横断的な意志 決定の俊敏化と最適化にも役立ちます。 マルチチャネルで統合コマース基盤に移行することができれば、 開発やサポートに関わるコストの低減につながります。コール センター、モバイルデバイス、インターネット、実店舗といった顧 客チャネルを統合したコマース基盤は、チャンネル個別にアプリ ケーション開発する場合よりもTCOが低減されます。 して 5 倍~ 6 倍の商品を購入しているとあります。2 満足感を得た顧客は、ロイヤルティの高い顧客になります。パー ソナライズや特別なサービスオプションなど、複数チャネルを通 じた経験価値が向上すれば、顧客とのコミュニケーションが改善 するだけでなく、 ブランドに対するイメージも向上し、固定客に なる可能性も高くなるわけです。 売上拡大とコスト低減のメリットに加え、柔軟性のメリットもあり ます。部門横断的に購買や顧客の分析を行うことで、営業担当は 市場変化に柔軟な対応が可能となり、新商品マーケティングや チャネル創出に多くの時間を使うことが出来るようになります。 オムニチャネル・コマース戦略により実現される可能性のある サービス • 統合コマース基盤を導入することにより、顧客とのインタラ クションや顧客経験に新しい可能性を創出することが可能 になります。その可能性の例をいくつか挙げてみましょう。 • • • 顧客はオンラインとオフライン(実店舗)の両方で、 自由に 支払方法を選択し商品を購入できます。返品や交換の際に も、 オンラインとオフラインを使用して手続きを行えます。 近隣の店舗に商品在庫を確認します。 「クリック&コレク ト」機能を使用してオンライン購入し、実店舗で商品を受 け取ることができます。 • 注文を行うと、顧客のモバイルに注文および配送の状況 を伝えるメッセージが送信されます。 • 実店舗では、POSで商品を注文して自宅に配送する事がで きます。実店舗に在庫がなくても、オンラインで商品を購 入することができます。 • 顧客がオンラインで商品レビューを発信する際は、 パーソナ ライズされたお勧め商品として類似商品が提案されます。 カタログでモバイル用バーコードをスキャンすると、商品 専用ランディングページに移動し、商品詳細情報の表示 や、商品の購入が可能になります。 顧客はモバイル向けのキャンペーンメッセージから、オン ラインやPOSで利用できるプロモーション (クーポン等) を 受けることができます。 • コールセンターのエージェントでは、 リアルタイムに顧客 の購入とインタラクション履歴を照会して、俊敏な問題解 決や他の商品を提案することができるようになります。 • 実店舗では、モバイルで商品NFC タグをスキャンすること で、衣服の洗濯条件や商品のお勧めコメントを見ながら、 購入したい商品どうかを検討できます。 • 企業の Facebook ページのファンが新製品に関する特別 プロモーションを受け取り、店舗またはオンラインでの購 入に利用できます。 または、Facebook で気に入ったブラン ドの製品を、オンラインマーケットプレイスを訪問したと きに自動的に注文するようにもできます。 顧客の購買行動に適応するには 4 オムニチャネル・コマース戦略に おける懸案と課題 ビジネスでは、前章のような顧客行動変化を認識するだけでは なく、新規顧客の期待に応えられるにコマース戦略を適用するこ とも必要不可欠です。 それを怠ると、既存顧客の離反や営業機会 を逃すリスクがあります。 しかし、現代では運用コストを最小に抑えるコマースソリュー ションが利用できるようになり、部門間を横断するような全社規 模で統合コマース基盤を導入することが以前ほど大きな課題で はなくなりました。 企業では、 これまでもモバイルやソーシャルメディア、 オンライン、 さらに店舗での顧客経験戦略を検討してきました。 しかし、その 内容には一貫性がなく、部門間で連携されていない場合が多く 見られます。例えば、Facebookのファンページなど、顧客チャネ ル施策に関しては、個々の事業部門で検討されているために、部 門横断的なチャネルで統合コマース基盤を使用することができ ず、個々のチャネルでコマースを導入してしまった場合が多くあ ります。 もう1つの懸念事項は社内の人材適正配置です。新しい技術を 導入すると人材の再教育も必要になります。 しかし、オムニチャ ネル・コマース戦略では、効率を高める方策も数多く存在してい ます。例えば、統合コマース基盤を導入すると、IT 部門のプロセス とタスクが合理化され、社内エンジニアに対し、 プロセスとシス テム最適化に取組む余力が生まれます。 また、セールス、サービス、マーケティング、顧客エンゲージメン トなどのフロントオフィス業務と、基幹系業務などのバックオフィ ス業務では、 そもそも業務プロセスや技術アプローチが異なりま す。 これら業務プロセスの統合が困難な場合には、顧客のニーズ をもっと深く、正確に分析する必要があります。 顧客ニーズの考慮不足や、チャネル横断的な購買履歴の追跡、 測定、分析の機能を持たない企業は、次に示すような重要な営 業機会を逃すことになります。 →→ ブランドロイヤルティおよび売上向上:オムニチャネル・コ マース戦略では、企業が複数のチャネルで顧客購買行動に 影響を与えることができます。顧客とのインタラクションを維 持しながら、チャネル間での行き来を可能とし、 どのチャネ ルを利用しても自社ブランドとの関係性を維持することがで きます。パーソナライズ、特別なサービスオプション、 コール センターの統合、 さらにスマートフォン、 iPad、 その他インター ネット対応デバイスの新たなチャネルを通じた取引を可能 にするなど、複数のチャネルで一貫性のある顧客経験を提 供できれば、 コミュニケーションを改善し、 さらなる売上向上 につなげることができます。 →→ ショッピング経験の拡張性:複数のチャネルで優れた顧客 経験の提供と、店舗スタッフ能力を活かしつつ、 クリック&コ レクトのオプションを提供するなど、POSやモバイルの機能 を最大限活用できる企業は、ビジネスで成功する可能性が 高くなります。 しかし、新たなビジネス機会の創出を予想しているにも関わら ず、オムニチャネル・コマースの導入に多くの企業が懸念を抱い ています。最もよく聞かれるのは、システム間の連携にかける時 間や人材がいない。 オムニチャネル向けにコンテンツが最適化 されていないといったものです。 営業部門の経営層もまた、 オムニチャネル・コマース戦略を採用 すると、オンラインチャネルが優先され、実店舗の売上げが減少 するのではと懸念しています。 しかし、オンラインチャネルの取り 組みでは、実店舗の売上げ減少リスクよりも波及効果による売り 上げ増加メリットの方が上回る事が多いのです。複数チャネルで のクロスプロモーション展開は売上を増加させています。事実、 顧客にはオンラインでレビューされている商品を実店舗で購入 する傾向が見られます。ECC Commerceが 2011年に行った調査 によれば、小売店の売上げ 33.5% は、最初に小売店の Web サ イトで商品を調べてから購買されたものでした。インターネット は、従来の店舗販売を補完し促進する働きがあるわけです。2 また、一部の企業では、オムニチャネル・コマースが過剰に宣伝 されているが、実際にそのようなニーズが存在するか分からな いという懸念を持たれています。Forrester Research, Inc. の主任 アナリストである Brian Walker氏 は、次のように述べています。 「近い将来、顧客がインタラクティブなディスプレイ広告や商品 に NFC 対応スマートフォンを振りかざす姿を目にすることになっ ても不思議ではない。 顧客はモバイルから購入したり、 商品をオン ラインカートに追加したり、あるいは表示された地図に従っ て、在庫がある店舗や陳列場所を把握しているのです。」3 これ は、チャネルの連携に成功したほんの一例にすぎません。 最後に、オムニチャネル・コマース戦略を採用する前に、 じっくり と状況を確認したい企業の存在が考えられます。 しかし、Walker 氏が述べているように、オムニチャネル・コマース戦略は年々現 実となりつつあります。 「現代の企業は個別チャネル重視ではな く、オムニチャネルに移行する時期を迎えています。つまり、急速 に拡大する複数チャネルを活かして豊富な情報を利用し、ネット ワークに強い顧客にも十分なサービスを提供できるように、社員 や業務プロセス、利用技術を最適化していかねばなりません。 」4 顧客の購買行動に適応するには 5 オムニチャネル・コマースを実現するための準備 市場変化に合わせて柔軟に拡張できます。既存の業務プロセス 現代の企業は常に俊敏に対応することも迫られています。 しか に簡単に取り入れることができ、既存の IT 基盤にもシームレス し、新しいチャネルはこれからも出現し続けるでしょう。 このた に統合できなければなりません。 め、企業は次のことに取り組む必要があります。 まず、顧客が好ん で利用するチャネルについて深く理解しておく必要があります。 オムニチャネル・コマース基盤を導入した企業は、 あらゆるメリッ 「顧客データの統合」機能を利用することで、 プロモーション、価 格、マーチャンダイジング、およびエンゲージメントプログラムを トを活用することができます。たとえば、利益獲得機会の増加、運 用コストの低減、チャネル間の運用性、 さらに最も重要なメリット 個々の顧客向けにパーソナライズできるようにし、顧客ロイヤル である、顧客経験価値の最大化などが挙げられます。 ティと満足度を向上させます。 オムニチャネル戦略を検討する際に、検討すべきポイントは以 下のとおりです。 →→ 企業内外の業務プロセスとデータ管理をサポートできるよう Walker 氏は次のように説明しています。 「現代は顧客が中心であ り、顧客にふさわしいコンテンツ、 コマース、およびサービスを提 供することこそ、現代の顧客に対応する鍵となるのです。 」7 にする。 →→ 業務プロセスと顧客行動履歴の同期(CRM、Web、BI、DWH) による顧客ニーズに合った対応の強化。 →→ 複数チャネル間で横断的に、フロントエンドとバックエンドシ ステムの相互連携を確立する。 →→ Web、モバイル、電子メール、コールセンター、店舗、タブレッ ト、 ソーシャルメディア、インタラクティブ広告など、すべての チャネルで顧客インタラクションをCRMから把握できるよう にする。 →→ 顧客対応を強化する組織構造を検討し、必要に応じて見直し や、 新しい職務・役割の設置検討を行う。 →→ POSデータを需要計画に使用する。 →→ オムニチャネルにおける品揃目標およびマーチャンダイジン グ計画を検討する。 →→ 顧客が選択したチャネルで、商品の購入、交換、および返品を 行える機能を提供する。 →→ 「クリック&コレクト」方式によるフルフィルメントサービス 提供を検討する。 以上の要素を統合するために、オムニチャネル・コマース基盤 の構築が必要となります。 「eビジネスに携わる経営層は、最先端 のeコマース基盤のような、高度に動的でパーソナライズされた コンテンツを顧客に提供できるシステムに投資する必要があり ます。 」 と 、Walker 氏は述べています。6 1 Kasey Lobaugh, “The Future of Retail: Cross-Channel Retail Transformation,” Deloitte Debates, 2010. www.deloitte.com/view/en_US/us/Insights/Browse-by-Content-Type/deloitte-debates/fe02eee937bf7210VgnVCM200000bb42f00aRCRD.htm 2 Adrian Hotz and Sonja Strothmann, “Multi-Channel for Cross-Channel: Consumer Behavior in Transition,” ECC Commerce, in cooperation with hybris GmbH, Jan 2011. 3 Brian Walker, “Why Multichannel Retail is Obsolete,” Forbes.com, March 14, 2011. www.forbes.com/2011/03/11/multi-channel-touchpoint-leadership-sales-leadership-obsolete.html 4 Brian Walker, “Why Multichannel Retail is Obsolete.” 5 Brian Walker, “Welcome to the Era of Agile Commerce,” Forrester Research, Inc. report, March 11, 2011. 6 Brian Walker, “Welcome to the Era of Agile Commerce.” 7 Brian Walker, “Why Multichannel Retail is Obsolete.” Japan - hybris Japan K.K. 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