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【第 4 回】
ウ 具体例
〔事例〕Aの暴行によりBに瀕死の重傷を与えて放置したところ、その後、通行人C
が被害者Bを足蹴にして死亡時期を早めさせた。Aに傷害致死罪(205 条)が成立
するか。
(ア)大谷説からは、Aの暴行がB死亡の直接の原因であり、Cの足蹴により多少の具体
的結果にずれが生じても、それは重要ではないから、Aの暴行とB死亡とは、社会通
念上相当性がある。したがって、Aに傷害致死罪が成立する。
(イ)前田説からは、Aの暴行はB死亡の危険性が高く、Cの足蹴は異常性が小さく、B
死亡への寄与度は小さいから、Aの暴行とB死亡とは、社会通念上相当性がある。し
たがって、Aに傷害致死罪が成立する。
判例 熊うち事件/最決昭 53.3.22
事案:被告人は、被害者を熊と誤信して猟銃を誤射し瀕死の重傷を負わせた。被告人は、
被害者の苦悶の状況から早く楽にさせようと決意し、さらに一発を発射しAを
即死させた。
判旨:本決定は、行為後の犯人の行為の介入ケースであるが、誤射行為(過失行為)と
死亡との因果関係を否定した(業務上過失傷害罪と殺人罪の併合罪)
。理論的根
拠は定かでない。
判例 柔道整復師事件/最決昭 63.5.11
事案:医師資格のない柔道整復師が、被害者から風邪ぎみであるとして治療の依頼を受
け、熱が上がれば体温により雑菌を殺す効果があって風邪は治るとの誤った考
えから、熱を上げること、水分や食事を控えること等を指示したところ、被害者
がこの指示を守り続けたため、脱水症状に陥り、気管支肺炎による心不全により
死亡した。
判旨:
「被告人の行為は、それ自体が被害者の病状を悪化させ、ひいては死亡の結果を
も引き起こしかねない危険性を有していたものであるから、医師の診察治療を
受けることなく被告人だけに依存した被害者側にも落度があったことは否定で
きないとしても、被告人の行為と被害者の死亡との間には因果関係がある。
」
コメント:本決定は、行為後の被害者の行為の介入ケースであるが、誤った治療の指示
と死亡との因果関係を肯定した(業務上過失致死罪)
。結果発生の直接的原因が
行為後の介在事情(被害者が指示に従ったこと)にあるが、その予見可能性があ
ることから相当因果関係を肯定できる。また、誤った治療の指示自体が、被害者
がそれに従うことから、危険性があるとも説明できる。
判例 大阪南港事件/最決平 2.11.20
事案:被告人が被害者の頭部を洗面器などで数回強打し意識を失わせ、港の資材置き場
に放置したところ、第三者が被害者の頭部を角材で強打し、被害者は翌日死亡し
た。
判旨:
「犯人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には、仮にその
後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても、犯人の暴
行と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができる。」
コメント:本決定は、行為後の第三者の行為の介入ケースであるが、被告人の暴行と死
亡との因果関係を肯定した(傷害致死罪)
。本件は、行為後の介在事情(第三者
による故意の暴行)に対する予見可能性はないから、これを基礎事情に入れない
で相当性を判断することになるため、従来の相当因果関係説では対処できない
と指摘された。大谷教授は、死期をわずかに早める程度であれば因果関係を肯定
できるとされる。最近の判例は「行為の危険性が結果へと現実化した」とき因果
関係を肯定している(山口など有力説)
。本件は、被告人の暴行により死因が形
成されており(行為の危険性あり)
、死期をわずかに早める程度の介在事情があ
っただけであり、行為の危険性の結果への現実化は否定されない。
判例 スキューバダイビング事件/最決平 4.12.17
事案:夜間のスキューバダイビングの講習指導中に、指導者である被告人が受講生らに
特別の指示を与えないままそばを離れたところ、取り残された指導補助者が受
講生らに誤って水中移動を指示し、これに従った被害者が水中移動中に空気を
使い果たし溺死した。
判旨:
「被告人が、夜間潜水の講習指導中、受講生らの動向に注意することなく不用意
に移動して受講生らのそばから離れ、同人らを見失うに至った行為は、それ自体
が、指導者らの適切な指示、誘導がなければ事態に適応した措置を講ずることが
できないおそれがあった被害者をして、海中で空気を使い果たし、ひいては適切
な措置を講ずることもできないままに、でき死させる結果を引き起こしかねな
い危険性を持つものであり、被告人を見失った後の指導補助者及び被害者に適
切を欠く行動があったことは否定できないが、それは被告人の右行為から誘発
されたものであって、被告人の行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定す
るに妨げない。
」
コメント:本決定は、行為後の被害者の行為の介入ケースであるが、因果関係を肯定し
た(業務上過失致死罪)
。本件は、結果発生の直接的原因が行為後の介在事情(受
講生の不用意な行動)にあるが、その予見可能性があるとすれば相当因果関係を
肯定できる。また、被告人の行為は被害者の不適切な行為を誘発する危険性の高
いものであり、それにより被害者が死亡したから、
「行為の危険性が結果へと現
実化した」と説明できる。
判例 最決平 15.7.16
事案:暴行を受けた被害者が現場から逃走するため高速道路に進入したところ、自動車
にひかれて死亡した。
判旨:
「被害者が逃走しようとして高速道路に進入したことは、それ自体極めて危険な
行為であるというほかないが、被害者は、被告人らから長時間激しくかつ執よう
な暴行を受け、被告人らに対し極度の恐怖感を抱き、必死に逃走を図る過程で、
とっさにそのような行動を選択したものと認められ、その行動が、被告人らの暴
行から逃れる方法として、著しく不自然、不相当であったとはいえない。そうす
ると、被害者が高速道路に進入して死亡したのは、被告人らの暴行に起因するも
のと評価することができる。
」
コメント:本決定は、行為後の被害者の行為の介入ケースであるが、暴行と死亡との
間の因果関係を肯定した。本件は、結果発生の直接的原因が行為後の介在事情
(被害者の逃走)にあるが、暴行を受けた被害者が逃走するのは当然であり、
その予見可能性があることから相当因果関係を肯定できる。
「行為の危険性が結
果へと現実化した」と説明できる。
判例 最決平 16.2.17
事案:暴行を受けた被害者が、手術によりいったんは容体が安定したものの、無断退院
しようと治療用の管を抜くなど医師の指示に従わなかったため死亡した。
判旨:
「被告人らの行為により被害者の受けた前記の傷害は、それ自体死亡の結果をも
たらし得る身体の損傷であって、仮に被害者の死亡の結果発生までの間に、上記
のように被害者が医師の指示に従わず安静に努めなかったために治療の効果が
上がらなかったという事情が介在していたとしても、被告人らの暴行による傷
害と被害者の死亡との間には因果関係がある。」
コメント:本決定は、行為後の被害者の行為の介入ケースであるが、暴行と死亡との間
の因果関係を肯定した(傷害致死罪)
。本件では、被害者の不適切な行為に対す
る予見可能性はないが、相当因果関係を認めてよい。また、被告人らによる傷害
は死亡の結果をもたらしえる身体の損傷であり、被害者の行為により結果へと
現実化することが阻止されなかったと説明できる(山口)
。
判例 最決平 16.10.19
事案:高速道路上で第三者Aの運転に立腹した被告人が、Aに謝罪させるためにAの車
(大型トレーラー)を高速道路上に停止させ、Aに暴行を加えて現場を走り去っ
た後、停止中だったAの車に後続車が追突し後続車の運転者らが死傷した。
判旨:
「Aに文句を言い謝罪させるため、夜明け前の暗い高速道路の第 3 通行帯上に自
車及びA車を停止させたという被告人の本件過失行為は、それ自体において後
続車の追突等による人身事故につながる重大な危険性を有していたというべき
である。そして、本件事故は、被告人の上記過失行為の後、Aが、自らエンジン
キーをズボンのポケットに入れたことを失念し周囲を捜すなどして、被告人車
が本件現場を走り去ってから 7、8 分後まで、危険な本件現場に自車を停止させ
続けたことなど、少なからぬ他人の行動等が介在して発生したものであるが、そ
れらは被告人の上記過失行為及びこれと密接に関連してされた一連の暴行等に
誘発されたものであったといえる。そうすると、被告人の過失行為と被害者らの
死傷との間には因果関係があるというべきである。
」
コメント:本決定は、行為後の第三者の行為の介入ケースであるが、被告人の過失行為
と死傷との因果関係を肯定した(業務上過失致死傷罪)
。不適切な第三者の行為
に対する予見可能性があり、相当因果関係がある。また、「行為の危険性が結果
へと現実化した」と説明できる。
判例 最決平 18.3.27
事案:被告人が自動車後部のトランク内に被害者を押し込んで脱出不能にして走行し
た後、道路上に自動車を停車させていたところ、第三者が前方不注意により車を
追突させたため、トランク内に押し込まれていた被害者が死亡した。
判旨:
「被害者の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為
にあるとしても、道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者
を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することがで
きる。」
コメント:本決定は、行為後の第三者の行為の介入ケースであるが、監禁行為と死亡と
の因果関係を肯定した(逮捕監禁致死罪)
。なお、過失犯の要件である予見可能
性も問題となる。
<研究>
因果関係
判例の変遷
条件説
大審院時代~
相当因果関係説
米兵ひき逃げ事件
危険の現実化
最近の傾向
因果関係が問題となる事例
① 行為当時に存在していた特殊な事情が影響を与えた場合
(広義の相当性)
② 行為後に生じた特殊な事情が影響を与えた場合
(狭義の相当性)
・
第三者の行為が介在
・
被害者の行為が介在
・
行為者自身の行為が介在
【判例のメルクマール】
① 行為自体のもつ危険性の現実化
最決昭和 63 年 5 月 11 日、最決平成 4 年 12 月 17 日、最決平成 16 年 10 月 19 日
② 死因を形成したか
最決平成 2 年 11 月 20 日、最決平成 16 年 2 月 17 日
③ それ以外
最決平成 15 年 7 月 16 日
【① 行為自体のもつ危険性の現実化】
介在行為を包摂する危険の創出
→ 不適切な介在行為は、
「当初の被告人の行為が持つ危険性の範囲以内のもの」であり、
「介在事情はそのような被告人の行為の危険性が順調に現実化していく過程におけ
る中でのものである」と言える場合。
* 「行為の持つ危険性の判断」と、そのような「危険性が現実化したという判断」は
明らかに異なるので注意。行為のもつ危険性が認定されれば、直ちに因果関係が肯
認されるわけではない。実行行為の持つ客観的な危険性と事案の具合的経過におい
てそれがいかに結果に向け発現したか、つまり、行為の結果に対する影響度・寄与
度を問題にすべきと言うことである。
<平成 16 年 10 月 19 日判例の読み方>
本件においては、被告人が被害者の車を停止させていなければ、午前 6 時 25 分頃の追突
事故が生じなかったことは明らかであり、過失行為と結果との間の条件関係の存在は当
然に肯認できる。しかし、多数の関係者が絡んだ様々な事情の介在が、被害者の車を停車
させたという過失行為と死傷事故の結果との間の因果関係を認めるにあたり、支障とな
らないかという問題が生じる。
実行行為(停止行為=過失行為)→ 被告人の暴行
→ 他者の行為 → 結果発生
* そもそも本件における実行行為はなんなのか、という問題でもある。
* 本件過失行為
「夜明け前の暗い高速道路の第 3 通行帯上に車を停止させたという過失行為」。
それ自体、後続車の追突等による人身事故につながる重大な危険性を有していた、
という認定が先行しているので注意。
本決定は、介在事情の予測可能性の程度等を問題とすることはなく、被告人の行為の危険
性と他人の行為等という介在事情が被告人の行為に「誘発」されたものであることを指摘
して、因果関係を肯定した。
<説示そのものでは、本決定は、
「予想」「予測」に言及していない>
→ 本件の暴行は、当初からの予定の行動であって、予測可能性を問題とする以前のもの
であるという評価がある(被告人は、同種の運転中のトラブルによる傷害事件を繰り
返していた、文句をいい謝罪させようとして停車行為に及び手拳で殴打した)。人間
の予測可能性は、心理的因果性に係る予測可能性を問題とすることになるので、一般
に自己の心理的因果性が予測不可能であったなどということは考えにくい。
<被告人自身による第 2 行為の介入等について>
本件で車の停止継続の一員となった「エンジンキーの所在を被害者が失念して周辺を
捜すなどして時間を費やした」等の事情は、被告人が車を停止させたこと自体から生じ
たと言うより、そのことにその後、被告人が被害者に加えた暴行等が加わって生じたと
見ることが自然なものである。そのため本決定も、
「過失行為及びこれと密接に関連し
てされた一連の暴行等に誘発された」と判示している。
問題は、過失行為と共に「一連の暴行等」が挙げられている点である。
被告人自身の行為であっても、実行行為自体ではないものが結果との間に介在している
場合には、その行為は介在事情の一種と理解されるべきものであり、かつ、介在事情が
存する場合の因果関係の検討が、「当該結果は、実行行為から生じたのか、それとも介
在事情が原因で生じたのかと言う問題と見られるとすれば、上記暴行等は介在事情に属
するものであるから、本件結果がこれに誘発されたと言う評価は、実行行為と結果との
間の因果関係に疑問を抱かせる事情にならないか、という問題提起もありうるところで
ある。
また、本件における介在行為たる「暴行」は故意行為であるから、「過失行為の介入
は予測可能で異常ではないが、故意行為の介入は異常で予測不能である」という一般論
を単純に適用すると本件における第 1 行為たる車を停止させたという過失行為と死傷
との間には法的因果関係がないと言うことにならないか、という問題提起も考えられな
いではない。
しかし、結論として本件において因果関係を否定することは考えがたい。被告人は、
他人の運転態度に問題があると思えば、高速道路上であろうと相手方の車を止めて注意
しないと気が収まらないとしてこれまでも本件に酷似した傷害事件を繰り返していた
ものであって、本件停止行為も「文句を言い謝罪させるために停止させて暴行を加えた」
事案であり、停止とその後の暴行等とは、共通の意図の基になされた(本件結果の発生
を意図したものではない=本件暴行行為を結果発生に向けられた故意行為として別個
に評価しないということ)密接に関連する行為であった、と言えるものである。
本決定は、第 2 行為の介入は因果関係を否定するに足りるような事情ではないという
判断を前提として、これを第 1 行為と共に「他人の不適切な行動等を誘発させたもの」
と位置づける判示をした、と理解される。
【コメント】
行為者の故意行為が介在した場合、第 2 行為につき殺人罪が成立し、第 1 の過失行為に
結果を帰責させないのが通常であろう。第 1 行為により、第 2 行為を行う蓋然性・可能
性がもたらされたか否かが問題となる。もしそれが肯定できなければ、第 1 行為と死の
結果との間の因果関係は否定される(過失により被害者を自動車でひいた後、故意で再
度ひいた事例 東京高判昭和 63 年 5 月 31 日など)
。
【② 死因の形成】
結果発生に至るメカニズムの設定
被告人の行為の危険性が現実化したと言いやすい事例で、介在事情が当該結果の惹起
に与えた寄与度が低く重要では無いような場合である(死期をわずかに早めた、遅くし
た)。
この類型においては、結果をどの程度抽象化できるのか、という方が問題となる。
死因の同一性の範囲内で結果の抽象化を認める見解(井田)
、死期を基準として、死期
を相当程度早めた場合、重大な変更があった場合は除くとする見解などが有力である。
* 「行為と結果をつなぐ「糸」の存在だけではなく、その「太さ」についても認定の
対象となる」
(鈴木左斗志 法学教室 261 号)
。
「被告人の行為による影響力(寄与度)が圧倒的に強固な時には、仮にその後に異
常な事情が介在したとしても因果関係は肯定される一方、たとえ条件関係的なつな
がりがあっても、結果への寄与が極めて軽微であれば、介在事情の異常性を問題と
することなく、当然に因果関係が否定されると解されてきたのではないだろうか。」
【③ それ以外】
介在行為が最終結果に対して大きな影響を与えており、①類型に近いが、暴行行為が持
つ「危険性の範囲以内のもの」、
「危険性が順調に現実化したもの」とは言い難い。介在
行為はかなり突飛なものである場合。
<平成 15 年 7 月 16 日判例の読み方>
本決定は、本件の事実関係の下で、被害者が逃走しようとして高速道路に進入したことが、
極めて危険な行為であるとして、不適切な逃走方法を選択したことを認めた上、まずそれ
が極度の恐怖感を抱いて必死に逃走する過程でとっさに選択されたものであるとし、次
いで、その逃走方法が著しく不自然・不相当なものではないとして、因果関係を肯定。
「極度の恐怖感を抱いて必死に逃走する過程でとっさに選択」したとは、その前に被害者が
被告人らから長時間激しくかつ執拗な暴行を受けたことが認定されているから、被害者
による逃走方法の選択が、被告人らの暴行の心理的、物理的な影響下で行われたことを言
うものと解される。
「逃走方法が著しく不自然・不相当なものではない」というのは、被告人らの暴行の心理的、
物理的な影響下で選択された逃走方法であっても、その逃走方法が著しく不自然、不相当
であれば、因果関係が否定される余地を留保したものと考えられる。
例えば、被害者が既に安全圏に逃走を果たしているのにあえて危険な逃走方法を選択し
た場合や、被告人の暴行や追跡行為から逃れるほか、それとは別の動機からあえて危険な
逃走方法を選択した場合など、被告人の行為による心理的・物理的な影響を考慮しても、
被害者の逃走方法の不適切さが際立っている場合である。
逃走する手段として、通常は選択しない危険なものを選択した事例で因果関係を肯定し
た点において特徴のある判例である。
【結果的加重犯としての傷害致死罪の特殊性】
発生した重い結果につき行為者の主観的予見可能性ないし過失を要求すると解する立場
(過失説)からは、被害者死亡の結果について被告人ごとに過失の有無が認定されなけれ
ばならない。特に結果発生に至る因果経過に被害者の高速道路への進入に伴う事故死と
言う異常な事態が介入する場合には、各被告人の主観的予見可能性が認定される必要が
出てくるので注意しなければならない。
また、加重根拠を基本犯の行為ないし結果に内在する「加重結果の危険」の実現に求め、
結果的加重犯を基本犯と加重結果の密接なつながりに着目して構成された特殊な犯罪類
型と介する立場(危険性説)からは、被害者死亡の結果が傷害罪に内在する死の高度の危
険性の現実化として発生しなければならない(直接的な連関)。あくまで高速道路上にお
いて自動車にれき過されたのであって、基本犯であるXらの暴行行為・傷害結果に内在す
る死の危険性が直接的に実現したと言えるか問題が生じる。