校長室便り 平成 27 年3月 18 日 ユズリハの季節…一年間のご協力・ご支援ありがとうございました 49 日間の短い 3 学期が今、終わろうとしています。3 月…卒業歌の歌声が響く校舎には、新しい明日 への希望と、別れの寂しさが交錯する不思議な時間が流れています。6 日(金)には、生徒総会が開かれ ました。ぎこちなさが取れ、堂々と議事を進める新役員、後輩に託す思いを厳しくも温かなまなざしで伝 える 3 年生。 「こうやって伝統が引き継がれるのだな」と感慨深く思えたひとときでした。 信更中生徒会の「組織アイデンティティー」とは? 3 月 5 日生徒総会にて 生徒会へのお願いを一つします。それは、組織アイデンティティーを探し、大切に育ててほしいと いうことです。アイデンティティーという言葉を聞いたことがありますか?日本語に直すと、 「自己同 一性」などと難しく訳されていますが、正確に日本語で表すことは難しい言葉だと言われています。 平たく言い換えれば、 「私」が「私」たらしめているものは何か、 「自分が自分である証」ということ です。I 先生に尋ねると「個性」と答えてくださいました。 「なるほど」と思いました。私は、アイデ ンティティーとは、その人のもつ「個性」、 「よさ」 、「存在価値」などと考えてもよいのではないかと 思います。何となくアイデンティティーというものが見えてきましたか? さて、実は、組織にも組織アイデンティティーというものがあります。私たち(の組織)はいった い何者なのか?平たく言い換えれば、 「自分たちが自分たちである証」ということですね。 そう考えたときに、信更中生徒会のアイデンティティーは何でしょうか?信更中生徒会の個性とか よさといったらどんなことが思い浮かぶでしょうか? たくさんあると思います。そこでお願いです。4 月からの生徒会活動は、自分たちの組織のよさ、 伝統としてつなげていかねばならないものは何かをじっくり掘り返してみて、それを新しいスローガ ンに反映させ、育てていくような方向での活動を進めてほしいと思うのです。 例えば、信更坂での挨拶です。これは、誰もが認めて下さる個性、よさ ですが同じ挨拶が、家ではできていますか?校内ではどうでしょう。来客 者に、保護者の方々にできているでしょうか?何よりみなさん生徒同士で はできているでしょうか?信更坂での挨拶が、いつでもどこでもできるよ うにみんなで実践してみることこそ、地味な取り組みですが、信更中生徒 会の存在する価値であり、組織アイデンティティーであると思います。 生徒の数が減り、生徒会の組織はいっそう小さくなります。できることは限られてきます。だから こそ、カタチとしてこれまでしてきたことにとらわれず、私たちの個性やよさを生かす活動に心血を 注ぐ生徒会であってほしいと願っています。 聡明な生徒の話…大切なこと 終業式にて 3 月 18 日 今日で 48 日間の 3 学期が終わります。残すは明日の卒業式のみとなりました。 3 学期の始業式には、 「愚か者の法則」という話をしました。それは、「昨日と同じ今日を過ごしな がら違う結果を求めてしまうもの」のことでしたね。 「ああなりたい」、 「こうなりたい」と口にするも のの、いつもと変わらない毎日を過ごしてしまっていては何も変わるはずはありません。目の前の結 果をぼやいたり、他人の結果・成果を羨んだりする前に、自分自身で何をすべきか考え、とりわけ、 3 学期は勉強に打ち込んでみてほしいという話でした。みなさんは、愚か者の法則から脱却するため の努力はできましたか?勉強に打ちこむことができましたか? さて、今日は愚か者の法則から脱却した、大変賢明な本校の生徒の話をします。それは、勇気と決 断力で、仲間とともに LINE 依存から抜け出そうとした話です。LINE 依存症とは、日常生活の中で 睡眠以外の時間をネット環境に心を奪われている状態をいうのだそうです。LINE 等の SNS に時間を 費やしてしまい、常にスマホで会話に入っていないと落ち着かない、返事を書かないと不安という気 持ちになってしまう状況に陥り、結果、学校の成績が下がったり、仲間はずれやイジメ、暴力事件な どが起きたりします。 とりわけ中学生は、わずかしかない貴重な自分の時間を、たくさんのグル ープトークの仲間とやりとりをするため、返事の対応がしきれなくなり、既 読無視(いわゆる”既読スルー(KS)” )から、仲間外れやイジメが生じやすい とされています。また、1 日に何時間もそれに費やすわけですから、成績が落 ちている原因がそこにあることがわかっていながらも返事をせざるを得な い、関わらざるを得ない状況になってしまうのです。そして、そんな悪循環 にはまっている自分を感じながらもやり続けてしまうのです。怖いですね。 もっとも LINE というツールに何の責任もありません。要は使う人のモラル次第なのですから…。 話を戻します。 「既読無視ですか?」…こうした仲間からの声に、一人の中学生が立ち上がります。 「もうやめたい」と勇気をもって大人や先生に相談します。そして、 「LINE はやめる」ということを グループの仲間に宣言していくのです。 また、それを機に、LINE に時間をかけすぎ、成績が低下していることを自覚していたもう一人の 中学生も家族と相談して LINE と決別し、勉強と部活に打ち込む決断をします。またひとり、そして またひとり、勇気と決断力を持って LINE の関係を断ち切っていったのです。私は「なんと賢く、な んと聡明な生徒たちなのだろう」と心から感心しました。 まさに、愚か者からの脱却を図った生徒たちです。きっとこの生徒たちは、学習や部活の成績も伸 び、SNS でしかつながれない脆弱(ぜいじゃく)な関係ではなく、強い信頼感で結ばれたかけがえの ない仲間づくりができていくことと思っています。 大切という言葉があります。大きく切る、と書きます。和製漢語で、語源は、「大いに迫る」「切迫 する」という意味でしたが、中世になって「かけがえのないもの」に転じていったようです。私なり に解釈すれば、かけがえのないものにするために従前の自分を断ち切ること、それが大切ということ ではないかと思います。みなさんは、今日それぞれの学年を終了するわけですが、それぞれの学年を 終え、自分が一回りも二回りも成長するために、きっぱりと断ち切っていくものは何なのでしょうか? ゲームやスマホ依存ですか?稚心でしょうか?甘えでしょうか?新しい自分になるために、大切にす るものは何かをみつける春休みにしてほしいと思います。 3 年生も 3 月 31 日までは信更中学校の生徒です。そのことを自覚し、事故や問題に巻き込まれない ように過ごしてほしいと思います。とりわけ交通事故には遭わないよう十分注意をしてください。明 日は、卒業式。私たちを温かく支えてくれた 3 年生に感謝の気持ちを込めて最良の日にしましょう。 (信更中 校長室)
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