「電気と資格の広場」 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ (2)ベクトル計算 重要事項(これを理解します) 1,ベクトルとは何かについて学びます。 2,ベクトルの表現方法について学びます。 3,ベクトルの加算・減算・内積・外積について学びます。 【 例 題 ( よ く 出 る 問 題 )】 : . 次のベクトル V を複素数で表現しなさい。 虚軸 y 4.5 2.0 4.0 . V 3.5 3.0 2.5 4.0 2.0 3.46 1.5 1.0 60° 0.5 -0.5 O 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 -0.5 【例題(よく出る問題)の解答】 . V =2.0+j3.46 【例題(よく出る問題)の模範解答】 . 問 題 の ベ ク ト ル V は 、実 軸 の 値 が 2.0 で 、 虚 軸 の 値 が 3.46 で す 。 よって、 . V =(実 軸 の 値 )+ j (虚 軸 の 値 ) =2.0+j3.46 となります。 -1- 4.5 x 実軸 第一種電気工事士受験対策 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ 【解法の準備】 例題を解くために次の事を学びます。 1,ベクトルとは 「 ベ ク ト ル 」 は 、大 き さ と 方 向 と 向 き を 持 っ た 量 で す 。 しょう。 簡単な例で説明しま 下 図 の よ う な 河 が あ り 、そ の 河 を 小 さ な ボ ー ト が 渡 っ て い る と し ま す。 ボートの動きは、1つのベクトルで表すことができます。 向 方向 河 大きさ ボートの動きのベクトル それぞれ、ベクトルの大きさと方向と向きは、上の図のようになります。 さ て 、 ベ ク ト ル に は 、次 の よ う な 性 質 が あ り ま す 。 ベクトルの位置を自由に動かしても、かまわない。 です。 水の流れのベクトル では、例で説明しましょう。 河 ボートの実際の動き ボートの動きのベクトル 水の流れのベクトルが上のようであったとします。 すると、ボートの実際 1-1-2.doc -2- 「電気と資格の広場」 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ の動きは、点線のようになります。 ベクトルを足し算すると下のようになり ますね。 ベクトル B ベ ク ト ル A+B ベクトル A すなわち、ベクトルは、このように自由に位置を移動して足し算することが できます。 2 , ベ ク ト ル の 表 現 方 法 と は (1) ベ ク ト ル は 、他 の 変 数 と 区 別 す る た め に 、 次 の よ う に 表 示 し ま す 。 . V 見 て 解 る よ う に 、記 号 の 上 に「 ド ッ ト 」を 付 け て 、文 字 本 体 を「 太 字 斜 体 」と しています。 こ の 表 現 は 、あ く ま で も 慣 習 で 、明 ら か に ベ ク ト ル と 解 る と き は 、省 略 し ま す 。 こ の テ キ ス ト で も 、区 別 が ま ぎ ら わ し い 場 合 は 、記 号 の 上 に「 ド ッ ト 」を 付 け て 、 文 字 本 体 を「 太 字 斜 体 」と し ま す が 、明 ら か に ベ ク ト ル と 解 る と き は 、省 略 し ま す。 3 , ベ ク ト ル の 表 現 方 法 と は (2) ベクトルの量を表現する方法にいくつかの方法があります。 こ こ で は 、そ の いくつかを説明します。 1)複素数による表現 一番よく使われる表現が、複素数による表現です。 . 例 え ば 、ベ ク ト ル V が 実 軸 =4、 虚 軸 =3 の 時 は 、 . V =4+j3 と表現します。 こ こ で 、 j は 、 j = −1 で す 。 こ の 、 j を ベ ク ト ル に 一 回 掛 け る 毎 に ベ ク ト ル が 、90 度 回 転 し ま す 。 -3- 第一種電気工事士受験対策 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ . jV . V θ +90° θ +180° θ . . j 2 V =− V θ +270° . . j 3 V =− jV さ て 、 こ の 複 素 数 表 現 の 便 利 な と こ ろ は 、 ベ ク ト ル 通 し の 加 算 (足 し 算 ) や 減 算 (引 き 算 )に 便 利 な こ と で す 。 ベクトル通しの加算・減算の場合は、この表現を使うとよいでしょう。 2)極形式による表現 さて次は、極形式による表現です。 . V =V∠ θ 次のように表現します。 . V V θ ベ ク ト ル 表 現 で は 、複 素 数 表 現 が 慣 れ て い る の で 、同 じ ベ ク ト ル を 複 素 数表現してみると、次のようになります。 . V =V∠ θ =V(cos θ +j sin θ )= Vcos θ +jV sin θ さ て こ こ で 、 Vcos θ =4、 jV sin θ =j3 の 時 は 、 . V =4+j3 となりますね。 さ て 、こ の 極 形 式 表 現 の 便 利 な と こ ろ は 、ベ ク ト ル 通 し の 掛 算 や 割 算 に 便利なことです。 ベクトル通しの掛算・割算の場合は、この表現を使うとよいでしょう。 . . た と え ば ベ ク ト ル V 1 と ベ ク ト ル V 2 の 掛 算 や 割 算 の と き は 次 の よ うに な ります。 . . V 1 ×V 2 =V 1 ∠ θ 1 ×V 2 ∠ θ 2 = V 1 ×V 2 ∠ ( θ 1 + θ 2 ) 1-1-2.doc -4- 「電気と資格の広場」 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ V& V& 1 = 2 V1∠θ1 V1 = ∠ (θ1 − θ 2 ) V2 ∠θ 2 V2 となります。 3)指数形式による表現 表 現 の 最 後 は 、指 数 形 式 に よ る 表 現 で す 。 こ の 指 数 形 式 に よ る 表 現 は 、極 形 式 に よ る 表 現 と よ く 似 た 表 現 で す 。 ま ず 、指 数 形 式 に よ る 表 現 が 、ど の よ う な 表 現 か 示 し ま し ょ う 。 うになります。 . V =Vε j θ 次のよ . V V θ この指数形式を極形式や複素数形式にすると下記となります。 . V =Vε j θ =V∠ θ =V(cos θ +j sin θ ) こ の 指 数 形 式 表 現 の 便 利 な と こ ろ は 、極 形 式 と 同 じ で 、ベ ク ト ル 通 し の 掛算や割算に便利なことです。 ベ ク ト ル 通 し の 掛 算 ・ 割 算 の 場 合 は 、極 形 式 と 並 ん で こ の 表 現 を 使 う こ とも考えた方がよいでしょう。 . . た と え ば ベ ク ト ル V 1 と ベ ク ト ル V 2 の 掛 算 や 割 算 の と き は 次 の よ うに な ります。 . . V 1 ×V 2 =V 1 ε j θ 1 ×V 2 ε j θ 2 = V 1 ×V 2 ε j( θ 1+ θ 2) V& V& 1 2 = V1ε jθ1 V1 j (θ1 −θ2 ) = ε V2ε jθ2 V2 となります。 -5- 第一種電気工事士受験対策 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ 4.ベクトルの足し算と引き算とは ベ ク ト ル 通 し は 、足 し 算 や 引 き 算 が で き ま す 。(加 算 や 減 算 で す ね ) ど の よ う に 計 算 す る か と 言 い ま す と 、実 数 ど う し 虚 数 ど う し で 計 算 し ま す 。 では、やってみましょう。 . . V 1 =3+j4 V 2 =4+j2 . . こ こ で V1+ V2 は 次 の よ う に 計 算 し ま す 。 . . V 1 + V 2 = (3+j4) + (4+j2) 虚軸 = (3+4) + (j4+j2) = 7+j6 y 9 8 . . V1+ V2 7 6 . V1 5 4 3 . V2 2 1 O 1 2 3 . . ま た V1− V2 は 次 の よ う に 計 算 し ま す 。 . . V 1 − V 2 = (3+j4)− (4+j2) 4 虚軸 5 6 7 8 9 x 実軸 y . V1 5 = (3− 4) + (j4− j2) 4 = − 1 + j2 . . V1− V2 . V2 3 2 1 -5 -4 -3 -2 -1 O 1 2 3 4 -1 . − V2 -2 -3 -4 -5 1-1-2.doc -6- 5 x 実軸 「電気と資格の広場」 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ 5.ベクトルの内積と外積とは . V2 ベクトルの内積と外積は、別名 V2 内積=スカラー積 外積=ベクトル積 . V1 θ と言います。 . . V1 と V2 の 内 積 V は 、 . . V=V 1 ・ V 2 =V 1 V 2 cos θ V1 となります。 値 は 、方 向 性 を 持 た な い ス カ ラ ー 量 と な り ま す 。( 長 さ ・ 質 量 ・ 面 積 と 同 じ ス . カラー量です) V さ て 次 は 、外 積 で す 。 . . . V1 と V2 の 外 積 V は 次 の よ う に 表 し ま す 。 . .. . . V2 V2 V =V 1 ×V 2 =v V 1 V 2 sin θ それで、外積は、ベクトルになります。 ベクトルの向きは、上の式で始めのベクトル . . V1 か ら 次 の ベ ク ト ル V2 へ 向 か っ て 測 っ た 角 度 θ θ V1 . V1 と関係します。 . ど の よ う に 関 係 す る か と 言 い ま す と 、外 積 V は 、角 度 θ と 同 じ 回 転 方 向 で ネ ジが進む方向になります。 . . 上の式で v は、外積 V の方向の単位ベクトルです。 単 位 ベ ク ト ル と は 、大 き さ が 1 の ベ ク ト ル で す 。 . . す な わ ち 、ベ ク ト ル V は 、大 き さ が V 1 V 2 sin θ で 、向 き が v の ベ ク ト ル と い う 意味です。 【確認問題1】 次の 2 つの電流がある。 . I 1 =2+j3 合 成 電 流 は 、い く ら か 。 . I 2 =4+j5 【確認問題1の回答】 . . I 1 + I 2 =6+j8 【確認問題1の解説】 計算してみます。 -7- 第一種電気工事士受験対策 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ . . I 1 + I 2 =(2+j3)+ (4+j5) = (2+4)+ j (3+ j5) =6+j8 となります。 【確認問題2】 次の 2 つのベクトルがある。 ベクトルの内積は、いくらか。 . . V =100∠ 10° I =60∠ 40° 【確認問題2の回答】 . . V ・ I =5190 【確認問題2の解説】 あまり難しく考えないで、内積の公式に当てはめて計算します。 内積の公式は、 . . V=V 1 ・ V 2 =V 1 V 2 cos θ です。 当てはめると、 . . V ・ I =100×60 cos(40°‐ 10°) . I =6000 cos30° =6000× 3 2 =6000× 1.73 2 60 30° 40° 10° . V 100 =5190 となります。 キーワード ベクトル、大きさ、方向、向き、ベクトルの表現方法、複素数による表現、極 形 式 に よ る 表 現 、指 数 形 式 に よ る 表 現 、ベ ク ト ル の 足 し 算 、ベ ク ト ル の 引 き 算 、 ベクトルの内積、ベクトルの外積、スカラー積、ベクトル積 1-1-2.doc -8- 「電気と資格の広場」 http://cgi.din.or.jp/~goukaku/ これがポイント コ ツ 1 、ベ ク ト ル の 加 算 ・ 減 算 は 、複 素 数 形 式 で 表 現 し て 計 算 し て 下 さ い 。 コツ2、ベクトルの内積は、スカラー量であることを覚えて下さい。 コツ3、ベクトルの外積は、ベクトルになることを覚えて下さい。 復習 1,ベクトルを表現する 3 つの方法は、説明できますか。 2,内積の公式は、覚えていますね。 3,外積のベクトルの向きは、どのように決めるか解りますか。 -9-
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