ベクトル計算

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(2)ベクトル計算
重要事項(これを理解します)
1,ベクトルとは何かについて学びます。
2,ベクトルの表現方法について学びます。
3,ベクトルの加算・減算・内積・外積について学びます。
【 例 題 ( よ く 出 る 問 題 )】 :
.
次のベクトル V を複素数で表現しなさい。
虚軸
y
4.5
2.0
4.0
.
V
3.5
3.0
2.5
4.0
2.0
3.46
1.5
1.0
60°
0.5
-0.5
O
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
-0.5
【例題(よく出る問題)の解答】
.
V =2.0+j3.46
【例題(よく出る問題)の模範解答】
.
問 題 の ベ ク ト ル V は 、実 軸 の 値 が 2.0 で 、 虚 軸 の 値 が 3.46 で す 。
よって、
.
V =(実 軸 の 値 )+ j (虚 軸 の 値 )
=2.0+j3.46
となります。
-1-
4.5
x
実軸
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【解法の準備】
例題を解くために次の事を学びます。
1,ベクトルとは
「 ベ ク ト ル 」 は 、大 き さ と 方 向 と 向 き を 持 っ た 量 で す 。
しょう。
簡単な例で説明しま
下 図 の よ う な 河 が あ り 、そ の 河 を 小 さ な ボ ー ト が 渡 っ て い る と し ま
す。
ボートの動きは、1つのベクトルで表すことができます。
向
方向
河
大きさ
ボートの動きのベクトル
それぞれ、ベクトルの大きさと方向と向きは、上の図のようになります。
さ て 、 ベ ク ト ル に は 、次 の よ う な 性 質 が あ り ま す 。
ベクトルの位置を自由に動かしても、かまわない。
です。
水の流れのベクトル
では、例で説明しましょう。
河
ボートの実際の動き
ボートの動きのベクトル
水の流れのベクトルが上のようであったとします。
すると、ボートの実際
1-1-2.doc
-2-
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の動きは、点線のようになります。
ベクトルを足し算すると下のようになり
ますね。
ベクトル B
ベ ク ト ル A+B
ベクトル A
すなわち、ベクトルは、このように自由に位置を移動して足し算することが
できます。
2 , ベ ク ト ル の 表 現 方 法 と は (1)
ベ ク ト ル は 、他 の 変 数 と 区 別 す る た め に 、 次 の よ う に 表 示 し ま す 。
.
V
見 て 解 る よ う に 、記 号 の 上 に「 ド ッ ト 」を 付 け て 、文 字 本 体 を「 太 字 斜 体 」と
しています。
こ の 表 現 は 、あ く ま で も 慣 習 で 、明 ら か に ベ ク ト ル と 解 る と き は 、省 略 し ま す 。
こ の テ キ ス ト で も 、区 別 が ま ぎ ら わ し い 場 合 は 、記 号 の 上 に「 ド ッ ト 」を 付 け て 、
文 字 本 体 を「 太 字 斜 体 」と し ま す が 、明 ら か に ベ ク ト ル と 解 る と き は 、省 略 し ま
す。
3 , ベ ク ト ル の 表 現 方 法 と は (2)
ベクトルの量を表現する方法にいくつかの方法があります。
こ こ で は 、そ の
いくつかを説明します。
1)複素数による表現
一番よく使われる表現が、複素数による表現です。
.
例 え ば 、ベ ク ト ル V が 実 軸 =4、 虚 軸 =3 の 時 は 、
.
V =4+j3
と表現します。
こ こ で 、 j は 、 j = −1 で す 。
こ の 、 j を ベ ク ト ル に 一 回 掛 け る 毎 に ベ ク ト ル が 、90 度 回 転 し ま す 。
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.
jV
.
V
θ +90°
θ +180°
θ
. .
j 2 V =− V
θ +270°
.
.
j 3 V =− jV
さ て 、 こ の 複 素 数 表 現 の 便 利 な と こ ろ は 、 ベ ク ト ル 通 し の 加 算 (足 し 算 )
や 減 算 (引 き 算 )に 便 利 な こ と で す 。
ベクトル通しの加算・減算の場合は、この表現を使うとよいでしょう。
2)極形式による表現
さて次は、極形式による表現です。
.
V =V∠ θ
次のように表現します。
.
V
V
θ
ベ ク ト ル 表 現 で は 、複 素 数 表 現 が 慣 れ て い る の で 、同 じ ベ ク ト ル を 複 素
数表現してみると、次のようになります。
.
V =V∠ θ =V(cos θ +j sin θ )= Vcos θ +jV sin θ
さ て こ こ で 、 Vcos θ =4、 jV sin θ =j3 の 時 は 、
.
V =4+j3
となりますね。
さ て 、こ の 極 形 式 表 現 の 便 利 な と こ ろ は 、ベ ク ト ル 通 し の 掛 算 や 割 算 に
便利なことです。
ベクトル通しの掛算・割算の場合は、この表現を使うとよいでしょう。
.
.
た と え ば ベ ク ト ル V 1 と ベ ク ト ル V 2 の 掛 算 や 割 算 の と き は 次 の よ うに な
ります。
. .
V 1 ×V 2 =V 1 ∠ θ 1 ×V 2 ∠ θ 2
= V 1 ×V 2 ∠ ( θ 1 + θ 2 )
1-1-2.doc
-4-
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V&
V&
1
=
2
V1∠θ1 V1
= ∠ (θ1 − θ 2 )
V2 ∠θ 2 V2
となります。
3)指数形式による表現
表 現 の 最 後 は 、指 数 形 式 に よ る 表 現 で す 。
こ の 指 数 形 式 に よ る 表 現 は 、極 形 式 に よ る 表 現 と よ く 似 た 表 現 で す 。
ま ず 、指 数 形 式 に よ る 表 現 が 、ど の よ う な 表 現 か 示 し ま し ょ う 。
うになります。
.
V =Vε j θ
次のよ
.
V
V
θ
この指数形式を極形式や複素数形式にすると下記となります。
.
V =Vε j θ =V∠ θ =V(cos θ +j sin θ )
こ の 指 数 形 式 表 現 の 便 利 な と こ ろ は 、極 形 式 と 同 じ で 、ベ ク ト ル 通 し の
掛算や割算に便利なことです。
ベ ク ト ル 通 し の 掛 算 ・ 割 算 の 場 合 は 、極 形 式 と 並 ん で こ の 表 現 を 使 う こ
とも考えた方がよいでしょう。
.
.
た と え ば ベ ク ト ル V 1 と ベ ク ト ル V 2 の 掛 算 や 割 算 の と き は 次 の よ うに な
ります。
. .
V 1 ×V 2 =V 1 ε j θ 1 ×V 2 ε j θ 2
= V 1 ×V 2 ε j( θ 1+ θ 2)
V&
V&
1
2
=
V1ε jθ1 V1 j (θ1 −θ2 )
= ε
V2ε jθ2 V2
となります。
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4.ベクトルの足し算と引き算とは
ベ ク ト ル 通 し は 、足 し 算 や 引 き 算 が で き ま す 。(加 算 や 減 算 で す ね )
ど の よ う に 計 算 す る か と 言 い ま す と 、実 数 ど う し 虚 数 ど う し で 計 算 し ま す 。
では、やってみましょう。
.
.
V 1 =3+j4
V 2 =4+j2
. .
こ こ で V1+ V2 は 次 の よ う に 計 算 し ま す 。
. .
V 1 + V 2 = (3+j4) + (4+j2)
虚軸
= (3+4) + (j4+j2)
= 7+j6
y
9
8
. .
V1+ V2
7
6
.
V1
5
4
3
.
V2
2
1
O
1
2
3
. .
ま た V1− V2 は 次 の よ う に 計 算 し ま す 。
. .
V 1 − V 2 = (3+j4)− (4+j2)
4
虚軸
5
6
7
8
9
x
実軸
y
.
V1
5
= (3− 4) + (j4− j2)
4
= − 1 + j2
. .
V1− V2
.
V2
3
2
1
-5
-4
-3
-2
-1
O
1
2
3
4
-1
.
− V2
-2
-3
-4
-5
1-1-2.doc
-6-
5
x
実軸
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5.ベクトルの内積と外積とは
.
V2
ベクトルの内積と外積は、別名
V2
内積=スカラー積
外積=ベクトル積
.
V1
θ
と言います。
.
.
V1 と V2 の 内 積 V は 、
. .
V=V 1 ・ V 2 =V 1 V 2 cos θ
V1
となります。
値 は 、方 向 性 を 持 た な い ス カ ラ ー 量 と な り ま す 。( 長 さ ・ 質 量 ・ 面 積 と 同 じ ス
.
カラー量です)
V
さ て 次 は 、外 積 で す 。
.
.
.
V1 と V2 の 外 積 V は 次 の よ う に 表 し ま す 。
.
.. . .
V2
V2
V =V 1 ×V 2 =v V 1 V 2 sin θ
それで、外積は、ベクトルになります。
ベクトルの向きは、上の式で始めのベクトル
.
.
V1 か ら 次 の ベ ク ト ル V2 へ 向 か っ て 測 っ た 角 度 θ
θ
V1
.
V1
と関係します。
.
ど の よ う に 関 係 す る か と 言 い ま す と 、外 積 V は 、角 度 θ と 同 じ 回 転 方 向 で ネ
ジが進む方向になります。
.
.
上の式で v は、外積 V の方向の単位ベクトルです。
単 位 ベ ク ト ル と は 、大 き さ が 1 の ベ ク ト ル で す 。
.
.
す な わ ち 、ベ ク ト ル V は 、大 き さ が V 1 V 2 sin θ で 、向 き が v の ベ ク ト ル と い う
意味です。
【確認問題1】
次の 2 つの電流がある。
.
I 1 =2+j3
合 成 電 流 は 、い く ら か 。
.
I 2 =4+j5
【確認問題1の回答】
. .
I 1 + I 2 =6+j8
【確認問題1の解説】
計算してみます。
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. .
I 1 + I 2 =(2+j3)+ (4+j5)
= (2+4)+ j (3+ j5)
=6+j8
となります。
【確認問題2】
次の 2 つのベクトルがある。 ベクトルの内積は、いくらか。
.
.
V =100∠ 10°
I =60∠ 40°
【確認問題2の回答】
. .
V ・ I =5190
【確認問題2の解説】
あまり難しく考えないで、内積の公式に当てはめて計算します。
内積の公式は、
. .
V=V 1 ・ V 2 =V 1 V 2 cos θ
です。
当てはめると、
. .
V ・ I =100×60 cos(40°‐ 10°)
.
I
=6000 cos30°
=6000×
3
2
=6000×
1.73
2
60
30°
40°
10°
.
V
100
=5190
となります。
キーワード
ベクトル、大きさ、方向、向き、ベクトルの表現方法、複素数による表現、極
形 式 に よ る 表 現 、指 数 形 式 に よ る 表 現 、ベ ク ト ル の 足 し 算 、ベ ク ト ル の 引 き 算 、
ベクトルの内積、ベクトルの外積、スカラー積、ベクトル積
1-1-2.doc
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これがポイント
コ ツ 1 、ベ ク ト ル の 加 算 ・ 減 算 は 、複 素 数 形 式 で 表 現 し て 計 算 し て 下 さ い 。
コツ2、ベクトルの内積は、スカラー量であることを覚えて下さい。
コツ3、ベクトルの外積は、ベクトルになることを覚えて下さい。
復習
1,ベクトルを表現する 3 つの方法は、説明できますか。
2,内積の公式は、覚えていますね。
3,外積のベクトルの向きは、どのように決めるか解りますか。
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