ワークフロー管理システム概要書

ワークフロー管理システム概要書
平成15年 7 月
山梨県市町村総合事務組合
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件名
共同アウトソーシングシステム開発実証事業に関する調査研究の請負
2
目的
電子申請受付システムを構築するにあたっては、単に申請書や通知書等の紙文書を電
子化するだけにとどまらず、業務をオンラインで行うことのメリットを活かし、業務効
率を向上する仕組みをシステム上に設けることが望ましいと考えられる。このための仕
組みとして、現在、最適と考えられているのが、①EAI技術によるフロントオフィス
とバックオフィスとのシステム間連携と、②ワークフローシステムの導入である。
本県では電子申請受付システムとあわせてこの②ワークフローシステムを導入するこ
とにより、効率的な業務支援の仕組みを開発・稼働検証することを目的として本事業に
取り組むこととする。
※ここでいうワークフローとは、人や各種関連システムなど業務にかかわる全てのもの
(人/物)を対象に、電子化された申請書や通知書をあらかじめ決められた作業手順に
従い集配信する(デリバリーする)方式のことを指す。
3
事業概要
上記目的を踏まえ、本実証実験では、以下に示す「標準ワークフロー管理システム」
を開発するとともに、その動作と効果を検証する実証実験を行うこととする。
なお、実施にあたっては効率的な実証実験を行うため、テーマを同じくする他の県(福
井県、岡山県)が実証実験の対象とする手続(パターン化した手続のうち、各県が重点
研究するテーマに沿った手続)との役割分担に留意し、重点的に検証する機能・手続を
選定して行う。(重点検証機能・手続は別紙のとおり)
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調査研究方法
4.1
標準ワークフロー管理システムの開発
標準ワークフロー管理システムは、電子申請受付システムと連携して動作し、申請書
や通知書等のデリバリーをシステム間のインターフェースを介して行うシステムである。
標準ワークフロー管理システムは、以下の仕組みを有すること。
(1)ワークフロー情報管理
ア
デフォルトワークフローパターンの容易な作成
申請・届出業務の現状分析結果に基づき、各業務のワークフローを複数の汎用的な
パターンに分類し、システムが理解できる形式で定義し、ワークフロー情報として保
存できる仕組み。
イ
ワークフローの容易なメンテナンス
1
必要に応じてそれを容易に追加、変更、削除できる仕組み。
ウ
一時的なワークフローの変更
イレギュラーな処理が必要な場合、オプション機能としてワークフローの一部変更
を行政側担当者が、容易に行える仕組み。
(2)ワークフロー実行管理
ワークフロー情報管理において記述されたワークフロー情報に基づき、電子申請受
付システムと連携して電子化された申請書や通知書等をシステム内に格納し、必要な
部署又は後述する各種支援機能へのデリバリーを行いながら、ワークフローを実行し、
業務を遂行するための仕組み。
(3)ワークフロー支援機能群
電子申請受付システムの持つ基本的な審査支援機能を補完するため、申請書類の進
捗管理や添付書類等の管理、審査ナビゲート及び業務システム連携を行うための仕組
み。
※進捗管理とは、住民に対して処理の大まかな進み具合をステータス情報として保存
したり、行政担当者が必要に応じて処理状況を追跡確認できる情報を管理するもので
ある。
標準ワークフロー管理システム
通知機能
(到達,審査開始要求など)
(3)ワークフロー支援機能群
文書連携
(原本,決裁情報の連携)
業務システム呼出
(URL連携)
電子申請受付システム
受付
LGWAN
業務システム連携
(データ抽出)
審査支援
進達状況管理
DB
納付状況管理
データ・ステータス
連携
I
/
F
添付書類の現物管理
手続き毎に必要な
プロセス制御情報
I/F
ワークフローエンジン
処理ナビゲート
管理
画面
(2)ワークフロー実行管理
ワークフロー管理
(1)ワークフロー情報管理
図1:標準ワークフロー管理システムのイメージ
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県
内
市
町
村
4.2
複数パターンのワークフローサンプルによる実証実験
地方公共団体において行われている申請・届出業務の中から、異なるワークフロー・
パターンを持つ業務を1〜2業務抽出し、サンプル業務として標準ワークフロー管理シ
ステム上にワークフローを定義したうえで、電子申請に係るワークフロー管理の実験を
行うこと。また、標準ワークフロー管理システムの導入により得られる業務効率化効果
を検証するため、適切な方法を定めて調査を行うこと。
なお、実験に用いる電子申請受付システムは、総務省「地方公共団体における申請・
届出等手続に関する汎用受付システムの基本仕様(第二版)」(平成15年3月)および
「汎用受付システム構築の参考資料」(平成15年3月)に則り構築し、標準ワークフロ
ー管理システムと連携して動作すること。
※実験環境として使用する電子申請受付システムは、山梨県と県内市町村が共同開発
するシステムとする。
※現時点で想定する業務は別紙のとおりであるが、本実証事業で検証するパターンは
重点研究パターンであるD,Eを中心に実施する。
※また、動作検証における参加自治体数は人口規模別に5〜6自治体程度抽出する。
4.3
他グループシステムとの連携
本実証実験システムにおいては、4.2で記述した実証実験に加え、今回総務省の委託
を受けて他の自治体が開発する次のシステムとの連携実験を行うこと。
①電子申請受付システム(東京都)
②統合連携システム(北海道)
連携する機能の詳細については、各システム開発業者の決定後に協議することとなるが、
最低でも以下の連携を想定している。
・北海道の統合連携システムを活用し、東京都の電子申請受付システムと3都道県にお
いて共通的な文書管理システム等の業務システムとの連携を行う。その際、山梨県が
開発する標準ワークフロー管理システム上に定義したワークフローに従い、電子申請
手続に関する一連の流れの実証実験を行う。
※基本的には本県で開発する電子申請受付システムとの連携をメインとするが、一部
ワークフロー情報については、総務省からのオーダーにより東京都の電子申請受付
システムとの連携も想定されるため、どの機能についての連携が可能であるか具体
的な提案をすること。
4.4
実験結果とりまとめ
標準ワークフロー管理システムを用いた実験の結果をとりまとめ、実証実験報告書を
作成すること。報告書においては、システムの動作についての検証、および業務効率化
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効果についての調査・分析結果を示すこと。また、ワークフローシステムを導入するこ
とについての課題は、今後他の地方公共団体がワークフローシステムを導入する際の参
考として活用できるよう、それらを整理して示すこと。
5.システムの概要
実証実験で開発する「標準ワークフロー管理システム」は、以下の機能を備えること。
(1)システムインターフェース
ア
電子申請受付システムインターフェース
電子申請受付システムとのインターフェースを定義し、インターフェースを介して電
子申請受付システムと連携し動作すること。
イ
県及び市町村向けインターフェース
ワークフローステータス及び添付データを取り出すことのできるインターフェース
を定義すること。
また、各自治体が利用する管理画面を作成すること。
(2)ワークフロー情報管理
ア
ワークフロープロセス定義
申請書の到達から通知書/公文書の発行までの事務処理において必要とされる、以
下の一連の事務処理を組み合わせることによって、手続ごとのワークフローを定義で
きること。
・到達状況確認
・申請書内容確認
・署名/証明書確認
・納付状況確認(前納)
・別送添付書類到達確認
・受付(審査開始)
・受理通知
・業務審査
・職権訂正
・補正指示
・納付情報通知(前納)
・納付状況確認(後納)
・通知書/公文書作成
・起案/決裁
・職責署名付与
・進達
・通知書/公文書発行
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イ
ワークフロー保存機能
作成したワークフローパターン定義を、ワークフロー情報としてデータ保存できる
こと。
ウ
ワークフロー追加・変更・削除機能
作成済みのワークフローパターン定義を編集し、フローの追加、変更、削除ができる
こと。
(3)ワークフロー実行管理
ア
ワークフローエンジン
電子申請受付システムと連携し、申請データの到達状況のチェック等を行うほか、
各手続毎に関連づけられたワークフローパターンに基づき、各種ワークフロー支援機
能群の呼び出しができること。
イ
処理ナビゲート
ワークフローエンジンと連携し、申請書等の審査において必要となる事務内容、審
査情報を案内できること。(事務処理内容・順序、処理期限、参照すべきデータの所在
情報など)
(3)ワークフロー支援機能群
ア
処理開始通知機能
ワークフローにおいて、以下の処理が行われる際には、処理の開始時において、処
理を担当する職員に対してメール通知を行い滞りなく処理を行うよう促すこと。
処理開始を行うタイミングについては以下のとおり。
・新規到達又は補正指示の再申請到達時
・進達、決裁など他の部署の担当者で処理された後の通知文作成などの事務処理再
開時
イ
処理遅滞通知機能
ワークフロー上の以下の処理について、予め定められた期間を超えて処理が遅滞し
た場合には、その処理を担当する職員に対してメール通知を行い、滞りなく処理を行
うよう促すこと。
・受付(審査開始)
・業務審査
・通知書/公文書発行
また、行政側担当職員において、遅延が明らかとなった場合には、予め定められた
期間内であっても、申請住民に対して遅延情報を通知できること。
ウ
文書連携機能
申請データを文書管理(原本保存)システムへ原本として受け渡すインターフェー
スを備えること。
また決裁が必要な文書(申請書の処理判断、通知書/公文書)については、文書管
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理システム側から決裁済み情報を受け取り、ワークフローシステム経由で電子申請受
付システム側に引き渡すインターフェースを備えること。
※本機能については、基本的に標準ワークフロー管理システム側で定めるインターフ
ェースを使用することとする。
エ
業務システム呼出機能
職員が処理を行うに際して、必要に応じてWeb系業務システムの起動が簡単にで
きるよう、URL連携を行えること。
オ
業務システム連携機能
電子申請受付システムから引き渡されたデータをワークフローシステム経由で業務
システムへ配信できること。
※本機能は電子申請受付システム側で管理している申請データを取得し、標準ワーク
フロー管理システム側で定めるインターフェースによりEAI等に配信するまでと
する。
カ
進達状況管理機能
進達が必要な手続について、以下の処理ができること。
・電子申請受付からのデータ取得
・進達書の管理
・申請データの進達先への引き渡し
・進達先への通知
キ
納付状況管理機能
申請データ到達時から審査事務終了時まで、申請者側の手数料等の納付状況につい
て管理できること。
申請者側の納付手段についてはMPNの場合は、電子申請受付システム側との連携
し管理することとし、MPN以外の納付手段(現金収納等)についても状況管理が行
えること。
ク
添付書類の現物管理
手続毎に必要な添付書類の到達状況や添付書類の確認状況の管理について、一元的
に管理できること。
6
(注)上記5で記述した各機能うち、下表において
△
印を付している機能につ
いては、連携する電子申請受付システムの機能に依存する部分が多く、実装にあたっ
ては各電子申請受付システム毎にカスタマイズが必要な機能である。
従って、納品するプログラムソースに一定の制約が生じる場合がある。
機能名
システムインターフェース
ア.電子申請受付システムインターフェース
イ.県及び市町村向けインターフェース
ワークフロー情報管理
ア.ワークフロープロセス定義
イ.ワークフロー保存機能
ウ.ワークフロー追加・変更・削除機能
ワークフロー実行管理
ア.ワークフローエンジン
イ.処理ナビゲート
ワークフロー支援機能群
ア.処理開始通知機能
イ.処理遅滞通知機能
ウ.文書連携機能
エ.業務システム呼出機能
オ.業務システム連携機能
カ.進達状況管理機能
キ.納付状況管理機能
ク.添付書類の現物管理
※1
△
◎
△
◎
△
△
◎
△
◎
△
◎
◎
△
6.成果品
①
実証実験報告書
50部
②
①の内容を記録した電子媒体
50部
③
実証実験システム
一式
(新規に開発したものについてはそのソースコードを含む)
④
システムに関する設計書及び操作マニュアル
3部
⑤
④の内容を記録した電子媒体
3部
7.納入期限
平成16年3月15日
8.納入場所
山梨県市町村総合事務組合
7
なお、成果品のうち、「5③」の実験用システムの納入場所、納入方法については、別
途指示に従うこと。
9.知的財産権等(総務省の契約書確定後差し替え予定)
(1) 受託者は、本契約に関して総務省が開示した情報等及び契約履行過程で生じた納
入成果物等に関する情報を本契約の目的以外に使用又は第三者に開示若しくは漏洩
してはならないものとし、そのために必要な措置を講じること(公知の情報等は除
く。)
。ただし、当該情報等を本契約以外の目的に使用又は第三者に開示する必要が
ある場合は、事前に組合に承認を得ること。
(2) 本契約履行過程で生じた著作権法第 27 条及び 28 条に定める規定を含むすべての
著作権及び本委託業務に付随して得られた設計書及びマニュアル(以下「委託事業
付随成果」という。)は総務省に帰属し、総務省が独占的に使用するものとする。た
だし、受託者は、本契約履行過程で生じた著作権又は委託事業付随成果を自ら使用
し又は第三者をして使用させる場合は、総務省と別に定める使用契約を締結するも
のとする。
(3) 納入される成果物に第三者が権利を有する著作物(以下「既存著作物」という。)
が含まれている場合は、総務省が特に使用を指示した場合を除き、当該著作物の使
用に必要な費用の負担及び使用承諾契約に係る一切の手続を行うこと。この場合、
受託者は当該契約等の内容について事前に主管課の承認を得ることとし、総務省は
既存著作物について当該許諾条件の範囲内で使用するものとする。
なお、本仕様書に基づく作業に関し、第三者との間に著作権に係る権利侵害の紛
争等が生じた場合は、当該紛争の原因が専ら総務省の責めに帰す場合を除き、受託
者の責任、負担において一切を処理すること。この場合、総務省は係る紛争等の事
実を知ったときは、納入業者に通知し、必要な範囲で訴訟上の防衛を受託者に委ね
る等の協力措置を講じるものとする。
(4) 本契約において生じた工業所有権の取扱いは、次によるものとする。
なお、工業所有権が発生しない場合は、書面にてその旨を主管課へ報告すること。
ア
工業所有権の帰属
(ア)工業所有権を受ける権利の対象となる発明又は考案(以下、「発明等」とい
う。)が主として総務省の技術指導によったものであるときは、その工業所有
権を受ける権利は総務省に帰属するものとする。
(イ)前記(ア)以外の発明等は総務省、受託者の共有に属する。
イ
出願
総務省及び受託者は、総務省、受託者の共有に帰属する発明等につき工業所有
権の設定の出願をしようとするときは、相手方と別に定める共同出願契約を締結
するものとする。
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ウ
工業所有権の実施
(ア)受託者は、総務省、受託者の共有に帰属した工業所有権を実施しようとす
るときは、総務省と別に定める実施契約を締結するものとする。ただし、総務
省は省の業務に供する目的の範囲内において、自ら実施若しくは使用又は第三
者に実施若しくは使用させることができる。
(イ)総務省及び受託者は、第三者に対し、共有持分を譲渡する場合は、事前に
相手方と協議すること。
エ
第三者の工業所有権等の実施
受託者は開発等に当たり、第三者の工業所有権又は委託事業付随成果を実施又
は使用するときは、その実施又は使用に対する一切の責任を負うものとする。
オ
本仕様書に基づく作業及び納入成果物に関し、第三者との間に工業所有権に係
る権利侵害の紛争等が生じた場合は、受託者の責任、負担において一切を処理す
ること。この場合、総務省は係る紛争等の事実を知ったときは、受託者に通知し、
必要な範囲で訴訟上の防衛を受託者に委ねる等の協力措置を講じるものとする。
10.再委託
本開発実証の一部を再委託する場合は、組合に協議のうえ、その承認を得ること。
11.再委託の際の成果物の所有権の帰属並びに知的所有権等の帰属の取扱(総務省契約
書確定後差し替え予定)
受託者が「9
再委託」に規定するところにより再委託により本件開発実証業務を
行う場合においては、成果品の所有権の帰属並びに知的所有権等の帰属の取扱につい
ては、再委託者から受託者に一旦帰属することなく、再委託者をして直接総務省に帰
属させるものとすること。
この場合においては、再委託者の履行確認は受託者の責任において行うものとする
こと。
12.その他
詳細については、組合の指示によること。
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別紙
標準ワークフロー管理システム各機能の役割分担表
凡例:
◎重点研究項目
○通常研究項目
当該機能の検証において
実
現
機
能
山梨県
実施する手続名
身体障害者手帳の交付申請
通知機能(到達、審査開始要求等)
○
他は任意
文書連携(原本、決裁情報の連携)
○
任意
業務システム呼出(URL連携)
○
任意
業務システム連携(データ抽出)
○
任意
進達状況管理
◎
身体障害者手帳の交付申請
納付状況管理
○
印鑑登録証明書の交付請求
身体障害者手帳の交付申請
添付書類の現物管理
◎
業者登録申請
身体障害者手帳の交付申請
処理ナビゲート
○
※この分担表は、本県における重点研究事項を示すものであるが、必要に応じて同テー
マの各県との連携や調整を行うものとする。
10
業務パターン整理
添付資料
手数料
本人確認
進達
対象業務名
A−1
無し
無し
無し
生涯学習申込み等
A−2
無し
無し
有り
給与支払い報告(総括表)等
B−1
無し
有り
無し
犬の登録申請等
B−2
無し
有り
有り
住民票の写し交付請求等
C−1
有り
無し
無し
犬の死亡届等
業者登録
C−2
有り
無し
有り
職員採用試験受験申込等
D−1
有り
有り
無し
印鑑証明登録証明書交付請求等
E−1
有り
無し
有り
有り
11
身体障害者手帳の交付申請等