広島で原爆投下 70 年シンポジウム - SaaS for NetCommons

2015 年8月7日
報道関係者 各位
聖エジディオ共同体
世界連邦日本宗教委員会
(公財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
広島で原爆投下 70 年シンポジウム
「二度と戦争を起こさないー核兵器廃絶をめざしてー」を実施
8月6日、広島市内ホテルにて、原爆投下 70 年シンポジウム「二度と戦争を
起こさない―核兵器廃絶をめざして―」を開催いたしました。本シンポジウム
は、聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体、本部・ローマ)
、世界連邦日
本宗教委員会、公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会の共催
で行われ、広島市、広島県宗教連盟、駐日イタリア大使館が後援しました。国
内外で核兵器廃絶に取り組む宗教界や政界の代表者、専門家、市民など約 250
名が参加しました。今なお、世界各地に多くの核兵器が存在する現状に対し、
核兵器の非人道性に焦点を当て、その廃絶へ向けた取り組みについて議論され
ました。
開会にあたり、世界連邦日本宗教委員会・田中恆清会長の挨拶に続き、松井
一實広島市長が歓迎挨拶を行いました。続いて、ジョセフ・チェノットゥ駐日
バチカン大使、ドメニコ・ジョルジ駐日イタリア大使が挨拶しました。その後、
WCRP 日本委員会・杉谷義純理事長、聖エジディオ共同体・アルベルト・クワ
トルッチ事務局長が基調発題を行い、広島東照宮・久保田訓章宮司が被爆体験
の証言を行いました。
その後2つのセッションが行われ、セッション1では「核兵器廃絶の課題」
をテーマに核戦争防止国際医師会議(IPPNW)・ウラジミール・ガルカベンコ
共同会長が発題しました。セッション2では「今後の核兵器廃絶への行動」を
テーマに世界教会協議会(WCC)
・サン・チャン議長が発題を行いました。それ
ぞれの発題の後、コーディネーターやフロアとの議論が行われ、戦争を起こさ
ないためのアドボカシー活動の奨励や核兵器禁止条約の速やかな法制化、核兵
器廃絶に向けた啓発や教育の必要性が確認されました。
シンポジウムの最後に、共同アピール文を発表(別紙参照)し、核兵器廃絶
と世界の恒久平和実現のため、各国政府や国連諸機関、平和首長会議、NGO な
ど幅広い分野と協力して、行動することを呼びかけられました。
問い合わせ: 原爆投下 70 年シンポジウム事務局
公益財団法人 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
TEL:03-3384-2337、FAX:03-3383-7993
担当:篠原、三善(080-2003-2031)
原爆投下70年シンポジウム「二度と戦争を起こさない―核兵器廃絶を目指して―」
共同アピール文
聖エジディオ共同体、世界連邦日本宗教委員会そして世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員
会に属する私たちは、広島で開催された『二度と戦争を起こさない―核兵器廃絶を目指して―』を
テーマとした国際シンポジウムに参集した。1945 年末までに、約 20 万人もの尊い生命を奪った2発
の原子爆弾は、次世代の人々にも甚大な健康被害を与え続けている。その意味で、広島と長崎への
原爆投下は「過去の歴史」ではなく、
「現代の歴史」である。今回のシンポジウムで雄弁に語られた
「ここ(広島)で起きたことの脅威は、現在の私たちすべてに重くのしかかっている」の発言は、
私たちにそのことを再認識させてくれた。
今日のシンポジウムでのスピーチ、対話、コメントそして討論を通じて収斂された課題は、1) 「二
度と戦争を起こさない」ためのアドボカシー活動の奨励、2)核兵器の非正当性と同時に核兵器の人
道的アプローチに注目が集まる現状、3) 核兵器禁止条約の速やかな法制化の必要性、そして 4)世
界のどこの場所においても、人々が共に尊敬し合って暮らすことを可能にする平和の文化を創造す
る必要性であった。
また、核兵器の非人道性と非正当性を訴える終着点が、政府間による「核兵器禁止条約」の締結
であるとの共通認識も得ることが出来た。今や「核兵器禁止条約」の「是非」が議論の的ではなく、
「どのような核兵器禁止条約を締結すべきか」が論点となっていることが確認された。さらに、大
量破壊兵器といわれる生物・化学・核兵器の中で唯一、核兵器のみが法的拘束力を持った枠組みが
存在しないという「法的ギャップ」を埋めるために、オーストリア政府が起草し、核廃絶の道筋を
示した「人道の誓約」に賛同するよう各国政府に働きかけることの重要性も指摘された。
「核兵器の存在そのものが悪である」と語られた今回のシンポジウムの結果を踏まえて私たちは、
「二度と戦争のない世界」と「核兵器のない世界」を実現するために、各国政府のほか、国連諸機
関、「核軍縮・不拡散議員連盟」(PNND)、「平和首長会議」、「アボリション2000」あるいは
「核廃絶のための国際キャンペーン」(ICAN)など幅広い分野の組織と協力することを通じて、
とりわけ、以下の諸活動に取り組んでいきたい。
1. 核兵器禁止条約締結のための交渉を始めるよう政府に促す諸活動
2.すべての社会において、次世代を担う若者が平和な未来を創造することを可能にする核軍縮・
不拡散教育の展開
3.核軍縮に向けてすべて社会の関心を高めるために、とりわけ、2013 年秋に国連が「核兵器全廃
のための国際デー」
(International Day for the Total Elimination of Nuclear Weapons)と定めた9月
26 日に祈りを通じての連帯を呼びかけることなど、世界の宗教共同体にアピールする諸活動
今回のシンポジウムにおいて私たちは、広島の被爆者の証言を聴いた。その証言は、広島と長崎
への原爆投下という歴史を風化させないためにも、私たちが、核兵器の廃絶という人類の「共通善」
を実現するための奉仕者にならねばならないことを再確認させてくれた。私たちは宗教者の責務と
して、二度と戦争をしてはならないことを訴えたい。宗教は、人々の心と精神に刻まれた平和の感
情を守り、強化することを求められている。なぜならば、平和の感情は育まれ、人の心から他の人
の心へと伝わっていくからである。こうした刷新された信念のもとに、今日のシンポジウムに終え
るにあたって私たちは、あらゆる地域、とりわけ戦争と暴力で傷ついた人々に届くように平和のメ
ッセージを掲げたい。彼らと共に、そして彼らのために私たちは、
「二度と戦争のない世界」を訴え
たい。
2015 年 8 月 6 日広島
原爆投下 70 周年を記念して