2013 年度大学入試センター試験(本試験)分析詳細 世界史B

2013 年度大学入試センター試験(本試験)分析詳細
■ベネッセ・駿台共催/データネット実行委員会
世界史B
1.総評
【2013 年度センター試験の特徴】
・昨年例年並となった西欧の割合が増加して、東アジアは大幅に減少した。東欧・アメリカ・西アジアなどが増
加し、その他は昨年並で、地域の網羅性は継続された。
・戦後史の出題が減少し、例年並となった。
・昨年約 4 分の 1 を占めた文化史の出題は大幅に減少し、約1割となった。
・時期判断が含まれるものは約 3 分の 1 で、昨年並であった。
大問構成、正答数、出題形式に大きな変化はなかった。地域の出題バランスは、昨年急増した東アジアが大幅
に減少し、それ以外の地域が増加したため,網羅性は継続された。また、昨年約 4 分の 1 を占めた文化史の割合が
大幅に減少し、戦後史の割合も減少した。政治史を中心に、幅広い地域について、時期も含めた正確な知識が求
められたことが今年の特徴である。受験生にはあまりなじみがないと思われる知識が扱われた問題も散見されたが,
全体的には基本事項を問う問題が多く見られたことでバランスがとれ、難易は昨年並であった。
2.全体概況
【大問数・正答数】
【出題形式】
【出題分野】
【問題量】
【難易】
3.大問構成
大問
大問数 4、正答数 36 は昨年から変更なし。
年代整序問題は 1 問減少し、2 問出題された。文章選択問題は増加(12→15)し、語句
選択問題は減少(5→3)した。また、地図を使った問題は昨年より 1 問増加して 3 問出題
された。
時代は、古代の割合が減少し、中世と現代の割合が増加した。また、昨年増加した戦後
史の割合は減少し、例年並となった。地域は、昨年より西欧が増加して、東アジアが大
幅に減少した。東欧・アメリカ・西アジアなどは増加した。分野は、政治史が昨年より大
幅に増加し、文化史が大幅に減少した。社会経済史は例年並。
昨年並。
昨年並。
出題分野・大問名
配点
難易
第1問
世界史上の法をめぐる問題
25 点
標準
第2問
世界史上の都市と経済
25 点
標準
第3問
世界史上の宗教
25 点
やや易
第4問
世界史上の君主や王朝
25 点
標準
備考(使用素材・テーマなど)
A 中国における法の整備
B インドの伝統的な法とイギリス植民地
時代の法
C 独立から 19 世紀アメリカにおける法
制度の発展
A 北宋の都開封
B ハンガリーの都市ペスト
C ドイツのフランクフルト
A ローマ帝国の宗教
B 唐代の宗教
C 現代のエジプトにおけるイスラーム教
A 東南アジアの神王観
B ロマノフ朝の成立
C ヴィクトリア王朝下のイメージ戦略
4.大問別分析
第 1 問「世界史上の法をめぐる問題」
・A では中国における法の整備、B ではインドの伝統的な法とイギリス植民地時代の法、C では独立から 19 世紀ア
メリカにおける法制度の発展をテーマとして、政治史を中心に、古代から戦後まで、幅広い地域で問われた。問 3
と問 7 では戦後史の知識を含めて出題された。
・問 2 では、中華民国の歴史として、九か国条約に調印したことが問われた。条約の名称だけではなく、内容を理解
していれば判断しやすかったであろう。
・問 3 では、第二次世界大戦中の時期に起こった出来事が、戦後史の知識も含めて問われた。日本軍が第二次世
界大戦中にシンガポールを占領したことは受験生にとって見落としがちなところでやや難しく、判断に迷ったと思わ
れる。フィンランドが独立した時期は、ロシア革命と関連付けて理解していれば判断可能であった。
・問 5 では、ローラット法の公布時期を年表中の時期で判断することが求められた。年表中の出来事は基本的なも
のであり、第一次世界大戦やガンディーとの関係などとともに、流れで把握しておくことが必要であった。ベンガル
分割令の時期と混同した受験生がいたかもしれない。
・問 6 では、イギリスの植民地拡大について二文と地図で問われた。ベンガル地方の位置を、地図上で正確に理解
しておく必要があった。日頃から地図を使った学習を心がけたい。
・問 8 では、世界史上の奴隷制について二文の正誤判断の形式で問われた。古代ギリシアの戦争捕虜や奴隷がア
メリカ合衆国の綿花栽培に従事したことは、いずれも基本的で判断しやすい。
・問 9 では、19 世紀にアメリカ大陸で起こった出来事が問われ、時期判断と内容の正誤判断が求められた。正答の
テキサスがアメリカ合衆国領となったことは判断しやすいが、カナダがイギリス連邦の一員となった時期は、ウェス
トミンスター憲章と関連付けて理解していれば判断できたであろう。
第 2 問「世界史上の都市と経済」
・A では北宋の都開封、B ではハンガリーの都市ペスト、C ではドイツのフランクフルトをテーマとして、社会経済史も
含め、幅広い時代・地域で問われた。問 7 と問 9 では戦後史の知識を含めて出題された。
・問 1 では、宋の都である開封が語句選択で問われた。基本事項であり、迷わず解答できたであろう。
・問 2 では、宋代における商業や交易についての理解が問われた。市舶司や日本が関連する朱印船貿易など、社
会経済史の重要な語句については正確に理解しておきたい。
・問 3 では、中国史の文化史が年代整序形式で問われた。人物や書籍名から該当する王朝を想起できるかがポイ
ントであった。cの『永楽大典』が明の初め、b の顧炎武が明の末期から清の初めであることは比較的判断しやすい
が、a の欧陽脩から宋と判断するのは、やや難しかったと思われる。
・問 4 では、世界各地の都市についての知識が問われた。正答のニューオーリンズは受験生にはあまりなじみがな
い地名だが、オランダとの関連で北米の植民地を理解していれば正答を導くことができた。
・問 5 では、周辺地域のうち、バルカン半島に焦点をあて、宗教と政治を絡めた正誤判断が求められた。宗教や外
国との関係について正確な理解が必要であった。b のバルカン同盟がロシアの支援を受けて結成されたことの判
断は難しかったであろう。基本的な語句はその内容や背景などもあわせて理解しておきたい。
・問 7 では、広域経済機構もしくは地域協力機構についての理解が問われた。いずれも戦後史の知識が求められ、
それぞれの組織について丁寧に学習をしているかで差がついたと思われる。
・問 8 では、二文と地図でリューベックの説明と位置が問われた。ハンザ同盟の盟主であることは基本事項であり判
断が容易であるが、地図中の位置で迷った受験生がいたかもしれない。
第 3 問「「世界史上の宗教」
・A ではローマ帝国の宗教、B では唐代の宗教、C では現代のエジプトにおけるイスラーム教をテーマとして、古代と
中世、西欧と西アジアを中心に問われた。問 8 は戦後史の知識を含めて出題された。
・問 1 では、ローマ教皇について、人物と事績の基本的な知識が問われた。正答がインノケンティウス 3 世であり、
判断しやすかっただろう。
・問 2 では、二文の正誤判断形式で、古代ギリシア・ローマの宗教について問われた。a のギリシアの神々について
は図説にも神々の彫像などは掲載されており、判断は容易であったと思われる。b のマニ教の広まった時期は 3 世
紀で、1 世紀に広まったのはキリスト教である。宗教の分布地域や広がる時期について整理しておく必要があっ
た。
・問 4 では、唐の存続した時期にユーラシア大陸で起こった 3 つの出来事について時期判断が求められた。c のウマ
イヤ朝から a のタラス河畔の戦いの流れは判断しやすいが、b のキエフ公国の判断が難しかったであろう。キエフ
公国がノルマン人によって建国されたこと、その建国以前の西欧にはフランク王国があり、フランク王国がトゥー
ル・ポワティエ間の戦いでウマイヤ朝と戦ったこと想起できれば、正答を導くことが可能であった。
・問 7 では、二文の正誤判断形式で、コーランとヒジュラについて問われた。いずれもイスラーム教に関する基本的
な知識が問われた。
・問 9 では、政治権力と宗教の関係として、ウラディミル 1 世、サファヴィー朝、ディオクレティアヌス帝、アショーカ王
に関する正誤判断が求められた。サファヴィー朝の宗派について理解が不十分な受験生は迷うが、アショーカ王
が仏教に帰依したことは基本事項であり、難しくはない。
第 4 問「世界史上の君主や王朝」
・A では東南アジアの神王観、B ではロマノフ朝の成立、C ではヴィクトリア王朝下のイメージ戦略について出題され
た。古代から近代まで、西欧・東欧・東南アジアを中心に問われた。
・問 1 では、世界史上の王国や王朝のうちエジプト、アフガニスタン、タイ、ハワイについて問われた。タイの王朝の
興亡、ハワイ王国の滅亡時期の判断が難しかったであろう。
・問 2 は、扶南の港市として、地図中のオケオの位置を名称とともに判別する問題であった。オケオの正確な位置の
理解が不十分でも、扶南の位置を大まかにおさえていれば、正答できたであろう。
・問 4 では、ロマノフ朝の皇帝について、二文の正誤判断で問われた。a の神聖同盟を提唱したのがアレクサンドル
1世であることは基本的な事項であり、判断は容易であった。b のクリミア戦争後に改革を行ったのがアレクサンド
ル 2 世であることが理解できていれば、正答を導くことができたが、やや難しかったと思われる。
・問 5 では、ノルマン人について、進出した地域や原住地、人物の事績が問われた。グリーンランドやアイスランドな
ど、受験生にはあまりなじみのない地名を判断することが求められたが、地図を使用した学習を確実に行っていれ
ば、正答を導くことができたであろう。
・問 6 では、中世のギリシア正教について、世紀の判断、周辺地域の知識、文化史の知識が複合的に問われ、取り
組みにくかったであろう。
・問 8 では、空欄補充の形式でイギリスの選挙法改正の内容について問われた。それぞれの選挙法改正とその内
容について正確な知識が求められたため、差がついたと思われる。
・問 9 では、19 世紀のイギリスのアジア・アフリカ支配について、時期判断が求められた。イギリスが南アフリカ連邦
を成立させたのは、19 世紀末から 20 世紀初頭に起こった南アフリカ戦争(南ア・ブール戦争)より後のことであると
理解しているかがポイントであった。
5.過去 5 ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度
2012
2011
2010
2009
2008
平均点
60.93
61.46
59.62
62.70
58.98
6.2014 年度センター試験攻略のポイント
・世界史 B では、教科書にある内容をそれぞれ丁寧におさえておくことが欠かせない。一つの地域や時代の枠内で
重要事項をきちんと整理し、それぞれの時代の特徴を把握したうえで、同じ時期のヨコのつながりや、時代の枠組
みをこえたタテのつながりを意識した学習が重要である。同時期にほかの地域で起こった出来事が結びつくように、
世紀ごとに世界を見渡すことに慣れておきたい。それぞれの出来事を各世紀の前半・後半に分類できるように備
えておくとよいだろう。近代以降は、さらに短いスパンでおさえておくことが求められる。学習を進める度に、図説な
どの「●世紀の世界」として示されたページと、地域ごとに配列された年表を活用しながら、既習事項との関連をお
さえ、より理解を深めるようにしたい。
・ヒトやモノの移動、社会史的なテーマ、生活に身近なモノから見た歴史や接触と交流など、複数の地域が絡む事
項については、相互の関係や時代背景、その後の影響などを丁寧に整理しておきたい。また、東南アジア・朝鮮・
中央アジア・ラテンアメリカ・アフリカなど、教科書で分散して扱われる地域については、中国や西欧、アメリカなど
の動きに並行させて民族・王朝・国家などの時期を把握しておくよう注意したい。なお、これらの地域についても、
戦後史を含めて、必ず歴史の流れを整理しておくことが必要である。
・一つの事項が該当する時期・地域を確認するとともに、その背景・原因となった事象や、その後の社会に与えた影
響など、有機的な関連性を意識して、日頃から学習を進めたい。また、個別の事項の詳細に踏み込みすぎず、歴
史の流れを大局的にとらえることも心がけたい。
・主要な王朝・国家・都市は、関連事項とその位置を地図で確認しながら学習を進めるようにしたい。同時期のヨコ
のつながり、王朝・国家の支配領域についても、同時期に存立していた王朝や隣接する王朝などにも注意しながら、
図説などの地図を活用して視覚的におさえておくことが欠かせない。なお、地図を見るときには、教科書本文で触
れられる主要な河川や半島などの位置も合わせて確認し、位置をおさえる目安として補っておくことが望ましいだ
ろう。