第4編 活力ある産業振興で 飛躍のまち

第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第1章
大地に生きるまち
第2章
未来に続くまち
第3章
にぎわいのまち
第4章
活力と技術のまち
第5章
もてなしのまち
第6章
創出のまち
第7章
安定のまち
106
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第1章
大地に生きるまち
第1節 郷土の礎たる農業
1.農業経営基盤づくり
2.活力ある産地形成
3.多様な担い手の育成
4.農村地域の活性化
107
第1節
郷土の礎たる農業
現状と課題
当市の農業は水稲作が中心であり、経営耕地面積の 84%が水田とな
○
っています。農家の平均耕作面積は 78a と小規模であり、農業労働の
省力化と商工業等の発展により第 2 種兼業農家と自給的農家が農家数
の 85%を占めています。農業従事者の高齢化、担い手・後継者の減少、
優良農地の減少に加え、内外の産地間競争の激化、農産物の価格低下な
ど、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
平成 2 年に農業者・営農組合・農業者団体・行政が一体となって「駒
○
ヶ根市営農センター」を設立し、全市を網羅した土地利用調整、作目調
整、機械施設の共同化、振興作物推進、担い手育成、各種共助制度など
に取り組んできた結果、新たな作目の振興が図られたほか、生産コスト
の減少、認定農業者の増加、法人経営体の増加、農業公園構想の具現化
など一定の成果をおさめています。さらに新たな食料・農業・農村基本
計画に基づき地域農業の振興を図るため、地域営農組織の法人化をめざ
しています。
○
農業は、国土保全と食料自給率の確保等をめざす基本的な国策に基づ
き、他産業との連携や地域間連携、交流などの強化により、社会の変化
に即応できる態勢を整備することが求められています。国際的な市場競
争に埋もれない経営の安定化など農業の魅力を社会的に高めることに
よって、担い手を確保し地域社会の発展の礎としなければなりません。
108
施策の展開
《施策の体系》
(施策の内容)
1.農業経営基盤づくり
(1)農業生産基盤整備
①
効率的な土地利用をめざして、未整備地区の基盤整備を
推進します。
② 一般農道の整備を促進します。
③ 維持管理の軽減を図るため、用排水路の改修、改良を促
進します。
(2)望ましい農業構造
の確立
①
(3)優良農地の確保・
有効活用
①
(4)農業生産組織の機
能強化
①
2.活力ある産地形成
(1)需要動向に即応し
た供給体制
①
時代の変化と要請に即応できる、地域営農システムの中
軸として、駒ヶ根市営農センターの機能を強化します。
② 地域活性化のための具体的な目標設定による推進を図る
ため、地区営農組合を軸に地区単位の農業ビジョンを策定
します。
③ 「うまい、安全、安心、健康」といった消費者ニーズに
対応した、生産・販売システムを確立します。
④ コメの計画的生産と穀類自給率向上のために、麦、大豆、
そばを中心とした生産体制を構築します、
農地保有合理化事業及び農業情報支援システムにより、
農用地の利用集積の一層の促進と、耕作放棄地の解消を図
りながら規模拡大の支援と農作業受委託を進めます。
② 農用地を効率的に利用するため、地域全体の合意に基づ
く利用調整を図ります。
農作業の受委託及び利用権設定などの推進により担い手
への経営集積を図るとともに、集落営農組織への加入を促
進します。
② 営農センター機能の指導体制強化により、集落営農組織
の法人化を推進します。
③ より効率的な生産システムの確立に向け、機械協業組合
等の統廃合を推進します。
「果物と花ときのこの里づくり」を基本に需要動向に即
した振興作物を選定し、四季を通じて特産品の供給できる
産地体制の整備を促進します。
② 信頼される産地形成を図るため消費地とのネットワーク
による安定生産、安定販売ルートの開拓を進めます。
③ 農畜産物の高付加価値化を進めるため、加工品の開発・
商品化の推進、直売所などの販路拡大を図ります。
109
《施策の体系》
(施策の内容)
④
さらに地産地消を拡大するために、学校給食、市内小売・
飲食店との連携を強めるとともに、直売施設の活用などを
推進します。
(2)技術の開発普及で
安定経営
①
生産コスト低減技術の向上と、経営規模の拡大や労働の
軽減を図るため省力化技術の普及を図ります。
② 営農センターを中心に異業種と連携して収益性を高めた
振興作物の掘り起こしに取り組みます。
(3)自然にやさしい農
業
①
(4)広域的な交流
①
(5)有害鳥獣駆除
①
安全・安心で高品質な食料生産をめざすとともに、イン
ターネットなどの活用による流通・販売体制の確立を支援
します。
② 環境保全型農業技術の開発実用化を推進するとともに、
エコファーマー等の認証取得を推進します。
③ 廃オガ、生ごみ、畜ふん、農集汚泥などの有機資源活用
システムを構築します。
市域まるごと農業公園構想をさらに推進し、新鮮で安全
な農畜産物の提供や体験交流などのニーズに応えながら、
都市を含む広域的な交流を駒ヶ根ふるさとの家を中心に促
進します。
② 市民農園、体験農場、観光農園、オーナー制度などによ
り「農」に親しむ場所を提供するとともに、ふれあい農園
マップなどによるPRに努めます。
関係機関と協力して、有害鳥獣による農作物被害を減少
させる効果的、効率的な対策に取り組みます。
110
-+/*0.《施策の体系》
(施策の内容)
3.多様な担い手の育成
確保
(1)中核となる担い手
の育成
①
意欲のある農業者の認定、農業生産法人化など経営感覚
に優れた多様な農業経営体を育成支援します。
② 認定農業者の掘り起こしを積極的に進め、認定農業者の
安定経営の向けた体制づくりを進めます。
③ 産業としての農業の魅力を喚起し、若者の仲間づくり、
後継者育成のための事業を支援します。
(2)多様な人材の育成
確保
①
4.農村地域の活性化
(1)総合的な振興
①
(2)中山間地域の振興
①
若い女性にも魅力のある農業・農村社会を築くため、農
業経営における女性の地位向上、経営参加を図るべく、家
族経営協定の締結を促進し、仲間づくりを推進します。
② 新たに農業を始めたい人や定年帰農、Iターン、U ター
ンなどの新規就農者の確保・育成について市営農センター
を中心に推進します。
③ 新規就農者のために就農研修施設(駒ヶ根ふるさとの家)
の充実を図るとともに、栽培技術指導体制を確立します。
中山間地域農業直接支払事業協定以外の地域では、新た
な農地・水・環境保全向上対策事業により、非農家を含む地
域ぐるみの農村環境の保全、農業の多面的な機能を発揮す
るための集落協定により「農業と共生」できる地域社会を
構築します。
② 生活環境の整備を促進するとともに、農村のもつ優れた
景観を保存し、訪れる人々に安らぎを与える魅力的なむら
づくりを進めます
農業公園構想に基づき、グリーンツーリズムと組み合わ
せた都市住民との交流を推進するなど魅力ある農村地域を
創造します。
② 中山間地域農業直接支払事業を活用し、耕作放棄地の増
加を防止し、農地の多面的機能の確保を図ります。
③ 集落機能の再構築と、地理的条件を生かした振興作物・
特産品の開発を推進します。
【関連施策】悪地
1‐1‐1 土地利用
1‐3‐1 高度情報化
1‐4‐1 河川水路網
2‐1‐1 環境
2‐1‐2 循環型社会
2‐2‐1 景観
3‐1‐2 高齢者福祉
3‐1‐3 児童福祉
4‐2‐1 商業
4‐5‐1 観光
4‐6‐1 ニュービジネス 4‐7‐1 雇用・勤労者
5‐1‐2 義務教育
5‐3‐1 男女共同参画
5‐5‐1 コミュニティ
111
第6編
参加のまち
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第2章
未来に続くまち
第1節 ふるさとの宝としての林業
1.国土、森林の保全
2.多面的利用
112
第1節
ふるさとの宝としての林業
現状と課題
○
木材価格が低迷する一方で、伐採、保育、造林コストは増大して
おり、引き続き森林施業そのものが円滑に進展しない恐れがありま
す。
○
林業の採算性の悪化や担い手の減少、エネルギーとしての木材利
用の減少等により、望ましい森林の維持、形成が不安定になっていま
す。間伐を中心とした森林の適正な管理による林齢構成の平準化を
図る必要があります。
○
森林の持つ多面的・公益的機能を生かした保全と活用が求められ
ており、林業担い手の育成確保や地域材の利用拡大、市民ぐるみの
保全活動などの対策が必要です。
○
市民の森林に対する期待と関心が高まり、森林浴など身近な森林
体験から地球環境の保全に至るまで、貴重な森林は全市民の財産と
いう意識をもち、森林環境そのものを守っていくことが求められて
います。
113
施策の展開
《施策の体系》
(施策の内容)
1.国土、森林の保全
(1)森林の保全
①
木材生産のみならず山地災害防止、水源かん養のため必
要な場所について保安林指定や治山事業の推進を図り、広
葉樹林の保護育成に努めます。
② 水源かん養や災害、地球温暖化などの環境問題などから、
森林の持つ多面的な機能が見直され、保全への意識が高ま
っているため環境保全を考慮した森林整備を進めます。
③ マツクイムシなど森林の病害虫について、国、県、近隣
市町村及び研究機関と協力し、広域的な防除の一層の推進
に努めます。
(2)計画的な森林の整
備
①
(3)生産基盤の整備
①
駒ヶ根市の森林整備の基本的な推進方向を①水土保全林
を目的とした整備、②森林と人との共生を目的とした整備、
③資源の循環利用林を目的とした整備の 3 タイプに区分し、
林業構造の改善、施業の共同化などによる森林整備の推進
に取組みます。
② 零細所有者や不在所有者の多い地域については、施業地
の集団化、団地化を図るとともに、森林組合、緑資源機構、
林業公社などへの信託・分収方式を促進します。
③ 地質や地形などの自然条件に配慮し、混交林、複層林、
天然林の育成を含めた多様な森林整備を促進します。
④ 木材の生産、流通、加工に至る諸条件の整備を図るため、
流域内の林業関係者による上伊那地区林業振興協議会等に
おいて、計画的かつ総合的に林業振興対策を推進します。
⑤ 良質な天然アカマツの銘柄化「伊那マツ」に向けた施業、
ヒノキ、カラマツなど森林樹人工林健全化のための施業、
伊那谷各地で実施されている複層林施業の推進、有用広葉
樹(ケヤキ、トチ、ナラ類など)の育成を進めます。
造林地、素材生産事業地を重点対象とした林道、作業道
の整備、災害に強い林地形成に取り組みます。
② 林業後継者の育成や林業研究グループなどの支援により
林業経営の安定と担い手の育成を図るとともに、森林組合
の体制強化による適切な森林整備に取り組みます。
③ 広域的対応や就労条件の改善などにより、林業生産を担
う労働力確保をめざします。
114
《施策の体系》
(施策の内容)
2.多面的利用
(1)森林とのふれあい
①
ボランティアによる天然樹林復活や、市民の森林浴、動
植物の観察・学習、都市との交流の場として、池山周辺の
森林を「21 世紀市民の森(もり)」として整備します。大曽
倉市有林についても、森林空間の活用とともに森林の整備
育成を図ります。
② 市街地に残された貴重な平地林である十二天の森につい
ては、生涯学習・憩い場として将来にわたって保全に努め
ます。
③ 戸倉山麓のブナ林復活を目指して、地域ボランティアに
よって行なわれている植栽、育樹などの保全活動を支援し
ます。
④ 小中学生など青少年期から自然の大切さやふるさとへの
愛着を育むため、みどりの少年団などを通じて森林づくり
への参加を推進するとともに、地域住民の森林とのふれあ
いにより、森林のもつ多様な価値を次代に引き継ぐよう啓
発に努めます。
⑤ 大切な資源である山林の整備を通じて広域的な流域の交
流を促進するため「磐田の森」や「市民の森林」の整備、
活用を推進します。
⑥ 地域の農業、商工業、観光との連携による森林の有効活
用に向けて、森林空間の総合利用施設の整備に努めます。
(2)地域材利用開発等
①
地域材の利用を促進するため、上伊那地域材振興協議会
を中心に、安定的な生産が可能となる合理的な流通、加工
体制づくりを検討します。
② 間伐材の加工・製品化や森林資源のバイオマスエネルギ
ーへの利活用を促進します。
③ 上伊那森林組合と連携し地域材の消費拡大を図り、地域
材利用を推進します。
④ 農林家の複合経営の主品目である生椎茸、えのき茸、ほ
んしめじ、マツタケ、マイタケなどの栽培施設の整備拡充、
発生環境整備の促進とともに、協業化を進め産地化に向け
て品質の向上、増産に努めます。
【関連施策】
1‐4‐1 河川水路網
1‐5‐1 住宅・宅地
2‐1‐4 市民総参加と連携 2‐2‐1 景観形成
第6編
参加のまち
115
2‐1‐1 環境
2‐1‐2 循環型社会
4‐5‐1 観光
5‐5‐1 コミュニティ
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第3章
にぎわいのまち
第1節 にぎわいをよぶ魅力の商業
1.商業環境整備の推進
2.魅力ある商店街づくり
3.商業指導体制の強化
116
第3
1節
にぎわいをよぶ魅力の商業
現状と課題
○
市域における小売業の年間商品販売額は、不況の影響を受け一時的に
減少したものの、その後人口が増加していることから僅かながら増加傾
向にあります。商店数は減少する傾向にあり、伊南バイパス沿線やアク
セス道路周辺への大型店を中心とした立地が進んだことから、市内の大
型店占有率は 70%近くに達し、中心商店街では後継者難から閉店を余
儀なくされる店舗も見受けられます。
○
地域商業の中核である中心商店街は、舗装の高質化やリニューアルな
どのハード面の整備、つれてってカードの高機能化、各種イベントなど
ソフト面の充実により集客力を高める努力を継続していますが、郊外へ
の店舗の集積が進み、中心市街地の商業集積地としての魅力が失われて
きています。
○
中心商店街には、まちの顔としての役割や地域経済の中核としての役
割が求められていますが、そのためには郊外の商業集積地にはない歴史
や伝統、文化を生かした、個性的で魅力のある街並み・店づくりを進め
る必要があります。
○
中心市街地の衰退には様々な要因が作用していますが、商業集積地と
しての機能の回復を図るためには、街なか居住の推進による定住人口の
増加や、福祉・教育・文化などの基幹施設の充実による交流人口の増加
策など、まちのにぎわいを取り戻すためのハード、ソフト両面からの総
合的な取り組みが求められています。
○
人口増加の低減と高齢社会の到来、環境問題への意識の高まりなどか
ら、都市機能を集中する「コンパクトシティ」という考えに基づいたま
ちづくりが必要となってきています。また、バランスのとれた商業環境
を形成する観点から、土地利用計画に沿った秩序ある商業集積のあり方
が求められています。
117
施策の展開
《施策の体系》
(施策の内容)
1.商業環境整備の推進
(1)中心市街地の活性
化
① 「アルプスがふたつ映えるまち」
「人と自然にやさしいま
ち」として、豊かな自然環境と調和した「まちの顔」とし
ての中心市街地の活性化を図り、魅力あるまちづくりを進
めます。
② 中心市街地の定住人口の増加を図るため、市街地再開発
事業や優良建築物等整備事業を活用し「街なか居住」を推
進します。
③ 伊南バイパスと中心市街地を結ぶ街路等の整備を進めま
す。
④ 市街地循環バスなどの交通体系の充実を図り、市街地活
性化の基盤づくりに努めます。
(2)商店街の活性化
①
(3)調和ある商業環境
の整備
①
商店街等が行う駐車場、街路灯、舗装の高質化、花づく
りによる環境整備など、公共空間の整備を支援し、うるお
いのある商業環境の整備を推進します。
② 商店街等が空き店舗を活用し、チャレンジショップやテ
ナントミックスなどの整備を図る事業を支援します。
③ バリアフリー化を推進するとともに、高齢者や商店街利
用者の交流・休憩施設や子育て支援施設などの整備を支援
します。
④ 交流人口の増加を図り、街のにぎわいを取り戻すため、
催事スペースや会議施設などの整備を支援します。
コンパクトシティの考えを取り入れ、郊外への大規模集
客施設の立地を抑制するなど中心市街地の活性化を図り、
バランスある商業環境の整備に努めます。
118
《施策の体系》
(施策の内容)
2.魅力ある商店街づく
り
(1)にぎわいづくりへ
の支援
①
街なかのにぎわいづくりを創出するため、商店街団体等
が実施するイベントの開催などを支援します。
② 駒ヶ根高原を訪れる観光客を誘導できるよう魅力あるま
ちづくりを進めるとともに、ソースカツ丼などの名物、名
産品づくりを支援します。
(2)個店の魅力アップ
①
(3)商業団体の育成
①
3.商業指導体制の強化
①
消費者ニーズに対応する魅力ある店づくりのための経営
指導や診断、経営革新活動を支援します。
② 地域循環型経済を活性化するため、つれてってカードの
機能の充実に対して支援します。
③ チャレンジ起業相談室と連携を図り、時代の変化と消費
者ニーズに対応した新たな起業や業種転換を支援します。
商店街組合の活動を支援するとともに、やる気のある商
業者、青年、女性の組織化を支援します。
② 商店街連合会やつれてってカード協同組合などの活動を
支援します。
商工会議所、中小企業相談所の活動を支援するなど、指
導体制の充実を図ります。
② 市内金融機関及び長野県信用保証協会と連携を図り、中
小企業の円滑な資金調達を支援します。
【関連施策】
1‐1‐1 土地利用
1‐1‐2 都市開発
1‐2‐1 道路網
1‐2‐2 交通環境
1‐3‐1 高度情報化
2‐1‐2 循環型社会
2‐1‐3 生活環境
2‐2‐1 景観形成
4‐5‐1 観光
5‐5‐1 コミュニティ
3‐1‐1 福祉のまちづくり 4‐1‐1 農業
第6編
参加のまち
119
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第4章
活力と技術のまち
第1節 世界と結ぶ高度技術集積型の工業
1.地域に調和した工業生産基盤
2.変革に対応できる強い企業体質
3.技術革新への対応と企業立地促進
120
第3
1節
世界と結ぶ高度技術集積型の工業
現状と課題
○
地域経済の基盤である工業の安定的な発展のために、積極的に工業団
地の造成を進め、企業誘致、企業移転を図ってきました。今後も戦略的
な企業立地の推進が必要であり、総合的な土地利用計画に基づき、恵ま
れた環境を生かした緑豊かな工業用地の整備を進めるとともに、交通輸
送手段の改善、高度情報通信環境の整備も課題となっています。大学、
試験研究機関との連携など、産学官一体となった総合的な取り組みが重
要です。
○
人口減少と高齢化、グローバリゼーションの進展と国際競争の激化、
地球温暖化対策など大きな経営環境の変化に直面しています。企業にお
いては、こうした事業環境変化の時代を勝ち抜くための、不断の努力が
積み重ねられています。
○
持続可能な発展を目指すために、自らの技術を確立した企業集団を育
成していかなければなりません。そのためには、創造性豊かな人材育成
と確保、確かなものづくりの技術を基盤に、情報通信技術を活用できる
環境整備が求められており、同時に、高度技術産業集積地域の中核とし
ての役割を果たしながら、近隣の周辺産業との連携を深めることも必要
となっています。
121
施策の展開
《施策の体系》
1.地域に調和した工業
生産基盤
(1)総合的土地利用に
立脚した企業立地
(施策の内容)
①
上の原工業団地、下平工業団地への企業立地を推進しま
す。
② 中沢・東伊那地区への企業誘致を進めます。
(2)住環境と調和した
工業生産
①
住工混在の解消を図るとともに、企業と住民の協調によ
る住みやすさと同時に事業のしやすい環境整備に努めま
す。
(3)交通・輸送ネット
ワークの整備
①
(4)情報通信技術の活
用
①
2.変革に対応できる強
い企業体質
(1)企業体質強化と経
営革新
①
円滑な輸送体系を確立するために、工業団地への幹線道
路整備を進めます。
② 中央自動車道、三遠南信自動車道、リニア中央新幹線な
どによる関東から中部への広域的な高速交通網の整備を視
野に入れた交通ネットワークの整備を働きかけます。
高速大容量の情報通信技術が、産業の不可欠なインフラ
であることを踏まえ、CATV や民間通信事業者との連携に
よる情報ネットワークの構築をさらに進めます。
企業体質の強化を目的として活動している「テクノネッ
ト駒ヶ根」を産業振興戦略の中核プロジェクトとして位置
づけ、その活動を支援します。
② 関係機関との連携により技術力の向上・技術開発など企
業が成長し続けるための経営革新を支援します。
③ 制度資金の拡充や金融機関との連携により、資金調達面
から経営基盤の強化を支援します。
④ 市民交流活性化センターと技術相談員の配置により、企
業のニーズに最適な技術・経営情報が提供できるように努
めます。
⑤ 環境対策や地域貢献など、企業が社会的信用を得られる
ための活動を積極的に支援します。
⑥ 災害への対応策の整備などにより、被災時にも早期に事
業継続が行える企業の体制強化を支援します。
122
《施策の体系》
(施策の内容)
(2)人材育成
①
テクノネット駒ヶ根や関連機関との連携により、創造性
豊かで技術水準の高い人材の育成をめざす学習機会の提供
を支援します。
② 地域における技術レベルを保つために、技術・技能の伝
承を支援します。
③ 地域の工業高校との連携により、産業界の担い手育成を
支援します。
④ ふるさと人「財」誘導事業や雇用対策協議会の活動を通
じ、地元出身者の U ターン促進と他の地域からの人材誘導
を図り、労働力の確保に努めます。
(3)企業情報発信の強
化
①
②
(4)周辺地域との連携
①
3.技術革新への対応と
企業立地促進
(1)技術提案型企業へ
の移行
①
(2)将来性豊かな企業
の立地促進
①
企業の技術力の発信を強化や販路拡大を支援します。
地域資源を活用した産業を地域ブランドとして支援しま
す。
世界の中の駒ヶ根としての位置を見据え、点から線、線
から面へと広域的な地域との連携を通じ、世界に通じるも
のづくりの集積拠点としての強化を図ります。
技術相談員の活用により、技術力の向上を図るとともに、
県工業技術総合センターやテクノネット駒ヶ根の活動を通
して、世界に通じる技術提案型企業群の形成をめざします。
② 知的財産保護に関する取り組みを支援します。
バイオテクノロジー、環境、医療・健康、情報などの新
規産業や試験開発型企業の立地を促進するため、貸工場、
インキュベーター施設設置とあわせて、学術機関や試験研
究機関の誘致も積極的に進めます。
② 既存技術を高度化した高付加価値製品に取り組む企業を
積極的に誘致し、地域企業との連携を促進することにより、
技術レベルを向上させ地域競争力の強化を図ります。
③ 地域農業資源の活用を目的とした企業の誘致により、農
商工連携の産業振興を図ります。
【関連施策】
1‐1‐1 土地利用
1‐2‐1 道路網
1‐3‐1 高度情報化
2‐1‐2 循環型社会
4‐6‐1 ニュービジネス
4‐7‐1 雇用・勤労者福祉
5‐2‐3 学園都市
第6編
123
参加のまち
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第5章
もてなしのまち
第1節 くつろぎとときめきの観光
1.滞在・通年型観光への飛躍
2.積極的な誘客活動とサービスの向上
3.広域観光ネットワークの構築
124
第3
1節
くつろぎとときめきの観光
現状と課題
○
中央アルプスロープウエイを中核とした山岳観光と、光前寺や早太郎
温泉など多様な観光資源が整った駒ヶ根高原、竜東振興の柱となるシル
クミュージアム、ふるさとの家などを活用し、四季を通じた滞在型観光
地の形成をめざしています。
○
体験、健康志向など観光客のニーズは多様化しており、地域資源や地
域文化の発掘と、もてなしの心あふれる駒ヶ根の良さをいかした受け入
れ態勢の整備が必要となっています。
○
この地でしか味わえない食べ物、土産品は観光地としての大切な要素
であり、そのための新たな開発が求められるとともに、民間主導による
観光振興策やリーダーの育成が必要です。
○
高速交通網の整備が進み、日帰り観光圏が拡大しているなかで、観光
客を信州南部に誘導するために広域連携を強化するとともに、駒ヶ根観
光の魅力をさらに高めることが必要となっています。
125
施策の展開
《施策の体系》
(施策の内容)
1.滞在・通年型観光へ
の飛躍
(1)駒ヶ根高原の環境
整備
①
池山遊歩道等ウォーキングエリアの整備・活用を図り、
自然とのふれあい、くつろぎ、癒しのニーズを応える地域
として魅力を高めていきます。
② 駒ヶ池・大沼湖を活用したアウトドア体験など、高原と
水辺のレクリエーションの研究を進めます。
③ 駒ヶ根ファームスからキャンプセンターに至る太田切川
の沿線を、探鳥など自然を満喫しながら散策できる潤いの
道として活用を図ります。
④ 高原一帯の看板類をわかりやすく、景観に配慮したもの
となるよう整備を進めるとともに、電線の地中化などにつ
いて研究します。
(2)山岳地域の保全と
活用
①
(3)市内の観光拠点の
ネットワーク化
①
観光と自然が共生できる環境づくりを進めるため、中央
アルプス千畳敷及び宝剣岳、極楽平、本岳一帯の植生調査、
遊歩道整備、自然保護パトロールを充実します。
② 今後も増加が見込まれる中高年齢者や女性の登山者にも
やさしく、安全性の高い登山道整備を図るとともに、環境
に配慮した山小屋トイレなどの施設整備を進めます。
駒ヶ根の特産品として知名度を高めている「ソースカツ
丼」のPRに努め、中心市街地に観光客を呼び込むととも
に、新たな特産品の開発、発掘により、地域文化を活用し
て中心商店街の活性化を図ります。
② 竜東振興の柱となるシルクミュージアムとふるさとの家
の活用や、農業公園構想に基づく農業体験などを充実し、
都市との交流を推進します。
126
《施策の体系》
2.積極的な誘客活動と
サービスの向上
(1)キャンペーン・イ
ベントの企画
(施策の内容)
①
オープンガーデンや地域資源をいかすなど、時代と共に
変化する観光ニーズを的確にとらえた民間主導の積極的な
イベントや観光宣伝を支援します。
(2)積極的な宣伝活動
①
マスコミ媒体を利用した情報提供活動を積極的に働きか
けます。
② インターネットの活用など、情報化社会に対応した観光
情報の発信に努めます。
③ 都市部の学校、企業、団体と連携して、農村公園中核施
設を中心とする、体験型観光の誘客・宣伝に努めます。
(3)接客サービスの向
上
①
(4)食文化・土産品の
開発
①
(5)観光関係団体の育
成
①
3.広域観光ネットワー
クの構築
(1)広域観光体制の充
実
①
先進的観光地の視察や、講習会などを通じて接客サービ
スの向上を図る民間活動の支援に努めます。
② 観光、歴史、風土、文化や自然について案内を行なう観
光ボランティアの育成、支援を行います。
③ 市民一人ひとりが観光客をもてなす、訪れた人の心に残
る観光地づくりをめざします。
この地ならではの食や買い物を楽しめるよう、新たな食
メニューや土産品の開発を支援します。
② 上伊那地域の伝統的な食をテーマにした各種イベントを
充実し、広域連携による食文化の振興に努めます。
観光関係団体の育成支援とともに、観光の飛躍、発展の
先駆者となる民間リーダーの育成に努めます。
② 観光振興に重要な役割を担う観光協会の活動の活性化、
充実を支援します。
三遠南信自動車道などの広域交通網の整備により、遠州、
伊那路、木曽の三者のネットワークを強化し、広域観光エ
リアの発展につなげます。
② 上伊那圏域の潜在的な観光資源の活用などにより体験、
滞在、反復型の観光振興を推進するため広域観光ネットワ
ークの形成と充実を図ります。
【関連施策】
1‐1‐1 土地利用
1‐2‐1 道路網
1‐3‐1 高度情報化
2‐1‐1 環境
4‐1‐1 農業
4‐2‐1 林業
4‐3‐1 商業
5‐3‐2 青少年育成
5‐4‐1 スポーツ
5‐5‐1 コミュニティ 第 6 編
127
参加のまち
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第6章
創出のまち
第1節 ニュービジネスの育成
1.産業構造変化への対応
2.新規産業の育成支援
128
第1節
ニュービジネスの育成
現状と課題
○社会経済のグローバル化が進み日本の役割が変化しています。地方にお
いては、既存産業の持続可能性を模索すると同時に、新たな産業育成を
図ることにより地域力を向上させていくことが求められています。
○
少子高齢社会、規制緩和、高度情報化などによる社会経済全般の構造
転換は、多様な雇用制度や就労形態を生み出すとともに、新たな産業発
展の可能性を有しています。
○
既存企業の新分野展開や新規創業などを総合的に支援する体制を整
備するとともに、恵まれた自然環境、住環境をいかし、環境、バイオテ
クノロジー、医療・健康、情報関連産業など、新たな高付加価値を生む
次世代産業群の誘致・育成を図っていく必要があります。
129
施策の展開
《施策の体系》
(施策の内容)
1.産業構造変化への対
応
①
情報社会の進展や環境問題への対応などは、多様な新規
産業を創出する可能性があり、市民交流活性化センターを
軸に創業支援センターなど関係機関との連携により新分野
進出、新規創業を支援します。
② 従来の就労形態の枠を越えた雇用形態や機械化できない
技術、管理、能力開発部門などへの対応について、経営講
座などにより職業能力の開発等を支援します。
2.新規産業の育成支援
(1)起業の促進
①
(2)支援策の充実
①
環境関連のエコビジネス、バイオ産業、医療・健康関連
産業、情報関連産業など、多様な新産業の創出を促進しま
す。
② 産学官連携や異業種交流による、新製品の開発や新分野
への開拓を促進します。
③ 地域の課題をビジネスの手法で解決するコミュニティビ
ジネスを促進します。
成長が期待される新規産業に対する相談体制や、金融支
援体制、立地環境整備を図るとともに、ベンチャー企業の
誘致を促進します。
② 情報産業やSOHOなどに対する貸事務所、貸工場、イ
ンキュベーター施設の整備を図るとともに、恵まれた自然
環境をいかした研究開発機関などの誘致を積極的に推進し
ます。
③ 産地の技術、農林水産品、観光資源など地域資源を活用
した新産業創出を積極的に促進します。
【関連施策】
1‐1‐1 土地利用
1‐5‐1 住宅・宅地
3‐1‐1 福祉のまちづくり 4‐1‐1 農業
4‐3‐1 商業
4‐4‐1 工業
5‐2‐1 学園都市
130
第6編
参加のまち
第4編
活力ある産業振興で
飛躍のまち
第7章
安定のまち
第1節 雇用・勤労者福祉
1.産業の活性化を支える人材の育成と確保
2.労働環境・勤労者福祉
131
第1節
雇用・勤労者福祉
現状と課題
○
産業構造の転換と少子高齢社会の進展などによる労働力の減少など、
めまぐるしく変化する社会経済の中で、雇用環境は流動的な状況となっ
ており、安定的な雇用の創出が求められています。
○
市内企業への就業促進を図るため、産・学・官が連携し、学卒者の就
業やI・U・Jターン希望者の雇用の拡大を進める必要があります。
○
幅広い知識と技術をもった高度技術者は、求めることが難しい現状に
あり、企業の発展を阻害する要因にもなっていることから、時代の変化
に的確に対応できる創造性豊かな人材確保と人材育成を図る必要があ
ります。
○
中小企業労働者の労働環境は厳しい状況にあることから、勤労者がゆ
とりと豊かさを実感できる生活の実現へ向け、勤労者互助会の活動支援
や、各種福利厚生の充実を図る必要があります。
132
施策の展開
《施策の体系》
(施策の内容)
1.産業の活性化を支え
る人材の育成と確保
(1)創造性豊かな人材
育成
①
労働者の職業能力開発を一層推進するため、テクノネッ
ト駒ヶ根を中心に、講座・研修を通じた能力開発に努めま
す。
② 技術、技能の高度化、複合化に対応できる体制を整備す
るため、時代のニーズに対応した人材を育成するための県
技術専門校の充実を働きかけます。
(2)雇用の安定と人材
確保
①
伊那公共職業安定所等との連携により、就職相談、求人・
求職情報の提供などを行い、労働力の安定供給、円滑化に
努めます。
② 中高年齢者や障害者の雇用を促進するため、地域職業相
談室の機能強化、必要な職業訓練の斡旋、シルバー人材セ
ンターや自立支援施設、障害者センターの活用などを充実
し、それぞれの技能にあった職場の紹介に努めます。
③ 駒ヶ根雇用対策協議会を中心に、新規学卒者やI・U・
Jターン就業者向けの事業を推進し、地域経済を支える若
年労働者や高度技能者等の人材確保を促進します。
④ 事業主に対し、女性の再就職を含めた雇用拡大や環境整
備の働きかけや、外国人労働者の適正な雇用啓発に努めま
す。
⑤ I・U・Jターンなど定住希望者と企業のニーズを的確
に捉えながら、ふるさと定住パック事業の充実を図ります。
133
《施策の体系》
(施策の内容)
2.労働環境・勤労者福
祉
(1)ゆとりある労働環
境づくりの促進
①
関係機関との連携により、労働者の健康確保と働きやす
い労働環境づくりを促進します。
② 男女がともに働きやすい環境づくりを進めるために、男
女雇用機会均等法、パートタイム労働法、育児休業法、介
護休業法の周知徹底を図ります。
③ 雇用保険制度による育児休業給付制度などを積極的に導
入するよう、事業主に対する啓発に努めます。
④ 男女が働き続けながら、安心して子育てができるよう、
各種子育て支援策などの充実に努めます。
(2)勤労者福祉の充実
①
勤労青少年ホーム、女性ふれあい館などの勤労者福祉施
設の各種講座や研修会を充実させるとともに、クラブ活動
など利用者の生涯学習活動や仲間づくりを支援します。
② 勤労者生活資金融資制度を充実し、暮らしの安定を図り
ます。
③ 駒ヶ根市勤労者互助会への支援を通じて、中小企業等で
働く勤労者の福利厚生の充実強化を支援します。
【関連施策】
3‐1‐2 高齢者福祉
3‐1‐3 児童福祉
3‐1‐4 障害者福祉
4‐4‐1 工業
5‐1‐3 生涯学習
5‐3‐1 男女共同参画 5‐3‐2 青少年育成
第6編
参加のまち
134
4‐1‐1 農業