星 の 神 話 その代わりそのあかつきにはアンドロメダ姫を 術の神。アテナは戦いの女神。アルテミスは月 ケイローンに命じ大蠍にオリオンを狙わせます。 娶りギリシャに連れて行くことをお許しくださ の女神です。このオリオンはというと、ボイオ 果たしてオリオンはこの蠍を剣で貫こうとしま い」と王に約束させます。海は荒れ狂い大きな ティアのヒュリアの狩人で母はエウリュアレ、 したがどうしてもこの硬い甲羅を砕くことがで 波が打ち寄せています。そしていよいよティア 父 親 は ポ セ イ ド ン と さ れ て い ま す が、巨 人 族 きません。そこでオリオンは海に飛び込み一路 ギリシャ神話を読んでいくと唐突に『ニンフ』 ディノス島へと向かいます。イオスとヘリオス という存在がでてきます。これは一般には『妖精』 マトがその巨大な姿をあらわしました。嵐の中 (ティターン)であったとも言われています。 カリストとアルカス ではペガサスも思うように飛べません。そこで オリオンは実は絶世の美青年であり狩の名手 にこの大蠍を倒す秘策を聞き出そうとしたので あるいは『精霊』と解釈されています。辞書を ら授かった兜、足にはヘルメス神の羽の生えた 一か八かペルセウスは魔法の袋から見たものを でもありましたが、性格はやや粗暴で芸術面に す。 引くと『神と人間の中間的存在』などと出てく サンダルという出で立ちです。ちょうどエチオ 石に変えてしまうというメドゥーサの首を取り 疎いところがありました。しかしそれが災いし さて、そこでアポロンがアルテミスを呼んで るでしょう。いったいこの正体はなんでしょう。 ピアの上空を通りかかると海は荒れ大波が海岸 出しティアマトに向けて掲げました。と見る間 後にアポロンの妬みを買ってしまいます。成人 いいます。「あれは巫女のオーピスを襲ったカン これはつまり『巫女』です。神託所においては アンドロメダ銀河(M31)は私たちの太陽系 に打ち寄せています。ふと地上を見下ろすと、 に海獣は巨大な石に変わり海底深く沈んでいき したオリオンは美しい娘シーデと結婚しました ダオーンに違いない。いくら弓矢の名手でもあ 神官の補佐をするのが巫女です。王城において のある天の川銀河に最も近い大銀河です。およ 海岸の岩場の波打ち際に女性がいます。いえい ました。 が、シーデはタルタロス(地の牢獄)に堕ちた んな遠くを泳いでいる海の怪物を射止めること は王族の身の回りの世話をする侍女として働い そ 254 万光年ほど離れ、大きさは天の川銀河の え、遠目では女性かどうかわかりません。よく ところが話はそこで終わりません、アンドロ とされています。傷心したオリオンは旅に出ま は出来まい」アルテミスはまんまとアポロンの ていたわけです。神話の形成にあたっては必ず 3倍はあると言われています。晴れて空気の澄 見ると両手を鎖で繋がれています。いったいど メダ姫にはピーネウスという婚約者がいたので す。キオス島に立ち寄ったオリオンは美しいメ 挑発に乗ってしまいます。弓矢を取ると狙いを 実在したモデルがあるはずです。人物、あるい んだ日には肉眼でもそのぼんやりとした姿を観 うしたことでしょう。さらに目を凝らして見る す。祝宴の真か王妃カシオペアの手引きでピー ロペに出会います。父親であるオイノピオンに 定め一撃で怪物の頭を射抜いてしまいました。 は出来事が人伝に語り継がれ次第に神格化され 察することができます。近年は星雲と銀河は明 とこの世の人とは思えない美しい女性です。そ ネウスの軍勢が王宮になだれ込んできてペルセ 結婚を申し込みますが「キオス島を荒らしまわっ 海岸に打ち上げられた怪物の死体を見てアルテ 神話となっていくわけです。例えばゼウスはギ 確に区別されているようです。天の川銀河から うではない場合はこのまま通り過ぎるところで ウ ス の 命 を 狙 い ま す。ペ ル セ ウ ス は ま た も メ ているライオンを退治したら結婚させても良い」 ミスは驚きました。怪物だと思っていたのはオ リシャの実在した王でした。人間として数十年 17 万光年の距離にある大マゼラン・小マゼラン したが、そういうわけにはいかなくなってしま ドゥーサの首を掲げケフェウス王諸共、軍勢を と条件を出されます。すぐさまオリオンはライ リオンだったのです。しかもその頭を自らの放っ の人生を送り、さらに天上界において影響力を 雲はそれぞれ銀河といえるほどの大きさはなく、 いました。 石に変えてしまいます。ペルセウスに抗う敵は オンを殴り倒し毛皮にしオイノピオンに届けま た銀の矢が射抜いていたのです。 及ぼし、のちに優れた人物が現れると「彼はゼ 現在のところ天の川銀河の一部とみなされてい ごつごつとした岩場に降り立ったペルセウス もはやありません。ペルセウスは王宮に一年ほ すが、オイノピオンはメロペを結婚させる気持 アルテミスはすぐさまエリュクサーの秘術の ウスの子に違いない」という具合に語り継がれ るようです。 が娘に尋ねます「ここからアテネまではどういっ ど滞在し、アンドロメダとの間に男児を設け王 ちはなかったのです。オリオンに酒をすすめ酔っ 使い手であるアスクレピオス(へびつかい座) ていくわけです。 全天には 88 の星座があります。そのうちクラ たらいいですか?」いえいえそんなことはこの 家の後嗣ぎとし、夫婦ともにセリポス島へと旅 て寝込んだところを襲い両目を抉り彼を海に投 を訪ねオリオンを蘇生するように懇願しますが 新約聖書の原典はご存知のようにギリシャ語 ウディオス・プトレマイオスの定めたものが 48 際関係ありません「いったいどうしたことです 立ちました。 げ捨ててしまいました。 アスクレピオスは施術の途中で雷に打たれ死ん で書かれています。これにおいてもキリストで 座。そしてさらに人の名前が冠されたものは『オ か? 事情をお聞かせてください」すると娘は「私 後にメドゥーサの首はアテナへと献上されま 失明しながらも命は取り留めたオリオンは神 でしまいます。万策尽きたアルテミスは深い悲 あるイエスはゼウスの子と記載されています。 リオン座』『ヘラクレス座』 『ケフェウス座』『カ はこの国の王ケフェウスの娘でアンドロメダと した。アテナは自らの鎧の中央にこのゴルゴン 託によりリムノス島へ向かいます。そこでイオ しみの中に落ちて行きました。オリオンの死の 当時においては神といえばゼウスのことだった シオペア座』『ペルセウス座』そしてこの『アン 言います。海の神ポセイドンがお怒りになり人 の首を埋め込んだと伝えられています。ちなみ スと兄のヘリオスの助けで目の治療を受けます。 報せを聞いて悲しんだのはアルテミスばかりで わけです。時が下りローマの時代になりゼウス ドロメダ座』です。この『アンドロメダ座』は 身御供としてここに繋がれています。どうかこ にマケドニアの王アレキサンダーの鎧の中央に 視力を回復したオリオンはそこで美しいプレア はありません。ギリシャの王ゼウスもその一人 はローマ人の神ユピテルと同一視されます。キ よく鎖に繋がれた女性の姿で描かれますが、そ のまま通り過ごしてください」とエチオピア訛 このメドゥーサの首が描かれていることに気づ デスの七姉妹に夢中になってしまいますが、オ でした。そして冬の星座の中で月の通り道にあ リスト教がローマの国教になるにつれユピテル の丁度腰のあたりにこの大星雲はあります。ア りのギリシャ語で言います。ペルセウスはすぐ いている方も多いでしょう。アテナはゼウスの イノピオンへの復讐に燃え、再びキオス島へ向 たり最も美しい星の座をオリオンの座と定めま はついに神としての地位を追いやられてしまう ンドロメダは古代エチオピアのお姫様であり、 さま王宮に飛びました。いえ、飛んだのはペガ 娘で月の女神アルテミスの姉です。ローマの神 かいます。しかし地下に隠れたオイノピオンを した。こうしてオリオン座を女神アルテミスが のですが、このユピテルを英語の発音でジュピ 母親はカシオペア王妃、そして父親はケフェウ サスでペルセウスは飛べません。 話ではミネルヴァと呼ばれることもあり、戦い 探し出すことができず、さらにクレタ島へ向か 月に一度通過するようになったわけです。 ターと呼ぶわけです。ジュピターといえばつま ス王です。 王宮ではケフェウス王と王妃カシオペアが悲 の女神です。 います。そしてそこで月の女神アルテミスとの ここで少し解説しますが一般にギリシャ神話 り太陽系最大の惑星木星ですね。土星をサター エチオピアはアフリカ大陸の東側に位置しソ 嘆にくれています。ペルセウスが王に尋ねると そんなわけで、夜空にはこのアンドロメダ、 運命的な出会いを果たします。狩好きなアルテ の中ではアテナの母は知恵の女神メティスとさ ンと呼び、これは豊穣の神サトゥリヌスのこと マリア、ケニア、南スーダン、スーダン、エリ 「神託により我が娘を人身御供としたもので、王 ペルセウス、ケフェウス、カシオペア、ペガサス、 ミスは弓矢の名手でもあり、同じく狩好きのオ れています。またアルテミス、アポロンの母は です。ギリシャではクロノスに当たります。海 アンドロメダとペルセウス トリア、ジブチといった諸国に囲まれています。 である自分であってもどうすることもできない」 ティアマト(鯨)の各星座が並んで描かれてい リオンに次第に心が惹かれていきます。そして レトとされています。これはそのまま事実とす 王星は海王つまりネプチューンであり、ギリシャ かつて連邦だったエリトリアが 1991 年に分離独 と言います。 「元はといえば、妃のカシオペアが るわけです。くじら座といっても南極周辺にい 二人連れ立って毎日狩に明け暮れます。オリオ るとおかしなことになります。ここは生前の信 ではポセイドンに当たります。同じく冥王星の 立したため現在は海のない内陸国になっていま 娘アンドロメダは海神ポセイドンの 50 人の孫娘 るクジラではありません。あくまで嵐を呼ぶ海 ンは「島中の猛獣を僕が退治してみせます」な 仰対象、あるいはその性質を受け継いだものと 冥王とはプルートであり、ギリシャではハデス す。古代ユダヤの王ソロモン(前 1011 年~931 ネーレイデスより美しいと高言したことが原因 獣ティアマトです。秋の夜長、そんな神話を思 どとアルテミスに約束し有頂天になっていまし 考えるのが自然でしょう。つまりアテナは知恵 に当たります。 年頃)と有名なシヴァの女王が王朝の祖先にあ であり、怒ったポセイドンにより巨大な海獣ティ い起こしながら、星座を探してみてください。 た。 者だったので知恵の女神メティスの子に違いな 古代メソポタミアの人々は自然界の現象は一 たり、全盛期にはアラビア半島のイエメン地域 アマトを差し向けられてしまいました。以来海 さあ、そんな折ギリシャの王であるゼウスは い。あるいはアテナ自身がメティスを深く信仰 定の周期の下に起こり、これは惑星の運行に関 までその勢力が及び交易で栄えました。この神 は荒れ津波が国土を襲い、アモン神に神託を求 戦で敵の矢を受け深手を負い王宮へと帰ってき していた。と取るのが自然でしょう。さらにゼ 係していると捉えました。そして天文学が発展 話には海獣ティアマト(鯨)が登場しますから めたところ王女アンドロメダを人身御供とせよ ます。もしもの時を考え王の後継者を指名して ウスの妻ヘラはアポロンと手を組んでオリオン し占星術が生まれました。星座図において太陽 現在のエリトリア地域あるいはジブチ、ソマリ とのことであった」というのです。 おきたいと妃のヘラに打ち明けます。兄のハデ を倒しています。また王家の秘宝であるヘルメ の通り道を黄道と呼びます。この黄道を 12 等分 ア地域が伝説の舞台になっていたのかも知れま ここで少し解説しますが『アモン神』とはア プレアデス(M45)のプレアには鳩という意 スは新興宗教に懲りかたまり、ポセイドンは海 スの竪琴をアポロンが譲り受けています。この し、そこにある星の集まりを座と呼びます。は せん。 フリカで広く信仰されている太陽神です。 『アモ 味があるそうです。肉眼では六つほどの星の集 軍の将ではありますが、王の器ではありません。 ことから二人の間に実際の血縁関係があったと じめは動物が当てがわれていたと思われますが ア ン ド ロ メ ダ 姫 は ア フ リ カ 出 身 な の で 黒 人 ン・ラー』あるいは単に『ラー』と呼ばれるこ まりに見え、日本では『昴』とも呼ばれています。 長子のアポロンは芸術家肌で毎日竪琴ばかり弾 取るのが自然でしょう。 次第に神話の登場人物が当てがわれ、やがて全 だった。という説をとる方もあります。現在の ともあります。エジプトのファラオにも『アメ 秋の夜空、東の空にこの星々が昇るとき、後に いています。長女のアテナは男勝りではありま アルテミスは死んでしまったオリオンを蘇生 天がこの星座で覆われるようになります。黄道 エチオピア人は黒人が多くその中でも特に黒色 ンホテップ』あるいは『ツタンカーメン』など 続いてアルデバランという一等星が現れます。 すが女です。ゼウスはギリシャは大国ではあり しようと試みます。オシリス神話を見ても当時 をなぜ 12 等分したのか? おそらく木星の公転周 が濃い方が多いようです。しかし実在したアン 名前の一部になっていたりするのはそのためで この一等星は黄道十二星座の一つ『牡牛座』を ましたが、まだまだ周りには強国があり、逞し 死者を蘇生することは可能と信じられていまし 期 12 年に由来しているのでしょう。太陽とこの ドロメダ姫は黒髪の黄色人だったようです。ア す。『ラー』とは太陽のことです。アフリカでは 構成し、丁度牡牛の目の辺りに位置し、プレア い男性が王になるべきと考えていました。そこ た。オシリスの妻イシスはエリュクサーという 黄道十二星座が重なる時、この星座の影響が地 フリカの人は皆黒人というのは間違いで、白人 また、農耕の神『オシリス』 、知恵の神『トート』 、 デスは背中の辺りに位置しています。この牡牛 でゼウスが目を付けていたのが野山を駆け回っ 秘薬を使い肉体を再生し魂を吹き込みオシリス 上に現れる考えられていたわけです。 や黄色人も広範囲に住んでいました。古代ギリ 黒人の祖先ドゴンの神なども広く信仰されてい 座と向かい合う闘牛士のように現れるのが巨人 ているオリオンだったわけです。オリオンはゼ の蘇生に成功しています。この秘薬エリュクサー そしてこの星座に如何なるものを当てはめる シャ人も黒髪の黄色人ですし同じギリシャでも ました。アフリカの各地には神託所が設けられ オリオンが星座になったとされる『オリオン座』 ウスの子ではありませんでしたが兄であるポセ を結晶にしたものを『賢者の石』と呼び、秦の のか決定する権限を持ったのが当時の王族で 北方には金髪の白人が住んでいたようです。ギ ていて、何か困ったことがあった時は神官が占 です。ギリシャ神話の中にこのオリオンについ イドンの子です。王位を継承させるには問題は 始皇帝が探し求めたものでもあります。死者を あったわけです。星座にまつわる神話を見てい リシャ人のペルセウスと会話ができたわけです いによって神の判断を仰いでいました。王位そ て悲しい物語が残されています。 ありませんでした。 蘇らせるという神の領域に踏み込んだアスクレ くと星座を決定したのはゼウス、ヘラ、アテナ、 から、古代においてはギリシャの勢力範囲が広 のものが神託によって定められていました。つ ギリシャの主催神ゼウスにはポセイドン、ハ ヘラにとっては自らの子であるアポロンに当 ピオスは神の怒りに触れ死んでしまったわけで アポロンという具合に特定されます。つまりこ 大だったことがわかります。 まり王であっても神託に背くことはできないわ デスという兄弟がいました。ポセイドンは海の 然王位を嗣いで欲しいと願っていました。オリ す。異説にオリオンが侍女オーピスに手を出し の神々が当時のギリシャにおける王(女王)で さて、ペルセウスはゴルゴン族のメドゥーサ けです。 王、ハデスは冥界の王として知られています。 オンが王になりアルテミスがその妃になるとア たためアルテミスが嫉妬にかられオリオンを殺 あったということです。オリオンを星座にした を退治しその首を魔法の袋に収め天馬ペガサス 話を戻しますが、そこでペルセウスは「それ ゼウスにはまた三人の子供がありました。アポ テナやアポロンは臣下になってしまいます。そ した。とする話もありますが、もしそうであれ のはゼウスです。オリオンを追い詰めた大蠍や に乗って旅をしていました。頭にはハデス神か では私がその海獣ティアマトを退治しましょう。 ロン、アテナ、アルテミスです。アポロンは芸 こでヘラは一計を企てます。ケンタウロス族の ば蘇生術を施したりしないでしょう。 その番人ケイローンを星座にしたのはヘラです。 のちにアテナは魚座を星座にし、アポロンはヘ トは自分の身なりも忘れて思わず駆け寄ってし 住民が避難していたことも分かっています。現 飛礫が落ちてきます。「川だ、川に飛び込め!」 ますので、独身だったアストライアとするのが からアストライア神話は別の地域の神話が持ち ルメスの竪琴を星座にしました。王族以外にこ まいました。しかしアルカスはそれが母である 代でも大変なことを 3,500 年前の人々がやっての 誰かが叫んだかと思うと皆が一斉に川に飛び込 もっともしっくりくるのではないでしょうか? 込まれ、テミス信仰と一体化されたのではない んな特権を持つものはないでしょう。ゼウスは とは思う由もありませんでした。咄嗟に弓矢を けているのです。住民を説得して島を捨て、大 み石礫から身を守ろうとしています。だれもが 現在よく見る乙女座の図案は右手にエルアの かと推測されます。 さらに大きな動物を天にあげました。カリスト とるとその矢を放ってしまったのです。「しまっ きな船を作り全島民移住を断行したわけです。 成り振りをかまっていられません。アフロディー 葉(ナツメヤシ)、左手に麦の穂を持っています。 クロノスは父であるウラノスを倒し王位を奪 とアルカスです。 た!」。カリストは我が子の腕の中で息を引き取 そこには大変優れた統治者が存在し、過去に起 テと小さなエロスも半ば川に飲み込まれるよう 古い資料によると天秤を持った乙女の図案であ いました、そして子供から王位を奪われないた さて前置きが少し長くなりましたが、カリス りました。アルテミスは静かに彼女を弔いまし こった災害がきちんと伝承され、それに備える に飛び込み必死で泳ぎました。そこに衝撃の第 り、さらに古い資料によると隣の獅子座の尻尾 めにその子等を幽閉しました。その子等とはヘ トはアルテミスの侍女として身の回りの世話を た。 ことができたということでしょう。ギリシャの 二波がやってきました。津波です。津波が川を を持った乙女と穂を持った乙女に分かれていた スティア、デメテル、ヘラ、ハデス、そしてポ していました。もちろん神事の際は巫女を勤め アルカスは成人するとゼウスに人食の習慣を 神話の射程域は実はその噴火以前になります。 上り辺り一面にあるものを次から次へと飲み込 ようです。つまり元々穀物の収穫の女神が正義 セイドンとされています。クロノスの妻レアは ていました。巫女は結婚前の女性でなくてはな 排することを約束し母カリストの故郷であるペ ギリシャの神話にはエリダヌス川という大河 んでいきます。泳ぎの得意だったアフロディー の女神アストライアに変わり天秤座が分離独立 これを恐れ最後の子ゼウスをクロノスに見つか りません。神事の際は泉で沐浴し体を清めてお ラスギアの王となりました。以降この国はアル がしばしば登場します。ナイル川かチグリス・ テももはや運を天に任せるより成す術はありま して穂が添えられ豊穣の女神であるデメテルに らないようアルカディアの山奥の山羊飼いに預 かなければなりません。アルテミスが狩に赴く カスの名にちなみアルカディアと呼ばれるよう ユーフラテス川では? と諸説あるようですが、 せん。 変わり、そののち娘のペルセポーネになったの け育てさせました。成長したゼウスはクロノス 時は一緒に野山に出かけ、その腕前も見事なも になりました。ゼウスはこの親子の悲劇を悼み 現在においても特定されていません。太陽神の どれくらいの時が過ぎたのでしょうか。エロ でしょう。そう考えるのが自然かもしれません。 と戦いこれを撃ち、兄姉を解放します。解放さ のでした。ある日ゼウスが王城の中庭を歩いて アルカディアのある北の空の中心とそれを廻る ヘリオスの息子パエトーンが馬車の操縦を誤り スは岩の上で打ちのめされていました。必死で 乙女の携える穂の部分にある一等星スピカは春 れた兄姉はその後、ヘスティアは炉の女神、デ いると一際美しい女性が歩いています。「はて、 星の座に二人を据えました。そんなわけで小熊 太陽もろとも軌道から逸れこの川に転落したと 何かに掴まろうとしましたが、もう何を掴んだ の訪れを告げる星です。4ヶ月をハデスの冥府 メテルは農耕の女神、ヘラは婚姻の女神、ハデ 私の城にこんな綺麗な女性がいたっけかな? さ の尻尾がやけに長いのは元々は狼だったからな いう伝承が残っています。のちにアポロンがこ のか覚えていません。ここは何処なのだろう? ですごしたペルセポーネが里元に帰ってきます。 スは冥府の神、ポセイドンは海の神、そしてゼ てはヘラのやつめ!」と思ったかどうかは神話 のかも知れません。「お父さんあれは狼じゃあり の馬車を引くことになったようですが、そのた いったい何が起こったのだろう? 辺りは真っ暗 世界は寒い冬から春になるわけです。 ウスは地上と天空を統べる神となります。 には記述はありません。『カリスト』という名前 ませんよ! 絶対に熊ですよ!」とアルテミスが め川や海の水までが干上がり未曾有の大惨事が で昼なのか夜なのか分かりません。これから何 アストライア神話においては、神々と人間、 デメテルはアッティカのエレウシースに降り には『美しき者』という意味があります。その 言ったかどうかについては神話のどこを探して 起きたと神話に記されているのです。またその をすればいいのだろう。お母さんは何処へ行っ そして動物たちが互いに調和し暮らしていた時 立ち農耕の女神となります。今で言う農林水産 名の通りアルテミスの侍女の中でも一際美しい も書いてありません。いずれにせよ現在はこぐ 際にエチオピア人の肌が黒くなったとも言われ てしまったのだろう。テュポンって何だ?「パン、 代があった。としています。これを『金の時代』 大臣かも知れません。こうしてこの地で豊穣の 存在でした。 ま座・おおぐま座として夜空を巡っています。 ています。この神話の記述によるとアフリカに パンっ」呼んでみても返事はありません。あん と言います。次に地上に季節が現れ寒い冬に備 女神として祀られるようになります。しかしこ カリストは当時のギリシャ北部ペラスギアの おいてはある時期から突然黒人が出現したとい なにたくさんいた人たちはいったい何処に隠れ え食物を蓄えるようになりました。するとそれ こで事件が起こります。デメテルにはペルセポー 王リュカオーンの娘でした。この地方は古くか うことです。 てしまったのだろう。まだ水に潜っているのだ を奪いあったりするものが現れ互いに争うよう ネという娘がありました。このペルセポーネが さぁ、ここで魚座について解説しましょう。 ろうか? 体のあちこちが痛い。よく見ると血が になり神々は次々に地上を去っていきました。 突然何者かにさらわれ行方不明になってしまっ 古代メソポタミアの占星術によればはこの星座 滲んでいる。泥だらけで衣服は破れ体は剥き出 これを『銀の時代』と言います。次に人間の中 たのです。デメテルはあらゆる手立てを尽くし ら狼を神とする地域信仰がありました。そして 神事の際には若い人間を生贄とし祭壇に供えて アフロディーテと大怪獣テュポン オリオンとアルテミスの矢 いました。またその肉を食したものは狼の如き 4月のことを英語でエイプリルと言っていま は元々は人魚座だったのです。これを廃止し魚 しです。なぜだか体の底から悲しみが込み上げ に英雄が現れ悪を封じ込めた時代がありました。 探しました。そしてとうとう、地上のすべての 神になれると信じられていたのです。ゼウスが す。これは美の女神アフロディーテの月という 座を星座に定めたのはアテナです。アテナとい てきます。 「お母さん・・・」エロスはそっと涙 これが『青銅の時代』です。やがて英雄たちも 出来事を知るという太陽神ヘリオスに伺いを立 この地を訪れた際、この地方を治めていたリュ 意味です。美の女神といえばミロのヴィーナス えば鎧を纏い、盾と槍を持ち男も震え上がる勇 をぬぐいました。 地上を去り、ディケはその持ち物である『正義 て、ハデスの冥府にいいることを突き止めます。 カオーンは牛の肉と偽り人の子供の肉をゼウス を連想しますが、これはミロス島で発見された 猛な戦いの女神です。母は上半身が人間で下半 ギリシャの神話によればアフロディーテはク の天秤』で事の善悪を定めていましたが、とう デメテルは怒りに震えますが、もはやデメテル の食卓にのせました。これを見破ったゼウスは アフロディーテ像のことです。このアフロディー 身が蛇という知恵の女神メティスとされていま ロノスやウラノスの世代ですからゼウスより とう人間に絶望しその自らの白い翼を拡げ天に の手では取り戻すことができません。弟のゼウ 怒り、たちまちその軍隊でリュカオーンの一族 テ像は身長が2 m ほどありますから、当時の人 す。リヴィアで育った子供の頃から槍と盾を持 ずっと以前に生まれています。ですからゼウス 昇ってしまいました。のちに輝ける星の乙女『ア スに直訴しペルセポーネを返してもらうよう懇 を滅ぼしてしまいました。ただ一人リュカオー たちはそのくらいの身長があったのかも知れま ち、子供の時分誤って友達のパラスを殺してし の子に当たるアテナは伝承でアフロディーテを ストライア』と呼ばれるようになりました。そ 願します。 ンの娘カリストのみを王城へ連れ帰り、娘のア せん。髪の色は金色です。しばしば混同が起こ まったことがあります。それ以後パラス・アテ 知 っ て い た の み で し ょ う。し か し こ の ア フ ロ して人々は絶えず戦に明け暮れるようになりま ゼウスの尽力によりデメテルはようやく娘を ルテミスの侍女としたのです。 るのですが、ギリシャ神話のアフロディーテの ナと名乗るようになりました。この星座は2匹 ディーテはアテナの妹としても登場します。つ した。これが『鉄の時代』です。 取り戻すことに成功します。しかしペルセポー ある日のこと、神事の際の沐浴をしていると、 子供はエロスで、ローマ神話におけるヴィーナ の魚が互いに V の字にリボンで繋がれた図案に まり神話の記述はかなり混乱がおこっていると このアストライアの携えた『正義の天秤』は ネはすでに冥界の 12 の柘榴のうち4つを食べて アルテミスはカリストのお腹が大きくなってい スの子供はキューピッドになります。このアフ なっています。なぜ互いをリボンで繋がなくて いうことです。混乱といえば『パニック』ですが、 争いが起きた時にその当事者の魂を乗せます。 しまっていたのです。そのため一年のうち4ヶ ることに気づきました。カリストは子供を身籠っ ロディーテは謎の多い女神で神話の初期に登場 はならなかったのでしょうか? これは離ればな 大怪獣テュポンの出現に慌てたパンが川に飛び 善である場合、左に振れ、悪である場合魂が重 月はハデスに権利があるとしてこの4ヶ月を冥 ていたのです。妊婦は神事を行うことができま し、あのトロイの木馬のトロイア戦争にも登場 れになってしまった親子をなんとかつなぎとめ 込む際、半分だけ魚に化けたことからこのお化 くなり右に振れます。つまり魂の正邪で物事が 府で過ごさなければならなくなってしまいまし せん。そこでカリストは神事から外されること しているようです。太陽系の惑星では第二惑星 てあげたい。離ればなれになってはいけない。 け山羊をゼウスが山羊座と定めました。そして 判定されたわけです。物事の善悪は正しい心で た。このようにして一年のうち4ヶ月の間デメ になりました。間も無くカリストは男の子を出 金星になります。 というアテナの切なる願いが込められているの この『パン』は『パニック』の、 『テュポン』は『タ 以ってなされたことなのか、あるいはその心が テルは悲しみにくれ作物の実らない季節、冬が 産しその子はアルカスと名付けられました。ア さて、今から 4,300 年前に火山島の大爆発が起 です。 イフーン(台風)』の語源になったわけです。エ 邪であったのかが判断基準になっていたわけで 到来するようになったということです。そして ルカスは王城で育てられることになりましたが、 こったとしましょう。これに遭遇した人々はいっ エリダヌス座はオリオン座の右下から始まり ロスとアフロディーテは川に飛び込む際、魚に す。しばしば裁判所などでアストライアの像を 春が来ると輝くスピカとともに麦の穂を携えて 母親のカリストは異郷の信仰を持っていたため たい何が起こったのだろうと考えるでしょう 末尾の一等星アケルナルは南九州以南の緯度で 化けたとされています。これが黄道十二星座の 見かけます。目隠しをし『正義の天秤』を翳し 乙女座が現れるということです。そしてデメテ 王城へ住まうことを許されませんでした。ただ か? 大地が揺れ出しゴゴゴーと地鳴りをあげ火 なければ確認できません。全天で六番目に大き 一つ魚座の起源です。 て持っています。つまり外見や地位、自らの感 ルは『怒りの女神』としても神話に名を残すこ し王城の外で催される狩大会にはアルテミスに 山が爆発します。火口は火を吹きマグマが流れ い星座です。ある穏やかな日のことでした。こ 情に惑わされず、魂の高貴さと正邪を善悪の基 とになりました。 従い参加していたのです。その出で立ちは本来 出し、真っ黒な雲が空を覆い火山礫や火山灰が のエリダヌス川の畔りで王家の人々が酒宴を催 準として測っているわけです。またアストライ ゼウスの父クロノスは豊穣の神でした。クロ の美貌を隠して狼の毛皮を纏い、まるで狼男と 広範囲に降り注ぎます。津波が発生し海岸沿い していました。アフロディーテ姫と王子のエロ アは天秤とともに必ず鉄の剣を持っています。 ノス亡き後はこうしてデメテルに祭礼が捧げら いう彼女の故郷の習慣でした。それを見たアル の村や町を飲み込み、たくさんの方が亡くなる スも参加し宴はなお一層華やかなものになりま これは『剣無き秤は無力。秤無き剣は暴力』 といっ れたのでしょう。神話は単なる物語ではなく当 テミスは彼女を『アルクトイ(熊女)』と呼んで でしょう。人々は地の底の牢獄タルタロスに閉 した。ついでに半人半獣の山羊の角を持ったパ 乙女座の乙女とは誰のことなのか? これは三 た思想を象徴しているとされています。 時の人々は実際に祭壇を設け供物を備え祭礼を いました。彼女の故郷には糸を紡ぎ機を織る習 じ込められた怪物が突然暴れ出し町々を飲み込 ンも笛を吹き踊りを披露しています。そんな宴 つの有力な説があります。星の女神アストライ ギリシャ神話においてはゼウスはクロノスの 行っていたわけです。そしてある時は神託を仰 慣がなかったのです。 んだと思うに違いありません。廃墟となった町々 の最中、その出来事は突然に襲ったのです。ザ ア、豊穣の女神デメテル、その子ペルセポーネ。 末子とされています。クロノスは巨人ティター ぎ時には人々は巫女を通し神のお告げを聞いて さて時は流れ年月は経ちアルカスは 15 歳の青 はまるで怪獣が通り過ぎた後のように見えるで ワザワッと鳥たちが一斉に飛び立ったかと思う おそらく全部正しいのでしょう。乙女座は全天 ン族です。ゼウスは幽閉されていた兄弟たちを いたわけです。また信仰の恵みがあると神像を 年になっていました。この年も王城で狩大会が しょう。これが嵐を呼ぶ大怪獣『テュポン』な とゴゴゴーっと地面が鳴り響きます。「おいっ、 で二番目に大きい星座で黄道十二星座の一つで 救い出したのちオリンポス神族を率い 10 年に及 彫ったり神殿を建てたりしていったわけです。 催されました。狩は軍事訓練の一環でもありま のかもしれません。 あれを見ろ!」誰かが叫びます。遠くに見える もあります。乙女座の隣には天秤座があります。 ぶティターン戦争(ティタノマキア)の末、父 ちなみにクロノスは土星に当たりますね。ク す。大物を仕留めて帰れば王から絶大な栄誉を ギリシャのエーゲ海に『サントリーニ島』と 山の一つから黒煙が立ち上ったかと思うと黒雲 また乙女座の図案を見ると翼をもっています。 であるクロノスとティターン神族を倒し地の牢 ロノスの父ウラノスは天王星に当たり、ローマ 与えられます。アルカスにとっては初めての大 呼ばれる島があります。これは最近の名前で昔 が瞬く間に空を覆い隠してしまいました。轟音 このことから古くはアストライアであったこと 獄タルタロスへと追いやります。そしてギリシャ 神話ではウラヌスになります。また原子番号 92 会でした。そしてここで悲劇が起きたのです。 は『フィラ島』と呼ばれていたそうです。この とともに山は火を吹きました。「逃げろ! テュポ は間違いないでしょう。そしてのちにデメテル、 の王として君臨するわけです。この歴史観によ のウランはこの神にちなんで名付けられたもの 野山に分け入り狩をしていたカリストは奇しく 島はおよそ 3,500 年前に大噴火を起こしたことが ンだ、テュポンが来るぞ!」 ペルセポーネと変遷したととらえるのが自然で るとどうしてもアストライア神話の歴史観と差 です。元素番号 93 ネプチウムはネプチューン。 も成長したアルカスを見つけてしまいます。姿 現在の地質調査で分かっています。遺跡調査の 宴の席は一瞬でパニックになりました。生暖 す。それでは現代的には誰としたらいいのか? 異があります。また、ギリシャ神話の中にはテ 元素番号 94 プルトニウムはもちろんプルートに 形からみて我が子に間違いありません。カリス 結果、驚いたことにこの大噴火を予期し事前に かい風がひとしきり吹いたかと思うと空からは デメテル、ペルセポーネはそれぞれ結婚してい ミスという正義の女神も存在します。このこと ちなんだ名前ですね。 アストライアと正義の天秤
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