PDF形式

運河機能の見直しと、活用した地域づくり
1.水の道で
華やかな水網都市の形成
物資の輸送
2.都市の水辺空間として見なおし
3.東京の水辺再生事業
舟運の復活
防災、観光、景観
渋谷川の再生事業
運河開削の歴史
イギリスの土木技術者
トーマス テルフォード(イギリス土木学会 初代
会長)
田邉 朔朗
琵琶湖疎水
江戸遷都で京都の衰退 京都産業の再生を若
き技術者に託す
琵琶湖疏水は、第一期工事だけで国の土木費総
額を上回る費用と、5年近くの歳月をかけて、明
治23(1890)年に完成。翌年には日本初
の水力発電所も蹴上に稼働
この水力発電により、機業(西陣織)をはじめとす
る伝統産業は近代化へと導かれ、わが国最初の
路面電車が走り、
京都の産業発展の原動力へと結びついていった
テルフォード賞を受賞
「東京の水辺空間の魅力向上に関する全
体構想
1 高まる水辺再生の取組
平成13年からの都市再生事業で各地で水辺の再生が進
んでいる。河川利用では、治水、利水から環境へと河川管
理の目的が変化している。一方運河では、舟運の衰退か
ら周辺の土地利用が変化。運河を景観や観光の観点から
再生させる取組が進んでいる。
2 東京の水辺再生の動き
(1)東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想
「江東区内部河川地域」「運河地域」など5つのエリアで、水
辺の賑わい、舟運、水辺環境の3つの視点から来訪者に
も居住者にも魅力的な水辺空間の実現を目指す。
(2)運河ルネッサンス
「運河ルネッサンス推進地区」で水域占用許可を緩和、地元
協議会のまちづくり、賑わいづくりの活動を支援する。17年
6月には「品川浦・天王洲地区」「芝浦地区」を指定。18年2
月には天王洲に水上レストランが開業。
2009年8月に豊洲地区が推進地区に指定
運河ルネッサンスは、地域主体の取組
■品川浦・天王洲地区の水上レストラン
■芝浦地区で運河まつり
*水上マーケットや水辺サロンなど新しいにぎわいスポットの創出
*カヌーやボートなどによる運河下り
*観光さん橋や水上バスの発着所など、新たな水上交通の拠点を形
成
■運河にレストラン等を設置するために、水域占用許可に係る規制を
緩和
■計画実現にあたっての、様々な技術的支援
■イベント開催時の手続きの簡素化、運河沿い遊歩道や防災船着場
などの使用許可や都の広報媒体によるPRなどで、イベント運営を支
援
■人々が水辺に親しめるような魅力的な運河沿い遊歩道の整備や水
質浄化を推進
品川浦・天王洲地区運河ルネッサンス協
議会
3 世界の水辺空間
(1)アメリカ・サンアントニオ市・リバーウォーク
スペインの古い街並みをコンセプトにまちづくりを推進。全
米屈指の観光都市に発展
(2)韓国・ソウル特別市・清渓川(チョンゲチョン)
高架道路を撤去し、暗渠河川を復活
(3)フランス・アヌシー(サンマルタン運河)
「花と緑のまちづくり運動」で美しい運河の街に
(4)イギリスの運河網
「ナローボート」による観光クルーズに活用
(5)オランダ・アムステルダム
運河沿いのオープンカフェが魅力
4 国内の水辺再生
(1)大阪市・道頓堀川(「水の都大阪」の再生)
都市再生事業の特区指定により「とんぼりウォーク」を整
備。 平成16年
(2)広島市・太田川(「水の都広島」の再生)
河川利用の特例措置で水辺にオープンカフェを開業。水
上コンサート等で賑わい創出。
(3)名古屋市・堀川
リバーウォークを整備し歴史的景観を整備。都市再生事
業でオープンカフェを開設。
(4)北九州市・紫川
悪臭の川を再生。マイタウン・マイリバー整備事業でリ
バーウォーク、水環境館等を整備。
「とんぼりウォーク」
「水の都広島」の再生
社会実験「京橋川
オープンカフェ」
*京橋川右岸の河岸緑地にお
いて、水辺における都市の楽し
み方の創出や水辺と市街地の
一体化を目的として実施
*主体は水の都ひろしま推進協
議会で、出店契約に基づき、公
益が確保されるように指導や調
整をしながら、民間事業者によ
る営業活動として実施
(1)地先利用型オープンカフェ
川辺の広いウッド
デッキで、テラスの
木立や川辺を眺め
ながら、美味しい
イタリア料理を
Ristorante Fontana (ホテルJALシティ)
43 [キャラントトロワ] (ホテルフレックス)
川風に吹かれ
ながら、ス
ウィーツや軽
食を
Ocafe [オーカフェ] (RCC文化センター)
ムッシムパネン
(2)独立店舗型オープンカフェ
オイスター・コンクラーベ 牡蠣亭
水面と歩道の距離が大
きい
名古屋 堀川
水辺のロマンと躍動
リバーウォーク
サン・アントニオ
熱帯植物が茂る長期滞在型観光都市、のんびりと過ごす
整備への道のり
1921年の集中豪雤での洪水 死者50名
ダム建設、河川幅拡張、河川U字部分の埋立
1927年にダム建設
川の埋立てによる再開発 ⇔
川をそのまま残した街再開発
1929年
建築家ロバート・ハグマンのリバーウオーク構想が採択
スペインの古い街並みをコンセプトにした商店、レストラン、アパートを
リバーウオーク両岸に建設し、河川をそのまま活かして街を再開発
1941年
リバーウオークの整備計画完了
第二次大戦
リバーウオークへの関心の薄れ
川の整備、美化活動の停滞
高速道路の郊外への延伸による都心人口減尐
リバーウオークは浮浪者の溜まり場となり、街はゴーストタウン化
1963年
全米建築家協会サンアントニオ支部からの提案
リバーウオーク再生マスタープラン
「パセル・デル・リオ(川の遊歩道)」による街の再生がスタート
1968年
万国博覧会開催を契機にリバーウオーク周辺に高級ホテルが建設
される
1975年
コンベンションセンターの建設
リバーセンター(複合施設)
リバーウオークの水を引き込んだ約4haの敷地
マリオットホテル(1988年開業、約1000室)
商業施設、レストラン、劇場
5 水辺の賑わいづくりに関する規制と課題
(1)水辺の管理に関する規制の概要
河川法、港湾法、海岸法、公園条例等が適用
賑わいづくりには占用許可が問題
(2)占用許可規制の問題点
*「河川敷地占用許可準則」の改正があったが都市部ではオープ
ンカフェ等は困難
*一方、運河の占用許可は柔軟
ただしオープンカフェ等の設置は今後の課題
(3)河川利用の特例措置(都市再生事業特区)
(京都鴨川の納涼床は東京でも可能か?)
納涼床は京都の伝統文化であり例外的に設置を許可。東京では極
めて困難
サンアントニオ
*サン・アントニア
川の蛇行部を活
かした、豊かな
アメニティ-空間
の創出
*水辺開発の手
本として注目
イタリア
ベネチアの北 スィーレ川
とボッテニガ川の交わる
地点
トレブィーゾ
日常の生活を彩る
小樽運河
日本橋川
利根川水系を通って船で物資が運ばれた
小名木川
隅田川と中川を東西に結ぶ
行徳(現市川市)の塩を江戸に運ぶ
*万年橋から一直線に東の御
番所まで全長約5キロ川幅36
mの運河
*江戸城へ下総行徳の塩を搬
入
江戸が発展するにつれ、行徳
の塩だけではなく銚子から利根
川を遡り、関宿から江戸川を
下って運ばれてきた東回りの物
資を江戸へ運ぶ水路になった
江戸名所図会 小名木川
東武野田線“運河駅”
*関宿・・江戸時代箱根と並んで重要な関所
舟運で栄えた都市
利根川河口から関宿まで120キロメートル
江戸川を60キロメートル下る
利根運河・・・明治23年民営で開通
東京までの水路は45キロ短縮
銚子から東京まで川蒸気で18時間
利根川改修増補計画
*昭和16年に運河は閉鎖、内務省が買い上げ
江戸川への計画高水計画流量のうち毎秒500
立方メートルの放流
*昭和50年野田導水路
昭和46年完成の利根川河口堰
毎秒10立方メートル
利根運河
*江戸川と利根川を結ぶために明治23年に開削
*東京・千葉・埼玉の都市用水の需要にこたえるた
めに野田導水路として昭和50年によみがえった
貞山運河
大運河構想
盛岡から日本
橋まで
スエーデン
イエータ運河
1832年に開通
サンマルタン運河