誌上レビュー

CONFERENCE
特別コンファレンス
経営との連携強化から法規制への対応まで
変革するコールセンターの未来像を予見
11 月13 日、14 日の両日、東京・池袋のサンシャインシティ・文化会館において「第 4 回コールセ
ンター/ CRM デモ&コンファレンス」が開催された。特別コンファレンスでは、10 本の講演・デ
ィスカッションが行われ、経営視点、現場視点の両面からコールセンター/ CRM が抱える課題
が浮き彫りとなり、先進企業の問題解決への取り組みが披露された。
復に取り組む様子を語った。
初日の最後は、市場通信・社長の
Web 上の FAQ は検索
性が最も重要」と述べ、
波多野精紀氏が「IT マーケティング
両社とも利便性のある
の新事実」
と題して講演。
「消費者の
FAQ 構築の重要性を提
ライフスタイルはどんどん変化する。
示した。
顧客データは溜め込んでも意味が
一方、オーケイウェブ
なく、取得してから 3 カ月以内に利
社長の兼元謙任氏は、
用すべき」
との考え方を訴えた。
生産性向上の決め手は FAQ の充実
コミュニティサイト活用が理想
「企業が高品質なサポ
ートを顧客に提供するに
は、事業領域のサポー
コンファレンスの初日は、経営視点
長の谷口 修氏をモデレータに、先
スクリプトを変えたことで収益アップ
からのコールセンター
(CC)
の有効活
進的な CC 運営を実践するパネラー
に貢献している」
と説明。一方で千
翌 14日は、基調パネルディスカッ
以外の問い合わせはネ
用が提唱された。
企業の取り組みが紹介された。
趣会・顧客情報部教育推進チーム
ション「コンタクトセンターの生産性
ット上のコミュニティを
を追及する」で開幕した。
利用すべき」というFAQ マネジメン
ビス、コンタクトセンターの最新立地
トの考えを提唱した。
動向」
の講演があった。ホーヴ氏は、
トに 専 念し 、事 業 領 域
雪印乳業の脇田 眞氏(左上)、三井住友カードの岩井 眞氏(右上)、
日本航空の歌田清子氏(左下)、IBM ビジネス・コンサルティング・サ
ービスのパトシー・ヴァン・ホーヴ氏(右下)
基調講演では、
トーマツ コンサル
経営トップに CC の重要性を理解
マネージャーの中田和美氏は、
「受
ティング パートナーの松下芳生氏が
さ せ る 方 法 として 、プ ロシ ード
注処理を専門にこなす部隊は生産
ディスカッションでは、生産性向上
「センターマネージャーの経営手腕
COPC 事業部ゼネラルマネージャの
性を追求し、顧客ニーズを分析する
の手段として顧客をいかにセルフサ
を磨く」
と題して講演。マーケティン
畑中伸介氏が、
「CC がビジネスモデ
コンタクト部隊とは切り分けている」
ービスへ誘導するかという点を集中
最初に三井住友カード常務執行役
の人員・施設を統合したシェアード
グ 手 法 の 変 遷 を 振り返りな がら、
ルに直結していないと、経営陣から
と、業務によって目指す方向性を変
的に討議。カブドットコム証券システ
員の岩井 眞氏が「CSとES の両立
サービスセンターの設立が進んでい
「企業経営は IT 環境が整ってきた
は単なるコストセンターと見られてし
えるべきと主張した。
ム統括部長の石川喬也氏が、
「電話
で生産性を高める」
と題した講演を
る」
と述べ、コストと人材の兼ね合い
2002 年以降、
“CRMとSCM”
“損益
まう」
と指摘。これに対して日本アイ
午後の部は、
「消費者調査から明
での問い合わせの 9 割を Web 上に
行った。岩井氏は、
「顧客から評価
から CC の立地場所が欧州各地に
管理とROI”が各々両輪の関係で機
ビーエム・イーコミュニケーションズ
らかになるセンター対応と企業イメ
FAQ として掲載。最新の検索ツー
されるには、まず従業員満足度を高
拡散している様子を紹介した。
能する“顧客中心経営”へと転換し
CRM 開発室長の藤川公太郎氏は、
ージの関係」
と題した、米ジェネシス
ルを盛り込んだことで、活用頻度も
めなければならない」との考えを述
午後からは事例検証が 2 本続き、 「欧米企業では、CC など間接業務
最後は、クオリティ・ソーシング社
ている。ここでは、CC が企業活動
「IBM では顧客の声を最重視する
社 COO のローレン・フィロネンコ氏
増えている」と説明すると、NEC・
べ、同社での ES 向上策を紹介した。
長の西島和彦氏が「個人情報保護
の中心になる」と、組織構造そのも
経営体制になっている」
と述べ、1 人
の講演で始まった。同氏は、
「CC で
BIGLOBE カスタマーリレーション本
次いで、日本航空マーケティング企
とDo not Call の研究」を講演。米
のが変革することを示唆した。
の顧客の指摘からカタログのロゴ表
不適切な対応をすると、85 %の消
部 マネージャーの 金 井 浩 樹 氏も、
画室旅客制度部コールマネジメント
国の「Do not Call」登録制度や迷惑
記の規則を全世界で変更した実例
費者は離反する可能性がある。逆
副課長の歌田清子氏が「呼量予測
メール防止規制を取り上げ、
「日本で
を紹介した。
に対応が適切であれば、製品に問
の研究」と題して講演。
も同様の規制がかかるのは時間の
CC のプロフィット化に関して、ア
題があっても再度購入する確率は
予約電話への応答率を
問題で、
今から対処する必要がある。
続いての基調パネルディスカッシ
クサ損害保険オペレーション本部長
89 %」と指摘し、CC の対応が企業
引き上 げるた めに 、各
顧客に喜ばれる真の CRM を実践
ョン「コールセンターの経営評価と指
の石田一夫氏は、
「保険契約を管理
イメージを決定すると結論付けた。
月ごとに曜日や時間帯別
するCC だけが成功する」
と締めた。
標を問う」では、イーパートナーズ社
する顧客管理部隊でも、電話対応の
続いて雪印乳業取締役の脇田 眞
の緻密な人員配置計画
2日間を通して感じられたのは、
氏が「リスクマネジメント型 CRM の
を立てる取り組みを説
CC / CRM の中身が厳しく問われ
実践」
として、2001 年の食中毒事件
明した。
る時代が到来していることだ。企業
顧客最重視経営を実践する IBM
雪印はリスク管理で企業体制強化
「サービス内容が多岐にわたるので
を契機に同社が CRM の仕組みをど
海外事例では、IBM
に収益をもたらす拠点や仕組みとな
のように再構築してきたかを説明。
ビジネス・コンサルティン
るには、経営との結び付きや生産性
マルチチャネルから入る顧客の声を
グ・サービスのシニア・
向上、内部システムの改善、法規制
コンサルタント、パトシ
への対応などさまざまな課題が山積
ー・ヴァン・ホーヴ氏より
み。逆に言えば、まだまだ発展する
一元管理し、経営陣が苦情対応状
基調パネルディスカッション「コールセンターの経営評価と指標を問う」
(左)
と、
「コンタクトセンターの生産
性を追及する」の様子。コールセンターのあり方や生産性向上について、熱い議論が交わされた
70
Computer TELEPHONY
2004.1
況をリアルタイムにチェックするなど、
顧客重視の体制を強化して信頼回
トーマツ コンサルティング パートナーの松下芳生氏(左上)、米ジェ
ネシス社のローレン・フィロネンコ氏(右上)、市場通信の波多野精紀
氏(左下)
、クオリティ・ソーシングの西島和彦氏
「欧州のシェアードサー
余地が大きいようだ。
71
SEMINAR
プライベートセミナー
IP、音声ソリューション、ブロードバンド―
旬のテーマを企業のカスタマー担当者に訴求
企業にとって CRM の重要性が増すなか、実際にサービスを提供する側のベンダー・SI・アウト
ソーサーは、常に新しい技術を取り込み、顧客企業に提案していく使命がある。それぞれの分
野でリーディングカンパニー的立場にある、沖電気工業、富士通、NTT ソルコのプライベート
セミナーをレポートする。
業務データを有効利用し、利益拡
タルを挙げた。さらに、
「通話録音
大につなげることの重要性を強調
装置は、トラブル時のみに対応させ
した。
るのでなく、今後は CRM や BI に応
同部長は、そのためのコア戦略
用していくべき」と解説し、
「テキス
として CRM 展開マップに言及。業
トマイニングと同様に音声データを
務 デ ータの 活 用 を「 顧 客 創 造 型
分析して、新しい価値を生み出す
CRM」と定義し、低成長期におい
ようなソリューションを本格化しま
て顧客と企業との関係がワン・ト
す」と語った。
菱沼千明教授
ゥ・ワン型に移行している状況で
は、
「顧客を知ることが競合との差
豊富な導入事例をもとに
IP ソリューションの展望を示す
沖電気工業
システムとの連動も容易になりま
別化につながり、厳しい市場を勝
す」と語り、今後の強化ポイントとし
ち抜いていくポイントとなる」と語
て、① 050 サービスへの対応、② IP
った。
一 方 、午 後 の セッション で は 、
電話機の高機能化、③ ASP 型サー
沖電気工業のプライベートセミナ
ビスの3点を指摘した。
ブロードバンド化に伴い
SV 育成の重要性を指摘
NTT ソルコ
NTT ソルコのセミナーは、今後
ロードバンド社会とは、ユビキタス
社会のことであり、お客様主導のマ
ーケティングという全く新しいコン
セプトを生む土壌となるものです」
と解説した。
GLOVIA 事業本部 CRM ソリューシ
本格的なブロードバンド時代を迎
一方、IP コンタクトセンターにつ
ョン開発部の春田一成部長が、
「富
え、顧客と企業の関係性がどう変
いては、日本アバイア取締役の安藤
士通が目指す音声ソリューション」
化するのか、またコンタクトセンター
靖事業部長が、自社の導入事例を
と題して講演した。
が IP 化することで顧客戦略はどの
踏まえ、IP 化のメリットをコストとサ
ービス両面から紹介した。
ーは、IP ベースのソフトスイッチモ
さらに翌日には、同マーケティン
デル機能を搭載したコミュニケーシ
グ部の冨澤博志部長が「最新 IP コ
ョン・プラットフォーム「CTstage4i」
ンタクトセンター事情」と題して解説
化したイスコジャパン、1800 万人会
を活用した IP ソリューションの展
を行った。同氏は、現在のコンタク
員とのコミュニケーション基盤となっ
同部長は冒頭、
「音声はインフラ
ように進化するのか、そのためにコ
望や導入事例を中心に、2日間にわ
トセンター市場が 1990 年代半ば以
ているカルチュア・コンビニエンス・
ととらえられがちですが、顧客接点、
ンタクトセンターはどうあるべきか
「通信コストだけではなく、SIP
たって開催された。
来の旺盛なリプレース時期である
クラブの TSUTAYA コンタクトセン
すなわちコミュニケーションといえ
といった点を、多角的に検証するこ
対応でキャリア主導でマーケットが
まず初日最初に同社マルチメディ
と指摘。中小規模市場については
ターなど計7事例が報告された。
ます」と指摘。自社のソリューショ
とを目的に開催された。
広がるなかで、相対的に高価だっ
アメッセージングカンパニーの坪井正
製造業を中心に UnPBX システムへ
志プレジデントが、
「CTI & IPコミュ
のニーズが高まる一方、大規模市
ニケーションシステム CTstage4i の
場については中核に IP ソリューシ
全容」
と題して講演した。
ョンを据え、①ロケーションフリー
坪井正志
プレジデント
音声ソリューションの
適用分野を紹介
富士通
ンである「CRM21」モデルをベース
冒頭、小松清吾社長の挨拶のあ
た電話機の価格も下がります。サ
に、自動受注や情報の取り出し、ボ
と東京工科大学コンピュータサイエ
ービスについては、インスタントメッ
イスダイヤリング、音声ポータルとい
ンス学部の菱沼千明教授(学部長
セージなどを駆使した全く新しい
った音声ソリューションの適用分野
補佐)が、
「ブロードバンド時代にお
ビジネスモデルが登場するでしょ
を紹介した。とくに、次に期待され
けるコンタクトセンター展望」と題し
う」と語った。
坪井氏は CTstage の成り立ちを
(PSTN やアナログ回線に制約され
説明したうえで、IP 化の効用につ
ない)、②スケールフリー(UnPBX
富士通のセミナーは、同社が昨年
るソリュー ションとして 、ボ イス
て基調講演。同氏は、
「ブロードバ
さらに、NTT ソルコ第一営業部
いて、
「コンタクトセンターの集中・
サーバーを複数併置するより高い
1 0 月、基 本 戦 略として 発 表した
XML 技術を使って、音声中も Web
ンド化により、電話とインターネット
センターマネジメント部の北村広敏
分散に対応しやすくなるほか、基幹
拡張性)、③メディアフリー(音声と
「CRM 展開マップ」を軸に据え、
「次
と同じ情報が取り出せる音声ポー
が統合することで、コンタクトセンタ
企画調整部長が、IPコンタクトセンタ
画像双方に対応)の3点を導入メリ
世代 CRM」をテーマに展開された。
ーマネージャーには、より複雑化す
ー化に伴うスーパーバイザー育成の
午前のセッションでは、GLOVIA
るコンテンツ管理者としての技量が
重要性を指摘。
「IP 化でマルチタス
その後行われた導入事例の発表
事業本部・CRM 業務運用サービス
これまで以上に求められるはずで
ク化が進むなかで、オペレータの
では、SIP ベースの IP コンタクトセ
部の鈴木康夫部長が、
「業務データ
す」と指摘した。
スキルレベルをどこまで把握し、適
ンターを実現したヒューマン・プラ
はビジネス成功の鍵だ!」をテーマ
ンニングサービス、オープンな開発
に講演した。
ットに挙げた。
立見も出た会場内
72
Computer TELEPHONY
続いて、同社取締役ソリューショ
ン営業部長の湯澤洋逸 eCRM 推進
切な補強ができるかどうかが問題」
と語った。
環境で柔軟な運用を実現した東京
冒頭、鈴木部長は「顧客と企業の
室長が、
「多様化する顧客ニーズに
各社の提言は、企業のカスタマ
放送(TBS)、IP 統合したオフィスと
関係変化にいち早く対応することが
対応するコンタクトセンターソリュー
ー担当者に問題解決への指針を示
コンタクトセンターで顧客接点を強
必要」と指摘。企業内に蓄積された
ション」というテーマで講演し、
「ブ
したようだ。
2004.1
春田一成部長
73
HDI
HDI カンファレンス
有用な顧客応対内容を資産化する「KCS」を提唱
ナレッジマネジメントの新たなステージが見えた
シンクサービスが運営する日本ヘルプデスク協会は、イベント内においてサポートサービス業に
関わるセッションとラウンドテーブルを開催。カスタマーサポート現場に従事する多くの参加者
を集めた。この中で、顧客との応対内容を有効活用して企業資産化する「KCS(KnowledgeCentered Support)
」について提唱。ナレッジマネジメントの重要性を改めて浮き彫りにした。
COLUMN
ラウンドテーブル
定着率・現状分析・顧客との共感―
今まさに直面する問題の解決策を求め
複数企業の参加者同士が意見交換
HDI カ ン フ ァ レ ン ス 2003 in
中心に、参加者同士が討議を進め
ていく流れだ。つまり、参加者こそ
が主役のイベントとなっている。
具体的には、運用・定着・教育・
FAQ・現状調査・問題解決・モチベ
せると共に、自社の情報を提供する
ーション・地位向上・共感・採用・モ
Japan では、専用ゾーンの HDI アイ
ことで、お互いに解決策を探りあい、
ニタリングなど、16 のテーマを設定。
ランド内でラウンドテーブルを開催
ヒントを持ち帰ってもらう企画だ。
各テーブル定員が 10 名にもかかわ
した。これは、自分の抱える問題を
ラウンドテーブルは、HDI アイラ
らず当日参加希望者が殺到し、20
他者とのコミュニケーションを通じ
ンド内に丸テーブルを設置し、参加
サポートサービス業界の世界基準
ビノウィッツ氏による
「サポートセンタ
て意見交換しあい、その解決策を探
者が円陣となってお互いの顔を見な
特に参加者が多かったのは、エー
を 策 定 する 米 ヘ ル プデ スク協 会
ートレーニングの投資対効果」と題
すもの。特に参加者は、普段は現
がら意見交換を行う。各テーブルご
ジェントの定着率やセンターの現状
(HDI)の日本支部、日本ヘルプデス
した基調講演で幕を開けた。同氏
場に密着して自己の中で解決策を探
とに、サポートサービス業界でポイ
分析、顧客や他のスタッフとの共感
ク協会(HDI-Japan)が中心となり、
は、
「センターにとって人材は宝であ
る場合が多く、他社の同じような立
ントとなるテーマが設定してあり、そ
性アップなどのテーマだ。いずれも、
サポートサービス業の重要性を広く
り、離職と採用の繰り返しは大きな
場の人と情報交換するような機会に
こで起きがちな問題点をリストアッ
訴え、情報交換をする場として開催
損失となる。ROI に基づく最適なト
は恵まれていない。今回の施策は、
プしている。これらについて、HDI
こうした人たちに他社の状況を聞か
が認めたファシリテータ(進行役)を
するものでは、2 回目。今回は、2 つ
レーニングプランを立て、実効のあ
の基調講演に加え、サポートサービ
るキャリアパスを作成することが、ス
ス業界の現場から講師を招いて多
タッフのモチベーションを向上させ、
く姿は真剣そのもの。ここで何らか
数のセッションが行われた。また、
顧客満足度を高め、サポートセンタ
のヒントを得、自社センターの改善
参加者同士が特定テーマで意見交
ーに成功と利益をもたらす」
と提言。
策に活かそうという心構えが垣間見
換を行えるラウンドテーブルを新た
人材育成に焦点をあて、ROI を念頭
に採用。定員の 10 名を上回るテー
に入れた年間教育プランの策定方
マもあり、好評を博した(囲み記事
法や研修効果の具体的な測定手法
参照)。
を IHS 社の事例に基づいて解説し、
ROI を睨んだ教育プラン策定を提言
スタッフの地位向上が成功を導く
大きな反響を呼んだ。
という長丁場だったが、まだまだ時
HDI エグゼクティブ・ダイレクタのジュディ・ベン
ダ氏
後∼コミュニティーを利用したセル
HDI カンファレンス2003 in Japan
マネジメント」
「フィールドサービスの
フヘルプソリューション」など 11 の
セッションの 1日目は、IHS サポート
品質管理とビジネス戦略」
「実践クレ
テーマが設けられ、参加者は希望
ソリューション社 社長のエリック・ラ
ーム対処法『アナリストの言葉と表
する部屋で自由に聴講した。
2004.1
これまで相談相手がいなかった
し、他の参加者に意見を求めてい
ラウンドテーブルの様子。定員の 10 名を超えても参加希望者が集まり、盛況を見せた
個別セッションを開催。
「IT サービス
Computer TELEPHONY
える問題点”と言える。
れた。テーマによっては、2 時間半
現力』を鍛える」
「セルフヘルプの今
74
“永遠のテーマ”
“現場だからこそ見
参加者たちが自社の問題点を説明
IHS サポートソリューション社 社長のエリック・ラ
ビノウィッツ氏
この後、3 つの部屋に分かれての
リクルートスタッフィングの小野田 孝氏(左)
と、ワウワウ・コミュニケーションズの戸田 隆氏のセッション
の様子。参加者は、人材・運営管理についての関心が高い
人近く集まるテーブルもあった。
間が足りないといった様子だった。
を説き、スタッフの地位向上を図る
ジマネジメントを効果的に進めること
2日目の個別セッションは、
「Good
ことが品質や顧客満足向上につな
は、センターの有効性や CS、ES を
to Great ∼顧客満足度№ 1 を目指
がると解説した。
向上させるために不可欠と唱えた。
す」
「ヘルプデスクとサービスマネジ
スタッフィングでの原点回帰
マネジメント基本に関心集まる
ベンダ氏は、
「多くのサポートセン
メント」
「企業内オンサイトサポート運
ターでは、システムやテクノロジーに
用のキーポイント」など、9 テーマを
多大な費用をつぎ込んでいますが、
設定。特に原点に帰るという意味で、
2日目の基調講演は、HDI エグゼ
十分な効果を得ていません。これ
ワウワウ・コミュニケーションズ社長
この中の 1 つ、
「『ヒューマンリソー
クティブ・ダイレクタのジュディ・ベン
は、KCS 方法論で中心となるスタッ
の戸田 隆氏による「コールセンター
スマネジメントプロセス』について」
ダ氏の「ナレッジを活用するサポー
フや顧客に関するナレッジ活用要因
マネジメントの『基本』」に参加者の
では、リクルートスタッフィング コンタ
トセンター」で始まった。
を見逃しているからです。入電する
関心が集まった。
クトセンター事業部長の小野田 孝氏
講演では、サポートセンターで一
問い合わせ中心に考えるナレッジか
コールセンターは人が運営するも
が講師となり、センタースタッフの人
度解決した方法(回答)
を将来にわ
ら、活用処理を考えたナレッジに視
のと言うのは基本中の基本。HDI
事について言及。正しい評価制度
たっていかに有効活用していくかと
点を変える必要があります」
と述べ、
カンファレンスは、今回のデモ&コン
と、企業人事とは異なるコールセン
いう
「KCS(Knowledge-Centered
成功するナレッジ作成プロセスのポ
ファレンスの中で最も“人”に注目し
ター独自の人事制度導入の必要性
Support)
」の方法論を紹介。ナレッ
イントについて論じた。
たイベントだったと言える。
75
OPEN SEMINAR
オープンセミナー
IP 化の波はコンタクトセンター内に留まらない
全社部門の影響を睨んだシステム導入が必定
IP 電話が進化するに伴い、自社コールセンターへの導入効果に強い関心を示す企業が増えてい
る。これを反映し、今回新たに IP ソリューションに特化したオープンセミナーが行われた。通信
機器ベンダーによる IP コンタクトセンターの最新技術や市場動向、先進企業による事例紹介を
含め、2日間で 8 つのセミナーを開催。自社センターの IP 化を検討する来場者が多く足を運んだ。
「全世界で IP 化の波が訪れている。
中でも日本は IP 先進国だ」と断言、
今後同社ソリューションが何を支援
していけるかを具体的に解説した。
IP 電話普及のカギは SIP にある?!
キャリア/開発業者も続々採用
翌 14日は、富士通コンサルティン
エヌ・ティ・ティ・コム チェオの吉見英弥氏(左上)、
NEC の目 俊哉氏(右上)、日本ヒューレット・パッカー
ドの柿本伸明氏
グ事業本部シニアマネージメントコ
ンサルタントの小池隆康氏による、
CRM /メッセージサービス」の講演
今回、池袋サンシャインシティ文
された通信設備の統一による戦略
うなど、CAVA を総合的に支援・管
化会館 3F・ミプロ国際展示場では、
的コミュニケーション拠点の構築と
理 する体 制も整 える。吉 見 氏 は 、
IP ソリューションを提供する出展社
全社でのアプリケーション共有、障
「ネットワークを IP で結ぶことでバー
小池氏は、
「いつ IP が本格化する
チチャネルからのコンタクトに堪えら
が集まり、未来型コンタクトセンター
害発生時の迅速な復旧などに現れ
チャル CC を運営でき、呼量の変動
のか」
と命題を掲げ、一般家庭への
れるだけのノウハウを既存 CC に投
容 」として 紹 介した 。ポ イントは
(CC)の可能性について紹介してい
る」
と提唱。IP 化が生み出す部門間
時でも柔軟に要因配置が可能」
と強
IP 電話の普及、通信上の信頼性・
入する必要がある。さもなければ、
Cisco IPCCとSiebel の連携でシス
った。特に、特設セミナー会場にお
のシームレスなシステム連携が、企
みの一端を説明した。
安定性の確保、開発環境の充実の 3
CS に応えられない」
と指摘し、もは
テム全体を見直し、国内だけでなく
いて開催されたオープンセミナー
業全体を CC 化し、全社で顧客対応
シスコシステムズは、
「IP で変わる
つがポイントと指摘。特に開発環境
や IP 化は企業都合ではなく、顧客
アジアパシフィック全体の状況をリア
は、最新の技術・市場動向を聴講
にあたる体制が構築できると述べ、
通信サービス、コールセンターの取
では 、通 話 制 御 プロトコル の S I P
ニーズであることを示唆した。
ルタイムに把握できるようにした点。
できるとあって脚光を浴び、多くの
同社ソリューションの紹介を行った。
り組みは」
と題して、IPコミュニケー
(Session Initiation Protocol)が急
事例紹介では、このほど CC を再
ション部の井上 朗氏が CC の未来像
速に普及しており、これが信頼性・
構築した日本ヒューレット・パッカー
について解説した。
安定性も担保すると予測した。
ドが登場。その内容を、同社テクニ
最後は、早稲田大学講師の港 宣
来場者が詰め掛けた。
場所を選ばず接続できる IP 網
バーチャルセンターが進化の 1 つ
まず最初のセミナーは、インタラク
ティブ・インテリジェンス プロダクト
「コールセンター IP 化への変遷と将
来」
と題した講演で始まった。
の中で、顧客の IT リテラシーの向
上とWeb 環境の浸透に着目。
「マル
この経験を踏まえ、同社 IP 化ソリュ
ーションの強化を図ると強調した。
この中で井上氏は、社内/社外
顧客視点からの IPCC を述べた
カルサポート統轄本部ソリューショ
也氏が「トータルコストは低減するか
マーケティング本部長のデイビット・
続いて、エヌ・ティ・ティ・コム チェ
環境を IP 化したうえでニーズに応じ
のは、NEC だ。同社ソフトウェア販
ンサポート部 CRM コンサルタントの
IP で変わる通信サービス」
と題して、
フラー氏が、
「IP テレフォニーとマル
オ事業開発部兼アウトソーシング事
た機能を追加していく
「TAC(テク
売推進本部の目 俊哉氏は、
「企業に
柿本伸明氏が、
「最新テクノロジーに
各キャリア企業の取り組みについて
チメディアコンタクトセンタ」と題して
業部・担当部長の吉見英弥氏が「広
ニカル・アプリケーション・センター」
価値をもたらすコンタクトセンター/
よる HP IP コンタクトセンターの全
語ると共に、今後の IP 環境の進化
講演を行った。
がる在宅コールセンター」
として、自
の考えについて説明。Web アプリ
を占った。特に、富士通・小池氏の
社の在宅エージェント「CAVA」制
ケーションによるe セルフサービスや
講演にもあった SIP について、その
度の事例紹介を行った。
エージェント支 援 機 能 、音 声 認 識
技術的優位性を強調。
「シンプルで
同氏は、
「従来の IP テレフォニー
は、通信コストの削減や付加価値機
能などに期待が寄せられた。
しかし、
同社は、NTT コミュニケーション
IVR、全社部門を対象としたコール
拡張性に富み、通信確立までの時
IP 化が生み出す真の ROI は、分散
ズが提供する ISP サービス「OCN」
ルーティング機能など、IP 網をハブ
間も短い。また、他のプロトコルと
のカスタマーサポートを行
として段階的にシステムを増設する
の親和性も高い」
と述べた。
っており、特に顧客情報を
ことで、効率的に全社 IP 化を図る
必要としないヘルプデスク
ことができると提唱した。
米ジェネシス社のローレン・フィロネンコ氏による講演。来場
者の IP コンタクトセンターへの関心は高さがうかがえる
76
Computer TELEPHONY
2004.1
2日間のセミナーを通じて、一貫し
て強調されたのは、コミュニケーシ
業務については、全国に
初日最後は、特別コンファレンス
ョンスタイルの変革だ。従来、CC や
点 在 する 約 6 0 0 名 の
でも講演を行った、米ジェネシス社
営業部門だけが顧客窓口であった
C A V A に 対 応 させ て い
のフィロネンコ氏による「欧米におけ
が、IP 化の波を受けて企業全体が
る。また、仙台に総合 CC
るコンタクトセンターの IP 化の進展
顧客窓口になろうとしている。IP 化
を開設してエスカレーショ
状 況 」と題した 海 外 事 情 の 紹 介 。
ン対応やモニタリングを行
数 々の 調 査 データを 紹 介しつ つ 、
インタラクティブ・インテリジェンスのデイビット・フラー氏(左上)、シスコシステムズの井上 朗
氏(右上)
、富士通の小池隆康氏(左下)
、早稲田大学講師の港 宣也氏
の陰には、企業の意識変革も求め
られるのは間違いない。
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EXHIBITION
展示会
企業の旺盛なリプレース需要を受け
IP 対応から中小規模向けまで幅広くラインナップ
「第 4 回コールセンター/ CRM デモ&コンファレンス」では、出展スペースを例年の 1 フロアか
ら2 フロアに拡張したことで、前回を上回る約 140 社が集結。企業側の旺盛なリプレース需要を
受け、IP をベースにしたコンタクトセンター統合ソリューションがこれまで以上の活気をみせる一
方、中小規模市場向けソリューションの充実ぶりが目立った。
展示会では、PBX / UnPBX や
活用して、それぞれ音声と画像を駆
スが IP プラットフォームの ASP サー
IVR、CTIミドルウエアをはじめとす
使したリアルタイムコミュニケーショ
ビス「@nyplace」でコストメリットを
るコールセンタープラットフォームか
ンのデモを披露し、多数の人が詰
打ち出すなど、過熱ぶりをみせた前
化し FAQ として公開するまでのデ
24 やトランスコスモス、テレマーケ
ルセンターアプリケーションの「Te-
ら CRM アプリケーション、Web ソ
め掛けた。
回をさらに上回る活況を呈した。
モを紹介。さらにワークフォースマ
ティングジャパン、もしもしホットライ
leContact」、インテック・ウェブ・アン
ネジメントの分野では、オムロンソ
ン、NTT ソルコなどの大手テレマ
ド・ゲノム・イオンフォマティクスの中
フトウェア が W F M 支 援 ツ ー ル
ーケティング会社が野村総合研究所
小規模コールセンター構築用ミドル
「PrimeTime」を出展したほか、ボ
の「TRUETELLER」をはじめとす
ウエア「CTI-One」、イーステムの分
コールセンターの運用コスト削減
イスロギングやクオリティマネジメン
るマイニングツールを活用したデモ
散型コールセンターシステム「DCS」、
リューションまでの幅広いソリュー
IP ネットワークをベースにしたプラ
ションを含め、計約 140 社の出展を
ットフォームとしては、このほか、イン
集めた。
タラクティブ・インテリジェス が 、
前回に続いて注目を集めたのが、 「InteractionCenterPlatform」をベ
依然高い関心が寄せられた
音声認識や e セルフサービス
「CTstage4i」による IP ソリューションを打ち出す(沖電気工業)
新たに通販市場に訴求(NTT ソルコ)
音声、データ、IP などのマルチチャ
ースに「 C u s t o m e r I n t e r a c t i o n
の観点から、IVR の高度利用と位
トの分野では、ウイットネスシステム
を披露したほか、SI として伊藤忠
そして日本証券テクノロジーが開発
ネルを統合するコンタクトセンタープ
Center」を、岩崎通信機が SIP テレ
置付けられる音声認識/合成シス
ズの「eQuality」シリーズやアイティ
テクノサイエンスがジャストシステム
した Web ベースの CTI アプリケーシ
ラットフォーム分野。例えば、沖電気
フォニー・サーバー・システム「Net-
テムや e セルフサービス提供ツール
フォーが提供する通話録音システム
の「CB Market Intelligence」を、日
ョン「NSTechno-Phone Manager」
工業は、IP ベースのソフトスイッチモ
S p e a k 」を そ れ ぞ れ 披 露 。また
も注目を集めた。
本 IBM がアウトソーシングサービス
などの製品群。
デル機能を搭載したコミュニケーシ
「Genesys6」でマルチチャネル統合
音声認識エンジンはオムロンが
ョンプラットフォーム「CTstage 4i」、
分野をリードするジェネシス・ジャパ
「Nuance」を活用したデモを公開
シスコシステムズは 2003 年春リリー
ンもIPネットワーク対応の「Genesys-
する一方、音声合成エンジンベンダ
スした IP コンタクトセンターパッケー
IPContactCenter」を紹介したほか、
ー の アニ モ は 通 話 録 音「 V o i c e
ジ「Cisco IPCC ExpressEdition」を
日立インフォメーションテクノロジー
TrackingPro.」を利用して、外出先
「BroadChannel」シリーズをはじめ、
が シスコシステム
から顧客の生の声を携帯電話で聞
日本 ピープル ソフトの「 P e o p l e
ズ製の VoIP ゲー
くSFA ソリューションを披露。また、
S o f t C R M 」、日 本 ピ ボ タル の
こうした大規模コンタクトセンター
トウエ イや V o I P
アドバンスト・メディアが通話録音か
「PivotalCRM スイート」、プライムシ
向けに加え、今回際立っていたの
また例年同様、展示会場内 5 つ
ゲートキーパーを
ら認識、テキスト化までを自動化す
ステムが提供する「Onyx」といった
が、中小規模向けソリューションの
のワークショップ会場では、2 日間
基盤にした IP コン
る“通話認識”ソリューションとして
CRM パッケージ製品が展示された
充実ぶり。背景には、旺盛なリプレ
で合計 60 セッションのプレゼンテ
タクトセンターソリ
紹介した「AmiVoiceCallScriber」や
ほか、SAP ジャパンが 2003 年 10 月、
ース需要を受け、今年から来年に
ーションが開催。いずれの会場でも
ュ ー ション「 i C -
ニューズライン・ネットワークによる音
新体制でリリースしたコンタクトセン
かけて、製造業を中心に中小規模
IP、テキストマイニング、セルフサー
TNET」、NTT コ
声認識の ASP サービスなどに注目
ターパッケージ「SAP インタラクショ
コンタクトセンター市場が活気を取
ビス、中小規模センター構築などを
ムウエアが IP コン
が集まった。
ンセンター」のデモを行った。
り戻すのではとの読みがある。
テーマとしたプレゼンテーションが
先端ソリューションを求めて多数の人々が詰め掛けた
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Computer TELEPHONY
2004.1
タクトセンターのデ
一方、e セルフサービスでは三井
モをそ れ ぞ れ 公
物産が
「RightNoweServiceCenter」
開 、さらにコラボ
を活用し、Eメール受付をナレッジ
「NiceLog」などが展示された。
アウトソーサー・SI 各社が
「テキストマイニング」打ち出す
C R M 関 連 で は 、富 士 通 の
として、新たにスタートした「オンデ
また業務アプリケーション分野で
マンドテキストマイングサービス」を
は、マルチチャネル対応したテクマ
紹介するなど、活況を示した。
トリックスのヘルプデスクアプリケー
プラットフォームから業務アプリまで
中小規模向けが充実
ション「FastHelp2」やエイジアの E
メール 処 理 ソリューション「 W E B
CAS」シリーズなどの製品ラインナッ
プが揃った。
例えば、プラットフォーム分野で
展開され、当日展示ブースで改めて
テキストマイニングソリューションに
は、サイオンコミュニケーションズの
関心を寄せた受講者を含む多数が
スポットが当たった。ベルシステム
UnPBX システム「TelePCX」やコー
詰め掛けた。
さらに分析ソリューションでは、
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