オレゴン州の概況 - 在ポートランド領事事務所

オレゴン州の概況
-日本とオレゴン州の関係-
2014年6月
在ポートランド日本国出張駐在官事務所
概
要
○ 地勢と気候
北はワシントン州、東はアイダホ州、南はカルフォルニア州及びネバダ州と接し、西は太平洋に
臨み、中央部西寄りにカスケード山脈が縦走する。コロンビア渓谷とフッド山、クレーター・レイク
国立公園及びオレゴン海岸は観光地として有名。気候は高緯度(札幌より北)の割には温暖であ
るが、11月から5月にかけては雨が多い。気温は夏場で暑くて30℃ほど、冬場は寒いが2~
3℃ほどで氷点下になることはあまりない。
ヤキマ
スポーケン
ロングビュー
コロンビア渓谷
●ダレス
カスケード山脈
キャノンビーチ
フッド山
ボイジー
1
クレター・レイク国立公園
○ 沿革
オレゴン州の名は、かつてインディアンがオレゴンと呼んでいた河の名(現在のコロンビア川)に
よるもの。
1843年臨時政府創立。1853年には、北半分が切り離されて、後のワシントン州になる。1859
年2月14日連邦(Union)に加盟し第33番目の州になった。2009年は州誕生150周年。
【面積と人口】
面積
251,418平方Km
(全米第10位、日本の約65%)
人口
383.1万人
(2010年国勢調査)
州都
セーラム市(Salem)
人口15.5万人(2010年
国勢調査)
最大都市 ポートランド市(Portland)
人口58.4万人
(2010年国勢調査)
2
ポートランド市拡大圏の人
口は222.6万人
(2010年国勢調査)
【州の愛称とシンボル】
愛称 ビーバー・ステート
(Beaver State)
州花 オレゴン・グレープ(Oregon Grape)
州鳥 ウエスタン・メドウラーク
州木 ダグラス・ファー(俗称米マツ)
州魚 チヌーク・サーモン
太平洋岸で産する最大種のサケ。
キングサーモンと同種。
政
治
○ 民主党が優勢な州。ポートランド、セーラム、ユージン等都市部は民主党、地方は共和党が強い構図。
○ 州知事は1986年以降民主党が占めている。2010年11月の選挙ではキッツハーバー元知事(民主)が知
事への返り咲きを果たした。2012年11月の州議会選挙では上院で民主党が多数を維持、前回選挙で両党同
数となった下院では民主党が再び多数を奪還した。
○ 連邦議員については2012年11月の選挙で改選となった現職はいずれも再選を果たした。
○ 州議会
上院 任期4年(2年毎に半数を改選)定員30名(民主党16、共和党14)
下院 任期2年
定員60名(民主党34、共和党26)
(2012年11月選挙結果。新たな任期は2013年1月~。)
John Kitzhaber
(ジョン・キッツハー
バー)州知事(民主
党) 2011年1月就
任(任期4年)
奇数年のみ開催されていたが、2011年から偶数年も短期間開催されることとなった。
○ 連邦議員
・ 上院 任期6年 定員2名
民主党 Jeff MERKLEY 08年11月当選(任期:15年1月まで)
民主党 Ron WYDEN
96年1月当選、98、04、10年選挙で再選(任期:17年1月まで)
・ 下院 任期2年 定員5名(2012年選挙による新たな任期:2013年1月~15年1月)
1区 民主党 Suzanne BONAMICI (2期目)
2区 共和党 Greg WALDEN
(8期目)
3区 民主党 Earl BLUMENAUER (9期目)
4区 民主党 Peter DEFAZIO
(14期目)
5区 民主党 Kurt SCHRADER
(3期目)
○ ポートランド市長
Charlie Hales(チャーリー・ヘイ
ルズ)
(民主党)
2013年1月就任(任期4年)
3
経
済
○国際通貨基金(IMF)のデータによると、2011年度アメリカ国内総生産額(GDP)は約14.9兆ドル
であるが、そのうちオレゴン州は約1900億ドル(米国GDPの約1.2%)を占めている。業種内訳
を見ると製造業はこの中で約500億ドルと州内GDPの26%を占めている。製造業全体のうち、電
子・電気機器類の生産高が約80%を占めている。
2011年米国産業別GDP(単位:百万ドル)
2011年オレゴン州産業別GDP (単位:百万ドル)
不動産業,
1,898,813, 13%
その他, 7,023,553,
46%
その他, 62,370,
33%
製造業, 1,731,466,
11%
保険業, 1,159,310,
8%
小売業, 905,718,
6%
不動産業, 23,676,
13%
農林水産業,
3,451, 2%
運搬業及び倉庫業,
4,699, 2%
卸売業, 845,060,
宿泊業及び食品業,
6%
4,776, 2% 建設業, 6,226, 3%
建設業, 529,545,
運搬業及び倉庫業,
3%
小売業, 9,032, 5%
447,913, 3%
保険業,
卸売業, 14,432, 8%
10,725,
6%
Source: U.S. Department of Commerce Bureau of Economic Analysis. “ Gross Domestic Product by State”.
4
農林水産業,
173,523, 1%
宿泊業及び食品業,
443,096, 3%
製造業, 49,594,
26%
経
済
○ オレゴン州は、従来、林業、農業、観光業等を主要産業としてきたが、1980年代中頃よりハ
イテク産業が急成長し、2000年初頭は世界的な半導体不況のため低迷。その後一時は回復
するものの、最近の景気後退により雇用を削減。州政府は再生可能エネルギー産業を対象に
税額控除などの施策を講じる等、環境関連産業の振興・育成を図り、雇用増加を目指す。
製造業
80年代中頃より、シリコン・ウェハー、半導体等のハイテ
ク企業の進出が著しく、ポートランド近郊は「シリコンフォ
レスト」、「ハイテク・コリドー」と呼ばれる。
インテル、テクトロニクス等を始めとする米国企業に加
え、信越半導体(SEH)、シャープ等の日系企業が、半導
体及び関連製品の製造を行っている。
また、ナイキ及びコロンビア・スポーツの本社、アディダス
の北米本部などポートランド近郊にスポーツ用品メー
カーが集中。
農業
林業
ウイラメット盆地(Willamette Valley)の肥沃な土地は、
豊富な降水量や温暖な気候と相まって格好の農地。野
菜、果実、牧草種子、花卉等を栽培。
オレゴン州は、米国有数の森林地帯。
森林面積は州面積の約半分を占め、州の木材生産高は
2007年時点で全米の針葉樹木材生産の18%。
また、カスケード山脈の東側の乾燥地帯では、広大な農
地を利用した小麦作や畜産が盛んに行われ、農業・畜
産業は林業についで重要産業。
(近年、環境保護運動の高まりから、連邦林の伐採が制
限されており、林産地域に対し連邦より助成金が支給。
08年10月米金融安定化法に本助成金4年延長が盛り込
まれた。)
5
農業販売額の構成をみると、穀物、野菜及び牧草種子
等の作物が45%、家畜酪農関係が30%、園芸樹木等
が25%となっている。
貿
易
○ オレゴン州からの主要輸出品目は、電子・電気、機械類、穀物となっており、近年電子・電気機
器類の占める割合が向上。
○ 日本は、オレゴン州の重要な輸出先であり、12年はカナダ、中国、マレーシアに次ぐ4位(農産
品については第1位(12年約7.4億ドル))。オレゴン州からの対日輸出主要産品は、農林水産
物(主に小麦)が約49%、化学肥料が約14%、電子・電気機械類が約11%となっている。
○ 州内外で生産された穀物がポートランド地区に集積され、特に日本向け米国産小麦は毎年全
量(約300万トン、日本の小麦の消費量の約半分)がポートランド地区を含む北西北太平洋岸
地域から船積みされている。
○ 日本からの自動車(部品含む)陸揚げ港として、ロサンゼルス港、ニューアーク港に次いで全
米で第3位(全米シェア約12%)となっている。
○ 1972年にポートランド空港・港湾局駐日代表部、1984年にオレゴン州駐日代表部が東京都
港区に設置されている。
2012年
対日輸出品目割合
オレゴン州輸出総額
183.1億ドル
中国
26.6億ドル
カナダ
29.8億ドル
マレーシア 19.5億ドル
日本
15.8億ドル
韓国
11億ドル
食料加工品
1%
輸送機器関連
その他
品
12%
3%
木材
10%
電子・電気機器
類
11%
農林水産物
49%
化学肥料
14%
※WISER Tradeを元に作成
6
※その他は機械部品、自動車部品等
日系進出企業
○ 日系企業の当地進出は、戦後まもなく始まり、小麦、木材輸出業務のため早くから進出して
いた商社をはじめ、80年代中頃以降、インテル最大の工場がポートランド近郊にあることから
半導体関連企業等も進出。2013年10月現在103社(WA州バンクーバー地区を含む)。
日系進出企業の業種
製造業
半導体、食品、インクカートリッジ
など
39%
商業
商社(穀物、木材、スポーツ用品)な
ど
38%
サービス業、輸送業その他
すし、通関業務など
23%
7
外資の投資状況と雇用者数
○ 対オレゴン州の日本の投資状況は、約5,100人の雇用を創出。設備投資額としては、10億3千万
ドルとなっている(2010年現在。米国商務省より)。
○ 雇用数の多い外国企業上位25社のうち10社が日系企業(The Book of List 2009(ポートランドビ
ジネスジャーナルより))。
2. 外資系企業による設備投資額
1.外資系企業による雇用数
(単位:千人)(2010年値)
国
雇用数
イギリス
ドイツ
日本
スイス
フランス
カナダ
オランダ
その他
計
その他
22%
オランダ
4%
8.1
8.1
5.1
3.8
3.1
2.8
1.7
9
41.7
シェア
19.42%
19.42%
12.23%
9.11%
7.43%
6.71%
4.08%
21.58%
100.00%
国
カナダ
ドイツ
(単位;百万ドル)(2007年値)
金額
シェア率
2,172
21.42%
1,686
16.62%
日本
イギリス
オランダ
フランス
その他
合計
1,033
355
180
170
4,546
10,142
10.19%
3.50%
1.77%
1.68%
44.82%
100%
カナダ
21%
イギリス
19%
その他
45%
カナダ
7%
フランス
8%
ドイツ
17%
ドイツ
19%
スイス
9%
日本
12%
イギリス
3%
Source: Bureau of Economic Analysis, US Department of Commerce. “Foreign Direct Investment in the US Financial and Operating Data for US Affiliates of Foreign Multinational
Companies. Employment by State and Country 2010/ Gross property, and Equipment by State and Country 2010”
Note: The availability of data on individual countries are limited to that of the above mentioned source.
8
フラン
ス オランダ
2%
2%
日本
10%
対日関心・対日交流
○ 長い対日交流の歴史、日系人の活躍、緊密な経済関係などにより、オレゴン州と日本及び日
本人との関係は深い。
○ オレゴン州出身のラナルド・マクドナルド氏は1848年に渡日し、日本で最初のネイティブ英語
教師となる。日本人初のオレゴン州への移住は1880年。在ポートランド総領事館は1900年に
領事事務所として設立され全米で6番目に長い歴史を有する(2013年1月より駐在官事務所に
移行)。
○ オレゴン州は富山県と姉妹州県関係(2011年は20周年)。日本とオレゴン州の姉妹都市関
係は現在22都市。最も長いポートランド市と札幌市との関係は1959年以来、活発な相互交流
が続いている(2014年に55周年を祝い両市長の相互訪問が行われる予定)。
日本
オレゴン州
締結年月日
富山県
Oregon
1991年10月19日
喜多方市(福島県)
札幌市(北海道)
Portland
1959年11月17日
袋井市(静岡県)
Hillsboro
1988年11月3日
紋別市(北海道)
Newport
1966年4月8日
入善町(富山県)
Forest Grove
1989年5月12日
積丹町(北海道)
Seaside
1966年5月17日
岩見沢市(北海道)
立科町(長野県)
Oregon City 1974年9月4日
大阪狭山市(大阪府) Ontario
Wilsonville
Canby
1988年10月17日
1989年7月19日
久喜市(埼玉県)
Roseburg
1993年10月18日(菖蒲町と開始)
1974年10月27日
吉川市(埼玉県)
Lake Oswego
1996年5月26日
1977年5月20日
南相馬市(福島県)
江別市(北海道)
Gresham
鶴田町(青森県)
Hood River 1977年7月27日
朝来市(兵庫県)
Newberg
2000年7月30日
掛川市(静岡県)
Eugene
1979年8月3日
三好市(徳島県)
The Dalles
2003年1月18日
銚子市(千葉県)
Coos Bay
1983年2月10日
東御市(長野県)
Madras
川越市(埼玉県)
Salem
1986年8月1日
山県市(岐阜県)
Florence
Beaverton 1987年10月22日
1998年10月25日
2005 年6 月24日
2005 年8 月22日
9
御殿場市(静岡県)
Pendleton
○ 当地の「オレゴン日米協会」はボストン、サンフランシスコに次いで1907年設立の長い歴史を
有し、文化、教育、人物交流等の分野で日米親善に大きな役割を果している。2007年は100
周年を祝賀。
○ オレゴン州のオレゴン大学、ポートランド州立大学、ウィラメット大学、ルイス&クラーク大学、
オレゴン州立大学等の大学及び研究機関には日本関係・日本語講座が開設されている。また日
本研究者・留学生の交流を目的とする姉妹校関係が樹立されている(日本人留学生約860
人)。
○ オレゴン州は人口当たりの日本語学習者数はハワイ州に次いで第2位。日本語イマージョン教
育(日本語で各科目の授業を行う教育)を提供する学校数は7校と全米最多である。
日本語スピーチコンテスト
平成元年より総領事館主催で毎年開催。近年では毎年4月にポートランド世界貿易センターで開催している。オレゴン
州の中学・高校・イマージョンプログラムの学生が多数参加。家族や友人、日本語教師等多くの観客の前で、日本語によ
るスピーチを披露。
オレゴン州の姉妹県である富山県がオレゴン日米協会に委託した富山カップ日本語スピーチコンテストも大学生を対象
に毎年開催されている。
10
在留邦人及び日系人
○ オレゴン州内の在留邦人
6,274人(長期滞在者2,284、永住者3,990(2011年10月現在))
※ ワシントン州クラーク郡を含んだ場合 7,098人(2009年10月現在)
長期滞在者(本邦企業関係の駐在員、留学生、研究員とその家族)のうち約70%はポートラ
ンド市及び同近郊に在住。
○ 日系人
州内の日系人は約12000人(2000年国勢調査)とされている。二世世代は現役を退いた人
が多く、三世、四世への世代交代が進んでいる。最近は米国人との婚姻等により、米国籍を取
得し永住するいわゆる「新一世」が増加している。
日本人・日系人コミュニティー
日本人関係
ポートランド日本人商工会
(Shokookai of Portland)
当地進出の日本企業の
関係者がメンバーで201
4年6月現在、会員数68
社(247名)、他に賛助会
員31社。
日系人関係
ポートランド日本人補習授
業校(Portland Japanese
School)
ポートランド日系人会
(Japanese Ancestral
Society of Portland)
通称「日本人学校」と呼ば
れ、生徒数は2014年5月
現在、小、中、高、幼稚部全
体で362人。日本人商工
会が運営。
日系市民の相互交流に
よる社会的発信力向上
と福祉増進及び日米親
善。会員約300人。
日系米国人市民連盟
(Japanese American
Citizens League)ポート
ランド支部
日系市民の政治的、社会
的地位の向上、福祉増進
及び日米親善を目的とす
る全米組織の一部。 会
員約480名。
11