ビジネスを変革して オムニチャネルを成功させる方法

コマースを発展させるための10 のステップ
ビジネスを変革して
オムニチャネルを成功させる方法
3
ステップ 01:
ビジョンの創出
4
ステップ 02:
開始前の目標定義
6
ステップ 03:
製品リーダーおよび変更管理リーダーの任命
10
ステップ 04:
人材の維持
12
ステップ 05:
的確な理由でのパートナー選択とチャネルコンフリクトの回避
14
ステップ 06:
カスタマーエンゲージメントのベストプラクティスの採用
16
ステップ 07:
長期的なニーズを満たすテクノロジープラットフォームの選択
19
ステップ 08:
他社の強みに対抗するためでなく、自社の弱点に対処するためのロードマップの活用
22
ステップ 09:
アーキテクチャーに基づいてスケジュールを決定(その逆にあらず)
25
ステップ 10:
イノベーションと知的財産を社内に確保
27
業界の異端児になる
29
Page 2 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
エグゼクティブサマリー
エグゼクティブサマリー
デジタル時代における変革には、
2 つの重要な要素が欠かせません。 1つはテクノロジーに関する要素です。B2C 市場とB2B 市場の両方で、高度にモバイル化され多忙な日々を送る顧
客層が新たに出現する中、
この層の顧客に対して接触と販売を図っていくためには、新しいテクノロジーを順次取り
入れていかなくてはなりません。
もう1 つは人的な要素で、特に変化に関連しています。これは往々にして軽視されがちなものです。将来性の高い効
率的な e コマースプラットフォームの計画と導入を滞りなく進めていくためには、社内全体からの賛同を集め、社員
のスキルを生かす必要があります。これは IT 部門だけの問題ではありません。計画、
プロジェクト管理、採用、外注
に真剣に向き合うことが必要不可欠です。
このホワイトペーパーでは、
デジタル変革に向けた 10カ条のベストプラクティスをご紹介しており、革新的かつ斬
新で、顧客に合った商品やサービスの提供を支援するためのものです。今、
このような商品やサービスが、新たな標
準となっています。
Page 3 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
いつでも利用可能な新しいオムニチャネルコマースの世界が急速に広がる中、
これに適合できるように企業を変革
していくためには、周到なアプローチによる変更管理が欠かせません。
ステップ
STEP 01: ビジョンの創出
組織とそのメンバーを前進させていくためには、
リーダーはビジョンを作り上げる必要があります。ビジョン
とは、集団としての前途に対する認識であり、未知のものへの恐怖心を上回る存在です。スティーブ・ジョブ
ズ(Steve Jobs)氏は、
ビジネスの歴史において、
アップルの革新的製品を通じて世界を変革したビジョナリー
としての評価が確立されています。その変革をもたらす上でジョブズ氏は、
メモリーやバッテリーの駆動時
間など、
製品の技術的要素について訴求したわけではありません。そうではなく、
人々の欲求に結びつくフレー
ズを利用しました。
「1,000 曲をポケットに」
という言葉で、使いやすさ、必然性、満足感を利用者に約束しま
した。
ビジョンの原則は、
デジタル変革にもそのまま当てはまります。未来に目を向けている企業は、自社の競合
企業の中にもたくさんあります。こうした企業は、ビジョンの確立と実現に向けた投資を進めています。
Forrester 社、Accenture 社、ハイブリスの調査レポートによると、調査対象の B2B 企業 526 社の内の 80%
以上は、eコマースプラットフォームの導入、
アップグレード、投資計画を進めていました。
eコマース
プラットフォーム
エンタープライズ
リソースプランニング
(ERP)
オーダー管理
システム
製品情報管理
(PIM)
データ管理
およびアナリティクス
顧客管理システム
(CRM)
社内の IT 部門が
開発と保守を行っている
カスタムソリューション
「Building The B2B OmniChannel Commerce Platform Of The Future」
、Accenture 社および Hybris software 社の依頼を受け、Forrester Consulting 社が 2014 年に実施した調査
1
POSシステム
mPOS
(モバイル POS)1
Page 4 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
その対象には次のようなものがあります。
このような変化を実現するためには、集団としてのビジョンに対する認識が必要です。つまり、近い将来に会社がどのような状態にありたいかという構
想です。その際には、
周辺で生じることもすべて考慮に入れる必要があります。このビジョンが固まれば、
「なぜ」の質問への答えがまとまります(
「なぜ我々
に変化が必要か」など)
。さらに、
「どのように」の質問にもつながっていきます(
「どのように変化すべきか」など)
。
アクション項目:
今から5 年後に、自社がどのようになっていれば理想的か?
自社が競合他社をリードできる特長があるとすれば何か?
今から10 年後に、自社がどのようになっていれば理想的か?
現在の課題のうち、新しいビジョンを通じて解決するものは何か?
顧客にどのような種類の体験をしてほしいか?
Page 5 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
自社のビジネスについて、
そして顧客対応の方法について、改めて考えてみてください。
ステップ 02: 開始前の目標定義
ビジョンを確立したら、次は、
オープンかつ率直なコミュニケーションを通じて、構想のアウトラインを明確
に提示する必要があります。これは、
デジタル変革を進める過程において社内で生じる課題に対処するた
めに必要です。実際の変革に着手する前に、以下を実施してください。
自社の市場と、
その今後について
どのように認識しているか、
概略をまとめる。
2.
自社のオムニチャネルの目標 について
話し合い、包括的に説明した文書を
作成する。
3.
投資が正当であることを示す
ビジネスケースを作成し、
成功したときの状態を定量化する。
Page 6 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
1.
アクション項目:
今後 2 ~ 5 年で到達したい場所
そこに到達するために必要なもの
それに取り組んでいる理由
これがビジネスと従業員にもたらす効果
その過程で変化すること
成功の主な要素
自社がデジタルの未来に対するチャンスを逸するわけにはいかない理由
何もしなかった場合に生じる損害
Page 7 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
計画を伝え、
チーム全体を教育するための資料を作成します。その際、以下の情報を盛り込みます。
新しいプラットフォームを計画するときの主な検討事項
これらの検討事項は、当社の e-book「Key Questions to Include in an E-Commerce Platform RFP」を基にしています。 このプラットフォームは、オムニチャネルコマースの基盤になるか? 他のシステムとの統合は可能か?
このプラットフォームの今後 5 年間の TCO(総所有コスト)はどの程度か? ベンダーは将来のアップグレード費用を保証する意向があるか?
このプラットフォームは、最初からグローバル向けに設計されているか? それとも、特定の市場や地域向けか?
オンプレミス、ホスト型、オンデマンド(SaaS)など、
どのような展開方法を使用できるか? 別の展開方法への移行は簡単か?
この eコマースプラットフォームでは、
スマートフォンやタブレットなど、新しい顧客接点や今後登場する顧客接点との統合を
どのように実現できるか?
ビジネスユーザーが IT 部門の助けを借りずに e コマースプラットフォームの設定や更新を行える機能として、
どのようなものがあるか?
どの程度の頻度でアップグレードが発生するか?
単一のコードベースを基盤として作成されている機能は何か? オープンな業界標準を基盤としているか?
この e コマースシステムには、構造化データと非構造化データの両方を管理するためのプロセスがあるか?
このホワイトペーパーをご希望の方は、[email protected]までメールでお問い合わせください。
Page 8 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
e コマースプラットフォームの導入は、通常は誰が担当するか?
検討が必要なキーコンセプト
これらの検討事項は、当社の e-book「Building an ROI model to Evaluate Your B2B E-Commerce Initiative」を基にしています。
ビジネスメリットの総額とTCO を勘
案して投資回収率(ROI)を判断する。
そして、5 年間の ROI について、さま
ざまなレベルの成長や成功を想定
しながら、それぞれのケースの結果
を評価する。
以下の重要な機能を発掘する。
コスト削減と収益増の効果を何倍に
も高めるものとして、
「市場投入のス
ピード化」を考慮する。
コスト削減の効果を特定する。
• リアルタイムの在庫管理と価格設定
• 正確かつ詳細な製品情報
• 既存のプロセスへの準拠
• 成功を収めている
消費者向け機能の踏襲
• 拡張性
• 柔軟性
このホワイトペーパーをご希望の方は、[email protected]までメールでお問い合わせください。
収益増の効果を特定する。
Page 9 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
• グローバル対応の機能
ステップ 03: 製品リーダーおよび変更管理リーダーの任命
従来は、
プロジェクトの責任の割り当てに関して、
経済的な方法を取る企業が多くありました。営業部門やマー
ケティング部門には要件を割り当て、IT 部門には導入を割り当てるという方法です。しかし、
その方法では組
織の縦割り構造を打破することはできません。むしろ、文化の中でそれが固定化されてしまいます。
44%
Forrester 社、Accenture 社、ハイブリスのレポートでは、組織でのオムニチャネル戦略の導入を妨げている
障壁が明らかになっています。それは次のような内容です。
チャネル横断でバックオフィステクノロジーを
統合するのが困難
42%
40%
配送パートナー、
フランチャイズ、
卸売顧客による制約
36%
各チャネルを担当する部署間の
意見の不一致
32%
従業員のスキルによる制約
31%
社員または経営陣の抵抗
「Building The B2B OmniChannel Commerce Platform Of The Future」
、Accenture 社およびハイブリスソフトウェア社の依頼を受け、Forrester Consulting 社が 2014 年に実施した調査
2
33%
業務指標とインセンティブ制度が未導入、
または導入・運用が困難
Page 10 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
チャネル、国、場所を横断して顧客データや
分析結果を共有するのが困難
オムニチャネル変革を成功へと導くには別の戦術に従い、組織の縦割り構造を最初から打破することです。そのためには、以下を実現できるリーダー
を見つけて擁立することです。
従来のやり方から決別できる
人々の意欲を引き出せる プロジェクトを守ることができる
すべてを軌道上に維持できる
重要なのは、
プロジェクトへの責任を持ち、変更の計画、伝達、管理の方法を心得ている人をリーダーに任命することです。
アクション項目:
エンドツーエンドのユーザー体験の責任は、
営業またはマーケティングのリーダーに割り当てる
スキルや能力のギャップを特定し、役職を補充する人材を
できるだけ早く確保する
全体的な変更管理の責任は、
ITリーダーまたはプロジェクトマネージャーに割り当てる
チームメンバーに、ふだんの慣れ親しんだ領域から一歩を踏み出させ、
オムニチャネルオペレーションの成功に必要な文化の発展を促す
既存の従業員に対するトレーニングのニーズを特定する
Page 11 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
デジタル構想の取り組みに向けて、営業、マーケティング、オペレーション、人事、法務、財務、顧客サービスなど、
さまざまな部署のステークホルダーを含
む部門横断型のチームを編成します。 ステップ 04: 人材の維持
オムニチャネルに対応可能な人材の需要量は、
その供給量を大きく上回っています。きわめて優秀な人材が、
「稼働」から数カ月足らずで他社に引き抜かれていくのは、手痛い事態と言えます。
Page 12 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
変革の中では、個人とグループの短期的および長期的な懸念を考慮に入れながら、順を追ってステップを
進めていくことになります。それには、人材維持のための強力なインセンティブ計画が必要です。
アクション項目:
重要な人材を維持するための計画を策定します。
社内のトップクラスの人材のモチベーションを刺激するものは何か?
成績優秀な人材のためのキャリア開発計画を作成し、本人にも伝える。
既存の従業員に対し、サンプルのトレーニング予算と機会を提示する。
優れたパフォーマンスに対して報酬を与える方法を特定し、
その方法を
選んだ理由を説明する。
個人およびプロフェッショナルとしての継続的な成長のために、
どのような機会を与えるか?
Page 13 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
トップクラスの人材のモチベーションを知るために、
どのような手法を利用しているか?
(または利用する必要があるか?)
ステップ 05:
的確な理由でのパートナー選択と
チャネルコンフリクトの回避
コストを最も抑えられるという理由だけでパートナーを選ぶことは不経済の元であり、最終的にはかえって
高くつくものです。最大限の成果をもたらす可能性が最も高いパートナーを選ぶようにしてください。これは、
値段が最も安いリソースを探し出すという行動ではなく、理想的な ROI を得るための行動です。
自社が扱う分野や業界での
経験が豊富
長期的なパートナーとして
協力する意向がある
文化にうまく適合する
顧客が期待していることを
理解している
自社のベストプラクティスを把握し、
それを強化する
チャネルコンフリクトの
回避に動く
Page 14 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
有力な候補:
顧客獲得競争は、チャネル内のすべてのサプライヤーを巻き込んだ競争へと拡大しています。CMS Wire の記事の中で、Forrester Research 社のア
ナリスト、
アンディー・ホアー(Andy Hoar)氏が紹介している調査結果によると、自社の卸売業者、
ディストリビューター、サプライヤーと直接競合して
3
いる企業は 41% に上ることが分かりました。
アクション項目:
適切な技術的専門知識があるか?
ユーザー体験の構築に関して先方はどのような専門知識を持っているか?
文化にうまく適合するか?
先方と自社とでビジョンの方向性が合致しているか?
チームで共に作業しているのはだれか?
「Don’t Wait to Jump into B2B E-Commerce」
、CMS WiRE、www.cmswire.com 3
Page 15 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
適切なパートナーの選択に役立つチェックリストを作成します。
ステップ 06: カスタマーエンゲージメントのベストプラクティスの採用
B2B 市場でも B2C 市場でも、エンゲージメントの実践に関して顧客が期待するレベルは、わずか数年前な
ら許容されたであろうレベルをはるかに上回っています。
オンラインでの参照、比較、
購入の利便性向上
明確に
パーソナライズ
された体験
簡単なアカウント管理
明快な配送オプション
カスタ マ ー ジャー
ニ ー 全 体 を 通じた
トップクラスのサー
ビス
(特にアフター
サービス)
Page 16 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
具体的には次のような部分です。
B2B の顧客の多くは、B2C サイトでは何年も前から広く導入されている機能が B2B では見られないことに苛立ちを感じています。特に、最近の B2B が
小売の約 3 倍のペースで成長していることがその背景にあります。3
アクセンチュアとハイブリスの依頼により、
カナダ、米国、英国、
フランス、
ドイツの 930 の買い手を対象として Forrester Consulting 社が実施した最近
の調査 4 の結果、買い手がサプライヤーに特に求めている3 つの機能が明らかになりました。
具体的には次のような内容です。
Web サイトの
検索機能の強化
58%
製品やサービスの評価と
レビューの機能
「The Forrester Wave™ : B2B Commerce Suites」
、2013 年第 4 四半期、Forrester Research 社
3
「Building The B2B OmniChannel Commerce Platform Of The Future」
、Accenture 社および Hybris software 社の依頼を受け、Forrester Consulting 社が 2014 年に実施した調査
4
50%
顧客別製品提案機能や
サービス提案機能の強化
Page 17 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
60%
アクション項目:
対象の顧客ベースが小売と業界のどちらであっても、
カスタマージャーニーマップを作成し、最適なユーザー体験を判断します。
顧客の期待のさらに上を行く計画を作成する
定義済みの KPI を利用して計画の成否を監視する
計画の遂行と、
その継続的な成功に向けた責任者を割り当てる。
これには以下を含む
利便性:顧客が製品やサービスに簡単にアクセスできる
すべてのチャネルを通じた製品のラインナップや体験の一貫性
関連性:高度にパーソナライズされた体験
エンパワーメント:顧客のパワーを認め、受け入れる
俊敏性:データとアナリティクスを利用し、
市場のニーズの変化についていく
Page 18 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
インタビュー、オンラインフォーム、
ソーシャルメディアで顧客のニーズと
期待を把握する
ステップ 07:
長期的なニーズを満たす
テクノロジープラットフォームの選択
人材への投資では、長期的な視点を持ち、最も低コストな解決策への飛びつきを回避することが求められ
るように、
テクノロジープラットフォームへの投資についても同じことが言えます。
ビジネスニーズが変
化したときも、刷新
や置き換えが不要
で、ニーズに合わせ
て進化できる
名実ともに TCO を
削減できる
多種多様なサード
パーティーアプリケー
ションと統合できる
将来のテクノロジー
とも統合できる能
力を持つ
社内の別のシステ
ムと統合するため
の API が充実して
いる
グローバルな展開を デジタルコマースの
ネイティブにサポー ための製品コンテン
トしている
ツ管理と受注管理の
ソリューションを取
り入れている
Page 19 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
ほかのビジネスから切り離されたままの単なるオンラインチャネルではなく、
オムニチャネルコマースの基盤
となるプラットフォームを構築するためには、次のような機能が求められます。
アクション項目:
RFP の草案作成に入る前に、
利用可能なソリューションを調査する時間を取る
RFP の構成、草案作成、承認のプロセスでは、
複数の部署の代表者を交えて行う
RFP を作成するプロセスの中で、ベンダーやアナリストと話をする
最低価格の提案について、
その受入れに関するポリシーを確立し、
コストベネフィット分析や SWOT 分析を考慮に入れる
長期的な視点を意識して検討する
(例えば 10 年以上)
Page 20 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
導入を成功へと導く土台となるように、ベンダー RFP を構成します。RFPとは、候補のベンダーに対する単なる提案要求ではありません。適切に構成され
た RFP は、
プロジェクト計画の基盤としての役割を果たし、成果物と基準を示すものとしても機能します。適切な質問と判断基準が RFP に含まれているこ
とは、eコマースの導入を成功に導く上でプラスになります。具体的には次のような項目です。
全員の生産性向上を実現
Page 21 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
新しい効率的なプロセスや機能を利用する人を、一部の社員のみに限定してはいけません。
社内の全員が利用できるようにして、革新や効率化の向上が有機的に(相互に密接に関連し、
統一性を持って)行われるようにする必要があります。
ステップ 08:
他社の強みに対抗するためでなく、
自社の弱点に対処するためのロードマップの活用
eコマースプロジェクトに着手するときに、
目標を次のように定義する企業は数多くあります。
「当社のビジョン
は簡単です。Amazon.com のようなサイトを作りたい、
ということだけです」
。これは、独創性に欠けるばかり
か、失望を招くのは必至です。
確かに、Amazon のサイトは先駆的で斬新です。しかしこれは、同社自身のニーズに合わせて進化してきた
結果です。他社には決して完全に適合しません。
「当社は Amazon.comと同じように考えたい」
という表現
の方が適切と言えるでしょう。なぜなら、
Amazon の成功を導いた要因は、同社自体のサービスではなく、
ジェ
フ・ベゾス
(Jeff Bezos)氏とそのチームが問題にどのようにアプローチしたかという方法の部分にあるから
です。
最初の段階では、次の 2つの主要領域に力を入れてください。
最も根本的な部分の弱点を
修正する
(例えば、製品データと
製品コンテンツ管理システムの整理)
小さいながらも目に見える
付加価値機能を実現する
(例えばアポイントメント予約サービスなど)
Page 22 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
成功を導くロードマップにするためには、現実性と謙虚さを備えている必要があります。
ベンダーが統一プラットフォームを実現したと誤って思い込んでいる場合に起こり得る事態は、Forrester 社の最近のレポートでも
取り上げられています。統一プラットフォームを実現したと思っていても、実は部分的な成功を実現したにすぎません。
主に、最初の顧客獲得のフェーズに関するものです。主な不足項目には次のようなものがあります。
ベンダーの機能のギャップ
カスタマージャーニーを
単なる顧客獲得と誤解 6
サードパーティーのツールが不十分
「The Forrester Wave™ : Digital Experience: Delivery Platforms, Q3 2014」
、Stephen Powers、Mark Grannan、Anjali Yakkundi(2014 年 7月22日)
6
顧客は
ワンストップショップを
求めているという
誤った思い込み
Page 23 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
システムへのツールや
製品の統合が不十分
アクション項目:
オムニチャネル変革は、最終目的地ではなく、
ずっと続く旅路だと考えてください。
チーム内や会社のエグゼクティブとの間で、
明確かつ現実的な期待を確立する
Page 24 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
継続的な取り組みを反映し、ボトムアップで順を追って
1 つずつ価値を実現できるロードマップを作成する
ステップ 09:
アーキテクチャーに基づいてスケジュールを決定
(その逆にあらず)
Page 25 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
基盤がしっかりしていないと、
オムニチャネルビジネスは失敗するおそれがあります。よくあるのは、
「ブラッ
クフライデーまでにクリックアンドコレクトサービスを稼動できるように、必要なことは何でもする」
というア
プローチの仕方です。短期的には成果が得られるかもしれませんが、長期的な価値を構築できることはま
ずありません。効果的なプロジェクト管理のためには、目標を達成するまでのプロセスを完全に理解する必
要があります。それが期限に一致すれば好都合ですが、成功の素は、期日に向かって進むことにあるのでは
なく、目標に向かって取り組むことにあります。
アクション項目:
プロジェクトにプロジェクト管理を適用します。
期限を確定する前に、長期的なビジネス目標を実現可能な
参照アーキテクチャーを作成する。
そのアーキテクチャーに基づいて期限を決める
Page 26 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
導入プロジェクトにプロジェクトマネージャーを割り当てる。
対象の領域について正式な指示を受け、
プロジェクトに初日から
参加している人をあてる
ステップ 10: イノベーションと知的財産を社内に確保
最終的にほとんどの企業が、
オムニチャネルアプリケーションを運用してイノベーションを実現していくた
めには、社内にコーディングの技術が必要だということを認識します。サポートの役割を外注することは効
果的ですが、
プロジェクトの中核部分は社内にあることが望まれます。
しかし、
それは必ずしも実現可能とは限りません。そこで次善の策は、信頼の置ける優秀なパートナーのネッ
トワークを利用することです。これは、社内のさまざまな意思決定者を交じえて、重要な戦略的一手として取
り組む必要があります。ハイブリスの依頼を受けて Forrester 社が作成した 2013 年の提言文書でも、次の
ように記載されています。
我々がインタビューした B2B 企業各社も、世界レベルの組織構築で手腕を発揮できる e コマースの優秀な
人材を採用することには大きな課題が伴うと明言していました。あるB2B 向け eコマース企業のエグゼクティ
ブは次のように述べています。
「このような人材は簡単には手に入るものではありません。成功を収めてい
る B2B 向け e コマース事業からの勧誘は難しく、
ましてや成功している B2C 企業からの勧誘となると、
さら
に困難です」7
「Online And Mobile Are Transforming B2B Commerce」
、Forrester 社、2013 年
7
Page 27 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
規模拡大のためには、パートナーの強固なエコシステムを導入する必要があります。システムインテグレー
ターから、
デジタルエージェンシー、社内外での主要ロールの広範囲なスタッフに至るまで、B2B 企業は、e
コマースのオペレーションに関する効果的なエコシステムを構築しなくてはなりません。しかし、
そのような
オペレーションを構築するためには、Cレベルのエグゼクティブからまとまった規模の資金援助を確保する
ことが、たいてい必要となります。その部分の作業を過小評価してはいけません。
アクション項目:
社内のチームメンバーで、導入プロジェクトに適任と思える候補者を
特定する
自発的な指導と委任のポリシーを確立し、経験の浅いエンジニアが
導入パートナーの下で学べるようにする
(社内と外注先の両方)
それらのチームメンバーに対し、十分なトレーニングと
管理を与える
外部契約業者のルールと役割を明確に定めたプロジェクトポリシーを
作成する
Page 28 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
社内の開発者チームを最初の導入時に結成します。
業界の異端児になる
Page 29 // ビジネスを変革してオムニチャネルを成功させる方法
昔も今も、ビジネスで肝心なのはイノベーションと前進です。しかも、現在その競争はますます激化しています。こ
の 10 のステップガイドで見てきたように、テクノロジーのイノベーションとは、新しいウィジェットを購入しただけで
実現できるものではありません。Cレベルのエグゼクティブも含む会社全体で取り組む姿勢、卓越したプロジェクト
管理のスキル、
さらに賢い人材採用および外部委託における戦略が求められます。それがあって初めて、財務面と
思考面の俊敏性を常に確保し、
その恩恵を受けることが可能になります。ビジネスに求められる新たな要件や顧客
の期待に応え、
その上を行くためには、財務面と思考面での俊敏性が必要となります。異端児になるということは、
現在および将来のニーズに合わせて手順を変化させることです。それはまずは社内の考え方から始まり、次第に外
部へと広がっていくものです。自社が業界の異端児にならなければ、
その座を他社に奪われるのは必至です。
About SAP Hybris
SAP Hybris enables businesses to transform how they engage with customers, innovate how they do business, and simplify their technology landscape. With a comprehensive approach
to customer engagement and commerce, our solutions unlock opportunities to optimize your customers’ experience and transform your business. We help you drive relevant, contextual
experiences across all of your customer touch-points in real-time, so that you can create strong differentiation and build competitive advantage in the Digital Economy. SAP Hybris has helped
some of the world’s leading organizations transform themselves in response to changing market conditions and customer expectations – delivering exceptional experiences, adding new
channels, evolving their business models, and entering new markets. How can we help you?
Explore SAP Hybris solutions today. For more information, visit www.hybris.com.
© 2016 SAP SE or an SAP affiliate company. All rights reserved. No part of this publication may be reproduced or transmitted in any form or for any purpose without the express permission of SAP SE or an SAP affiliate company. SAP and other SAP
products and services mentioned herein as well as their respective logos are trademarks or registered trademarks of SAP SE (or an SAP affiliate company) in Germany and other countries. All other product and service names mentioned are the
trademarks of their respective companies. Please see http://www.sap.com/corporate-en/about/legal/copyright/index.html for additional trademark information and notices.