Bulletin 5月号PDFファイル

COLONNADE
特集
AG 2 015 建築祭・保存問題東京大会 ( 予告)
・アーキテクツ・ガーデン 2015 建築祭
構想建築設計研究所 上浪 寛/山下設計 藤沼 傑
2
木村都市建築デザイン事務所 木村利雄
4
・第 24 回保存問題東京大会 2015 へ向けて
FORUM
5
建築教育の今「日本大学短期大学部 建築・生活デザイン学科」
世界遺産を訪ねてナバホネイションを行く
松枝建築計画研究所 松枝雅子
新良太氏に聞く「写真家の仕事と作品」
過去と未来から辿る道
8
岩村アトリエ 岩村和夫
10
小山将史建築設計事務所 小山将史
11
タニグチアトリエ一級建築士事務所 谷口麻里子
11
大沢悟郎建築アトリエ 大沢悟郎
12
Fallinglight 稲垣雅子
13
三菱地所設計 渡邉顕彦
14
鈴木理巳建築計画所 鈴木理巳
15
Y・O まち・空間コンサルタント 太田安則
16
傍流の極み
「快適」な住まいをつくりたい
6
Bulletin 編集委員
シェアを建築化する試み
トークイベント小川棟梁「不揃いの木を組む」
この1年をふりかえって
MAS - Minato Architectural Seminar
2014JIA 千代田総合展
市民に開くデザインレビュートライアル
東京「武蔵府中・地域デザイン学校」の目指すもの
A・Aプランニング 青木恵美子
18
日本設計 安部貞司
19
20
選挙公報
BACKYARD
本紹介 「住まいとまちの万華鏡」
スタジオエイチ一級建築士事務所 杉山英知
23
2015
公益社団法人日本建築家協会 関東甲信越支部
Vol.
5
255
特集:AG2015 建築祭 ・ 保存問題東京大会 ( 予告 )
JIA 関東甲信越支部が主催するアーキテクツ・ガーデン
関東甲信越支部
実行委員会
支部長
委員長
上浪 寬
藤沼 傑
活動をアーカイブとしてホームページに纏めました。
は建築家や JIA の多彩な活動を広く一般市民に対して情報
発信することを目的に長年開催してきました。2012 年か
建築家と市民とをつなぐ場をとなるアーキテクツ
ら開催期間を秋から初夏に変更し、6 月 15 日:「建築家
ガーデンは本年 2015 年もこの 3 年間と同じテーマ「建
の日」を含む前後 1 ヶ月間とし、一般の方々に向け、多
築家はともだち」とします。今年は「これからの」ま
彩でユニークなプログラムを提供しています。この長年の
■アーキテクツ・ガーデン アーカイブサイト
http://www.jia-kanto.org/AG_archive/
ちを意識し、サブテーマとして「まちの変遷と未来」
をつけました。
耐震改修その他に関する建築相談会などで、一般の皆
■昨年の基調講演の様子
様方に、楽しんでいただいたり、珍しい体験をしてい
ただいたり、有益な情報や知識を得ていただいたりと、
最も市民と接するイベントです。
毎年同じ事を繰り返す事で、各地域では既に多くの
市民の方に認識して頂いていると思います。本年も、
基調講演・坂茂氏
基調講演会場風景
各地域会や委員会の普段の活動の中から、さらに多く
の市民の皆様に声をかけていただくようお願い申し上
げます。
このイベントが関東甲信越の年中行事として市民の
間に広く定着していくよう、皆様のご協力よろしくお
JIA がさらに元気になるよう、若手に焦点をあて、今
願い申し上げます。
COLONNADE
年は JIA 新人賞受賞者の色々なお話をお聞きする予定で
懇親会・坂茂氏プリツカー賞受賞お祝いケーキカット
す。先ずは 6 月 12 日にプレイベントとして新入会員と
新人賞受賞者との交流の場を設定する予定です。
■テーマ
アーキテクツ・ガーデンのプログラムは、建築作品
「建築家はともだち」
を訪ねながらの街歩きや見学会、子供たちとのワーク
■開催期間
2015 年 6 月 15 日の前後約 1 ヶ月
6 月 12 日(金)プレイベント予定
ショップ、建築模型や CG、建築作品などの展覧会、各
界著名人や建築関係者などによる講演会やセミナー、
■昨年のアーキテクツ・ガーデンの様子
環境委員会
「環境委員会活動報告」
講演会(講師;中村拓志氏)風景
杉並地域会
「青木淳さんと見る、大宮前体育館」
アリーナで青木淳さんの話を聴く
2 Bulletin2015 年 5 月号
建築相談委員会
学生デザイン実行委員会
「トラブルを未然に防ぐために
「第 23 回東京都学生卒業設計コンクール
-第三者の目によるチェックのすすめ !!」 2014」 審査委員との 1 対 1 の対話
神奈川地域会
「子ども空間ワークショップ in 横浜開港祭
2014」撤収前に一息つくスタッフたち
栃木地域会
「戦後日本住宅伝説展」+「ヒヤシンスハウス」+「ヤオコ―美術館」
ヤオコー美術館前で参加者と
都市デザイン部会
風致地区とは
−地域の資産を活かしたまちづくり
建築・まちづくり委員会
「新国立競技場とオリンピック施設計画に
何が必要か?」
群馬地域会
まえばし建築めぐり
馬場川沿い散策の様子
千代田地域会
レクチャー+街あるき
「千代田で探す鉄道遺産と技術者の知恵」
情報開発部会
国立近現代建築資料館見学
展示の様子
住宅部会
『山形県金山町まちなみ再生の試み』
セミナー風景
Bulletin2015 年 5 月号
3 COLONNADE
アーキテクツ・ガーデン 2015
建築祭
特集:AG2015 建築祭 ・ 保存問題東京大会 ( 予告 )
建築の未来へ向けて
特集:AG2015 建築祭 ・ 保存問題東京大会 ( 予告 )
建築教育の今
第 24 回保存問題東京大会 2015 へ向けて
保存問題東京大会
日本大学短期大学部 建築・生活デザイン学科
実行委員長
木村 利雄
日本大学短期大学部建築・生活デザイン学科は、1950 年に
ある授業です。
■保存問題大会も今回で 24 回目を迎えることになりまし
■ 5 月 24 日(日)
新設された日本大学短期大学建設学科を起源としており、今
社会教育として、1
た。1 都 9 県の各地域会を順番に開催されてきましたが、
9:00〜 シンポジウム①(センター棟 403 研修室)
12:00
「14 地域会の残したい環境」
年で 65 年を迎える短期大学の建築系学科としては最も歴史
年 時 の 夏 休 み に は、
の長い学科です。2012 年に社会のニーズ、建築やデザイン
非常勤講師を務めて
の多様化に応えるべく学部再編を行い、建設学科から現在の
くださった方の会社
に 14 地域会が揃ってから初の大会になります。
東京 14 地域会による活動報告及び課題の提起、
2020 年には、東京オリンピック・パラリンピックの開
意見交換
催を迎え、東京の街が大きく変わろうとしています。この
ような時期に、今年の東京大会は開催されます。2015 年
13:00〜 シンポジウム②(センター棟 309 研修室)
17:00
「未来へ伝える東京のアイデンティティ」
「建築・生活デザイン学科」に変更し、カリキュラムや授業構
や事務所で実際の仕
成を一新しました。今回はその魅力と内容をご紹介します。
事を体験する「もの
ワークショップ:竹の家具製作のために里山へ
づくりインターシップ」や、船橋キャンパス周辺の方々や
COLONNADE
5 月 23 日(土)、24 日(日)2 日間を予定しており開催
○基調講演 陣内秀信(法政大学教授)
場所でデザイン・工作体験をする「ものづくりワークショッ
へ向けて、地域会の協力を得ながら委員会は開催の準備を
○パネルディスカッション
プ」も行っています。
進めています。
陣内秀信(法政大学教授)、石原健也(千葉工業
また、プレゼンテーション力、コミュニケーション力を
なお、大会の内容については次の様に予定しています。
大学教授 / こども環境学会)、亀井尚(JIA 都市・
培う場として、「グループ担任制」を1年時で導入し、学年
まちづくり委員長)、篠田義男(JIA 千代田地域
担任とは別に、学生 10 名前後をひとつグループにし、教
会代表)、連 健夫(JIA 建築・まちづくり委員長)
員1名が付き、1年前期は「入門ゼミナール」で建築の面
<大会主旨>
2020 年のオリンピック開催が東京に決まり、社会では経
白さや、楽しさを体験させ、後期は「基礎ゼミナール」で
済効果への期待感にあふれていますが、建築や街並み、あ
シンポジウム①では、今大会を機会として東京 14 地域
るいは都市のアイデンティティを考えた時に、方向性を見
担当教員の研究にフォーカスした講座と見学会を実施して
会に委員会との連携をお願いするとともに、建物・都市景
オリエンテーション:八王子セミナーハウスでペーパータワー制作
います。
誤ると、大きな文化の喪失に
観などの保存・活用のための、JIA としての活動の基礎を
■建築設計・建設業の未来へ向けての展望と今後必要な人
卒業後は 2 級建築士の受験資格が得られるなど,様々な
つながる恐れもあります。成
つくります。そして、お互いが情報を共有し、継承すべき
材育成とは?
資格取得に対応したカリキュラムとなっていることも特徴
熟社会の主役であるべき、生
建物等を今後、地域会に身近な存在として見守ってもらう
建築業界の直近の未来としては東京オリンピック開催に
です。そして、2 年間で卒業し就職という形だけでなく、もっ
きたヘリテージとしての建築・
システムが導ければと思います。
伴う様々な都心部での開発や、観光関係への地方への波及
と建築を勉強したいと思う学生は進学できることも大きな
効果等が考えられますが、それ以上に大きな問題は建築の
特色です。日本大学理工学部の併設校である本校は、ここ数
都市の価値を多面的にとらえ、
その継承と発展を保存問題東
シンポジウム②では、パネリストの方に活発なディス
維持管理、保全、改修等となるでしょう。新たなる建築づ
年、70%以上の学生が日本大学理工学部建築学科、海洋建
京大会でおおいに議論し、そ
カッションをして頂きます。東京のアイデンティティや魅
くりではなく、新たなる使い方、利用の仕方が求められます。
築工学科、土木工学科、交通システム工学科、まちづくり工
の中から具体的な道筋やヒン
力について、五輪以後の未来の東京へと蓄え継承すべき価
そのためには建築の基礎知識や技術は最低必要ですが、社
学科、日本大学工学部建築学科、日本大学生産工学部建築工
値の抽出、そして、オリンピックの余波に対して私たち建
会ニーズに対する洞察力、表現力、コミュニケーション力、
学科、日本大学芸術学部デザイン学科に編入学しています。
築家が持つべき視座と、具体的行動を考える場にシンンポ
企画力が重要となります。様々なことに好奇心旺盛に対応
■建築教育の現場からのメッセージをいただけますか。
ジウムがなればと考えます。
できる人材がますます必要とされるでしょう。
建築・生活デザイン学科は、建築・都市から住空間・イ
■人材育成へ向けての特色
ンテリア・ランドスケープまで、人間生活の舞台となる環
トを抽出し、五輪後の社会へ
とこれらを生かす。
第 24 回保存問題東京大会 2015
チラシ
<開催両日のタイムテーブル>
■ 5 月 23 日(土)
12:00 〜 13:00 受付(日本橋ダイヤビルディング 1 階)
会員の皆様はもちろんのこと、多くの市民、一般の方に
2 級建築士資格試験対応する建築基礎的な授業を 1 年前
境について、工学的観念・芸術的側面・社会的視点など幅
13:00 〜 見学会:日本橋ダイヤビルディング・日本橋周
も参加して頂ける開かれた保存問題東京大会になればと思
期から始め,1年後期から「建築デザイン」「生活デザイン」
広い見地から関心と問題意識を抱き、豊かで快適な生活空
辺の見学、日本橋川船上より見学、国立代々木
います。各地域会そして会員の情報の共有を図り、未来の
「建築エンジニアリング」という3つの主専攻分野を選択し、
間の創造に取り組む意欲のある学生を育成したいと思って
体育館(外観)の見学(バスによる移動)
社会に向かって JIA 建築家として今後の保存活動について
早期に建築に対する目的・目標を持たせるようにしていま
活発に熱い議論をし、おおいに大会を盛り上げようではあ
す。建物から離れたデザインに触れる造形デザインや、プ
りませんか。
ロダクトデザイン、色彩計画等の授業や、また、社会の様々
17:30 〜 国立オリンピック記念青少年総合センター 自
由見学
19:00 〜 懇親会(同 青少年センター D 棟 9F レストラン
「さくら」)
4 Bulletin2015 年 5 月号
な仕事を知ってもらうということで、建築に限らず社会で
大勢の方の参加をお待ちしています。
活躍する非常勤講師を招いて行うキャリアデザインも特色
います。
日本大学短期大学部建築・生活デザイン学科
〒 274-8501 千葉県船橋市習志野台 7-24-1 TEL:047-469-5330(庶務課)
URL:http://www.jcn.nihon-u.ac.jp/
Bulletin2015 年 5 月号
5 FORUM
今回 3 巡目に入ることになります。特に今大会は、東京
海外レポート
海外レポート
■満水にするのに 17 年かかった巨大ダム
世界遺産を訪ねて
ナバホネイションを行く
レイクパウエルとグランドキャニオン
6日目、グランドキャニオンの上流のコロラド渓谷に造
られたダムで、満水まで 17 年間かかったというレイクパ
ウエルをクルーズしてからグランドキャニオンに向かう。
7000 万年前に地殻変動で海中から隆起したコロラド高
タリアセン ウエスト
タリアセン ウエスト
FORUM
■世界遺産
■ナバホ族居留地・フォーコナーズとモニュメントバレー
原がコロラド川によって浸食されて出来たグランドキャニ
■夏は毒蛇とサソリのタリアセン ウエストへ
アメリカ先住民住居跡・チャコカルチヤーとメサベルデ
16 時過ぎ、明日の見学予定地、モニュメントバレーへ
オンの断崖の上に立って下を覗き込む。コロラド川までの
フェニックス市はアリゾナ州の州都で、航空機産業やエ
ニューメキシコ州の北西部にあるアメリカ先住民の都市
向かい出発。途中コロラド、ニューメキシコ、アリゾナ、
深さは 1500 m 。対岸の断崖は、赤茶・濃い茶色・薄茶・
レクトロニクス産業が基盤であるが、観光都市でもあると
遺跡、チャコカルチヤー国立公園のビジターセンターに到
ユタの4つの州の境界が一点で交わっているフォーコー
黄色など、沢山の層になっていて、これらは約 20 億年前
いう。ヤシ等の南国風な街路樹の町並みは美しく街路整備
着したのは、10 時半に近くなっていた。ロスアンゼルス
ナーズを見る。フォーコーナーズのモニュメントの周り
からの地球の地殻の歴史を物語っているという事である。
も確りしていて解り易く旅行者には有り難い。
で乗り継ぎ、アルバカーキ空港でレンタカーに乗り換えて、
は、インディアンジュエリーの店や軽食コーナー等のブー
8日目、グランドキャニオンを後にしてパワースポット
フェニックス市の外環高速道路に乗りタリアセン ウエ
成田を出発してから3日目のことである。この日の朝は9
スで囲まれている。ナバホ族の居住地域はナバホネイショ
で有名なセドナを経由しフェニックスに向かう。セドナも
ストに向かう。解り易い道路標識のおかげで、迷う事なく
時少し前にホテルを出発。途中には雨が降ると川が氾濫し
ンと言い、独自の法律があ
赤いレンガ色の土が特徴で、サボテンとの調和が強烈であ
目的地に到着。ゴロゴロした岩とブッシュとサボテンの荒
通行が不可能になるので注意!と看板があるような相当な
り、アルコールの販売は禁
る。特に崖の上のホーリークロスチャーチは印象深かった。
涼とした風景が車で登ってきた道の先に広がっている。玉
悪路もあった。
止されている。この夜泊まっ
フェニックスへはもうひと走り。
虫色のトカゲがサボテンの足下に潜り込む。見たかったア
ここは、ベーリング海を渡って北米大陸に住み着いたア
たカイエンタのモーテルも、
明日はタリアセン ウエストを見学の予定。高速道路の
リゾナの荒野である。
メリカ先住民のなかで、フォーコーナーズ辺りに定住した
ビールの飲めないレストラ
パーキングエリアには毒蛇に注意等と書いてある。
ガイドツアーを申し込む。ツアーは 20 人ぐらいでたっ
アナサジ族が住んでいた、西暦 850 〜 1250 年頃に栄え
ンもナバホ族の人の経営の
た遺跡である。
ようである。
ビスがある。最初に案内されたサロンでは、写真で見てい
遺跡の基本的構造は、薄くスレート状に割った砂岩を積
成田を出発して5日目、車の走行距離は 733.5 マイル。
たライトのスケール感が実感され、低く傾斜した天井のや
んで壁を造り、この壁に渡した丸太に床を張って造った重
奇岩の間をメチャクチャに揺られてモニュメントバレー
さしさが心地よかった。私が住宅を設計し始めた頃は、建
層型住居群である。こうした石積み技術や天文学等の高度
を観光。真っ赤な台地、奇形巨岩の風景を舞台とした「荒
設コストを押さえるために天井を低くした設計が多く見ら
な文明をもっていたと説明されている。敷地はチャコキャ
野の決闘」「ハイヌーン」「駅馬車」などの西部劇映画は、
れたが、低さは人を包み込む暖かさがあるものだと改めて
ニオンの宏大な原野である。
私の青春と一体である。
思った。
この日はコロラド州に入りビリーザキッドが居たという
この辺りは良質な石炭が産出されるので、ペイジへ近づ
三角形の池は、澄んだ青い水が満ち噴水のしぶきがキラ
歴史のある美しい観光都市、デュランゴに泊まる。
くと大規模な火力発電所があり大きな煙突が建っている。
翌朝はメサベルデを見学。時間がないのでガイドツアー
この石炭を埋蔵している土地もナバホ族のテリトリーで
あるが、夏は暑さもさることながら毒蛇やサソリの被害を
は申し込まず、フリーで見学出来る所だけで我慢する。チャ
ある。
避けるため居住しなかったという事だ。外観を特徴付けて
ぷり 2 時間以上、熱射病予防のためかペットボトルのサー
フォーコーナーズ
キラしていた。この住宅はライトの冬のアトリエと住居で
グランドキャニオン
コカルチヤー遺跡は平地に築かれた居住跡であるが、ここ
いる長く伸びた庇の垂木は木製の化粧垂木と思われるが、
は、崖のくぼみを利用した断崖住居跡である。メサベルデ
現状は修復で鉄製になっているという説明があった。
とは緑の台地という意味で、緑の台地の上に西暦 100 年
見学後フェニックスのショピングセンターで寿司店を見
頃から暮らしていたアナサジ族が、12 世紀中頃に断崖を
つけラスベガスロールなるものを試食。明日は車を返しロ
くり抜いて住居を造り、100 年ほど住んだ住居跡だそうだ
スアンゼルス経由で帰国である。
が、住人が忽然と消えてしまい、600 年の沈黙の年月の後、
北米大陸の長距離ドライブは4度目であるが、アルバ
1888 年にカーウボーイに発見されたという事である。
カーキを起点に、フェニックスを終点にして走った今回の
レークパウエル
走行距離は、1403.9 マイル、2240km であった。「自然
景観を原生のまま維持する」というのがアメリカの国立公
園の基本理念だそうだが、壮大な自然と地球の創世以来の
歴史を見る事ができる、本当に魅力的な国である。
メサベルデ
6 Bulletin2015 年 5 月号
チャコカルチヤー
モニュメントバレー
グランドキャニオン
セドナ ホーリークロスチャーチ
Bulletin2015 年 5 月号
7 FORUM
松枝 雅子
覗いてみました他人の流儀
覗いてみました他人の流儀
竣工写真では建築に寄り添うような姿勢で撮っています。
新良太氏に聞く
写真を見た人が訪れたい、建築家に家を設計して欲しいと思
「写真家の仕事と作品」
わせる写真、建築家を含め携わった人達が驚きと誇りが持て
る写真を撮りたいと常々願っています。
聞き手:Bulletin 編集委員
仕事であってもライフワークであってもイメージが湧くよ
うな写真を撮りたいと思っています。写真を確認する時は撮
建築に限らずモノを通じて作り手の言葉にならないイメー
影の困難さや苦労に引きずられないように第三者の目で見る
学生時代から写真の道に進むことを決めておられたのですね。
ジも取り込もうとは思っています。しかし、建築やモノが作
ようにしています。
大学では建築を学んでいました。設計デザインができるよ
り手の思いを必ずしも表現されているとは限りません。良い
うになりたいと思っていましたが、製図の授業でペンを回し
意味でも悪い意味でも裏切られる事はあるのではないでしょ
ながら直線を引くことができなくて心が折れました。それで
うか。作り手の話を聞くことは大事ですが、聞きすぎてしま
もモノ作りを生業にしたくて奮闘していました。いろいろ試
うのも建築やモノを見る目にフィルターがかかってしまい、
とがあります。普段の撮影では決死の思いをすることはあり
仕事でも仕事でなくても写真を撮ったと思える日を多くし
したあげく、カメラというか、写真に強く引き寄せられまし
思わぬ結果を生んでしまうことがあります。撮影の臨む姿勢
ませんからね。空港にかえってきて地面に足をつけた時の地
たいです。
た。当時はカメラを持っていなくて友人のカメラを借りて撮っ
としてなるべくクリアに見るように心掛けています。撮影の
面の確かさに何度も有り難いと思いました。慣れないことに
ていました。ずっと借りたまま卒業を迎えて、友人からそろ
現場では、カメラマンとして見えたことを作り手に言います
チャレンジすることと、決死な思いをすることは、撮影意識
そろ返してくれないかとそうっと言われました。写真に熱中
が、作者の意図と違うこともあります。その違いはなんだろ
を強固にさせます。空撮も慣れてくると必死さがなくなるの
していた私を見守ってくれた友人にとても感謝をしています。
うと対話します。
で、初心を忘れないように心掛けています。
写真の道に進もうかと相談した時は家族を含め誰一人として
建築の撮影では設計者の要望もあると思いますが、どのよう
また、価値観が変わった最初の経験といえば、首都圏外郭
止めなかったです。反対される事を想定していろいろ考えて
に進められますか。
放水路とスーパーカミオカンデの撮影です。巨大な空間を撮
いたのですが皆応援してくれました。学生時代は友人や街を
もとは大判カメラで撮っていたので、予算や時間の制約か
影する経験はそれまでなかったことですから何か突き抜ける
撮っていました。また建築模型も。当時在籍していた大学で
ら撮影ポイントの取捨選択がありました。当時は白黒のポラ
感じがしました。スーパーカミオカンデの撮影では、研究者
1973 年 東京都生まれ
は建築コンペに参加することが盛んで、毎回誰かが入選する
ロイドカメラで試し撮りをしながら進めていました。建築カ
が「ニュートリノは全ての物質を突き抜ける性質がある」と
2012 年 写真集『TOKYO SKYTREE』を上梓
ような感じでした。全てではありませんが、コンペに参加す
メラマンとしてはポラロイドを撮るのは珍しかったと思いま
説明してくれたので「宇宙の際に着いたらどうなるのか」と
る模型を随分撮っていたと思います。コンペの締切り間近か
す。カラーの写真より白黒のポラロイドが好きな建築家もい
質問しました。研究者は「宇宙に際はありません。空間が歪
になると撮影依頼が多かったですね。模型を見ただけで何を
ました。現場で立ち会った建築事務所の若い所員に「ボスに
んでいるので」と当たり前のように答えられた時、建築写真
意図したのか分かるようになりました。写真はその意図を強
は内緒だよ」とポラロイドの写真を差し上げたこともありま
の憑き物が落ちたような感じがしました。だからと言って、
調するように撮りました。言葉の説明が要らないような模型
す。今はデジカメになってポラロイドを切ることもなくなり
建築空間の水平、垂直をないがしろにはしませんが、遥か遠
の案は入選していたと思います。学生のアイディアコンペと
ました。現場で撮れるだけ撮って持ち帰り画面上で選択して
い世界も見るようになりました。建築も宇宙の一部だと感じ
は言え、その撮影経験を通じてものの見方を学んだと思いま
いますが、あの頃が懐かしいです。ほんの数年前の話です。
られる写真が撮れるようになりたいです。
空撮
■今後の抱負
今後の抱負についてお聞かせください。
<聞き手:八田雅章・市村宏文>
※1 TOKYO SKYTREE 東京スカイツリー公認写真集 朝日新聞出版
2012 年 3 月
新 良太(あたらし りょうた)氏プロフィール
写真家 建築写真を中心に活動の場を広げている
2003 年 写真集『Not Found』を上梓
FORUM
FORUM
■これまでの経緯
村野藤吾設計の建築を撮った時は、その全てが勉強になり
す。
当時から写真を撮るときに設計者の意図を読むようなことを
■写真家の仕事と作品
ました。先日は、谷口吉郎設計の東京會舘を撮影させていた
されていたのですね。
撮影依頼を受けて撮る写真と、日頃から自らの意思で撮る写
だきました。解体工事の最中、猪熊源一郎の作品がまだ残っ
真の大きく2つに分かれるのではないですか。
ていたので幸いでした。電気は工事用以外は通じていなくて
東京スカイツリーの写真集(※1)を上梓するまでは割と明確
照明はつかなかったのですが、建築が持つ空間の強さは全く
にありました。最近はその中間のグレーゾーンも多いのです
劣らず、写真に少しでもその強さが表れるように願いながら
が、自由に撮影できる環境を大事にしています。竣工写真か
撮影しました。東日本大震災では、震災後半年後に撮影しま
ら作品にならないかと思うこともありますが、竣工写真は依
した。復興への準備が少しずつ進む中で被災の激しさを物語
頼してくれた建築家やクライアントに寄り添う姿勢で臨んで
る写真ばかり撮っていましたが、被災者の気持ちを思うと撮
います。
れなくなりました。
意識や価値観が変わる仕事や撮影体験はありましたか。
慶應義塾大学三田キャンパス第一校舎
8 Bulletin2015 年 5 月号
最近では空撮の経験です。まだ空撮に慣れていない頃、飛
■仕事の流儀
ぶ前日に墜落した体験記を読まされて決死の思いで臨んだこ
写真を撮るときの流儀をお聞かせください
外郭放水路
Bulletin2015 年 5 月号
9 温故知新
温故知新
先達に学ぶ
抱負を語る
過去と未来から辿る道
Back from the past and the future
傍流の極み
「快適」な住まいを
つくりたい
岩村 和夫
小山 将史
状況が自ら生まれる。
在している。客員教授として招かれた珠海学院建築学科修
このように、視覚的な情報を伴いながら、漢字が意味す
士課程が対象である。その間、昨年に続き北京の清華大学
る概念の広がりに学ぶ面白さは、今も未来も新しい。そし
で招待講義をする機会もあった。その主要なテーマは、と
て「全体論的持続可能性」の骨子を描くことができる。
もに一個の建築を超え社会・文化的アプローチを包含した
「全体論的持続可能性(Holistic Sustainability)/副題:過
さて、今年の 2 月末に上
去と未来から辿る道(Back from the past and the future)」
記に深く関わる一冊の書籍
である。香港でも中国でもこうしたテーマにようやく関心
を出版した。住まいとまちに
が持たれるようになったのである。
係わる私の雑多な記憶と記
一方、グローバリゼーションが声高に叫ばれる日本の今
録の断片の 100 編を紡いだ
日この頃だが、香港やシンガポールを始め、植民地化を経
ものである。それは 1973 年
験したアジアの諸都市では、そこに住む一人ひとりの出自
に 遡 る。 遡 り な が ら、 当 然
を含め、程度の差こそあれとっくにそれが常態なのだ。ア
のように時の流れと状況の
ジアでの体験を重ねるにつけ、日本およびその建築界の歴
変化の激しさを再発見した。
史的な立ち位置がよりはっきりと見えるようになった。
ここに示した光景のいくつ
知人に中国出身で環境アーティストとして国際的に著名
かはすでに存在しない、あ
な蔡國強(さい・こっきょう、ツァイ・グオチャン)がい
るいはそう思われる。それでも、場所には記憶が刻まれ、
る。かつて下記のような中国戦国時代の四行詩を紹介して
そこに居合わせた者の脳裏に残像として残る。こうして今、
くれたことがある。彼は「生態」と「文態」の止揚によっ
100 の場所と記憶を客観的にさらってみると、私の脳裏
て持続可能な世界を構築すべしと説くのだが、そのエッセ
に思いがけない通奏低音のようなテーマと反復する要素の
ンスがこの作者不明の四行詩に込められている。
共通項を垣間見ることができる。
「住まいとまちの万華鏡」(創樹社)
FORUM
こうして 40 年来世界を巡りながら、大勢の多様な人々
内 気 萌 生
と触れ合いながら、「住まいとまち」を巡る私の見方や価
外 気 成 形
値観は大きな変貌を遂げてきた。現代はますます不確実性
内 外 相 乗
が多くを支配しつつある。だからこそ、なによりも未来が
風 水 自 生
持続可能なものの創造的な発見と異質なもの同士の共存で
■ひとりの建築家としての存在意義を懸けて、地道に傍流を
■独立して 10 年目のこと。佐賀県伊万里にて以前携わった
極めたいと思っています。どのような手法で極めるか日々考
病院建替に続き、理事長の自宅設計の依頼を受けることになっ
えています。あまり抽象的に考えても良くないと思っている
た。理事長は 60 代。中規模病院を運営し、地域医療とその
ので、いくつか具体的なテーマを持つようにしています。そ
発展を担う使命感に満ちた医師である。「快適な住まいをつく
のひとつに「空間の境界面の作り方」があります。良くも悪
りたい」という一見シンプルな要望から始まるが、知識も経
くも、建築は空間を制限する行為であると思っています。そ
験も比較にならない施主との打合せは日々戦いであった。自
の物理的な制限を可能な限り快適に認識させることが大切だ
分のキャリアでは歯が立たず材料特性や工法を学び見直した。
と考えているので、境界面そのものがテーマになります。近
しかし相手は上手。インターネットの普及により情報収集も
年竣工した建物では、厚さ 3.2 ミリの鉄板をスリーブボック
早い。次々に新たな命題が課せられ、それらを具現化し現場
ス状にユニット化したものをアーチ状に組むことで、ダブル
に伝えるという日々が続いた。機能性能にとても厳しい方で
スキンにして、仕上げと構造、光と風の緩衝帯を兼ね備えた「境
あったが、竣工の際「ありがとう。実に快適で豊かな空間で
界面」を創ってみました。屋根全体にバランス良く設けた天
ある。何より妻が喜んでいるのがうれしい。」と私に告げた。
窓から緩衝帯を介して、室内全体に柔らかい光と優しい風が
キャリアにとらわれず仕
取り込まれます。諸事情で基本的に閉じているのですが、室
事を依頼し、快適性につ
内全体が屋外のように明るく開放感のあるアトリウムのよう
いて深く学ぶ機会を下
な空間になっています。構造的には柱梁のない大きな空間が
さったこと、そして最後
可能なので、自由なプランニングが可能です。疎かになりが
に私を建築家として評し
ちな熱環境にも配慮しています。このプロジェクトでは、新
て下さったことに大きな
しく境界面を考えることの可能性をそれなりに感じているの
感銘を受けた。
で、今後の発展としては、外部にもう少し開いた場合や、アー
「快適」についての指標を見出すのは難しいが、住み手がこ
チではない断面でもトライできたらと思っています。多くの
れまでに経験してきたストレスを除去するのはもちろんのこ
先輩建築家の方々が百花繚乱する中で、少しでも世の中に役
と、さらには既成概念を取り払い、与えられた環境へ調和を
立つように、日々精進して行きたいと思っています。
求める新たなライフスタイルへの挑戦なのだということをこ
伊万里の家 外観
の設計を通して知った。
相手と条件が変われば新たな課題が浮かび上がるに違いな
いが、都度それに立ち向かい、克服していきたい。
あってほしいと願う。小さな島国から初めて出奔して以来、
「内気」とは、その土地が本来持っている様々な現象(風、
決して単一の規範で律されているわけではない多様な文化
光、水、熱等)で代表される自然の力。一方、「外気」と
圏に接することができたのはまことに幸いであった。
はそこで人間が積み上げてきたもの(社会の仕組み、人間
その地平から見渡せる世界の姿を、この小さな本を通し
関係、人工物一般等)を指す。従って、「内気萌生」とは
てできるだけ多くの方々と共有したい。そして、今後もっ
自然が持っている様々な力が萌え出ずること、「外気成形」
ともっと激しく困難な状況に遭遇するに違いない情勢に
とは人間がそこで様々な営みを繰り返すことによって外気
あって、万華鏡の向こうに見える変わらないものの力と価
が形づくられることを意味する。次いで、「内外相乗」と
値に未来を託したい。
はその内なるものと外なるものが相乗的な相互関係を結ぶ
ことによって、「風水自生」、すなわちそこに初めて風水の
10 Bulletin2015 年 5 月号
2015 年 3 月末日 香港にて
ホワイトアトリウムハウス(左:内観、右上:内観、右下:外観)
伊万里の家 透湿による快適性を追及する
Bulletin2015 年 5 月号
11 FORUM
今、集中講義のためにちょうど 1 ヵ月間に亘り香港に滞
谷口 麻里子
部会活動報告
部会活動報告
住宅再生部会
金曜の会
住宅再生セミナー 講師:内村綾乃
トークイベント
住宅再生部会
〜都市居住の新たなオルタナティブ〜
金曜の会
小川棟梁「不揃いの木を組む」
部会長
大沢 悟郎
稲垣 雅子
FORUM
■住宅再生セミナー
に、この場を上手く取りまとめているという様子が語られ
■小川棟梁を迎えて
今は職人技を楽しむ普請道楽がいなくなった。道具や技を
住宅再生部会は、スクラップ&ビルド型の社会構造か
ましたが、3 年近くたった現在でも住人の入れ替えはほと
金曜の会は、建築家会館1階の「建築家クラブ」で、月
見てくれる人がいなくては張り合いがない。
らの脱却という理念を通して、JIA メンテナンス部会の会
んど無いとのことで、シェアハウスは彼女のように居住者
に一度、主にトークイベントを企画運営しています。
大工の仕事は時間をかけて身体に記憶させていくもの
員の中から , 特に個人住宅に興味を持つメンバーによって
をまとめるキーパーソンがいると、うまく運営されるとい
2月のトークイベントでは、法隆寺の宮大工だった西岡
だ。古代建築は文字や数字ではなくて、職人たちの身体の
約 10 年前に立ち上げらました。ここ数年は、毎年テーマ
うことを感じました。またスライドを使った説明では、建
棟梁の唯一の内弟子、小川棟梁を講師としてお迎えするこ
記憶で受け継がれたから今でもその形を変えずにいる。西
を掲げて、隔月第一水曜に JIA 館を会場にセミナーを行っ
物の正面入口開口の膜素材をジッパーで開けるという仕掛
とができました。長野や岐阜、兵庫県からの参加者もあり、
岡棟梁や自分のやっていることを、伝統や引き継ぎと言う
ています。昨年度からのテーマは「空き家の再生」。現在
けや、部屋のハコ間の断面のすきま空間、ほとんどの壁、
90 名近くとなって立ち見も出るほどの盛会でした。
人もいるがそうではない。法隆寺は西岡棟梁が 1300 年前
われわれ建築家がこれからの住宅で考えなくてはいけない
天井、床の材料に使われているラーチ構造合板の使い方や
当日の小川棟梁のお話から一部を抜粋いたします。
の工人と対話ができたから飛鳥の建築を昭和に再現できた
テーマの一つです。セミナーは実際に空き家を何らかの方
ディテールなどに、建築化された新鮮な空間構成が見られ
法で再生された事例報告から、今年度は、再生するための
ました。会場からは、住人同士のきちんと決められたルー
■寺社大工を目指す
代工人の思いを時々に読み取る人がいて見せてくれていた
運営方法や取り組みなど多義にわたるテーマをさがしてき
ルから暗黙なルールなどの質問や、1 階の街に面したオー
高校の修学旅行で法隆寺を見て、西岡棟梁に弟子入りを
からなのだ。
ました。今回は、現代着目されている「シェア居住」を学
プン土間空間の使い方などの質問がありました。新宿区矢
願ったが断られ、仏壇作り、図面描きなどの修業を経てよ
本物を作っておきさえすれば技術は必ず甦る。本物はい
ぶということで、昨年度の日本建築学会賞を受賞した「シェ
来町の地元の人々とのつながりもここでは模索しているよ
うやく4年目に弟子入りの許しをもらった。
つの世でも変わることなく人の心を打つものだ。
ア矢来町」の設計者の一人でもあり、また住人でもある内
うで、「シェアⅡ」と称した近隣の中古木造住宅をシェア
最初の1年間は毎日、納屋の掃除と刃物砥ぎだけという
■不揃いの木を組む
村綾乃さんをお招きしてのセミナーです。
ハウスとして再生した第二弾の事例も報告されました。こ
徒弟生活。西岡棟梁からもらったかんな屑一枚を窓にはり
西岡棟梁の口伝に「木組みは寸法で組まず木の癖を組め」
の家の住人にはシェア矢来町で家具作りをしていた仲間が
つけ、それを見ながら刃物を研ぎ続けた。
とある。大きな木は大きな癖が出る。小さな木の癖は抑え
■これからの新たな住まい方
住んだということで、ここでもシェア住人をまとめる立場
■弟子のこと
込むことができるが、大きな木は癖を組むことになる。ま
都心においては単身者世帯が全世帯の半分に迫っている
の人間の必要性を感じました。これからは、街の中にもこ
現在は栃木と奈良に 30 人くらいの弟子がいる。飯炊き
た「木の癖組は工人たちの心組」という口伝もある。ひと
という現実の中で、誰もが今後一人で暮らすという可能性
のような小規模シェアユニットばかりでなく、規模の大き
をやらせると仕事の段取りの良さと思いやりが、掃除では
つとして同じものがない不揃いの木を適材適所に使うこと
があります。ワンルームでもなく、ファミリー住居でもな
なものや、機能ミックスしたものなど、いろいろなメニュー
仕事に向かう姿勢がわかる。
は難しいが、昔の人たちは道具も図面もないのに、誰も見
い新たな住まい方も求められてきています。少子高齢化社
のものが増えていくのでしょう。また空き家や増えている
本人が学ぶ気持ちになるまで教えない。心の底からやり
たこともない東大寺作ってしまった。薬師の塔から奈良の
会、血縁や共同体のネットワークも衰退してきている中で、
共同住宅の空き室の再生にも、このシェア居住は一つの選
たい、と思った時に一番良い道具を貸してやらせてみる。
都を見ると凄いと思う。それを 60 年くらいで作りあげた、
可能性としての「シェア居住」は、確実に増加していくと
択肢として考える必要があります。街の中にもシェアでき
無駄をさせ無駄に気づかせ無駄をなくす。未熟な時に無駄
その力を学ぶことができればどんな建築でも作れるのでは
考えられます。今回は「シェア矢来町」を中心に、シェア
る空間が増えていけば都市居住も、また豊かなものになる
なことをたくさんやらせ、気づかせることが大切なのだ。
ないだろうか。また古代の塔は不揃いの木、一本一本が支
居住のリアルな話を聞く機会となりました。
のでしょう。都市のネットワークも巻き込んだ新たな動き
ことを急いだらだめ。
えあって総持ちで建っている。それが感じ取れる。
が感じられたセミナーでした。
大部屋で一緒に生活する中で辛抱や忍耐、いろいろなこ
自分たちが作った建物もいつかは滅びていくけれどもそ
■設計者として 住人として
とが自分たちでわかってくる。やさしさ、思いやりがない
の最期には美しく滅びていくような建物を作っていきたい
シェア矢来町は、都心に建つ新築の 7 人居住の小規模
と長い時間一緒に仕事や生活はできないので、我慢比べが
と思う。
なシェアハウスです。昨今は、シェア居住の専門不動産サ
できれば何も教える必要はない。
イトもあるようですが、この建物の住人は個人のつながり
■仕事のこと
の中から主に集められたようで、居住者の世代も近く、一
大工にとって道具は手の延長で、よい道具を持ったら道
つ一つ居住ルールを模索しながら生活が営まれている様子
具に負けないような仕事をやりたい、と道具に恥じるよう
が語られました。内村さんの設計者としての話と 7 人の
な仕事はしなくなる。執念のものづくりというか、常に結
シェア住人の一人としての話。また本人が管理人のよう
12 Bulletin2015 年 5 月号
正面入り口と 3 階コモンスペース/写真(TARO HIRANO)
ので、飛鳥の建築がずっと伝わってきたわけではない。古
果に不満があるから次はもっとよくやりたいと思う。だが
2015/2/20 小川棟梁
小川棟梁のトークに 90 名近い参加者
Bulletin2015 年 5 月号
13 FORUM
シェアを建築化する試み
委員会活動報告
地域会だより
港地域会
この1年をふりかえって
交流委員会
委員長
MAS - Minato Architectural Seminar
港地域会
株式会社三菱地所設計
代表
渡邉 顕彦
鈴木 理巳
公益社団法人 JIA の活動も2年目を迎え、交流委員会と
プの活動となります。
■港区という場所
も、特にセミナー後の 1 ~ 2 時間ワインを酌み交わしな
してもさらに発展的な会として飛躍するためするため、活
幹事会は計 11 回開催しました。各グループの代表を中
23 区の中でも新たな再開発事業、大型プロジェクトが
がらの談笑は効果を倍増している。
動をして参りました。以下にその報告をします。
心に情報交換と課題の議論を行いました。
数多く進行している地域である。住民の約 8%が外国人で
これまで 18 回に亘り扱ってきたテーマの主なものは、
■交流委員会活性化のために
フレンズカップは 10 月 24 日に泉CCで開催しました。
あることや、80 カ国近い大使館を擁する地域ということ
No3【「まちの過去と未来」 白金・高輪・三田を読む】、
本年度は従来どおり専門分野7グループの構成で活動を
ほぼ例年通りの参加人数となりました。今後もより多くの
もあり、企業を始め国際色の強いエリアである。国内外の
No5【ドイツの建築家から見る日本の街並み】、No7【建
行いましたが、特に他グループ(異業種)との交流を広げ
方に参加していただけるように開催地、時期を検討してゆ
著名建築家の手になる建物も多い。
築家は街にどうかかわれるか】、No11【暮らしから街並
ることを試みました。1年を顧みると一定の効果は認めら
きます。岡山大会の法人協力会員会サミットには 22 名が
その一方で国の重要文化財となっている建物や歴史的価
みを考える】、No16【心を紡ぐ建築Ⅱ 子供の居場所】、
れましたが、次年度はさらに積極的に取り組む必要がある
参加。正会員との関係について他の支部との違いが明らか
値の高い建造物も多く残っている。表通りからひとかわ裏
No16【日本の街並みはなぜ美しくないか】、No18【身近
と思います。12月の幹事会後の忘年会は代表幹事以外の
になり、金沢大会ではさらに踏み込んだ議論が期待されま
の路地に踏み込めば昔ながらの向こう三軒両隣のお付き合
にほしいコミュニティー】など。これまでに参加頂いた市
参加も多く盛況でしたが、通常の幹事会へもより多くの方
す。3 月 24 日に開催された交流大会では、明治大学専門
いが残り、築 50 年の古びた木造住宅の背景に超高層ビル
民の方は画家や音楽家、教育関係、会社員、学生など多彩
に出席していただきたいと思います。以下に主な取り組み
職大学院長・公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 が立ち並ぶ風景を目の当たりにする場所でもある。
な顔ぶれでリピーターが多いことも結果として MAS の活
を記します。
市川宏雄様に “ 2020 五輪と東京の都市計画 ” をテーマ
このように都市としても希有のポテンシャルを有した区
力になっている。
・代表幹事以外の法人協力会員に幹事会参加を呼び掛け
に講演して頂きました。大変ユニークな視点で、常々都市
域であることと相まって、住民は文化としての建物や街並
・各グループ企画イベントを他グループにも積極的案内
との関わり合いを考えている我々にとっては大変興味深い
み、美術、音楽、現代アートへの関心が高い。かってはど
・広報部会長による各グループの会議出席、ヒアリング
内容でした。そのほか、各グループにおいてもセミナーや
ちらかと言うと夜の盛り場としてその名の知れた六本木界
■正会員の参加促進
講習会、近郊や地方の施設見学会、法人協力会員企業工場
隈の変貌は今尚進行中であり、新国立美術館をはじめとし
イベントに参加する正会員の増員と、新たな正会員との
見学会、ゴルフ会や様々な懇親会が行われました。グルー
た文化施設も多くつくられ昼間の回遊型来訪者が増えてい
交流機会を広げるために以下施策を試みました。
プ主催でありながら中には広く正会員にも参加を募った企
る。
・正会員の会議や集会に合わたイベント開催
画もあり、今後さらに拡大してゆくことを期待しています。
かかる港区内には在住、在勤を含め 200 名近い JIA 会
・“ 教えて!協力会員 ” のPR
員が活動している。だが残念なことに実質的且つアクティ
支部役員のイベント参加には効果的でしたが、一般正会員
ブに地域会活動に参加している会員は 7~8 名と少ない。
FORUM
が参加しやすい開催時期等も検討してゆくことが必要と
思います。“ 教えて!協力会員 ” は1年を経過しましたが、
■ MAS(Minato Architectural Seminar)
正会員へのPRとともに利用者の意見等を検証し、改善し
そんな中で港地域会の活動の柱となっているのが 2010
てゆきます。
年から始めた MAS セミナーである。MAS の目的は市民の
■今後について
■構造系、設備系正会員の減少
方と一緒になって “ 建築 “ を単に構築物という物差しだけ
活 動 の 柱 で あ る MAS
JIA の新しい会員規程では構造や設備を専門とする設計
でなく、文化的な側面、視点からも考えて行こうというも
を軸として活動のパイを
者は正会員になることが難しく、今後、構造系、設備系の
の。具体的には講師が一方的に何かを語るのではなく複数
更に大きくするために他
の建築家がパネラーとなりそれぞれの意見を出すことで、
団体との交流と相互乗り
建築家の頭の中を覗いてもらい、日頃敷居が高いと敬遠さ
入れを考えていきたい。
れがちな建築家の実像を理解してもらう取組みである。一
また昨年からウェブ
協力法人会員の減少が危惧されます。この問題は交流委員
会幹事会だけで解決できることではなく、JIA 全体の問題
第 27 回 JIA フレンズカップ大会
として検討してゆくことの必要性を昨年度も指摘したとこ
No18 【みぢかにほしいコミュニティー】2015 年 3 月 7 日
MAS 風景
ろです。本年度は特段の動きはありませんでしたが、次年
■最後に
方、市民の方にとっても、暮しの中で考えている関連テー
デザイナーを研究会員として迎え、これまで休眠状態で
度も支部を通して訴えてゆきます。
一年を通して順調に委員会活動を行うことができまし
マや関心を持った建物、街並みについて話すことで、問題
あったホームページを刷新したが、今後 MAS 報告を中心
■本年度の活動概要
た。これも皆様の協力のお陰と感謝しております。
意識を整理しより深めることが期待できる。その目的から
により充実した広報の手段としていきたいと考えている。
主な活動としては、幹事会、フレンズカップ、JIA 建築
今後とも有意義な交流委員会を考えてゆきますので、よ
家大会 2014 岡山大会参加、交流セミナー、そして各グルー
ろしくお願いいたします。
14 Bulletin2015 年 5 月号
Bulletin2015 年 5 月号
15 FORUM
交流委員会
地域会だより
地域会だより
千代田地域会
2014 JIA 千代田総合展
千代田地域会
■千代田の景観パネル展
副代表
鉄道遺産/オープンスペース/凸凹景観今と昔
実行委員長
千代田の都市景観を新たな三つの視点で考える景観パネ
太田 安則
ル展です。
・鉄道遺産の視点:御茶ノ水-神田-秋葉原に集積する鉄
道遺産を活かした都市景観を考えます。
千代田区内で、何かを発表したり発信したりする「場」
・オープンスペースの視点:公開空地などで生まれたオー
には、いつも頭を悩ませる。人々が行きかうオープンな公
プンスペースが作り出す都市景観と活用を考えます。
共性の高い場所はなかなかない。又その場所には会場費と
・ 昔の景観の視点:浮世絵や戦前の絵葉書写真と今とを見
して相当の額が必要となります。今回の会場である数少な
比べ、都市景観がどのように変化したかを考えます。
神田明神裏参道
い候補の一つ「アーツ千代田 3331」にしても、投入コス
ニコライ堂
トとのせめぎあいの結果、開催期間を決め、その場を最大
限に活用しなければということで、共通するテーマに基づ
く複合的総合的な展示・発表の場をしつらえました。
都市の基層(副題:千代田の地形と都市景観を考える)
をテーマに、都市を構成している歴史・文化・地域性・経
鉄道遺産を景観に活かす(桐原武志)
済そしてコミュニティを、地形を辿ることから見つめなお
千代田のオープンスペース(遊佐謙太郎)
昌平橋
■ギャラリートーク
千代田の景観10の界隈のスライドショー(担当:桐原武志)
す総合展として3日に集約しました。もちろん、凸凹街
「都市の基層 千代田の地形と都市景観を考える」
歩きのため地形模型を作り、取り囲んでワークショップも
■千代田区を舞台にした卒業設計展 2014
行い、加藤耕一東京大学准教授+地域会メンバーでギャラ
千代田区を舞台にした卒業設計の図面と模型展です。
リートークにより課題への取り組みを進化させました。こ
今 回 は 課 題 制 作 も 展 示 し ま し た。2 月 1 日 17:30 ~
の内容は後日文章におこす予定です。以下総合展の内容を
18:00 制作した学生の発表
紹介します。
と JIA 千代田地域会会員と
2 月 1 日 16:00 ~ 17:30
代表篠田義男の進行のもと、パネル展示と凸凹探検街歩
きを受け、今回のテーマの「都市の基層」について、建築
凸凹景観 今と昔(市川達夫)
のトークセッションを行な
■千代田の凸凹探検街歩き
いました。
2月1日 13:00 ~ 15:00
会場の方と一緒にトーク
史の加藤先生や建築家などのパネリストと会場の参加者で
多方面から話し合うクロストークです。
(記録担当:大隅哲・戸田光栄)
会場をスタートし、神田明神ー御茶ノ水駅 - 昌平橋を巡っ
都市の基層 千代田の地形と都市景観
課題製作:沢田拓郎
千代田区には江戸時代から現代までの歴史的な都市遺産
て 3331 へ戻る、地形の起伏(凸凹)を体感しながら歴史
FORUM
が蓄積され「都市の基層」を構成しています。また、千代
遺産を巡る街歩きです。会場に戻り地形模型を囲んでの
田区は海抜 1 mから 30 m以上の高低差がある地形です。
ワークショップを開催しました。
FORUM
■パネル展、ギャラリートーク、街歩き
神田明神
会場は、その遺産と地形を生かした都市景観を考えるパネ
ル展・街歩き・ギャラリートーク、そして卒業設計展で構
成されています。千代田区を 10 の界隈に分け、それぞれ
課題製作:金田良太
課題製作:若林拓哉
の界隈の景観を紹介するスライドショーも行ないました。
ギャラリートーク(司会:篠田義男)
ワンコインパーティー(担当:大橋智子・戸田光栄)
16 Bulletin2015 年 5 月号
卒業設計展の発表の様子
街歩きワークショップ(担当:市川達夫、桐原武志)
パネリスト:桐原武志
パネリスト:遊佐謙太郎
パネリスト:加藤耕一
Bulletin2015 年 5 月号
17 日本版 CABE を考える
コラム
市民に開くデザインレビュートライアル
東京「武蔵府中・地域デザイン学校」
の目指すもの
神奈川地域会
前代表
青木 恵美子
安部 貞司
JIA 神奈川は 2014 年新体制に移行し、私が前代表とし
のプロジェクトについて、5 人の建築家が自分の案をプレ
■三多摩地域会では、会員それぞれが地域に根ざして行っ
ニティや持続可能な社会のあり方についての根源的な再考
て掲げた「Think Globally Act Locally」のキャッチフレー
ゼンテーションし質疑を受ける、デザインレビュートライ
ているまちづくり活動を支援することを重要な方針とし
を迫るものでした。従来の施策や制度の枠に捉われず、様々
ズを踏襲して、飯田善彦代表は公益社団法人として、地
アルを実行しました。200㎡程の小さな公民館から区の総
ています。その一つとして、府中建築文化フォーラムが市
な専門領域を越えて地域のあり方、かたちを考える「地域
域により深く関わりその成果を世界に発信すべく「Think
合庁舎という大きな建物などさまざまなプロジェクトを市
民と運営している「武蔵府中 地域デザイン学校」の後援
デザイン学」がいまこそ求められています。こうした思い
Local Act Global」を活動方針に掲げました。このテーマ
民の前で建築家がプレゼンテーションしました。馬車道駅
を行い、その講座の一つを担当したことを高田典夫氏が
から、より広く地域や社会の在り方を勉強していこうとい
に即し、横浜、神奈川に顕在、あるいは潜在する様々な問
コンコースという場所柄、通勤帰りの通りがかりの市民が
Bulletin(2014 年 7 月号)で報告しています。
う視点で、行政上の境を越えて人や空気がつながっている
題に、より実践的に取り組むため 6 つの研究会を立ち上げ、
足を止め興味深く聞いていたり、予想以上の盛り上がりで
議論、調査、試行をしています。
した。“今後定例化も視野に入れ建築局と調整していきた
1. 府中建築文化フォーラムの18年の活動と地域デザ 蔵府中 地域デザイン学校」を 2012 年 5 月に開講しまし
その研究会の一つで飯田代表自らが委員長として取り組
い。また引き続き様々な段階でのレビューも検討したい。”
イン学校
た。複雑化する地域課題について、今私たちにできること
む『デザインレビュー研究会』があります。“建築家の考
と飯田代表は更なる意欲を見せています。
府中建築文化フォーラムは、東京の府中や多摩地域に在
は何か、地域に住む人が難しいテーマをやさしく、深く、
え方を市民にどう伝えていくのか?研究会では、単に市民
今までデザインの意図やそこに至るまでの考えを市民
住する都市計画家、建築家、プランナーなどの専門家と
面白く、共に学び、磨き、まちづくりを語り、アイデアを
に対し一方的にプレゼするだけではなく、市民や他の専門
にあまり知らされずに建築
市民が連携してまちづくりを考え実践をめざす団体です。
発想して街育の原動力につなげたいと考えています。学識
家の意見を聞く、双方向的な場面の必要性、建築の企画か
されてきた公共建築物です
1996 年に発足し、これまでの活動に対し府中市都市景観
専門家、地域で活動・研究している市民、行政、など多彩
ら、完成後の使い方まで様々な段階でのレビューのあり方
が、このようなデザインレ
賞 (2004 年まちづくり活動部門 )、日本都市計画家協会賞
な講師による講座を行ってきました。その主なテーマは
が必要である。”と飯田代表は力強く語り、研究会を立ち
ビューをすることで市民と
(2008 年特別賞 ) が与えられました。今までの活動は、
「街
「地域デザイン学校について」安部貞司、
「地域デザイン論」
上げました。
対話しながら『建物をつく
づくり探検隊」による「府中ステキ発見マップ」5編の作成。
高谷時彦、「市長と語る」府中市長、「日本の街を美しくす
メンバーが講師の「街づくり市民塾」。地域資産を活かし
る」土田旭、「子どものための地域デザイン」千賀裕太郎、
る』ことが『まちをつくる』
駅ナカトーク
地域を考える出発点として市民が共に学ぶ、連続講座「武
FORUM
ことに繋がると思います。
た街づくりや景観について冊子として発刊(VOL1・府中
「ふるさとを取り戻す市民の学び」朝岡幸彦、「世田谷風景
たとえ小公民館のような小さな建物でも設計者自身が市民
の歴史と自然を活かして / VOL 2府中のまちのデザイン
づくり」(世田谷区都市整備部長)、「東日本大震災からま
にプレゼンテーションすることで、行政側も設計者も利用
に向けて)。多摩川中流域 7 市(府中、調布、国立、狛江、
ちづくりを考える」市古太郎、「地域デザインとまちづく
者である市民からさまざまな意見を受け取ることができま
立川、多摩、稲城)のまちづくり活動団体による「多摩川
り会社」福川裕一、「アーバンデザインセンタ・開かれた
す。それよりも市民にとっては税金を投入してできる自分
街づくり会議」。府中市民ワークショップを開催し、地域
まちづくりの場」前田英寿、「都市と建築のパブリックス
たちが使用する建物を自分たちでつくるという意識が芽生
文化や資源を掘り起こして再評価し景観向上や街づくりに
ペース」松下希和、「まちづくりはひとづくりから〜空間
えるに違いないと思います。そこには市民の ‘ おらがまち ’
活かそうと「市民提案書 市民が考える府中の景観とまち
ワークショップを通して」高田典夫など。 に対する愛着と誇りが生まれ、思い出を育むモノをおいそ
づくり」として成果をまとめました。2007 年には多摩地
地域デザイン学校は、都市像、地域像、社会像、都市の
その第一回トライアルは、JIA 神奈川が毎年開催する建
れと壊すということにはならなくなると信じます。そして
域の9大学と連携した「府中インターユニバーシティー
かたちのつくられ方や都市のかたちを創る主体などについ
築祭で実施されました。多くの市民に見て頂こうと、ここ
そこには ‘ すまう文化 ’ が生まれると信じます。
2007」を開催しました。そして、東日本大震災後に、フォー
て、異なる視点と立場で地域社会に立脚した議論をする場
数年は馬車道駅コンコースを貸切り ‘ 建築 WEEK CROSS
『デザインレビュー』のありかたは模索中ですが、『良質
ラムの発足時の問題意識に「地域デザイン学」の必要性と
にしたいと期待しています。今後は、フィールド学習や個
× CROSS’ として建築祭を開催しています。2014 年度の
な建築、美しいまちづくり』日本版 CABE の実践版として
いう視点を加えて「地域デザイン学校」を開講しました。
別テーマについてリサーチ・研究を行ないたいと考えてい
JIA 神奈川の建築祭は、2月24日から3月1日まで1週
是非全国の JIA で実施できたら『市民がまちをつくる』意
間と長い期間開催し、多くの市民に建築活動を見て頂きま
識が変わるのではないかと思い、可能な限り全国展開でき
2. 武蔵府中・地域デザイン学校の目指すもの
尚、日本建築家協会 ( 三多摩 )、都市環境デザイン会議、
した。その中でも毎晩「駅ナカトーク」を行い、駅のコン
たら、と期待します。それは、きっときっと『まちを愛す』
高齢社会や少子化に伴う社会構造の変化、地球環境にや
日本都市計画家協会 景観デザイン支援機構、東京農工大
コースでライブでトークショーを展開し、最終日は『デザ
という市民がまちを育てる心、『その建物を愛す』という
さしい循環型エネルギー社会への転換、中心商店街や地域
学、首都大学東京、東北公益文科大学、府中市、の後援お
インレビュートライアル』を実施しました。2014 年度包
市民のすまう心、すまう文化(住育)につながり、日本版
産業の再生など多くの課題を抱える中で体験した東日本大
よび大学研究機関との連携で実施していることを記して感
括連携協定を締結した横浜市の建築局との共催で、実際に
CABE につながると信じています。
震災は、単に物的環境に留まらず、都市空間、地域コミュ
謝申し上げます。
馬車道駅コンコースでの「駅ナカトーク」デザインレビュートライアル
ます。
横浜市が発注し実施設計が終了した段階にある大小 5 つ
18 Bulletin2015 年 5 月号
Bulletin2015 年 5 月号
19 FORUM
〜日本版 CABE の試み〜
選挙公報
選挙公報
公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部
■ 長野地域会
定員一杯でありましたので、全員を候補者として確定いたしました。
なお改選候補者につきましては、「候補者名簿」に登載し、役員選出規約・第 2 条 2 項及び 5 項により支部総会において選任することとなります。
■ 栃木地域会
■幹事候補者
慶野 正司
(けいの まさし/ 1957 年 1 月 1 日生)
■ 神奈川地域会
● 推薦者:土屋博
高橋 隆博
(たかはし たかひろ/ 1964 年 6 月 8 日生)
● 推薦者:青木恵美子
● 略歴:
日本大学 理工学部 建築学科 卒業
1988 年 渡米 ((株)一色建築設計事務所スタッフとして現地パー
トナー事務所にて研修 )
1989 年 ( 株 ) 一色建築設計事務所
1995 年 木構造研究所 IWG
アトリエ秀 開設
同年
2006 年 (株)アトリエ秀へ法人成 代表取締役
● 所信:今期、神奈川枠にて常任幹事を務めさせて頂きました。支部全体の
活性化と共に、地域とのパイプ役を担って参りたいと存じます。具体的に
は、神奈川地域会の活動の活発化と支部全体との相互ノウハウの共有や協
力を深めていきたいと思います。一方、支部広報委員長として既存コンテ
ンツのモディファイも、まだ道中端であり、引き続き注力する所存であり
● 略歴:
● 略歴:
関東学院大学工学部建築学科 卒業
(株)アビナアソシエイツ一級建築士事務所 共同設立
アトリエ慶野正司(一級建築士事務所)設立
JIA 入会
栃木地域会 代表
足利工業大学、国立小山高専(非常勤講師)
● 所信:建築を取巻く環境が変わりつつある中、建築家として更なる社会的
信頼を獲得すべく JIA は公益社団法人化し、その社会的役割と責任がより
一層問われています。地域の実情を踏まえ、支部活動の一助となることが
できましたらと考えます。
● 推薦:氏は当 JIA 地域会の代表を長期務められ地域会は基より、JIA 本会
● 所信:2 年間関東甲信越支部の幹事を務めてきましたが、引き続き地域会
の推薦を受け立候補させていただくことになりました。昨年 11 月に発生
した長野県神城断層地震に際し支部・地域会の皆様には多大なご支援をい
ただきましたが、この経験を生かし、北関東を中心とする地域会相互の情
を集約し地方と支部の連携を計り、微力ではありますが、支部の発展に尽
ました。神奈川地域会では、今期幹事長として、地域会の運営にも多大な
尽力をしていただいています。来期も引き続き、支部と地域会の連携を担
う役として、期待致しますので、推薦致します。 ( 青木恵美子 )
■ 千葉地域会
星野 治
(ほしの おさむ/ 1952 年 11 月 2 日生)
● 推薦者:櫻井修
● 略歴:
FORUM
1952 年 千葉県生まれ
1977 年 明治大学工学部建築学科卒業
1979 年 明治大学大学院修士課程修了
1979 年 (株)潮建築設計事務所勤務
2012 年 (株)潮建築設計事務所代表
● 所信:私は JIA 千葉地域会の前身である千葉建築家協会で 2002 年より業
務委員会に所属して、主に公共建築設計における業務環境の改善に取り組
んでまいりました。2009 年からは、千葉県建築設計6団体(JIA 千葉・
建築士会・事務所協会・JSCA 千葉・設備事務所協会・建築学会千葉支所)
との合同の協議会が発足し、業務報酬基準の徹底等の広報活動を全県内に
展開することができる体制になりました。私は、今後、他の地域・都県の
同様の活動を広く見聞して、所属する千葉地域会の更なる活性化のために、
微力ではありますが貢献できるよう務める所存であります。
● 推薦:星野治さんは、建築家として質の高い作品を創造すると共に、長く
千葉地域会の業務部会幹事として他団体と連携し会員の業務環境の改善に
取り組み多大な成果を上げました。又県学生賞の推進に尽力しています。
氏の平素より物静かで冷静な立ち振る舞いや言動、信念、倫理観には敬意
を表します。これまでの地域会活動を通して培ったものは、支部活動に多
大に貢献し、成果を上げることが期待されます。 ( 櫻井修 )
● 所信:人と自然を大切にした建築づくりと社会・街・文化の創造と発展に貢
献することを常に意識しながら活動しています。支部と地域会の連携を図る
役割を果たしていきたいと思います。
● 推薦:飯井さんは JIA 入会以来、群馬地域会の中心的な活動を担われています。
高崎マーチングフェスティバル協会理事長をはじめ、地域に根ざした社会活
動も積極的に行なわれているバランス感覚に優れた建築家であり、これから
の JIA の活動に必要な人物です。支部、地域会のパイプ役としても大きな力を
発揮されることを期待し、群馬地域会枠の幹事として推薦致します。( 曾田彰 )
長野地域会一同の総意として山口さんを次期支部幹事候補に推薦いたしま
す。 ( 赤羽吉人 )
■ 中野地域会
白江 龍三
(しらえ りゅうぞう/ 1952 年 1 月 24 日生)
● 推薦者:安達治雄
1952 年 埼玉県生れ。日本大学理工学部建築学科卒業、同大学院理工学
研究科修了。
株式会社菅原建築事務所、株式会社日本設計事務所(嘱託等)、株式会社
SDC を経て、1988 年に株式会社白江建築研究所設立、代表取締役就任。
2006 年〜 2010 年 株式会社日建設計代表付。
現在 前橋工科大学非常勤講師、 株式会社白江建築研究所代表取締役。
日本建築学会賞作品賞、JIA 環境建築賞、建築設備デザイン賞、アルプロゲッ
トアワード 2006 公共施設部門1席、シカゴアテナウムミュージアムグリー
ングッドデザイン賞など受賞。
の幹事の職責をまっとうする所存なのでよろしくお願いします。
● 推薦:奈良田さんはこれまで山梨地域会の事業委員、会計などを担当、支
部では総務委員会等の委員をしました。何事にも真摯に取り組みやり遂げ
る有能な人です。地域会会員の人望も厚く、地域会にはかけがえのない人
材です。山梨地域会からの支部幹事としてふさわしい人と考えここに推薦
● 略歴:
2002 年 日本大学卒業
2004 年 武蔵野美術大学大学院修了
アトリエ事務所勤務を経る
2010 年 スタジオエイチを立ち上げる
● 所信:現在、支部の広報委員会、学生デザイン実行委員会副実行委員長、
災害対策委員会 WG などを勤めさせていただいております。各委員会では、
参加しないとわからない事がおおく、自ら動かないと何もわからない状況
割ができればと思っております。
● 推薦:杉山英知さんは、これまで支部委員会 ( 広報・学生デザイン・災害対策 )
で活躍され、同時に城東地域会でも中心メンバーのひとりとして活動され
ています。会員減少高齢化という大きな問題をかかえる JIA の中で支部委
員会と地域会のパイプ役として連携・調整に努めて下さると期待していま
す。そのような理由から杉山英知さんを幹事に推薦いたします。 ( 岸成行 )
● 所信:中野地域会と関東甲信越支部のパイプ役となって、地域に密着した
JIA 活動の促進に参加したいと考えて、地域会幹事に立候補しました。
■ 文京地域会
● 推薦:白江さんは、中野地域会の活動に参加されるようになったのは比較
手嶋 保
的に最近なのですが、それゆえに提示される視点も新鮮ですし、経歴から
(てしま たもつ/ 1963 年 4 月 28 日生)
も推察されるように、鋭利な感性を地域会のために発揮して頂けると期待
されます。支部役員会においてもバランスの良い議論・判断をして下さる
と思い、推薦申し上げる次第です。 ( 安達治雄 )
■三多摩地域会
木村 智
(きむら さとし/ 1952 年 6 月 20 日生)
● 推薦者:長田孝三
力ながら、日本建築家協会の会員として会の発展のために関東甲信越支部
● 推薦者:岸成行
があるように感じています。地域会と各委員会、支部をつなげるような役
● 略歴:
(ならた かずや/ 1957 年 6 月 16 日生)
ほど関東甲信越支部の幹事に推薦いただき身に余る光栄でございます。微
杉山 英知
(すぎやま えいち/ 1979 年 2 月 19 日生)
できない存在ですので、引き続き支部幹事を務めていただきたいと思い、
奈良田 和也
● 所信:入会以来、微力ながらいくつか委員を務めてまいりましたが、この
■ 城東地域会
果たされました。支部と地域会の連携のためにも山口さんは欠かすことの
■ 山梨地域会
● 略歴:
2004 年より山梨地域会会計係り
2009 年、関東甲信越支部総務委員
2012 年 2013 年、全国学生コンクール実行委員会委員
薦します。 ( 大野二郎 )
代理として活躍され、JIA の存在を関係行政機関に広く認めさせる功績を
■群馬地域会
● 略歴:
1983 年 千葉大学工学部建築学科 卒業
1983 年〜 岡野設計監理事務所勤務
1988 年〜 アルクデザインパートナーズ一級建築士事務所勤務
1995 年〜 飯井建築設計事務所を設立
き等区民との交流、区役所の担当者との連携にも熱心です。支部幹事と推
年 11 月に起こった長野県北部神城断層地震の際は、現地災害対策本部長
ます。 ( 土屋博 )
● 推薦者:曾田彰
● 所信:関東甲信越支部と新宿地域会の連携の一助になればと思います。
● 推薦:武長さんは、新宿地域会の中心的活動をされています。景観や街歩
事を 2 年間務められ、支部と地域会との橋渡し役を担っておられます。昨
なく本県を代表する委員でもある事から本幹事に相応しいと考え推薦致し
(いい まさひろ/ 1959 年 12 月 31 日生)
東京理科大学工学部 建築学科卒業
吉田設計事務所入社
(株)魁綜合設計事務所
(株)然建築研究所 共同設立
(株)ニテカ一級建築士事務所共同設立
代表取締役
(株)NITCA 設計に社名変更、代表取締役
力したいと思います。
に於いて大変尽力され多岐に渡り精通しておられます。又 JIA に留まる事
飯井 雅裕
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1981 年 4 月
1988 年 11 月
1995 年 8 月
1997 年
2014 年 8 月
● 推薦:山口さんは現在長野地域会代表を務めておられるかたわら、支部幹
ます。
● 推薦:神奈川地域会から2年間、支部常任幹事として任務を果たして頂き
● 推薦者:大野二郎
● 略歴:
1979 年3月 東京理科大学理工学部建築学科 卒業
1979 年 4 月 北野建設(株) 入社
1992 年 2 月 (株)アーバー建築事務所設立、現在に至る
2013 年 4 月 JIA 関東甲信越支部幹事
2014 年 4 月 JIA 関東甲信越支部長野地域会(JIA 長野県クラブ)代表
報交換と連携強化に努めます。また、長野地域会代表として地域会の意見
1979 年
1981 年
1984 年
1993 年
2011 年〜現在
(たけなが りゅうじ/ 1951 年 11 月 1 日生)
● 推薦者:赤羽吉人
2015 年度役員改選に関し、2 月 15 日に第1回告示を行い、3 月 9 日の締切日までに提出された届出書をもとに、3 月 12 日の第 2 回選挙管理委員会で、候
ともに、改選の神奈川、千葉、栃木、群馬、山梨、長野、中野、三多摩、新宿、城東、文京、渋谷、目黒の 13 地域会と自由枠 3 名及び監査 1 名とも、改選
武長 龍二
(やまぐち やすのり/ 1955 年 1 月 7 日生)
第2回告示:2015 年 4 月 15 日
補者に関する資格審査を行いました。その結果、役員選出規約及び選挙細則による候補者並びに推薦者としての資格を充足し、適格であることを確認すると
■ 新宿地域会
山口 康憲
選挙管理委員会 委員長 田川 尚吾
● 推薦者:髙田典夫
● 略歴:
1978 年
同
2014 年
同
2013 年
早稲田大学大学院 理工学研究科 修士課程 修了
郵政大臣官房建築部 入省
日本郵政株式会社 退社
株式会社 日本設計 入社
(公益社団法人)日本建築家協会 入会
FORUM
2015 年度役員改選結果
● 推薦者:野生司義光
● 略歴:
1963 年
1986 年
1990 年〜 1997 年
1998 年
2011 年
福岡県生まれ
東和大学工学部建設工学科卒業
吉村順三設計事務所
手嶋保建築事務所開設
株式会社手嶋保建築事務所に改組
● 所信:建築家協会の基本理念に沿い、会の発展とあるべき社会貢献に尽力
したいと思います。
● 推薦:手嶋保さんは、文京区に於いて主に個人住宅の設計を主とする設計
事務所を主宰されています。文京地域会は当然のことながら、文京建築会
(建築士会文京支部と合同の会)を通じて地域活動に熱心に活動されてい
ます。よって手嶋保さんを幹事に推薦致します。 ( 野生司義光 )
● 所信:JIA 入会と同時に三多摩地域会活動に参加させていただきました。
支部と地域会の連携を図る役目を果たしたいと思います。
● 推薦:経験をいかして JIA の活動を支えていただける方です。また、三多
摩地域会の中で主要なメンバーとして活動に参加されています。ぜひ幹事
をお願いしたいと思います。 ( 髙田典夫 )
いたします。よろしくご高配下さいますようお願い申し上げます。
( 長田孝三 )
20 Bulletin2015 年 5 月号
Bulletin2015 年 5 月号
21 選挙公報
ひといき。。。
■ 渋谷地域会
■ 自由枠
菅原 賢二
市村 宏文
(すがわら けんじ/ 1951 年 1 月 25 日生)
(いちむら ひろふみ/ 1966 年 5 月 12 日生)
● 推薦者:南條洋雄
● 略歴:
1975 年
1975 年〜 1977 年
1979 年
1979 年〜 1990 年
1992 年〜
京都大学工学部建築学科卒業
入江三宅設計事務所
東京芸術大学美術学部(奥村研究室)修士課程卒業
石本建築事務所
菅原賢二設計スタジオ設立
● 所信:JIA 地域会がそれぞれの地域と密着して活動し、JIA の存在意義を認
● 推薦者:左知子 宮地洋樹 連健夫 進藤憲治
● 略歴:
1989 年 日本工業大学工学部建築学科卒業
1989 年 (株)CORE 都市建築設計事務所
1992 年 (株)瑞穂設計研究所
1997 年 エルスト一級建築士事務所設立
2000 年 (株)エルストに改組 現在に至る。
員会にも関わらせて頂きました。その活動で得られた経験をもとに、新しい
とが大事なことだと考えます。また、各地域会が独自の活動をしながらも、
JIA を次の世代へつなぐため、しっかり務めたいと思います。
性もあります。地域会相互の連携でより現実的な諸問題のありようを知り、
今後の JIA の活動に寄与できればと願う次第です。
● 推薦:菅原賢二さんは JIA 渋谷地域会設立時からのアクティブメンバーです。
住まいとまちの万華鏡
様々な国で設計活動をしてきた岩村氏ならではの視点による
特に自分が訪れたことのない中近東の国々、そして環境先進
わかりやすい解説、そして写真の数々。
国のドイツ、後半にまとめられている日本では今までになかっ
一つの建物についてではなく、まちの雰囲気や暮らしぶり、
た新しい発見が多く、ページをめくる手も自然と早くなりました。
その時代の様子などが氏の感性と視点を通して丁寧に描写され
訪れたことのない国々を一歩身近に感じさせ、旅に出たくな
ています。
る一冊です。
● 所信:入会以来参加している城南地域会での活動を通じ、広報、総務と委
識していただき、また我々も地域活動を通して建築家として成長していくこ
都市問題等普遍的なテーマが地域活動の中からより具体的に抽出できる可能
本紹介
〈杉山英知〉
広報からのお知らせ
● 推薦:市村さんは長く深く広報委員会の活動を続けられています。JIA の活
動を俯瞰的に分析できる方だからこそ、その立場を続けて来れたと思います。
その広い視点を JIA 幹事としての活動の成果として期待したいと思います。
( 左知子 )
■「ホームページワーキング」・「Bulletin 編集ワーキング」の活動に参加しませんか!
学歴も職歴も多彩多様で建築や都市の広範な見識をもって、自立した建築家
広報委員会では、ホームページの企画・運営や広報誌 Bulletin の
是非一度、お気軽に足を運んでみてください。以下に二つのワー
としての活動を展開されておられます。地域会活動では当初より地域会幹事
編集に携わってくださる方(会員)を募集しています。
キングを紹介します。
を務められ、又直近 2 ヶ月は会計を担当して下さいました。地域会活動を理
解する建築家のおひとりとして、渋谷地域会より推薦します。 ( 南條洋雄 )
■ 自由枠
渡邉 顕彦
■ 目黒地域会
(わたなべ あきひこ/ 1959 年 4 月 5 日生)
棚橋 廣夫
● 推薦者:木村丈夫
● 略歴:
1963 年 3 月
日本大学理工学部経営工学科建築専攻 卒業
1963 年 4 月〜 1965 年 6 月 大江修設計事務所 勤務
1965 年 10 月〜 1966 年 6 月 ダニエル・マン・ジョンソン
アンドメンデンホール設計事務所勤務
1966 年 8 月〜 1968 年 9 月 レオ・ウウラス設計事務所(スウェーデン)勤務
(株)エーディーネットワーク建築研究所設立
1969 年 10 月
代表取締役今日に至る。
日本大学生産工学部建築工学科講師
1969 年〜 1979 年
日本大学理工学部建築学科講師
1990 年〜 1996 年
● 所信:2014 年 4 月より目黒地域会代表に就任、又 2013 年 4 月より支部幹
事を務めてまいりました。地域会活動の活性化をはかり支部活動に反映させ
るために幹事に立候補したいと思います。
● 推薦:目黒地域会 2015 年第 2 回定例会(2015 年 2 月 26 日開催)に於て
2015 年度関東甲信越支部幹事改選候補として当地域会所属の棚橋廣夫氏を
選出致しましたので推薦いたします。 ( 木村丈夫 )
■ 自由枠
FORUM
藤沼 傑
(ふじぬま まさる/ 1962 年 7 月 17 日生)
● 推薦者:三原栄一 高階澄人 上浪寛 左知子
● 略歴:
1985 年
1989 年
2006 年
2008 年 -2012 年
2007 年 -2014 年
2012 年
2012 年 - 現在
2013 年
2012 年
2013 年 -2014 年
● 略歴:
1982 年 3 月
1984 年 3 月
1984 年〜 2001 年
2001 年〜
早稲田大学 / 理工学部 / 建築学科卒業
早稲田大学 / 大学院理工学研究科 / 工学修士課程修了
三菱地所株式会社
株式会社三菱地所設計
● 所信:価値観の変化、多様化が著しい昨今、実務を行う中でも建築家の果た
す役割も多岐に渡り、複雑化していることを実感します。社会からは新しい
建築家が求められています。多くの建築家が集まる JIA は、その責任を果た
すべく重要な時期に来ています。私は現在、関東甲信越支部の交流委員会の
委員長を務めさせていただいています。そこでの長年の活動で法人協力会員
企業の方々と JIA が社会に果たすべきを議論してまいりました。そこでの議
論を是非とも支部の活動の中で生かしてゆくべきと考えて立候補いたしました。
● 推薦:渡邉氏は関東甲信越支部交流委員会で長く活動しています。法人協力
動に参加してみたいがきっかけがつかめない」などお考えの方々
にとっては、広報委員会の二つのワーキングは JIA の活動参加へ
の足がかりになるはずです。
ホームページワーキング
● 所信:JIA に入会して今年が 10 年目となります。これまでに各種委員会等
で多くの先輩方に建築家としての資質についてご指導頂きました。引き続き、
建築家の社会的地位向上により、よりよい市民社会形成のため JIA 支部で努
力したく、幹事として推薦立候補します。
● 推薦:藤沼傑氏は組織事務所の建築家として豊富な実務経験を有することに
加え、国内設計業界の状況について造詣が深く更には海外設計業界の実際に
ついての知見も持っていらっしゃいます。JIA 活動においても、アーキテク
ツガーデン実行委員長、支部幹事長、支部副支部長などを歴任され、支部運
営においては欠かすことのできない方であると考え、幹事に推薦いたします。
( 高階澄人 )
22 Bulletin2015 年 5 月号
JIA 関東甲信越支部事務局 / 大西 [email protected]
TEL:03-3408-8291 FAX:03-3408-8294
Bulletin 編集ワーキング
支部 HP には会員向けのサイトの他に市民向け独立サイト「建築
家 ONLINE」(http://www.jia-kanto.org/)があり、これは建築に
興味のある子供から今後建築関連の職業に就きたいと希望する
学生、そして自宅の新築や建築計画を検討中の方を対象に、タ
イムリーな情報発信を目指すサイトです。特に、昨年は特設ペー
ジ「建築家になろう」(http://www.jia-kanto.org/online/kids/) を
加え、今春は「建築家 ONLINE」全体のデザインリニューアルに
着手するなど、ホームページワーキングが主体となって出し合
うアイデアをもとにして、より市民のみなさまに親しみやすい
サイトづくりがかたちになりつつあるところです。
Bulletin ワーキングでは、会員自らが企画・取材・編集・校正
を行い、手作りで誌面づくりを行っています。毎月1回のミー
ティングへの参加と、隔月発刊する Bulletin の誌面の企画・編集
作業を行います。また、JIA 内外への取材の機会もあり、中でも
Bulletin の人気コーナー「覗いてみました他人の流儀」では、建
築・デザイン分野はもとより様々な分野で活躍中の方へインタ
ビュー取材を行います。過去に取材・掲載させていただいた方は、
ホームページでご覧いただけます。
「覗いてみました他人の流儀」(http://www.jia-kanto.org/online/
tanin/)
会員企業との係りの中で、JIA が社会に貢献することを常に考えてきたと思
います。また、実務でも都市、地域、人と建築のかかわり方を提案、実践し
ています。今後、JIA が社会に対する役割を果たしてゆくためには、是非と
も有用な人材と考え推薦いたしました。 ( 東條隆郎 )
■監査候補者
金子 修司
(かねこ しゅうじ/ 1943 年 8 月 8 日生)
● 略歴:
1968 年 日本大学理工学部 建築学科卒業
1968 年 坂倉準三建築研究所 入所
1970 年 同所退所、(株)金子設計 入所
1989 年 代表取締役 就任
元 JIA 神奈川地域会(現 相談役)神奈川県建築士会理事 横浜市建築審査会
委員 横浜市都市美対策審議会委員 横浜市福祉のまちづくり推進会議委員
● 所信:新法人移行後の体制も順調に推移し、各地域会、委員会、部会もそれ
ぞれに意義ある活動が行われている。会員数の減少、予算の厳しさ等を乗り
越え、建築を通して市民のための JIA のさらなる活性化を願いお役に立てる
よう努力いたします。
● 推薦:金子さんは支部役員を1期、JIA 神奈川代表を 2 期務められ、現在は
■桜も咲き始め日ごとに暖かくなるのを感じます。この時期に「今年は
■心機一転! 髪をバッサリ切りました !!
何か始めたい」と心機一転の覚悟を思う今日です。三日坊主にならない
……ホントは忙しさにかまけ〜やっと散髪できてホッとした春。 [高橋]
[岡本]
事をです!
■節目節目が単なる今日と昨日になってしまう毎日です。その分毎朝が
族 3 人で揃って心機一転、新しい環境でがんばります!
編集
委員長
[杉山]
[萩尾]
と花見でサイズアップする春。
発行人
:浅尾 悦子
発行所
:公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部
:高橋 隆博
〒 150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-3-18 JIA 館
副委員長 :植木 健一・八田 雅章
委員
:岡本 寛・倉島 和弥・杉山 英知・萩尾 昌則
編集長
:八田 雅章
中村 晃・Florian Busch・長坂 典和
編集ワーキングメンバー:市村 宏文・大川 宗治・杉山 英知・立石 博巳
します。 (上浪 寛)
[八田]
■心機一転!衣替えに備えボディシェイプ !!……でもその前に、歓送迎会
関東甲信越支部 広報委員会
副編集長 :倉島 和弥
見を発揮していただける人材として、金子さんを支部監査候補者に推薦いた
スニーカーを新調し、今年もいろんな場所を歩いてみようと思います。
:公益社団法人 日本建築家協会
川県行政の委員会委員等、幅広く建築界の発展のために寄与されています。
瞰できる貴重な人材であると考えます。新法人法の支部監査として責任と知
■健康のために昨年からはじめたウォーキング。いい季節になったので
[倉島]
■早いもので息子が産まれて 11 ヶ月がたちます。4 月からは保育園。家
JIA 支部監査、神奈川建築士会理事並びに横浜市建築審査会委員を初め神奈
新たな公益社団法人に移行した JIA にとって、建築団体や行政を横断して俯
編集後記
「春!心機一転」
「心機一転」だと思う今日この頃。5月還暦 (>_<) ★*°
東京大学工学部建築学科卒業 株式会社山下設計入社
1 級建築士取得
JIA 入会、登録建築家
JIA 国際委員
JIA IPD-WG 委員・主査
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土居 志朗・萩尾 昌則・長坂 典和
表紙 / 本文デザイン :株式会社 スタジオネオ 伊波 サチヨ 菅原 真希
■ 定価 300 円 + 税/会員の購読料は会費に含まれています。
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(たなはし ひろお/ 1939 年 10 月 1 日生)
● 推薦者:東條隆郎 大澤秀雄 米田充治
「JIA に入会したばかりでまだ組織のことがよくわからない」「活
Tel: 03-3408-8291( 代 ) Fax: 03-3408-8294
発行日
:平成 27 年 4 月 15 日
印刷
:株式会社 協進印刷
■ JIA 関東甲信越支部関連サイト一覧
・( 公社 ) 日本建築家協会 (JIA) http://www.jia.or.jp/
・建築家 online ( 一般向け )
http://www.jia-kanto.org/
・JIA 関東甲信越支部 ( 会員向け ) http://www.jia-kanto.org/members/
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