カウンセリングこうべ 事務局 神戸カウンセリングセンター 代表 仲東 茂 本川 清裕 Tel. 090-3867-6393 〒653-0841 神戸市長田区松野通1-4-14 郵便振替 01190-2-17712 H.P. http://www.kobe-cc.com/index.htm 2016 年 文月号 2016.7.1.発行 思い出とともに 吉松 千代子 今は亡き友がくれた写真絵本の『はるになれ』(姉崎 一馬)を見ている。 この本は、彼女が自分の命に限りがあることを知ってから贈ってくれたものである。絵本 の裏表紙にある日付を見て、今更、びっくりしている。この本を貰って、もう14年もの歳月 が流れている。 彼女とは一緒に教育面接を受けた仲である。 私は、「はるになれ」を職場の相談室に置いて、時々開いている。 広い大地に一本の「ぶなの木」が立っている。一本で豊かに、そしてしずかにたたずんで いる。冬の日には雪風の中、枝の端々まで白く凍らせている。その白さは灰色がかった空の 中でもくっきり際立って見える。穏やかで凛としていて優しさをも感じる。 寂しさが押し寄せてくるような心細い夕暮れ時も、シーンと静まりかえり何かが襲ってき そうな真夜中でも、何事もないようにしっかり一本で立っている。 時が過ぎて、暖かい日差しの下、ぶなの木は芽吹き、やがて、サワサワとささやきが聞こ える季節がやってくる。枝越しに心地よい風が吹き抜けていく。ぶなの木は少し華やいだよ うに揺れる。木蔭も作った。人々を休ませてくれた。 亡き友がくれたこの本が、今、とても愛おしい。何故、あの時、彼女が私に贈ってくれた のか、今、よく分かった。 今も一緒に生きているのかもしれないと思えて、寂しくなくなった。 これから行く何回目かの曲がり角を、この木のイメージで生きて行けたらいいなあ、と思 っている。 -1- 「パーソナリティ理論」講座を終了してからの今 和田 優子 幼少時代より、人懐っこくて、“人間大好き!”と唱えながらも、「なんて、人間って摩 訶不思議な生き物であろうか」との疑問符が踊りだした。その瞬間に遭遇したのが"心理学" という学問である。 今回、神戸カウンセリングセンターで「パーソナリティ理論」の講座を受講し、自他のパ ーソナリティを知るための方法は多様であることが理解できた。 ・サイモンズは、パーソナリティの形成に関して、親の養育態度のモデルを提出した。 ・レヴィンは、場理論に基づきパーソナリティを層に分類し、その力動性を重視した。 ・フロイトは、パーソナリティ構造を、イド、自我、超自我の3領域に分け、そのバランス関 係を重視した。 ・ユングは、心的エネルギーを取り上げ、その発見の方向により、パーソナリティを外向的 ・内向的に分類した。 ・シュプランガーは、価値観からパーソナリティを6つに分類した。 ・クレッチマーやシェルドンは、体格とパーソナリティの関係を提唱した。 上記の理論を提唱した研究者以外にも多種多様な盛りだくさんの講座内容であった。 講義中に学ばせて頂いた理論から推測すると、パーソナリティ形成は、遺伝的要素と環境的 要素により成り立ち、その中で冷静な判断の上に、まず、自分を知ることから始まることに なるだろう。 学問上の解説で、「他人を理解するには、まず、自分自身を理解することだ」とよく言わ れていることが多少理解できたように思う。「相手を変えることはできないが、自分自身は 変えることができる」ことからも読み取れるようだ。反面、人格障害の場合には性格を変え なければ、根本的には治らないといわれている。 以前、何かで読んだ「フロイトの精神分析は行動主義」という面から、人が好きだという のは「嫌いだ」というのが隠れているので裏を取ることもあるというのである。 冒頭で述べさせていただいた「人間大好き」は、ダブル・バインドが潜伏しているのだろ うか? 未熟な自分自身の知識が彷徨し、疑問符が漂流し始めたのである。 また、人格障害(他人に迷惑をかける=自己愛)と正常の分岐点は衝動のコントロール作 用から浮上するように思われる。 例えば、最近のニュースにスポットを当てると、爽やかリズムと謳われている教育者 や政治家などが、週刊誌のスクープで暴露され、窮途路線変更(イメージダウン)状態 化する出来事が起こった。世間では「裏切り行為」のレッテルを張り、人格者が瞬く間 に急降下濁流化現象となっていったのである。 講座終了後、「人間大好き」などと軽はずみな表出に赤面してしまう自分がいた。 奥深く根ざしたパーソナリティは、時空間をこえて変化していくものであるからだ。 今後、神戸カウンセリングセンターでの講座を礎に自己分析(無意識を意識化)と他者分析 -2- の長所と欠点などをあらゆる角度から捉え模索していきたいと思う。 最後に、親しみを込めてご熱心に講座内容を講義して下さったご担当の仲東先生、河合先 生、井上先生と、仲良くして下さった受講生の皆様に心より御礼申し上げます。 「パーソナリティ理論」講座に参加して 鏡原 友実 平成27年度に神戸カウンセリングセンターで開かれたパーソナリティ理論を受講しま した。パーソナリティ理論では、「パーソナリティとは」という基礎となる部分から、パー ソナリティを形成する様々な要因、理論、人間の発達、面接方法、心理検査などについて学 習しました。 パーソナリティ理論からは少し離れてしまいますが、私の仕事の話をさせてください。私 は高等学校で養護教諭をしています。10代真っ只中の彼ら彼女らが悩みながらもどんどん成 長していくそのパワーに魅せられて、養護教諭になりたいと思いました。念願叶い、思い描 いていたハイスクールライフ!(教員としてですが)が送れると思っていましたが実際には うまくいかない事がたくさんありました。 保健室には色々な生徒がやってきます。怪我をした子、熱がある子、大人しい子、元気な 子、無気力な子、やんちゃな子…。色々な目的でやってきます。時には、悩み事があって保 健室にやって来る子もいます。そんな時にはその子の目線に立って、その子の世界を理解す ることを心がけていますが、一緒に負のスパイラルにはまり込んでしまうこともしばしばあ ります。時にはスクールカウンセラーの先生に、生徒と一緒に引っ張り出してもらう事もあ ります。私から見るとスクールカウンセラーの先生はまるで素敵な魔法使いのようです。 今回、パーソナリティ理論を受ける中で、保健室に来る生徒たちの顔が思い浮かぶ場面が あり、一人ひとりがどう感じているのか、物事をどう見ているのかを考えました。そして、 今までは私から見える側面からしか見ていなかったのかもしれないと感じました。それぞれ に家族や友達との関係があり、色々な経験をして、パーソナリティを形成しています。当た り前の事ですが、それぞれの生徒が自分の生活を送っていて、学校はその生活の中の一部で ある事、学校で見ているその子は学校の外での様々な人や物事に影響を受けている事を実感 した気がします。 私自身が鈍感でマイペースな所もあり、カウンセリングには向いていないのではないかと 思うこともよくあります。けれど、「保健室に来るあの子たちに何か出来ることはないかな ぁ」と考えると、やっぱり、カウンセリングにたどり着きます。まだまだ素敵な魔法使いへ の道は険しく遠いですが、自分なりに一歩ずつ進んでいけたらと思っています。 -3- 事務局よりお知らせ 1 会費納入のお願い 会費の納入をお忘れではありませんか? 平成 28 年度会費納入がまだの方は出来る だけ早く郵便振替にてお支払いをお願いします。 記号番号 : 01190-2-17712 口座名 : 神戸カウンセリングセンター 金 額 : 2,000円 通信欄に、「平成28年度会費納入」と必ず記入して下さい。 2 例会のご案内 原則として、毎月第2土曜日に開催(8月は第4土曜日) 3 1日カウンセリング学習会・新春カウンセリング学習会について (1)1日カウンセリング学習会…平成 28 年 12 月3日(土)グリーンヒルホテル神戸 (2)新春カウンセリング学習会…平成 29 年1月4日(水)~6日(金)(場所は同上) 昨年度は特に新春の参加者が少なく、運営面で支障が出てきています。昨年度は 予定していた1講座(「ロールプレイングⅠ」)も開講できない状況となってお り、当センターを存続していくためには会員のいっそうの努力が必要です。 特に新春カウンセリング学習会へのご参加をぜひよろしくお願いいたします。 編集後記 今回は吉松さん、和田さん、鏡原さんにご協力いただきました。吉松さんは亡き友への思 いをお書き下さいました。一言一言に思いがあふれて気持ちが伝わってきます。和田さんは 当センターの会員ではありませんが、「パーソナリティ理論」の講座を受けられた感想を依 頼したところ、快くお引き受け下さいました。受講されて、多くのことを感じ取られたこと が伝わってきます。鏡原さんは当センターの若手ホープとして、これからお勉強を重ねてい かれるだろうと期待しています。養護教諭としてのお仕事と絡めて、魅力的な内容の文章を お書き下さいました。お三方とも大変お忙しい中、ご協力下さり、ほんとうにありがとうご ざいました。 本誌は、会員の皆様のご協力によって成り立っております。ご寄稿依頼の際にはご協力を よろしくお願いいたします。また、奮って原稿をお寄せ下さい。 ( 堀田百恵・本川清裕 ) -4-
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