一歩踏み出すときの「がん患者・家族サロン」

2015
10
Oct
13号
写真の説明は7ページをご覧下さい。
一 歩 踏 み 出 す と きの「がん患者・家族サロン」
社会の成熟が進むにつれ、医療の中
でがん治療の占める割合が大きくなっ
ています。それに伴い放射線治療がメ
ディアなどで取り上げられる機会も増
えていますが、「新しい」「画期的な」
治療という説明と共に紹介されると少
し違和感を感じます。放射線治療はと
ても長い歴史を持つがん治療だからで
す。その長い時間の中では、有効性だ
けでなく限界や副作用も明らかにされ
ますが、それでも有用性が高く評価さ
れ、淘汰されることなく続けられてき
た治療です。ただ、長い歴史が災いし
ている面もあります。医療技術が未熟
であった時代、特に画像診断や正確な
照射装置が普及する以前の放射線治療
は、確かに副作用ばかりが目立って満
足のいくものではありませんでした。
その古い時代の風評が今も根拠無く繰
り返され、時に適切な意志決定を妨げ
ていると感じます。わが国では欧米の
半分も放射線治療が活用されていない
のが現状です。
そもそも放射線とは何でしょうか。
簡単に言えば高速で動き回っているエ
ネルギーの流れです。自然界のどこに
も存在し、私たちの体の中でも絶えず
放射線が発生しています。この放射線
をコントロールし、腫瘍に高いエネル
ギーを集中するのが放射線治療です。
放射線はがん細胞の遺伝子にダメージ
を与えて、細胞を破壊したり、成長を
抑えたりします。放射線がたくさん当
たったところに治療効果が現れるの
で、放射線治療は局所療法です。抗癌
剤とは異なり、狙いをはずせば効きま
せんが(画像診断が重要な理由です)。
一方で副作用が生じる可能性があるの
も局所だけです。つまり、目的の如何
を問わず、治療対象が小さいほど、限
られた負担でより強力な治療が可能と
いえます。
放射線治療は、利点・欠点がよく検
証されている信頼できる治療であり、
更に進歩を続けています。初めての治
療に不安はつきものですが、治療のタ
イミングが結果を大きく左右すること
もあります。私達
にご相談していた
だき、有効に放射
線治療をご活用く
ださい。
放射線腫瘍学科
教授
有賀 久哲
がん患者・家族サロンの目的
お 待 ちして いま
が
ち
す
私た
~専従スタッフより~
がん患者・家族サロンの機能
1.がん患者・家族同士の情報交換や親睦を
図ります
がん患者・家族サロンは「患者や家族同士で気
軽に不安や悩みを語り合い、元気になれる場が欲
しい」という患者さんの
“声”
から生まれました。
ボランティアの方々や専従スタッフが、利用さ
れる方のお話を伺い、気持ちに沿いながらアドバ
イスを交えて対応いたします。
不安や悩みを共有し合うことで、少しでも気持
ちが軽くなるようなサロンを目指しています。
2.がんに関する様々な情報収集ができます
がんに関する情報は、正しいものから
“?”
(ク
エスチョンマーク)がつくものまで溢れている時
代です。
しかし、患者さんが医療関係者の説明だけでは
内容をよく理解できずに、情報不足のまま治療に
臨んでしまう場合も少なくないようです。
そこで、サロンで確かな情報を得て安心して治
療に専念していただくために、インターネット、
書籍、DVDや各種パンフレット等が利用できま
す。コピー機も備えていますので、サロンで得た
情報を印刷して持ち帰ることもできます。
3.がんに関する疑問に医療者が対応します
患者会から「気軽に相談ができればいいな」と
いうご要望があり
“よろず相談”
の時間を設けてい
ます。
担当表にそって、薬剤師、看護師、栄養士、医療
相談員の4職種がそれぞれの専門領域を活かし、
薬のこと、病状のこと、食事のこと、経済・社会的
なこと等の相談に対応いたします。
「ちょっと聞きたいんだけど…」、「こんなこと
聞いてもいいのかしら…」といった相談でも、気軽
に声をおかけください。
「がん患者・家族サロン」のホームページ
岩手医科大学の
ホームページから
もリンクできます。
たくさんの情報を
発信していきたい
と思いますので、
ご覧下さい。
▲トップページ
http://www.iawate-med.ac.jp/hospital/gancenter/index.html
岩手医科大学 がんサロン|
検索
CLIK!
サロンを利用して下さる方はほとんど女性ですが、最近
では男性の方も増えてきています。ボランティアさんが作
って下さった帽子類を差しあげたり、本の貸し出し、各種
イベント、さらに、よろず相談を受けゆっくり話せる憩い
の場としても利用頂いております。
入院している女性の方が、同室の80歳代の方にサロンを
紹介して下さいました。
「2年前に治療で髪の毛が抜け、落ち込んでいて帽子を買
いに行く余裕もなく困っていた時にサロンを知りました。
頂いた帽子は使い心地が良く大変助かりました。同じお部
屋の方も何も準備してないので“良い所”に案内しますと言
って一緒に来ました」サロンを利用している方が他の方を
紹介して下さって人と人との繋がりを感じました。
サロンの開設当初からの小野さん、金丸さん、そして小
澤さん達が作りあげてきた”癒される場所”としてのサロン
を、新たに専従スタッフに加わった畠山さんと一緒に受け
継いでいきたいと思っております。
ちょっとサロンに寄っ
て、お茶でも飲みながら
話しっこをする気分で気
軽にいらして頂けたらと
思います。お待ちしてお
ります。
佐々木 ルリ子
佐々木ルリ子さん
佐々木ルリ子さん
畠山真利子さん
益 々 発 展していくことを
願って
今年、7月末日をもって、
「がん患者
・家族サロン」
(以下サロン)の専従
スタッフを退くことになりました。
開設から6周年が過ぎ、徐々にサロ
ンも知られるようになってきているこ
とを嬉しく感じております。これもひ
とえに、皆様お一人お一人の貴重な出会いがさらにまた新し
い出会いを生み、お互いのつながりがサロンを育てていただ
いていると深く感謝いたします。
これまでを思い返してみると、患者さんやご家族の悩みを
一緒に考えたことや、一人じゃないとほっとされた笑顔に出
会えたこと、心の拠りどころにしてくださっていることを感じ
たときや、ボランテイアの皆様の温かく前向きな数々の活動
を拝見できたことなど、私自身が大変貴重な体験をさせてい
ただきました。深く感謝申し上げます。
今後も、患者さんやご家族にとって心温まる場であり、希望
を提供できるサロンとして益々発展していくことを願っており
ます。
金丸 良子
子どもたちとの約束
メッセージ
まいこ
小学6年生を担任していた。修学旅行や運動会を共に過ごし、本音で伝
え合える関係になってきた頃だった。「ちょっと出かけてきます。また戻
ってくるね。頼んだよ。」そう言って病院に向かった。
結婚して約10年。妊娠していた。初めて聞く赤ちゃんの心音、
つわり。予定日もわかった。「高齢出産だから最悪のことも考え
ておこう」頭の中で感情にストッパーをかけて過ごしていた。し
かし,現実は想像を超えた。「がんが見つかりました」
残念ながら…子宮と共に赤ちゃんは天に帰すことにした。
毎日、自分を見失うほど泣き叫んだ。そして、自分より大切
タオル帽子倶楽部のみなさんと
な存在がこの世にあるのだと思えることができた。
それでも、前を向いて治療に臨むことができたのは、人の力だっ
た。先生方をはじめ看護師さん助産師さんの気遣い。プラス思考な
家族の支え。すべて受け入れてくださった職場のみんな。保護者の
方々。そして、元気になってと願ってくれる子どもたちの存在。
「また来ちゃいました」スタッフの方々と話すのが心地よく、入院
中は必ずがんサロンに足を運んだ。本をたくさん借り、自分の病気に
向き合えた。病人同士だからこそ貰える元気を頂いた。催し物に参加
するたび、かつらに帽子などの物を頂くだけではなく、リンパ浮腫を
防ぐ知識、対話カフェなどでがんへの向き合い方も学んだ。
中でもコットン帽子作りにはまった。ボラン
カギ編みで作ったコサージュ
ティアさんが超初心者&不器用な私にも、諦め
ずに教えてくださったおかげだ。編んでいるう
ちに、自分にも何か出来ることがあるんじゃな
いかと思い始めた。
「そうだ!卒業式につけるコサージュを、
子どもたち一人一人に編んで贈ろう」入院中
や診察の待ち時間、抗ガン剤治療中も、夢中
になって花を一個一個編み続けた。小さくと
も自分だけの目標ができたことにより、心は
さらに前を向くようになっていった。
3月。卒業式。陰で見守るつもりが、なんと
担任として袴を着て、子どもたちを呼名するこ
とに!たくさんの先生方のお世話になり、たく
ましく成長した子どもたちの晴れ姿は、とても
眩しく見えた。その胸にあのコサージュがちょ
こっとあるのが、わたしも子どもたちと関われ
た証としてあるようで嬉しかった。
手作りのコサージュを胸につけた教え子たち
平成27年度第1回 がん患者・家族サロン
ボランティア研修会
を開催しました
平成 27 年8月 1 日、盛岡の夏祭り“さんさ祭り”の初日に、エ
スポワールいわてにおいて平成 27 年度第 1 回「がん患者・家族サ
ロン」ボランティア研修会を開催しました。
まずは、これからボランティアをしてみたいという方を対象に
“サロンボランティアとしての心得”について研修をおこないまし
た。その後に、ボランティア活動をされている方も加わり、杉山
腫瘍センター長の開講挨拶で共通研修会が始まりました。共通研
修会では、新潟大学名誉教授の車田正男先生による特別講演「認
写真1.車田正男先生による特別講演
知症とボランティア」が行なわれ、参加者からは多くの質問が寄
せられました(写真 1)。
午後からは「コミュニケーション論その1」と「ロールプレイ」
が行なわれました(写真 2)。研修会ではコミュニケーション論を
元にロールプレイを毎回行なっておりますが、参加者からは、異
口同音に「ロールプレイさえなければ研修会は楽しいものといつ
も思っていましたが、今日はロールプレイの大切さを痛感しまし
た」という率直な意見を聞くことができました。
サロン担当
堀口 真由子
写真2.竹内がん看護専門看護師による
コミュニケション論とロールプレイ
「がん患者・家族サロン」の利用状況
平成21年4月から平成27年7月
平成21年4月8日から平成27年7月31日までの「が
ん患者・家族サロン」
(以下サロン)の利用実績を図1、
図2、図3に示しました。平成 27 年7月 31 日現在で、
延べ来訪者数は 21,264 人(稼働日数は 1,544 日、1日
平均 13.7 人)でした。
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平成 27 年度の来訪者数は4月1日から7月 31 日ま
での 83 日間で 1,287 人、1 日平均 15.5 人でした。
一日あたりの来訪者数の推移(図 4)は、震災後の支援
物資による来訪者数増加の反動で一時減少しました
が、その後微増傾向に転じています。
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図1.利用者の内訳
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図3.専従スタッフの対応と
よろず相談の内訳(重複あり)
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図2.利用者の医療圏別内訳
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図4.年度ごと1日あたりの
来訪者数の推移
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16
14
12
10
8
6
4
2
0
2009
2010
2011
2012
2013
2014 ᖺᗘ
病院デカ
病院長顧問
村上 彰秀
平成25年3月、37年間奉職した岩手県警察を定年退職し、同年4月から、岩手医科大学附属
病院の病院長顧問としてお世話になっております。
警察官人生の三分の二以上は捜査部門を担当し、「刑事=デカ」として過ごしてまいりまし
たが、岩手医科大学附属病院においても「病院デカ」との愛称をいただいて、院内の安全・安
心確保のため、老骨に鞭を入れております。
一方、院内医療メディエーション※1を行なうメディエーター※2の認定も取得させていただき、
医療者と患者の間に紛争が生じた場合、両者の対話を促進して相互理解を深め、紛争を解消する
という仕事も担っております。
最近、岩手医科大学附属病院との深い縁を知ったのですが、母は、三田定則学長のもと、岩
手医学専門学校の看護学生として学んだとのことで、その後、助産師として2,775名の命をこの
世に迎えておりまして、言わば、親子二代に渡ってお世話になっている次第です。
そのような事から、「病院デカ」としては、無意識のうちに看護師さんの安全・安心に力が
入り、暴言暴力、セクハラ等は絶対許せないと声に力がこもりますが、医療メディエーターと
しては、様々な人間の諸相を見つめ続けた経験を生かし、中立的な立場から対話促進に取り組
んでおります。
限りある人生で、気力、体力も残り少ないのですが、恩ある岩手医科大学のため、頑張って
まいります。
メディエーション中の村上顧問
※1
※2
病院内を巡回中の小野寺顧問
院内医療メディエーションとは、患者と医療者の対話の促進を通じて、情報共有を進め、認知齟齬(そご)
(認知的コンフリクト)の予防、調整を支援する関係調整モデル。医療の基盤をなす対話促進のソフトウェ
アとして、医療行為の一部を構成する。
院内医療メディエーター(医療対話推進者)とは、患者と医療者双方の語りを、いずれにも偏らない位置で、
共感的に受け止め、自身の見解や評価・判断を示すことなく、当事者同士の対話の促進を通じて、情報共有を
進め、認知齟齬(認知的コンフリクト)の予防、調整を支援する役割を担う人材である。
(社団法人日本医療メディエーター協会 ホームページよりhttp://jahm.org/ )
“おしごトーク” について
イベント情報
今年度から取り組んでいる「がん患者就労支援プロジェク
ト」では、
“おしごトーク”と企業研修会の2つの事業を行っ
ています。
そのひとつ“おしごトーク”は、7月 30 日がん経験者(働
くことを考えるようになったとき)、8月 27 日がん患者(従
業員の立場から)、9月 24 日がん患者(経営者の立場から)
の内容で開催しています。参加者は、「職場に迷惑がかかる
から、退職したほうがいいのではないか」という不安を抱え
て参加してくださいました。その中で、「経験者の話に励ま
されました」「使える制度を知り退職を急がないようにしま
す」「子供たちにがん教育をしていく必要がありますね」などの感想をいただきました。
当法人は障がい者や、ニート・ひきこもりの若者
の就労支援を行っている中で、2年前からがん患者
のための就労支援を行いたいという声が出ていまし
た。それは職員の中にがん経験者やがん治療を行い
ながら働いているもの、そして私自身が3年半前に
がんに罹患したという経緯からです。
雇用されている立場でも雇用する立場でも、等し
く自分の治療のため、あるいは自分と家族が生きる
ために、収入の確保をしなければなりません。
また自分が社会の中で役に立つことや必要とされる
ことも大切な意味を持つと思います。
できることからはじめていき、理解や取り組みの輪
を広げていくために、たくさんの方の参加をお待ちし
ております。
特定非営利活動法人いわてパノラマ福祉館
理事長
がん患者の就労支援
~県の取り組み~
岩手県保健福祉部医療政策室
特命課長
橋場 友司
「がんと仕事の両立支援セミナー」
開催のご案内
高舘 美保子
がんは国民の 2 人に 1 人が生涯のうちにかかると言われますが、
一方で医療の進歩や検診による早期発見の進展などで、がんを治
療しながら働く方も増えており、がん患者の治療と仕事の両立は
がん対策の重要な課題になっています。
県でも、がん患者の就労を支援するため、相談機関に関する情
報提供や事業者への啓発などを行っており、今回の「おしごトーク」
のような病院や NPO の取組とも連携しながら、がんになっても
安心して暮らせる社会づくりに向けた取組を進めています。
日時:11 月 16 日(月)14 時~、会場:アイーナ 804B
内容:国立がん研究センター 高橋都先生の講演、パネルディスカッション
問合せ・申込み先:県庁医療政策室 019-629-5416
13
投与された抗がん剤の
周囲への汚染を防ぐために
されます。そのため投与後最低48時間以内は排泄され
た抗がん剤が周囲を汚染しないように、トイレ・洗濯
・ケアなどについて表のようにすることが推奨されて
います。
毎回行うことは大変ですが、特に妊婦さんや授乳中
の小さいお子さんがいる家庭などでは気をつけてみま
しょう。
主任薬剤師 朝賀 純一
外来において点滴や内服薬などによるがん治療をす
る患者さんが増えてきていますが、家庭などでは患者
さんの尿や便などに含まれる抗がん剤が周囲を汚染す
る恐れがあります。最近、学会から発表された合同ガ
イドライン 1) の中で、患者自身やケアをする人が気を
つけるポイントがまとめられています。
個人差や薬の種類、注射・内服により違いはありま
すが、投与後48時間は尿や便の中に薬がたくさん排泄
表
抗がん剤投与後最低48時間以内における周囲への汚染対策
トイレ
可能なら男女とも洋式便所を使う
男性も座ったまま用を足す
便器のふたを閉めてから水を流す(水量・水圧が足りない場合には2回流す)
洗濯
通常の洗濯物は他のものと一緒に洗ってもよい
ただし、大量に汗をかいた場合や血液・乳汁・排泄物などで汚れている時には、
他の洗濯物と別にして1度洗う。その後、他の洗濯物と一緒に洗濯をする。
ケア
ケアをする人が患者の汚物にふれる時には手袋をする
直接患者の汚物にふれてしまった場合には、石鹸と水でよく洗浄する
がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン2015年版:
日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会編集, 金原出版株式会社をもとに作成
知っとく、なっとく
食べ物情報
No.13
椎茸、えのき茸には、免疫細胞を活性
化させるといわれるβ-グルカンの一種
レンチナンが含まれています。また、し
めじにはうまみ成分のアミノ酸や食物繊
維が豊富に含まれます。山菜ミックスや豚肉と合わせる
事で、旨味が増し食べ応えある一品になります。
是非お試し下さい♪
管理栄養士 菅原 侑子
One point
advice
生揚げの山菜きのこ
あんかけ
■ 材料:(1人分)
生揚げ
150g
豚肉
10g
しめじ
15g
えのき茸
10g
椎茸
5g
人参
10g
山菜ミックス(水煮)
20g
だし
100㏄
酒
小さじ1/2
小さじ1/2
調味料 みりん
醤油
小さじ1
片栗粉
2g
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■ 作り方
①生揚げは食べやすい大きさに切
り、フライパンで表面がカリッと
なるまで焼く。
②しめじ、えのき茸は石づきをと
りほぐし、椎茸は薄切りにする。
人参は薄い短冊に切る。
■ 栄養価
エネルギー:282kcal たんぱく質:20g 塩分:0.9g
【表紙写真紹介】
撮影:村上 彰秀
撮影日:平成25年9月29日
三石山の紅葉で、東方に岩手山を望んで
います。岩手山は別名「南部片富士」とい
われますが、見る方向からはまったく異な
った山影を楽しむことができます。(撮影
者の関連記事は6ページをご覧ください)
③だしを煮たて、②、豚肉、山菜ミ
ックスを加え煮る。火が通ったら
調味料を加え、倍量の水で溶い
た片栗粉でとろみを付ける。器
に厚揚げを盛り、あんをかける。
述べ来訪者2万人達成(平成27年4月2日)の
プレゼントにと、専従スタッフが心をこめて
作った“トトロと干支のヒツジ”です。
今号では、がん患者さ
んの就労支援についての取り組みや
がん薬物療法における曝露対策など
患者さんやご家族の生活に身近な情
報をお届けしました。いずれもはじま
ったばかりです。今後も継続して取り
上げていきたいと考えております。
堀口 真由子
化学療法専門病室
(祝日は除く)
がん登録室
がん診療
連携室
上の橋
http://www.iwate-med.ac.jp/hospital/gancenter/salon
http://www.iwate-med.ac.jp/hospital/gancenter/salon
13号
化学療法専門病室は、中病棟 7 階に 14 床(男
性用 7 床、女性用7床)の病室があります。抗が
ん剤は、がん細胞を攻撃する一方で、正常な細胞
にも影響をあたえることから治療に伴い副作用が
出ることは皆様のご存知の通りです。そのため実
際の治療では抗がん剤の種類、投与量、投与時間
などを厳密に管理し、患者さんの状態に応じて適
切な対応が重要です。入院化学療法病室では、化
学療法に特化した専門の薬剤師や看護師が中心に
患者さんを担当しており、主治医と連絡を取りな
がら治療にあたっています。副作用の症状は抗が
ん剤の種類や個人差によって様々ですが、もしわ
からないことや不安なことがありましたら気軽に
スタッフに相談して頂きたいと思います。もちろ
ん看護師も患者さんの健康状態を常に確認するよ
うにしており、副作用が出た場合は、主治医に情
報のフィードバックをしているため、必要な治療
をすぐに行えるよう連携ができています。入院中、
同じような病気と闘っている方と生活面・健康面
での工夫について情報交換を行い、不安解消の
きっかけにもなっています。
看護師長 佐藤 真結美