中学「哲学」テキスト ⅩⅢ

中学「
中学「哲学」
哲学」テキスト ⅩⅢ
テーマ 言葉の
言葉の質量とは
質量とは何
とは何か
平成23年8月30日(火)
開智未来中学校・高等学校長
関
根
均
〈本日の課題〉
1 「里山の朝」の詩は、里山に行って変化しましたか
①とても変化した
②変化した
③変化しなかった
2
「里山の朝」の詩は、里山フィールドワークの前と後では、どうして変化したのだろう。
次の3つの言葉を使って自分の考えをまとめてみよう
「言葉、体験、私」
3
さらに図式化してみよう
「里山の朝」の優秀作品
各クラス男女1名ずつ選びました
〈J1 ○○ ○○ 君〉
ある境界線を過ぎると川のせせらぎが聞こえ始める。
「ザーザー」と。
さらに行くとセミの鳴き声が聞こえる。
「ミンミンミーン、ジー」と。
そして小鳥の鳴き声も聞こえる。
「ホーホホケキョ」と。
同時に蒸し暑さと涼しさを感じる。
「あぁ ここが里山だ」と。
メモ
〈J1 ○○ ○○○ さん〉
里山の朝はあまり音が聞こえない
ただ唯一聞こえるのは風の音
この風はさわやかだ
朝の始まりの風は 動植物を起こした
だんだんと鳥や虫が鳴き出した
農作業している人もこの自然と共存している
人と自然が共に
今日という一日を造り出そうとしている
メモ
- 1 -
〈J2 ○○ ○○ 君〉
窓を開ける。
里山の冷たい空気を感じる。
青々とした草の臭い。
短いリズムの小鳥の中でホーホケキョの独唱。
朝の収穫へ出発。
緑一面の田んぼとキュウリ畑に挟まれて直進。
体調1㎝のカエルたちを発見。
朝の緑の大移動。
長い上り坂の途中で川の涼しげな音が聞こえる。
少し元気をもらってキュウリ畑に向かう。
白い産毛いっぱいの緑色の葉の付け根から
白いトゲトゲいっぱいの深い緑色のキュウリをもぎ取る。
15㎝の成長を見守りキュウリの出発を見送る。
「ありがとうございました。」
キュウリ畑を後にする。
今朝の作業は終了。
メモ
〈J2 ○○○ ○○ さん〉
里山の朝はさわやかですずしさを感じる。
サーサーと木々がゆれる音。
キーキーと小鳥の鳴き声。
遠くまで見わたせる風景。
スゥー
私は思わず深呼吸をしてしまった。
メモ
〈J3 ○○ ○○ 君〉
里山の朝は早い
人間も動物も朝早く目覚める
里山の朝ま空気は冷たい
深呼吸すると体が目覚める
里山のわき水は冷たい
わき水を飲むと頭が目覚める
人と森と動物が活動しはじめる
いろいろな音が聞こえる
風が「おはよう」とあいさつを運んでくれる
里山の一日が始まる
メモ
- 2 -
〈J3 ○○ ○○ さん〉
朝起きたら里山の空気が私をつつむ
木や花のすがすがしいかおりだ
どこからか 鳥の鳴き声が聞こえてくる
どこからか カエルの鳴き声が聞こえてくる
どこからか 川の音が聞こえてくる
どこからか 風にゆれている木の音が聞こえてくる
チョンチョン ゲロゲロゲロ
ザーザーザー ザワザワザワ
里山は朝からしずかに音楽会をやっていた
メモ
〈中学「哲学」テキストⅧより〉
「デクノボウ」を悪いとする見方もある、よいとする見方もある。
同じ言葉なのにどうして考えが分かれるのだろう。
ながらくお待たせしました。
では、皆さんの答えをお聞きします。
次に私の答えを言います。
「言葉は初めから意味をもっていたのではない。言葉に意味を与えるのは人間である。人間と
はもちろん、一人一人の具体的な人間である」
「言葉」は単なる「文字」であり、単なる「音声」です。そのうすっぺらな「言葉」に「重
さ」を与えられるのは一人一人の人間、つまり「私自身」であるということです。
ちょっと難しいかな。だから「哲学」です。
詳しくは自分のノートに私の話したことが書いてあるはずですから、そちらを3回読み返して
自分の理解や考えを深めていってくださいね。
ここで、一つの詩を読んでもらいます。題は「里山の朝」、作者は「関根
校長先生の詩です。
里山の朝
均」です。そう、
関根
均
作
里山の空気は心地いい
自然の音があちらこちらから聞こえる
早朝から畑で働く人々が見える
あいさつを交わした
木の葉が風に揺れている
人と自然が手をつないでいる
それでは質問です。
この詩は「いい詩」ですか。「悪い詩」ですか。もちろん「悪い詩」ですね。
どこが悪いですか?
さて、風に揺れている木の葉を想像できましたか。理科の授業の復習です。
開智未来が「里山フィールドワーク」で「観察」や「気づき・発見」を大切にしていること、
また、自然や人間についての様々な「体験」を大切にしていることの意味が少し分かったと思い
ます。
- 3 -
答えは「リアリティ」です。
私たちが生きるために最も必要なものの一つです。
それでは、この詩を皆さんの力で「重さをもった言葉の詩」にしてみましょう。ねらいは「言
葉に敏感になる」です。そして、里山フィールドワークのあとに、再び「里山の朝」の詩を書き
ましょう。今度は体験を踏まえて、リアルで感動的な、いきいきとした詩が書けるはずです。
〈中学「哲学」テキストⅩより〉
「里山フィールドワーク」について
-人と自然をリアルに学ぶ-
〈里山フィールドワークのコンセプト・マップ〉
※kw:キーワード
3 人間体験
kw:「人」「生活」
1 自然体験
kw:「感動」「もぎとり」
○人間体験(人とのふれあい)
○早朝アクティビティ
○生活体験(お手伝い、夕食づくり)
○夜間アクティビティ
○農業体験
(蛍観察、星空観察、ナイトハイク)
◇里山フィールドワーク
(ねらい)
人と自然を味わい、学び、人と自然
の中で大きく伸びる
2
4 人間探究
kw:「自律」「集団」
自然探究
kw:「観察」「発見」「疑問」
○自律(しおりのない校外行事)
○森林探究(ブナ原生林から学ぶ)
○集団行動・仲間づくり
○水生生物探究(水の復活)
(あいさつ、5分前行動、責任、リーダーシップ等)
○里山探究(自然と人間の共存)
5
共育(学校・家庭・地域)
kw:「感動」「自立」
○感動伝言プログラム
○感動実況中継
○親離れ・子離れプロジェクト
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