第 7 章 2004 年度・モバイル市場ホットトピックス Ⅰ.海外の動き(2004/4~2005/3) ■米クアルコム、 Push-to-Talk技術 「QChat」 を披露 (2004/04/01) ロンドンで開催中の 「IIR Push-to-Talk World Summit」 で、 同社Push-to-Talk技術 「QChat」 のデモを実施。 1xEV-DOネットワークを介し、 ボタンひとつで個人対個人や個人 対グループ通信が可能。 また、 QChatによる国際電話もデモ。 QChat技術は、 1xEV-DOに最 も適しているが、 既存CDMA2000 1XにBREWChat技術を適用している事業者もアップグ レードでき、 通話セッションの遅延も最低限に抑えられる。 同日、 クアルコムと韓国LG電 子は、 QChatを拡張したBREW向けチャット・ソリューション 「BREWChat」 対応携帯電話の開 発計画も発表。 ■パケットビデオとTI、 協力関係をOMAP2に拡大 (2004/04/01) 両社は従来からの協力関係を拡大すると発表、 TIのOMAP2アーキテクチャを採用す る携帯端末向け高性能マルチメディア・ソリューションを、 携帯端末メーカーに提供す るため協力。 OMAP2のチップは、 最大600万画素のデジカメやビデオ (DVD品質) 、 3Dエフェ クト対応Hi-Fiサウンド、 アナログ/ディジタルTV放送受信、 高速無線接続、 VGA以上のカ ラーLCDディスプレイなどの機能への対応を予定。 パケットビデオは自社ソリューション をOMAP2プロセッサに最適化するため、 TIのイメージング・ビデオ・アクセラレータを活用。 ■欧州とアジアの販売低迷でノキアがQ1の減収予測 (2004/04/07) 第1四半期 (1~3月期) の売上高が当初予測を下回り、 前年同期比2%減の66億ユーロ になるとの見通しを発表。 予測では、 売上高が前年同期比3~7%増を見込んでいたが、 欧州とアジアの販売が伸び悩み、 携帯電話とマルチメディア事業で予測を下回った。 同 四半期における世界の携帯電話市場は25%を超す成長が見込まれているが、 ノキアの 伸びは19%に。 ローエンド戦略を進め、 ミドルクラスのラインアップ不足が上昇基調をつ かみ損ねた要因。 ■U.S.ロボティクス、 802.11g製品を125Mbpsまで高速化 (2004/04/07) 同社のIEEE802.11g製品において、 伝送速度を100~125Mbpsまで高速化するファー ムウェア/ドライバのアップデートを予定。 6月初旬には新製品の販売も開始。 独自開発 した 「U.S.Robotics 802.11g Accelerator Technology」 は、 TIのシリコンチップ技術との 連携で無線LANチャネルを増やさずに、 ネットワーク全体のパフォーマンスを向上。 同 社 「802.11g Wireless Turbo」 シリーズを最大125Mbpsまで高速化。 同一ネットワーク上に IEEE802.11b対応機器が混在する場合でも相互接続性を確保。 ■英CSRとモトローラ、 Bluetooth携帯のリファレンス開発 (2004/04/07) 両社は、 Bluetooth搭載携帯電話の開発期間を短縮可能なリファレンスデザインを 共同開発すると発表。 CSRのBluetoothチップ 「BlueCore」 とモトローラのBluetoothソフト ウェアスタックを組み込む。 USBや赤外線通信もサポート。 出荷時期は2004年第2四半 期。 ■サムスンの04年携帯電話販売、 目標を上回る見通し (2004/04/08) 2004年の携帯電話機販売台数が目標を上回る可能性が高いとの見通しを8日示し た。 欧米やアジアなど、 すべての地域においてモノクロ画面からカラー、 あるいはGSMか らGPRSへの買い替え需要が非常に強いという。 同社は2004年3月、 携帯電話販売数が当 初目標の6500万 (2003年は5560万) を上回るとの見通しを示していた。 ■ノキアとHPがFM受信サービス 「Visual Radio」 で提携 (2004/04/15) ノキアはヒューレットパッカードとの関係を拡大してバックエンドサービス契約を 結び、 携帯電話で双方向ビジュアル/テキストと同期したFMラジオ放送を受信できる 「Visual Radio」 を構築。 2003年10月にノキアは 「Visual Radio」 のデモを行っており、 HPを サービスパートナーに選定。 HPが携帯サービス会社とFMラジオ局向けに製品販売や 導入、 コンサルティング、 インテグレーションサポートを提供していく。 また、 自社プラット フォームを使ってVisual Radioサービスのホスティングと管理も行う。 ノキアはVisual Radio技術提供と開発を継続していく。 対応端末 「Nokia 7700」 は4~6月期中に発売予定。 7700シリーズでは各種キャンペーンの利用や着信音の購入、 コンサートチケットの購入 などができ、 ラジオ局から追加コンテンツを受け取れるサービスを開始。 ■AT&Tワイヤレスが携帯電話による楽曲識別サービス (2004/04/16) 携帯電話を使い、 流れてくる音楽の曲名を識別するサービスを米国で初めて提供開 始。 利用者はAT&Tワイヤレスの携帯から3けたの番号を入力、 音楽演奏中のスピーカー などに携帯電話を近づけて15秒待つ。 その後、 曲名と演奏するアーティスト名を記した テキストメッセージが届く仕組み。 通常の接続料に加え、 料金は1回利用するごとに99 セントかかる。 すでに英国では、 Shazam Entertainment社が100万曲以上のレコード曲 の音楽認証データベースを運用・サービス提供しており、 米国では同社と提携している Musicphone社が、 AT&Tワイヤレスに同サービスを提供する。 ■ノキアのQ1決算、 携帯電話の売上減少が響き減収 (2004/04/17) 第1四半期 (1~3月期) 決算によると、 売上高が前年同期比2%減の66億ユーロ、 1株利 益は0.17ユーロに。 主力の携帯電話では、 売上高が同15%減の43億ユーロ。 業界全体で 携帯出荷台数は29%の堅調な伸びを示したものの、 ノキアはこのトレンドに乗り切れず、 19%増にとどまった。 これが響いて売上高が予想を下回り、 モバイル機器市場のシェア は35%に落ち込んだという。 第2四半期 (4~6月期) の売上高は、 前年同期 (70億ユーロ) に 対して横ばいか微減を予測、 1株利益は0.13~0.15ユーロを見込む。 ■中国の東方通信がサムソンと3Gで提携、 合弁企業設立 (2004/04/19) 中国大手移動通信機器メーカーの東方通信がサムスンと提携、 3G携帯電話に注力 する合弁企業を設立。 中国通信機器メーカーの大型提携としては、 華為技術とシーメ ンス以来。 合弁会社は主にW-CDMA技術/製品開発と生産、 販売を行う。 東方通信は中 国ITの最大手グループ普天集団の傘下企業で、 モトローラとの提携によって1990年代 に急成長したといわれるが、 携帯電話産業全盛のなか2002年決算で大幅赤字を計上 していた。 サムソンと提携して、 産業化のメドがたっていない3Gでいち早く基盤を築く考 えとみられている。 ■中国聯通、 新たなMPS業務を6月から展開 (2004/04/20) 同社が 「星図」 と呼ぶ命名したモバイル・ポジショニング・システム (MPS) を2004年6月ま でに打ち出す計画。 法人マーケットに向け展開していく。 従来のMPSサービス 「関愛の星」 と 「星図」 のいずれも、 ユーザーのプライバシーを遵守するよう技術上の保障を明確にし、 関連業界での作業効率向上をサポートしていく意向。 ■欧州大手事業者が携帯の統一標準で新アライアンス (2004/04/20) ボーダフォングループやフランステレコムなどの欧州大手携帯オペレータは、 携帯 電話向けソフトウェア企業に対して統一された標準セットを提供するため、 新たなアラ イアンス結成へ。 すべての携帯電話で、 基本的なマルチメディアサービスを一通り処理 できるようにしたい考え。 世界中で生産される携帯電話向け共通仕様をまとめ、 ソフト ウェア開発時間とコスト削減を企図、 大手端末メーカー/ソフトベンダーが影響力を行 使する携帯用ソフト設計に対する、 オペレータの関与を深める。 ■ソニー・エリクソンの携帯電話出荷台数が大幅増 (2004/04/20) 2004年1~3月期の携帯電話出荷数が880万台となり、 前年同期比で63%増を達成。 売上高は13億3800万ユーロで前年同期比66%増。 税引前利益は970万ユーロ、 純利益 820万ユーロでいずれも前年同期の赤字から黒字に。 全体として好調市況のなか、 同社 端末はミッドレンジとエントリーレベルで強みを発揮、 過去最高の出荷台数を記録。 こ うした状況を受け、 ソニー・エリクソンは2004年における世界全体の出荷予測を5億2000 万台から5億5000万台に引き上げた。 ■ハチソン3G香港、 日本のボーダフォンと乗り入れ (2004/04/21) 香港でW-CDMAを提供中のハチソン3G香港は、 日本でのW-CDMAローミングを開始。 ローミング先はボーダフォン。 利用可能なサービスは音声通話とSMS、 パケットデータ通 信で、 テレビ電話及びコンテンツサービスの利用は不可。 ドコモが出資している関係上、 ハチソン3G各社がW-CDMA日本ローミングを提供する際は、 FOMAを利用すると見られて いたが、 現時点のFOMAネットワーク規格が “古く” 、 海外のW-CDMA (UMTS) とのコンパチが 確保されておらず、 同一規格準拠のボーダフォンと日本ローミングを先行。 ■AT&Tワイヤレス第1四半期決算で加入者が減少 (2004/04/21) 第1四半期 (1~3月期) 決算正式発表を前に、 同四半期の携帯サービス加入数とサー ビス収入を報告した内容によると、 AT&Tワイヤレスの携帯電話加入者数は、 前期比で36 万7000人の減少に。 サービス収入はデータ通信とローミングなどが貢献、 前年同期から ほぼ横ばいの37億4600万ドル。 AT&Tワイヤレスは、 シンギュラーワイヤレスによる買収に 合意、 年内に完了予定。 合併後は、 AT&Tワイヤレス加入者の契約が変更されるともみら れている。 加入数減少について同社は、 ナンバーポータビリティ制導入や10~12月期に 起きたシステムトラブルの影響があったと分析。 ■モトローラの1Q決算、 携帯部門好調で大幅増収増益 (2004/04/21) 第1四半期 (1~3月期) 決算によると、 携帯電話部門が牽引して前年同期比42%の増 収を達成。 純利益は6億900万ドル (1株当たり25セント) で前年同期比257%増。 携帯電話 担当のパーソナルコミュニケーション部門の売上高は、 前年同期比67%増の41億ドル。 1 ~3月の携帯電話出荷台数は前年比51%増の2530万台で、 欧州中心に市場シェアを巻 き返した。 ■モトローラ、 RIMのBlackBerry技術をライセンス (2004/04/22) カナダのResearch In Motion (RIM) は、 「BlackBerry Connect」 ライセンスプログラム の下で米モトローラにRIMの技術をライセンスする契約を締結。 モトローラは携帯電話 でRIMのBlackBerryサービスを利用できるように。 RIMはソニー・エリクソンやノキアとの 間でもBlackBerryサービス利用に関する契約を結んでいた。 ■増加するSMSの苦情対策で中国情報産業部が通達 (2004/04/22) SMSの急速な発展に伴って利用者からの苦情が急増、 中国情報産業部は基本料金 や徴収システム、 解約方法やクレーム対応などに関する明確な規定を定めるよう通達 を出した。 SMSへの苦情の主な内容は、 違法な料金徴収や解約時の煩雑な手続き、 プラ イバシーの侵害など。 2003年・中国におけるSMS送信量は2200億件を超え、 携帯電話市 場に200億元の利益をもたらしたといわれている。 ■クアルコムが大幅増益で通期予測を上方修正へ (2004/04/22) 第2四半期 (1~3月期) 決算発表によると、 売上高は前年同期から20%増の12億ドル、 純利益は4倍以上増え4億8800万ドルに。 戦略投資関連損益を除外した利益は、 前年同 期比41%増の4億4200万ドル。 これによりクアルコムは、 2004年度通期の見通しを上方 修正。 現在、 年間売上高は前年同期比26~29%増、 戦略投資関連の損益を除外した1株 利益は1.93~1.98ドルを見込む。 同社は2004年1~12月におけるCDMA携帯電話出荷台 数を1億5200万~1億6000万台と予測。 ■中国独自の無線LAN規格 「WAPI」 が無期限延期へ (2004/04/23) 米中通商協議で中国は、 WTOに沿って非関税障壁の順次緩和・撤廃を明言。 そのなか モバイルインターネット要覧 2006 445
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