労働力状況 - 東京都産業労働局

第1章 労働力状況
労働力状況
第1章
1 高齢化が進む東京の労働力
(1) 増加する就業者数
2014年の東京の15歳以上人口は1,184万人で、そのうち約6割が労働力人口、約4割が非労働力人口と
なっています。労働力人口は就業者と完全失業者に分けられ、2014年の就業者数は731万2千人、完全失
業者数は28万7千人で、労働力人口の約4%が完全失業者となっています。また、就業者は、自営業主、
家族従業者、雇用者に分けられ、雇用者が約9割を占めています。
(図1)
東京の労働力人口、非労働力人口は、ともに増加傾向で推移しています。2014年の労働力人口の内訳
をみると、就業者数は約731万人と4年連続で増加し、完全失業者数は6年ぶりに30万人を下回りました。
また、15歳以上人口に占める労働力人口の割合を示す労働力人口比率をみると、全国は低下傾向ですが、
地方からの人口流入がある東京は、ほぼ横ばいで推移しています。
(図2)
男女別・年齢別に労働力状態をみると、非労働力人口は25歳以上のすべての年齢階級で、男性より女性
の方が多くなっています。また、就業者を「主に仕事」をしている人と「主に仕事以外」をしている人
に分類すると、女性は「就業者(主に仕事以外)」の人数が男性に比べ多く、主に家事等をしていて、そ
のかたわらパートタイム等の仕事をする人が多いことがうかがえます。
(図3)
年齢別の労働力人口の構成比をみると、
「15 ~ 24歳」
、
「25 ~ 34歳」
の若い世代の割合が減少傾向となっ
ています。一方、
「65歳以上」の割合は増加しており、2014年には約1割と、労働力人口の高齢化がみて
とれます。(図4)
図1 東京の就業構造(東京、2014年)
15歳以上
人口
1,184万人
労働力人口
759.9万人
図2 就業状態別15歳以上人口(東京)、
労働人口比率の推移(東京・全国)
就業者数
731.2万人
自営業主数
57.1万人
家族
従業者数
10.2万人
完全
失業者数
28.7万人
非労働力
人口
423.6万人
雇用者数
659.4万人
(万人)
1,200
1,000
女性
140
19.8
12.9
16.1
22.9 5.0
80
60
11.6 8.7 50.2
6.4
5.1
5.1
7.6
40 35.6
68.8
85.1
20
9.1
65.9 59.1 5.6
32.6
7.8
14.0
0
15~ 25~ 35~ 45~ 55~ 65歳
24歳 34歳 44歳 54歳 64歳 以上
18.5
7.0
16.5
32.9
27.9 9.5
8.7 17.6
1,184
1,178
429.4
423.6
非労働力人口
364.6
31.2 28.7
完全失業者
731.2
716.3
就業者
637.1
200
1997 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14年
17.2
51.8
図4 年齢別労働力人口構成比の推移(東京)
0
7.3
19.0 28.6
56.6
20
1999年 15~24歳 25~34歳
26.3
659万人 10.4
17.2
48.8 42.1
8.3
30.0 24.6 13.6
14.8
11.3
15~ 25~ 35~ 45~ 55~ 65歳
24歳 34歳 44歳 54歳 64歳 以上
就業者
(主に仕事)
就業者
(主に仕事以外)
完全失業者
非労働力人口
(家事、通学)
非労働力人口
(その他)
不詳
2004年
671万人
8.8
2009年
712万人
8.0
2014年
760万人
7.3
26.6
60
35~44歳
18.4
65歳
45~54歳 55~64歳
以上
21.4
16.9
6.6
23.2
22.0
21.2
24.8
25.0
80
(%)
100
40
18.3
注 「就業者
(主に仕事以外)
」
は、
家事のほか仕事、
通学のかたわら仕事、
休業者の計。
資料 総務省「国勢調査」
資料 図1に同じ
110
15歳以上人口
注 全国の2011年の値は、補完推計値。
資料 東京都、総務省「労働力調査」
120
100
59.3 59.4
1,031
600 27.5
0
男性
全国
労働力人口
(万人)
160
63.5 64.2
50
400
図3 男女別・年齢別労働力状態(東京、2010年)
東京
60 63.7
800
注 15歳以上人口及び就業者数は、就業状態等が不詳の者を含む。
資料 東京都「労働力調査」
労働力人口比率
(%)
70 64.5
18.5
17.2
7.6
18.7
16.6
8.7
21.1
14.3
10.2
第1節 高齢化が進む東京の労働力
図5 完全失業者数、長期失業者数、長期失業者比率
の推移
(全国)
(%)
(万人)
600
500
39.2
長期失業者比率
(目盛右)
33.9
37.7 40
300
265
100
0
265
完全失業者数
121
87
200
106
2004 05
06
236
104
長期失業者数
08 09 10 11
07
20
12
89
13 14年
20
10
35-44歳
69.0
45-54歳
69.6
0
33.3
賃金・給料が
希望とあわない
33.3
11.1
25-34歳
9.4
34.4
9.4
35-44歳
10.3
45-54歳
9.1
12.5
13.8
(女性)
27.6
22.7
9.1
27.8
27.8
8.3
25-34歳
14.3
22.7
35-44歳
9.1
14.3
26.3
22.7
27.3
21.1
42.9
18.2
26.3
5.3
28.6
求人年齢と自分の年齢とがあわない
資料 図5に同じ
15.8
14.3
4.3
43.5
8.3
66.7
85.7
非正規の職員・従業員
資料 図5に同じ
図8 就業希望の有無別・非求職理由別非労働力人口
(全国、2014年)
(万人)
350
(%)
292
300
13.9
21.4
36.4
36.4
45-54歳 5.3
7.1
35.7
4.3
42.9
58.3
18.2
勤務時間・休日など 自分の技術や技能が 条件にこだわらないが
が希望とあわない
求人要件に満たない 仕事がない
14.3
14.3
24.1
9.1
10.8
58.1
28.1
10.3
41.7
15-24歳 7.1
55歳以上
10.3
27.3
55歳以上
(%)
100
その他
8.7
56.8
52.2
25-34歳
55歳以上
希望する種類・内容
の仕事がない
15-24歳 5.6 5.6 5.6 11.1
21.7
57.1
45-54歳
(男性)
13.8
17.2
37.6
(女性)
図7 男女別・年齢別完全失業者が仕事に
つけない理由(全国、2014年)
80
9.4
その他
33.3
60
5.6
22.2
15.6
32.4
55歳以上
(%)
100
9.4
29.0
72.2
35-44歳
40
80
正規の職員・従業員 75.0
注 年平均値。2011年の値は、補完推計値。長期失業者とは完全失
業者のうち失業期間1年以上の者。
長期失業者比率=長期失業者数/完全失業者数×100
資料 総務省「労働力調査」
20
60
61.6
15-24歳
0
40
15-24歳
25-34歳
334
313
0
(男性)
30
400
図6 男女別・年齢別完全失業者が探している
仕事の形態別割合(全国、2014年)
第1章
(2) 5年ぶりに100万人を下回った長期失業者
全国の2014年の長期失業者数は、89万人と5年ぶりに100万人を下回りました。長期失業者数は、直近
のピークであった2010年の121万人から約26%減少し、2008年以来の水準となっています。完全失業者数、
長期失業者数がともに減少したため、長期失業者比率は4割に近い水準が続いています。
(図5)
男女別・年齢別に完全失業者が探している仕事の形態別割合をみると、男性は15歳から54歳までの各年
齢階級で、およそ7割が「正規の職員・従業員」の職を探しています。一方女性は、15歳から34歳までの
比較的若い年齢階級では半数以上が「正規の職員・従業員」の職を求めているものの、35歳以上の年齢階
級では「非正規の職員・従業員」の職を求める割合が多数を占めており、性別や年齢により求める仕事の
形態が異なっています。(図6)
次に、男女別・年齢別に完全失業者が仕事につけない理由をみると、男女ともほとんどの年齢階級で「希
望する種類・内容の仕事がない」の割合が3割前後を占めています。また、年齢があがるにつれ、男女と
もに「求人年齢と自分の年齢とがあわない」の割合が高くなりますが、女性は「勤務時間・休日などが希
望とあわない」の割合も高くなっています。(図7)
(3) 非労働力人口の約1割が就職希望者
非労働力人口の中には、仕事をしたくても、経済情勢や家庭事情等により仕事が見つかりそうもない
ため、求職活動をしなかった人も含まれます。このような人は完全失業者に該当する3要件(第Ⅰ部1
章12ページ参照)を満たさないため、非労働力人口に区分されます。しかし、就業を望んでいる点では、
失業に近い人であると考えられます。2014年において、非労働力人口のうち1割は就職を希望しています。
求職ができない理由としては、男性は「適当な仕事がありそうにない」
、女性は「出産・育児のため」が
最も多くなっています。(図8)
就業
非労働力
非希望者 人口
88.4
4,483万人
健康上
の理由
就業希望者 250
万人
200
419
9.3
万人 150
50
0
その他
38
出産・育児
のため
101
107介護・看護
100
就業
内定者
2.2
48
4
41
26
のため
17
適当な
仕事が
ありそう
にない
88
36
男性
女性
注 分類不能や不詳を含むため、総数と内訳の合計は一致しない。
資料 図5に同じ
111
第1章 労働力状況
2 産業構造やライフスタイルの変化を受けて多様化する働き方
(1) 3割を占める「正社員・正職員以外の従業者」の割合
東京で働く就業者は、およそ817万人です。そのうち約3割にあたる256万5千人は、他県に住み東京
で働いています。一方、東京に住み他県で働く人は、約40万人となっています。
(図1)
2012年の東京の従業者数は865万5千人で、従業上の地位別にみると、
「正社員・正職員」
、
「正社員・正
職員以外」、
「臨時雇用者」を合わせた雇用者が、従業者数全体の約9割を占めています。また、2009年
と比較すると、「正社員・正職員以外」のみ増加しており、従業者数全体の約3割を占めています。(図2)
(図2の2006年と2009年の非連続については目次ⅳページの3参照)
(2) 東京に集積する情報通信業の就業者
東京の就業者数を産業別にみると、「卸売業,小売業」が最も多く、
「製造業」
、
「医療,福祉」が続いてい
ます。全国比では「情報通信業」が3割を超えており、
「不動産業,物品賃貸業」
、
「学術研究,専門・技術サー
ビス業」がおよそ2割となっています。「製造業」は、就業者数で2番目に多いものの、全国比では7%
と最も低い割合となっています。(図3)
東京の有業者数の年齢構成比を産業別にみると、
「情報通信業」
、
「宿泊業,飲食サービス業」では34歳ま
での若年層の占める割合が高くなっています。
「情報通信業」では平均年齢が唯一30代となっているほか、
「宿泊業,飲食サービス業」では「15 ~ 24歳」の割合が2割を超えています。一方、
「農業,林業、
漁業」、「不
動産業,物品賃貸業」では「65歳以上」がおよそ3分の1を占めています。
(図4)
図1 常住地・従業地でみる就業者数(東京、2010年) 図2 従業上の地位別従業者数の推移(東京)
図3 産業別就業者数、全国比(東京、2014年)
図4 産業別有業者の年齢構成比(東京、2012年)
他県に住み
東京で働く就業者
256万5千人
東京に住み
東京で働く就業者
560万9千人
東京で働く就業者
817万4千人
東京に住み
他県で働く就業者
40万4千人
(%)
(万人)
160
40
33.8
30
全国比(目盛右)
21.3 20.3
80
73.3
20
71.3
10
7.0
その他
サービス業
医療,
福祉
教育,
学習支援業
生活関連サービス業,
娯楽業
宿泊業,
飲食サービス業
学術研究,
専門・技術サービス業
不動産業,
物品賃貸業
金融業,
保険業
卸売業,
小売業
運輸業,
郵便業
情報通信業
製造業
建設業
全産業
資料 東京都、総務省「労働力調査」
112
建設業
16.4
製造業
19.7
0
24.8
25.4
21.3
28.1
21.8
33.7
21.2
23.0
28.8
19.0
29.9
15.2
43.9歳
34.1
56.4歳
17.5 11.5
22.7
25.1
(%)
100 平均年齢
80
20.0
29.0
19.0
運輸業,郵便業
金融業,保険業
60
35.6
卸売業,小売業 11.6
11.5
40
15.7 14.6
情報通信業
40
0
全産業
農業,林業、漁業
123.5
120
20
22.5
0
サービス業
26.3
19.3
22.3
20.4
45.5歳
17.7
38.4歳
19.2
44.7歳
14.7 10.0
43.3歳
26.6
22.9
18.8
46.5歳
16.0
40.9歳
不動産業,物品賃貸業 12.2 17.6
17.8
20.8
28.2
学術研究,
24.2
28.0
21.6
15.6
専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
20.6
20.1 13.4 14.0
22.5
生活関連サービス業,
28.6
16.6
15.0 15.4 13.9
10.6
娯楽業
教育,学習支援業 11.1 21.4
20.0
22.6
18.1
医療,福祉
雇用者
資料 総務省「国勢調査」
(万人)
1,000
無給の家族
904.7
個人業主
900
865.5
従業者
64.6
56.5
800
有給役員
700 692.5
600 62.5
526.1 498.2
正社員・
500
正職員
常用雇用者
400
300 511.0
200
241.4 243.5
正社員・
100
正職員以外
臨時雇用者
46.2
43.9
0 47.4
1981
86
91
96
2001
06
09
12年
注 1996年以降「常用雇用者」を「正社員・正職員」と「正社員・正職員
以外」にわけて表示。
資料 総務省「事業所・企業統計調査」、
「経済センサス-基礎調査」
総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」
東京に住む
就業者
601万3千人
16.2
19.0
15.7
15~24歳
25~34歳
35~44歳
45~54歳
55~64歳
65歳以上
53.8歳
44.5歳
40.2歳
43.8歳
43.4歳
43.2歳
47.0歳
注 「農業,林業、
漁業」
の平均年齢は、
「農業,林業」
と
「漁業」
それぞれの
年齢の平均。
資料 総務省「就業構造基本調査」
第2節 産業構造やライフスタイルの変化を受けて多様化する働き方
図5 産業別就業者数構成比の推移(全国)
(%)
100
90
80
70
4.5
5.6
4.1
サービス業(他に分類
されないもの)
5.9
教育,学習支援業
医療,福祉
宿泊業,飲食サービス業
60
卸売業,小売業
運輸業,郵便業
情報通信業
30
5.7
分類不能の職業
10.3
4.4
5.7
第3次産業
10
10.5
0
6.0
1995
16.1
建設業
7.5
4.0
10年
農林漁業
2000
農林漁業
製造業
運輸業,郵便業
不動産業,物品賃貸業
生活関連サービス業,娯楽業
複合サービス事業
分類不能の産業
第2次産業
05
鉱業,採石業,砂利採取業
電気・ガス・熱供給・水道業
卸売業,小売業
学術研究,専門・技術サービス業
教育,学習支援業
サービス業
(他に分類されないもの)
第1次産業
2.6
(%)
1.8
外円:東京
733万人
内円:全国
6,442万人
19.3
3.7
1.8
事務従事者
12.0
建設業
情報通信業
金融業,保険業
宿泊業,飲食サービス業
医療,福祉
公務
(他に分類されるものを除く)
20.0
15.7
4.4
3.6
14.2
12.0
サービス職業
従事者
専門的・技術
的職業従事者
3.5 2.2
6.4
生産工程
従事者
8.0
保安職業
従事者
2.9
5.2
3.0
輸送・機械運転
従事者
農林漁業
従事者 0.4
5.4
製造業
4.9
建設・採掘従事者
20.5
20
管理的職業従事者
運搬・清掃・包装等従事者
16.4
5.1
40
図6 職業別有業者数構成比(東京・全国、2012年)
5.8
金融業,保険業
18.6
50
13.3
24.3
販売従事者
15.0
資料 図1に同じ
資料 図4に同じ
図7 雇用形態別雇用者数の推移(全国)
図8 雇用形態別・所得別雇用者数構成比
(東京、2012年)
(万人)
6,000
5,000
4,000
労働者派遣事業所
の派遣社員
5,008
279
340
その他
契約社員・嘱託
アルバイト
780
パート
0
5,201 5,240
388
411
392
404
928
943
雇用者全体
20
正規の職員
3.8 16.0
・従業員
派遣社員 9.6
正規の職員・従業員
3,375
3,294 3,278
13.4
14.0
契約社員 8.4
3,000
2,000
第1章
(3) 第3次産業化が進む就業構造
全国の産業別就業者数の構成比の推移をみると、農林漁業といった「第1次産業」や、製造業、建設
業といった「第2次産業」の割合が減少する一方で、
「第3次産業」の割合が大幅に増加しています。中
でも、高齢者の増加によりニーズが高まっていることもあり「医療,福祉」に従事する就業者の割合は、
1995年と比べて約2倍に増加しています。(図5)
職業別に有業者数の構成比をみると、東京は全国に比べて「専門的・技術的職業従事者」
、
「事務従事者」
の割合が高く、「農林漁業従事者」
、
「生産工程従事者」の割合が低い特徴があります。
(図6)
(4) 増加する非正規雇用者
全国の雇用形態別雇用者数をみると、「正規の職員・従業員」が減少している一方、
「パート」
、
「アルバ
イト」、「労働者派遣事業所の派遣社員」などの非正規雇用者数は増加しています。
(図7)
東京の雇用形態別・所得別の雇用者数構成比をみると、
「正規の職員・従業員」では、
「500万円以上」が
4割を超えて最多となっている一方、「契約社員」
、
「派遣社員」では、
「200万円~ 299万円」が4割前後
で最も多くなっています。また、労働時間が他の雇用形態と比較して短い「パート」では、およそ5割
が「100万円未満」です。年収299万円以下の割合は、
「正規の職員・従業員」が約2割なのに対し、「契約
社員」は約7割、
「派遣社員」は約8割となっており、雇用形態によって差がみられます。
(図8)
パート
40
16.7
18.7
23.1
25.4
60
14.3
(%)
100
80
10.9
30.7
43.7
16.1
18.8
38.1
16.0 4.2
43.5
40.6
47.2
5.4 6.1
10.3
1,000
0
100万円未満
300~399万円
2005
06
07
08
09
10
11
12
注 2011年の値は、補完推計値。役員を除く雇用者。
資料 総務省「労働力調査」
13
14年
100~199万円
400~499万円
200~299万円
500万円以上
注 所得は、本業から通常得ている年間所得(税込み額)をいう(現物
収入を除く。)。
資料 図4に同じ
113
第1章 労働力状況
男女別・年齢別の正社員比率をみると、男性、女性ともに2012年の正社員比率は、1987年と比べてすべ
ての年齢で低下しています。中でも「15 ~ 24歳」
、
「25 ~ 34歳」の若い世代と、
「65歳以上」では、その
差が顕著です。一方、35歳から54歳までの男性では、落ち込みが小幅にとどまっています。2012年の男
女別・雇用形態別の雇用者数構成比をみると、女性は男性に比べて非正規雇用者の割合が高く約5割を占
め、特に「パート」
、
「アルバイト」の割合が高くなっています。
(図9)
非正規雇用比率の推移をみると、全体では東京、全国ともに緩やかな上昇傾向です。男女別にみると、
東京の女性は2007年以降横ばいとなっています。また、男性と比較して女性の非正規雇用比率は高く、
東京、全国ともに男性が約2割なのに対し、女性は5割以上が非正規雇用者となっています。
(図10)
初職における非正規雇用の比率は上昇傾向で推移しており、
「2011年10月以降」は「1987年9月以前」
と比較して、男性は約4倍、女性は約3倍になっています。
(図11)
(5) 多様化する働き方
派遣労働者数が近年横ばいで推移している中、登録者数は2013年度に増加に転じました。2012年に労
働者派遣法が改正され、日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)が原則禁止
された背景もあり、契約期間が1か月以下である派遣労働者の割合は減少傾向ですが、2013年度は約4
割を占めています。(図12、13)
図9 男女別・年齢別正社員比率(東京、1987・2002・2012年)、雇用形態別雇用者数構成比(東京、2012年)
94.1
71.8
76.4 73.3
63.1
43.2
27.7
1987年
2002年
30.4
女性
273万人
0
2002
07
12年
注 役員を除く雇用者に対する割合。
資料 図9に同じ
図12 派遣労働者数の推移(東京)
(万人)
90 80.7
30
45.2 50.0
7.7 7.5
14.4 14.9
常用雇用
(一般)
04
05
06
07
16.6 16.5
08
09
降
以
9月
月
年
9月
10
11
20
11
年
20
~
月
10
年
10
20
09
年
10
月
~
20
10
年
9月
年
9月
09
20
~
月
10
年
20
08
20
07
年
10
月
~
20
08
年
9月
年
9月
07
20
~
月
10
年
20
02
20
19
97
年
10
月
~
20
02
年
9月
年
97
月
10
10
~
19
92
年
9月
前
0
注 初職とは、最初に就いた仕事、通学の傍らにしたアルバイトは
含まれない。非正規雇用比率=非正規の職員・従業員/会社など
の役員を除く雇用者×100で算出。
資料 図4に同じ
2008年度
9.4
0
2003
10
資料 厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告」
(一社) 日本人材派遣協会資料
114
10
0
2007年度 9.2
常用雇用
(特定)
常用雇用以外
(一般)
5.1
15.5
31.8
図13 契約期間別一般派遣労働者数構成比の推移
(東京)
(%)
登録者数
(一般)
60
44.9
男性
15.3
7.4
~
22.4
22.1
20
9月
以
21.7
19.9
16.3
その他
26.6
月
35.7
51.3
31.9
19.1
1997
7.8 4.5
44.2
女性
年
34.7
52.9
年
10
11.6
30
87
20
9.3 7.6
労働者派遣事業所の派遣社員
40
19
30
35.5
55.2
33.5
東京(全体)
27.0
24.6
東京(男性)
14.8
全国(男性)
11.1
全国(女性)
57.5
東京(女性)
51.9
全国(全体)
38.2
52.9
契約社員、嘱託
(%)
50
87
40
77.6
図11 初職における非正規雇用比率(東京、2012年)
19
44.3
44.0
(%)
100
80
パート 26.0
48.1
アルバイト
図10 男女別非正規雇用比率の推移
(東京、全国)
50
60
15~ 25~ 35~ 45~ 55~ 65歳
24歳 34歳 44歳 54歳 64歳 以上
注 役員を除く。
資料 総務省、東京都「就業構造基本調査」
(%)
60
40
正規の職員・ 従業員
19
15~ 25~ 35~ 45~ 55~ 65歳
24歳 34歳 44歳 54歳 64歳 以上
2012年
男性
333万人
年
40 42.9
20
0
60.0
54.5
92
80.1
60
20
0
19
80
全年齢(2012年)
女性
男性
(%)
100
11
12 13年度
20
10.7
20.4
40
1日以下 28.4
2010年度
30.2
2012年度
2013年度
31.2
9.3
12.2
8.0
33.5
16.2
7.8
8.6
26.7
80
21.2
33.9
9.9
2009年度
2011年度
60
17.0
17.0
17.8
17.0
16.2
31.9
34.1
31.0
35.9
100
7.5
12.9 7.0
11.4
7.8
7.3
6.2
1月を超え3月以下 48.3
7.5
1日を超え7日以下
7日を超え1月以下
3月を超え6月以下
6月を超え3年以下
その他
18.9
資料 図12に同じ
14.0
第2節 産業構造やライフスタイルの変化を受けて多様化する働き方
産業別にパート及びアルバイトの雇用比率をみると、
「宿泊業,飲食サービス業」が64%と最も高く、
「生活関連サービス業,娯楽業」が続いています。一方、
「情報通信業」は3.6%と低くなっています。また、
職業別にみると、「サービス職業従事者」、「運搬・清掃・包装等従事者」が、50%以上の高い比率となって
います。(図14)
産業別の短時間正社員制度の導入状況をみると、2013年度は前年度と比較して、
「学術研究,専門・技術
サービス業」、「不動産業,物品賃貸業」等、多くの産業において制度の導入が進んでおり、
「産業計」も2
割を超えています。(図15)
(6) 「宿泊業,飲食サービス業」に従事する割合が高い東京の外国人労働者数
日本で働く外国人労働者数は増加傾向で推移しており、2014年は約79万人となりました。国籍別にみ
ると、中国がおよそ4割を占め最も多く、近年ではベトナム、ネパールの増加が顕著です。また、東京
で働く外国人労働者は、全国と比べて在留資格別では「専門的・技術的分野」で働く人の割合が高く、産
業別では「宿泊業,飲食サービス業」で働く人の割合が高くなっています。
(図16、17)
図15 産業別短時間正社員制度導入割合
(全国、2012・2013年度)
(%)
70
(%)
40
64.0
54.6
54.1
30
25
50
36.2
30.4
29.8
30
サービス業(他に分類されないもの)
医療,
福祉
教育,
学習支援業
その他
G8等
ペルー
60
48.6
6.0
4.0
8.7
9.0
5.7
9.6
ベトナム
フィリピン
韓国
9.9
71.8
5.4
ブラジル
3.8
8.0
3.4
9.4
ネパール 2.4
6.1
9.2
3.7
4.1
20
10
生活関連サービス業,
娯楽業
70
30
注 短時間正社員とは、
フルタイム正社員より一週間の所定労働時間
が短いまたは所定労働日数が少ない正社員(育児・介護のみを
理由とする短時間・短日勤務は除く。)。
資料 厚生労働省「雇用均等基本調査」
78.8
80
40
24.0 23.8
22.3
図17 在留資格別・産業別外国人労働者数構成比
(東京・全国、2014年)
(万人)
90
50
宿泊業,
飲食サービス業
図16 国籍別外国人労働者数の推移(全国)
学術研究,
専門・技術サービス業
資料 図4に同じ
不動産業,
物品賃貸業
運搬・清掃・包装等従事者
建設・採掘従事者
輸送・機械運転従事者
生産工程従事者
農林漁業従事者
保安職業従事者
サービス職業従事者
販売従事者
事務従事者
専門的・技術的職業従事者
管理的職業従事者
(職業別)
サービス業(他に分類されないもの)
医療,
福祉
教育,
学習支援業
生活関連サービス業,
娯楽業
宿泊業,
飲食サービス業
学術研究,
専門・技術サービス業
不動産業,
物品賃貸業
金融業,
保険業
卸売業,
小売業
運輸業,
郵便業
情報通信業
製造業
建設業
産業計
0
金融業,
保険業
5.2
卸売業,
小売業
11.7
0.0
22.1
19.8
運輸業,
郵便業
12.4
情報通信業
8.8
8.7
製造業
7.9
0
建設業
10.4
7.4
3.6
10
15.4
21.5
20.1
23.3
20
23.1
20.7
19.3
17.4
26.8
27.6
24.7
産業計
20
2013年度
17.4
13.6 13.8
15
16.7 16.3 15.3 16.2
15.2 15.7 16.0 14.4
14.0
10
11.6
11.5
10.5
10.8
9.8
5
44.6
44.0
23.7
2012年度
35.0
35
60
40
第1章
図14 産業別・職業別パート・アルバイト雇用比率
(東京、2012年)
中国
(香港等を
含む)
21.1
30.4
31.2
13
14年
0
2008
09
10
11
12
注 各年10月末現在。ベトナムの分類は2012年以降。
ネパールの分類は2014年以降。
資料 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」
在留資格別
日本人ま 定住者
たは永住
(%)
者の配偶
4.3
者等
専門的・
9.4
9.3 技術的分野
18.7
9.9
外円:東京 1.2 32.8
永住者 22.9万人
内円:全国 18.5
17.7
23.9 78.8万人
1.8
18.6
1.9
資格外活動 32.1
32.1
技能実習
特定活動
産業別
その他
20.0
18.4
(%)
情報
通信業
製造業 11.1
7.5
外円:東京 34.7
サービス業 22.9万人
13.0 内円:全国
17.3
13.8
78.8万人
6.7
4.0
11.6 11.6
7.0
卸売業,
小売業
23.3
教育,学習
支援業
宿泊業,飲食サービス業
注 10月末現在。
資料 図16に同じ
115
第1章 労働力状況
3 就業形態や産業によって異なる入職率・離職率
(1) 入職者数を上回る離職者数
2013年の東京における入職者数は約85万人、離職者数は約91万人と、2012年と比較してともに増加し
ました。入職者数と離職者数は、2006年から2008年にかけてはどちらも減少傾向で推移していましたが、
2009年に雇用情勢の悪化を受けて離職者が大幅に増加して以降、離職者が入職者を超える状態が続いて
います。(図1)
(2) 女性やパートタイム労働者で高い入職率・離職率
男女別に入職率、離職率の推移をみると、ともに女性の方が高くなっています。離職者数が大幅に増
加した2009年には、男女とも離職率が上昇しました。2013年は前年と比較して、男女とも入職率、離職
率が上昇しています。一方、就業形態別に入職率、離職率をみると、一般労働者よりパートタイム労働
者の方が2倍程度高くなっています。(図2、3)
産業別にみると、入職率、離職率どちらも「宿泊業,飲食サービス業」の割合が最も高くなっています。
また、多くの産業で離職率が入職率を上回っていますが、
「建設業」
、
「情報通信業」等では入職率が離職
率を上回っています。(図4)
(3) 若い世代で高い転職率
年齢別に転職入職率をみると、男女ともに若年層で高く、年齢が上がるにつれて低くなる傾向があり
ます。しかし、男性は定年後の再就職のタイミングにあたる「60 ~ 64歳」で再び上昇しています。(図5)
図1 入職者数・離職者数の推移(東京)
図2 男女別入職率・離職率の推移(東京)
(%)
30
(万人)
120
離職者数
入職者数
100
80
パート
28.1
85.4
79.3
84.3
一般
56.2
29.6
28.1
60
40
離職率
(女性)
25
61.4
56.7
入職率
(女性)
20 19.6
15 16.0
13.5
10 11.5
5
0
2004
05
06
07
08
09
10
11
12
13年
0
2004
05
07
08
09
11
10
13.6
9.6
11.3
10.6
12
注 5人以上の常用雇用者を雇用する事業所。
資料 厚生労働省「雇用動向調査」
注、資料 図1に同じ
図3 就業形態別入職率・離職率の推移(全国)
図4 産業別入職率・離職率(東京、2013年)
(%)
35
30
25
20
15
10
5
0
入職率
(パートタイム
労働者)
27.1
26.7
離職率
(パートタイム
労働者)
13.1
12.6
2004
26.0
26.8
25.1
離職率
(一般労働者) 11.5
24.7
11.3
12.4
12
13年
入職率
(一般労働者)
05
06
07
08
09
10
11
入職率
12.6
13.014.2
12.2
11.0
10
11.0
11.0
10.2
10.1
9.0 8.6
8.5
8.2
8.0
7.0
5.8
20.8
19.8
14.1 13.5 13.3
11.6
10.9 10.1
サービス業
医療,
福祉
教育,
学習支援業
注、資料 図1に同じ
生活関連サービス業,
娯楽業
注 5人以上の常用雇用者を雇用する事業所。転職入職者は、入職
前1年間に就業経験のある者のこと。
資料 図1に同じ
宿泊業,
飲食サービス業
19歳 20~ 25~ 30~ 35~ 40~ 45~ 50~ 55~ 60~ 65歳
以下 24歳 29歳 34歳 39歳 44歳 49歳 54歳 59歳 64歳 以上
学術研究,
専門・技術サービス業
7.8
5.5
不動産業,
物品賃貸業
男性
金融業,
保険業
8.6
卸売業,
小売業
14.4
0
12.9
運輸業,
郵便業
女性
情報通信業
0
12.5 12.7
製造業
5
15.4 15.5
建設業
10
22.7
21.8
3.3
17.3
16.2 16.4
全産業計
15
離職率
20
図5 男女別・年齢別転職入職率(全国、2013年)
(%)
20
13年
(%)
30
注、資料 図1に同じ
116
06
15.9
14.9
8.8
離職率
(男性) 入職率
(男性)
20
14.2
第3節 就業形態や産業によって異なる入職率・離職率
図6 職歴別入職者数、転職入職者の割合の推移
(東京)
(万人)
120 62.7
69.1 (%)
70
転職入職者の割合(目盛右) 63.1
60
100
80 19.2
一般未就業者
60 12.3
新規学卒者
13.8
13.4
12.7
15.8
40
20
0
52.9
2004
50.0 59.0
転職入職者
05
06
07
08
09
10
11
12
13年
図7 入職経路別入職者数構成比(全国、2013年)
0
一般未就業者
20
18.4
40
新規学卒者
20
29.2
13.0
正規から
正規へ
男性
56万人
女性
66万人
40
前職
現職
18.0
10
39.8
61.3
前職
現職
35.1
18.6
11.8
14.3
19.8
38.7
24.5
正規から 非正規から
非正規へ 非正規へ
64.9
53.0
16.6
(万人)
600
事業所側の理由
定年
本人の責による
死亡、傷病
550
転職入職者
職業安定所
450
482.8
縁故・出向等
32.9
22.1
29.6
ハローワークインターネットサービス
民営職業紹介所
正規雇用への転職割合
(%)
80
61.8
70
60
50 正規から正規
40
24.5
30
20
10
0
男女計
67.8
52.8
36.8
男性
女性
150
498.3
100
1,500
995
支給金額
(目盛右)
781
58.1
400
100 89.5
55.5
50 33.8
14.1
0 9.6
2004
契約期間の満了
05
06
注、資料 図1に同じ
07
08
09
10
11
18.2
非正規から正規
図10 雇用保険受給者実人員数・支給金額の推移
(東京)
(千人)
(億円)
467.5
個人的理由
8.7
32.7
注 2007年10月以降に前職を辞めた者を対象。
資料 総務省「就業構造基本調査」
図9 離職理由別離職者数の推移(全国)
500
学校 33.6
13.5
0
非正規から
正規へ
41.5
22.3
その他
20
(%)
60
80
100
非正規の職員・従業員 52.8
正規の職員・従業員 47.2
(%)
100
80
広告 46.8
注、資料 図1に同じ
0
60
30
図8 男女別転職者の移動状況と正規雇用への
転職割合(東京、2012年)
前職
現職
40
50
注、資料 図1に同じ
男女計
122万人
第1章
職歴別に入職者数の推移をみると、転職入職者の割合が最も多く、2013年は約7割を占めています。
また、入職経路別にみると、新規学卒者は「学校」
、
「広告」の割合が高いのに対し、一般未就業者や転
職入職者は「広告」の割合が最も高いものの、
「縁故・出向等」や「職業安定所」の割合も高く、様々な
経路を活用していることがうかがえます。(図6、7)
次に東京の転職者の移動状況をみると、非正規の職員・従業員が転職後も非正規のままである割合は約
4割で、非正規の職員・従業員が正規となる割合は1割強となっています。また、正規雇用への転職割合
をみると、正規から正規への転職は男性で約7割、女性で約5割と半数以上を占めているのに対し、非
正規から正規への転職は男性で4割弱、女性で2割弱となっており、非正規から正規への転職が厳しい
状況であることがうかがえます。(図8)
(4) 比較的多い「契約期間の満了」を理由とした離職
離職理由別に離職者数の推移をみると、「個人的理由」が最多となっており、他の理由を大きく上回っ
ています。また、非正規雇用の増加等を背景に、
「契約期間の満了」を理由とする離職の件数も比較的多
くみられます。一方、「事業所側の理由」については、雇用情勢が悪化した2009年に増加したものの、近
年では緩やかに減少傾向となっています。(図9)
(5) 雇用保険受給者数と支給金額は、5年連続で減少
雇用保険とは、失業者や教育訓練を受ける人等に対して、失業等給付を支給し、労働者の生活及び雇
用の安定と就職の促進を図るためのものです。東京の雇用保険受給者実人員数と支給金額は、2009年度
の景気後退による雇用情勢の悪化を受け大幅に増加した後、5年連続で減少しています。
(図10)
104.8
103.4
47.4
35.4
11.7
6.1
51.8
34.3
18.3
13.6
12
13年
48.3
50
1,000
674
42.3
500
受給者実人員数
0
2004 05
06
07
08
09
10
11
12
13 14年度
0
注 支給金額は基本手当(基本分)の額。実人員数は月平均。
資料 東京労働局業務統計
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