(2010年10月3日時点)/イコライザーのゲインアップ対応

無帰還CR型フォノイコライザー搭載
MM,MCカートリッジ対応プリアンプ作成レポート
「MJ無線と実験」2009 年 3 月号に掲載された安井章氏のMM,MCカートリッジ対応プリ
アンプの作成レポートです。
2010 年 10 月 3 日
1.
1.1.
基本仕様の検討と部品の確保
重要部品の入手確認と代替品の検討
現在は、ディスクリートの部品がどんどん製造中止になっている。キーパーツが入手できないとアンプとして
完成させることはできない。以下は、無線と実験誌に掲載された記事で使用されている部品のうち、キーパー
ツについて、入手の確認と、代替品の検討、それらの部品の購入した状況を示している。
◎印:製造されていて問題なく入手できた部品。
○印:誌面の使用部品を入手したが、製造中止か中止予定、もしくは製造状態が不明な部品。
△印:誌面の使用部品の後継、改良型を入手した部品。もしくは、同等スペックの代替品を入手。
▽印:誌面と同じ部品ではなく、定数や耐圧などが同じ部品を購入。
または、誌面ではどの様な部品を使ったのか不明な部品で推定する相当品を入手した部品
×印:入手困難、もしくは入手不可能、または誌面ではどの様な部品を使ったのか不明な部品。
(1)イコライザーアンプ基板関係
入手
名称
説明
○
2SK117-GR
購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。
○
2SK117-Y
購入。東芝のホームページからデータシートをダウンロード。
○
2SJ74-GR/2SK170-GR
△
2SA992/2SC1845
○
2SA970-BL/2SC2240-BL
◎
ツェナーダイオード 24V
△
1/2W 金属皮膜抵抗
○
半固定VR
北陸電気工業
PN822H204H
×
WIMA MKS2
メタライズドポリエステルフィ
ルムコンデンサ
2SJ74-GR は廃止品であるが購入可能。データシートはネットで検索して入手
した。2SK170 のデータシートは東芝のホームページからダウンロード。
元NECエレクトロニクスの製品である。現在の所管はルネサスエレクトロニク
ス。入手は可能であるが廃止品。一応必要数購入。NEC エレクトロニクスは、
2010 年 4 月 1 日付でルネサステクノロジと合併した。会社としては、NECエレ
クトロニクスが存続し、商号がルネサスエレクトロニクスとなった。
データシートは、ルネサスのドキュメント検索、製品検索でまともに検索しても
ヒットしなかったが、ホームページ右上の[キーワード/型名][検索]に「デー
タシート 2SA992」と入れたら抽出できた。
廃止品となった 2SA992/2SC1845 の代替として使用する。
東芝のホームページからデータシートをダウンロード。
ルネサスの HZ24-2E を購入。データシートをホームページから入手した。
基本は、タクマン電子の REY50 シリーズを使いたいのだが、店頭でシンコーの
タンタル金属皮膜抵抗 TAF シリーズをベースに、欠品している定数部分にタク
マン電子の REY50 シリーズをあてがって販売しているので、そのまま混在して
いる形で購入した。シンコーのタンタル金属皮膜抵抗 TAF シリーズは、生産中
止品で、データシートも入手できない。また、カラーコードの印刷がずれていた
り、塗装に小さなくぼみがあって均一でなかったりする。製品の作りはタクマン
電子の方が塗装等も丁寧でしっかりしている。
タクマンのホームページからデータシートをダウンロード。
北陸電気工業(NEC と書いているホームページもある)の PN822H204H を使
用。ホームページが見つからないので、生産しているのかいないのか不明で
ある。スペックは不明。本品を入手したが、入手できなくても他のメーカの製品
で問題は無い為△とした。
WIMA の MKS2 コンデンサが生産されているか否かは不明。定数の種類も少
なく、入手するのに苦労した。データシートは、検索サイトで「WIMA MKS2」と入
力したら、データシートを得ることができた。イコライザには、RIAA 用に 0.047μ
F/100V±5%、その他に 1μ F/50V±5%、2.2μ F/63V±5%を使用する。保守用
として 0.047μ F は、ニッセイの APS(誤差±2%)を購入したが、、ニッセイは
2010 年 5 月に倒産してしまった。1μ F、2.2μ F については、パナソニックの
ECQV シリーズ(生産中止品)を保守用として購入した。
入手
名称
×
ERO1826
ポリエステルフィルムコンデ
ンサ
△
10μ F メタライズドポリエス
テルコンデンサ
◎
100µF
電界コンデンサ
説明
独レーダーシュタイン(ERO)社のフィルムコンデンサ。なかなか入手できない。
データシートもネット検索では見当たらない。イコライザには、RIAA 用に 0.15μ
F と、電源用に 0.015μ F を必要数入手した。0.15μ F については、ニッセイの
APS(誤差±2%)を保守用として購入した。
メーカ不明ではあるが、63V 仕様の物を購入した。
他、ニッセイの MMC を 2 個を購入している。
ニチコンオーデイオ用小型アルミ電解ミューズ KZ シリーズ耐圧 50V を使用。
耐圧は、25V あれば良いのだが、手持ちのミューズ KZ の 50V 仕様を使った。
かなり大型 12.5φ ×20mm だ。
(2)バッファー及び電源回路基板関係
入手
○
2SK117-BL
○
2SK117-Y
説明
部品を選別するため余分に購入。秋葉原のラジオ会館の若松通商で購入した
のだが、購入予定数より2個不足したので、2 個分はペア品となった。BL ランク
は部品隘路(あいろ)なのか。
データシートを東芝のホームページからダウンロード。
イコライザ基板と同じ
△
2SA992/2SC1845
イコライザ基板と同じ
○
2SA970-BL/2SC2240-BL
イコライザ基板と同じ。2SA992/2SC1845 の代替として使用。
○
ツェナーダイオード 18V
◎
SBD 日本インター
FCH10A15/FRH10A15
△
1/2W 金属皮膜抵抗
イコライザ基板と同じ
半固定VR 北陸電気工業
PN822H201H
WIMA MKS2
メタライズドポリエステルフィ
ルムコンデンサ
ERO1826
ポリエステルフィルムコンデ
ンサ
イコライザ基板と同じ
○
×
×
名称
◎
10µF/50V
電界コンデンサ
◎
1000µF/50V
電界コンデンサ
×
コイル TDK
SP0406 100K-6 22µH
×
FB301-#43(アミドン)
手持ちの NEC の RD18E を使用。
RD シリーズは、2009 年 4 月保守品に、2010 年 5 月廃止品となった。
ルネサスのホームページからデータシートをダウンロード。
購入。日本インターのホームページからスペックシートをダウンロード。
1μ F/50V±5%を使用する。なお、保守用としてニッセイのMTFを予定していた
が、パナソニックの ECQV シリーズ(生産中止品)を購入した。
独レーダーシュタイン(ERO)社のフィルムコンデンサ。なかなか入手できない。
データシートもネット検索では見当たらない。0.015μ F を使用する。
ニチコンの MUZE KZ を使用したいところだが、10µF/50V 仕様が無く、
10µF/100V となってしまうので、FG を購入した。
データシートをニチコンのホームページからダウンロード
ELNA の SILMICⅡか安売りしていたので購入。
ELNA のホームページからデータシートをダウンロード
紙面に記載されている"SP0406 100K-6 22µH"は、TDK の製品カタログに見当
たらない。"100"から推測すると容量は 10µH か。22µH かもしれないが、データ
シートが無いのでよく分からない。
10µH だろうとふんぎりをつけて、若松通商で"SPO406-100J-PF"を購入。これ
もメーカの製品カタログには載っていなかったが、若松通商のホームページの
URL からデータシートを入手することができた。
FB301-#43(アミドン)をネットで探しても見つからない。FB801-#43 の誤りでは
ないか?。実装方法も紙面から読み取れないので、ここにはフェライトコアを入
れるのを止めて、EMI フィルタを入れることにした。
村田製作所の EMI 除去フィルタ(エミフィル)(DC 用)-型番:BL01RN1A1D2B
を購入。データシートを村田製作所のホームページからダウンロード。
(3)ミューティング回路基板関係
入手
△
名称
2SC1845
○
○
2SC2655
ツェナーダイオード 33V
△
整流ダイオード 1N4006
○
△
抵抗、コンデンサ
100µH コイル、150µH コイル
◎
リレー オムロン
G2R-2 DC24V 2 極
説明
入手は可能であるが廃止品。一応必要数購入したが、実機には手持ちの東
芝の 2SC1815 を使用することにした。
購入。データシートを東芝のホームページからデータシートをダウンロード。
誌面ではツェナー電圧 33V のダイオードを使用しているが、電源電圧が 41.3V
である。本機では、36.1V=22.5V×1.41 なので、ツェナー電圧は、5.5V 低い
27.5V(≒28V)でよい。ここは、12V と 16V のツェナーダイオードを購入。シリー
ズ接続して対応する。また、白熱球様に 24V も必要
→整流後の電圧が低かったので、別途、22V と 10V が必要。
800V 1A 仕様の整流用ダイオード。 VISHAY LITE-ON の同じシリーズで
1000V 1A 仕様の IN4007 が大量に安売りしていたので購入。
特に問題なく購入。
若松通商で"SPO406-101J-PF"、"SPO406-151J-PF"を購入。メーカの製品
カタログには載っていなかったが、若松通商のホームページの URL からデータ
シートを入手することができた。
問題なく購入。
(4)トランス、スイッチ類、他
入手
×
名称
トランス
PT-4092 北野機電
△
ロータリースイッチ
2回路3接点
▽
100KΩ アッテネータ
ソフトン
インスタントレタリング
○
説明
特注品であり、紙面では電圧が高すぎるとの事だったので、他を探したところ、
若松通商で販売されている北野機電製の"PT-0023/K3Z3SK"が、2 次側
0.5A/25.5V-CT-25.5V ×2回路、1A/17.6V-CT-17.6V と仕様上ぴったりで
あることがわかり、これを購入した。
なお、昔と違って、トランジスタ用のオーディオトランスが全く販売されておら
ず、都度特注しなければならない状況にあることを再認識した。
ロータリースイッチはプリアンプを作るのに重要な部品であるが、手ごろな製
品が全く手に入らない状況である。以前は、アルプス製の Y シリーズが供給さ
れており、安価で信頼性もあって使いやすかったのだが、今は手に入らない。
仕様を変更しているので、2段4回路5接点が2個必要。
そう思っていた矢先、ネットで Y-201 が在庫処分で売りに出されていて、慌てて
購入した。今後は5千円以上、物によっては数万円するようなロータリーSW、
もしくは、普及タイプの 300 円程度の汎用品を使わなければならない。
ソフトンも入手可能だが、アルプスのミニデテントボリュームを使うことにした。
100KΩ ではなく、50KΩ の A カーブ2連を使う。
サンハヤトのインスタントレタリングだが、扱っている店が少ない。
LS-271,LS272,LS273 を入手
プリアンプではデザインに影響するスイッチ以外の重要部品は揃ったので、ひとまず部品の購入検討は終了。
1.2.
機器仕様の検討と筺体のデザイン
(1) 基本仕様の検討
MJ無線と実験に掲載される記事は、どれも最高の音質を求める為、必要最小限の構成としているが、やはり、
プリアンプとして実用上必要な機能もある。
まず、Mute。アンプで音楽を鳴らしている時、電話がかかって来ることや、そうでなくても、家族に(子供に
も)
「うるさい!!」と怒鳴られる事は日常茶飯事である。その度にボリュームを絞り、ほとぼりが冷めた頃、
また、元の音量に戻すのではやってられない。音楽の流れは重要だ。Pause もしたくない。Mute は必要だ。
もう一つは、左右の入れ替えや、モノラルでの再生、片 ch の再生が選択出来る機能「Mode Select 機能」
(以
降 Mode と記す)が必要だ。いくらアンプが優れていても、部屋の関係で音が中央に定位するかなどを確認し
たい時がある。モノラル(左右合成、Lchのみ、Rchのみ)や左右を入れ替えて再生できるとこういった
場合便利だ。
元々の機能、電源SW、MC/MMの切り替え、入力ソースのセレクターとボリュームに加え、上記2つの機
能を追加する事にした。
(2) ブロック回路図
(3)前面パネルのデザイン
前面パネルは、機能的に使い易い事と、優れたデザインであることの両方を兼ね備えていなければならない。
後者は、才能が無いとまず無理なので、前者の機能的に使いやすいことを優先させたい。
電源SWは左端。これは決まりだ。パイロットランプを兼ねた物とする。色は、青としたい。ただ、LEDの
タイプに、青は無いようだ。この場合緑とする。赤は避けたい。後は、白か黄色ぐらいか。
中央にはボリュームを配す。この配置も決まり。右端には、入力ソースのセレクターを取り付ける。
ここまで固定したところで残る Mute,Mode,MC/MM の配置でバリエーションが色々考えられる。
■第一案
Mute はプッシュ式オルタネイト、ロック付きの2回路以上、2接点のスイッチが必要だ。電源 SW とボリュー
ム間に配置する。ボタン色は、白かシルバーとする。
Mode,MC/MM の機能をどの様にするかで、さらにバリエーションがうまれるが、第一案としては、Mode の機能
を優先する。私は、MC/MM の切り替えはほとんど行わないので、背面の配置で十分だ。
他にも何通りか考えたが、第一案で行くことにした。
前面パネル
第一案イメージ図
■第二案
当初の案で、Mute,Mode は実装せず、MC/MM の切り替えを前面パネルに持ってくる案。MC/MM の切り替えを前
面パネルにはロータリースイッチを使用する。ただ、私は、カートリッジは MC か MM 型に固定で取り換えるこ
とはまず無い。従って、私にとっては前面パネルに MC/MM の切り替えを配置することはあまり意味がない。
■第三案
第二案の MC/MM の代わりに Mode を置く。MC/MM の切り替えは、背面とし、Mute は実装しない。
■第四案
第二案に Mute を追加した案。第一案と配置は同じで、Mode は実装せず、代わりに MC/MM を配置。
■第五案
第一案に MC/MM の切り替え機能を追加した案。但し、プッシュスイッチが4回路2接点のタイプが必要で、確
実に入手できるか調べる必要がある。また、部品の配置バランスが悪い。
■第六案
Mode,MC/MM 切り替えともロータリースイッチで行う。Mute は、ボリュームの斜め下に配置してみた。やはり、
一直線に並べないとどうもバランスが悪い。
■第七案
一直線にも並べてみた。
■第八案
MC/MM をプッシュスイッチとして、Mote と共に配置してみた。右側が混雑・・・。
■第九案
Mute は諦めた。ボリュームが中央にあるのに左に寄って見える。配置が悪いか。
1.3.
筺体関係の部品
前面パネルの検討から、次の部品を購入する。(表は部品入手後順次更新)
入手
名称
△
筺体 タカチ US-260LH
△
内部シャーシ
△
つまみ
△
電源SW
△
MM/MC 切り替えスイッチ
4回路2接点
-
-
-
-
-
-
-
-
音声 Mute 用プッシュSW
2回路2接点
RCAジャック
赤、白 各6個
アース端子
ACコンセント
ACコードプラグ付き
コードプロテクター
タカチ CP-F42
ヒューズホルダー
サトーパーツ F-95N
アルミ材
説明
タカチ SL99-32-43 を購入
99(H)×320(W)×430(D) タカチのホームページを参照
タカチ AC32-43
SL用アルミシャーシ 303(W)×367(D)
サトウパーツ K-59-L-AG 45φ サトウパーツのホームページ
K-59-M-AG 30φ
K-59-S-AG 23φ
K-37-S
16φ
ミヤマ MS-720F-1-R-N-U 白熱球(12V) 青色 Cap
ミヤマ MS-720L-1-R-N-G 緑色LED(6.3V) 緑色 Cap
ミヤマ MS-720L-1-R-N-W 緑色LED(6.3V) 透明 Cap を購入
DPDT(双極双投) オルタネイト、電流容量 3A 125V AC、ボタン 白(透
明) 寸法 外周 18×24、ボタン内径 15×21
LED 緑色 逆電圧 12V, 順方向電圧 VF=6.3V(IF=15mA) 順方向電流
20mA APPROVAL CURRENT15mA (Approval=承認だが 15mA で使え
という事?)
ミヤマのホームページ(見づらい!使いづらい!)には、製造品にも廃
止品にも載っていないので、かなり昔(2005 年以前)に廃止品になったの
かもしれない。スペックシートは、パーツ販売のネットサイトから、電流の
設計方法は、ミヤマのホームページの「ミヤマスイッチご使用上の注意
事項」をダウンロード
スライドスイッチもしくは、小型のロータリースイッチで2接点で4回路以
上のもの→スライドスイッチで4回路のものがなかなか見当たらない。
アルプスの M62(6 回路 2 接点)を購入した。
ミヤマ MS-251 白
DPDT(双極双投) オルタネイト、電流容量 6A 125V AC
ミヤマのホームページからダウンロード
ロック式が欲しかったが、見つけられなかった。
7Aの物を購入
対応電線 3.0×7.1/3.8×7.6 タカチのホームページ
サトーパーツのホームページ参照
10×10×1000mm
12×12×1000mm
10×2×1000mm
10×5×300mm
15×5×300mm
100×200mm 1t
1.2t L型アルミ材
0.8t L型アルミ材
角型アルミ材
角型アルミ材
角型アルミ材
アルミ板
2.
部品の測定・選別
2.1.
部品の測定内容・選別内容
FETの選別を行う必要がある。紙面の[表1]FETの選別の説明に誤記があったのと、わかりづらかった
ので、私なりの解釈を以下に示す。
イコライザー
素子
使用FET
Q1
2SK117-GR
Q2
2SK117-GR
Q3
2SK170-GR
Q4
2SJ74-GR
Q7
2SK117-Y
Q10
2SK117-Y
バッファー
素子
使用FET
Q1
2SK117-BL
Q2
2SK117-BL
Q3
2SK117-Y
Q5
2SK117-Y
位置付け/使用条件
初段の増幅用
ID=3mA で使用する
選別条件
IDSS が 3mA~4mA のもの
を選別。左右両 Ch で IDSS
が揃ったものを選別する
左右両 Ch で IDSS が揃っ
たものを選別する
Q4 の 2SJ74-GR と IDSS
が近いものをペアとする
Q3 の 2SK170-GR と IDSS
が近いものをペアとする
Q10 と IDSS が近いものを
使用する
Q7 と IDSS が近いものを使
用する
VGS 測定(ソース抵抗値算出)
ID=3mA となるようにソース抵抗 RS
の値を調整し、VGS を測定する
位置付け/使用条件
ソースフォロワー
ID=6mA で使用する
定電流回路
選別条件
左右両 Ch で IDSS が揃っ
たものを選別する
左右両 Ch で IDSS が揃っ
たものを選別する
VGS 測定(ソース抵抗値算出)
ID=6mA となるようにソース抵抗 RS
の値を調整し、VGS を測定する
ID=6mA となるようにソース抵抗 RS
の値を調整し、VGS を測定する
RS は、半固定抵抗 200Ω とパラな
ので、算出値の 1.2 倍~1.5 倍の値
の抵抗値とする
定電圧回路正極側
定電流回路
定電圧回路負極側
定電流回路
Q5 と IDSS が近いものを使
用する
Q3 と IDSS が近いものを使
用する
初段の定電流回路用
ID=2mA で使用する
二段目ユニットアンプ
ID=3mA で使用する
二段目ユニットアンプ
ID=3mA で使用する
定電圧回路正極側
定電流回路
定電圧回路負極側
定電流回路
ID=2mA となるようにソース抵抗 RS
の値を調整し、VGS を測定する
ID=3mA となるようにソース抵抗 RS
の値を調整し、VGS を測定する
ID=3mA となるようにソース抵抗 RS
の値を調整し、VGS を測定する
2.2.
部品の測定
測定は、1素子ずつ、IDSS の測定、IDの設定、VGS の測定の順で行った。
まず、IDSS の測定を(a)の図の回路で行い、続いて RS としてボリュームをソースに入れ、(b)の回路で所
定の電流IDが流れるように(100Ωの電圧降下が所定の値になるように)RS を調整し設定する。この状態で、
(c)の様に、VGS(ゲートとソース間の電圧すなわち、RS の電圧降下)を測定する。RSの値をIDと VGS
の測定値から求める。
(a)IDSS の測定
(b)ID の設定
(c)VGS の測定
(1) イコライザー用 2SK117-GR ID=3mA での測定結果
No.
RD
(Ω )
VD
(V)
IDSS
(mA)
ID
(mA)
VGS
(mV)
RS
(Ω )
5
100
0.3487
3.5
3
30.1
10.0
3
100
0.3572
3.6
3
38.5
12.8
15
100
0.3727
3.7
3
47.3
15.8
16
100
0.3829
3.8
3
52.6
17.5
Q1 として使用 RS=18Ω
10
100
0.3841
3.8
3
52.4
17.5
Q1 として使用 RS=18Ω
12
100
0.3845
3.8
3
53.8
17.9
Q2 として使用
17
100
0.3871
3.9
3
53.8
17.9
Q2 として使用
1
100
0.3983
4.0
3
60.8
20.3
No.13 とペア
13
100
0.4
4.0
3
63.0
21.0
No.1 とペア
18
100
0.399
4.0
3
65.9
22.0
8
100
0.412
4.1
3
72.1
24.0
No.14 とペア
14
100
0.414
4.1
3
73.2
24.4
No.8 とペア
19
100
0.42
4.2
3
79.3
26.4
No.20 とペア
20
100
0.421
4.2
3
79.1
26.4
No.19 とペア
4
100
0.441
4.4
3
90.5
30.2
No.9 とペア VGS で見ると×
9
100
0.448
4.5
3
96.1
32.0
No.4 とペア VGS で見ると×
11
100
0.503
5.0
3
126.5
42.2
No.7 とペア VGS で見ると×
7
100
0.514
5.1
3
134.2
44.7
No.11 とペア VGS で見ると×
6
100
0.529
5.3
3
143.7
47.9
2
100
0.601
6.0
3
182.2
60.7
ペア実現率 70%(20 本中 7 組 14 本)
備考
(2)イコライザー用 2SK117-GR
ID=2mA での測定結果
No.
RD
(Ω )
VD
(V)
IDSS
(mA)
ID
(mA)
VGS
(mV)
RS
(Ω )
5
100
0.3487
3.5
2
99.1
49.6
3
100
0.3572
3.6
2
108.4
54.2
15
100
0.3727
3.7
2
119.6
59.8
16
100
0.3829
3.8
2
123.0
61.5
Q1 として使用
10
100
0.3841
3.8
2
120.5
60.3
Q1 として使用
12
100
0.3845
3.8
2
124.1
62.1
Q2 として使用 RS=62Ω
17
100
0.3871
3.9
2
125.1
62.6
Q2 として使用 RS=62Ω
1
100
0.3983
4.0
2
131.2
65.6
No.13 とペア
13
100
0.4
4.0
2
131.9
66.0
No.1 とペア
18
100
0.399
4.0
2
136.7
68.4
8
100
0.412
4.1
2
142.0
71.0
No.14 とペア
14
100
0.414
4.1
2
143.2
71.6
No.8 とペア
19
100
0.42
4.2
2
153.2
76.6
No.20 とペア
20
100
0.421
4.2
2
152.9
76.5
No.19 とペア
4
100
0.441
4.4
2
164.0
82.0
No.9 とペア VGS で見ると×
9
100
0.448
4.5
2
166.6
83.3
No.4 とペア VGS で見ると×
11
100
0.503
5.0
2
198.2
99.1
No.7 とペア VGS で見ると×
7
100
0.514
5.1
2
205.1
102.6
No.11 とペア VGS で見ると×
6
100
0.529
5.3
2
215.6
107.8
2
100
0.601
6.0
2
255.7
127.9
備考
(1) と同じ素子を測定
(3)イコライザー用 2SK170-GR/2SJ74-GR
No.
型番
RD
(Ω )
VD
(V)
ID=3mA での測定結果
IDSS
(mA)
ID
(mA)
VGS
(mV)
RS
(Ω )
1
2SK170-GR
100
0.440
4.4
3
56.9
19.0
2
2SJ74-GR
100
0.440
4.4
3
45.9
15.3
3
2SK170-GR
100
0.433
4.3
3
56.7
18.9
4
2SJ74-GR
100
0.431
4.3
3
44.2
14.7
ペア実現率 100%(ペア選定品を購入しているので当然の結果)
(Ra+Rb)/2+Rc=200 より、
1,2 の Rc は、200-(20+15)÷2≒180
3,4 の Rc は、200-(20+15)÷2≒180
備考
2 とペア
Q3 に使用 RS=20Ω
1 とペア
Q4 に使用 RS=15Ω
4 とペア
Q3 に使用 RS=20Ω
3 とペア
Q4 に使用 RS=15Ω
(4)イコライザー用/バッファ-用 2SK117-Y
2SK117-Y は、定電圧回路に使用されるが、正負で IDSS が揃っていて、かつ、両チャンネルも揃っている事が
望ましい。ペア品を購入してもよいが、70%の確率でペアが組めるので、パラ品を購入して自分で選別する。4
ペア取れれば良いので最低 12 本購入すればよい。実際には 20 本購入してペアを選別した。
No.
RD
(Ω )
VD
(V)
IDSS
(mA)
8
100
0.2670
2.67
↓No.13 とペア
13
100
0.2613
2.61
↑No.8 とペア
5
100
0.2533
2.53
↓No.2 とペア バッファーQ3
2
100
0.2492
2.49
↑No.5 とペア バッファーQ5
9
100
0.2491
2.49
↓No.9 とペア バッファーQ3
17
100
0.2452
2.45
↑No.17 とペア バッファーQ5
3
100
0.2384
2.38
↓No.7 とペア
7
100
0.2323
2.32
↑No.3 とペア
1
100
0.2236
2.24
19
100
0.2179
2.18
↓No.18 とペア イコライザーQ7
18
100
0.2148
2.15
↑No.19 とペア イコライザーQ10
10
100
0.2071
2.07
↓No.10 とペア イコライザーQ7
12
100
0.2047
2.05
↑No.12 とペア イコライザーQ10
6
100
0.2005
2.01
11
100
0.1925
1.93
↓No.20 とペア
20
100
0.1922
1.92
↑No.11 とペア
15
100
0.1912
1.91
16
100
0.1757
1.76
14
100
0.1617
1.62
4
100
0.1502
1.50
ペア実現率 70%(20 本中 7 組 14 本)
備考
(5)バッファー用 2SK117-BL
ID=6mA での測定結果
2SK117-BL で必要なのは 2 ペアなので、パラ品を 10 本購入(内 2 本はペア品)して測定した。ペア率が 40%
なので、ペア選別品を購入した方がお得。
RD
(Ω )
VD
(V)
IDSS
(mA)
ID
(mA)
VGS
(mV)
RS
(Ω )
6
100
0.926
9.3
6
184.9
30.8
Q1 として使用 RS=30Ω
4
100
0.925
9.3
6
183.7
30.6
Q1 として使用 RS=30Ω
8
100
0.887
8.9
6
156.1
26.0
9
100
0.868
8.7
6
146.8
24.5
1
100
0.852
8.5
6
143.4
23.9
3
100
0.841
8.4
6
135.1
22.5
10
100
0.838
8.4
6
134.4
22.4
7
100
0.816
8.2
6
119.6
19.9
5
100
0.722
7.2
6
69.3
11.6
2
100
0.688
6.9
6
48.6
8.1
No.
ペア実現率 40%(10 本中 2 組 4 本)
備考
Q2 として使用 RS=27Ω
半固定 200Ω とパラで 22.5Ω とする
Q2 として使用 RS=27Ω
半固定 200Ω とパラで 22.4Ω とする
3.
3.1.
回路図と基板への部品実装検討
電源、バッファー基板
電源、バッファー部の回路図を以下に示す。
回路図はMJ無線と実験 2009 年 3 月号を参照の事。
2SC1845/2SA992 を 2SC2240-BL/2SA970-BL に変更している。また、電源のコイル類は正しい値か不明な部分で
はあるが、現時点ではこの定数としておく。実際に組み上げてみて、正しく動作するか検証したい。
基板は、エッチングで作成したいところだが、昨今の環境汚染問題を考えると、廃液の処理が難題だ。勝手に
排水溝に捨てるわけにはいかない。仕方が無いので、ユニバーサル基板で実装する。
バッファー回路に使う基板は、サンハヤトの ICB-93SG を使う。部品の配置図、結線図を下記に示す。
実際に部品を配置して確認する。1000μF の平滑コンデンサが、トランジスタと近すぎる気がする。
少し見直した。
3.2.
ミューティング基板
ミューティング回路の中で、電源SWのパイロットランプの駆動回路をオリジナルから見直ししている。
まず、オリジナルの整流、平滑後の電圧は 41.3V の設計値であるが、入手したトランスでの整流、平滑後の電
圧は、36.1V で 5.2V の差がある。そこで、7.9V と記載されている電圧をほぼ同一とするために、ツェナー電
圧を 33V から 5V 下げた 28V とする。手持ちで 12V と 16V のツェナーがあったので、シリーズに接続して使用
する。次に LED 駆動用の保護抵抗であるが、VF=6.3V で、推奨電流 15mA であることから、R=(供給電圧(E)
-順電圧(VF))/(動作(推奨動作)順電流(IF))=(7.9-6.3)/0.015=107Ω≒100~120Ωとなる。
ここでは仮に 120Ωとし、実測して推奨電流 15mA 近辺となるように値を決める。
なお、SW は青色の白熱球のタイプも購入している。私は青色が好みなので、こちらの採用も考えたい。電流
を 50mA を消費するが、トランスの容量は 0.5A なので問題ない。ただ、白熱球の寿命は 1 万時間である。ずっ
と点灯し続けて1年ちょっとなので、こちらを採用した場合は、ある年数で SW の交換があることを覚悟して
おかなければならない。そこで、白熱用回路とLED駆動用回路の 2 種類を実装しておく。LEDを使うとき
は、回路図の+V に電源を接続するが、白熱球タイプを使用するときは、+VF に接続する。
白熱球は、12V 仕様のものを入手したので、ツェナー電圧は、36.1-12≒24V のものが必要。元々の回路の 7.9V
の点で 2.7KΩに 7.9/2700=2.9mA の電流が流れる設定であったので、(12-7.9)V/2.9mA=1400=1.4KΩとなる。
ここでは、1.5KΩとする。
(a)オリジナル
(b)設計変更後
回路図はMJ無線と実験 2009 年 3 月号を参照の事。
G2R-2 端子配置図
実際に部品を置いてみる。スッキリと纏まったが、基板を縦にして配置しなければならない。
横置きにしたい・・・。
3.3.
イコライザー基板
MJ無線と実験の 2009 年 3 月号の回路
に誤記がある。定電流回路 Q2 が定電流
回路になっていなかった。
右図の様に訂正する。
イコライザー部の回路図はMJ無線と実験 2009 年 3 月号を参照の事。
Q10
1µF
-V
Q11
Q6
100µF
Q8
Q1
20KΩ
47KΩ
62Ω
12KΩ
330Ω
5.6KΩ
100Ω
330Ω
4.7KΩ
1.1KΩ
4.7KΩ
47KΩ
220Ω
18Ω
220KΩ
0.15µF
2.2KΩ
0.047µF
Q1
220Ω
18Ω
220KΩ
0.15µF
2.2KΩ
680Ω
1.5KΩ
62Ω
12KΩ
330Ω
5.6KΩ
100Ω
330Ω
0.015µF
Q8
1.1KΩ
E
100µF
4.7KΩ
Q3
0.047µF
1.5KΩ
E
0.015µF
15Ω
20Ω
Q3
4.7KΩ
1.5KΩ
Q5
0.015µF
Q6
1.5KΩ
680Ω
330Ω
Q5
0.015µF
680Ω
Q9
15Ω
Q11
20Ω
180Ω
10µF
100Ω
Q9
680Ω
330Ω
1µF
180Ω
1µF
330Ω
Q10
10µF
100Ω
OUT
470KΩ
1µF
330Ω
OUT
470KΩ
イコライザーは、サンハヤトの ICB-96G を2枚に分割して各々に左右 ch を実装する。
オリジナルのパターンからユニバーサル基板で配線しやすいように変更している。
+V
ZD24V
Q2
Q4
ZD24V
1µF
Q7
EP
2.2µF
IN
Q4
E
ZD24V
6.8KΩ
E
B
EN
-V
20KΩ
A
+V
Q1
ZD24V
Q2
1µF
Q7
EP
2.2µF
IN
E
6.8KΩ
E
B
A
EN
EP
IN
OUT
E
E
E
B
EN
A
Q1
EP
IN
OUT
E
E
E
B
EN
A
Q1
4.
筺体の設計
筺体は、カタチの SL99-32-43(99(H)×320(W)×430(D))と内部シャーシ AC32-43(303(W)×367(D))とした。
アルプスのロータリースイッチのシャフトを切りたくないと思った。通常はロータリーSWをフロントパネル
に取り付ける際、不要な長さの部分を切り取るのだが、もう入手できないと思うと、そのままの形で取り付け
たい衝動にかられた。そこで、内部シャーシにL型アルミを立て、ロータリースイッチを取りつけてもよいの
だが、前面パネルを取り付けるのに苦労する。そこで、金具を作成して、前面パネル(メーカカタログ上は側
板)と一体化して固定することにした。
おかげで、丸穴1つ開ければ済むところを複雑な機構で取り付けを行うはめになった。
前面パネル(表から見たところ)
前面パネル(裏から見たところ)
金具は、2つのロータリースイッチ取り付け用、ボリューム用、Mute スイッチ用の3つを取りつける。
ロータリースイッチを取りつける位置と、筺体にパネルを固定する金具が入る位置が重なっており、スペース
が必要である。この為、5mm 圧のアルミでそのスペースを作り、12×12mm のL型アルミを必要長 150mm まで伸
ばして固定する。なお、L型アルミの板厚が 0.8mm と薄かったので、ねじ用のタップが効かない。そこで、L
型アルミ側から 5mm 厚のアルミ棒に 40mm 間隔 3 点で固定し、フロントパネル側の突起側から皿ねじで固定す
ることにした。そのL型アルミの両端に 10×10mm のL型アルミを橋渡しし、12×12mm のL型アルミを補強す
る。ロータリースイッチを実際に取り付ける 50 ×75×1mm のアルミ板を 10mm 長のスペーサーを介して取り付
ける。フロントパネル前面からロータリースイッチを取りつける面までの間隔は、ソースセレクト用が 26mm、
モードセレクト用が、28mm 必要である。モードセレクト側には、50×75×1mm のアルミ板を 3 枚重ねる。
ボリューム用の金具であるが、こちらは、L型アルミを前面パネルの突起部分に取り付け、裏から幅 10mm 厚
さ 2mm のアルミ材で挟んで抑える。取り付けビスは、前面パネルの突起部分側から平ビスで取り付ける。
Mute スイッチは、10mm×10mm のL型アルミ材で、ボタン取り付け用の 50mm×40mm のアルミ板を取りつける。
リアパネルにも、MC/MM 切替用のロータリースイッチが入る。
ロータリースイッチは回転止めの爪用の穴が必要であるが、つまみの直径を小さくしようと
考えているので、リアパネル(メーカカタログでは側板)に直に穴をあけると爪穴が見えて
しまう。
そこで、内部に回転止め用の爪が入るアルミ板 20mm×87mm×2mm を裏側に取り付け、
リアパネル表面からビス止めする。リアなので、ビスの頭は見えていても気にはならない。
ブロック回路図には、ACコンセントを3つ書いたが、配置の検討の結果、1つだけ(電源
スイッチ連動)にすることにした。3mm 厚のアルミパネルに角穴を3つ開けるのも大変だ。
ACコードは、ACインレットにしようと思い購入したが、外れそうで怖いのと、抜き差し
を頻繁に行うわけではないので、昔ながらのACコードプロテクターを使うことにした。
リアパネル
内部シャーシ
内部シャーシ AC32-43(303(W)×367(D))には、電源トランス、ミュート基板、電源&バッファー(2 枚)、
イコライザー基板がのる。無線と実験に掲載されている記事では、回路用の接地板を設け、そこに回路アース
を落とし、それを 12Ωを介してシャーシに接地していたが、今回は、内部シャーシを全体を接地板とみなし、
内部シャーシから 12Ωを介して筺体に接地することにした。
5.
5.1.
作成
筺体の作成
(1) 前面パネルの加工
前面パネルにスイッチ類を取りつけるのに必要なアルミ材は、近所のホームセンターで入手した。
ただ、平ビスでビス長が短いもの(3φ6mm 長)は、ホームセンターには無く、秋葉原に行って手
に入れた。なお、後で東急ハンズでも売っていることがわかった。
穴開け加工は、現物合わせしながら加工を進めた。例えば、2枚のアル
ミを貫通する穴をあける場合は、現物を写真の様に固定して穴あけした。
金具のSW類の取り付け穴は、金具を前面パネルに取り付け、前面パネ
ルからの寸法をとり穴あけした。私の加工技術では、各アルミ材個別にきっちり寸法を出して加
工したつもりでも決まってずれているからだ。
部品の取り付け穴をあける前の状態
ロータリーSW等を借り付けした状態。電源SWには、回転止めの爪が出ていたが、削り取って
使用しなかった。前面はまだ保護シートをはずしていないが、イメージ図に近い形で加工できた。
電源ボタンは青を付けてみた。
(2) 背面パネルの加工
背面パネルは前面パネルより穴数が格段に多いので、加工が一番大変。設計から、MC/MMの
切替スイッチの位置と、Phono のアース端子の位置を少し変えた。アース端子の穴は、締め付け
時に回転しないように楕円形としている。
穴あけで大変なのは、ACコンセント用の角穴、フューズホルダー用の 15.2mmφの丸穴。基本
は丸穴だが 5mmφの丸穴を開けてからリーマで広げるは結構大変だ。
電源コードプロテクターの穴は長円形なので、丸穴を開けてからヤスリで縦方向に削って行くし
かない。両端を綺麗な半円形にするのが難しい。ACコンセントの角穴は、ドリルで縁に沿って
穴あけをしてから、ニッパで穴と穴を繋ぐように切り取る。やすりで四角く仕上げた後、ACコ
ンセントの取り付け穴を現物合わせで位置決めして穴をあける。
→
→
ロータリースイッチの回転止めの爪穴用にアルミ板 20mm×79mm×2mm(設計から寸法変更)
を裏側に取り付けたところ、ロータリースイッチ、アース端子の取り付けで固定するので、ビス
止めしないことにした。
(3) 内部シャーシの加工
内部シャーシは、前面パネルにごてごてと金具を付けたので、カットする必要がある。ロータ
リーSW側のシャーシ取付台を少しカットしたのと、内部シャーシ自体、前面パネル側をカッ
トした。ただ、カットした側が思ったよりたわむので、カットしたアルミ材で補強した。内部
シャーシは、誌面の接地板の位置づけとしているので、筐体から絶縁する為にパワートランジ
スタで使う絶縁用ワッシャーと、平型の絶縁ワッシャーで絶縁して取り付けた。また、補強し
たアルミ材と内部シャーシの絶縁が確実になるよう、両端にガラスエポキシ板を張り付けてい
る。さらに、内部シャーシの縁の折り曲げている部分がシャーシ取付台に接触し、絶縁が保た
れない可能性があるので、ガラスエポキシ板を取りつけて接触しない様にした。
(4) レタリング
サンハヤトのインスタントレタリング、LS-271,LS-272 を使ってレタリングする。レタリング後、レタ
リング固定剤をパネルの上の方から霧状になるように(1か所に集中しないように、こすったら取れな
いだろうかと思うぐらい)薄く軽くかけ、文字がこすってもはがれないようにする。
これで、筺体の方は完成だ。
なお、前面パネルの 2 つのロータリーSWの取り付け穴には、φ6mm
のシャフト軸受けを入れた。軸受けがあると、前面パネルと垂直にロー
タリーを取りつけることができる。
5.2.
基板の作成
MOS-FET パワーアンプの作成の時は、基板の配線を錫メッキ線で行ったが、今回は、金田式「7本より線」
の手法を採用して行ってみた。ただ、線材は、モガミ 2497 の素線ではなくモガミ 2515 を使用している。
この手法で実際に配線してみて、非常にやり易いことが実感できた。錫メッキ線での作業と比較すると、
雲泥の差だ。もう、今後は、錫メッキ線でユニバーサル基板の配線する事は考えられない。なお、基板
配線の際、パターンを若干変更した。この段階では、平滑コンデンサと定電圧電源回路、定電圧電源回
路とバッファの FET 間はまだ接続しないでおく。
(写真は全て接続した状態)
5.3.
筺体内の配線
(1) 電源
ACラインの配線は、出来る限り筺体の端を這わせ、線はよって配線した。トランスの引き出し線は
切断せず、余分な分を束ねておいた。
(2) 前面パネル
前面パネルは、信号の流れに沿ってセレクター、モード、ミューティング、ボリュームの順に配線す
る。ミューティングの抵抗は、ボリュームに端子の保護を兼ねた小基板を取り付けて実装した。この
基板が無ければ、モードSWからミューティング用SW迄一旦配線し、またボリュームに戻すといっ
た引き回しが必要であるが、この措置を取ることで、モードSWからボリュームの位置までの長さで
済み、ミューティング用SWへも、ボリュームに取り付けた小基板からの配線となる。
ただ、この小基板で、ボリューム取り付け用のアルミ板を固定するねじが隠されてしまう。アルミ板
は縦×横を 40mm×50mm としたが、50mm×50mm とすべきだった。設計ミス。
セレクター用のロータリーSWは1段2回路あれば足りるのであるが、L-ch と R-ch を分けたかった
ので、2段4回路5接点を使っている。奥(前面パネル側)が L-ch、手前を R-ch と決めて配線した。
モードSWも同様の理由で2段の物を使用している。但し、モードSWは3回路必要である。
プッシュSWや背面パネルの RCA ジャックの様に上下になる場合は、上を L-ch 下を R-ch と決めて配
線した。
線材の配色は、慣習的ルールがあるのだが、色の種類があまり無かったので、今回は配慮しなかった。
(3) 内部シャーシ
出力ミーティング回路の配置
当初の設計通りに基板を配置して、線材の引き回しを考えていたが、どうしてもミューティング基板
の配置がしっくりこない。出力の直ぐ傍に整流回路があるのが気に入らない。トランスと前面パネル
の間にスペースがあるので、そちらに移動させることにした。但し、出力に接続する線を長々と引き
回すのは好ましくないので、リレーとダイオードは最初の位置に残す事にした。この為、基板を1枚
追加することになった。
(4) アースポイント
アースポイントを何処に取るかで、アンプの安定度やノイズレベルが決まってしまうので、色々考え
たが、結局、それぞれの基板毎の入力近くにおとす事にした。ミューティング回路のアースはトラン
スとの間とした。内部シャーシと筐体間は、ミューティング回路のアースポイントから 12Ωを介し
て筐体におとしている。
(5) 背面パネル入出力の配線
Phone を除く入力端子のアース側は、左右それぞれ別々に、電源&バッファー基板のアースポイント
に接続している。ところで、背面パネル入出力の配線を行う段になって、半田を使いきったので鉛フ
リー(錫だけで鉛無し)の半田を買って来た。だが、仕上がりがどうもテカッ!と行かない。やはり、
錫の色だ。別途、鉛が 40%含まれている半田を購入した。余計な出費をしてしまった。
6.
確認、調整
電源をバッファ回路に接続しない状態で、ヒューズを 0.5A とし、電源を入れる。平滑回路までしか
繋いでいないのだが、いつも最初に電源を入れる瞬間は緊張する。
まず、整流回路の電圧の確認。36V でているはずが、34.5V しかでていない。出力のミューティング
基板では、電源の入り切りの検出とパイロットランプの電源として、このバッファ回路用の整流回路
に接続している。この為、出力のミューティング基板の回路定数の見直しが必要になった。
見直し内容としては、24V のツェナーを 22V に変更し、12V が得られるようにし、分圧の抵抗値も見
直しした。更にパイロットランプ(白熱球)を長持ちさせる為、直列に抵抗 150Ωを入れ、明るさを
ちょっと暗すぎると思う位まで抑えた。
出力のミューティング基板の電圧も 22V と設計より低いがここは動作上問題は無かった。また、トラ
ンジスタを 2SC1845 から 2SC1815 に変更したが、これも問題は無かった。
次に、定電圧回路を接続し、所定の電圧が出ているか確認。2SA992/2SC1845 の代替で 2SA970/2SC2240
を用いたが問題無く動作していることが確認出来た。
次にバッファ回路に電源を配線し、出力のオフセット電圧の調整をした。紙面では、
「1mV 以下に調
整」とあるが、0.1mV 以下に設定出来た。また、まる1日経過しても、まったく変動しなかったので、
かなり安定度は高い。ただ、電源 ON から安定するまでに数秒かかる。ここは、出力のミューティン
グ回路に頼らざるを得ない。
ヒューズを 1A とし、一応、DC アンプではない入出力にカップリングコンデンサが入ったプリアンプ
を介して極小音量でまる1日音だしエージング。再確認を行って完成とした。
7.
ヒアリング
いつものように私のアンプ評価リファレンスとしている 1976 年 5 月の録音のカラヤン/ベルリンフ
ィルによるチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を聞いた。
再生の帯域が高音、低音とも広がり、これまでと全く音が違う。特にピッコロの演奏でアクセントを
ついている音符の音が良くわかるようになった。
コイル、EMI フィルターの有効性は最初から取り付けてしまったので、実の所、良くわからない。き
っと、取り付けた時と、外した時を比較すれば、一目瞭然なのだろう。
参考文献
MJ 無線と実験
無線と実験別冊
2008 年 3 月号
「最新トランジスター、バーティカルFETによるステレオ・アンプの設計と製作」
安井章著
誠文堂新光社
昭和 50 年 6 月 10 日発行
MM,MC カートリッジ対応無帰還 EQ プリアンプ
Ⅱ.イコライザー基板の組み込み
1.
電源整流平滑回路の変更
金田氏の DC アンプシリーズ No.213 超多機能アナログ&デジタル再生システムを作成したところ、本機
は低域が出ていないことがわかった。直感的に整流回路の誌面で定数がわからなかったコイルが影響し
ているのではないかとの疑いを持ち、コイル全てショートしてヒアリングしたところ…。
「全然違う・・・」
低域が出てきて、とてつもなく音質が向上した。確認もせず、最初から実装したのが間違いだった。
EMIフィルタは残し、コイルの使用は中止。パスして接続した。しかし、この状態で聞いたところ、
低域が出ない。さらに検討が必要なようだ。
2.
2.1.
イコライザ基板の組み込み
イコライザ基板の作成
イコライザー基板は、FETのRS抵抗値が既に測定済みなので、
部品を組み上げるだけ。特に難しいところは無い。
2.2.
筺体内への組み込み
誌面のアース基板に相当する部分は、本機では、内部シャーシで
ある。基板のアースは、左右それぞれの近くに落とし、ターンテ
ーブルのアースもそこまで引きまわして接地した。
入力抵抗の切り替えは、誌面では基板まで配線をしているが、本
機は入力のピンジャックに接続している。シールド線の容量の影
響が心配だが、私の耳ではその差がわからない。
組上がった段階で基板の調整を行う。誌面に記述されている通り、
MC/MMの切替時に初段のドレインの電圧差が出ないように半
固定抵抗を調整し、各部の電圧を測定して誌面に記載されている
測定値と照らし合わせ、異常が無い事を確認した。
3.
ヒアリング
ヒアリングはレコードでも持っている 1976 年録音のカラヤンベルリンフィルの組み合わせによるチャイ
コフスキーの悲愴交響曲で行った。ターンテーブル:KENWOOD KP-880DⅡ、カートリッジ:DENON(どう
しても未だに「デンオン」と言ってしまう)の DL-103R、DL-301Ⅱである。
う~ん。ゲインが足りない。CD は、ボリュームが 9 時ぐらいの位置で音量がベストであるが、12 時ぐら
いの位置にしないと同じ音量が得られない。この為、シャーという残留ノイズが少し聞こえてしまう。
初段のゲインつまり、FET の選定に問題があるのではないか。または、トランジスタを 2SA992/2SC1845
から 2SA970-BL/2SC2240-BL に替えた為であろうか。しかし、hFE は 530 あったので問題無いと思う。
音は、レコード特有のパチッ、パチッという音がするが音質は高域まで素直に延びており素晴らしい。
MM,MC カートリッジ対応無帰還 EQ プリアンプ
Ⅲ.イコライザーのゲイン増強
2014 年 1 月 1 日
1.
はじめに
DVD レコーダを CD プレーヤー代わりに使用していたのだが、CD(DVD)を置くトレイが何度やっても収容で
きず、また、出てきてしまう様になった。何度か繰り返すと、収納できるので、我慢して使っていたが、
だんだんトライする回数が増え、30 回ほど繰り返さないと収容できなくなってしまった。ハードディス
クには録画できるので新しい機器を買うのももったいなく、CD の利用は諦めて、レコードを聴く事にし
た。ただ、以前に作成したイコライザー回路は、出力が小さく、ザーというノイズが気になってあまり
聞く気になれない。そこで、MJ 無線と実験 2011 年 3 月号と 4 月号(以降 2011 年 3 月号、4 月号と記す)
に掲載されたCR型イコライザーを参考に改造を行う事にした。
改造準備
2.
2.1.
改造点
(1)イコライザー初段 Q1,Q2、MM カートリッジ用回路
2011 年 3 月号に記載されている通り、Q1 に ID=4~5mA 流す様に変更する。Rs を 10Ωに固定するので、
この条件で ID=4~5mA が流れる素子を選別する。
さらに、MM カートリッジ用回路のマイナス電源供給部分の 4.7KΩ(半固定抵抗とパラ接続の 4.7KΩでは
ない方)は、3.3KΩに変更する。
(2)イコライザー二段目 Q3,Q4,Q5,Q6
二段目の Q3,Q4 も 2011 年 3 月号の記述に従い ID=4mA を流す様に変更する。この変更に対応する為、素
子の再選定。素子測定による Rs の値の決定をする。また、Q5,Q6 のエミッタ抵抗も 680Ωから 750Ωに変
更する。
(3)定電圧回路の電圧値
定電圧ダイオードを変更し、電圧を 24V から 27V にアップする。素子は HZ27-2(26.2V(min)~27.6V(max))
が良いのだが、入手出来なかった為、HZ27-3(27.2V(min)~28.6V(max))を入手。
(4)電源整流回路のコイル
整流回路のコイルを一旦外して、低域は出るようになったが、何か音が悪くなった様な気がしていた。
そこで、抵抗型コイルから SN コイルに変更して実装する事にした。
2.2.
素子の選定
(1)Q1 用素子の選定
2011 年 3 月号の回路図に従い、Q1 のソース抵抗を 10Ωに固定し、ID が 4~5mA で左右 ch の値が揃う様
にペアとなる素子を探す。下表の様に ID=5mA となる素子を探した。
選択素子測定結果
RD(Ω )
IDSS(mA)
RS(Ω )
市販抵抗値
100
5.91
10
100
5.94
10
VD(V)
ID(mA)
VGS(mV)
0.498
4.98
50.28
0.504
5.04
50.88
備考
RD は ID,IDSS の測定用
(2)Q2 用素子の選定
Q1 に ID=5mA を流すので、Q2 では 4mA の定電流を作る必要がある。市販で存在する抵抗値で 4mA の定電
流を生成する事ができる素子を選択する。まず、ID=4mA に設定し、Rs を計算。市販の抵抗値に置き換え
て ID が 4mA 前後になる事を確認した。測定において 2SK117-GR では抵抗値が低くなってしまう事がわか
った。10Ω以下は販売されていない事が多いので、2SK117-BL を使用する事にし、10Ω以上の抵抗で調整
できるようにした。
選択素子測定結果
RD(Ω )
VD(V)
IDSS(mA)
ID(mA)
VGS(mV)
RS(Ω )
RS(Ω )
市販抵抗値
VGS(mV)
ID(mA)
100
0.856
8.56
4
248.9
62.225
62
248
4.02
100
0.857
8.57
4
251.0
62.75
62
248
4.05
(3)Q3,Q4 用素子の選定
2SK170/2SJ74 の ID を現行 3mA から 4mA に変更する。4mA とする為の Rs を測定値から決定する。
2SK170-GR/2SJ74-GR(IDSS=5~6mA)を使用すると、Q2 同様、Rs を 10Ω以下としなければならない為、
抵抗が入手しづらい。そこで、抵抗値を 10Ω以上とする為 2SK170-BL/2SJ74-BL を使用する事にした。
ところで、2SK170-BL/2SJ74-BL は IDSS が 7.1mA の測定済みのコンプリメントペア品を購入したのだが、
測定したところ、2SK170-BL が 7.43mA、2SJ74 が下表の値と、0.5mA 近く開きがあった。そこで、2SK170
を追加購入して 2SJ74 と IDSS が近い素子を選別した。
選択素子測定結果
RD(Ω )
IDSS(mA)
RS(Ω )
市販抵抗値
VGS(V)
VD(V)
ID(mA)
2SK170-BL
100
6.81
22
88.5
0.4010
4.01
Q3
2SJ74-BL
100
6.79
18
72.9
0.402
4.02
Q4
2SK170-BL
100
6.71
22
87.7
0.3973
3.973
Q3
2SJ74-BL
100
6.72
18
72.3
0.399
3.99
Q4
素子
2011 年 3 月号と 4 月号に掲載された式 R3=150Ω-
+
2
備考
より、R3=130Ωとする。
(4)Q7,Q10 電源定電流用 FET の選定
特に電流値を指定されているわけではないが、定電流回路に使用している 2SK117-Y は、2mA 前後の定電
流生成する素子を選定することにした。16 個(20 個購入しようと思ったが予算の都合上 16 個となった)
の 2SK117-Y を購入して測定した。差動回路を作るわけではないので、電流値がそれほどぴったりしなく
ても良いが、なるべく正負電源が揃う様に電流の近い組み合わせを選択して使用する。
No.
電流(mA)
1
2.678
2
2.360
3
2.359
4
2.205
5
2.194
6
2.120
7
2.042
組合せ
ペア
ペア
ペア
No.
電流(mA)
8
2.017
9
1.973
10
1.735
11
1.704
12
1.673
13
1.584
14
1.516
組合せ
ペア
No.
電流(mA)
15
1.488
16
1.441
組合せ
(5)RIAA 用素子の選別
RIAA 用素子として精度が要求される。抵抗は±1%の物が入手できるが、コンデンサはそうはいかない。
2011 年 3 月号にはコンデンサの値に応じた RIAA 用抵抗値も示されている。手持ちのテスターは幸いコン
デンサの容量を測定することができるので、選別をすることにした。
以前実装した RIAA の C1(=0.15μF ERO1826)の値を測定して見ると 0.157μF。MJ 無線と実験 2011 年 3 月
号では、0.138μF~0.152μF となっていたので、ここは、誤差±2%のニッセイ APS を使用する事にした。
APS を測定したところ、範囲内で問題無し。次に、C2(=0.047μF(47nF) WIMA MKS-2)を測定。±5%の誤差
の素子いくつかの中から 0.047μF に近いを選別した。また、誤差±20%の素子からピッタリ 0.047μF の
素子を抽出。この二つを左右 ch1つずつ使用する。
また、RIAA 用抵抗は、以前の回路値から 2011 年 3 月号で示された値(5.6KΩ→6.8KΩ、100Ω→56Ω)
に変更する。
2.3.
ノイズ除去用コイルの作成
外来ノイズ除去の為、整流ダイオードと平滑コンデンサ間の電源ラインにコイルを挿入する。コイルは
2011 年4月号の P119~P120「ダイオード、ケミコン間」の説明にあるように、NEC東金の SN8S-300
の巻き数を 9 ターンに減らしたものを作成。密に硬く巻いてあるので、均等に間隔を広げて9ターンと
するのに結構苦労した。
2.4.
その他用意する部品
半固定抵抗の 20KΩは、ネオポット PN822H204H を使用していたが、バックラッシュがあり調整しづらい
ので、3 回転タイプのコパル TM-7P を購入した。
Q10
1µF
-V
Q11
Q6
Q4
100µF
1.1KΩ
4.7KΩ
Q8
Q1
ZD27V
20KΩ
47KΩ
220Ω
10Ω
220KΩ
0.15µF
2.2KΩ
750Ω
1.5KΩ
12KΩ
330Ω
6.8KΩ
56Ω
330Ω
0.015µF
ZD27V
47KΩ
12KΩ
330Ω
6.8KΩ
56Ω
0.047µF
Q1
220Ω
10Ω
220KΩ
0.15µF
2.2KΩ
100µF
Q8
1.1KΩ
E
3.3KΩ
Q4
4.7KΩ
Q3
330Ω
E
0.047µF
1.5KΩ
0.015µF
22Ω
27Ω
Q3
3.3KΩ
1.5KΩ
Q5
0.015µF
Q6
1.5KΩ
750Ω
120Ω
330Ω
Q5
0.015µF
750Ω
Q9
22Ω
Q11
27Ω
10µF
6.8KΩ
Q9
750Ω
330Ω
1µF
120Ω
1µF
330Ω
Q10
6.8KΩ
10µF
100Ω
1µF
330Ω
OUT
470KΩ
OUT
100Ω
3.1.
470KΩ
3.
基板パターン図の見直し
部品実装面
+V
Q2
75Ω//560Ω
1µF
Q7
EP
2.2µF
ZD27V
IN
2.2µF
E
E
ZD27V
EN
B
-V
20KΩ
A
+V
Q1
Q2
75Ω//470Ω
1µF
Q7
EP
IN
E
E
B
EN
A
3.2.
パターン面
EP
OUT
IN
E
E
E
B
EN
A
Q1
EP
IN
E
E
B
EN
A
OUT
E
4.
4.1.
実装と調整
イコライザー基板
用意した素子を使って実装し、確認と調整を行った。
2011 年 4 月号の P121 の「調整」の説明には、Q1 のドレイン電
圧が 12V~13V に納まっているか確認することと記述されている
が、2011 年 3 月号の設計編 P124 の初段の説明では、13V(±
1V)となっており食い違いがある。ここは、設計編が合ってい
ると推測する。なぜなら、電源電圧が 26V であり、この中点
に Q1 のドレイン電圧を設定するように設計されていると思われ
るからである。この電圧を中心に信号が振幅するので、最大振
幅時に一方がクリップしないように中点に設定しなければなら
ないのだと推測する。
Q1 のドレイン電圧を測定したところ、左 ch は 13.75V、右 ch は 14.45V。右 ch が 13V(±1V)に収まっていな
い。負荷抵抗 12KΩの電源側電圧は、26.74V なので、Q1 のドレイン電圧となるべき中点の電圧は、13.37V。
そこで、Q2 の定電流回路の電流値を減じる必要があるので、ボリュームを入れて、必要抵抗値を実測した。必
要抵抗値は 63.8Ω。この微妙な値を作る為には抵抗を並列接続して作るしかない。75Ωと 430Ωの並列接続と
すると 63.86Ωになるので、この値を使う事にした。表に 75Ω、裏面に 430Ωと実装し、再測定。右 ch の Q1
のドレイン電圧は、13.82V となった。この後、MM モードに切り替え、Q1 のドレイン電圧が 13.82V となるよう
に調整。イコライザー基板の完成とした。回路図に各ポイントの実測値を示す。
回路図はMJ無線と実験 2009 年 3 月号を参照の事。
各測定ポイントの電圧を示す。 ※印…電源 ON1時間後再計測
測定箇所
当初
見直し後
再見直し
L-ch
R-ch
L-ch
R-ch
L-ch
R-ch
26.53V
26.74V
26.78V
26.96V
26.69
26.90
13.75V
13.82V
13.82V
13.89V
13.25
13.28
14.00※
14.00※
51.85
51.28
未
測
定
未
測
定
Q8 エミッタ
Q2 ドレイン
Q1 負荷抵抗 12KΩ電源側
Q1 ドレイン
Q1 ソース
51.90mV
51.28mV
52.03mV
51.50mV
-9.77
-9.58
-9.86V
-9.67V
Q3 ドレイン側抵抗電源側
26.50V
26.71V
26.73V
26.92V
Q3 ドレイン
19.98V
20.30V
20.59V
20.86V
Q4 ドレイン
-20.12V
-20.66V
-20.69V
-2060V
Q4 ドレイン側抵抗電源側
-26.66V
-26.46V
-26.87V
-26.67V
Q5 エミッタ
20.60V
20.92V
21.20V
21.47V
Q6 エミッタ
-20.72V
-20.66
-21.29V
-21.21V
電解コン-側
3.3KΩ半固定、電解コン側
一旦完成と思ったが、その後、上記の測定電圧を眺めていたら、Q3,Q4 に 4mA 以上、4.3mA~4.4mA 程度流れて
いる事に気づき、ソース抵抗の調整を行った。事前の素子測定選別だけでは不十分だったようである。
2SK170 のソース抵抗は、22Ωから 27Ωに変更。2SJ74 のソース抵抗は、18Ωから 22Ωに変更した。この変更
に伴い、共通ソース抵抗も 130Ωから 125Ω(130Ωに 3.3KΩをパラ接続。基板裏付け)とした。この結果、
ドレイン抵抗 1.5KΩの両端は、L-ch 6.0V、R-ch 5.95V となり、ドレイン電流を 4mA とすることができた。
しかし、この調整で大きく音質が変化した。共通ソース抵抗が音質に影響するようだ。そこで、単独の 120Ω
にしたところ、非常に良い音質となった。さらに、調整した Q1 のドレイン電圧が周囲温度に左右されるよう
で、電源 ON 後、30 分~1時間が経過した時点で室温の上昇と共に 14V になっていた。再度、Q2 のソース抵抗
を調整し、13.3V 弱に収めた。
また、じっくり音を聞きこむと、オーケストラのバイオリン合奏のフォルテ部分で、音がざらつくことがわか
った。2011 年 3 月号、4月号で詳細されている結合コンデンサの加工(シーメンスの MKH や MKM をエポキシ
板等の板で挟み、絹糸で硬く縛り、エポキシ系接着剤で固め、箔の振動を抑えたコンデンサを作る処理)
を施しておらず、一定の条件で箔の振動が音質に悪影響を及ぼしているのか。実装したコンデンサ(WIMA の
MKS2 の 2.2μ)は、その様な加工はできないので、Panasonic の積層メタライズドフィルムコンデンサ ECQV
に変更したところ、ざらつき感が無くなった。
う~ん。この回路、音質に影響する部分が多く、なかなか調整が大変だ。
4.2.
整流・平滑回路基板
コイルを抵抗型タイプのものから、コアタイプ(SN8S-300 を
9 ターンに改造)に変更して実装。コイルの向きは 45°傾け、
2 つのコイルが直行するように配置している。抵抗型タイプは
使わないが捨てるには忍びないので、横に未配線で取り付け
ておいた。
5.
ヒアリング
電源にコイルを付けたからであろうか、CD の音が低域の量確保しつつ音楽がいきいきと聞こえるように
なった。次にレコードに切り替えた。以前は、ボリュームを 12 時ぐらいの位置にしないと適切な音量が
得られなかった。ザーと言う雑音も大きかった。今回の改造で、録音レベルが高ければ、10 時程度の音
量で聞けるようになった。しかし、ダイナミックレンジの大きい音楽では、ピアニッシモのところでザ
ーという雑音が聞こえてしまう。CR 型の宿命か。
一方、音質は素晴らしく、この雑音、なんとかならないかという思いでいる。
付録 MJ 無線と実験 2011 年 3 月号、4 月号の誤記等
MJ 無線と実験 2011 年 3 月号、4 月号に誤記、わかりづらい記述があるので、その正誤内容及び私の解釈
を記す。
2011 年 3 月号
番号
1
対称箇所
P122[図 2]
誤
Q1 のソース抵抗が 100Ω
2
P122[図 2]
3
P122[図 2]
4
P122[図 2]
5
P122[図 3]
6
P123
MM カートリッジ切替用電解コンデンサの
正負が逆
Q3,Q4 のソース抵抗、ソース共通抵抗の説
明が全て※2となっている。
2011 年 4 月号 P121 の「調整」の「イコラ
イザーアンプの 2 段目」の説明と合って
いない
出力抵抗が 470KΩであるが、2011 年 4 月
号 P117 の[図 9](a)基板表は 1MΩになっ
ている。
P122[図 3]に INPUT の接地側、アース端子
に接続されているノイズ除去用LRの値
が示されていない。Lは本文中に説明が
あるが、Rについては 2011 年 4 月号 P121
に「L に抵抗を並列とします。抵抗は 100
Ω以下なら良いでしょう。
」という記述の
み。
記述に「推奨インピーダンスに近い値に
合わせて抵抗値を切り替えます」と抵抗
値について記述されているが、続く記述
で、
「本機の場合、MC 型は 100Ωと 330Ω、
MM 型は 10KΩと 47KΩです」とある。10K
Ωは 13KΩと 47KΩの合成抵抗値であり、
P122[図 3]の入力回路では切替抵抗値 13K
Ωだけ見えるのでわかりづらい
7
P124[図 9]
-
P126[図 9]
8
Q2 のゲートに抵抗が接続されている
出力抵抗が 470KΩであるが、2011 年 4 月
号 P117 の[図 9](a)基板表は 1MΩになっ
ている。№.4 と同じ。
P126[図 10]
P127 電源基板のコイルでは「整流ダイオ
P127「電源基 ードと平滑コンデンサの間は 33Ωとコイ
板のコイル」 ル(NEC トーキン SN5-300 を 10T)の直列
の説明記述
回路です」と説明されているが、P126[図
10]の回路図には 33Ωの記載が無い。
また、2011 年 4 月号 P118[図 10] (a)基板
表ではジャンパー線になっている
訂正内容・解釈
10Ωが正しい
P124 中央下部の記述に「なお、ゲインは
ソース抵抗も寄与要素で、大きいほどゲ
インは減少します。MC 対応は 10Ωとしま
す。
」とある。
3.3KΩ側に(-)マイナス、ES 側に(+)
プラスを接続する
P126[図 9]の R1,R2,R3 の様に区別して、
2011 年 4 月号 P121 の「調整」の「イコ
ライザーアンプの 2 段目」の説明を見直
す。
(見直し内容後述)
写真を見るとカップリングコンデンサの
影になってよく見えないが 1MΩの様で
ある
写真を見ると 33Ωが接続されていると
思われる
10KΩが 13KΩと 47KΩの合成抵抗値であ
ることを追記すると明確になる。
10KΩ以外も合成抵抗値だが、切替抵抗値
と一致しているので違和感が無い
「本機の場合の抵抗値は MC 型は 100Ωと
330Ω、MM 型は 10KΩ(13KΩと 47KΩの
合成抵抗値)と 47KΩです」とする
Q2 のドレインに抵抗を接続する
写真ではカップリングコンデンサの影に
なってよく見えないが 1MΩの様だ
おそらく抵抗を接続しない方が正しい。
2011 年 4 月号
番号
―
対称箇所
P117[図 9]
(a)基板表
9
P118「ダイオ
ード・ケミコ
ン間」の記述
10
P121「電源ト
ランス」の記
述
11
P121「 調整 」
「イコライ
ザアンプ初
段」の記述
12
P121「 調整 」
「イコライ
ザアンプの 2
段目」の記述
誤
基板表では出力抵抗が 1MΩになっている
が、P122[図 2]、P126[図 9]では 470KΩに
なっている
「SN8S-300(NEC トーキン小型の SN5-300
などでも可 透磁率μS=75 程度)を巻数
9T程度に巻き戻して使用します。
」とあ
るが、2011 年 3 月号 P127「電源基板の
コイル」の説明記述では(NEC トーキン
SN5-300 を 10T)とある。
2 次側のアンプ用巻線は 33V-0-33V です。
整流後の電圧は 41V 強で、安定化後の電
圧は 24V です
「MC 対応の状態で Q1 のドレイン電圧は 12
~13V です」とあるが、2011 年 3 月号の
P124 の説明では「MC 対応(B と C が短
絡)の場合は、この半固定抵抗を調整
し、Q1 のドレイン電圧を 13V(±1V)と
します」と矛盾している
以下の記述について 2011 年 3 月号の
P122[図 2]の回路図と照らし合わせた際、
内容が把握できない。
「出力段結合コンデンサー10μF のアン
プ側電圧は-2~-1V であることを確認し
ます。-2V より低い場合(-3V などの場合)
はこの段の初段ドレイン電流が 4mA を超
える場合は、※2 の抵抗を大きくし、小さ
い場合は※1 の抵抗を小さくします。1V
より高い場合は、ドレイン電流が 4mA を
超える場合は※1 の抵抗を大きくし、小さ
い場合は※2 の抵抗を小さくします。
訂正内容・解釈
2011 年 3 月号分の訂正№.4 と同じ。
SN8S-300 を巻数9T程度に巻き戻して
使用した
「安定化後の電圧は 27V(実質 26V)です」
が正しい
設計では電源電圧の中点に電圧を設定
し、信号が正負の一方でクリップしない
ように配慮しているはずである。従って、
電源が 27V のツェナーダイオードを使い
実質 26V の電源の場合、中点は 13V とな
るので、Q1 のドレイン電圧を 13V(±1V)
に設定するのが正しいと思われる
2011 年 3 月号 P122[図 2]の回路図の記
号を以下の様に訂正する。
2SK170 のソース抵抗 ※2→※2R1
2SJ74 のソース抵抗 ※2→※2R2
共通ソース抵抗
※2→※2R3
調整は、2SK170 と 2SJ74 の電流バランス
を調整すると考えられるので、
「イコライ
ザアンプの 2 段目」の記述文章を以下の
様に訂正する
「出力段結合コンデンサー10μF のアン
プ側電圧は-2~-1V であることを確認し
ます。-2V より低い場合(-3V などの場合)
で、この段の初段のドレイン電流が 4mA
を超える場合は、※2R2 の抵抗を大きく
し、ドレイン電流が小さい場合は※2R1
の抵抗を小さくします。1V より高い場合
で、ドレイン電流が 4mA を超える場合は
※2R2 の抵抗を小さくし、ドレイン電流が
小さい場合は※2R1 の抵抗を大きくしま
す。