領域名 表 現 提案者 授業内容 1 支部名 八代郡 学校名 氏 名 八代郡泉村立泉中学校 沖田隆雄 「短時間教材例」(八代郡市より) 提案理由 新学習指導要領では美術科の授業時数が、またも減らされる結果となった。しかし、私達 美術科教師は、この厳しい条件下でも最大限の成果をあげられるように、努力を続けてきま した。限られた時数の中で「幅広い」活動をさせ、 「美術の創造活動の喜び」を味あわせると ともに、 「基礎的能力を伸ばす」ためにはより一層の題材の厳選や指導計画の工夫が必要とな ります。そんな中、 「おもしろみには欠けるが、この基礎的内容はこれからの題材のためには 経験させたい」 、 「この分野の題材は経験したが、少し違うタイプのこれも経験させたい」、 「多 くの時間はかけられないが、おもしろそうなの経験させたい」、「制作進度に差が出て、早く できた生徒に手軽に経験させたい」など考えることがあります。そうなると、短時間教材の 工夫は年間計画の中で重要な位置付けになってきます。そこで、今回の発表は、私の短時間 教材例と八代郡市の先生方の短時間教材例のまとめとしての発表です。資料集に八代郡市の 短時間教材集がありますので、御参会の先生方の今後に、参考になれば幸いです。 2 実践内容 (1)レタリングでシールをつくろう 題材について ・ 表現の「形を整える」ということを身につけるのに、レタリングは取り組みやすい。 ・ 総合的な学習など、生徒が紙面で発表する機会が増え、今後、活用の場面がある。 ・ 好きなことばをシールにすることにより意欲を高められる。 準備物 ・レタリング字典、ワークシート、カッティングシート(カー用品店で切り売りされている) 指導過程(4時間∼6時間) 1.教科書・資料集・レタリング字典で文字のデザインについて触れる。レタリングの制作過 程についての説明。ワークシートを使い、基本的な点画の練習。 2.レタリング字典から自分の氏名を探し出し、レタリングする。 3.自分の好きなことばをレタリング字典から探し出し、レタリングする。 4.カッティングシートの上に3.を固定し、切り取り、シールにする。 (2)植物をもとにした構成(ラミネート加工して、コースターにしよう) 題材について ・植物の形をもとにして、新しい形を創造的に構成する能力や態度を育てる。 ・単純化や強調・構成の方法をくふうして新しい形を構成する力、デザインの用具の使い方 色についての基礎を身につけさせる。 ・ラミネート加工してコースターにすることにより、仕上がりが良く見え、平面構成に「用」 を持たせられる。 準備物 ・植物の写真、ワークシート、ポスターカラー、画用紙、ラミネーター 指導過程(4時間∼6時間) 1.デザインの「形作り」についての話。練習作品作り(ワークシート) 。 2.自分のスケッチや写真をもとに、「形作り」。 3.色について、色の寒暖軽重について。配色。画用紙へ下がき。 4.彩色。完成。ラミネート加工を施す。 (3)抽象彫刻をつくる(メモクリップにもしよう) 題材について ・3年間の計画の中で具象の彫塑は必ず1題材は必ず入れたいと思うが、できれば抽象的な 立体表現も時間をかけずに経験させたい。 ・メモクリップにすることにより、工芸的な側面も取り入れ、大事に持ち帰らせたい。 準備物 ・オブジェなどの資料、ワークシート、石塑粘土、土粘土、大型クリップ、洗濯ばさみ 指導過程(4時間∼6時間) 1.身近なメモクリップ、ペーパーウエイト、公共施設にあるオブジェなどの話。練習テー マについて、土粘土で練習作品をつくる。(ワークシート) 2.作品テーマについて、アイディアスケッチで構想するか土粘土で模型を作ってみる。 3.石塑粘土で制作する。形が完成したら、大き目のクリップを埋め込む。 4.十分に乾燥させ、必要なら彫刻刀で削る。磨く。 (4)動きのデザイン(ゾートロープの変形版) 題材について ・美術に関心を持たなくなった者にも、アニメーションということで意欲を持たせたい。 ・一般的なゾートロープの組み立て方を変更して、型ワクを作り、組み立てる方法にした。 ・回転させる方法も、ひもで吊るすのではなく、割り箸を付けて、回転スピードを調整しや すくした(回転が速すぎて見にくい絵も、見やすくなる)。 準備物 ・参考作品、フェナキストスコープ・ゾートロープなどの資料、円板型ワク、トレーシング ペーパー、割り箸、押しピン、カッターナイフ、彩色用具 指導過程(4時間∼6時間) 1.フェナキストスコープ、ゾートロープなどの仕組みについての話。参考作品を楽しむ。 2.動きのアイディアを練る。画面が小さいので、細々した動きやアイディアを入れ過ぎた 急な変化は分かりにくい。 3.円板(型紙から)に下絵をかく。トレーシングペーパーを使うと、同じ形がかきやすい。 4.彩色。組み立て。割り箸を押しピンで取り付ける。割り箸を回すスピードを調整しなが らアニメーションを見る。 3 まとめと今後の課題 短時間教材には、従来からあるものとは別に、新たに開発されたタイプと従来からあるも のを指導法や材料の工夫により短時間化したタイプがあるようだ。このように様々な工夫が 詰め込まれた短時間教材でも生徒が日頃から構想することや表現することに慣れていない と短時間で完成できない。また、短時間で行うために作業速度が遅い生徒を授業時間内に追 いつかせる余裕がないので、持ち返らせることも多くなった。よって、短時間教材でも、他 の教材でも、基礎・基本に関わってくることはまったく同じであると思われる。授業時間に 集中させるための準備が大切だし、次時のために授業後のフォローも大切になる。そして、 これらの課題に対して前向きに工夫・努力する指導者の資質や指導力が最も必要であると思 われる。 今回の提案で様々な教材例を示しましたが、皆様の御指導・御助言をよろしくお願いします。
© Copyright 2024 Paperzz