大会報告書 - YNFP 横浜国立大学フォーミュラプロジェクト team

横浜国立大学フォーミュラプロジェクト
2007 第五回全日本学生フォーミュラ大会
参戦報告書
目次
1.はじめに
2.大会結果
∼総合、各種目順位、得点∼
3.大会参加車両の主要諸元・写真
4.大会概要
5.大会参戦記
6.メンバーの感想
∼ドライバー、プレゼンテーション担当、1年生代表∼
7.チーム体制
8.スポンサーの皆様
9.最後に
∼今後に向けて∼
1.はじめに
まず、私たちの活動を支援、応援していただき本当にありがとうございました。スポンサーの皆様、先生方、本学
OBの方々、応援してくださった方々がいて下さったからこそ 1 年間やっていくことが出来ました。
私ども YNFP にとって、3 回目となる全日本学生フォーミュラ大会が 9/15 に終了いたしました。
総合順位は、最終動的種目のエンデュランスにおいて、クラッチワイヤの断線によるリタイアが響き、20 位。しか
しながら、静的種目総合第 3 位、ベストWEBサイト賞 2 位、そしてプレゼンテーション審査とユニークデザイン
賞においては第 1 位という成績を残すことが出来ました。
YNFP 躍進の 3 年目と位置づけ、一丸となって臨んだ今大会の記録をご報告させていただきます。
2.大会結果
プレゼンテーション審査 1位
総合 20位
/61 チーム WEBサイト賞
2位
/61 チーム
/61 チーム
種目名
順位
得点/満点
タイム
合計
20
423.42/1000
-
コスト審査
20
68.64/100
-
プレゼンテーション
1
75/75
-
デザイン審査
7
129.27/150
-
アクセラレーション
10
52.37/75
4.605
スキッドパット
11
30.53/50
5.442
オートクロス
20
67.60/150
57.970
エンデュランス&燃費
リタイア
0/400(合計)
-
静的審査総合
3位
/61 チーム
ユニークデザイン賞 1位
/61 チーム
3.大会参加車両の主要諸元・写真
▲実車写真
▲CAD による全体図
寸法・重量
フレーム
全長×全幅×全高
mm
2,700×1,450×1,060
ホイールベース
mm
1,650
トレッド(Front/Rear)
mm
1,250/1,220
最低地上高
mm
35
車両乾燥重量
kg
230
前後重量配分
前:後
45:55
最小回転半径
m
4.5
様式
ねじり剛性
エンジン
動力伝達・走行装置
パイプフレーム
N・m/deg
エンジン
2,800
CBR600RR
最高出力
KW(ps)/rpm
56.2(76.1) / 11500
最大トルク
N・m(kg・m)/rpm
52(5.3) / 7500
燃料供給形式
電子制御燃料噴射式
駆動方式
プロペラシャフト
トランスミッション
6速シーケンシャルトランスミッション
タイヤ/ホイール
スリックタイヤ/10inch マグネシウムホイール
サスペンション方式
ダブルウィッシュボーン/プルロッド
ブレーキ形式
油圧式アウトボードディスク
4.大会概要
<日時>
2007 9/12∼15
<大会会場>
ECOPA(小笠原総合運動公園) 静岡県袋井市愛野 2300-1
東第一、三駐車場、静岡アリーナ
▲コース会場
<競技概要>
全日本学生フォーミュラ大会(Formula SAE JAPAN)で行われる競技は大きく「静的競技」と「動的競技」に分ける
ことが出来ます。
「静的競技」とはマシンを走らせずに評価するものです。一方「動的競技」はその名の通り、製作したマシンを走
らせることで行う競技で、各競技の配点は以下のようになっています。
静的競技
コスト審査
動的競技
100 点
アクセラレーション
75 点
スキッドパッド
50 点
プレゼンテーション審査
75 点
オートクロス
150 点
デザイン審査
150 点
エンデュランス
350 点
燃費
50 点
合計・・・1000 点
コスト審査
どんな製作作業においてもコストが必ず考慮を要する重要な要素であることを学ぶため、また、参加者が購入した
部品の製造技術および製造過程を学ぶため、という2つの目的で行われます。
事前に作成・送付してある「コストレポート」記載の情報と、大会時の質疑応答によって採点されます。
プレゼンテーション審査
プレゼンテーションは、チームの開発能力および意見を述べる能力を評価するものです。
1名ないし数名が製造業の重役に対し、そのチームのデザインが市場の需要に最もふさわしく、そして有利に製造
できて売れるということを説明して納得させるという、総合的な場面を設定して行われます。
デザイン審査
デザイン審査は、技術的な努力がカーデザインに落とし込まれているか、どのように市場の意見を技術的に満たし
ているか、ということを評価するものです。これは事前に提出した「デザインレポート」
「スペックシート」および
当日の質疑応答、審査員による車両検査に基づいて採点されます。
アクセラレーション
アクセラレーションは平らな舗装路面における直線での加速性能を評価するものです。
2名のドライバーが2本づつ計4本、75m の距離をスタンディングスタートから加速してタイムを競います。
スキッドパッド
スキッドパッドは平らな路面に作られた一定半径の円を旋回し、車両のコーナリング性能を測るものです。
2名のドライバーが直径 15.25m の円を右回り左回りそれぞれ1本ずつ計4周走り、右回りで速かったほうのタイム、
左回りで速かったほうのタイムを平均したタイムで争われます。
オートクロス
オートクロスは他の競技車両の邪魔が入らない状態で、車両の扱いやすさと厳しいコースでのハンドリング性を評
価するものです。
2名のドライバーが2周ずつ計4周、様々なコーナーが設けられたコースを走り、各チームの一番速かったラップ
タイムで競います。
エンデュランス
エンデュランスは車の性能を総合的に評価し、車両としての信頼性を試すためのものです。
2名のドライバーで 22km の距離を半分ずつ、様々なコーナーが設けられたコースを走りタイムを競います。
燃費
レース状況下における燃費はほとんどのレースにおいて重要視されるものであると同時に、競技に合わせてその車
両がどれほどうまく調整されているかを示すものです。
ですので、エンデュランスで同時に計測されます。
○スキッドパット
○エンデュランス
○プレゼンテーション審査
○デザイン審査
5.大会参戦記
2007 年 9 月静岡の ECOPA にて
当日責任者国実の視点から大会の様子について報告させていただきます。
11 日 大会前日
前日入りし、受付とピット設営を済ませました。また翌日の車検および静
的審査のためホテルに帰ってからも、夜通しでの車両整備と各部屋で静的
審査の対策が行われました。
車両整備の方は途中から豪雨に見舞われ、ミニテントをトラックの戸口に
横付けし、トラックの中での作業となりました。毎年、大会の日は必ず大
雨に見舞われるので「また、今年もなのか?」という気持ちでした。
12 日 大会初日
▲ホテルの各部屋で静的審査の
最後のチェックが行われた
今日は静的競技と車検。明日は朝から動的競技があるためなんとしても今
日中に車検を通過しておきたいところであります。
しかし、今年は車検が厳しく入念に行われ、例年に比べかなり時間がかか
っていたため、一向に車検の列は減りそうにありません。その上、私達は
静的審査のスケジュールが午前に詰まっていたため、午前中に車検を受け
ることは出来そうにありませんでした。
そこで、車検は午後にまわし静的審査の対策に集中することにしました。
各審査の担当者は各審査のパネルの用意・発表の最終チェックを行い、そ
の他の人間はマシンの外観を整える作業に集中します。
コスト審査の時間になりコストブースへ移動。パネルを用意し、コスト担
当村山がマシン全体についての説明。自分たちのマシンのコストを抑える
▲最初の審査となったコスト審査
ため工夫した点をアピールします。説明が終わり質疑応答に移ります。各
担当者が審査員と 1 対 1 で話します。制限時間になり審査が終了。最後に
審査員のコメントがあり、コスト審査を終えます。今年は事前に提出した
コストレポートの出来が良いと褒められ、去年に比べ確かな手ごたえを感
じていました。
その後一度ピットに戻り、デザイン審査後すぐ車検に行くため、マシンの
最終チェック。ここでひとつ問題が発生。マシンのリアの底づきが直らず
車検に通過出来そうにありません。
しかし対策を施している間にデザイン
審査の時間が近づき、やむなくデザインブースへ移動します。
デザイン審査もコスト審査同様にパネルを用意し、
マシンの設計面での優
れた点をアピールします。
マシンの全体説明はデザイン審査担当の木下が
行い、ハキハキした物言いで練習の成果を見せます。それから各担当者に
▲デザイン審査、自分たちの
よる質疑応答に移りデザイン審査を終えます。
ここでも審査員からコメント
マシンを必死にアピール
で好評価を得られたため、手ごたえがさらに強いものとなります。
プレゼンテーション審査までは時間があったため、マシンの底づき以外
の問題箇所を洗い出すためにも一度車検を受けることに。デザインブー
スからそのまま車検会場へと移動します。しかし、そこにあるのは長蛇
の列。今年の車検の様子だと車検まで2,3時間はかかりそうです。メ
ンバーにも焦りが見え始めます。しかし、ピットに戻るわけにもいかず
並び続けます。
あと数台に達したところでプレゼンの時間に。担当の篤、木下、山田と
数名が審査会場に移動し、彼ら抜きで車検を受けることになりました。
プレゼンテーション審査の開始とほぼ同じ時間に車検が開始。多くの担
当者が不在のまま車検を受けることに。担当者のいない箇所の質問に苦
心しながらも何とか受け答えします。しかし、ファイヤーウォールにつ
▲プレゼンテーション審査
去年と同じく篤が説明
いて大きく指摘を受け、大幅な改修を余儀なくされます。また、その他
にも底づき等数箇所指摘され、それぞれの対策のためピットに戻ります。
ピットでの改修作業にあたっているとプレゼンの面々が晴れ晴れとし
た表情で帰ってきます。どうやらうまくいったようです。
必死に改修作業にあたりましたが、車検受付時間内では終わらず車検通
過は明日に。残りはホテルに戻ってからの作業となりましたが、ホテル
の駐車場は思うようにマシンの整備が出来る環境ではありませんでし
た。どうしたものかと困っていたところ、大会会場のすぐ近くに大学の
ある静岡理工科大学さんから敷地を貸していただけるとのことで、すぐ
にお願いすることに。整備メンバー以外をホテルに帰し、静岡理工科大
学へ向かいます。到着すると私達の他にもお世話になっている大学が数
多くみられ、後で確認したところによるとその数は十数校に上っていた
ようです。静岡理工科大学さんの懐の深さに感謝しつつ作業を進めるこ
とに。昨日からの徹夜のメンバーも数多くいましたが、皆根気良く作業
を続けてくれました。
▼車検で指摘された箇所を直すため徹夜で作業を行うメンバー
▲車検に並ぶも長蛇の列が…
13 日 大会 2 日目
この日から動的審査が始まります。アクセラレーション、スキッドパッド、
オートクロスがあり、アクセラレーション、スキッドパッドに関しては
走れる時間が短いため、すべての競技に出るためには早々の車検通過が
鍵となります。
マシン整備の方は努力の甲斐あって出発時間前にはすべての対策が終
了。朝一での車検通過のため早目に会場へ。ゲートオープンまでは、ま
だ時間がありましたがそこにはすでに何台かのトラックが、どこの学校
も同じことを考えているようです。
ゲートオープンと共に各大学が一斉にピットへ向かいます。私達もすぐ
さまピットに向かい、トラックが到着してすぐ車両を下ろして、車検に
並びました。順番は 7 台目。それに対して車検ブースは 6 つ。惜しくも
▲車検を通過し車検シールを貼
っている様子
朝一での車検は逃しましたが、前の大学がすぐに終わったため、予定よ
り早く車検を受けられることに。
ここで車検に通過出来なければ、アクセラレーション、スキッドパッド
参加が絶望的になります。メンバーが緊張した面持ちで見つめる中、な
んとか車検通過。しかし安心する間も無く給油、重量測定に向かいます。
しかし、またここでも長蛇の列。給油と重量測定だけでしたが、それら
が終わった頃には 1 時間経っていました。その後、簡単な車両チェック
のため一度ピットに戻った後、チルト試験へ。さらに長蛇の列。ここで
も一発合格しなければアクセラに間に合いそうにありません。順番が来
て試験開始。60 度まで車体を傾けたところで右フロントが浮き、メン
バーに緊張が走ります。しかし、前後のトレッドが違うのを考慮せずに
▲チルト試験、冷や汗をかきな
車体を配置したため浮いたと分かり、それを考慮してヒヤヒヤしながら
がらもなんとか通過
もチルトを通過。騒音測定に移ります。今期、大会前まで騒音が規定値
を超え、大変心配な箇所でありましたが、大会前にサイレンサーを変え
ていたことが功を奏し一発で通過。ブレーキ審査も一発で通り、何とか
全車検項目に合格。アクセラレーション、スキッドパッドになんとか間
に合わせることが出来ました。
すでに時間がギリギリであったためマシンのセッティングおよびプラ
クティスは行わず、すぐさまアクセラレーション、スキッドパッドに並
ぶことに。後はドライバー、荒深、阪井、木下に託します。
十分な状態でなかったにも関わらず、スキッドパッドでドライバー荒深
が去年を上回るなかなかの好タイムをマーク。例年結果の出ているアク
セラレーションに期待が高まりますが、練習不足なのか思った以上には
タイムが伸びずに終わってしまいました。
▲スキッドパッド、準備不足に
ドライバーが帰って来たあと話を聞いてみるとどうやら私達が最後で競
も関わらず荒深が期待以上の走
技が終了したようで、1 分でも遅れてたら…と思うと冷や汗が出る一方、
りを見せる
何とか走り終えたという安堵感がありました。
午後のオートクロスまでは時間があり、アクセラレーション、スキッド
パッド前には出来なかった車両のセッティングを行うことに。セッティ
ング後プラクティスを行う予定でしたが、天気予報を見ると午後から雨。
雨が降ってしまっては元も子もないので、セッティングを終えるとすぐ
さまオートクロスへ。初年度からのドライバー国谷、盛合が臨みますが、
思うようにタイムが伸びず、後は明日のエンデュランス次第となりまし
た。
ここで昨日の静的審査および今日の動的審査の結果発表。動的審査はアク
セラレーション 10 位、スキッドパッド 11 位と期待以上の結果は出ません
でしたが、静的審査はコスト審査 20 位、デザイン審査 7 位、プレゼンテー
▲オートクロス、なんとか雨が
降る前に走ることが出来た
ション審査 1 位!プレゼン担当の篤は自分の目で確かめたいとすぐさま
結果発表を見に行きました。デザインファイナルは逃したもののプレゼ
ンで 1 位。
静的総合でも他校の結果次第では 3 位を狙える位置にいます。
総合順位でも良い位置につけ、明日のエンデュランスにさらに期待が高
まりました。
宿に帰った後、プレゼン 1 位を取ったことに対して先生から「篤は最後
の最後までやり尽くして 120%の出来を目指したからプレゼン 1 位とい
う 100%の結果が残せた」とコメントをもらいました。最後までやり尽く
▲プレゼンの結果を自らの目で
してこそ結果が残るものなのだなと思い、明日のエンデュランスにおいて
確認し喜びを表す篤
も 120%の力で臨み結果を残そうと心に決めました。
14 日 大会 3 日目
朝から大会側からのアナウンスがあり、天気を考慮し走行順が変更なりま
した。私達は例年なら午前からの走行だったのですが、午後からの走行と
なりました。そこで空いた時間を使いプラクティスでドライバーにマシン
の感触を掴んでもらい、後は車両の最終チェックにすべて時間を使うこと
にしました。エンデュランスドライバー、国谷、盛合にプラクティスを乗
ってもらいます。プラクティスで細々したトラブルは出たものの、すぐさ
▲エンデュランスに向けて作戦
ま対処出来、順調に行き進みました。
が展開されるホワイトボード
あとは整備と最終チェックを行いドライバーに託すのみです。ドライバー
以外のメンバーに出来ることは、マシンの整備のみ。ピットクルーにと
ってはコース上でなくここが戦う場です。ドライバーに自信を持ってマ
シンを託せるように、120%のチェックを目指して、使える時間すべてを
使って最後の最後までチェックしました。
「マシンは絶対に大丈夫です」そういってドライバーに託し、エンデュ
ランス会場へ向かいました。メンバーが見守る中、国谷が先に走行。途
中シフトの様子がおかしい。そんな声が挙がります。それでもなんとか
国谷が 12 周走りきり、盛合に交代します。エンジンをかけスタートしよ
うとしましたがギヤを入れるとストップ。再び試しましたが同じくストッ
プ。そうしている間に大会規定である3分が経ち、リタイアとなりました。
▲100%走りきれるマシンにす
べく 120%のチェックを行う
原因はクラッチワイヤーの断線。以前にもトラブルのでた箇所でした。し
かし軽量化などにより壊れることを覚悟していた箇所とは違う物だった
だけにショックは大きいものでした。皆無言でピットに戻ります。
皆ショックを隠しきれない様子でしたが、来年のこともあります。立ち止
まっている暇はありません。クラッチワイヤーを直してプラクティス会場
で次年度ドライバーの練習を行うことにしました。修理工房の方たちの協
力もあり、その日の内に修復しプラクティスを走ることに。クラッチワイ
ヤーを直しただけで元気に走り回っているマシンを見ていると悔しさが
こみ上げてきます。何故もっと早く対処出来なかったのだろう、何故ドラ
▲ドライバーチェンジの様子
イバーを走らせてやることが出来なかったのだろう、1年間頑張ってきた
国谷から盛合にクラッチワイヤ
ことが何故この数分のたった1つのパーツで終わってしまうのだろう、そ
ーが断線していることが告げら
んな気持ちでいっぱいでした。
れる
プラクティスを終えその日は終了し、あとは表彰式だけとなりました。
15 日 大会 4 日目
後は表彰式を残すのみです。午前中は昨日に続き次期ドライバーが練習を
し、他のメンバーは他校の偵察に行きます。
表彰式、予想していなかったユニークデザイン賞 1 位を受賞し、WEB サ
イト賞 2 位、プレゼンテーション賞 1 位、そして静的総合 3 位も受賞す
ることが出来ました。静的審査では 3 年目にしてある程度満足のいく結
果が出せるようになりました。しかし、動的審査の不振が響き総合順位
は 20 位。悔しいの一言では言い切れない大きな経験をしました。来年は
この経験を生かさずして終わることなど出来ません。
「去年の経験があっ
たからこそこの結果が出せた」と言えるように、今年のこの結果は過程で
あったと言えるように、来期も頑張ろうと心に誓いました。
こうして私達の 2007 年第 5 回大会は幕を閉じました。
▲リタイアし意気消沈しながら
もピットに戻っていくメンバー
6.メンバーの感想
学生アドバイザー
07 年度ファーストドライバー
盛合 健
――学生アドバイザーとしての一年間。これからの後輩に託すこと――
チーム発足から4年、参戦3回目。私にとっては最後の大会が終了しました。
YNFP を立ち上げた私以外の同級生は既に卒業、メンバーは全員後輩。新入生は 5 歳も年下という、今思えば学
生時代にはなかなかない立場でチームを見渡しながら、学生アドバイザーとしての振舞い方も含めて色々と考えな
がら取り組んだ一年間でした。ですので、チーム全員が全力で動き続ける4日間を、今年も無事に終えられたこと
に安心しているのが正直なところです。
今大会の成果は、静的競技で過去最高の3位にランクインできたことです。ものづくりに対する YNFP の考え方
が間違っていないことが証明されたことで、非常に大きな達成感を得ることができました。 私自身も過去2回の大
会経験を活かしてデザイン審査を中心に取り組み、この結果につなげられたと感じていますが、チーム立ち上げか
らのメンバーであった後輩はプレゼンテーション審査で事前の宣言どおりに1位を獲得、サスペンションパートの
後輩は、おそらく世界初の新製法確立で重ねた苦労が報われてユニークデザイン1位受賞と、これまで驚かされ続
けてきた後輩達の成長が大会本番でも発揮されていたのが何より嬉しかったことです。
一方、このチームの実力をカタチにすべく、実際に走る動的競技では、私達の甘さが露呈する結果となりました。
もっとも重要な耐久走行競技であるエンデュランス。私はそのドライバーを担当しました。これまで何度も改修を
加えた車両は、大会直前まで仕様変更が続き、十分なセッティング、ドライバー慣熟ができないままの出走となり
ました。規定周回数の半分を終え、待機エリアに戻ってきた第一ドライバーの後輩は開口一番「クラッチが切れま
した」と不思議なことを言ってきました。交代して乗り込んで、手元のクラッチレバーのテンションが抜けている
のに気付きました。レバーから出るクラッチケーブルが根元から切れていたのです。これまでのテスト内容からも
予想された事態でしたので、対応策を順次試すことにしました。私達のマシンシステムは、発進さえできれば、あ
とはドライバー操作でスピードを保った走行ができるものでした。
まず断線部を手作業で修復するのは、とても無理でした。ギアを1速に入れた状態でのセルがけ発進は、コース
イン時にも停車の必要があるため他車両の妨害となる可能性が高く避けるべき。最後に、ニュートラルでエンジン
をかけ、切れ残ったエンジン側のクラッチケーブルをアウターごと引っ張りながらギアを入れて発進しようと試み
ましたが、クラッチを完全に切ることができずエンジンストール。そうして規定の3分が過ぎ、競技規則に基づき
強制リタイアとなりました。
油温、水温や燃料、タイヤグリップなど、不安要素の残るマシン、それをゴールまで導く第二ドライバーの役目を
果たせませんでした。ケーブルを引っ張った右手の指が、しばらくして痛みだしました。そこでこみ上げてきた悔
しさは、忘れたくても忘れられません。
総合的には過去2年より順位を大きく落とすことになりました。結果をもとにタラレバ論で性能の評価は出来ま
すが、無念です。 過去2回の成績、実績をもとに誰もが過信を抱いていたのだと思います。
私はもともと建設学科出身です。建築模型を紙で制作して卒業する学生もいます。 YNFP が取り組んでいること
は、建築士が図面をひき、棟梁が大工を率いて家を建て、実際に人に住んでもらうまでのことです。 50 点取れば合
格、80 点を超えれば「優」の世界ではなく、何かひとつが 0 点なら、完成品全体としても 0 点になってしまう。そ
れが現実のものづくりだと思い知らされる結果でした。
次期チームに求めるのは、この結果を運や偶然でなく、1年間の活動のありのままが表れた必然の総合評価だと
受け入れること。そしてそれをもとに、来年の大会を終えて「去年の結果があったからこそだった」と言える結果
を残すことです。 また、この活動を通して経験的に学んだことすべては、社会人となったときに十分応用していけ
ることだと私は考えています。後輩達には、そうした実力を身につけるという気持ちももって取り組んでもらいた
く思います。
私がメンバーとして大会に参加することは、もうできません。残された時間で、私にしかできないことを、やっ
ていきます。
この立場になって落ち着いて考えたとき初めて、いかに自分がこの学生フォーミュラに熱中していたかを思い知
らされました。そこで得られた充実感は、一人でこなす卒業研究などからは到底得られるものではありませんでし
た。共に活動したチームメンバーや、ご指導くださった先生方、本学 OB の皆様、さまざまなかたちでご支援頂い
たスポンサーの皆様のおかげで、この気持ちがあります。どうもありがとうございました。
プレゼンテーション審査担当
篤 幸太郎
今回、60 チーム以上が参加し、皆本気で臨む中、素直にプレゼンテーション全国 1 位を取れたことを嬉しく、そ
して誇りに思います。
何よりまず、
「ありがとう」と言いたいと思います。この結果は、私一人で成したものではありません。私はあく
まで代表として話をしたのであり、その後ろにはチーム全員、そして先生や OB、スポンサー様方、ご協力、ご声援
くださる皆様の想いがしっかりと存在しておりました。私はそれを胸に思いながら全精力をもって、魂をこめてプ
レゼンに臨みました。
自分のためだけではない、自分を含め、すべての想いのために話をしました。
時間はたった 10 分。そこに今までの思いのすべてをぶち込む。
「想い」は確実に存在するけれども、それを「伝えられる」かどうかは、最後のアウトプットの場であるプレゼン
テーションに、私のしゃべりにかかっている。自分がしくじれば、すべての人の想いが軽く評価されてしまう。絶
対にそんなことがあってなるものか。
「できる、できない」ではなく「やる」
大会の 16 日前、
「受けてたつ!弱い静的総合で必ずトップ3はいる」と心に決めました。
そしてプレゼンテーションを自分がやる、と決めたとき「人生最高のプレゼンをしてやる」そう誓いました。
実はプレゼンは 1 位を狙っていたわけではないのです。私の心に他のチームのことは全くありませんでした。大
会という勝負の場に臨んで、他チームを考えないとはどういうことか!? と思われる方はいらっしゃると思いま
す。しかし、私は決して全国 1 位になるためにプレゼンテーションを受けてたったのではないのです。
「想いを伝える」ただそれだけのためにプレゼンに臨んでいました。
そのためには「自分の人生で最高のプレゼンをする必要がある」そう思ったのです。
今回のプレゼン本番のあと「この時間で自分のできることは尽くした」そう思いました。
それが、一体どう評価されるのか、よくわかりませんでした。
しかし、結果がついてきました。全国 1 位。この瞬間「自分たちの想いは伝わったんだ。そう思い、そして、それ
をチームみんなが喜んでくれたのを見て、本当に嬉しかった!!
今一度言います。チームメンバー、そしてチームに関わっていただいた人、応援してくださった人、すべての人に、
ありがとうございました!!
1 年生代表
製造プロセス審査担当
熊谷 和也
大会前はほぼカウル製作一色でカウルの形を整え、家に帰って八品目(コスト審査の中の製造プロセス審査)で
の担当の品を調べる(疲れて寝てしまうことも多々ありましたが)日々がずっと続いていたように思います。そし
てカウル製作がひと段落ついたと思っていたらいつの間にか大会が目前に迫ってきていたという感じで大会前とい
う実感はあまりなかったように思います。しかし、これほどまでに夏休みが早く過ぎていくとは思ってもいません
でした。裏を返せば充実した夏休みが送れたのではないかとも思えます。いままであまりにもだらしない休みを送
っていたのだと思った大会前でした。
大会では八品目の発表をしましたが正直どんなふうに発表したのかあまり記憶に残っていないというのが本音で
す。大会前から「自分が発表することになるのではないか」と思っていたらまさか本当に当たるとは。発表するこ
とになっても「そんなに緊張しないだろうな」と思っていましたが、実際発表すると決まったらなんとも言えない
感覚がして堅くなっているのが感じられました。得点のことは意識していなかったつもりですが振り返ってみれば
やはり心の奥底でそのことが眠っていたため堅くなってしまったのだと思います。ただ大会前に練習を何度かした
おかげかほぼ練習通り(むしろあの時の状況では練習以上のことはできなかったと思いますが)に発表できたので
はないかと思います。練習は本番のようにすることの重要性を痛感しました。ここで勉強になったのは「ぎりぎり
まであきらめない」ということです。直前に眺めていた資料の内容が質問されたので最後まで食らいつくことはや
はり重要なのですね。
また、去年の上位校の中に車検を早く通過できずに動的審査のアクセラレーションやスキッドパッドを走行でき
なかった大学があり、車検の怖さを思い知りました。私たちのマシンは幸いにもその二種目は終了時間ぎりぎりと
はいえ走りきることは出来ましたが、来年は私たちのチームも上記のチームと同じ憂き目にあわないとは言い切れ
ません。車検を一発で通過することは常勝チームとなるための条件の一つだと言えるのではないかと思いました。
今回の大会を通していろいろなことを経験、発見することができました。自分の知識の向上、普段の生活では経
験のできない緊張感等々ありましたが、一番の収穫としては大会のような大舞台で100%の力を発揮するために
はそれ以上の努力が必要ということです。100%以上の努力をすることでその分余裕が生まれ、良い結果につな
がっていくのではないかと思った大会でした。
7.大会参加メンバー
07 プロジェクトにおいて YNFP では、リーダー・サブリーダーのもとに製作班と運営班の2班を置く体制としました。さらに製作
班はフレーム・カウル(FRP)・足回り・パワートレイン・電装の各班に分けることとし、これらの統括はテクニカルディレクターが
行うこととしました。また、動的審査担当チーム(ドライバー)と静的審査担当チームの2チームも置きましたが、これらは上記各
班を横断する形でメンバーを選出しています。
また、設計製作には直接携わらないものの、学生アドバイザとして数名が私たちの活動に参加しています。こうしてできた組織
に顧問という形で先生方にご指導いただきながら YNFP は成り立っています。
顧問
佐藤 恭一(SATO Yasukazu) 横浜国立大学工学部生産工学科准教授
和田 大志(WADA Taishi) 横浜国立大学工学部海洋空間のシステムデザインコース准教授
于 強(Qiang YU) 横浜国立大学工学部生産工学科准教授
松澤 卓(MATSUZAWA Suguru) 横浜国立大学機械工場技術職員
アドバイザ
市村 正明(ICHIMURA Masaaki) 横浜国立大学工学部生産工学科非常勤研究員
チームリーダー
山田 考浩(YAMADA Takahiro) 工学部建設学科 海洋空間のシステムデザインコース 3 年
サブリーダー
国実 曜弘(KUNIMI Akihiro) 工学部生産工学科 3 年
テクニカルディレクター
木下 芳人(KINOSHITA Yoshito) 工学部生産工学科 3 年
フレーム班
山田 考浩(YAMADA Takahiro) 工学部建設学科 海洋空間のシステムデザインコース 3 年
荒木 洸(ARAKI Hikaru) 工学部電子情報工学科 2 年
渡辺 和人(WATANABE Kazuto) 工学部生産工学科 2 年
カウル班
国実 曜弘(KUNIMI Akihiro) 工学部生産工学科 3 年
渡辺 和人(WATANABE Kazuto) 工学部生産工学科 2 年
パワートレイン班
友岡 諒介(TOMOOKA Ryosuke) 工学部生産工学科 3 年
国谷 喜洋(KUNIYA Yoshihiro) 工学部生産工学科 4 年
木下 芳人(KINOSHITA Yoshito) 工学部生産工学科 3 年
菊間 裕也(KIKUMA Yuya) 工学部生産工学科 2 年
中西 真崇(NAKANISHI Masataka) 工学部生産工学科 2 年
足回り班
曽根 竜介(SONE Ryusuke) 工学部生産工学科 3 年
荒深 和志(ARAFUKA Kazushi) 工学部生産工学科 2 年
佐々木 太雅(SASAKI Taiga) 工学部生産工学科 2 年
電装班
木下 芳人(KINOSHITA Yoshito) 工学部生産工学科 3 年
運営班
村山 達也(MURAYAMA Tatsuya) 工学部生産工学科 3 年
阪井 啓介(SAKAI Keisuke) 教育人間科学部マルチメディア文化課程 3 年
宮原 優(MIYAHARA Yuu) 経済学部経済システム学科 3 年
中山 貴博(NAKAYAMA Takahiro) 工学部生産工学科 3 年
相川 尚輝(AIKAWA Naoki) 経営学部経営システム学科 1 年
岩本 千裕(IWAMOTO Chihiro) 経営学部経営学科 1 年
久保田 昌幸(KUBOTA Masayuki) 経済学部経済システム学科 1 年
清水 慧(SHIMIZU Kei) 経営学部経営学科 1 年
新メンバー(配属未決定)
熊谷 和也(KUMAGAI Kazuya) 工学部生産工学科 1 年
黒田 将史(KURODA Masafumi) 工学部生産工学科 1 年
近藤 康之(KONDO Yasuyuki) 工学部電子情報工学科 1 年
齊藤 航太(SAITO Kota) 工学部電子情報工学科 1 年
佐山 勝悟(SAYAMA Shogo) 工学部生産工学科 1 年
當眞 尚樹(TOMA Naoki) 工学部知能物理工学科 1 年
中村 健太郎(NAKAMURA Kentaro) 工学部知能物理工学科 1 年
堀 創介(HORI Sosuke) 工学部生産工学科 1 年
吉田 恭輔(YOSHIDA Kyosuke) 工学部電子情報工学科 1 年
学生アドバイザ
盛合 健(MORIAI Ken) 大学院工学府システム統合工学専攻 2 年
北田 健(KITADA Ken) 工学部電子情報工学科 4 年
澤井 泰(SAWAI Yutaka) 工学部電子情報工学科 4 年
篤 幸太郎(ATSUSHI Koutarou) 工学部生産工学科 3 年
道上 俊(MICHIGAMI Takashi) 工学部生産工学科 2 年
矢田 宏樹(YADA Hiroki) 工学部生産工学科 2 年
8.スポンサーの皆様
dSPACE JAPAN 株式会社 様:活動資金等を支援していただきました。
MOTUL(テクノイルジャポン K.K.) 様:オイルを支援して頂きました。
NSK(日本精工株式会社) 様:ベアリングを支援して頂きました。
NTN 株式会社 様:ドライブシャフトを支援して頂きました。
S-GRID 様:エンジンのオーバーホールをして頂きました。
TWMC 様:シフターを割引価格にて提供して頂きました。
エヌ・エム・ビー販売株式会社 様:スフェリカルベアリングを割引価格にて支援して頂きました。
エムエスシーソフトウェア株式会社 様:MSC.Software 製品を支援して頂きました。
オートデスク株式会社 様:設計ソフト「Autodesk Inventor 11」 を支援して頂きました。
株式会社キャムブレーン 様:NC 加工をしていただきました。
株式会社ショーワ 様:ショックアブソーバーを支援して頂きました。
株式会社ダイナテック 様:データロガーを貸して頂きました。
株式会社東京アールアンドデー 様:ステアリング関係、セーフティハーネス等を支援して頂きました。
株式会社東日製作所 様:トルクレンチを支援して頂きました。
株式会社冨士精密 様:ゆるみ止めナットを支援して頂きました。
株式会社プロト 様:ブレーキホースとフューエルホース等を支援していただきました。
株式会社ユニバンス 様:デフを支援して頂くことになりました。
小原歯車工業株式会社 様:ラック&ピニオンを支援して頂きました。
サイバネットシステム株式会社 様:解析ソフト「ANSYS」を支援していただきました。
ジュニアモーターパーク クイック羽生 様:テスト走行をさせて頂きました。
新星機工株式会社 様:スプライン加工を支援して頂きました。
スーパーオートバックス横浜みなとみらい 様:シャシーダイナモを割引価格にて使用させていただきました。
ソリッドワークス・ジャパン株式会社 様:設計ソフト「Solidworks」を支援していただきました。
田畑ラヂエーター株式会社 様:特注ラジエーターを割引価格にて支援して頂きました。
東日エアトルク販売株式会社 様:トルクレンチの交換ヘッドを支援して頂きました。
トピー工業株式会社 様:活動資金を支援していただきました。
トルンプ株式会社 様:レーザー加工をして頂きました。
日信工業株式会社 様:キャリパー、マスターシリンダーを支援して頂きました。
日本発条株式会社 様:コイルスプリングを支援して頂きました。
本田技研工業株式会社 様:CBR600RR レースベース車 1 台を支援して頂きました。
有限会社アートディレクト 様:大会やイベントで着用するチームユニフォームをご支援いただきました。
有限会社メックテック 様:樹脂材料と鉄パイプを支援して頂きました。
レーシングサービスワタナベ 様:ホイールを割引価格にて提供していただきました。
ワークショップ・イトー 様:安全靴等を割引価格にて支援して頂きました。
ご声援ありがとうございました!!
9.最後に
創設メンバーの下で活動した最後のメンバーである、私達 3 年生が主導となって進めた YNFP-07 プロジェクト。
YNFP としては 3 回目となる今回の大会で、私達は始めてリタイアという経験をしました。その原因が極めて単純
なものであり、改善の余地があっただけに、メンバー一同非常に悔しい思いで第 5 回大会を終えることとなってし
まいました。
しかしながら、静的審査においては総合 3 位、プレゼンテーション審査では満点での1位と大躍進を遂げることが
出来ました。
そして何より、今大会が終わるまでの 1 年で得たものがとてつもなく大きく貴重であるかを、そして、応援してく
ださる方々の存在がどれほど心強いものかを強く感じることが出来ました。
これもひとえに、ものづくりの素人である私達に親身になって対応していただいた、スポンサーの皆様や FA の先生
方のおかげと思い、メンバー一同心から感謝申し上げます。
現在 2 年生主導の下、静的審査での1位獲得、そして、日本大会総合優勝という YNFP 永年の目標を達成するべく、
YNFP-08 プロジェクトが進行しております。
YNFP メンバー一丸となって日本一のチームづくりに励んでまいりますので、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻と
共に、スポンサーの皆様の熱いご声援を、どうぞよろしくお願いいたします。
末筆となりましたが、皆様方の更なるご発展をお祈りし、御礼方々ご挨拶とさせていただきます。
YNFP-07 プロジェクト プロジェクトリーダー
山田 考浩
横浜国立大学フォーミュラプロジェクト
〒240−8501 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79−5共同推進センター
Team Web Site http://f35.aaa.livedoor.jp/~
ynfp/index.html
Team Mail
[email protected]